説明

無線通信システム、無線基地局、及び無線通信方法

【課題】制御情報の伝送品質を向上できる無線通信システムを提供する。
【解決手段】基地局制御部12は、自局に対する無線端末の接続数が所定値に満たない場合、無線端末2に対し、複数の上り制御チャネル要素を割り当てるようにすることを特徴とする。また受信品質が第1の閾値未満の場合に、複数の前記上り制御チャネル要素を前記無線端末2に割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線基地局、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTEを採用する無線端末は、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)で制御情報を無線基地局に送信する。LTEの規格上、上りリンク(Uplink)におけるリソースブロックが、上り制御チャネルに用いられる(非特許文献1)。
【0003】
上り制御チャネルには、下りリンク(Downlink)信号のHARQのACK/NACK、上りリンクのスケジューリングリクエストを送信する“フォーマット1”と、下りリンクの品質情報を送信する“フォーマット2”とが存在する。“フォーマット1”は、図7に示すように、上り制御チャネルのリソースが、サイクリックシフト(CS:Cyclic Shift、以下「CS」という。)の値、及び直行カバー系列(OC:Orthognal Cover、以下「OC」という。)の値により36分割される。具体的には図7では縦軸がCSであり、CSは12の異なる値をとる。また横軸はOCであり、OCは3つの異なる値をとる。そしてCSとOCの組み合わせにより36個の上り制御チャネル要素が特定される。以下36分割されたリソースの各々の要素を、「上り制御チャネル要素」という。また、ある上り制御チャネル要素はCSとOCの組合せにより特定されるため、ここでは当該CSとOCの組合せを、「上り制御チャネル要素のアドレス」という。
【0004】
各無線端末の制御情報は、夫々1つの上り制御チャネル要素に格納される。図7では、上り制御チャネル要素200にある無線端末の制御情報が格納され、また、上り制御チャネル要素300には、他の無線端末の制御情報が格納されている。
【0005】
なお、“フォーマット2”の場合は、CSは12の異なる値をとり、OCは1つの値をとるため12分割される。“フォーマット2”も、“フォーマット1”と同様に、各無線端末の制御情報が、夫々1つの上り制御チャネル要素に格納される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】服部武、諸橋知雄、藤岡雅宣著、「3G Evolutionのすべて LTEモバイルブロード方式技術」、丸善、2009年、p.438
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、上記の無線端末と、無線基地局とを備える無線通信システムでは、当該無線端末から当該無線基地局へ送信する制御情報の伝送品質を向上することが望まれる。
【0008】
従って、上記のような点に鑑みてなされた本発明の目的は、制御情報の伝送品質を向上できる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る無線通信システムは、
無線基地局と、無線端末と、を備える無線通信システムであって、
前記無線基地局は、
無線信号を受信する基地局送受信部と、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを前記無線端末に割り当てる基地局制御部と、
を備え、
前記基地局制御部は、自局に対する前記無線端末の接続数が所定値未満の場合、前記無線端末に対し、複数の前記上り制御チャネル要素を割り当てることを特徴とする。
【0010】
また本発明に係る無線通信システムは、前記基地局制御部が、前記無線端末における受信品質を取得し、該受信品質が第1の閾値未満の場合に、複数の前記上り制御チャネル要素を前記無線端末に割り当てることを特徴とする。
【0011】
また本発明に係る無線通信システムは、
前記無線端末が、
無線信号を受信する端末送受信部と、
前記無線基地局からの指示に基づいて、割り当てられた上り制御チャネル要素で制御情報を送信するように制御する端末制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明に係る無線通信システムは、
前記端末制御部が、
前記無線基地局から送信された無線信号の受信品質が第2の閾値以下の場合に、前記無線基地局に対し、複数の前記上り制御チャネル要素を割り当てるように要求することを特徴とする。
【0013】
また本発明に係る無線通信システムは、前記無線端末が、複数の前記上り制御チャネル要素において同一の制御情報を送信することを特徴とする。
【0014】
また本発明に係る無線通信システムは、前記無線端末が、複数の前記上り制御チャネル要素において異なる制御情報を送信することを特徴とする。
【0015】
また本発明に係る無線通信システムは、
無線基地局と、無線端末と、を備える無線通信システムであって、
前記無線基地局は、
無線信号を受信する基地局送受信部と、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを前記無線端末に割り当てる基地局制御部と、
を備え、
前記基地局制御部は、前記無線端末における受信品質を取得し、該受信品質が第1の閾値未満の場合に、複数の前記上り制御チャネル要素を前記無線端末に割り当てることを特徴とする。
【0016】
また本発明に係る無線基地局は、
無線信号を受信する基地局送受信部と、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを無線端末に割り当てる基地局制御部と、
を備え、
前記基地局制御部は、自局に対する前記無線端末の接続数が所定値に満たない場合、前記無線端末に対し、複数の前記上り制御チャネル要素を割り当てることを特徴とする。
【0017】
また本発明に係る無線基地局は、
無線信号を受信する基地局送受信部と、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを無線端末に割り当てる基地局制御部と、
を備え、
前記基地局制御部は、前記無線端末における受信品質を取得し、該受信品質が第1の閾値未満の場合に、複数の前記上り制御チャネル要素を前記無線端末に割り当てることを特徴とする。
【0018】
また本発明に係る無線通信方法は、
無線基地局と、無線端末と、を備える無線通信方法であって、
前記無線基地局が
前記無線端末から送信された無線信号を受信するステップと、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを前記無線端末に割り当てるステップと、
を含み、
前記割り当てるステップは、前記無線基地局が、自局に対する前記無線端末の接続数が所定値に満たない場合、前記無線端末に対し、複数の前記上り制御チャネル要素を割り当てることを特徴とする。
【0019】
また本発明に係る無線通信方法は、
無線基地局と、無線端末と、を備える無線通信方法であって、
前記無線基地局が
前記無線端末から送信された無線信号を受信するステップと、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを前記無線端末に割り当てるステップと、
を含み、
前記割り当てるステップは、前記無線基地局が、前記無線端末における受信品質を取得し、該受信品質が第1の閾値未満の場合に、複数の前記上り制御チャネル要素を前記無線端末に割り当てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明における無線通信システムによれば、制御情報の伝送品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る実施の形態の無線通信システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る上り制御チャネルにおけるリソースの詳細図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの変形例1に係る動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの変形例2に係る動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの変形例3に係る動作を示すフローチャートである。
【図7】従来技術における上り制御チャネルにおけるリソースの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムのブロック図である。本発明の一実施形態に係る無線通信システムは、無線基地局1と、無線基地局1に接続する無線端末2と、無線基地局1に接続する無線端末3とを備える。なお無線端末は、説明の都合上2つ図示しているが、これに限られず、無線端末2だけ備えていてもよく、あるいは3つ以上の無線端末が存在していてもよい。
【0024】
無線基地局1は、基地局送受信部11と、基地局制御部12とを備える。基地局送受信部11は、無線端末2及び無線端末3とLTEの規格に従い、無線により信号の送受信をする。具体的には基地局送受信部11は、無線端末2から無線信号及び制御情報を受信し、また無線端末2に係る上り制御チャネル要素のアドレスを無線端末2に送信する。基地局送受信部11は、無線端末3とも同様の信号の送受信をする。
【0025】
基地局制御部12は、無線基地局1に係る各種制御をする。具体的には基地局制御部12は、基地局送受信部11が受信した無線信号の品質が、第1の閾値未満であるかを判定する。無線信号の品質は、例えば、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)や信号対干渉雑音比(SINR:Signal to Interference and Noise power Ratio)の値により推定する。例えば第1の閾値は、RSSIでは、−80dbmと定められる。また基地局制御部12は、無線基地局1に接続している無線端末の接続数が、所定値未満であるかを判定する。例えば所定値は、18と定められる。また基地局制御部12は、無線端末2及び無線端末3に対して複数の上り制御チャネルを割り当てるように制御する。
【0026】
無線端末2は、端末送受信部21と、端末制御部22とを備える。端末送受信部21は、無線基地局1と、LTEの規格に従い、無線により信号の送受信をする。具体的には端末送受信部21は、無線信号及び制御情報を送信し、また無線端末2に係る上り制御チャネル要素のアドレスを受信する。端末送受信部21は、制御情報を、無線基地局1から受信した上り制御チャネル要素のアドレスに基づき送信する。
【0027】
端末制御部22は、無線端末2に係る制御をする。具体的には端末制御部22は、受信した上り制御チャネル要素アドレスに基づき、無線端末2に係る制御情報を、複数の上り制御チャネル要素により送信するように制御する。なお、端末制御部22は、複数の上り制御チャネル要素に同一の制御情報を格納する。なお、後述するように、端末制御部22は、複数の上り制御チャネル要素に異なる制御情報を格納してもよい。
【0028】
無線端末3は、端末送受信部31と、端末制御部32とを備える。端末送受信部31及び端末制御部32は夫々無線端末2の端末送受信部21及び端末制御部22に対応し、同一の機能を有する。
【0029】
次に、本発明に係る無線通信システムについて、図2に示すフローチャートによりその動作を説明する。
【0030】
はじめに、無線端末2の端末送受信部21は、無線基地局1にLTEの規格に従い無線信号を送信する(ステップS11)。無線基地局1の基地局送受信部11は、当該無線信号を受信する(ステップS12)。
【0031】
次に無線基地局1の基地局制御部12は、基地局送受信部11が受信した無線信号の品質が、第1の閾値未満であるかを判定する(ステップS13)。判定の結果、無線信号の品質が第1の閾値未満の場合にはステップS14に進む。判定の結果、無線信号の品質が第1の閾値以上の場合には処理を完了する。
【0032】
判定の結果、無線信号の品質が第1の閾値未満の場合、基地局制御部12は、自局、すなわち無線基地局1に接続している無線端末の接続数が、所定値未満であるかを判定する(ステップ14)。判定の結果、無線端末の接続数が所定値未満の場合にはステップS15に進む。判定の結果、無線端末の接続数が所定値以上の場合には処理を完了する。
【0033】
判定の結果、無線端末の接続数が所定値未満の場合、基地局制御部12は、無線端末2に対して複数の上り制御チャネル要素を割り当てる(ステップS15)。このとき基地局制御部12が割り当てた上り制御チャネルにおけるリソースの詳細図を図3に示す。
【0034】
図3(a)は、上り制御チャネルに係るリソースの詳細図の一例を示す。上り制御チャネル要素201〜203は、無線端末2に割り当てられ、上り制御チャネル要素301は、無線端末3に割り当てられる。上り制御チャネル要素201〜203のアドレスは、OCが同一であり、CSが各々異なる。また、上り制御チャネル要素201〜203の間には上り制御チャネル要素1つ分の間隔が隔てられている。これは、上り制御チャネル要素201〜203の間に一定の間隔を設けることで、信号の遅延耐性を強めるためである。当該間隔は適宜定められ、一定の間隔が上り制御チャネル要素2つ分以上であってもよく、また間隔を空けずに割り当てる上り制御チャネル要素のCSが連続していてもよい。
【0035】
このように基地局制御部12は、無線端末2に対し、複数の上り制御チャネル要素201〜203を割り当てる。図3(a)において無線端末2には合計3つの上り制御チャネル要素が割り当てられているが、これに限られず、割り当てる数は、2つでもよく、4つ以上でもよい。
【0036】
図3(b)は、上り制御チャネルにおけるリソースの詳細図の他の一例を示す。図3(b)は、概略としては、無線端末3にも複数の上り制御チャネル要素を割り当てている。図3(b)において図3(a)と同一の部分については同一の符号を付し、説明を省略する。図3(b)では、無線端末3に、上り制御チャネル要素302が追加して割り当てられている。
【0037】
また図3(c)は、さらに上り制御チャネルにおけるリソースの詳細図の他の一例を示す。図3(c)は、概略としては、CSを同一にして、OCを異ならせた複数の上り制御チャネル要素を各無線端末に割り当てている。図3(c)において図3(a)と同一の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図3(c)では、上り制御チャネル要素201と、上り制御チャネル要素204と、上り制御チャネル要素205とが無線端末2に割り当てられ、上り制御チャネル要素301と、上り制御チャネル要素303とが無線端末3に割り当てられている。上り制御チャネル要素201のアドレスと、上り制御チャネル要素204のアドレスと、上り制御チャネル要素205のアドレスとは、CSが同一であり、OCが異なる。同様に、上り制御チャネル要素301のアドレスと、上り制御チャネル要素303のアドレスとは、CSが同一であり、OCが異なる。
【0038】
続いて基地局送受信部11は、無線端末2に割り当てた上り制御チャネル要素のアドレスを、無線端末2に送信する(ステップS16)。すなわち、ステップS15において、基地局制御部12は、無線端末2に対して上り制御チャネル要素201〜203を割り当てたため、基地局送受信部11は、これらの制御チャネル要素201〜203のアドレスを、無線端末2に送信する。無線端末2の端末送受信部21は、上り制御チャネル要素のアドレスを受信する(ステップS17)。
【0039】
続いて無線端末2の端末制御部22は、受信した上り制御チャネル要素のアドレスに基づき、無線端末2に係る制御情報を、複数の上り制御チャネル要素により送信するように制御する。そして端末送受信部21は、当該制御に基づき、無線端末2に係る制御情報を無線基地局1に送信する(ステップS18)。無線基地局1の送受信部11は、当該制御信号を受信し(ステップS19)、当該制御情報を復号して制御情報を取得し、処理が終了する。
【0040】
端末制御部22は、上り制御チャネル要素201〜203に、同一の制御情報を格納する。このように格納することにより、基地局制御部12は、制御チャネル信号を上り制御チャネル要素201〜203から取り出した制御情報を合成して制御情報の誤り訂正をし、より正確な制御情報を取得できる。
【0041】
このように本発明によれば、ステップS14において基地局制御部12が、無線基地局1に接続する無線端末数が上り制御チャネル要素の個数と比較して少ない場合に、無線端末に複数の上り制御チャネル要素を割当てて上り制御チャネル要素を活用し、複数の上り制御チャネル要素に格納された制御情報を合成等することにより、制御情報の伝送品質を向上できる。
【0042】
また、本発明によれば、ステップS13において無線端末2からの無線信号品質が第1の閾値未満の場合であることを複数の上り制御チャネル要素を割り当てる条件としているため、無線信号品質が悪い場合に、基地局制御部12が無線端末に複数の上り制御チャネル要素を割当て、割当てられた複数の上り制御チャネル要素を合成等することにより、制御情報の伝送品質を向上できる。
【0043】
なお、端末制御部22は、上り制御チャネル要素201〜203に、同一の制御情報ではなく異なる制御情報を格納するようにしてもよい。例えば、上り制御チャネル要素201にはスケジューリングリクエスト情報を格納し、上り制御チャネル要素202にはコードワード1のHARQのACK/NACK情報を格納し、上り制御チャネル要素203にはコードワード2のHARQのACK/NACK情報を格納するようにしてもよい。このようにすることで、各制御情報に割り当て可能な情報容量(ビット数)を増やすことができ、基地局制御部12は、より精度の高い制御情報を取得することができる。
【0044】
なお、ステップS13とステップS14とは、順序が逆であってもよい。すなわち無線信号の品質の判定の前に、無線基地局1に接続している無線端末の接続数を判定してもよい。
【0045】
なお、基地局制御部12は、ステップS13における判定を行わなくてもよい。この場合、基地局制御部12は、ステップS14における判定のみに基づいて、複数の上り制御チャネル要素を割り当てるか否かを制御する。
【0046】
なお、本実施の形態においては、上り制御チャネルが“フォーマット1”で送信される場合について例示して説明したがこれに限られず、上り制御チャネルが“フォーマット2”で送信される場合についても同様に適用できる。
【0047】
(変形例1)
次に、本発明に係る実施の形態の変形例1を示す。変形例1に示す無線通信システムは、概略として、無線基地局1から送信された無線信号の品質に基づいて、無線端末2が、複数の上り制御チャネル要素を割り当てるように基地局1に要求し、無線基地局1が複数の上り制御チャネル要素を無線端末2に割り当てる。
【0048】
変形例1における無線通信システムの構成は、図1に示す構成と同一である。ただし、変形例1における端末制御部22はさらに、無線端末2に割り当てる上り制御チャネル要素を複数にするための割当て要求を生成するように制御する。また変形例1における端末送受信部21はさらに、当該割当て要求を無線基地局1に送信する。
【0049】
図4は、本発明に係る無線通信システムの変形例1の動作を示すフローチャートである。また、図4において、図3にて示した動作と同一の動作については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0050】
はじめに無線基地局1の基地局送受信部11は、無線端末2に無線信号を送信する(ステップS21)。無線端末2の端末送受信部21は、当該無線信号を受信する(ステップS22)。
【0051】
次に、無線端末2の端末制御部22は、端末送受信部21が受信した無線信号の品質が、第2の閾値未満であるかを判定する(ステップS23)。無線信号の品質は、例えば信号レベルの値により推定する。第2の閾値は、例えば、RSSIでは、−80dbmと定められる。判定の結果、無線信号の品質が第2の閾値未満の場合にはステップS24に進む。判定の結果、無線信号の品質が第2の閾値以上の場合には処理が完了する。
【0052】
判定の結果、無線信号の品質が第2の閾値未満の場合、端末制御部22は、無線端末2に割り当てる上り制御チャネル要素を複数にするための割当て要求を生成するように制御する。そして無線端末2の端末送受信部21は、当該割当て要求を無線基地局1に送信する(ステップS24)。無線基地局1の基地局送受信部11は、当該割当て要求を受信する(ステップS25)。
【0053】
続いて、無線基地局1の基地局制御部12は、無線基地局1に接続されている端末数の判定を行う。以下のステップS14〜ステップS19に係る動作は図3に示したものと同一である。
【0054】
このように変形例1にかかる無線通信システムによれば、無線端末2の端末送受信部21が、無線基地局1から受信した無線信号の無線信号品質に応じて上り制御チャネル要素を増やすように、自ら割り当て要求をするため、無線信号品質が悪い場合に無線端末に複数の上り制御チャネル要素を割当て、割当てられた複数の上り制御チャネル要素を合成等することにより、制御情報の伝送品質を向上できる。
【0055】
なお、ステップS25と、ステップS14との間に、図2におけるステップS11〜ステップS13、すなわち無線端末2から送信された無線信号の品質の判定の動作があってもよい。この場合は、複数の上り制御チャネル要素を割り当てるための条件として、無線端末2から送信された無線信号の品質が第1の閾値未満であることが追加されることになる。
【0056】
(変形例2)
次に、本発明に係る実施の形態の変形例2を示す。変形例2に示す無線通信システムは、概略として、下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)により送信される制御情報のAgligation Level(以下、ALという)の値に基づいて、無線端末2が、複数の上り制御チャネル要素を割り当てるように基地局1に要求し、無線基地局1が複数の上り制御チャネル要素を無線端末2に割り当てる。
【0057】
変形例2における無線通信システムの構成は、図1に示す構成と同一である。ただし変形例2における端末制御部22はさらに、端末送受信部21が受信した制御情報に基づき、無線端末2に割り当てられているALを取得する。また端末制御部22は、ALが2以上の場合、無線端末2に割り当てる上り制御チャネル要素を複数にするための割当て要求を生成するように制御する。また変形例2における端末送受信部21はさらに、当該割当て要求を無線基地局1に送信する。
【0058】
図5は、本発明に係る無線通信システムの変形例2の動作を示すフローチャートである。また、図5において、図3にて示した動作と同一の動作については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0059】
はじめに無線基地局1の基地局送受信部11は、無線端末2に、下り制御チャネルにより制御情報を送信する(ステップS31)。無線端末2の端末送受信部21は、当該制御情報を受信する(ステップS32)。
【0060】
次に、無線端末2の端末制御部22は、端末送受信部21が受信した制御情報に基づき、無線端末2に割り当てられているALを取得する。ALは、下り制御チャネルにおける、無線端末2に割り当てられているCCE(Control Channel Element)の個数であるため、端末制御部22は下り制御チャネルをデコードすることによりALを取得する。そして端末制御部22は、当該ALが、2以上であるか否かを判定する(ステップS33)。当該判定の結果、ALが2以上の場合にはステップS24に進む。判定の結果、ALが2未満の場合には、処理を完了する。なお、ALは、1、2、4、又は8のいずれかの値である。従って、ALが1の場合には処理を完了する。
【0061】
判定の結果、ALが2以上の場合、端末制御部22は、無線端末2に割り当てる上り制御チャネル要素を複数にするための割当て要求を生成するように制御する。割当て要求する制御チャネル要素数は、ALの値と同一にする。すなわち、ALが2、4、又は8について夫々、割当て要求する制御チャネル要素数を、2、4、8個とする。そして無線端末2の端末送受信部21は、当該割当て要求を無線基地局1に送信する(ステップS34)。無線基地局1の基地局送受信部11は、当該割当て要求を受信する(ステップS35)。
【0062】
続いて、無線基地局1の基地局制御部12は、無線基地局1に接続されている端末数の判定を行う。以下のステップS14〜ステップS19に係る動作は図3に示したものと同一である。
【0063】
このように変形例2にかかる無線通信システムによれば、無線端末2に係るALに応じて上り制御チャネル要素を増やすように、自ら割り当て要求をするため、ALが2以上の無線端末、すなわち伝送の環境が悪い無線端末に複数の上り制御チャネル要素を割当て、割当てられた複数の上り制御チャネル要素を合成等することにより、制御情報の伝送品質を向上できる。
【0064】
なお、上記ではALの値と、割り当てる上り制御チャネル要素の要求数を同一としたが、これに限られない。例えば、ALの値が2の場合に、割り当てる上り制御チャネル要素の要求数を2とし、ALの値が4の場合には、割り当てる上り制御チャネル要素の要求数をALの値を2の場合と比較して1増加させ3とする。ALの値が8の場合には割り当てる上り制御チャネル要素の要求数をさらに1増加させ、4にする。このように割り当てる要求数は適宜変更することができる。
【0065】
なお、ステップS35と、ステップS14との間に、図2におけるステップS11〜ステップS13、すなわち無線端末2から送信された無線信号の品質の判定の動作があってもよい。この場合は、複数の上り制御チャネル要素を割り当てるための条件として、無線端末2から送信された無線信号の品質が第1の閾値未満であることが追加されることになる。
【0066】
(変形例3)
次に、本発明に係る実施の形態の変形例3を示す。変形例3に示す無線通信システムは、無線端末2が、無線基地局1との無線通信を行う前に、無線基地局1によって制御情報を送信する際に基準となる制御チャネル要素が予め割り当てられる。そして、下り制御チャネルにより送信される制御情報のALの値が2以上である場合、無線端末2は、当該基準となる制御チャネル要素から当該ALの値の分だけ連続する複数の上り制御チャネル要素で制御情報を送信する。なお、連続する複数の上り制御チャネル要素とは、CSを同一にして、OCを異ならせた連続する複数の上り制御チャネル要素や、OCを同一にして、CSを異ならせた連続する複数の上り制御チャネル要素を意味する。
【0067】
変形例3における無線通信システムの構成は、図1に示す構成と同一である。ただし変形例3における端末制御部22はさらに、端末送受信部21が受信した制御情報に基づき、無線端末2に割り当てられているALを取得する。また端末制御部22は、ALの値が2以上の場合、基準となる制御チャネル要素から当該ALの値の分だけ連続する複数の上り制御チャネル要素で端末送受信部21が制御情報を送信するように制御する。
【0068】
図6は、本発明に係る無線通信システムの変形例3の動作を示すフローチャートである。はじめに無線端末2の端末送受信部21は、例えば、基地局1に、位置登録要求を送信する(ステップS41)。無線基地局1の基地局送受信部11が当該位置登録要求を受信すると(ステップS42)、基地局制御部12は、位置登録を行うとともに、無線端末2に対して基準となる上り制御チャネル要素を割り当て、割り当てた上り制御チャネル要素のアドレスを、無線端末2に送信し(ステップS43)、無線端末2の端末送受信部21は、当該上り制御チャネル要素のアドレスを受信する(ステップS44)。その後、無線端末2が、無線基地局1に接続要求し無線通信を開始する(ステップS45)。
【0069】
無線基地局1の基地局送受信部11は、無線端末2に、下り制御チャネルにより制御情報を送信する(ステップS46)。無線端末2の端末送受信部21は、当該制御情報を受信する(ステップS47)。
【0070】
次に、無線端末2の端末制御部22は、端末送受信部21が受信した制御情報に基づき、無線端末2に割り当てられているALを取得する。そして端末制御部22は、当該ALが、2以上であるか否かを判定する(ステップS48)。当該判定の結果、ALが2以上の場合にはステップS49に進む。判定の結果、ALが2未満の場合には、ステップS4Aに進む。
【0071】
ステップS49において、無線端末2の端末制御部22は、基準となる制御チャネル要素から当該ALの値の分だけ連続する複数の上り制御チャネル要素で端末送受信部21が制御情報を送信するように制御し、端末送受信部21は、当該制御に基づき、無線端末2に係る制御情報を無線基地局1に送信し、無線基地局1の基地局送受信部11は、当該制御情報を受信する(ステップS4B)。
【0072】
一方、ステップS4Aでは、無線端末2の端末制御部22は、予め割り当てられている基準となる制御チャネル要素で、端末送受信部21が制御情報を送信するように制御し、端末送受信部21は、当該制御に基づき、無線端末2に係る制御情報を無線基地局1に送信し、無線基地局1の基地局送受信部11は、当該制御情報を受信する(ステップS4B)。
【0073】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 無線基地局
2、3 無線端末
11 基地局送受信部
12 基地局制御部
21、31 端末送受信部
22、32 端末制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局と、無線端末と、を備える無線通信システムであって、
前記無線基地局は、
無線信号を受信する基地局送受信部と、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを前記無線端末に割り当てる基地局制御部と、
を備え、
前記基地局制御部は、自局に対する前記無線端末の接続数が所定値未満の場合、前記無線端末に対し、複数の前記上り制御チャネル要素を割り当てることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記基地局制御部は、前記無線端末における受信品質を取得し、該受信品質が第1の閾値未満の場合に、複数の前記上り制御チャネル要素を前記無線端末に割り当てることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線端末は、
無線信号を受信する端末送受信部と、
前記無線基地局からの指示に基づいて、割り当てられた上り制御チャネル要素で制御情報を送信するように制御する端末制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記端末制御部は、
前記無線基地局から送信された無線信号の受信品質が第2の閾値以下の場合に、前記無線基地局に対し、複数の前記上り制御チャネル要素を割り当てるように要求することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記無線端末は、複数の前記上り制御チャネル要素において同一の制御情報を送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記無線端末は、複数の前記上り制御チャネル要素において異なる制御情報を送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の無線通信システム。
【請求項7】
無線基地局と、無線端末と、を備える無線通信システムであって、
前記無線基地局は、
無線信号を受信する基地局送受信部と、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを前記無線端末に割り当てる基地局制御部と、
を備え、
前記基地局制御部は、前記無線端末における受信品質を取得し、該受信品質が第1の閾値未満の場合に、複数の前記上り制御チャネル要素を前記無線端末に割り当てることを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
無線信号を受信する基地局送受信部と、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを無線端末に割り当てる基地局制御部と、
を備え、
前記基地局制御部は、自局に対する前記無線端末の接続数が所定値に満たない場合、前記無線端末に対し、複数の前記上り制御チャネル要素を割り当てることを特徴とする無線基地局。
【請求項9】
無線信号を受信する基地局送受信部と、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを無線端末に割り当てる基地局制御部と、
を備え、
前記基地局制御部は、前記無線端末における受信品質を取得し、該受信品質が第1の閾値未満の場合に、複数の前記上り制御チャネル要素を前記無線端末に割り当てることを特徴とする無線基地局。
【請求項10】
無線基地局と、無線端末と、を備える無線通信方法であって、
前記無線基地局が
前記無線端末から送信された無線信号を受信するステップと、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを前記無線端末に割り当てるステップと、
を含み、
前記割り当てるステップは、前記無線基地局が、自局に対する前記無線端末の接続数が所定値に満たない場合、前記無線端末に対し、複数の前記上り制御チャネル要素を割り当てることを特徴とする無線通信方法。
【請求項11】
無線基地局と、無線端末と、を備える無線通信方法であって、
前記無線基地局が
前記無線端末から送信された無線信号を受信するステップと、
上り制御チャネルに含まれる上り制御チャネル要素のいずれかを前記無線端末に割り当てるステップと、
を含み、
前記割り当てるステップは、前記無線基地局が、前記無線端末における受信品質を取得し、該受信品質が第1の閾値未満の場合に、複数の前記上り制御チャネル要素を前記無線端末に割り当てることを特徴とする無線通信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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