説明

無線通信システム

【課題】通話卓の構成を簡略化して、なおかつ複雑な通信形態に対応することができ、他の使用形態にも流用することができるようにする。
【解決手段】回線交換機2には、通話卓1毎の送受信設定テーブルが格納されている。パソコン16で所定の通話卓1が指定されると、その画面にその指定された通話卓1に対する送受信設定画面が表示され、この送受信設定画面を操作することにより、この指定された通話卓1に対し、一斉通話やグループ通話,個別通話といった通話の種別と通話先に対する送信,受信あるいは送受信といった通話形態とからなる送受信設定がなされ、その送受信設定情報が回線交換機2でのこの指定された通話卓1に対する送受信設定テーブルに登録される。通話卓1でマイクロホンを取り上げると、回線交換機2は、登録されている送受信設定テーブルの情報に基づいて、該当する無線端末4との送信,受信もしくは送受信を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局を介して通話卓と無線端末との間で通信を行なう無線通信システムに係り、特に、通話卓の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基地局を介して携帯電話などの無線端末間の無線通信(通話)を行なうための無線通信システムとして、従来、基地局側に通話卓を設け、この通話卓と無線端末との間の無線通信(通話)を可能とした技術がしられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5はかかる無線通信システムの一従来例を示す概略構成図であって、1’は通話卓、2’は回線交換機、3は基地局、4は無線端末である。
【0004】
同図において、一方の無線端末4と他方の無線端末4とは、同じ基地局3の通話エリア内にあるときには、この基地局4を介して無線通信が可能であり、異なる基地局3の通話エリア内にあるときには、回線交換機2’がこれら基地局3を接続し、これら無線端末4がこれら2つの基地局3を介して無線通信が可能となる。
【0005】
かかる無線通信システムにおいて、回線交換機2’を介して基地局3に通話卓1’が接続されており、通話卓1’と無線端末4との間で、回線交換機2’や基地局3を介して、無線通信を行なうことができる。
【0006】
上記特許文献1に記載の技術では、無線端末(移動局)の送受信処理ユニットと基地局の送受信処理ユニットとを同一の構成として共通化することにより、これらに同じ設計のユニットを用いることができるようにして、システムのコストダウンを図るものである。
【0007】
図6は図5における通話卓の操作部を示す外観図であって、5は操作部、6は通話種別選択部、61は「一斉通話」選択ボタン、62は「グループ通話」選択ボタン、63は「個別通話」選択ボタン、7は通話エリア選択部、7aは通話送信設定ボタン、7bは通話受信設定ボタン、8はグループ選択部、8aは通話送信設定ボタン、8bは通話受信設定ボタン、9はスピーカ、10はマイクロホン、11はプレススイッチ、12a,12bはケーブルである。
【0008】
同図において、通話卓1の筐体での前面の操作部5には、通話種別選択部6と通話エリア選択部7とグループ選択部8とスピーカ9とが設けられている。また、この通信卓1には、ケーブル12aを介してマイクロホン10が接続されており、通話卓1’の図示しないマイク載置台に載置されている。このマイクロホン10には、通話信号の送信のためのプレススイッチ11が設けられている。さらに、この通話卓1’は、ケーブル12bを介して、回線交換機2’(図5)に接続されている。
【0009】
通話種別選択部6には、通信(通話)可能な全ての無線端末4との通信を一斉にすることができる状態に通話卓1’を設定するための「一斉通話」設定ボタン61と、後述する通話エリア選択部7で選択された通話エリア(基地局)やグループ選択部8で選択されたグループ(例えば、作業現場での無線端末4のグループ)での複数の通話エリアやグループと同時に通話ができる状態に設定するための「グループ通話」選択ボタン62と、予め決められた単一の無線端末4と通信ができる状態に設定するための「個別通話」選択ボタン63とが設けられている。
【0010】
また、通話エリア選択部7は、通話卓1’が無線端末4との通話を希望する通話エリアを選択するためのものであって、各通話エリア毎に通話送信設定ボタン7aと通話受信設定ボタン7bとが設けられて上下に配列されて対をなし、かつ通話エリア毎の通話送信設定ボタン7aと通話受信設定ボタン7bとの対が横方向に配列されている。
【0011】
さらに、グループ選択部8は、通話卓1’が通話を希望する無線端末4のグループを選択するためのものであって、各グループ毎に通話送信設定ボタン8aと通話受信設定ボタン8bとが設けられて上下に配列されて対をなし、かつグループ毎の通話送信設定ボタン8aと通話受信設定ボタン8bとの対が横方向に配列されている。
【0012】
ここで、「一斉通話」設定ボタン61がタッチ操作されると、この通話卓1’に対して通話対象となる全ての無線端末4との一斉通話が可能な「一斉通話」モードとなり、かかるモードに設定されると、マイクロホン10を取り上げる毎に、通話対象となる全ての無線端末4と同時に通話可能となる。
【0013】
なお、マイクロホン10を取り上げてプレススイッチ11を押し込むと、この通話卓1’から着信先の無線端末4への通話信号(音声信号)の送信可能な状態となり、このマイクロホン10を取り上げた状態でプレススイッチ11の押し込みを解除すると、かかる無線端末4からの通話信号の受信状態となり、スピーカ9から相手からの通話が流れることになる。「一斉通話」設定ボタン61がタッチ操作された「一斉通話」モードでは、通話卓1’は、無線端末4への通話信号の送信と無線端末4からの通話信号の受信とが可能な状態となっている。
【0014】
所定の複数の通話エリアでの無線端末4と通信を可能なモード(「グループ通話」モード)とする場合には、通話エリア選択部7での通話を希望する無線端末4の複数の通話エリアに対する通話送信設定ボタン7a,通話受信設定ボタン7bのいずれか一方、もしくは両方をタッチ操作し、さらに、通話種別選択部6での「グループ通話」選択ボタン62をタッチ操作する。これにより、この「グループ通話」モードが設定されるが、このとき、通話送信設定ボタン7aのみをタッチ操作した通話エリアに対しては、通話卓1’は、マイクロホン10でのプレススイッチ11の押し込みによる通話卓1’からの通話信号の送信しかできず、この通話エリアでの無線端末4からの通話信号を受信することはできない。また、通話受信設定ボタン7bのみがタッチ操作されたときには、通話卓1’は、マイクロホン10でのプレススイッチ11の押し込みによる通話卓1’からの通話信号の送信はできず、この通話エリアでの無線端末4からの通話信号を受信することはできるだけである。さらに、通話送信設定ボタン7aと通話受信設定ボタン7bとがタッチ操作されたときには、通話卓1’は、マイクロホン10でのプレススイッチ11の押し込みによる通話卓1’からの通話信号の送信と、この通話エリアでの無線端末4からの通話信号の受信とができる。
【0015】
所定の複数のグループでの無線端末4と通信を可能なモード(これも、「グループ通話」モード)とする場合にも、グループ選択部8での通話を希望する無線端末4の複数のグループに対する通話送信設定ボタン8a,通話受信設定ボタン8bのいずれか一方、もしくは両方をタッチ操作し、さらに、通話種別選択部6での「グループ通話」選択ボタン62をタッチ操作する。これにより、この「グループ通話」モードが設定されるが、このとき、通話送信設定ボタン8aのみをタッチ操作したグループに対しては、通話卓1’は、マイクロホン10でのプレススイッチ11の押し込みによる通話卓1’からの通話信号の送信しかできず、この通話エリアでの無線端末4からの通話信号を受信することはできない。また、通話受信設定ボタン8bのみがタッチ操作されたときには、通話卓1’は、マイクロホン10でのプレススイッチ11の押し込みによる通話卓1’からの通話信号の送信はできず、この通話エリアでの無線端末4からの通話信号を受信することはできるだけである。さらに、通話送信設定ボタン8aと通話受信設定ボタン8bとがタッチ操作されたときには、通話卓1’は、マイクロホン10でのプレススイッチ11の押し込みによる通話卓1’からの通話信号の送信と、このグループでの無線端末4からの通話信号の受信とができる。
【0016】
通話エリア選択部7で、上記のように、所定の通話エリアを選択し、これともに、グループ選択部8で、上記のように、所定のグループを選択して、「グループ通話」選択ボタン62をタッチ操作しても、同様にして、「グループ通話」モードが設定され、選択された通話エリアとグループとでの無線端末4との上記のような通話が可能となる。
【0017】
また、「個別通話」選択ボタン63がタッチ操作されると、予め決められた単一の無線端末4との通話を可能とする「個別通話」モードが設定される。
【0018】
一方、通話卓1’には、図7に示す送受信設定テーブル12が設けられている。なお、図7において、13は送受信設定テーブル、13aは「通話卓番号」登録欄、13bは「通話卓名称」登録欄、13cは「通話エリア」登録欄、13c1,13c2,……,13cn+1は「通話エリア設定[i]」欄、13dは「グループ」登録欄、13d1,欄13d2,……,13dm+1は「グループ設定[j]」欄、14aは「通信エリア番号」登録欄、15aは「グループID」登録欄、14b,15bは「送信指定」欄、14c,15cは「受信指定」欄である。
【0019】
送受信設定テーブル13は、この通話卓1’の番号が登録される「通話卓番号」登録欄13aと、通話卓1’の名称(例えば、「サンプル通話卓」)が登録される「通話卓名称」登録欄13bと、通話対象となる全ての通話エリアに関する情報が登録される「通話エリア」登録欄13cと、通話の対象となる全てのグループに関する情報が登録される「グループ」登録欄13dとから構成される。
【0020】
「通話エリア」登録欄13cは、夫々の通話エリアに関する情報を登録する通話エリア毎の「通話エリア設定[0]」欄13c1,「通話エリア設定[1]」欄13c2,……,「通話エリア設定[n]」欄13cn+1が設けられており、夫々の「通話エリア設定[i]」欄13ci+1には(但し、i=0,1,……,n)、通話エリアの番号を登録する「通話エリア番号」登録欄14aと、通話卓1’からこの通話エリア[i]の無線端末4への通話信号の送信が指定されたか否かを登録する「送信指定」欄14bと、この通話卓1’でこの通話エリア[i]からの通話信号の受信が指定されたか否かを登録する「受信指定」欄14cとが設けられている。
【0021】
ここで、図6において、通話エリア選択部7での所定通話エリア[i]に対する通話送信設定ボタン7aがタッチ操作されて「グループ通話」モードが設定されたときには、「通話エリア設定[i]」欄13ci+1の「送信指定」欄14bで“ON”が登録され、通話送信設定ボタン7aがタッチ操作されない場合には、“OFF”が登録される。同様にして、図6において、通話エリア選択部7での所定通話エリア[i]に対する通話受信設定ボタン7bがタッチ操作されて「グループ通話」モードが設定されたときには、「通話エリア設定[i]」欄13ci+1の「受信指定」欄14cで“ON”が登録され、通話受信設定ボタン7bがタッチ操作されない場合には、“OFF”が登録される。通話送信設定ボタン7aと通話受信設定ボタン7bとがともにタッチ操作されたときには、「送信指定」欄14bと「受信指定」欄14cとで“ON”が登録される。
【0022】
「グループ」登録欄13dは、夫々のグループに関する情報を登録するグループ毎の「グループ設定[0]」欄13d1,「グループ設定[1]」欄13d2,……,「グループ設定[m]」欄13dm+1が設けられており、夫々の「グループ設定[j]」欄13dj+1には(但し、j=0,1,……,m)、グループの番号を登録する「グループID」登録欄15aと、通話卓1’からこのグループ[j]の無線端末4への通話信号の送信が指定されたか否かを登録する「送信指定」欄15bと、この通話卓1’でこのグループ[j]からの通話信号の受信が指定されたか否かを登録する「受信指定」欄15cとが設けられている。
【0023】
ここで、図6において、グループ選択部8での所定グループ[j]に対する通話送信設定ボタン8aがタッチ操作されて「グループ通話」モードが設定されたときには、「グループ設定[j]」欄13dj+1の「送信指定」欄15bで“ON”が登録され、通話送信設定ボタン8aがタッチ操作されない場合には、“OFF”が登録される。同様にして、図6において、グループ選択部7での所定グループ[j]に対する通話受信設定ボタン8bがタッチ操作されて「グループ通話」モードが設定されたときには、「グループ設定[j]」欄13dj+1の「受信指定」欄15cで“ON”が登録され、通話受信設定ボタン8bがタッチ操作されない場合には、“OFF”が登録される。通話送信設定ボタン8aと通話受信設定ボタン8bとがともにタッチ操作されたときには、「送信指定」欄15bと「受信指定」欄15cとで“ON”が登録される。
【0024】
なお、図6において、「一斉通話」設定ボタン61がタッチ操作されて「一斉通話」モードが設定されたときには、全ての「通話エリア設定[0]」欄13c1,「通話エリア設定[1]」欄13c2,……,「通話エリア設定[n]」欄13cn+1での「送信指定」欄14bと「受信指定」欄14cとで“ON”が設定され、これとともに、全ての「グループ設定[0]」欄13d1,「グループ設定[1]」欄13d2,……,「グループ設定[m]」欄13dm+1での「送信指定」欄15bと「受信指定」欄15cとで“ON”が設定される。
【0025】
そこで、通話卓1’は、マイクロホン10がマイク載置台から持ち上げられると、かかる送受信設定テーブル13をもとに、そのとき設定されているモードに応じて、「送信指定」欄14bに“ON”が登録されている通話エリアや「送信指定」欄15bに“ON”が登録されているグループでの無線端末4への通話信号の送信が可能となるし、「受信指定」欄14cに“ON”が登録されている通話エリアや「受信指定」欄15cに“ON”が登録されているグループでの無線端末4からの通話信号の受信が可能となる。
【0026】
なお、通話卓1’での各操作ボタン61〜63,7a,7b,8a,8bは、送受信設定テーブル13で“ON”状態が設定されているときと“OFF”状態が設定されているときとで、例えば、内蔵のランプが点灯あるいは消灯することなどにより、異なる設定状態が目視できるようにしている。
【特許文献1】特開2003ー258672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
ところで、上記の無線通信システムでは、通話卓1’でモードが一旦設定されると、そのモードが変更されない限り、その設定されているモードで無線端末4との通話が可能となる。
【0028】
しかしながら、上記の無線通信システムで用いられる従来の通話卓では、モードの設定のためのハードウェアスイッチを設け、これを操作することによって行なわれるものであり、かかるハードウェアスイッチとしては、無線端末と通話を必要とする通話エリアの個数やグループの個数分必要であり、かかる通話エリアやグループが多くなると、必要とするハードウェアスイッチの個数も多くなって、通話卓1’の大きさに対して制約が加わることになるし、また、この制約をなくそうとすると、通話卓を大型化せざるを得なくなる。そして、これとともに、通話卓も複雑化して、その開発や納期の短縮の要望に応じられなくなる。
【0029】
また、利用者が求める通話の形態も複雑化してきており、ハードウェアスイッチを用いた構成では、その設置個数の制約などから、対応できなくなってきている。
【0030】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、通話卓の構成を簡略化して、なおかつ複雑な通信形態に対応することができ、他の使用形態にも流用することができるようにした無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するために、本発明は、1または複数の通話卓と、通話卓が接続された回線交換機と、回線交換機と接続されて無線端末と無線通信を行なう基地局とを備え、回線交換機と基地局とを介して通話卓と通話先としての無線端末との間で通信を行なう無線通信システムであって、回線交換機に、通話卓について、通話先への一斉通話,グループ通話,個別通話の通話種別や送・受信の可・不可を設定した送受信設定情報が保存され、通話卓は、送受設定情報に応じて、通話種別で決められる無線端末と、送信,受信もしくは送受信の通信を行なうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、通話卓としては、通話に必要な送受信設定のための操作手段やそのための回路構成を削除することができるものであって、従来と同様の送受信機能を保持しながら、通話卓の大幅な部品点数の削減と小型化,低コスト化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0034】
図1は本発明による無線通信システムの一実施形態を示すシステム構成図であって、16はパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)であり、図5よ対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0035】
この実施形態は、図1に示すように、1または複数の通話卓1とともに、送受信設定手段としてのパソコン16を設け、このパソコン16の操作により、通話卓1夫々の図7で示した送受信設定テーブル13での送受信設定を行なうことができるようにしたものである。ここで、かかる各通話卓1の送受信設定テーブル13は、図5で示す従来の無線通信システムとは異なり、回線交換機2に格納されている。
【0036】
なお、以下では、このように、送受信設定テーブル13が回線交換機2に格納されているものとして説明するが、かかる送受信設定テーブル13は、パソコン16に格納されていてもよい。
【0037】
パソコン16では、その操作部で所望とする通話卓1を指定することにより、その表示画面(図示せず)にこの指定された通話卓1に対する、図7に示す送受信設定テーブル13に対応した送受信設定画面が表示され、かかる送受信設定画面を操作することにより、回線交換機2に格納されている送受信設定テーブル13でこの通話卓1のための送受信に関する情報を設定するものである。
【0038】
かかる送受信設定画面としては、例えば、図2に示すように、図6に示す従来の通話卓1’の操作部5と同様の操作ボタン配列を表わす画面17であって(なお、図2においては、図6に対応する部分に同一符号をつけている)、その操作ボタン、即ち、通話送信設定ボタン7a,8aや通話受信設定ボタン7b,8bをカーソル操作することにより、あるいは、パソコン16の表示画面にタッチパネルが設けられている場合には、かかる操作ボタンをタッチ操作することにより、図7で先に説明したように、操作された操作ボタンに該当する送受信設定テーブル13での所定の「通話エリア設定[i]」欄13ciの「送信指定」欄14b,「受信指定」欄14cや「グループ設定[j]」欄13cjの「送信指定」欄15b,「受信指定」欄15cにおける“ON”,“OFF”の設定が行なわれる。
【0039】
なお、パソコン16は、オペレータの所望とする通話卓1の指定操作によってその送受信設定画面17を表示画面に表示するに際し、回線交換機2からこの指定される通話卓1に対する送受信設定テーブル13(図7)の情報(この通話卓1の送受信設定状態を示す情報)を取得し、この情報に応じた送受信設定画面17を作成して表示する。これにより、送受信設定画面17では、「送信指定」欄14b,15bや「受信指定」欄14c,15cが“ON”状態に設定されているときには、このために操作された通話送信設定ボタン7a,8aや通話受信設定ボタン7b,8bが点滅したり、所定の色で表示されたりしており、かかる常時状態にある操作ボタンを再度操作すると、これら「送信指定」欄14b,15bや「受信指定」欄14c,15cが“ON”状態に切り替えられてこれら操作ボタンのかかる表示状態が終了する。
【0040】
また、パソコン16では、送受信設定テーブル13での「通話エリア番号」登録欄14aや「グループID」登録欄14aなどの各欄の更新も可能である。
【0041】
さらに、ここでは、パソコン16は、全ての通話卓1に使用されるものとしている。この場合には、例えば、同じフロアや同じ管理室などに複数の通話卓1と1つのパソコン16が設置される。
【0042】
これに対し、通話卓1毎にその間近にパソコン16を設け、夫々のパソコン16は該当する通話卓1の送受信設定をするものとしてもよい。この場合には、通話卓1を使用するオペレータは、この通話卓1に該当するパソコン16を操作することにより、この通話卓1の送受信設定を適宜変更することができ、同じ通話卓1で通話先の変更を容易に行なうことができる。
【0043】
図3は図1における通話卓1の一具体例を示す外観図であって、図6に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0044】
同図において、この通話卓1には、その筐体にスピーカ9が設けられているだけであって、図6に示す従来の通話卓1’のような送受信設定のための操作部5は設けられていない(但し、図示しないが、電源スイッチやスピーカ9のための音量調整用つまみ,送受信状態の表示ランプなど通話卓1の動作のために必要な手段は設けられている)。
【0045】
なお、複数の通話卓1が使用される場合、夫々の通話卓1での異なる送受信設定がなされるときには、希望する送受信設定がなされている通話卓1が用いられることになる。この場合、どの通話卓1にどのような送受信設定がなされているかは、通常オペレータの記憶や貼り紙を貼ることなどによって認識されるものであるが、パソコン16の所定操作により、回線交換機2での送受信設定テーブル13(図7)をもとに、各通話卓1での現在の送受信設定状態を表わす画面を表示させることができ、これによっても、各通話卓1の送受信設定状態を認識できて、所望とする通信卓1を確実に使用することが可能となる。
【0046】
この通話卓1では、その筐体のマイク載置部に載置されているマイクロホン11を取り上げるだけで、パソコン16によって設定された送受信設定状態で無線端末4との通話ができ、かかる送受信設定のための操作を行なう必要はない。
【0047】
図4は図5に示す従来の無線通信システムでの図6に示す通話卓1’,回線交換機2’と図1に示す本発明による無線通信システムでの図3に示す通話卓1,回線交換機2との機能を比較して示す図である。
【0048】
同図において、従来の無線通信システムでの従来の方式では、通話卓1’は、図6での通話種別選択部6による通話種別の選択機能と、図6での通話エリア選択部7による通話エリアの選択機能と、図6でのグループ選択部8によるグループ選択機能と、図6での操作部5のボタン操作による送受設定情報の回線交換機2’への通知機能と、図6でのプレススイッチ11の操作による回線交換機2’へのプレス要求機能と、図6に示すスピーカ9での受信音声の出力機能とを有するものであるが、上記実施形態での通話卓1は、上記の通話卓1’に対し、図3でのプレススイッチ11の操作による回線交換機2へのプレス要求機能と、図3に示すスピーカ9での受信音声の出力機能とを有するだけである。
【0049】
従来の無線通信システムでの従来の方式では、回線交換機2’は、通話しようとする通話卓1’からの図6での操作部5のボタン操作による送受設定情報の受付機能と、通話卓1’からの上記プレス要求機能の受付機能と、受信音声の通話卓1’への出力機能と、通話(呼)の管理機能とを有するが、上記実施形態での回線交換機2は、図1に示すパソコン16からの各通話卓1からの送受設定情報の受付及び設定保存機能と、上記のプレス要求機能の受付機能と、上記の受信音声の通話卓1への出力機能と、通話(呼)の管理機能とを有する。
【0050】
このように、従来方式での通話卓1’に対し、この実施形態での通話卓1の機能は大幅に削減され、また、従来方式の回線交換機2’に対し、この実施形態での回線交換機1では、パソコン16から夫々の通話卓1の送受設定情報が供給され、これが保存設定される点が異なるものである。
【0051】
このように、
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による無線通信システムの第1の実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】図1におけるパソコンの表示画面での送受信設定画面の一具体例を示す図である。
【図3】図1における通話卓の一具体例を示す外観図である。
【図4】図5に示す従来の無線通信システムでの通話卓,回線交換機と図1に示す無線通信システムでの通話卓,回線交換機との機能とを比較して示す図である。
【図5】無線通信システムの一従来例を示す概略構成図である。
【図6】図5における通話卓の操作部を示す外観図である。
【図7】図6における通話卓に設けられた送受信設定テーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 通話卓
2 回線交換機
3 基地局
4 無線端末
5 操作部
6 通話種別選択部
1 「一斉通話」選択ボタン
2 「グループ通話」選択ボタン
3 「個別通話」選択ボタン
7 通話エリア選択部
7a 通話送信設定ボタン
7b 通話受信設定ボタン
8 グループ選択部
8a 通話送信設定ボタン
8b 通話受信設定ボタン
9 スピーカ
10 マイクロホン
11 プレススイッチ
12a,12b ケーブル
13 送受信設定テーブル
13a 「通話卓番号」登録欄
13b 「通話卓名称」登録欄
13c 「通話エリア」登録欄
13c1,13c2,……,13cn+1 「通話エリア設定[i]」欄
13d 「グループ」登録欄
13d1,13d2,……,13dm+1 「グループ設定[j]」欄
14a 「通信エリア番号」登録欄
15a 「グループID」登録欄
14b,15b 「送信指定」欄
14c,15c 「受信指定」欄
16 パソコン
17 送受信設定画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の通話卓と、該通話卓が接続された回線交換機と、該回線交換機と接続されて無線端末と無線通信を行なう基地局とを備え、該回線交換機と該基地局とを介して該通話卓と通話先としての該無線端末との間で通信を行なう無線通信システムであって、
該回線交換機に、該通話卓について、通話先への一斉通話,グループ通話,個別通話の通話種別や送・受信の可・不可を設定した送受信設定情報が保存され、
該通話卓は、該送受設定情報に応じて、該通話種別で決められる該無線端末と、送信,受信もしくは送受信の通信を行なうことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−81079(P2010−81079A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244656(P2008−244656)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】