説明

無線通信システム、基地局装置およびスケジューリング方法

【課題】大規模な無線通信システムでもシステム容量を改善することができる無線通信システム、基地局装置およびスケジューリング方法を提供する。
【解決手段】複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(優先帯域)が設定される無線通信システムにおいて、各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、基地局は、配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握し、配下の端末局との通信時に、当該基地局から干渉となる隣接基地局に対して、優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求し、干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した優先帯域で配下の端末局と通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成される無線通信システムにおいて、各基地局は隣接基地局と相互に通知しあう送信停止要求や送信電力低減要求に基づいて、分散制御的に当該基地局と同じ時間で同じ周波数帯域を使用する隣接基地局を選択する無線通信システム、基地局装置およびスケジューリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.16で規格化されているIEEE802.16e-2005の通信方式(いわゆる Mobile WiMAX(Worldwide interoperability for microwave access))では、高速なデータサービスに加えて、VoIPやストリーミング配信など、様々なアプリケーションに幅広く対応できるように設計されている。
【0003】
さらに、 Mobile WiMAXでは、周波数利用効率を向上させるために、FFR(Fractional Frequency Reuse) と呼ばれる柔軟性の高い周波数再利用の仕組みが利用できるように設計されている。図15はFFRを用いたフレーム構成例であり、フレームは周波数再利用係数が異なる2つのゾーンに分割される。基地局(以下、BS)近傍の端末(以下、SS)は、隣接BSと同じ周波数を使用する周波数再利用係数=1のゾーン(以下、セル中心ゾーン)に割り当て、セルエッジに位置するSSは、隣接BSと異なる周波数を使用する周波数再利用係数=3のゾーン(以下、セルエッジゾーン)に割り当てる (非特許文献1)。BS近傍に位置するSSは受信電力が大きく干渉波の影響が小さいため、BSはこのSSに対して、隣接するBSと同じ時間かつ同じ周波数を用いた通信が可能となる。一方、BSのセルエッジに位置するSSは、受信電力が小さく干渉波の影響が大きいため、BSは隣接するBSと異なる時間または異なる周波数で送信するなどの干渉回避が行われる。 Mobile WiMAXにおけるFFRでは、セルエッジゾーンとセル中心ゾーンは一般的に時分割され、BSは各SSのデータを割り当てるゾーンを適切に判断する必要がある。
【0004】
本明細書では、隣接する複数のBSが同じ時間で同じ周波数を用いて異なるSSと通信することを、多重またはリソース多重と呼ぶ。
【0005】
非特許文献2では、単一の信号対干渉雑音電力比(SINR)または搬送波対干渉雑音電力比(CINR)の閾値によって各SSの割り当てるゾーンを決定する方法が示されている。BSとSSとのSINRまたはCINRが閾値以上であれば、SSはBS近傍に位置すると判別し、セル中心ゾーンに割り当てる。一方、閾値以下であれば、SSはセルエッジに位置すると判別し、 セルエッジゾーンに割り当てる。
【0006】
このようなFFRでは、多重パターンは全てのBSで多重するか否かの2パターンのみである。非特許文献3では、図16のようなフレームを構成し、隣接する複数のBSのうち一部のBSが多重する無線通信システムとそのスケジューリング方法により、システム容量が改善されることが明らかにされている。このフレーム構成は、隣接する3つのBSのうち、いずれのBSも多重しないセルエッジゾーン(多重数1)と、2つのBSが多重する多重ゾーン(多重数2)と、3つ全てのBSが多重する多重ゾーン(多重数3)とに分割されている。集中制御局は、各BSと各SSとの伝搬路情報の全ての組合せを収集し、それらの伝搬路情報に基づいて、各SSが通信するBSとゾーン(多重数) を決定する。例えば図17に示す構成例では、BS1から信号を受信するSS1に対して、BS2からの干渉波の影響は大きいが、BS3からの干渉波の影響が小さいため、セルエッジゾーン(多重数1)に割り当てるよりも、BS1とBS3の多重ゾーン(多重数2)に選択することで、システム容量の改善が図られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】庄納崇 他、「WiMAX教科書」、インプレスR&D、 pp.107-108
【非特許文献2】藤井啓正 他、「Fractional Frequency Reuseを用いるOFDMAセルラシステムの特性解析 通信容量およびアウテージレート」、無線通信システム研究会、 RCS2007-161、2007年
【非特許文献3】大野陽平 他、「集中制御型FFRにおけるリソース制御を適用したシステム容量善効果」、2009年電子情報通信学会総合大会、B-5-140 、2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献3に示されている無線通信システムとスケジューリング方法では、例えば3つのBSのみで構成されるような小規模な無線通信システムにおいてはシステム容量の改善効果が期待できる。しかし、これは、集中制御的にスケジューリングする方法であるので、BS数やSS数が増大するごとにスケジューリングの計算の複雑性が増す。また、従来のスケジューリングにおいては、各BSと各SSとの伝搬路情報の全ての組合せを収集する必要があるが、セルラーなどの大規模システムにおいてはそれらの伝搬路情報の全てを収集することは困難である。
【0009】
本発明は、分散制御的に当該基地局と同じ時間で同じ周波数帯域の使用可能な隣接基地局の組合せを決定し、大規模な無線通信システムでもシステム容量を改善することができる無線通信システム、基地局装置およびスケジューリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(優先帯域)が設定される無線通信システムにおいて、各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、基地局は、配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握する手段と、配下の端末局との通信時に、当該基地局から干渉となる隣接基地局に対して、優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求する手段と、干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した優先帯域で配下の端末局と通信する手段とを備える。
【0011】
第2の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(優先帯域)が設定される無線通信システムにおいて、各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、基地局は、配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握する手段と、配下の端末局との通信時に、当該基地局から干渉となる隣接基地局に対して、優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求する手段と、フレーム構成を3つの時間領域に分割し、第一の時間領域では、優先帯域を使用して配下の端末局と通信し、第二の時間領域では、当該基地局に隣接する隣接基地局と同じ周波数帯域を使用して配下の端末局と通信し、第三の時間領域では、干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した優先帯域で配下の端末局と通信する手段とを備える。
【0012】
第1の発明または第2の発明において、基地局は、隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域を記憶する手段と、隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域以外の周波数帯域と時間領域で配下の端末局と通信する手段とを備える。
【0013】
第1の発明または第2の発明において、基地局は、当該基地局と配下の端末局とのSNRと、隣接基地局と当該基地局の配下の端末局とのSNRを把握する手段と、SNRから、当該基地局と隣接基地局の全てまたは一部が同じ時間で同じ周波数帯域を使用した場合の、当該基地局とその配下の端末局とのSINRを、同じ時間で同じ周波数帯域を使用する隣接基地局の組合せごとに推定する手段と、組合せごとのSINRから伝送レートを推定し、それらの伝送レートの比較により、優先帯域で当該基地局と同じ時間で同じ周波数帯域を使用させない隣接基地局を決定する手段とを備える。
【0014】
第3の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(優先帯域)が設定される無線通信システムのスケジューリング方法において、各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、基地局は、配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握するステップと、配下の端末局との通信時に、当該基地局から干渉となる隣接基地局に対して、優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求するステップと、干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した優先帯域で配下の端末局と通信するステップとを有する。
【0015】
第4の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(優先帯域)が設定される無線通信システムのスケジューリング方法において、各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、基地局は、配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握するステップと、配下の端末局との通信時に、当該基地局から干渉となる隣接基地局に対して、優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求するステップと、フレーム構成を3つの時間領域に分割し、第一の時間領域では、優先帯域を使用して配下の端末局と通信し、第二の時間領域では、当該基地局に隣接する隣接基地局と同じ周波数帯域を使用して配下の端末局と通信し、第三の時間領域では、干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した優先帯域で配下の端末局と通信するステップとを有する。
【0016】
第3の発明または第4の発明において、基地局は、隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域を記憶するステップと、隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域以外の周波数帯域と時間領域で配下の端末局と通信するステップとを有する。
【0017】
第3の発明または第4の発明において、基地局は、当該基地局と配下の端末局とのSNRと、隣接基地局と当該基地局の配下の端末局とのSNRを把握するステップと、SNRから、当該基地局と隣接基地局の全てまたは一部が同じ時間で同じ周波数帯域を使用した場合の、当該基地局とその配下の端末局とのSINRを、同じ時間で同じ周波数帯域を使用する隣接基地局の組合せごとに推定するステップと、組合せごとのSINRから伝送レートを推定し、それらの伝送レートの比較により、優先帯域で当該基地局と同じ時間で同じ周波数帯域を使用させない隣接基地局を決定するステップとを有する。
【0018】
第5の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(優先帯域)が設定される無線通信システムの基地局装置において、各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握する手段と、配下の端末局との通信時に、当該基地局から干渉となる隣接基地局に対して、優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求する手段と、隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域を記憶する手段と、干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した優先帯域、および隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域以外の周波数帯域と時間領域で配下の端末局と通信する手段とを備える。
【0019】
第6の発明は、複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(優先帯域)が設定される無線通信システムの基地局装置において、各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握する手段と、配下の端末局との通信時に、当該基地局から干渉となる隣接基地局に対して、優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求する手段と、隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域を記憶する手段と、フレーム構成を3つの時間領域に分割し、第一の時間領域では、優先帯域を使用して配下の端末局と通信し、第二の時間領域では、当該基地局に隣接する隣接基地局と同じ周波数帯域を使用して配下の端末局と通信し、第三の時間領域では、干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した優先帯域、および隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域以外の周波数帯域と時間領域で配下の端末局と通信する手段とを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、各基地局が干渉となる隣接基地局と相互に送信停止要求や送信電力低減要求をやりとりすることにより、分散制御的に当該基地局と同じ時間で同じ周波数帯域の使用可能な隣接基地局の組み合わせを決定することができる。これにより、大規模な無線通信システムにおいて、基地局間の相互干渉を回避しながら優先帯域および非優先帯域を有効に利用することが可能となり、スケジューリング処理を複雑化することなくシステム容量を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の無線通信システムの実施例構成を示す図である。
【図2】基地局連携情報部12およびスケジューラ13の構成例を示す図である。
【図3】実施例1におけるフレーム構成例を示す図である。
【図4】実施例1における優先帯域の割り当て例を示す図である。
【図5】実施例1におけるスケジューリング処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】SSx の割当ゾーンを選択する手順S104 の一例を示すフローチャートである。
【図7】実施例1における隣接基地局への送信停止要求の作成手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施例1における送信停止要求の送受信例を示す図である。
【図9】実施例1における送信停止要求に対するフレーム構成例を示す図である。
【図10】実施例2におけるスケジューリング処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】実施例2におけるフレーム構成例を示す図である。
【図12】多重する隣接BSを決定する手順S404 の一例を示すフローチャートである。
【図13】実施例3における無線通信システムの優先帯域の割り当て例を示す図である。
【図14】実施例4における隣接基地局への送信電力低減要求の作成手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】FFRを用いたフレーム構成例を示す図である。
【図16】複数のBSと連携したFFRによるフレーム構成例を示す図である。
【図17】基地局と端末局の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の無線通信システムの実施例構成を示す。
図1において、無線通信システムは、バックボーンネットワークに接続される複数(m個)のBS10(1) 〜10(m) と、複数(n個) のSS20(1) 〜20(n) から構成される。
【0023】
BS10(1) 〜10(m) のデータバッファ部11には、バックボーンネットワーク1からデータが入力する。データバッファ部11では、入力された時間順にデータが保存されているが、データの送信先SSのQoSクラスなどに応じて保存されているデータの順番を入れ換えることができる。基地局連携情報部12では、バックボーンネットワーク1を介して隣接基地局からの要求が入力する。また、基地局連携情報部12は、隣接基地局への要求を作成してバックボーンネットワーク1へ出力する。スケジューラ13は、受信部18から入力する伝搬路情報や基地局連携情報部12に保存されている情報を基に、スケジュール情報を構築する。そして、そのスケジュール情報に従ってデータバッファ部11に保存されているデータを先頭から取り出し、送信データ生成部14へ出力する。送信データ生成部14は、スケジューラ13から入力するデータと、スケジュール情報から構成される制御メッセージを用いてフレーム構成を生成する。送信部15は、送信データ生成部14で作成されたフレームを変調および周波数変換により無線信号に変換し、スケジュール情報に基づいて送受信の切り替えが制御されるTDDスイッチ16を介してアンテナ17からBS配下のSSに送信する。
【0024】
また、BSのアンテナ17で受信する無線信号は、TDDスイッチ16を介して受信部18に入力される。受信部18は、ULサブフレームの無線信号を周波数変換および復調し、復調された受信データをデータバッファ部11に出力し、さらにバックボーンネットワーク1に出力する。
【0025】
SS20(1) 〜20(n) は、アンテナを介してBSが送信するスケジュール情報を参照して送受信を行う。
【0026】
(基地局連携情報部12とスケジューラ13の構成例とそのスケジューリング処理)
図2は、基地局連携情報部12およびスケジューラ13の構成例を示す。
図2において、基地局連携情報部12は、優先帯域情報部121、隣接基地局への要求生成部122、隣接基地局からの要求記憶部123から構成される。スケジューラ13は、受信部13から入力する伝搬路情報を記憶する伝搬路情報記憶部132、スケジュール情報構築部131から構成される。
【0027】
スケジュール情報構築部131は、伝搬路情報記憶部132、優先帯域情報記憶部121、隣接基地局からの要求記憶部123の情報を参照して、図3に示すフレーム構成に従ってスケジュール情報を構築する。図3の実施例1におけるフレーム構成例では、セルエッジゾーンとセル中心ゾーンに加え、隣接BSと連携して送信可否を決定する連携ゾーンを有する。セルエッジゾーンでは、優先帯域情報記憶部121に保存されている周波数帯域(以下、優先帯域)を使用する。この優先帯域f1,f2,f3は、図4に示すように隣接BSの優先帯域とは重ならないように設定される。優先帯域の情報は、BS設置時に設定されてもよいし、バックボーンネットワーク1からの情報により動的に設定されてもよい。
【0028】
伝搬路情報記憶部132には、当該BSとその配下のSSとのSNRと、隣接BSと当該BS配下のSSとのSNRが保存されている。当該BSとその配下のSSとのSNRは、図3のセルエッジゾーンの優先帯域において、SSは当該BSからの信号を受信することでSNRを把握し、その値が当該BSへフィードバックされることによって伝搬路情報記憶部132に保存される。隣接BSと当該BS配下のSSとのSNRは、セルエッジゾーンの非優先帯域において、当該BS配下のSSが隣接BSから干渉波を受信することでSNRを把握し、その値と干渉波を送信する隣接BSの情報が当該BSへフィードバックされることによって伝搬路情報記憶部132に保存される。また、当該BSとその配下のSSとのSNRと、隣接BSと当該BS配下のSSとのSNRを把握する手段はこの限りではない。例えば、各BSは当該BS配下のSSが送信する信号を受信することによって、各BSと当該BS配下のSSとのSNRを把握し、それを隣接BSと相互に通知することによっても可能である。
【0029】
図5は、実施例1におけるスケジューリング処理手順の一例を示す。
図5において、スケジュール情報構築部131は、データバッファ部11からデータを取り出し(S101)、取り出したデータの宛先SSx を把握する(S102)。続いて、伝搬路情報記憶部132を参照し、BSとSSx とのSNR、その隣接BSとSSx とのSNRを把握する(S103)。続いて、これらのSNRに基づき、SSx を割り当てるゾーンとしてセルエッジゾーン、セル中心ゾーン、連携ゾーンの何れかを選択する(S104)。
【0030】
SSx の割当ゾーンを選択する手順S104の一例を図6に示す。伝搬路情報記憶部132を参照し、当該BSとSSx のSNRx 、当該BSに隣接しSSx に対して干渉となるBSy(i)とのSNRy(i)を把握する(S201)。これらのSNRx ,SNRy(i)から、当該BSが隣接BSy(i)と多重したときのSINRを、多重する隣接BSグループ(group) の組合せごとに
【0031】
【数1】

と計算し、これにより伝送レートrate(group) を推定する(S202)。
【0032】
次に、α(group) ・rate(group) を計算し、その値が最も大きい隣接BSグループを選択する(S203)。ここで、α(group) は、任意に設定することができるが、一例として隣接BSグループにおける多重数、つまり隣接BSグループに含まれるBS数に1を加算したものとすることができる。選択された隣接BSグループにすべての隣接BSが含まれる場合 (S204でYes)、SSの割当ゾーンをセル中心ゾーンと選択する(S205)。選択された隣接BSグループに含まれるBS数がゼロである場合 (S204でNo、S206でYes)、SSの割当ゾーンをセルエッジゾーンと選択する(S207)。選択された隣接BSグループにすべての隣接BSが含まれてなく、BS数がゼロでない場合 (S206でNo) 、SSの割当ゾーンを連携ゾーンと選択し(S208)、選択された隣接BSグループに含まれていない隣接BSに対して、当該BSとSSx との通信時に、当該BSの優先帯域の全てまたは一部の使用を停止させることを決定する(S209)。
【0033】
なお、S201とS202を次のように置換えることも可能である。S201では、SSごとに、当該BSとのSNRx 、隣接するBSy(i)とのSNRy(i)を把握し、さらにすべてのBSが多重したときの当該BS配下のSSとのSINRx を把握する。S202では、当該BSが隣接BSと多重したときのSINRを、多重する隣接BSグループ(group) の組合せごとに
【0034】
【数2】

と計算し、これにより伝送レートrate(group) を推定する。式(2) でnotgroupとは隣接BSのうちグループに含まれないグループを示す。
【0035】
図5において、上記のように選択したゾーンがセル中心ゾーンの場合 (S105でYes)、SSx のデータをセル中心ゾーンに割り当てる(S106)。セルエッジゾーンの場合 (S107でYes)、SSx のデータをセルエッジゾーンに割り当てる(S108)。連携ゾーンの場合 (S107でNo) 、SSx のデータを連携ゾーンの優先帯域に割り当てる(S109)。
【0036】
さらに、セルエッジゾーン、セル中心ゾーン、連携ゾーンの優先帯域の全てにデータが割り当てられたか、データバッファにデータがなくなるまで上記のS101からS109を繰り返す(S110)。
【0037】
その後、連携ゾーンに割り当てたSSの情報を隣接基地局への要求生成部122へ通知し、隣接基地局へ特定の時間や周波数で送信停止の要求を作成させる(S111)。隣接基地局への送信停止要求の作成手順の一例を図7に示す。隣接基地局への要求生成部122は、スケジュール情報構築部131から連携ゾーンの優先帯域に割り当てたSSの情報を取得し(S301)、このSSを割り当てた時間と周波数(以下、スロット) を把握する(S302)。次に、このスロットにおいて送信を停止させる隣接BSを把握する(S303)。当該隣接BSは、図6のゾーン選択におけるステップS209において送信停止を決定したBSである。次に、このBSに対して当該スロットで送信を停止する要求を作成する(S304)。この送信停止要求は、バックボーンネットワーク1を介してステップS303で把握した隣接BSへ通知される。
【0038】
図5において、スケジュール情報構築部131は、連携ゾーンの優先帯域に割り当てたSS情報を隣接基地局への要求生成部122に通知し、隣接BSへの送信停止要求を作成させた後、隣接基地局からの要求記憶部123を参照する(S112)。隣接基地局からの要求記憶部123には、隣接基地局から送信停止を要求されたスロットが記憶されており、スケジュール情報構築部131は連携ゾーンにおいて送信停止を要求されている領域を把握する(S112)。図4に示すように各BSは隣接BSと異なる優先帯域を設定し、隣接BSに対して優先帯域内で送信停止を要求するので、各BSは必ず非優先帯域で送信停止を要求されることになる。次に、スケジュール情報構築部131は、データバッファ部からデータを取り出し(S113)、このデータを連携ゾーンの非優先帯域で送信停止を要求されていない領域に割り当てる(S114)。連携ゾーンの非優先帯域で送信停止を要求されていない領域の全てにデータが割り当てられるか、もしくはデータバッファにデータがなくなるまで (S115でYes となるまで) 、S113とS114を繰り返し、スケジュール情報構築処理を終了する。
【0039】
図8は、実施例1における送信停止要求の送受信例を示す。
図8において、SS1 はBS1 に帰属しており、BS1 と通信を行う。BS1 とSS1 の通信時に、BS3 やBS7 が多重しても干渉とならないが、BS2 が多重するとその信号が干渉となる場合には、BS1 はBS2 に対してBS1 の優先帯域であるf1 の全てまたは一部の領域で送信停止要求を通知する。SS2 はBS6 に帰属しており、BS6 と通信を行う。BS6 とSS2 の通信時に、BS5 やBS7 が多重しても干渉とならないが、BS1 が多重するとその信号が干渉となる場合には、BS6 はBS1 に対してBS6 の優先帯域であるf3 の全てまたは一部の領域で送信停止要求を通知する。このときのフレーム構成例を図9に示す。BS2 はBS1 からの送信停止要求を受信し、BS1 の優先帯域f1 で送信を停止する。BS1 はBS6 からの送信停止要求を受信し、BS6 の優先帯域f3 で送信を停止する。
【実施例2】
【0040】
図10は、実施例2におけるスケジューリング処理手順の一例を示す。
実施例2では、スケジュール情報構築部131は、図11に示すフレーム構成に従ってスケジュール情報を構築する。実施例2では、図3に示す実施例1のフレーム構成と異なり、セルエッジゾーンとセル中心ゾーンがなく、連携ゾーンのみから構成される。
【0041】
図10において、スケジュール情報構築部131は、データバッファ部11からデータを取り出し(S401)、取り出したデータの宛先SSx を把握する(S402)。続いて、伝搬路情報記憶部132を参照し、BSとSSx とのSNR、その隣接BSとSSx とのSNRを把握する(S403)。続いて、これらのSNRに基づき、BSとSSx との通信時において多重する隣接BSを決定する(S404)。
【0042】
多重する隣接BSを決定する手順S404の一例を図12に示す。伝搬路情報記憶部132を参照し、当該BSとSSx のSNRx 、当該BSに隣接しSSx に対して干渉となるBSy(i)とのSNRy(i)を把握する(S501)。これらのSNRx ,SNRy(i)から、当該BSが隣接BSy(i)と多重したときのSINRを、多重する隣接BSグループ(group) の組合せごとに式(1) で計算し、それにより伝送レートrate(group) を推定する(S502)。次に、α(group) ・rate(group) を計算し、その値が最大となる隣接BSグループを選択する(S503)。ここで、α(group) は、任意に設定することができるが、一例として、隣接BSグループにおける多重数、つまり隣接BSグループに含まれるBS数に1を加算したものとすることができる。選択された隣接BSグループに含まれていない隣接BSに対して、当該BSとSSx との通信時に、優先帯域の全てまたは一部の使用を停止させることを決定する(S504)。
【0043】
なお、S501とS502を次のように置換えることも可能である。S501では、SS毎に、当該BSとのSNRx 、隣接するBSy(i)とのSNRy(i)を把握し、さらに全てのBSが多重したときの当該BS配下のSSx とのSINRx を把握する。S502では、当該BSが隣接BSと多重したときのSINRを、多重する隣接BSグループ(group) の組合せごとに、式(2) で計算し、これにより伝送レートrate(group) を推定する。式(2) でnotgroupとは隣接BSのうちグループに含まれないグループを示す。
【0044】
次に、SSx のデータを優先帯域に割り当て(S405)、優先帯域の全てにデータが割り当てられたか、データバッファにデータがなくなるまで上記のS401からS405を繰り返す(S406)。
【0045】
次に、SSの情報を隣接基地局への要求生成部122へ通知し、隣接基地局へ特定の時間や周波数で送信停止の要求を作成させる(S407)。隣接基地局への要求生成部122における要求生成手順は図7に示されるように実施例1と同様である。この要求はバックボーンネットワーク1を介して当該BSへ通知される。
【0046】
スケジュール情報構築部131は、優先帯域に割当てたSSの情報を隣接基地局への要求生成部122に通知した後、隣接基地局からの要求記憶部123を参照する。隣接基地局からの要求記憶部123には、隣接基地局から送信停止を要求されたスロットが記憶されており、スケジュール情報構築部は送信停止を要求されている領域を把握する(S408)。図4に示すように各BSは隣接BSと異なる優先帯域を設定し、隣接BSに対して優先帯域内で送信停止を要求するので、各BSは必ず非優先帯域で送信停止を要求されることになる。次に、スケジュール情報構築部131は、データバッファ部11からデータを取り出し(S409)、このデータを非優先帯域で送信停止を要求されていない領域に割り当てる(S410)。非優先帯域で送信停止を要求されていない領域の全てにデータが割り当てられたか、もしくはデータバッファにデータがなくなるまで (S411でYes となるまで) 、S409とS410を繰り返し、スケジュール情報構築処理を終了する。
【実施例3】
【0047】
実施例3は、各BSがセクタアンテナを有する無線通信システムにおいて、実施例1(図5〜7)または実施例2(図10,12)に応じたスケジューリング処理を適用する。実施例3では、図13に示すように各BSの通信エリアは3セクタに分割され、各セクタには異なる優先帯域が設定されている。さらに、当該BSと隣接BSとで対向するセクタ (例えば、図13ハッチング部のBS1 のセクタs1、BS2 のセクタs2、BS3 のセクタs3) についても異なる優先帯域が設定されている。各BSはセクタ毎に実施例1または実施例2に示す処理を実行する。この処理において、隣接BSを当該BSと対向する隣接BSのセクタと読み替えるものとする。
【実施例4】
【0048】
実施例4の隣接基地局への要求生成部122は、実施例1〜3における送信停止の要求に代わって、送信電力の低減を要求してもよい。この実施例4における隣接基地局への要求生成手順の一例を図14に示す。
【0049】
スケジュール情報構築部131から優先帯域に割り当てたSSの情報を取得し(S601)、当該SSを割り当てた時間と周波数(スロット) を把握する(S602)。次に、当該スロットにおいて送信電力を低減させる隣接BSを把握する(S603)。このBSは、図6のゾーンの選択手段におけるS209のステップ、または図12の多重する隣接BSの決定手段におけるS504のステップで、送信を停止させるBSである。次に、当該隣接BSに対して、当該スロットにおける送信電力を設定する(S604)。この送信電力は、当該隣接BSが当該送信電力で送信したとしても、図6のS203または図12のS503で選択した隣接BSグループ(group) における伝送レート(rate(group)) を満たすように設定される。次に、当該隣接BSがS604で設定した送信電力で通信するように、当該隣接BSに対して当該スロットで送信電力を低減する要求を作成する(S605)。
【0050】
以上説明した各実施例は、 Mobile WiMAXの仕様に基づいたものであるが、必ずしも Mobile WiMAXに限定するものではなく、他の無線通信方式についても適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 バックボーンネットワーク
10 BS
11 データバッファ部
12 基地局連携情報部
121 優先帯域情報部
122 隣接基地局への要求生成部
123 隣接基地局からの要求記憶部
13 スケジューラ
131 スケジュール情報構築部
132 伝搬路情報記憶部
14 送信データ生成部
15 送信部
16 TDDスイッチ
17 アンテナ
18 受信部
20 SS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(以下、「優先帯域」という)が設定される無線通信システムにおいて、
前記各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、
前記基地局は、
配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握する手段と、
配下の端末局との通信時に、当該基地局から前記干渉となる隣接基地局に対して、前記優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求する手段と、
前記干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した前記優先帯域で配下の端末局と通信する手段と
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(以下、「優先帯域」という)が設定される無線通信システムにおいて、
前記各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、
前記基地局は、
配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握する手段と、
配下の端末局との通信時に、当該基地局から前記干渉となる隣接基地局に対して、前記優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求する手段と、
フレーム構成を3つの時間領域に分割し、第一の時間領域では、前記優先帯域を使用して配下の端末局と通信し、第二の時間領域では、当該基地局に隣接する隣接基地局と同じ周波数帯域を使用して配下の端末局と通信し、第三の時間領域では、前記干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した前記優先帯域で配下の端末局と通信する手段と
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
前記隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域を記憶する手段と、
前記隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域以外の周波数帯域と時間領域で配下の端末局と通信する手段と
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記基地局は、
当該基地局と配下の端末局との信号対雑音電力比(以下、SNRという)と、隣接基地局と当該基地局の配下の端末局とのSNRを把握する手段と、
前記SNRから、当該基地局と隣接基地局の全てまたは一部が同じ時間で同じ周波数帯域を使用した場合の、当該基地局とその配下の端末局との信号対雑音干渉電力比(以下、SINRという)を、同じ時間で同じ周波数帯域を使用する隣接基地局の組合せごとに推定する手段と、
前記組合せごとのSINRから伝送レートを推定し、それらの伝送レートの比較により、前記優先帯域で当該基地局と同じ時間で同じ周波数帯域を使用させない隣接基地局を決定する手段と
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(以下、「優先帯域」という)が設定される無線通信システムのスケジューリング方法において、
前記各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、
前記基地局は、
配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握するステップと、
配下の端末局との通信時に、当該基地局から前記干渉となる隣接基地局に対して、前記優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求するステップと、
前記干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した前記優先帯域で配下の端末局と通信するステップと
を有することを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項6】
複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(以下、「優先帯域」という)が設定される無線通信システムのスケジューリング方法において、
前記各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、
前記基地局は、
配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握するステップと、
配下の端末局との通信時に、当該基地局から前記干渉となる隣接基地局に対して、前記優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求するステップと、
フレーム構成を3つの時間領域に分割し、第一の時間領域では、前記優先帯域を使用して配下の端末局と通信し、第二の時間領域では、当該基地局に隣接する隣接基地局と同じ周波数帯域を使用して配下の端末局と通信し、第三の時間領域では、前記干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した前記優先帯域で配下の端末局と通信するステップと
を有することを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のスケジューリング方法において、
前記基地局は、
前記隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域を記憶するステップと、
前記隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域以外の周波数帯域と時間領域で配下の端末局と通信するステップと
を有することを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項8】
請求項5または請求項6に記載のスケジューリング方法において、
前記基地局は、
当該基地局と配下の端末局との信号対雑音電力比(以下、SNRという)と、隣接基地局と当該基地局の配下の端末局とのSNRを把握するステップと、
前記SNRから、当該基地局と隣接基地局の全てまたは一部が同じ時間で同じ周波数帯域を使用した場合の、当該基地局とその配下の端末局との信号対雑音干渉電力比(以下、SINRという)を、同じ時間で同じ周波数帯域を使用する隣接基地局の組合せごとに推定するステップと、
前記組合せごとのSINRから伝送レートを推定し、それらの伝送レートの比較により、前記優先帯域で当該基地局と同じ時間で同じ周波数帯域を使用させない隣接基地局を決定するステップと
を有することを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項9】
複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(以下、「優先帯域」という)が設定される無線通信システムの基地局装置において、
前記各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、
配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握する手段と、
配下の端末局との通信時に、当該基地局から前記干渉となる隣接基地局に対して、前記優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求する手段と、
前記隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域を記憶する手段と、
前記干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した前記優先帯域、および前記隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域以外の周波数帯域と時間領域で配下の端末局と通信する手段と
を備えたことを特徴とする基地局装置。
【請求項10】
複数の基地局と複数の端末局によって構成され、各基地局がそれぞれ優先的に使用する周波数帯域(以下、「優先帯域」という)が設定される無線通信システムの基地局装置において、
前記各基地局の優先帯域は互いに異なる設定であり、
配下の端末局との通信時に、当該基地局に隣接する隣接基地局が当該基地局の通信と同じ時間で同じ周波数帯域を用いたときに、当該基地局の通信に対して干渉となる隣接基地局を把握する手段と、
配下の端末局との通信時に、当該基地局から前記干渉となる隣接基地局に対して、前記優先帯域の全部または一部の使用停止または送信電力の低減を要求する手段と、
前記隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域を記憶する手段と、
フレーム構成を3つの時間領域に分割し、第一の時間領域では、前記優先帯域を使用して配下の端末局と通信し、第二の時間領域では、当該基地局に隣接する隣接基地局と同じ周波数帯域を使用して配下の端末局と通信し、第三の時間領域では、前記干渉となる隣接基地局に対して使用停止または送信電力の低減を要求した前記優先帯域、および前記隣接基地局から使用停止または送信電力の低減を要求された優先帯域と時間領域以外の周波数帯域と時間領域で配下の端末局と通信する手段と
を備えたことを特徴とする基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−41084(P2011−41084A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187794(P2009−187794)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】