説明

無線通信システムのキャリブレーション及びビーム形成

【課題】無線通信システムのキャリブレーション及びビーム形成を実行する技術を提供する。
【解決手段】ノードBは、ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを得るためにUEのセットで各キャリブレーション間隔内にキャリブレーションを周期的に実行する。ノードBは、ノードBで送信及び受信チェーンの応答におけるミスマッチを計算するためにキャリブレーション・ベクトルを適用し得る。ノードBは、UEで複数のアンテナに対する利得不均衡を考慮することによってUEにビーム形成を実行し得る。ノードBは、(i)UEで送信チェーンに対する異なる自動利得制御(AGC)利得、(ii)UEで送信チェーンに対する異なる電力増幅器(PA)利得、及び/又はUEで複数のアンテナに対する異なるアンテナ利得による利得不均衡を考慮することによってビーム形成に対するプレコーディング行列を決定し得る。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、この譲受人に譲渡され、そして参照によりここにおいて組み込まれている2007年10月3日に出願された「キャリブレーション及びビーム形成のための方法及び装置(METHOD AND APPARATUS FOR CALIBRATION AND BEAMFORMING)」という名称の仮米国出願第60/977,359号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に通信に関し、特に、無線通信システムの送信技術に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信システムは、音声、ビデオ、パケット・データ、メッセージ、ブロードキャストなどのような様々な通信コンテンツを提供するために広く展開されている。これらの無線システムは、利用可能なシステム・リソースを共有することによって複数のユーザをサポートすることを可能にするマルチ−アクセス・システムであり得る。このようなマルチ−アクセス・システムの例は、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム及び直交周波数分割多元接続(OFDMA)システムを含む。
【0004】
無線通信システムは、多くのユーザ設備(UE)のための通信をサポートすることができる多くのノードBを含み得る。ノードBは、ダウンリンクとアップリンクを経由してUEと通信し得る。ダウンリンク(または順方向リンク)は、ノードBからUEまでの通信リンクを称し、アップリンク(または逆方向リンク)は、UEからノードBまでの通信リンクを称する。ノードBは、UEで1本以上のアンテナにデータを送信するために複数のアンテナを利用し得る。よいパフォーマンスを達成する方法で、データを送信することは望ましい。
【発明の概要】
【0005】
無線通信システムのキャリブレーション及びビーム形成を実行するための技術がここに記述される。1つの態様において、ノードBは、ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを得るためにUEのセットで各キャリブレーション間隔内にキャリブレーションを周期的に実行し得る。ノードBは、ノードBで送信及び受信チェーンの応答のミスマッチを計算するためにキャリブレーション・ベクトルを適用し得る。
【0006】
1つの設計において、各キャリブレーション間隔内に、ノードBは、良いチャネル品質を備えるUEのような、キャリブレーションを実行するUEのセットを選択し得る。ノードBは、キャリブレーション・モードにはいるために選択されたUEにメッセージを送り得る。ノードBは、各選択されたUEからダウンリンク・チャネル推定値を受信し、UEで少なくとも1つのアンテナから少なくとも1つのサウンディング基準信号(sounding reference signal)をも受信し得る。ノードBは、UEから受信されたサウンディング基準信号に基づいて選択されたUE各々に対するアップリンク・チャネル推定値を導き出し得る。ノードBは、UEに対するダウンリンク・チャネル及びアップリンク・チャネル推定値に基づいて選択されたUE各々に対する少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出し得る。その後、ノードBは、選択されたUE全てに対する初期のキャリブレーション・ベクトルに基づいてノードB自身に対するキャリブレーション・ベクトルを導き出し得る。ノードBは、キャリブレーション・ベクトルが次のキャリブレーション間隔内でアップデートされるまで、そのキャリブレーション・ベクトルを適用することができる。
【0007】
別の態様において、ノードBは、UEで複数のアンテナに対する利得不均衡を考慮することによってUEにビーム形成を実行し得る。利得不均衡は、UEでの受信及び/又は送信チェーンの変化する利得によるものとなり得る。1つのシナリオにおいて、ノードBは、UEで複数のアンテナの受信チェーンに対する異なる自動利得制御(AGC)利得による利得不均衡を考慮することによってプレコーディング行列(precoding matrix)を決定し得る。別のシナリオにおいて、ノードBは、(i)UEで複数のアンテナに対する送信利得に対する異なる電力振幅(PA)及び/又は(ii)複数のアンテナに対する異なるアンテナ利得による利得不均衡を考慮することによってプレコーディング行列を決定し得る。
【0008】
1つの設計において、ノードBは、UEから少なくとも1つの利得比を受信し得る。ここで、各利得比は、UEで基準アンテナに対する利得及び関連するアンテナに対する利得によって決定される。各利得は、AGC利得、PA利得、アンテナ利得などを含み得る。ノードBは、UEに対するチャネル行列及び少なくとも1つの利得比で形成される利得行列に基づいて合成チャネル行列を決定し得る。別の設計において、ノードBは、UEで複数のアンテナからサウンディング基準信号を受信し得る。各サウンディング基準信号は、1つのアンテナからUEによって送信され、そのアンテナの電力レベルは、そのアンテナに対する利得比に基づいて決定され得る。ノードBは、サウンディング基準信号に基づいて合成チャネル行列を取得し得る。両方の設計に対して、ノードBは、UEで利得不均衡を補足する、合成チャネル行列に基づいてプレコーディング行列を決定し得る。その後、ノードBは、プレコーディング行列でUEのためのビーム形成を実行し得る。
【0009】
様々な態様及び特徴は、以下で詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】無線通信システムを示す。
【図2】ノードB及びUEでの送信チャネル及び受信チャネルを示す。
【図3】キャリブレーションのためのノードB及び複数のUEを示す。
【図4】キャリブレーションを備えない場合、及び備える場合でのデータ受信を示す。
【図5】複数のアンテナに対する利得不均衡を備えるUEを示す。
【図6】ノードBによってキャリブレーションを実行するためのプロセスを示す。
【図7】キャリブレーション間隔内にキャリブレーションを実行するためのプロセスを示す。
【図8】キャリブレーションを実行するための装置を示す。
【図9】ノードBによってビーム形成を実行するためのプロセスを示す。
【図10】ビーム形成を実行するための装置を示す。
【図11】UEによってビーム形成されたデータを受信するためのプロセスを示す。
【図12】ビーム形成されたデータを受信するための装置を示す。
【図13】ノードB及びUEのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここに記述された技術は、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、SC−FDMAおよび他のシステムのような様々な無線通信システムに使用され得る。用語「システム」と「ネットワーク」は、しばしば交換可能に使用される。CDMAシステムは、ユニバーサル・テレストリアル・ラジオ・アクセス(UTRA)、cdma2000、などのような無線技術をインプリメントし得る。UTRAは、ワイドバンドCDMA(WCDMA)及びCDMAの他の変形を含み得る。cdma2000はIS−2000、IS−95及びIS−856標準をカバーする。TDMAシステムは、グローバル移動体通信システム(GSM(登録商標))のような無線技術をインプリメントし得る。OFDMAシステムは、拡張UTRA(E−UTRA)、ウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)、IEEE802.11(Wi−Fi)、IEEE802.16(WiMAX)、IEEE802.20、フラッシュ−OFDM(登録商標)などのような無線技術をインプリメントする。UTRA及びE−UTRAは、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の一部である。3GPP・ロング・ターム・エボリューション(LTE: Long Term Evolution)は、ダウンリンクでOFDMAを採用し、アップリンクでSC−FDMAを採用したE−UTRAを使用するUMTSを近々公開する。UTRA、E−UTRA、UMTS、LTE及びGSMは、「第3世代パートナーシップ・プロジェクト」(3GPP:3rd Generation Partnership Project)と名づけられた組織からの文書において説明される。cdma2000及びUMBは、「第3世代パートナーシップ・プロジェクト2」(3GPP2)と名づけられた組織からの文書において説明される。明確にするため、技術におけるある態様は、LTEに対して以下で説明され、LTE専門用語は、以下の説明で多く使用される。
【0012】
図1は、LTEシステムである、無線通信システム100を示す。システム100は、多くのノードB110及び他のネットワーク・エンティティを含み得る。ノードBは、UEと通信する固定局であり、拡張ノードB(eNB)、基地局、アクセス・ポイントなどとも称され得る。各ノードB110は、特定の地理的なエリアのための通信サービスエリアを供給する。システム容量を改善するために、ノードBの全サービスエリアは、複数の(例えば、3つの)より小さいエリアに分割され得る。より小さいエリア各々は、それぞれのノードBサブシステムによってサービスされ得る。3GPPにおいて、用語「セル」は、このサービスエリアをサービスするノードB及び/又はノードBサブシステムの最も小さいサービスエリアと称されることができる。
【0013】
UE120は、システムの全体にわたって分散し、各UEは、ステイショナリー又はモバイルであり得る。更に、UEは、移動局、端末、アクセス端末、加入者ユニット、局などとも称され得る。UEは、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、無線モデム、無線通信装置、ハンドヘルド装置、ラップトップ・コンピュータ、コードレス・ホンなどであり得る。
【0014】
システムは、ダウンリンク及び/又はアップリンクでデータ伝送のためのビーム形成をサポートし得る。明確にするために、以下の記述の多くは、ダウンリンクでビーム形成するためのものである。ビーム形成は、ノードBで複数の送信アンテナからUEで単一の受信アンテナにマルチ−インプット・シングル−アウトプット(MISO)送信するために使用され得る。MISO送信のためのビーム形成は、以下のように表され得る:
【数1】

【0015】
更に、プレコーディング・ベクトル
【数2】

【0016】
は、ビーム形成ベクトル、ステアリング・ベクトル(steering vector)、などと称され得る。プレコーディング・ベクトル
【数3】

【0017】
は、ノードBでの複数の送信アンテナからUEでの単一の受信アンテナにMISOチャネルに対するチャネル応答ベクトル
【数4】

【0018】
に基づいて導き出され得る。1つの設計において、プレコーディング・ベクトル
【数5】

【0019】
は、チャネル応答行列の1列に対するチャネル応答ベクトル
【数6】

【0020】
を使用する擬似固有ビーム形成(pseudo eigen-beamforming)に基づいて導き出され得る。ビーム形成は、より大きいデータ転送速度をサポートするより大きい信号対干渉雑音比(SINR)を提供し得る。
【0021】
更に、ビーム形成は、ノードBでの複数の送信アンテナからUEでの複数の受信アンテナにマルチ−インプット・マルチ−アウトプット(MIMO)送信するために使用され得る。ビーム形成は、ノードBで複数の送信アンテナ及びUEで複数の受信アンテナによって形成されるMIMOチャネルの複数の固有モードでデータを送り得る。MIMOチャネル行列
【数7】

【0022】
は、以下のように特異値分解で対角化され得る:
【数8】

【0023】
固有ビーム形成とも称されるMIMO送信に対するビーム形成は、以下のように表され得る:
【数9】

【0024】
式(3)で示されるように、右固有ベクトル
【数10】

【0025】
は、ビーム形成に対するプレコーディング行列として使用され得る。更に、プレコーディング行列は、ビーム形成行列、ステアリング行列、などと称され得る。特に、送信された層(又はランク)の数がノードBでの送信アンテナの数より少ない場合、ビーム形成された送信は、ビーム形成されていない送信を超える顕著な利得を提供し得る。これは、多くの場合、ノードBでの送信アンテナの数がUEでの受信アンテナの数よりも多くアンテナを備えるような、非対称なアンテナのシナリオの場合であり得る。
【0026】
システムは、ビーム形成及び他の機能を容易にするためにダウンリンク及びアップリンクに対する様々な基準信号をサポートし得る。基準信号は、既知のデータに基づいて生成された信号であり、パイロット、プリアンブル(preamble)、トレーニング、サウンディング(sounding)、などと称され得る。基準信号は、チャネル推定値、コヒーレント復調、チャネル品質測定、信号強度測定、などのような様々な目的のために受信機で使用され得る。テーブル1は、アップリンク及びダウンリンクで送信されるいくつかの基準信号をリストにし、各基準信号のための短い説明を提供する。更に、セル特有の基準信号(cell-specific reference signal)は、共通パイロット、広帯域パイロット、などと称され得る。UE特有の基準信号は、専用基準信号(dedicated reference signal)とも称され得る。
【表1】

【0027】
システムは、時分割二重(TDD:time division duplexing)を利用し得る。TDDに対して、ダウンリンクとアップリンクは、同じ周波数スペクトル又はチャネルを共有し、ダウンリンクとアップリンク送信は、同じ周波数スペクトルで送られる。ダウンリンク・チャネル応答は、アップリンク・チャネル応答と相互に関連し得る。相反の原理(reciprocity principle)は、アップリンクを経由して送られる伝送に基づいて推定されるダウンリンク・チャネルを認め得る。これらのアップリンク伝送は、(復調後に基準シンボルとして使用される)アップリンク制御チャネル又は基準信号であり得る。アップリンク伝送は、複数のアンテナを経由して空間選択的な(space-selective)チャネルの推定値を考慮し得る。
【0028】
TDDシステムにおいて、チャネル相互関係(channel reciprocity)は、物理的な伝播チャネルとも称される、無線チャネルのためにのみ有効となり得る。ノードBでの送信及び受信チェーンの応答又は転送特性とUEでの送信及び受信チェーンの応答との間に顕著な違いがあり得る。有効/等価なチャネルは、無線チャネルと同様に送信及び受信チェーンの両方を構成し得る。有効なチャネルは、ノードB及びUEで送信及び受信チェーンの応答が異なるために相互的なもの(reciprocal)になることができない。
【0029】
図2は、図1のノードBの1つ及びUEの1つであるノードB110及びUE120での送信及び受信チェーンのブロック図を示す。ダウンリンクに対して、ノードBで、(xとして表示される)出力シンボルは、送信チェーン210によって処理され、アンテナ212を経由して送信され、hの応答を有する無線チャネルを越えていく。UEで、ダウンリンク信号は、アンテナ252で受信し、(yとして表示される)受信シンボルを得るために受信チェーン260によって処理され得る。送信チェーン210によって処理することは、デジタル−アナログ変換、増幅、フィルタリング、周波数アップコンバージョン(frequency upconversion)、などを含み得る。受信チェーン260によって処理することは、周波数ダウンコンバージョン(frequency downconversion)、増幅、フィルタリング、アナログ−デジタル変換、などを含み得る。
【0030】
アップリンク対して、UEで、(xとして表示される)出力シンボルは、送信チェーン270で処理され、アンテナ252を経由して送信され、無線チャネルを越えていく。ノードBで、アップリンク信号は、アンテナ212によって受信され、(yとして表示される)受信シンボルを得るために受信チェーン220によって処理され得る。
【0031】
ダウンリンクに対して、UEでの受信シンボルは、以下のように表され得る:
=σ・h・τ・x=h・x 式(4) ここで、τは、ノードBで送信チェーン210に対する複素利得であり、
σは、UEで受信チェーン260に対する複素利得であり、
=σ・h・τは、ノードBからUEに対する有効なダウンリンク・チャネルである。
【0032】
アップリンクに対して、ノードBで受信シンボルは、以下のように表され得る:
=ρ・h・π・x 式(5)
ここで、πは、UEで送信チェーンに対する複素利得であり、
ρは、ノードBで受信チェーンに対する複素利得であり、
=ρ・h・πは、UEからノードBに対する効果的なアップリンク・チャネルである。
【0033】
式(4)及び式(5)で示されるように、無線チャネルhは、ダウンリンク及びアップリンクに対して相互的なものであると仮定され得る。しかしながら、有効なアップリンク・チャネルは、有効なダウンリンク・チャネルと相互的なものになることができない。有効なダウンリンク及びアップリンク・チャネルに対する送信及び受信チェーンの応答と、相互性の仮定の正確さに対する送信及び受信チェーンの応答の影響と、を知ることが望まれている。更に、ノードB、及び/又はUEは、アンテナ列を備え、各アンテナは、それ自身の送信/受信チェーンを有し得る。異なるアンテナの送信/受信チェーンは、異なる応答を有し、アンテナ列のキャリブレーションは、異なる応答の計算をするために実行され得る。
【0034】
一般的に、キャリブレーションは、アンテナ列に関連する2種類のミスマッチをアドレスするために実行され得る:
・ 物理的なアンテナのシステム/構造によるミスマッチ ― これらのミスマッチは、相互カップリングの効果、タワー効果、アンテナ位置の不完全な認識、アンテナのケーブル配線による振幅及び位相ミスマッチ、などを含む。
・ 各アンテナの送信/受信チェーンのハードウェア要素によるミスマッチ ― これらのミスマッチは、アナログ・フィルタ、I及びQの不均衡、受信チェーンの低雑音増幅器(LNA)及び/又は送信チェーンの電力増幅器(PA)の利得ミスマッチ、異なる非線形性の効果、などを含む。
【0035】
キャリブレーションは、1つのリンクのためのチャネルが他のリンクで送られた基準信号を測定することによって推定されるために実行され得る。更に、キャリブレーションは、アップリンク・アンテナ・スイッチングをアドレスするために実行され得る。なお、アップリンク・アンテナ・スイッチングは、UEが2つのアンテナ、2つの受信チェーンを備えるが、1つの送信チェーンのみを備える場合に、アップリンク送信ダイバーシティを得るために使用され得る。アップリンク・アンテナ・スイッチングは、タイム・スイッチ送信ダイバーシティ(TSTD:time switched transmit diversity)又は選択送信ダイバーシティ(STD:selection transmit diversity)のために使用され得る。アップリンク信号は、(i)TSTDで2つのアンテナを代わる代わる経由して送られる、又は(ii)STDでより良いアンテナを経由して送られ得る。STDに対して、UEは、より良いアンテナを選択するためにノードBを許可するために2つのアンテナを代わる代わる経由してサウンディング基準信号(SRS:sounding reference signal)を送り得る。無線周波数(RF)スイッチは、任意の与えられた瞬間で2つのアンテナのどちらか1つにPA出力を接続することによってTSTD又はSTDをサポートすることができる。
【0036】
TDDシステムのビーム形成は、以下のようにサポートされ得る。ビーム形成されたモードで処理するUEは、アップリンクでサウンディング基準信号を送るために構成され得る。相互的なダウンリンク及びアップリンクを備えた対称的なシナリオにおいて、ノードBは、UEから受信したサウンディング基準信号に基づいて各UEのビーム形成のために使用するプレコーディング行列を導き出し得る。従って、UEは、ノードBにプレコーディング情報を送る必要がない。それは、フィードバック・エラーを避けることができる。ノードBは、各UEにダウンリンクでUE特有の基準信号を送り得る。ノードBは、データのために使用される同じプレコーディング行列でUE特有の基準信号をプレコードし、送信のために使用される各リソース・ブロックのプレコード基準信号を送り得る。UEは、復調のためにプレコード基準信号を使用し、ノードBで使用されたプレコーディング行列を知る必要がない。これは、UEにダウンリンクでプレコーディング行列インジケータ(PMI: precoding matrix indicator)を送る必要性を回避し得る。
【0037】
ビーム形成は、相互的なダウンリンク及びアップリンクで対称及び非対称のシナリオのために単純化され得る。キャリブレーションは、ダウンリンク・チャネルがアップリンク・チャネルと相互的なものであるため、送信及び受信チェーンの応答の違いを計算することができるキャリブレーション・ベクトルを決定するために使用され得る。
【0038】
キャリブレーションの手順は、ノードBによって開始され、UEのセットによってアシストされ得る。以下の記述は、ノードB及びUEで送信及び受信チェーンが、送信アンテナ毎に連続する副搬送波の数にわたって平坦な応答を有すると仮定する。ここで、コヒーレント帯域幅は、サウンディングのための各送信アンテナに割り当てられた副搬送波の数と等しい。その後、チャネル応答は、基準信号に基づいて得ることができる。
【0039】
図3は、キャリブレーションのためのノードB及びN個のUE1からNのブロック図を示す。ノードBは、M本のアンテナ312aから312mのためのM個の送信/受信チェーン310aから310mを有する。一般的に、各UEは、1本以上のアンテナを有し得る。キャリブレーションの目的に対して、与えられたUEの各アンテナは、分離UEと見なされ得る。図3において、各UEは、1本のアンテナ352のための送信/受信チェーン360を有する。
【0040】
有効なミスマッチβは、ノードBで各アンテナiのために定義され、以下のように表され得る:
【数11】

【0041】
有効なミスマッチαは、UEjのために定義され、以下のように表され得る:
【数12】

【0042】
ノードBのアンテナiからUEjへのダウンリンク・チャネルは、
【数13】

【0043】
として表され得る。UEjからノードBのアンテナiへのアップリンク・チャネルは、
【数14】

【0044】
として表され得る。TDDチャネルの相互性によって、iとjの全ての値に対して
【数15】

【0045】
となる。
【0046】
M個のノードBのアンテナに対する有効なミスマッチβからβは、ノードBをキャリブレーションするために推定され得る。それは、UEをキャリブレーションするために必要でない。しかしながら、UEは、以下で説明されるように、キャリブレーション及びビーム形成のためのサウンディング基準信号を適切に送信すべきである。
【0047】
ノードBのアンテナiからUEjへの有効なダウンリンク・チャネル
【数16】

【0048】
は、以下のように表され得る:
【数17】

【0049】
UEjは、ダウンリンクで各ノードBのアンテナから送られるセル特有の基準信号に基づいて有効なダウンリンク・チャネルを推定し得る。
【0050】
UEjからノードBのアンテナiへの有効なアップリンク・チャネル
【数18】

【0051】
は、以下のように表され得る:
【数19】

【0052】
ノードBは、アップリンクでUEjによって送られたサウンディング基準信号に基づいて有効なアップリンク・チャネルを推定し得る。
【0053】
ノードBのアンテナi及びUEjに対するキャリブレーション係数cijは、以下のように表され得る:
【数20】

【0054】
式(10)は、無線チャネルの相互性を仮定するので、
【数21】

【0055】
である。
【0056】
キャリブレーション・ベクトルCjは、UEjのために以下のように得られ得る:
【数22】

【0057】
ノードBは、スケーリング定数まで測定し得る。その後、キャリブレーション・ベクトル
【数23】

【0058】
は、以下のように定義され得る:
【数24】

【0059】
式(12)で示されるように、キャリブレーション・ベクトル
【数25】

【0060】
の要素は、UEjに対する測定に基づいて導き出されるのではあるがインデックスjと独立である。キャリブレーション・ベクトルがノードBで適用されるこの手段は、UEでミスマッチを計算する必要がない。ノードBは、N個のUEに対するN個のキャリブレーション・ベクトル
【数26】

【0061】
から
【数27】

【0062】
を得ることができる。ノードBは、以下のように最後のキャリブレーション・ベクトルCを導き出し得る:
【数28】

【0063】
ここで、f( )は、N個のキャリブレーション・ベクトルの単純な平均関数、又は最小平均二乗誤差(MMSE)或いは他の技法を使用してN個のキャリブレーション・ベクトルを組み合せる関数であり得る。チャネル利得
【数29】

【0064】
が小さ過ぎる場合、キャリブレーションは、雑音の増加のために正確になることができない。MMSE推定器は、異なる雑音特性でN個のキャリブレーション・ベクトルをより良く結合するために使用され得る。
【0065】
1つの設計において、キャリブレーションは、以下のように実行され得る:
1. ノードBは、キャリブレーションを実行する事を決定し、キャリブレーションのための比較的低いドップラー及び強いチャネル品質インジケータ(CQI)を備えたN個のUEを選択する。
2. ノードBは、キャリブレーション・モードにはいるためにN個のUEにメッセージを送る。
3. 各UEは、各ノードBのアンテナに対する有効なダウンリンク・チャネル推定値を得るために各ノードBのアンテナからセル特有の基準信号を測定する。UEは、UEでの処理時間を計算し、UEによるサウンディング基準信号の次の送信に最も近づいているセル特有の基準信号を選び得る。
4. 各UEは、(6ビットの実/虚の量子化のような)十分な数のビットを使用して各ノードBのアンテナのために効果的なダウンリンク・チャネル推定値を送り返し、更に、同時刻でサウンディング基準信号を送る。
5. ノードBは、有効なアップリンク・チャネル推定値を得るために各UEのアンテナからサウンディング基準信号を測定し、式(10)で示されるように、各ノードBのアンテナのためにキャリブレーション係数cijを計算する。更に、ノードBは、MMSE推定値でcijを得ることができる。
6. ノードBは、式(12)で示されるように、各UEのキャリブレーション・ベクトル
【数30】

【0066】
を決定する。
7. ノードBは、式(13)で示されるように、全てのUEに対するキャリブレーション・ベクトル
【数31】

【0067】
に基づいてそれ自身に対するキャリブレーション・ベクトルを計算する。
8. キャリブレーションを満足した場合、ノードBは、キャリブレーション・モードを出る。
【0068】
更に、UEは、それ自身に対するキャリブレーション・ベクトルを得るためにキャリブレーションを実行し得る。UEは、キャリブレーション・ベクトルの質を改善するために異なる時刻で1つのノードで、及び/又は異なる複数のノードBで、キャリブレーションを実行し得る。
【0069】
局(例えばノードB又はUE)は、キャリブレーションを実行することによってキャリブレーション・ベクトルを得て、送信サイド又は受信サイドでキャリブレーション・ベクトルの適切なバージョンを適用し得る。キャリブレーション・ベクトルが適用されると共に、1つのリンクに対するチャネル応答は、別のリンクを経由して受信された基準信号に基づいて推定され得る。例えば、ノードBは、アップリンクでUEから受信したサウンディング基準信号に基づいてダウンリンク・チャネル応答を推定し得る。その後、ノードBは、推定されたダウンリンク・チャネル応答から導き出されたプレコーディング・ベクトルに基づいてビーム形成を実行し得る。キャリブレーション・ベクトルは、チャネル推定を単純化するべきであり、データ送信性能に有害な影響を与えるべきでない。
【0070】
図4は、ビーム形成でデータ送信し、キャリブレーションを備えた場合、及び備えない場合でのデータ受信を示す。単純化のために、図4は、送信器(例えばノードB又はUE)は、送信/受信のミスマッチが全く無く、同一のキャリブレーションを適用する/全くキャリブレーションを適用しないと仮定する。
【0071】
図4の上半分は、キャリブレーションの無い(例えば、UE又はノードBの)受信器を示す。送信器からのデータ・シンボルは、ビーム形成行列
【数32】

【0072】
によってプレコードされ、チャネル行列
【数33】

【0073】
を有するMIMOチャネルを経由して送信される。受信器で受信されたシンボルは、以下のように表され得る:
【数34】

【0074】
受信器は、空間フィルタ行列
【数35】

【0075】
を備えたMIMO検出を以下のように実行し得る:
【数36】

【0076】
空間フィルタ行列
【数37】

【0077】
は、MMSEに基づいて以下のように導き出され得る:
【数38】

【0078】
図4の下半分は、キャリブレーションを備えた受信器を示す。受信器で受信されたシンボルは、式(14)で示され得る。受信器は、空間フィルタ行列
【数39】

【0079】
を備えるMIMO検出を以下のように実行し得る:
【数40】

【0080】
キャリブレーション行列
【数41】

【0081】
は、対角行列であり、
【数42】

【0082】
の対角線成分は、受信器に対するキャリブレーション・ベクトルの成分と等しくなり得る。
【0083】
空間フィルタ行列
【数43】

【0084】
は、MMSEに基づいて以下のように導き出され得る:
【数44】

【0085】
式(17)及び(18)で示されるように、MMSE空間フィルタ行列
【数45】

【0086】
は、有色雑音共分散行列(colored noise covariance matrix)
【数46】

【0087】
を有する合成チャネル
【数47】

【0088】
を取消すことを試みる。MMSE検出器が受信器で使用される場合、キャリブレーションを備える受信器から検出されたシンボルは、キャリブレーションを備えない受信器から検出されたシンボルと等しい。
【0089】
受信アンテナでの位相は、ビーム形成された送信の性能に影響しない。しかしながら、ビーム形成は、UEで異なるアンテナの関連する送信電力と同様にUEで受信チェーンの利得不均衡を考慮すべきである。
【0090】
図5は、K個のアンテナ552aから552kを備えるUE110のブロック図を示す。ここで、Kは、1より大きな任意の数である。K個の受信チェーン560aから560kは、K個のアンテナ552aから552kとそれぞれカップルされる。更に、K個の送信チェーン570aから570kは、K個のアンテナ552aから552kとそれぞれカップルされる。
【0091】
UEは、各受信チェーン560に対するAGCを実行し、K個全ての受信チェーンの雑音共分散が近似的に等しいような各受信チェーンに対する利得を調節し得る。UEは、K個の受信チェーン560aから560kのためのgからgのAGC利得をそれぞれ得ることができる。AGC利得は、異なるアンテナに対して異なり、周期的に変化し得る。UEは、各アンテナに対する受信信号強度測定に基づいて各アンテナに対するAGC利得を正確に測定することができる。
【0092】
1つの設計において、UEは、各アンテナkの受信利得比を以下のように決定し得る:
【数48】

【0093】
1つの設計において、UEは、ビーム形成を実行する場合に受信利得比を考慮する、ノードBに受信利得比を送り得る。例えば、ノードBは、合成ダウンリンクMIMOチャネル行列
【数49】

【0094】
を以下のように決定し得る:
【数50】

【0095】
ノードBは、プレコーディング行列
【数51】

【0096】
を得るために(ダウンリンクMIMOチャネル行列
【数52】

【0097】
の代わりに)合成ダウンリンクMIMOチャネル行列
【数53】

【0098】
の特異値分解を実行し得る。
【0099】
別の設計において、ノードBがダウンリンクMIMOチャネル行列
【数54】

【0100】
の代わりに合成ダウンリンクMIMOチャネル行列
【数55】

【0101】
の推定値を得ることができるため、サウンディング基準信号を送信する場合に、UEは、送信チェーンの適切な利得を適用し得る。UEは、各アンテナの受信利得比rによって各アンテナkに対する送信チェーンの利得をスケールし得る。例えば、与えられたアンテナに対する受信利得比が1.5である場合、UEは、1.5の因子によってそのアンテナに対する送信チェーンの利得をスケールし得る。
【0102】
図5に示されるように、UEは、K個の送信チェーン570aから570kのためのpからpのPA利得それぞれを有し得る。UEは、送信チェーン及び/又はアンテナの利得不均衡を知っていることができる。例えば、1つの送信チェーンは、別の送信チェーンより小さいPAを有し得る。別の例として、2本のアンテナの利得は、例えば、タイプの異なるアンテナによって、異なり得る。UEは、各アンテナkに対する送信利得比を以下のように決定し得る:
【数56】

【0103】
UEで送信チェーン及び/又はアンテナの利得不均衡を有する場合、送信利得比tは、典型的には1と等しいが、1と異なり得る。
【0104】
1つの設計において、UEは、能力発見段階(capability discovery phase)の間、ノードBに既知の利得不均衡をレポートし得る。その後、キャリブレーション及びビーム形成を実行している場合に、ノードBは、UEで既知の利得不均衡を考慮し得る。例えば、ノードBは、UEから受信されたサウンディング基準信号から合成アップリンクMIMOチャネル行列
【数57】

【0105】
を得ることができる。
【0106】
この行列
【数58】

【0107】
は、以下のように表され得る:
【数59】

【0108】
その後、ノードBは、MIMOチャネル行列
【数60】

【0109】
を得るために行列
【数61】

【0110】
を削除し得る。
【0111】
別の設計において、ノードBが合成アップリンクMIMOチャネル行列
【数62】

【0112】
の代わりにアップリンクMIMOチャネル行列
【数63】

【0113】
の推定値を得ることができるので、サウンディング基準信号を送信する場合に、UEは、送信チェーンの適切な利得を適用し得る。UEは、そのアンテナに対する送信利得比tの逆数によって各アンテナkの送信チェーンの利得をスケールし得る。例えば、与えられたアンテナに対する送信利得比が2.0である場合、UEは、0.5の因数だけそのアンテナに対する送信チェーンの利得をスケールし得る。
【0114】
一般的に、ノードB及び/又はUEは、UEで、異なる受信チェーンとの間のAGC利得差、異なる送信チェーンとの間のPA利得差、及び/又は異なるアンテナとの間のアンテナ利得差を計算し得る。より低い電力でのサウンディング基準信号の送信は、チャネル推定性能を低下させ得る。小さなPAに対して、バックオフ要求によってより高い電力で送信することを可能にすることができない。これらの場合において、UEは、UEで利得差を計算する代わりにノードBに受信及び/又は送信利得比を送り得る。
【0115】
1つの設計において、ビーム形成は、以下のように実行され得る。
1. ノードBは、ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを得るために以上で説明されるキャリブレーション手順を使用して(例えば、1時間又はそれ以上の各キャリブレーション間隔内で)必要である度にそれ自身をキャリブレーションする。
2. 与えられたUEに対して、UEで既知の利得不均衡を計算するために(利用可能な場合)そのアンテナのために送信利得比tで各UEアンテナに対する利得を重み付けする。
3. ビーム形成フィードバックに対してUEのアンテナを経由してサウンディング基準信号を送る場合に、UEは、受信利得比rを適用する。代案として、UEは、受信利得比を計算する、ノードBに受信利得比をレポートする。
4. ノードBは、UEにビーム形成を実行させるために、キャリブレーション・ベクトル、及び多分受信/送信利得比を使用する。
【0116】
ビーム形成のためのプレコーディング・ベクトルは、UEで次のAGC利得の変化まで有効であり得る。利得不均衡が変化した場合、UEは、多分CQIに加え、UEで、受信チェーン、送信チェーン、及び/又はアンテナの利得不均衡を示す情報を送り得る。
【0117】
図6は、ノードBでキャリブレーションを実行するためのプロセス600の設計を示す。ノードBは、それ自身に対するキャリブレーション・ベクトルを得るために各キャリブレーション間隔内にキャリブレーションを周期的に実行し得る(ブロック612)。キャリブレーション間隔は、例えば、1時間又はそれ以上の任意の適切な持続であり得る。ノードBは、各キャリブレーション間隔の少なくとも1つのUEのためのビーム形成を実行し、そのキャリブレーション間隔に対して得たキャリブレーション・ベクトルを適用し得る(ブロック614)。
【0118】
図7は、ノードBで各キャリブレーション間隔内にキャリブレーションを実行するためのプロセス700の設計を示す。プロセス700は、図7のブロック612のために使用され得る。ノードBは、例えば、UEから受信したCQIに基づいて、キャリブレーションを実行するためにUEのセットを選択し得る(ブロック712)。ノードBは、キャリブレーション・モードにはいるために選択されたセットのUEにメッセージを送り得る(ブロック714)。ノードBは、各UEからダウンリンク・チャネル推定値を受信し(ブロック716)、更に、各UEで少なくとも1つのアンテナから少なくとも1つのサウンディング基準信号を受信し得る(ブロック718)。ノードBは、UEから受信した少なくとも1つのサウンディング基準信号に基づいて各UEに対するアップリンク・チャネル推定値を導き出し得る(ブロック720)。ノードBは、UEに対するダウンリンク・アップリンク・チャネル推定値に基づいて少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出し得る(ブロック722)。ノードBは、選択されたセットの全てのUEに対する初期のキャリブレーション・ベクトルに基づいてノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを導き出し得る(ブロック724)。
【0119】
各UEに対して、ダウンリンク・チャネル推定値は、UEで少なくとも1本のアンテナのための少なくとも1つのダウンリンク・チャネル・ベクトルを含み得る。アップリンク・チャネル推定値は、UEで少なくとも1本のアンテナのための少なくとも1つのアップリンク・チャネル・ベクトルを含み得る。各ダウンリンク・チャネル・ベクトルは、ノードBで複数のアンテナに対する複数の第1の利得(例えば、
【数64】

【0120】
)を含み得る。各アップリンク・チャネル・ベクトルは、ノードBで複数のアンテナに対する複数の第2の利得(例えば、
【数65】

【0121】
)を含み得る。
【0122】
初期のキャリブレーション・ベクトル
【数66】

【0123】
は、以下のようにそのUEのアンテナに対するダウンリンク及びアップリンク・チャネル・ベクトルに基づいて各UEのアンテナのために導き出され得る。UEアンテナjに対する規格化されていない測定ベクトルCjの複数の係数(例えばcij)は、例えば、式(10)に示されるように、UEアンテナjに対するダウンリンク・チャネル・ベクトルにおける複数の第1の利得のアップリンク・チャネル・ベクトルと複数の第2の利得の比に基づいて決定され得る。規格化されていないキャリブレーション・ベクトルの複数の係数は、例えば、式(12)に示されるように、UEアンテナjに対する初期のキャリブレーション・ベクトル
【数67】

【0124】
を得るために第1の係数によってスケールされ得る。ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルは、選択されたセットの全てのUEに対する初期のキャリブレーション・ベクトルの関数に基づいて導き出され得る。関数は、平均関数、MMSE関数、などであり得る。
【0125】
図8は、キャリブレーションを実行するための装置800の設計を示す。装置800は、ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを得るために各キャリブレーション間隔内でキャリブレーションを周期的に実行するためのモジュール812と、各キャリブレーション間隔内で少なくとも1つのUEに対するビーム形成を実行し、キャリブレーション間隔に対して得られたキャリブレーション・ベクトルを適用するためのモジュール814とを含む。
【0126】
図9は、ノードBによってビーム形成を実行するためのプロセッサ900の設計を示す。ノードBは、UEで複数のアンテナに対する利得不均衡を考慮することによってプレコーディング行列を決定する(ブロック912)。ノードBは、プレコーディング行列でUEのためのビーム形成を実行する(ブロック914)。
【0127】
1つのシナリオにおいて、ノードBは、UEで複数のアンテナの複数の受信チェーンに対する異なるAGC利得による利得不均衡を考慮することによってプレコーディング行列を決定し得る。一般的に、AGC利得は、受信チェーンの任意の変数利得を含み得る。1つの設計において、ノードBは、UEからの少なくとも1つの利得比rを受信し得る。ここで、各利得比は、UEで基準アンテナに対するAGC利得g及び関連するアンテナに対するAGC利得gによって決定される。ノードBは、UEに対するチャネル行列
【数68】

【0128】
及び少なくとも1つの利得比と共に形成される利得行列
【数69】

【0129】
に基づいて合成チャネル行列
【数70】

【0130】
を決定し得る。その後、ノードBは、合成チャネル行列に基づいてプレコーディング行列を決定し得る。別の設計において、ノードBは、UEで複数のアンテナからサウンディング基準信号を受信し得る。各サウンディング基準信号は、そのアンテナに対する利得比rに基づいて決定される電力レベルで1つのアンテナからUEによって送信され得る。
【0131】
別のシナリオにおいて、ノードBは、(i)UEで複数のアンテナの複数の送信チェーンに対する異なるPA利得及び/又は(ii)複数のアンテナに対する異なるアンテナ利得による利得不整合を考慮することによってプレコーディング行列を決定し得る。一般的に、PA利得は、送信チェーンの任意の変数利得を含み得る。1つの設計において、ノードBは、UEから少なくとも1つの利得比tを受信し得る。ここで、各利得比は、UEで基準アンテナに対するPA利得p及び関連するアンテナに対するPA利得pによって決定される。その後、ノードBは、少なくとも1つの利得比に基づいてプレコーディング行列を決定し得る。別の設計において、ノードBは、UEで複数のアンテナからサウンディング基準信号を受信し得る。各サウンディング基準信号は、そのアンテナに対する利得比tに基づいて決定される電力レベルで1つのアンテナからUEによって送信され得る。
【0132】
図10は、ビーム形成を実行するための装置1000の設計を示す。装置1000は、UEで複数のアンテナに対する利得不均衡を考慮することによるノードBでプレコーディング行列を決定するためのモジュール1012と、プレコーディング行列でUEのビーム形成を実行するためのモジュール1014を含む。
【0133】
図11は、UEによってビーム形成されたデータを受信するためのプロセス1100の設計を示す。UEは、UEで複数のアンテナに対する利得不均衡を決定する(ブロック1112)。UEは、ノードBに複数のアンテナに対する利得不均衡を示す信号又は情報を送る(ブロック1114)。UEは、ノードBからビーム形成信号を受信する。ここで、ビーム形成信号は、UEで複数のアンテナに対する利得不均衡を考慮することによって導き出されたプレコーディング行列に基づいて生成される(ブロック1116)。
【0134】
1つのシナリオにおいて、UEは、UEで複数のアンテナに対する少なくとも1つの利得比rを決定し得る。ここで、各利得比は、UEで基準アンテナに対するAGC利得及び関連するアンテナに対するAGC利得によって決定され得る。別のシナリオにおいて、UEは、UEで複数のアンテナに対する少なくとも1つの利得比tを決定し得る。ここで、各利得比は、UEで基準アンテナに対するPA利得及び関連するアンテナに対するPA利得によって決定され得る。両方のシナリオに対して、1つの設計において、UEは、ノードBに少なくとも1つの利得比を送り得る。別の設計において、UEは、UEで複数のアンテナからサウンディング基準信号を送り得る。ここで各サウンディング基準信号は、そのアンテナに対する利得比に基づいて決定される電力レベルで1つのアンテナから送られる。
【0135】
図12は、ビーム形成されたデータを受信するための装置1200の設計を示す。装置1200は、UEで複数のアンテナに対する利得不均衡を決定するためのモジュール1212と、ノードBに複数のアンテナに対する利得不均衡を示す信号又は情報を送るためのモジュール1214と、ノードBからビーム形成信号を受信するためのモジュール1216と、を含む。ここで、ビーム形成信号は、ビーム形成信号がUEで複数のアンテナに対する利得不均衡を考慮して導き出されたプレコーディング行列に基づいて生成される。
【0136】
図8、10及び12のモジュールは、プロセッサ、エレクトロニクス・デバイス、ハードウェア・デバイス、エレクトロニクス・コンポーネント、論理回路、メモリ、など、又は任意のそれらの組み合わせを含み得る。
【0137】
図13は、図1の中のノードBの1つ及びUEの1つであるノードB110及びUE120の設計のブロック図を示している。ノードB110は、複数(T本)のアンテナ1334aから1334tを備える。UE120は、1本以上(R本)のアンテナ1352aから1352rを備える。
【0138】
ノードB110で、送信プロセッサ1320は、データ・ソース1312から1つ以上のUEのためのデータを受信し、そのUEに対する1つ以上の変調及びコーディングに基づいて各UEのためのデータを処理(例えば、符号化や変調)し、全てのUEのためのデータ・シンボルを供給する。更に、送信プロセッサ1320は、制御情報/信号に対する制御シンボルを生成し得る。送信プロセッサ1320は、セル特有の基準信号のような1つ以上の基準信号に対する基準シンボルを更に生成し得る。MIMOプロセッサ1330は、データ・シンボル、制御シンボル、及び/又は、基準シンボルのためのプレコーディングを実行し、T個の変調器(MOD)1332aから1332tにT個の出力ストリームを供給し得る。各変調器1332は、出力サンプル・ストリームを得るために(例えば、OFDMのための)その出力シンボルストリームを処理し得る。各変調器1332は、ダウンリンク信号を生成するためにその出力サンプル・ストリームを更に進んだ状態にし得る(例えば、アナログにコンバートし、フィルタを通し、増幅し、アップコンバートする)。1332aから1332tの変調器からのT個のダウンリンク信号は、T個のアンテナ1232aから1232tを経由して送信され得る。
【0139】
R本のアンテナ1352aから1352rは、ノードBからT本のダウンリンク信号を受信し、各アンテナ1352は、関連する復調器(DEMOD)1354に受信信号を供給し得る。各復調器1354は、サンプルを得るためにその受信信号をある状態にし(例えば、ダウンコンバートし、デジタル化する)、受信シンボルを得るために(例えば、OFDMのための)サンプルを更に処理し得る。各復調器1354は、MIMO検出器1360に受信したデータ・シンボル及び受信制御シンボルを供給し、チャンネル・プロセッサ1394に受信した基準シンボルを供給し得る。チャンネル・プロセッサ1394は、受信基準シンボルに基づいてノードB110からUE120へのダウンリンク・チャネルを推定し、MIMO検出器1360にダウンリンク・チャネル推定値を供給し得る。MIMO検出器1360は、ダウンリンク・チャネル推定値に基づいて受信制御シンボル及び受信データ・シンボルでMIMO検出を実行し、検出されたシンボルを供給し得る。受信プロセッサ1370は、検出シンボルを処理し(例えば、復調し、復号する)、データ・シンク1372に復号されたトラフィック・データを供給し、コントローラ/プロセッサ1390に復号された制御情報を供給し得る。
【0140】
UE120は、ダウンリンク・チャネル品質を評価し、CQI及び/又は他のフィードバック情報を推定し得る。フィードバック情報、データ・ソース1378からのデータ及び1つ以上の基準信号(例えば、サウンディング基準信号)は、送信プロセッサ1380によって処理され(例えば、符号化され、変調される)、MIMOプロセッサ1382によって処理され、そして、アンテナ1352aから1352rを経由して送信される、R個のアップリンク信号を生成するために変調器1354aから1354rによって更に処理される。ノードB110で、UE120からのR個のアップリンク信号は、アンテナ1334aから1334tによって受信され、復調器1332aから1332tによって処理され得る。チャンネル・プロセッサ1344は、UE120からノードBへのアップリンク・チャネルを推定し、MIMO検出器1336にアップリンク・チャネル推定値を提供し得る。MIMO検出器1336は、アップリンク・チャネル推定値に基づいてMIMO検出を実行し、検出されたシンボルを提供し得る。受信プロセッサ1338は、検出されたシンボルを処理し、データ・シンク1339に復号されたデータを供給し、コントローラ/プロセッサ1340に復号されたフィードバック情報を提供し得る。コントローラ/プロセッサ1340は、フィードバック情報に基づいてUE120にデータ送信を制御し得る。
【0141】
コントローラ/プロセッサ1340及び1390は、UE120及びノードB110それぞれで動作を指揮する。コントローラ/プロセッサ1340は、図6のプロセス600、図7のプロセス700、図9のプロセス900及び/又はここで記載された技術に関する他のプロセスを実行し、指揮し得る。コントローラ/プロセッサ1390は、図11のプロセス1100及び/又はここに記載された技術に関するプロセスを実行し、指揮し得る。メモリ1342及び1392は、ノードB110及びUE120それぞれのためにデータとプログラム・コードを格納し得る。スケジューラ1346は、UEからの受信したフィードバック情報に基づいてダウンリンク及び/又はアップリンクでデータ送信のためのUE120及び/又は他のUEを選択し得る。更にスケジューラ1346は、スケジュールされたUEにリソースを割り当て得る。
【0142】
当業者は、情報及び信号が様々な任意の異なる技術及び技法を使用して表現されることを理解できるだろう。例えば、上記の説明を通して参照されたデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁界又は粒子、光場又は粒子、或いはこれらの組み合わせによって表され得る。
【0143】
更に、当業者は、本開示に関連して説明された様々な実例の論理ブロック、モジュール、回路及びアルゴリズム・ステップが電子ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、或いは両方の組み合わせとして実施されうることを認識するだろう。明白にハードウェアとソフトウェアのこの互換性を例証するために、様々な実例となるコンポーネント、ブロック、モジュール、回路およびステップは、それらの機能性の点から一般に上記であると説明された。ハードウェアまたはソフトウェアが全体的なシステムに課された特定用途および設計制約に依存するとともに、そのような機能性がインプリメントされるかどうか。熟練した職人は、各特定の利用のために変化した方法で説明された機能性を実施するかもしれないが、このような実施は、本開示の範囲から逸脱する理由として解釈されるべきではない。
【0144】
個々に開示に関連して説明された様々な実例の論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途の集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)又は他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリート・ゲート又はトランジスタ・ロジック、分離したハードウェア・コンポーネント、ここで説明された機能を実施するため設計されたこれらの任意の組み合わせで実施され又は実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサでもよいが代案において、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ或いはステート・マシーンでもよい。更に、プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアで結合する1つ以上のコンビネーション或いは任意の他のこのような結合としても実施される。
【0145】
本開示に関連して説明された方法又はアルゴリズムのステップは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュール或いはこの2つの組み合わせによって直接的に具体化され得る。ソフトウェア・モジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM或いは当業者で知られた記憶メディアの任意の他の形式に備わっていてもよい。例示的な記憶メディアは、プロセッサが記憶メディアから情報を読み出すことができ、記憶メディアに情報を書き込むことが出来るようなプロセッサと連結される。代案において、記憶メディアは、プロセッサと一体となっても良い。プロセッサと記憶メディアは、ASICに存在していてもよい。ASICは、ユーザ端末に存在していてもよい。代案において、プロセッサと記憶メディアは、ユーザ端末内の分離したコンポーネントとして存在していてもよい。
【0146】
1つ以上の例示的な設計において、この機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア或いは、これらの組み合わせの中で実施されてもよい。ソフトウェアで実施される場合、この機能は、コンピュータ可読メディア上の1つ以上の命令又はコードとして格納され又は送信されてもよい。コンピュータ可読メディアは、ある場所から別の場所にコンピュータ・プログラムの移動を容易にする、任意のメディアを含むコンピュータ記憶メディアと通信メディアとの両方を含む。記憶メディアは、汎用又は専用コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能なメディアであり得る。限定ではなく、例示として、このようなコンピュータ可読メディアは、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM又は他の光学ディスク記憶装置、磁気記憶装置又は他の磁気記憶装置デバイス或いは命令の形式又はデータ構造の要求されたプログラム・コード手段を運ぶ又は格納するために利用され、汎用又は専用コンピュータ或いは汎用又は専用プロセッサによってアクセスされる、任意の他のメディアを含むことができる。更に、任意の接続は、コンピュータ可読メディアに適切な名称がつけられる。例えば、ソフトウェアが同軸ケーブル、光ファイバー・ケーブル、ツイストテッド・ペア、デジタル加入者線(DSL)或いは赤外線、無線及びマイクロ波のような無線技術を使用したウェブサイト、サーバ或いは他の同軸ケーブルから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバー・ケーブル、ツイステッド・ペア、DSL或いは赤外線、無線及びマイクロ波のような無線技術は、メディアの定義に含まれる。ここで使用されるようなディスク(disk)及び(disc)は、コンパクト・ディスク(CD)、レーザー・ディスク、光学ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)・ディスク及びblu−ray(登録商標)・ディスクを含む。ここで、ディスク(disk)は、通常磁気的にデータを再生し、一方、ディスク(disc)は、レーザーで工学的にデータを再生する。更に、上記の組み合わせは、コンピュータ可読メディアの範囲内に含まれる。
【0147】
本開示の以前の説明は、任意の当業者が本開示を創作又は使用することを可能にするために提供される。本開示に対する様々な修正は、当業者において容易に実施され、ここで定義された一般的な原理は、本開示の意図又は範囲から外れない他のバリエーションに適用される。従って、本開示は、ここで説明された例示及び設計に限定される意図は無く、ここで説明された原理及び新規な特徴に一致する最も広い範囲を認容する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信をするための方法であって:
ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを得るために各キャリブレーション間隔内でキャリブレーションを周期的に実行することと;
各キャリブレーション間隔内で少なくとも1つのユーザ設備(UE)のためのビーム形成を実行し、前記キャリブレーション間隔の間に得られた前記キャリブレーション・ベクトルを適用することと;
を備える方法。
【請求項2】
前記キャリブレーションを周期的に実行することは、各キャリブレーション間隔に対して、
キャリブレーションを実行するためにUEのセットを選択すること、
前記選択されたセットの各UEに対する少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出すこと、
前記選択されたセットの全てのUEに対する初期のキャリブレーション・ベクトルに基づいて前記ノードBに対する前記キャリブレーション・ベクトルを導き出すこと、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記UEのセットを選択することは、前記UEから受信したチャネル品質インジケータ(CQI)に基づいて前記UEのセットを選択すること、
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各UEに対する前記少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出すことは、
前記UEからのダウンリンク・チャネル推定値を受信すること、
前記UEで少なくとも1つのアンテナから少なくとも1つのサウンディング基準信号を受信すること、
前記UEからの前記少なくとも1つのサウンディング基準信号に基づいて前記UEに対するアップリンク・チャネル推定値を導き出すこと、
前記ダウンリンク・チャネル推定値及び前記アップリンク・チャネル推定値に基づいて前記UEに対する前記少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出すことと、
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ダウンリンク・チャネル推定値は、前記UEで前記少なくとも1つのアンテナに対する少なくとも1つのダウンリンク・チャネル・ベクトルを含み、前記アップリンク・チャネル推定値は、前記UEで前記少なくとも1つのアンテナに対する少なくとも1つのアップリンク・チャネル・ベクトルを含み、前記UEに対する前記少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出すことは、前記アンテナに対するダウンリンク・チャネル・ベクトル及びアップリンク・チャネル・ベクトルに基づいて前記UEで各アンテナに対する初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出すことを含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各ダウンリンク・チャネル・ベクトルは、前記ノードBで複数のアンテナに対する複数の第1の利得を含み、
各アップリンク・チャネル・ベクトルは、前記ノードBで複数のアンテナに対する複数の第2の利得を含み、
前記UEで各アンテナに対する前記初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出すことは、
前記複数の第1の利得と前記複数の第2の利得の比に基づいて規格化されていないキャリブレーション・ベクトルの複数の要素を決定すること、
前記UEで前記アンテナに対する前記初期のキャリブレーション・ベクトルを得るために第1の要素によって前記規格化されていないキャリブレーション・ベクトルの前記複数の要素をスケーリングすること、
を含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ノードBに対する前記キャリブレーション・ベクトルを導き出すことは、前記選択されたセットの全てのUEに対する前記初期のキャリブレーション・ベクトルの関数に基づいて前記ノードBに対する前記キャリブレーション・ベクトルを導き出すことを含む、なお、前記関数は、平均関数又は最小平均二乗誤差(MMSE)関数である、
請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記キャリブレーションを周期的に実行することは、各キャリブレーション間隔に対して、キャリブレーション・モードに入るために前記選択されたセットの前記UEにメッセージを送ること、
を更に備える請求項2に記載の方法。
【請求項9】
無線通信するための装置であって:
ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを得るために各キャリブレーション間隔内でキャリブレーションを周期的に実行し、
各キャリブレーション間隔内で少なくとも1つのユーザ装備(UE)のためのビーム形成を実行し、前記キャリブレーション間隔の間に得られた前記キャリブレーション・ベクトルを適用するために構成される少なくとも1つのプロセッサを備える、
装置。
【請求項10】
各キャリブレーション間隔に対して、前記少なくとも1つのプロセッサは、キャリブレーションを実行するためにUEのセットを選択し、前記選択されたセットの各UEに対する少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出し、前記選択されたセットの全てのUEに対する初期のキャリブレーション・ベクトルに基づいて前記ノードBに対する前記キャリブレーション・ベクトルを導き出す、
ように構成される請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記選択されたセットの各UEに対して、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記UEからダウンリンク・チャネル推定値を受信し、前記UEで少なくとも1つのアンテナから少なくとも1つのサウンディング基準信号を受信し、前記UEから受信した前記少なくとも1つのサウンディング基準信号に基づいて前記UEに対するアップリンク・チャネル推定値を導き出し、前記ダウンリンク・チャネル推定値及び前記アップリンク・チャネル推定値に基づいて前記UEに対する前記少なくとも1つの初期のキャリブレーションを導き出す、
ように構成される請求項10に記載の装置。
【請求項12】
無線通信するための装置であって:
ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを得るために各キャリブレーション間隔内でキャリブレーションを周期的に実行するための手段と;
各キャリブレーション間隔内で少なくとも1つのユーザ設備(UE)のためのビーム形成を実行し、前記キャリブレーション間隔の間に得られた前記キャリブレーション・ベクトルを適用する手段と;
を備える装置。
【請求項13】
前記キャリブレーションを周期的に実行するための手段は、各キャリブレーション間隔に対して、
キャリブレーションを実行するためにUEのセットを選択するための手段と、
前記選択されたセットの各UEに対する少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出すための手段と、
前記選択されたセットの全てのUEに対する初期のキャリブレーション・ベクトルに基づいて前記ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを導き出すための手段と、 を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各UEに対する前記少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出すための手段は、
前記UEからダウンリンク・チャネルを受信するための手段と、
前記UEで少なくとも1つのアンテナから少なくとも1つのサウンディング基準信号を受信するための手段と、
前記UEから受信した前記少なくとも1つのサウンディング基準信号に基づいて前記UEに対するアップリンク・チャネル推定値を導き出すための手段と、
前記ダウンリンク・チャネル推定値及び前記アップリンク・チャネル推定値に基づいて前記UEに対する前記少なくとも1つの初期のキャリブレーション・ベクトルを導き出すための手段と、
を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータ・プログラム製品であって:
コンピュータ可読メディアは:
ノードBに対するキャリブレーション・ベクトルを得るために各キャリブレーション間隔内でキャリブレーションを周期的に実行することを少なくとも1台のコンピュータに実行させるためのコードと、
各キャリブレーション間隔内で少なくとも1つのユーザ設備(UE)のためのビーム形成を実行し、前記キャリブレーション間隔の間に得られた前記キャリブレーション・ベクトルを適用することを少なくとも1台のコンピュータに実行させるためのコードと、
を備えるコンピュータ・プログラム製品。
【請求項16】
無線通信するための方法であって:
ユーザ装置(UE)で複数のアンテナに対する利得不均衡を考慮することによってノードBでプレコーディング行列を決定することと;
前記プレコーディング行列で前記UEのためのビーム形成を実行することと;
を備える方法。
【請求項17】
前記プレコーディング行列を決定することは、前記UEで前記複数のアンテナの複数の受信チェーンに対する異なる自動利得制御(AGC)利得による利得不均衡を考慮することによって前記プレコーディング行列を決定することを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記UEから少なくとも1つの利得比を受信することを更に備える、なお、各利得比は、前記UEで基準アンテナに対するAGC利得及び関連するアンテナのAGC利得によって決定され、前記プレコーディング行列を決定することは、前記少なくとも1つの利得比に基づいて前記プレコーディング行列を決定することを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
UEに対するチャネル行列及び前記少なくとも1つの利得比に基づいて形成される利得行列に基づいて合成チャネル行列を決定することを更に備える、なお、前記プレコーディング行列を決定することは、前記合成チャネル行列に基づいて前記プレコーディング行列を決定することを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記UEで複数のアンテナからサウンディング基準信号を受信することを更に備える、なお、各サウンディング基準信号は、前記アンテナに対する1つの利得比に基づいて決定された電力レベルで1つのアンテナから前記UEによって送信され、前記利得比は、前記UEで基準アンテナに対するAGC利得及び前記アンテナに対するAGC利得によって決定される、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記プレコーディング行列を決定することは、前記UEで前記複数のアンテナの複数の送信チェーンに対する異なる電力増幅器(PA)利得による、又は前記複数のアンテナに対する異なるアンテナ利得による利得不均衡を考慮することによって前記プレコーディング行列を決定することを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記UEから少なくとも1つの利得比を受信することを更に備える、なお、各利得比は、UEで基準アンテナに対するPA利得及び関連するアンテナに対するPA利得によって決定され、前記プレコーディング行列を決定することは、前記少なくとも1つの利得比に基づいて前記プレコーディング行列を決定することを含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記UEで前記複数のアンテナからサウンディング基準信号を受信することを更に備える、なお、各サウンディング基準信号は、前記アンテナに対する利得比に基づいて決定される電力レベルで1本のアンテナからUEによって送信され、前記利得比は、前記UEで基準アンテナに対するPA利得及び前記アンテナに対するPA利得によって決定される、 請求項21に記載の方法。
【請求項24】
無線通信するための装置であって:
ユーザ装置(UE)で複数のアンテナに対する利得不均衡を考慮することによってノードBでプレコーディング行列を決定し、
前記プレコーディング行列で前記UEのためのビーム形成を実行する、
ために構成される少なくとも1つのプロセッサを備える装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記UEから少なくとも1つの利得比を受信し、 なお、各利得比は、前記UEで基準アンテナに対する利得及び関連するアンテナに対する利得によって決定され、各利得は、前記UEでアンテナの受信チェーンに対する自動利得制御器(AGC)利得又は送信チェーンに対する電力増幅器(PA)利得であり、
前記少なくとも1つの利得比に基づいて前記プレコーディング行列を決定する、
ように構成される請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記UEで前記複数のアンテナからサウンディング基準信号を受信するように構成される、なお、各サウンディング基準信号は、前記アンテナに対する利得比に基づいて決定される電力レベルで1つのアンテナから前記UEによって送信され、前記利得比は、前記UEで基準アンテナに対する利得及び前記アンテナに対する利得によって決定され、各利得は、前記UEでアンテナの受信チェーンに対する自動利得制御(AGC)利得又は送信チェーンに対する電力増幅器(PA)利得である、 請求項24に記載の装置。
【請求項27】
無線通信するための方法であって:
ユーザ設備(UE)で複数のアンテナに対する利得不均衡を決定することと;
ノードBに前記複数のアンテナに対する前記利得不均衡を示す信号又は情報を送ることと;
前記ノードBからビーム形成された信号を受信することと、なお、前記ビーム形成された信号は、前記UEで前記複数のアンテナに対する前記利得不均衡を考慮することによって導き出されるプレコーディング行列に基づいて生成される;
方法。
【請求項28】
前記UEで前記複数のアンテナに対する前記利得不均衡を決定することは、前記UEで複数のアンテナに対する少なくとも1つの利得比を決定することを含む、なお、各利得比は、前記UEで基準アンテナに対する自動利得制御器(AGC)利得及び関連するアンテナに対するAGC利得によって決定される、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記UEで前記複数のアンテナに対する前記利得不均衡を決定することは、前記UEで前記複数のアンテナに対する少なくとも1つの利得比を決定することを含み、各利得比は、前記UEで基準アンテナに対する電力増幅器(PA)利得及び関連するアンテナに対するPA利得によって決定される、
請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記複数のアンテナに対する前記利得不均衡を示す信号又は情報を送ることは、前記ノードBに前記複数のアンテナに対する利得不均衡を示す少なくとも1つの利得比を送ることを含む、
請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記複数のアンテナに対する前記利得不均衡を示す信号又は情報を送ることは、前記UEで前記複数のアンテナからサウンディング基準信号を送ることを含み、各サウンディング基準信号は、前記アンテナに対する利得比に基づいて決定される電力レベルで1つのアンテナから送られる、
請求項27に記載の方法。
【請求項32】
無線通信するための装置であって:
ユーザ設備(UE)で複数のアンテナに対する利得不均衡を決定し、
ノードBに前記複数のアンテナに対する前記利得不均衡を示す信号又は情報を送り、 前記ノードBからビーム形成された信号を受信する、なお、前記ビーム形成された信号は、前記UEで前記複数のアンテナに対する前記利得不均衡を考慮することによって導き出されるプレコーディング行列に基づいて生成される、
ように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記UEで前記複数のアンテナに対する少なくとも1つの利得比を決定し、UEで基準アンテナに対する利得及び関連するアンテナに対する利得に基づいて各利得比を決定する、なお、各利得は、前記UEでアンテナの受信チェーンに対する自動利得制御器(AGC)利得又は送信利得チェーンに対する電力増幅器(PA)利得である、
ように構成される請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記ノードBに前記複数のアンテナに対する前記利得不均衡を示す少なくとも1つの利得比を送る、
ように構成される請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記UEで前記複数のアンテナからサウンディング基準信号を送り、前記アンテナに対する利得比に基づいて決定される電力レベルで1つのアンテナから各サウンディング基準信号を送る、
ように構成される請求項32に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−142964(P2012−142964A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−30803(P2012−30803)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【分割の表示】特願2010−528168(P2010−528168)の分割
【原出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】