説明

無線通信ネットワークシステム、そのID管理無線端末、未登録無線端末、プログラム

【課題】中継を伴う無線通信ネットワークシステムにおいてネットワーク結合異常を防止する。
【解決手段】各無線通信ネットワーク毎に当該ネットワークを構成する複数の無線端末のうちの1台を、ID管理無線端末とし、このID管理無線端末が自己のネットワーク内の全ての無線端末のIDを発行・管理する。このID管理無線端末は、自己の無線通信ネットワークのネットワークIDを、手動設定内容と自動生成コードとから生成・登録し、これを自己の無線通信ネットワーク内の全ての無線端末に設定させる。その際、各無線端末はネットワークIDの手動設定内容が自端末の手動設定内容と一致するか否かをチェックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線端末によって構成され、各無線端末が直接又は他の1以上の無線端末を介することで他の全ての無線端末と通信可能である無線通信ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1、2等に記載の無線通信ネットワークシステムが提案されている。
図41に、従来の特許文献1、2等に記載の無線通信ネットワークシステム全体の構成の一例を示す。
【0003】
同図において、A〜Jは分散設置された無線端末を示す。自らが直接無線通信可能な距離は一般に有限であるので、各無線端末A〜Jはシステムを構成する全ての無線端末と直接無線通信することはできない。しかしながら、各無線端末A〜Jは全て1台以上の他の無線端末と直接無線通信することは可能であり、他の無線端末を経由することでシステムを構成する全ての無線端末との通信を可能としている。
【0004】
尚、図41に示す各無線端末A〜Jを結ぶ直線(矢印も含む)は各通信路を意味し、直線で結ばれた2つの無線端末間では直接無線通信可能であることを意味している。
各無線端末A〜Jは、それぞれ、存在通知パケット、通信診断パケット等を相互に送受信して通信路の信頼性を診断することで、例えば図42(a)に示すような構成情報を生成・記憶する。
【0005】
図42(a)に示す構成情報は、無線端末Aが生成・記憶する構成情報の一例であり、無線端末Aの送信するパケットが着信先の無線端末に到達するまでになされる通信回数と、その通信回数を最小通信回数として到達する着信先の無線端末との関係を示している。同図から、例えば、無線端末Aが1回の通信でパケットを転送可能な無線端末(つまり、無線端末Aが直接通信可能な無線端末)は、無線端末B、C、Dであることが分かる。また、無線端末E,F,G,H,I,Jは、無線端末Aが直接通信できない無線端末であり、他の無線端末が中継することで(複数回の通信で)、パケットを転送可能な無線端末であることが分かる。そして、他の無線端末が中継することでパケットを転送するために、無線端末E,Fは少なくとも2回の通信を要し(中継回数1回以上)、無線端末G、H、Iは少なくとも3回の通信を要し、無線端末Jは少なくとも4回の通信を要することがわかる。
【0006】
但し、無線端末B、C、D以外の無線端末が全て無線端末Aと直接通信できないものとは限らない。例えば、無線端末E,F等であれば、例えば周囲の通信環境が良好なとき等に無線端末Aと直接通信できる場合もあり得る。しかし、ここでは、上記通信路の信頼性の診断の結果、信頼性が十分でなかったことから、無線端末E,Fへのパケット転送には他の無線端末の中継を要するものとして管理されている。
【0007】
更に、各無線端末は、例えば図42(a)のような自端末の構成情報に基づいて、少なくとも自端末が直接通信できる他の無線端末(以下、隣接する無線端末という場合もある)の構成情報を、当該隣接する各無線端末に要求して取得して記憶する。
【0008】
図42(b)に、この様に取得・記憶した構成情報の一例を示す。
図42(b)には、一例として、無線端末Aが取得・記憶する、隣接する各無線端末の
構成情報の一例を示す。
【0009】
無線端末Aは、図42(a)に示す自端末の構成情報の他に、図42(b)に示す隣接無線端末B、C、Dの構成情報をも記憶・管理することになる。基本的には、これらをまとめて構成情報と呼ぶものである。そして、無線端末Aは(勿論、他の各無線端末も)、自己の構成情報を参照して、パケットの送出先を決定する。
【0010】
一例として、無線端末Aが無線端末Eを宛先とするパケットを送出する場合を考える。図42(b)を参照すると、無線端末Eへパケットを転送するためには、無線端末Bからは1回の通信で転送可能であることがわかる。同様に、無線端末Cからは1回、無線端末Dからは2回の通信で転送可能であることがわかる。このことにより、無線端末Aは、着信先が無線端末Eであるパケットを無線端末BまたはCのいずれかに送出する。無線端末BまたはCは、このパケットを中継し、これにより当該パケットは1回の中継で無線端末Eへ届くことになる。
【0011】
また、図43に、各無線端末で記憶する構成情報の一例を示す。尚、ここでは無線端末A,B,E,Gを例にするが、他の無線端末も同様にして構成情報を生成・記憶している。
【0012】
図43に示すように、無線端末Aの記憶する構成情報は、上記図42(a)と図42(b)に示す構成情報を合わせたものとなっている。他の無線端末B,E,Gも同様に、自端末の構成情報及びその隣接無線端末の構成情報を、自己が保持・管理する構成情報としており、この構成情報を参照して、パケットの送信先を決定することになる。
【0013】
また、特許文献3の発明は、ネットワークの合併を伴うアドレス割当に好適なネットワークシステムのアドレス割当方法を提供するものである。
特許文献3の発明では、割当要求アドレス選択部が、順序付けられた多数のアドレス候補のなかから、順序が第1のアドレス値を割当要求アドレスとして選択する一方、割当要求アドレスが既設ノードのアドレスと重複するごとに、順序が次の割当要求アドレスを選択する。アドレス割当部は、既設ノードのアドレスと重複しない割当要求アドレスを自ノードに割り当てる。合併有無判定部は、各既設ノードから返信されるネットワークの識別子に基づいて、ネットワーク合併の有無を判定する。アドレス追加値算出部は、各ネットワークの最大アドレス値に基づいて、アドレス追加値を算出する。
【特許文献1】特開2000−13376号公報
【特許文献2】特開2004−7714号公報
【特許文献3】特開2005−252557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ここで、上記従来の無線通信ネットワークシステムにおいて各無線端末を識別する為のID(上記A,B,C,・・・等と表記)は、任意の論理番号を割り当てているものであった。すなわち、各無線端末には元々、製造時等に、製造番号が割り当てられて登録されている。この製造番号は、その無線端末を一意に識別する為の一般的なIDとなる。しかしながら、製造番号は長いので通常14byte程度必要となる。その為、この製造番号をそのままIDとして用いると、無線端末間の通信では基本的に常にIDのやり取りをする為、通信の際の情報量が多くなり、通信負荷が増大してしまう。
【0015】
特に上記従来の無線通信ネットワークシステムでは、無線端末間で送受信するパケットのヘッダ部には、送信元ID、着信先(宛先)ID、転送元ID、転送先IDの4つのIDを格納するので、各IDが14byte程度であると、ヘッダ部の情報量が非常に多く
なってしまう。
【0016】
この為、例えば1byte程度の情報量で済む論理番号を任意に割り当てて、これをIDとして使用している。よって、以下の説明では“ID”とは論理番号を意味するものとする。製造番号はIDには含まれず、製造番号はそのまま製造番号と呼ぶものとする。
【0017】
ところで、従来では、上記IDの割当て・登録を、作業員等が手作業で行っていた。この為、手間が掛かることになり、また間違って同じ番号を二重に登録する等の設定ミスが生じる可能性があった。
【0018】
また、上記の通り、従来の無線通信ネットワークシステムでは、各無線端末は直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能である。しかしながら、通信可能となる全ての無線端末と通信を行うことを望まない場合がある。例えば、ある1つの無線通信ネットワークシステム(任意のグループ)を構築し、その近傍に他の無線通信ネットワークシステム(他のグループ)を構築した場合、一方のグループ内の一部の無線端末が、他のグループの一部の無線端末と直接無線通信可能な状態であると、この2つのグループが1つの無線通信ネットワークシステムとして動作することになってしまう。
【0019】
すなわち、従来の無線通信ネットワークシステムの動作により、一方のグループの各無線端末の構成情報に、他方のグループの各無線端末のIDが登録されて、上記中継等によって他方のグループの各無線端末とも通信可能となる。しかしながら、元々、各グループ毎にそのグループ内でのみ通信可能とするようにシステム構築しているのであり、この様な状況は望ましくない。
【0020】
ここで、図44に、複数のグループが存在する一例を示す。
また、図45は、グループを区別する為のパケットの構成例である。
図44に示す例では、図示の無線端末A,B,C,Dによって1つのグループが構成され、図示の無線端末E,F,Gによってもう1つのグループが構成される。これは、各グループ内での各無線端末間の通信が可能となることを意図して構築されるものである。
【0021】
しかしながら、例えば図示の無線端末Dと無線端末Eとが直接無線通信可能であると、各無線端末A〜Gの構成情報には2つのグループ全ての無線端末A〜Gが登録されることになり、2つのグループに区別されることなく1つのグループとして動作することになってしまう。
【0022】
この為、各無線端末間で送受信するパケットを、例えば図45に示す構成のパケットとする。図45において、送信元ID、宛先ID、転送元ID、転送先IDは、上記特許文献1,2等に記載のパケットヘッダ部のデータ構成であり、ここでは特に説明しないが、これらIDは全て上記各無線端末を識別する為の論理番号である。
【0023】
そして、図45に示す構成では、パケットのヘッダ部に更に“ネットワークID”(ネットワーク識別コード)が付加されている。この“ネットワークID”が上記各グループを識別する為のIDである。各無線端末には、上記自端末のIDだけでなく、自端末が属するグループのネットワークIDも登録されており、パケット送信の際にはこのパケットのヘッダ部の“ネットワークID”に、自端末が属するグループのネットワークIDを格納するものである。
【0024】
そして、各無線端末は、受信したパケットの“ネットワークID”が、自端末のネットワークIDと不一致の場合には、このパケットを破棄する等する。例えば、図44に示す
一方のグループのネットワークIDを‘1’、他方のグループのネットワークIDを‘2’とすると、上記の様に無線端末Dと無線端末Eとが直接無線通信可能であってパケット送受信したとしても、ネットワークID不一致となることから、パケット破棄されることになる。これによって、上述した問題を解決できる。
【0025】
尚、図45には構成情報を用いたデータ送受信(中継等)におけるパケットを示すが、他のパケット(特許文献1に記載の存在通知パケット等)も同様にして“ネットワークID”が付加されるものである。
【0026】
ここで、従来、上記各無線端末にその端末が属するグループのネットワークIDを設定する作業は、その無線端末の設置現場で設置作業員が行っていた。この設定作業を作業員が現場で簡単に行えるようにする為に、各無線端末にはネットワークID設定用のロータリーSW(スイッチ)が備えられていた。このロータリーSWは、例えば‘1’〜‘16’の数が設定できるものである(ネットワークIDは‘1’〜‘16’まで設定可能である。尚、これより、ネットワークIDは4bitで表現可能である)。
【0027】
しかしながら、グループ数が17以上になると、ネットワークIDが重複し、複数のグループが同一のネットワークIDを持つことになる。あるいは、グループ数が17以上にならなくても、作業員が勘違いする等して既に任意のグループに割当済みのネットワークIDを、別のグループにも設定してしまう可能性もある。
【0028】
何れにしても、上記のように同一のネットワークIDを複数のグループが存在する状況になった場合、この複数のグループ同士がある程度離れており、その無線端末間で直接無線通信できないならば問題ないが、直接無線通信できる状況であると、ネットワークIDが同一でありネットワークIDによってグループを区別できないことになるので、上記図44で説明した問題が生じることになる。
【0029】
この様な状況は、例えば比較的狭いエリアに多数のグループが密集/混在する等した場合等に十分に起こり得るものである。
また、上述した従来の無線通信ネットワークシステムにおいて、上記無線端末は、基本的に、電池により駆動される。この為、電池の消耗を抑え、電池の交換頻度を減らすことが望まれる。また、電池により駆動される構成ではない場合でも、省電力化は望ましいものである。また、上記のように、例えば、無線端末E,F等は、常に、直接通信できないものとは限らない。もし、上記の例において、無線端末Aが宛先の無線端末Eと直接通信できる状況であったならば、無線端末Eと直接通信することで、通信回数を減らすことができる(つまり、効率化が図れる)と共に、無線端末BまたはCは中継動作を行わなくて済む分、省電力化が図れることになる。
【0030】
本発明の課題は、無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワークIDが用いられる無線通信ネットワークシステムにおいて、任意の無線通信ネットワークシステムが他の無線通信ネットワークシステムと結合してしまうというネットワーク結合異常が生じることを防止できる無線通信ネットワークシステム、その無線端末等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の無線通信ネットワークシステムは、無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末
と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムであって、1つの無線通信ネットワークシステムを構成する前記複数の無線端末のうちの1台を前記IDを発行・管理するID管理無線端末とし、該ID管理無線端末は、任意のコードを生成し、該生成コードと自端末における手動設定内容とから成る前記ネットワーク識別コードを生成するネットワーク識別コード生成手段を有し、自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末は、前記ID管理無線端末または自己のIDが登録済みの無線端末である登録済み無線端末が送信するID通知信号に含まれるネットワーク識別コードにおける前記手動設定内容部分が、自端末における手動設定内容と一致する場合に、該ID通知信号に含まれるネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定する自己ネットワーク識別コード決定手段を有し、該決定・設定した自己のネットワーク識別コードを用いたID登録要求を送信し、該ID登録要求に対して前記ID管理無線端末が決定した発行IDを取得したら、該発行IDを自己のIDとして登録する。
【0032】
上記構成では、ID管理無線端末がネットワーク識別コードを自動生成する。これは、例えば、数千、数万種類のコードを生成可能であり、このネットワーク識別コードを用いれば、上記ネットワーク結合異常が生じる可能性は極めて低くなる。
【0033】
但し、未登録無線端末にはネットワーク識別コードは登録されていないので、登録させる必要があるが、もしネットワーク識別コード全体を自動生成すると、誤って他のネットワークのネットワーク識別コードが登録されてしまう可能性がある。この問題を解決する為、自動生成コードと自端末における手動設定内容とから成るネットワーク識別コードを生成し、未登録無線端末側で手動設定内容が一致するか否かをチェックするようにしている。
【0034】
あるいは、本発明の無線通信ネットワークシステムは、無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムであって、1つの無線通信ネットワークシステムを構成する前記複数の無線端末のうちの1台を前記IDを発行・管理するID管理無線端末とし、該ID管理無線端末は、任意のコードを生成し、該生成コードと自端末における手動設定内容とから成る前記ネットワーク識別コードと生成するネットワーク識別コード生成手段を有し、自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末は、所定期間、前記ID管理無線端末または自己のIDが登録済みの無線端末である登録済み無線端末が送信するID通知信号の受信待ち状態となり、該ID通知信号を受信する毎に、該ID通知信号に含まれるネットワーク識別コードにおける前記手動設定内容部分が、自端末における手動設定内容と一致する場合には、該ネットワーク識別コードを記憶するネットワーク識別コード決定用情報記憶手段と、前記所定期間経過後、前記記憶されたネットワーク識別コードが1種類である場合には該記憶されたネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定し、前記記憶されたネットワーク識別コードが複数種類ある場合には、最も多くの回数記憶されたネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定する自己ネットワーク識別コード決定手段を有し、該決定・設定した自己のネットワーク識別コードを用いたID登録要求を送信し、該ID登録要求に対して前記ID管理無線端末が決定した発行IDを取得したら、該発行IDを自己のIDとして登録する。
【0035】
上述した自動生成コードと自端末における手動設定内容とから成るネットワーク識別コードを生成し、未登録無線端末側で手動設定内容が一致するか否かをチェックする手法では、偶然、例えば隣接する他の無線通信ネットワークの手動設定内容が同じであった場合
には、上述した誤って他のネットワークのネットワーク識別コードが登録されてしまうとう問題が生じる可能性がある。
【0036】
この為、所謂“多数決”による手法により、上記問題が生じる可能性を極めて低くすることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の無線通信ネットワークシステム、その無線端末、プログラム等によれば、無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワークIDが用いられる無線通信ネットワークシステムにおいて、任意の無線通信ネットワークシステムが他の無線通信ネットワークシステムと結合してしまうというネットワーク結合異常が生じることを防止できる。更に、各無線端末にその端末の上記IDを自動的に設定することができる。更に、未登録無線端末が、本来組み込まれるべきネットワークに組み込まれない事態が生じることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
尚、以下に説明する本例の無線通信ネットワークシステムに関して、当該無線通信ネットワークシステム全体の構成例は、従来技術の説明に用いた図41の構成例を参照するものとする。
【0039】
図1に、無線通信ネットワークシステムにおける上記各無線端末の構成図を示す。
尚、ここでは、各無線端末の基本的な機能を示す為に、データ受信側の無線端末を受信端末11a、データ送信側の無線端末を送信端末11bとする構成を示すが、通常、無線機は、データ送信側として動作する場合もあればデータ受信側として動作する場合もあるので、実際には後述するように、各無線端末は受信端末11a、送信端末11b両方の構成を有する場合が多いことになる。但し、図1に示す通りに、受信専用、送信専用の無線端末がそれぞれ存在するような構成であってもよい。
【0040】
図1において、受信端末11aには、データを無線にて送信する無線送信回路13a、無線で送信されたデータを受信する無線受信回路14a、データの送受信の制御を行う制御部12a、データの送受信の切り替えを行う切り替え部15a、データを電波として空間に送出したり受信したりするアンテナ16a、無線送信回路13a、無線受信回路14aおよび制御部12aの電源を供給する電池17a、不図示の上位装置とデータのやり取りを行うインターフェース18a、無線送信回路13aの電源をオン/オフするスイッチ19a、無線受信回路14aの電源をオン/オフするスイッチ20aが設けられている。
【0041】
尚、インターフェース18aを介してデータのやり取りを行う上位装置としては、例えば、パソコン等の情報処理装置、スイッチやセンサ、表示器などを挙げることができる。また、制御部12aにはタイマが設けられ、制御部12a自体の消費電力を最低に維持するスリープ状態となり、一定時間後に動作状態に移行することができる。
【0042】
ここで、制御部12aには、無線送信回路13aまたは無線受信回路14aを間欠的に動作状態に移行させる動作状態制御部31aが設けられる。動作状態制御部31aには、第1送信状態制御部32aおよび第1受信状態制御部33aが設けられている。
【0043】
図2(a)は、動作状態制御部31aの処理フローチャート図である。図3(a)は、図2(a)の処理による受信端末11aの動作タイミング図である。
動作状態制御部31aの処理動作は、上記第1送信状態制御部32aの処理動作と第1受信状態制御部33aの処理動作とから成る。
【0044】
まず、図2(a)の処理は繰り返し行われているものであり、図示の各処理の最後の処理であるステップS3の処理の際に図3(a)に示すスリープ期間TSがセットされて起動された不図示のタイマ(詳しくは後にステップS3の説明の際に説明する)が、タイムアップすることで、制御部12aはスリープ状態から目覚め(起動し)、これによって図2(a)の処理が開始されることになる。
【0045】
図2(a)の処理が開始されると、まず、第1送信状態制御部32aが、スイッチ19aをON制御して無線送信回路13aを電源オンすると共に、切り替え部15aを無線送信回路13a側に切り替えて、予め設定されている所定期間(図3(a)に示す一定期間TT)、図3(a)に示す送信状態T11とする。この送信状態T11では、例えば制御部12a等が、少なくとも自端末のIDを含む所定の信号を、無線送信回路13aによってアンテナ16aから無線送信させるものである(後述する間欠送信信号P11(ID通知信号とも呼ぶものとする)を送信するものである)(ステップS1)。そして、送信状態T11終了時にスイッチ19aをOFF制御して無線送信回路13aを電源オフする。
【0046】
尚、上記IDとは、各無線端末(受信端末11a、送信端末11b)に割り当てられる、各無線端末の識別番号である。これは、上述したように任意の論理番号であり、予め各無線端末に決まっている製造番号等とは異なるものである。そして、本例では、後述するように、各無線端末は最初は(設置直後等)自己のIDを持っておらず、ID管理無線端末によって自動的に各無線端末のIDが割り当てられることになる。
【0047】

上記送信状態T11が終了すると、続いて、第1受信状態制御部33aが、スイッチ20aをON制御して無線受信回路14aを電源オンすると共に、切り替え部15aを無線受信回路14a側に切り替える。そして、予め設定されている所定期間(図3(a)に示す一定期間TR)、図3(a)に示す受信状態R11となる。つまり、外部からの無線信号(特に後述する送信信号P12)の受信待ち状態となる(ステップS2)。
【0048】
そして、受信状態R11終了時に、第1受信状態制御部33aは(又は制御部12a等であってもよいが)、ステップS3のスリープ状態への移行処理を実行する。
ステップS3の処理は、まず、スイッチ20aをOFF制御して無線受信回路14aを電源オフする。これによって、無線送信回路13a、無線受信回路14aの両方が電源オフとなる。更に、図3(a)に示すスリープ期間TSを上記不図示のタイマにセットしてタイマ起動すると共に、制御部12a自体をスリープ状態にする。これによって、スリープ期間TSの間は、無線送信回路13a、無線受信回路14aの両方が電源オフになっていると共に、制御部12a自体もスリープ状態となっているので、電力消費が非常に少なくて済む。
【0049】
尚、上記送信状態T11とは、受信端末11aの動作状態において当該受信端末11aが動作状態にあることを送信端末11b側に知らせるための信号(間欠送信信号P11)を無線送信する状態であると言える。
【0050】
尚、上述した図2(a)の処理は、換言すれば、動作状態制御部31aが、図3(a)に示すように、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11を、スリープ期間TSだけ間隔を空けながら間欠的に繰り返すように制御する処理であるとも言える。上述した図2(a)の処理の説明は、一例であり、これに限るものではない。例えば、第1送信状態制御部32a、第1受信状態制御部33aは、それぞれ、上述
した送信処理、受信処理に係る処理のみを実行し、期間TS、TT、TRに係る期間管理は、動作状態制御部31a等が行うようにしてもよい。何れにしても、動作状態制御部31a全体(あるいは制御部12a全体)として、図2(a)に示す動作が行われるように制御するものであれば何でもよい。これは、以下に説明する送信端末11bの動作に関しても同様である。
【0051】
また、一定期間TT、TRは、動作期間(スリープ状態ではない期間)であるとも言える。
尚、動作期間(TT+TR)は、スリープ期間TSに対して十分に短くすることができ、受信端末11aの消費電力は以下の(1)式を満たすことができる。
(TT×PT+TR×PR)≪PR×(TT+TR+TS) ・・・(1)
但し、PTは送信時に無線送信回路13aおよび制御部12aにて消費される電力、PRは受信時に無線受信回路14aおよび制御部12aにて消費される電力である。この式により、無線受信回路14aを常時受信状態とした場合に比べて期間(TT+TR+TS)に消費される電力を削減することができる。
【0052】
一方、送信端末11bには、データを無線にて送信する無線送信回路13b、無線で送信されたデータを受信する無線受信回路14b、データの送受信の制御を行う制御部12b、データの送受信の切り替えを行う切り替え部15b、データを電波として空間に送出したり受信したりするアンテナ16b、無線送信回路13b、無線受信回路14bおよび制御部12bの電源を供給する電池17b、上位装置とデータのやり取りを行うインターフェース18b、無線送信回路13bの電源をオン/オフするスイッチ19b、無線受信回路14bの電源をオン/オフするスイッチ20bが設けられている。
【0053】
ここで、制御部12bには、無線送信回路13bまたは無線受信回路14bを必要に応じて動作状態に移行させる動作状態制御部31bが設けられ、動作状態制御部31bには、第2送信状態制御部32bおよび第2受信状態制御部33bが設けられている。
【0054】
そして、第2受信状態制御部33bは、図3(b)に示すように、送信事象J11の発生を契機として、受信端末11aが動作状態にあるということを送信端末11bが知るための受信待ち状態R12に移行させる。尚、送信事象J11としては、例えば、上位装置からの送信指令、送信端末11b内部で発生した電池電圧情報、他の無線機から中継送信されるデータを受信した場合などを挙げることができる。
【0055】
尚、送信事象J11(例えば上記送信指令)には、送信すべきデータの他に、送信相手先のデータ(宛先の無線端末のID等)も含まれる。よって、送信端末11bは、送信事象J11が発生することにより、どの受信端末11aにデータを送信したらよいかを判断することができると共に、上記ステップS1のID通知によって通知元がデータ送信相手であるか否かを判断できる。
【0056】
また、受信待ち状態R12において任意の受信端末11aが送信した上記間欠送信信号P11(自己が動作状態であることを示す信号)を送信端末11bが受信した場合、第2送信状態制御部32bによって、当該動作状態にある受信端末11aに上記送信すべきデータを送信するための送信状態T12に移行させる。但し、上記の通り、間欠送信信号P11には受信端末11のIDが含まれており、このIDが上記送信事象J11による宛先のIDと一致しない場合には、送信状態T12に移行せずに、そのまま受信待ち状態R12を継続する。
【0057】
上述した動作状態制御部31bの処理動作について、以下、図2(b)、図3(b)を参照して、更に詳しく説明する。
図2(b)は動作状態制御部31bの処理フローチャート図であり、図3(b)はこの処理による送信端末11bの動作タイミング図である。
【0058】
図2(b)の処理は、上記の通り送信端末11bにおいて送信事象J11が発生すると、開始される。
すなわち、送信端末11bの制御部12bは、上記送信事象J11が発生するとスリープ状態から目覚める(起動する)。そして、まず、第2受信状態制御部33bは、予め任意の一定時間TWが設定されている不図示のタイマを起動する。更に、切り替え部15bを無線受信回路14b側に切り替えると共にスイッチ20bをON制御して無線受信回路14bを電源ONすることで、上記受信待ち状態R12を開始する(ステップS4)。上記タイマにより、最長で、予め設定されている一定時間TWだけ受信待ち状態R12となることになる。
【0059】
そして、上記タイマがタイムアップする前に(一定時間TW経過する前に;ステップS6の判定がYESとなる前に)、上記送信相手先の受信端末11aが送信した間欠送信信号P11を受信した場合には(当然、上記ID一致判定を行っている)(ステップS5,YES)、上記送信すべきデータのデータパケットを、上記送信相手先の受信端末11a宛に無線送信する(ステップS7)。ステップS7の処理を行う為に、第2送信状態制御部32bは、切り替え部15bを無線送信回路13b側に切り替えると共にスイッチ19bをON制御して無線送信回路13bを電源ONする(その際、スイッチ20bをOFF制御する)(尚、これは、図3(b)に示す送信状態T12に移ることを意味する)。
【0060】
そして、ステップS7の処理が完了したら、受信待ち状態R12に戻ることなく、スリープ状態へ移行する(ステップS8)。
尚、図3(a)と図3(b)は、それぞれ独立して示しているものであり、相互の関係を示すものではない(相互の関係例は図4(a)、(b)などで示している)。
【0061】
一方、上記送信相手先の受信端末11aが送信した間欠送信信号P11を受信することなく、上記タイマがタイムアップした場合(一定時間TW経過した場合)には(ステップS6,YES)、スリープ状態へ移行する(ステップS8)。すなわち、スイッチを制御して無線送信回路13b、無線受信回路14bの両方を電源オフすると共に、制御部12b自体をスリープ状態にする。
【0062】
ここで、上述した一定時間TWは、電波を受信可能な場所に存在する全ての受信端末11aの送信状態T11を確認できるようにするために、以下の(2)式を満たすように設定することができる。
【0063】
TW>TT+(TT+TR+TS) ・・・(2)
ただし、通信エラーなどにより受信端末11aの送信状態T11を確認できない場合も考慮して、N(Nは2以上の整数)回だけ受信端末11aの送信状態T11を確認できるように、以下の式を満たすように一定時間TWを設定することができる。
【0064】
TW>TT+N×(TT+TR+TS) ・・・(3)
図4は、上述した処理による無線端末の間欠通信方法の一例を示すタイミング図である。
【0065】
以下、図4を参照して、上述した処理についてまとめて説明する。
尚、ここでの説明では、上述した説明のように制御部12a、12bがそれぞれ有する上記各機能部毎に区別することなく、まとめて、制御部12a、12bが行うものとして説明する。
【0066】
図4において、受信端末11a側では、制御部12aが動作状態に移行している動作期間(TT+TR)においては、制御部12aは、まず、送信期間TTにおいて、スイッチ19aをオンして電源を無線送信回路13aに供給することにより、無線送信回路13aを送信状態T11に移行させる。また、制御部12aは、送信期間TTに続く受信期間TRおいて、スイッチ20aをオンして(その際、スイッチ19aをオフする。また切り替え部の切り替え制御も行う;逐一説明しないが、実施形態の説明では全て同様)、電源を無線受信回路14aに供給することにより、無線受信回路14aを受信状態R11に移行させる。
【0067】
そして、制御部12aは、上記一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11の後に、スイッチ19a、20aの両方がオフになるようにし、無線送信回路13aおよび無線受信回路14aの電源を切断し、更に制御部12a自らがスリープ状態となることにより、スリープ期間TSに移行させる。
【0068】
上述した制御を繰返すことで、制御部12aは、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11をスリープ期間TSだけ間隔を空けながら間欠的に繰り返すことができる。
【0069】
一方、送信端末11b側では、制御部12bは、通常時は(送信事象J11が発生しない限りは)、スイッチ19b、20bをオフすることにより、無線送信回路13bおよび無線受信回路14bの電源を切断するとともに、制御部12b自らがスリープ状態となっている。そして、送信事象J11が発生することをトリガとして起動する制御部12bは、スイッチ20bをオンして電源を無線受信回路14bに供給することにより、無線受信回路14bを一定時間TWだけ受信待ち状態R12に移行させる。
【0070】
そして、受信端末11a側において無線送信回路13aが送信状態T11に移行されると、上述した通り、無線送信回路13aはアンテナ16aを介して間欠送信信号P11を送信することになる。尚、既に述べた通り、間欠送信信号P11には、個々の受信端末11aに固有なコード(上記ID)の情報も含まれている(それ以外にも、たとえば、当該信号が間欠送信信号であることを示す情報等も含まれていてよい;これは、他の信号に関しても同様)。
【0071】
そして、図4に示すように送信端末11b側が受信待ち状態R12となっている期間中の任意のときに、間欠送信信号P11が受信端末11aから送信されると、送信端末11bにてこの間欠送信信号P11が受信される。ここで、上述した(2)式を満たすように受信待ち状態R12の時間TWを設定することにより、間欠送信信号P11が受信待ち状態R12と非同期で受信端末11aから送信された場合においても、電波を受信可能な場所に存在する全ての送信端末11bに間欠送信信号P11を受信させることができ、受信端末11aは、自己が動作状態となっていることを送信端末11bに確実に知らせることができる。
【0072】
そして、受信待ち状態R12となっている送信端末11bにて間欠送信信号P11が受信されると、送信端末11bは、既に述べた通り、間欠送信信号P11に含まれる受信端末11aに固有なコード(上記ID)に基づいて、その受信端末11aが送信相手であるかどうかを判断する。そして、その受信端末11aが送信相手であると確認された場合には、送信端末11bは送信状態T12に直ちに移行し、送信信号P12を受信端末11aに送信する。
【0073】
ここで、受信端末11a側でも、送信状態T11において間欠送信信号P11を送信す
ると、その直後に受信状態R11に移行するので、送信端末11bが送信状態T12である時には、受信端末11aは受信状態R11となっており、タイマなどを用いて受信端末11aと送信端末11bとの間で同期をとることなく、受信端末11aは送信端末11bから送信された送信信号P12を受信することができる。
【0074】
但し、上記“直後”である必要は必ずしもない。要は、間欠送信信号P11の送受信タイミングを基準にして、受信端末11aと送信端末11bとでその後に同じタイミング(上記“直後”又は同じ時間経過後等)でそれぞれ受信状態R11、送信状態T12に移行するように予め設定しておけばよい。
【0075】
上記本例の手法では、送信端末11b側では受信端末11a側にデータを送信する前に受信待ち状態R12で待機し、送信端末11bが送信事象に係るパケットデータの送信を行う以前に、受信端末11aが動作状態にあることを送信端末11bに通知することが可能となる。更に、この通知タイミングを元にそれぞれ受信状態R11、送信状態T12に移行する。
【0076】
このため、受信端末11aが非同期で間欠的に動作状態を繰り返している場合においても、受信端末11aと送信端末11bとで動作タイミングを同期化させることなく、受信端末11aが動作状態にある時にデータを受信させることが可能となるとともに、送信端末11bが受信端末11aを捕捉するために、送信端末11bが長時間送信状態T12を継続させる必要がなくなることから、送受信時の低消費電力化を図りつつ、送信動作中における空間のチャンネルの占有時間を低減することができる。
【0077】
尚、間欠送信信号P11に含まれる受信端末11aに固有なコード(ID)に基づいて、その受信端末11aが送信相手であると送信端末11b側で確認された場合には、図4に示す通り、送信端末11bではその直後に受信待ち状態R12を中止するようにしてもよい。これにより、受信端末11aが今回のデータの送信相手であるかどうかを送信端末11b側で確実に確認することを可能としつつ、送信端末11bが受信待ち状態R12となっている時間を短くすることができ、送信端末11bの低消費電力化を図ることが可能となる。
【0078】
図5は、本実施形態に係る無線端末の間欠通信方法のその他の例を示すタイミング図である。
図5において、受信端末11a側では、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11がスリープ期間TSだけ間隔を空けながら間欠的に繰り返されている。一方、送信端末11b側では、送信事象J11が発生すると、一定時間TWだけ受信待ち状態R12に移行する。
【0079】
そして、受信端末11a側において送信状態T11に移行すると、間欠送信信号P11が送信され、受信待ち状態R12となっている送信端末11bにて間欠送信信号P11が受信される。そして、受信待ち状態R12となっている送信端末11bにて間欠送信信号P11が受信されると、送信端末11bは、間欠送信信号P11に含まれる受信端末11aに固有なコードに基づいて、その受信端末11aが送信相手であるかどうかを判断する。そして、その受信端末11aが送信相手であると確認された場合には、送信端末11bは送信状態T12に直ちに移行し、送信信号P12を送信相手の受信端末11aに送信する。
【0080】
ここまでは、図4と同様である。
そして、送信端末11bは、送信信号P12を受信端末11aに送信すると、受信状態R13に直ちに移行する。尚、受信状態R13は受信状態R12と略同様の処理により実
現される(違いは、待ち受けるデータの種類(P11か後述するP15か)である)。これは、T11〜T13等に関しても同様である(送信するデータが異なるだけ)。
【0081】
一方、受信端末11aは、間欠送信信号P11を送信すると、受信状態R11に直ちに移行し、送信端末11bから送信された送信信号P12を受信することができる。これは図4と同様である。そして、受信端末11aは、送信端末11bから送信された送信信号P12を受信すると、送信状態T13に直ちに移行し、送信信号P12に対する応答信号P15を送信端末11bに送信する。
【0082】
そして、送信端末11bは、応答信号P15を受信端末11aから受信すると、受信待ち状態R12を直ちに中止することができる。
これにより、受信端末11a側でデータを正常に受信できたか否かを送信端末11bで確実に確認することを可能としつつ、送信端末11bが受信待ち状態となっている時間を短くすることができ、データ通信の信頼性を担保しつつ、送信端末11bの低消費電力化を図ることが可能となる。
【0083】
図6は、本発明の一実施形態に係る無線端末の間欠通信方法のさらにその他の例を示すタイミング図である。
図6において、送信端末11bは、複数の受信端末11a、11cと通信を行うものとする。なお、受信端末11cは、図1の受信端末11aと同様の構成をとることができる。
【0084】
そして、受信端末11a、11c側では、一定期間TTの送信状態T11とそれに続く一定期間TRの受信状態R11がスリープ期間TSだけ間隔を空けながら間欠的に繰り返されている。一方、送信端末11b側では、受信端末11aに対する送信事象J11が発生すると、一定時間TWだけ受信待ち状態R12に移行する。
【0085】
そして、受信端末11a側において送信状態T11に移行すると、間欠送信信号P11が送信され、受信待ち状態R12となっている送信端末11bにて間欠送信信号P11が受信される。そして、受信待ち状態R12となっている送信端末11bにて間欠送信信号P11が受信されると、送信端末11bは、間欠送信信号P11に含まれる受信端末11aに固有なコード(ID)に基づいて、その受信端末11aが送信相手であるかどうかを判断する。そして、その受信端末11aが送信相手であると確認された場合には、送信端末11bは送信状態T12に直ちに移行し、送信信号P12を受信端末11aに送信する。
【0086】
一方、受信端末11aは、間欠送信信号P11を送信すると、受信状態R11に直ちに移行し、送信端末11bから送信された送信信号P12を受信することができる。
ここまでは図4と同様である。
【0087】
ここで、本例では、送信端末11bにおいて、送信事象J11発生に応じた受信待ち状態R12の間に、更に、受信端末11cに対する送信事象J12が発生している。
この場合、送信端末11bは、受信端末11aに送信信号P12を送信した後も、受信待ち状態R12を継続させる。そして、受信端末11c側において送信状態T11に移行すると、図示の間欠送信信号P13が送信され、受信待ち状態R12となっている送信端末11bにて間欠送信信号P13が受信される。尚、この例の場合、一定時間TWは、送信事象J12発生時を基準にしてもよい。
【0088】
そして、受信待ち状態R12となっている送信端末11bにて間欠送信信号P13が受信されると、送信端末11bは、間欠送信信号P13に含まれる受信端末11cに固有なコードに基づいて、受信端末11cが送信相手であるかどうかを判断する。そして、受信
端末11cが送信相手であると確認された場合には、送信端末11bは送信状態T13に直ちに移行し、送信信号P14を受信端末11cに送信する。
【0089】
尚、送信状態T13は、送信状態T12と略同様である(送信するデータと送信相手が異なるだけである)。
一方、受信端末11cは、間欠送信信号P13を送信すると、受信状態R11に直ちに移行し、送信端末11bから送信された送信信号P14を受信することができる。
【0090】
これにより、複数の受信端末11a、11cを対象とした送信事象J11、J12が連続して発生した場合においても、それらの複数の受信端末11a、11cについての送信処理を継続して行うことができ、受信端末11a、11cが間欠的に動作状態を繰り返している場合においても、複数の受信端末11a、11cを対象としたデータ通信を効率よく行うことができる。
【0091】
なお、第1送信状態制御部32a、第1受信状態制御部33a、第2送信状態制御部32bおよび第2受信状態制御部33bは、これらの各制御部で行われる処理を遂行させる命令が記述されたプログラムをコンピュータに実行させることにより実現することができる。
【0092】
そして、このプログラムをCD−ROMなどの記憶媒体に記憶しておけば、受信端末11aおよび送信端末11bに搭載されたコンピュータに記憶媒体を装着し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、第1送信状態制御部32a、第1受信状態制御部33a、第2送信状態制御部32bおよび第2受信状態制御部33bで行われる処理を実現することができる。また、このプログラムを通信ネットワークを介して受信端末11aおよび送信端末11bに搭載されたコンピュータにダウンロードすることにより、このプログラムを受信端末11aおよび送信端末11bにインストールするようにしてもよい。
【0093】
図7は、本発明の第2実施形態に係る無線端末の概略構成を示すブロック図である。
既に述べた通り、一般的に、無線機は、送信側、受信側のどちらにもなり得るので、図1に示す受信端末11a、送信端末11bの両方の機能を備えていることになる。これより、図7に示す無線端末111a、111bは、受信端末11a、送信端末11bの両方の機能を有している。また、これより、当然、無線端末111a、111bの構成は同じである(符号は変えているが、実質、同じものである)。
【0094】
よって、無線端末111a、111bというように区別することなく、無線端末111と呼んでも良い。これは、これら無線端末111内の各構成要素についても同様であり、例えば制御部112a,112bというように区別することなく、制御部112と呼んでも良い。これは他の構成要素についても同様である。但し、説明の都合上、区別して記す場合もある。
【0095】
そして、以下の説明においては、無線端末111a、111bが受信側として動作する場合には受信側の無線端末111a、111b等といい、送信側として動作する場合には送信側の無線端末111a、111b等というものとする。また、無線端末111a、111bの何れか一方が受信側の場合には、他方は送信側であるものとして説明するものとする。
【0096】
同様に、後述する無線端末111cも、無線端末111a等と同じ構成である。
尚、以下に図7について説明するが、上述したことから、この説明は単に既に説明した受信端末11a、送信端末11bの両方の機能をまとめたものである。
【0097】
図7において、無線端末111a、111bには、データを無線にて送信する無線送信回路113a、113b、無線で送信されたデータを受信する無線受信回路114a、114b、データの送受信の制御を行う制御部112a、112b、データの送受信の切り替えを行う切り替え部115a、115b、データを電波として空間に送出したり受信したりするアンテナ116a、116b、無線送信回路113a、113b、無線受信回路114a、114bおよび制御部112a、112bの電源をそれぞれ供給する電池117a、117b、上位装置とデータのやり取りを行うインターフェース118a、118b、無線送信回路113a、113bの電源をそれぞれオン/オフするスイッチ119a、119b、無線受信回路114a、114bの電源をそれぞれオン/オフするスイッチ120a、120bがそれぞれ設けられている。また、制御部112a、112bには不図示のタイマが設けられ、制御部112a、112b自体の消費電力を最低に維持するスリープ状態となり、一定時間後に動作状態に移行することができる。
【0098】
ここで、制御部112a、112bには、無線送信回路113a、113bまたは無線受信回路114a、114bを間欠的に動作状態にそれぞれ移行させる動作状態制御部131a、131bがそれぞれ設けられ、動作状態制御部131a、131bには、第1送信状態制御部132a、132b、第1受信状態制御部133a、133b、第2送信状態制御部134a、134bおよび第2受信状態制御部135a、135bがそれぞれ設けられている。
【0099】
そして、第1送信状態制御部132a、132bは、受信側の無線端末111a、111bの動作状態において、受信側の無線端末111a、111bが動作状態にあることを送信側の無線端末111a、111bに知らせるための送信状態T11にそれぞれ移行させることができる。また、第1受信状態制御部133a、133bは、受信側の無線端末111a、111bが動作状態にあることを送信側の無線端末111a、111bにそれぞれ知らせるための送信状態T11に引き続いて、送信側の無線端末111a、111bから送信されたデータを受信するための受信状態R11にそれぞれ移行させることができる。
【0100】
さらに、第2受信状態制御部135a、135bは、送信事象J11の発生を契機として、受信側の無線端末111a、111bが動作状態にあるということを送信側の無線端末111a、111bが知るための受信待ち状態R12にそれぞれ移行させる。また、第2送信状態制御部134a、134bは、受信待ち状態R12において受信側の無線端末111a、111bが送信相手であることを示すデータ(上記ID等)を送信側の無線端末111a、111bがそれぞれ受信した場合、動作状態にある受信側の無線端末111a、111bにデータを送信するための送信状態T12にそれぞれ移行させる。
【0101】
そして、動作状態制御部131a、131bは、受信側の無線端末111a、111bにおいて、送信状態T11とそれに続く受信状態R11を間欠的にそれぞれ繰り返すことができる。
【0102】
図8は、図7の無線端末の間欠通信方法を示すタイミング図である。
図8において、無線端末111bは、複数の無線端末111a、111cと通信を行うものとする。なお、無線端末111cは、図7の無線端末111a、111bと同様の構成をとることができる。
【0103】
そして、各無線端末111a〜111cでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11がスリープ状態(上記スリープ期間TS等)を挟みながら間欠的に繰り返されている。また、無線端末111a〜111cでは、任意の他の無線端末に対する任意の送信事象
が発生すると、一定時間(上記TW等)だけ受信待ち状態R12に移行する。そして、既に述べている通り、受信待ち状態R12中に、当該送信事象に係るデータ送信相手から上記送信状態T11による間欠送信信号P11が送信されてくると、送信状態T12に移行してデータ送信(送信信号P12)を行う。また、本例では、図示の通り、受信待ち状態R12中にスリープ期間TSが終わった場合には、受信待ち状態R12を中断して、送信状態T11及び受信状態R11に移行し、その後再び受信待ち状態R12に戻る。尚、その際、中断前後の受信待ち状態R12の期間を合わせて上記一定時間TWとなるように制御してもよいし、この例に限らなくてもよい。
【0104】
そして、図示の例では、まず、無線端末111aにおいて、無線端末111bに対する送信事象J11が発生するものとし、一定時間だけ受信待ち状態R12に移行する。
そして、無線端末111bでは送信状態T11に移行すると、間欠送信信号P11が送信され、受信待ち状態R12となっている無線端末111aにて間欠送信信号P11が受信される。そして、受信待ち状態R12となっている無線端末111aにて間欠送信信号P11が受信されると、無線端末111aは、間欠送信信号P11に含まれる無線端末111bに固有なコードに基づいて、その無線端末111bが送信相手であるかどうかを判断する。そして、その無線端末111bが送信相手であると確認された場合には、無線端末111aは送信状態T12に直ちに移行し、送信信号P12を無線端末111bに送信することができる。
【0105】
一方、無線端末111bは、間欠送信信号P11を送信すると、受信状態R11に直ちに移行し、無線端末111aから送信された送信信号P12を受信することができる。
また、無線端末111bでは、ここでは図示のタイミングで無線端末111cに対する送信事象J11が発生しており、上記の通り場合によっては送信状態T11とそれに続く受信状態R11を間に割り込ませながら、一定時間だけ受信待ち状態R12に移行する。
【0106】
そして、無線端末111cでは送信状態T11に移行すると、間欠送信信号P13が送信され、受信待ち状態R12となっている無線端末111bにて間欠送信信号P13が受信される。そして、受信待ち状態R12となっている無線端末111bにて間欠送信信号P13が受信されると、無線端末111bは、間欠送信信号P13に含まれる無線端末111cに固有なコードに基づいて、その無線端末111cが送信相手であるかどうかを判断する。そして、その無線端末111cが送信相手であると確認された場合には、無線端末111bは送信状態T12に直ちに移行し、送信信号P14を無線端末111cに送信することができる。
【0107】
一方、無線端末111cは、間欠送信信号P13を送信すると、受信状態R11に直ちに移行し、無線端末111bから送信された送信信号P14を受信することができる。
これにより、受信待ち状態R12中に送信状態T11とそれに続く受信状態R11を同一の無線端末111a〜111cで間欠的に繰り返すことができ、双方向通信における空間のチャンネルの占有時間を低減しつつ、送受信時の低消費電力化を図るとともに、非同期的に通信状態に移行することが可能となる。
【0108】
図9は、本実施形態に係る無線端末の間欠通信方法のさらにその他の例を示すタイミング図である。
図9において、無線端末111a、111bでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11がスリープ状態を挟みながら間欠的に繰り返されている。また、無線端末111bは、無線端末111aに対する送信事象J11が発生すると、送信状態T11とそれに続く受信状態R11を間に割り込ませながら、一定時間だけ受信待ち状態R12に移行する。
【0109】
そして、無線端末111a、111bでは、送信状態T11に移行すると、間欠送信信号P11、P13がそれぞれ送信される。ここで、無線端末111a、111bが送信状態T11に同時に移行した場合、間欠送信信号P11、P13の送信タイミングが一致し、受信待ち状態R12となっている無線端末111bが間欠送信信号P13を受信できなくなる。そして、無線端末111a、111bにおいて送信状態T11に移行するタイミングが一定である場合、間欠送信信号P11、P13の送信タイミングが一旦一致すると、次回以降の間欠送信信号P11、P13の送信タイミングも一致する可能性が高くなる。
【0110】
このため、無線端末111a、111bでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11になる周期を毎回変化させるようにすることができる。例えば、無線端末111aでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11になる周期をTW+αR+TT、無線端末111bでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11になる周期をTW+αB+TTとすることができる。ただし、αR、αBは、各無線端末111a、111bがその都度計算する間欠送信信号P11、P13の送信タイミングに固有の値である。例えば、αR、αBは、各無線端末111a、111bの識別コードと時間経過に関する情報を基準に算出されたランダムな値に設定することができる。
【0111】
そして、無線端末111a、111bでは、送信状態T11とそれに続く受信状態R11になる周期を毎回変化させることで、間欠送信信号P11、P13の送信タイミングが一致した後、無線端末111bが送信状態T11に再度移行する前に、無線端末111aでは送信状態T11に再度移行することができる。そして、無線端末111aが送信状態T11に再度移行すると、間欠送信信号P13が送信され、受信待ち状態R12となっている無線端末111bにて間欠送信信号P13が受信される。そして、受信待ち状態R12となっている無線端末111bにて間欠送信信号P13が受信されると、無線端末111bは、間欠送信信号P13に含まれる無線端末111aに固有なコードに基づいて、その無線端末111aが送信相手であるかどうかを判断する。そして、その無線端末111aが送信相手であると確認された場合には、無線端末111bは送信状態T12に直ちに移行し、送信信号P14を無線端末111aに送信することができる。
【0112】
一方、無線端末111aは、間欠送信信号P13を送信すると、受信状態R11に直ちに移行し、無線端末111bから送信された送信信号P14を受信することができる。これにより、無線端末111a、111b間で周期的に双方向通信を行う場合においても、定周期送信の動作タイミングの衝突を回避することが可能となり、双方向通信における空間のチャンネルの占有時間を低減しつつ、送受信時の低消費電力化を図るとともに、非同期的に通信状態に移行することが可能となる。
【0113】
図10は、図1に示した受信端末11a、送信端末11b、図7に示した無線端末111a、111bを、よりハードウェア的に示す構成図である。
図10に示す無線端末200は、アンテナ201、送受信切替部202、無線送信回路203、無線受信回路204、送信状態制御部205、受信状態制御部206、データ送信制御部207、間欠動作制御部208、ID通知信号判定部209、電源(電池)210、電源ライン211、スイッチ212、スイッチ213とから成る。
【0114】
送信状態制御部205、受信状態制御部206、データ送信制御部207、間欠動作制御部208、及びID通知信号判定部209は、図示のCPU220等が、内臓の又は不図示の外部メモリ等の記憶装置に予め記憶されている所定のアプリケーションプログラムを読み出し・実行することにより実現される各種機能部である。
【0115】
尚、送信状態制御部205、受信状態制御部206、データ送信制御部207、間欠動
作制御部208、及びID通知信号判定部209は、これら全体として、図1や図7等に示す制御部12a、12b、111a、111bの機能に相当するものである。よって、制御部12a、12b、111a、111bの機能も、図示のCPU220等が、内臓の又は不図示の外部メモリ等の記憶装置に予め記憶されている所定のアプリケーションプログラムを読み出し・実行することにより実現されるものであるとも言える。
【0116】
よって、当然、上述した動作状態制御部31a,31b,131a、131bや、各送信状態制御部32a、32b、132a,132b,133a,133bや、各受信状態制御部33a、33b、134a,134b,135a,135bの機能も、図示のCPU220等が、内臓の又は不図示の外部メモリ等の記憶装置に予め記憶されている所定のアプリケーションプログラムを読み出し・実行することにより実現されるものであるとも言える。
【0117】
また、更に、後述する図15、図19、図21〜図24や図34、図36に示すフローチャート図の処理も、図示のCPU220等が、内臓の又は不図示の外部メモリ等の記憶装置に予め記憶されている所定のアプリケーションプログラムを読み出し・実行することにより実現されるものであるとも言える。また、上記記憶装置には、図42(a),(b)や図17(a)に示す構成情報等、上述した処理や図15、図19に示す処理や図21〜図24や図34、図36に示す処理に必要な各種データ等も記憶されている。
【0118】
アンテナ201は上記アンテナ16a等に相当し、送受信切替部202は上記切り替え部15a等に相当し、無線送信回路203は上記無線送信回路13a等に相当し、無線受信回路204は上記無線受信回路14a等に相当するので、これらについては特に説明しない。
【0119】
スイッチ212、スイッチ213は、上記スイッチ19a、20a等に相当し、ここではその構成をより明確に示してある。すなわち、スイッチ212、スイッチ213は、図示の通り、電源ライン211上に設けられており、スイッチ212、213をON/OFF制御することで、無線送信回路203、無線受信回路204に対する電源(電池)210からの電力供給がON/OFFされる。
【0120】
スイッチ212、213をON/OFF制御は、それぞれ送信状態制御部205、受信状態制御部206が、間欠動作制御部208による間欠動作制御に基づいて実行する。
間欠動作制御部208は、上記各期間(TT、TR、TS、TW)を管理して、送信状態制御部205、受信状態制御部206に対してスイッチON/OFFの指示を出す。つまり、間欠動作制御部208及び送信状態制御部205、受信状態制御部206によって、無線送信回路203、無線受信回路204への電源供給がON/OFF制御される。換言すれば、間欠動作制御部208及び送信状態制御部205、受信状態制御部206は、上述した各送信状態制御部32a、32b、132a,132b,133a,133bや、各受信状態制御部33a、33b、134a,134b,135a,135bに相当する機能部である。
【0121】
上記間欠動作制御部208等によって無線受信回路204が動作状態になると、他の無線端末からの無線送信信号が無線受信回路204によって受信可能となり、無線受信回路204によって受信された受信データは、ID通知信号判定部209に入力され、あるいは不図示の上位装置等に伝送される。
【0122】
ID通知信号判定部209は、無線受信回路14aによって受信した信号に含まれる上記IDを取り出して、当該信号の送信元がパケットデータの送信相手であるか否かを判定して、判定結果をデータ送信制御部207に渡す。
【0123】
上記間欠動作制御部208等によって無線送信回路203が動作状態になることで無線によるデータ送信が可能になると、データ送信制御部207は、上記間欠送信信号P11,P13や応答信号P15や送信信号P12,P14等を無線送信させる。尚、送信信号P12,P14等は、上記ID通知信号判定部209から渡される判定結果に基づいて、送信すべきか否かを判定する。
【0124】
上記の通り図10に示す何れの機能部の処理も、既に説明してある処理であり、ここでは、スイッチON/OFF制御に関すること、及び上述した各種処理がCPUで実行されることを明確にする為に、図示の構成図を示して説明している。
【0125】
図11は、本実施形態に係る無線端末の動作方法を示す状態遷移図である。
図11において、図7の無線端末111a、111bは定期的にスリープ状態に入る(K11)。なお、スリープ状態とは、無線送信回路113a、113bおよび無線受信回路114a、114bの電源をオフするとともに、制御部112a、112b自体も起動用のタイマのみが動作している状態を示す。
【0126】
そして、無線端末111a、111bがスリープ状態にある時に、タイマがタイムアップすると、送信状態T11に遷移する(K12)。そして、送信状態T11において送信処理が終了すると、送信状態T11に続く受信状態R11に遷移し、受信待ちとなる(K13)。そして、受信状態R11において受信待ちがタイムアップすると、スリープ状態に戻る。一方、受信状態R11において受信が行われると、受信処理を行い(K14)、受信したデータが無効な場合はスリープ状態に戻る。一方、受信状態R11において受信したデータが自分宛の情報である場合には、そのデータを処理した後(K15)、スリープ状態に戻る。
【0127】
一方、無線端末111a、111bがスリープ状態にある時に、送信事象が発生すると(K16)、送信先候補を選択した後に、受信待ち状態R12に遷移する(K17)。そして、受信待ち状態R12においては、送信事象が発生するごとに、送信先候補を選択する。
【0128】
また、受信待ち状態R12において、タイマがタイムアップすると、送信状態T11に遷移し(K18)、送信処理が終了すると、受信待ち状態R12に戻る。
また、受信待ち状態R12において受信が行われると、受信処理を行い(K19)、受信したデータが無効な場合は受信待ち状態R12に戻る。一方、受信処理において受信されたデータが自分宛の情報である場合には、そのデータを処理した後(K20)、受信待ち状態R12に戻る。
【0129】
また、受信処理において受信されたデータが無線端末111a、111bの動作状態を知らせるためのものである場合、そのデータに含まれる無線端末111a、111bに固有のコードに基づいて無線端末111a、111bが送信相手であるかどうかを判断する(K21)。そして、その無線端末111a、111bが送信相手でないと確認された場合には、受信待ち状態R12に戻る。一方、その無線端末111a、111bが送信相手でないと確認された場合には、無線端末111a、111bは送信状態T12に直ちに移行し、データ送信を行う(K22)。そして、送信情報が残っている場合には、受信待ち状態R12に戻り、全ての送信処理が終了した場合には、スリープ状態に戻る。
【0130】
ここで、特許文献1等に示される無線通信ネットワークシステムにおいて、各無線端末が、上記無線端末111a、111bの構成・動作を備える場合、まず、各無線端末は、通常時(送信事象J11が発生していないとき)には、間欠的に受信側の動作状態を繰返
している。そして、任意の送信事象J11が発生した無線端末(パケット送信元の無線端末だけでなく、このパケットの中継を依頼された無線端末(中継無線端末)全て)は、一定時間TWの受信待ち状態R12となるが、上記の通り、間欠送信信号P11を受信してパケットをデータ送信(送信信号P12を送信)したならば、一定時間TW経過する前であっても受信待ち状態R12を終了してよい。特許文献1等に示される無線通信ネットワークシステムでは、各無線端末の周辺には多くの無線端末が存在する場合が多いので、早期にパケットデータを送信できる可能性が高く、これによって早期に受信待ち状態R12を終了できれば、その分、電池消耗を抑えることができる。
【0131】
すなわち、特許文献1等に示される無線通信ネットワークシステムにおいて、各無線端末が、上記無線端末111a、111bの構成・動作を備える場合、任意の送信事象J11の発生に伴って特定のデータ相手先が決められるものではない。特許文献1等に示される無線通信ネットワークシステムでは、任意の送信事象J11の発生に伴ってパケットの着信先(最終着信先;最終宛先)は指定されるが、このパケットの中継先(自端末の通信相手)は、例えば上述した図42等に示す構成情報を参照する等して決定する。換言すれば、所定の条件を満たす無線端末(特許文献1等に記載の通り、基本的には特許文献1記載の“前向き隣接無線端末”であるが、これに限らない(詳しくは後述する))が、パケットデータ送信相手となる。
【0132】
これを無線端末111a、111bの動作に適用すると、所定の条件が満たされる無線端末のなかで最初に間欠送信信号P11を送信してきた無線端末を、パケットデータ送信相手としてパケット送信(上記送信信号P12等の送信に相当)してよいことになる。これより、上記の通り、早期に受信待ち状態R12を終了できる可能性が高くなる。
【0133】
例えば、図12(a)、(b)に、本例の無線端末間の通信動作の一例を示す。
図12(a)には任意の無線端末が通信可能な他の無線端末が1台のみである場合、図12(b)には任意の無線端末が通信可能な他の無線端末が多数台である場合の動作例を示す。図示の通り、図12(b)の方が図12(a)よりもずっと早く、送信信号P12を送信して、受信待ち状態R12を終了できている。
【0134】
図12(a)(b)の例が極端であるにしても、確率的に、多くの無線端末と通信可能である方が早期に受信待ち状態R12を終了できる可能性が高いことは明らかである。すなわち、図12(b)に示す例では、最初に受信した間欠送信信号P11の送信元が上記所定の条件を満たす場合を例にしたが、もしこれが条件を満たさなくても、次の間欠送信信号P11の送信元、更にその次の間欠送信信号P11の送信元が、所定の条件を満たすものであれば、その時点でパケットデータ(P12)を送信して、受信待ち状態R12を終了できる。
【0135】
また、特許文献1等記載の技術では、パケットデータ送信相手は、自端末が直接通信可能であるとする無線端末(構成情報における通信回数が1回)のなかから決定されることになるが、当該“自端末が直接通信可能であるとする無線端末”は基本的に安定的に通信可能なものが選ばれているので、他の無線端末とは全く通信できないというわけではない。
【0136】
すなわち、従来技術で説明したように、特許文献1等に示される無線通信ネットワークシステムでは、通信路の信頼性の診断結果に基づいて、信頼性の高い通信相手(上記無線端末Aの例では、無線端末B,C,D)とのみ通信を行っていたが、これら以外の無線端末であっても、その無線端末からの間欠送信信号P11を受信できたならば、少なくともこのときには当該無線端末との通信が可能であることになる。
【0137】
これにより、例えば図13に示すようなパケット転送経路によるパケット伝送が可能となる場合もあり得る。
図13には、パケット送信元が無線端末A、着信先が無線端末Jである場合を例にしている。この場合、特許文献1等に記載の手法では、例えば、無線端末A→C→E→G→Jの順にパケットが中継されることで、パケットが無線端末Jに到達することになる。つまり、通信回数4回(中継回数3回)必要となる。(尚、図42や後述する図17等に示す構成情報における“通信回数”は、“中継回数”に置き換えることができる。この場合、中継回数=通信回数−1となる。よって、例えば通信回数2回のものは中継回数1回となる。)
これに対して、あるとき、周囲の通信環境が良好等の理由により、無線端末AとE、及び無線端末EとJとが通信可能であったものとする。この場合、送信側の無線端末Aは、上記受信待ち状態R12の状態で、受信側の無線端末Eからの間欠送信信号P11を受信することができ、これにより、現在、無線端末Eと通信可能であることが分かり、図13において図上点線→で示すように、無線端末Eへデータパケットを送信する。
【0138】
同様に、このデータパケットを受信した無線端末Eは、送信側の無線端末として、上記受信待ち状態R12の状態となり、受信側の無線端末Jからの間欠送信信号P11を受信すると、このデータパケットを無線端末Jへ送信する(パケットを中継する)ことになる。この場合、通信回数2回(中継回数1回)で済むことになり、パケットの伝送効率が向上すると共に、無線端末CとGがパケット中継動作を行わなくて済み、両端末の電池消耗を抑えることができる。
【0139】
しかしながら、単純に、受信待ち状態R12になってから最初に受信した間欠送信信号P11の送信元の無線端末へパケットを送信するようにした場合、例えば着信先(最終目的地)と反対方向の無線端末へ中継したりすると、かえってパケット中継効率が悪くなり(転送経路が遠回りになる)、全体としての消費電力が多くなる(そこまでいかなくても省電力効果が少なくなる)場合もあり得る。
【0140】
例えば、図13において、パケット送信元が無線端末C、着信先が無線端末Jである場合であって、無線端末Cが受信待ち状態R12になってから最初に受信した間欠送信信号P11の送信元が、無線端末Aであった場合、無線端末Aにパケットを送信して中継してもらうと、パケットの転送経路が遠回りなものとなってしまう。つまり、パケット中継効率が悪くなる。また、パケットの転送経路が遠回りとなることで、パケット中継を行う無線端末の数が増えることになるので、全体としての消費電力が増えることになり得る。
【0141】
以上述べたことから、各無線端末は、図1、図7等で説明した基本動作を行うだけでなく、以下に説明するように、例えば上述した特許文献1等における構成情報を用いて、図15に示す処理を実行する。
【0142】
尚、上記図1、図7等で説明した基本動作は、図14に示す変形例も可能であるので、図15に示す処理は、図14に示す変形例を前提としたものとするが、この例に限らない。
【0143】
図14に示す変形例では、受信待ち状態R12になっている任意の送信側無線端末が、任意の受信側無線端末からの間欠送信信号P11を受信すると、この間欠送信信号P11の送信元の無線端末に対して、まず受信時間延長要求を送信し、その後に送信すべきデータのパケット(上記送信信号P12に相当)を送信する。上述した基本動作では、受信状態R11となる期間TRは一定であるが、本例では、受信時間延長要求を受信すると、期間TRを延長する。どの程度延長するかは、予め任意に決めて設定しておく。
【0144】
上述した基本動作では、間欠送信信号P11を受信すると直ちに送信信号P12を送信していたが、送信信号P12のデータを準備するのに時間が掛かる場合もあり得る。この為、本例では、上記の通り、まず受信時間延長要求を送信し、受信状態R11の期間を延ばすようにしている。
【0145】
以下、図15のフローチャート図を参照して、本例の無線通信ネットワークシステムの無線端末の動作について説明する。また、上記の通り、無線通信ネットワークシステム例は、図41を参照するものとする。
【0146】
まず、任意の送信事象J11(ここでは、無線端末X宛のパケットデータの送信又は中継の要求;尚、XはA〜Jの何れか)が発生した無線端末(以下、パケットデータ送信側無線端末と呼ぶ)は、まず、上記受信待ち状態R12に移行し、他の無線端末からの間欠送信信号P11受信待ち状態となる(ステップS11)。尚、間欠送信信号P11には当該信号P11の送信元の無線端末のID(識別符号)が含まれており、ステップS11は識別符号受信待ちの状態であるとも言える。
【0147】
尚、無線端末Xは、特許文献1等に記載の「最終着信先の無線端末」に相当する。従って、無線端末Xと直接通信可能な場合を除いて、通信相手(パケットの送信先)は無線端末X以外の無線端末となり、この無線端末が新たなパケットデータ送信側無線端末となってパケットデータを中継・送信することになる。尚、最終着信先を単に着信先と呼ぶ場合もあるものとする。
【0148】
そして、任意の無線端末(以下、パケットデータ受信側無線端末又は無線端末Yと呼ぶ;尚、YはA〜Jの何れか)が送信した送信信号P11を受信すると、上記IDによって、送信元無線端末YがA〜Jの何れであるかを認識する。そして、構成情報を参照して、無線端末Xへの前向き隣接局と無線端末Yへの前向き隣接局とを求めて、両者に共通の隣接局があるか否かを判定する(ステップS12)。尚、「前向き隣接局」に関しては、特許文献1に開示されているし、後に簡単に説明してあるので、ここでの説明は省略する。また、「隣接局」と「隣接無線端末」とは同義である。
【0149】
また、尚、既に述べた通り、無線端末Yは、パケットデータ送信側無線端末の隣接無線端末のみとは限らない。上記の通り、隣接無線端末以外の無線端末(非隣接無線端末)が送信した間欠送信信号P11を受信する場合もあり得るからである。
【0150】
例えば、図42(a),(b)に示す構成情報を例にすると、パケットデータ送信側無線端末が無線端末Aであり、無線端末Xが無線端末Jであり、無線端末Yが無線端末Eであった場合、無線端末Aにとって、無線端末Jに対する前向き隣接局は無線端末B,C,Dであり、無線端末Eに対する前向き隣接局は無線端末B,Cである。よって、この場合、両者に共通の隣接局がある(無線端末B,Cが共通)ことになるので、ステップS12の判定はYESとなる。
【0151】
尚、無線端末Yが隣接局である場合には、無線端末Y自体を当該無線端末Yへの前向き隣接局と見做して、ステップS12の判定を行う。よって、上記の例において無線端末Yが無線端末B又はC又はDである場合には、ステップS12の判定はYESとなる。
【0152】
尚、ステップS12の処理と後述するステップS25の処理は、“パケットデータ転送経路が少なくとも遠回りにならないようにする”という目的の為の処理であるという点で似ている。よって、ステップS12の判定がYESになる場合には、後述するステップS25の判定がNOとなる(ACK(肯定応答)送信となる)可能性が高いのであるが、100%ではない。つまり、ステップS12の判定がYESであってもステップS12の判
定がYES(NACK(否定応答)送信)になる場合もあり得る。しかし、もし、ステップS12の判定を行わないと、送信信号P11を受信する毎にステップS13の受信延長要求送信処理を行うことになり、通信回数が多くなる可能性があるので、ステップS12の処理を行っている。
【0153】
但し、ステップS12の処理と後述するステップS25に係わる処理の何れか一方のみを行うようにしてもよい。尚、後述するステップS25に係る処理は、後述するように、送信側で行う形態とすることも可能である。
【0154】
共通の隣接局が無い場合には(ステップS12、NO)、ステップS11に戻り、再び、他の無線端末からの間欠送信信号P11受信待ち状態となる。一方、共通の隣接局がある場合には(ステップS12、YES)、上記送信信号P11の送信元の無線端末Yに対して上記受信時間延長要求を送信する(ステップS13)。この受信時間延長要求には、自端末のID、無線端末XのID等の他に、自端末から無線端末Xまでのホップ数を付加する。上記の例では、無線端末Aから無線端末Jまでのホップ数(構成情報に示す“通信回数”)は‘4’であることが分かる。
【0155】
一方、上記パケットデータ受信側無線端末(無線端末Y)は、間欠的に(上記TS間隔)、ステップS21のスリープ状態から動作状態に以降して、上述した間欠送信信号P11(上記自己のIDも含む)を送信し(ステップS22)、続いて受信状態R11に移行する(ステップS23)。そして、ステップS23の受信待ち状態で上記ステップS13で送信された受信時間延長要求を受信すると(ステップS24、YES)、自端末が保持する構成情報を参照して、自端末から無線端末Xまでのホップ数を求める。
【0156】
後に図17(a)に示す無線端末Eの構成情報例では(当然、無線端末Eは少なくとも自己の構成情報は保持している)、無線端末Eから無線端末Xまでのホップ数は‘2’であることが分かる。
【0157】
そして、このホップ数を上記受信時間延長要求に付加されているホップ数と比較して、自己のホップ数の方が大きい場合には(ステップS25,YES)パケットデータ送信側無線端末に対してNACK(否定応答)を送信し(ステップS27)、自己のホップ数の方が小さいか又は同一の場合には(ステップS25,NO)パケットデータ送信側無線端末に対してACK(肯定応答)を送信する(ステップS26)。そして、受信状態R11の時間延長して受信待ち状態を続行する(ステップS28)。尚、上記の例では、‘2’<‘4’であるので、ACKが返信されることになる。
【0158】
パケットデータ送信側無線端末は、上記ステップS26,S27の何れかの応答を受信すると(ステップS14)、この応答内容がACKであるか否かを判定し(ステップS15)、ACKではない場合(つまり、NACKの場合)には(ステップS15,NO)、ステップS11に戻り、次の(他の無線端末からの)間欠送信信号P11を受信するまで待つ。
【0159】
一方、ACKを受信した場合には(ステップS15,YES)、パケットデータを送信する(ステップS16)。無線端末Yは、このパケットデータの受信処理を行う(ステップS29)。
【0160】
尚、送信側無線端末は、所定時間内に応答が無かった場合にはNACK受信時と同じ動作を行うようにしてもよい。
また、尚、ステップS13の受信延長要求送信を行わない形態であってもよい。この形態では、ステップS13の処理の代わりにステップS16のパケットデータ送信処理(但
し、上記ホップ数等を付加する)を行うようにしてもよい。この場合、受信側の無線端末は、ステップS25の判定がYESとなった場合には、NACKを返信すると共に受信したパケットデータを破棄する(中継等は行わない)。送信側は、当然、NACKが返信されたらステップS11に戻る。但し、この形態では、特にパケットデータ量が多い場合には(更にNACKが返信される確率が低くは無い場合には)、通信処理負荷が増大するので、受信延長要求送信を行う形態の方が望ましい。
【0161】
図16(a)、(b)に、上記図15の処理による送信側−受信側間の通信シーケンスを示す。図16(a)には応答がACKであった場合、図16(b)には応答がNACKであった場合を示す。
【0162】
図16(a)に示す通り、応答がACKであった場合には、パケットデータ送信処理を行い、発生した送信事象J11に係るデータ送信処理は終了する。一方、図16(b)に示す通り、応答がNACKであった場合には、発生した送信事象J11に係るデータ送信処理は終了せず、次の送信の機会を待つことになる。
【0163】
尚、図16(a)、(b)には、図5等に示したような各無線端末の詳細な送信状態、受信状態は示さないが、当然、図示の各送受信動作に必要な状態となっている。これは上記図12、図14についても同様である。例えば、図16(a)、(b)において、受信側の無線端末は、図では受信状態R11のみ示すが、これは受信時間が延長されるイメージを示しているだけであり、実際には例えば図5と同様にして送信状態T11で信号P11を送信した後は受信状態R11で受信時間延長要求を受信し、続いて送信状態T13でACK/NACK応答を送信し、ACK応答送信した場合には更に(図5には無いが)再び受信状態R11になって送信されてくるデータを受信することになる。
【0164】
送信側の無線端末においても、同様に、受信状態R12で信号P11を受信したら、送信状態T12になって受信時間延長要求を送信し、続いて受信状態R13になりACK/NACK応答を受信し、ACK応答受信した場合には更に(図5には無いが)再び送信状態になってデータ送信することになる。
【0165】
上述した図15の処理では、受信側(無線端末Y)がホップ数の比較判定処理を行う必要がある為、送信側無線端末はたとえステップS25の判定がYESとなる場合であっても受信時間延長要求を送信しなければならず、エネルギーの無駄となる。
【0166】
そこで、図15の処理の変形例として、特に図示しないが、受信側(無線端末Y)は図13のステップS25,S26,S27の処理は実行せず、送信側無線端末がステップS13の処理の前にステップS25の処理を実行するものとする。この場合、送信側無線端末に関するホップ数が、受信側(無線端末Y)に関するホップ数よりも大きければ(ステップS25,YES)、無線端末Yにデータを渡してよいことになるので、ステップS13の処理に移行して、受信時間延長要求を送信する(当然、ホップ数は付加しない)。その後、ステップS14、S15の処理は行わずに、直ちにステップS16の処理へ移る。
【0167】
無線端末Yは、受信時間延長要求を受信すると(ステップS24、YES)、上記の通りステップS25〜S27の処理を行うことなく、直ちに受信時間を延長して受信待ち状態を継続する(ステップS28)。そして、送信側がステップS16の処理によりパケットデータを送信してきたら、その受信処理を行う(ステップS29)。
【0168】
上述した変形例の処理では、送信側無線端末(ここでの例では無線端末A)においてステップS25の「ホップ数の比較判定処理」を行うので、無駄に受信時間延長要求を送信することなく、以って電力消費を抑えられる。但し、送信側でステップS25の処理を行
う為には、受信側(無線端末Y)の構成情報が必要となる。特許文献1等においても隣接無線端末の構成情報は取得して記憶しているので、例えばY=B,C,D等であれば、上記図42(b)に示す構成情報を参照することで、例えば無線端末Bから無線端末Jまでのホップ数は‘3’であること等が分かる。
【0169】
しかし、上記の通り、本例では、受信側(無線端末Y)は隣接無線端末とは限らず、例えば無線端末Eからの間欠送信信号P11を受信する場合もあり得る。これより、上記変形例においては、各無線端末が記憶する構成情報は、自己の構成情報、及び隣接無線端末の構成情報に限らず、更に、隣接無線端末以外の他の無線端末の構成情報も含まれる。但し、他の全ての無線端末の構成情報を記憶するわけではなく、過去に任意の他の無線端末(隣接無線端末は除く)と通信可能となったときに、この無線端末が保持している構成情報を取得して記憶しておくものである。
【0170】
尚、特許文献1等の発明においては、隣接無線端末からの構成情報を受信すると、自己の構成情報と照らし合わせて、必要に応じて自己の構成情報を更新していた。また、隣接無線端末以外の他の無線端末からの構成情報を受信した場合には、構成情報を受信した旨の履歴のみを保存して通信路の判定に使用していた。これに対して、本変形例では、上記の通り、隣接無線端末以外の他の無線端末の構成情報も記憶しておく。尚、隣接無線端末とは、構成情報における“通信回数”が1回の無線端末であり、無線端末Aの場合、無線端末B,C,Dが隣接無線端末ということになる。
【0171】
以上述べたことから、本変形例で用いる構成情報の一例を図17(a)に示す。
図17(a)に示す例では、無線端末Aに関して、隣接無線端末B,C,D以外にも、無線端末E,Fと通信可能なときがあったものとし、そのときに無線端末E,Fの構成情報を取得して記憶している。
【0172】
尚、図17(a)に示す構成情報を理解し易くする為に、図17(b)にネットワーク構成例を示しておく。
次に、以下、本例の他の実施形態について説明する。
【0173】
ここで、上記特許文献1の発明では、上記隣接無線端末を、前向き隣接無線端末、後向き隣接無線端末、横向き隣接無線端末の3種類に分類していた。これらについては、特許文献1に詳しく説明されているので、以下、簡単に説明する。
【0174】
任意の送信側無線端末についての隣接無線端末の中で、最終着信先の無線端末へ通信パケットを転送する場合に要する通信回数が、当該送信側無線端末よりも多く要する隣接無線端末を、送信側無線端末における最終着信先の無線端末についての後向き隣接無線端末という。
【0175】
その逆に、上記任意の送信側無線端末についての隣接無線端末の中で、最終着信先の無線端末へ通信パケットを転送する場合に要する通信回数が、当該送信側無線端末よりも少なくて済む隣接無線端末を、送信側無線端末における最終着信先の無線端末についての前向き隣接無線端末という。
【0176】
また、上記任意の送信側無線端末についての隣接無線端末の中で、最終着信先の無線端末へ通信パケットを転送する場合に要する通信回数が、当該送信側無線端末で要する通信回数と同数である隣接無線端末を、横向き隣接無線端末という。
【0177】
例えば、上記任意の送信側無線端末が無線端末Cであるとした場合、上記図17(a)の構成情報は、無線端末Cが保持する構成情報(自端末及び隣接無線端末の構成情報)と
見做すこともできるので、これを例にして説明する。また、最終着信先の無線端末は無線端末Jであるものとする。
【0178】
この例の場合、まず、無線端末Cの隣接無線端末(通信回数1回)は、図17(a)に示す通り、無線端末A,B,D,E,Fの5台である。そして、無線端末Cから無線端末Jまでのパケット転送に要する通信回数は、3回であることが分かる。同様に、無線端末A,B,D,E,Fから無線端末Jまでのパケット転送に要する通信回数も、図17(a)の構成情報を参照すれば分かる。
【0179】
これより、隣接無線端末A,B,D,E,Fのうち、前向き隣接無線端末は無線端末E,Fであり(通信回数;2回)、横向き隣接無線端末は無線端末B,Dであり(通信回数;3回)、後向き隣接無線端末は無線端末A(通信回数;4回)であることが判別できる。
【0180】
そして、本例では、上記の通り、通信相手は隣接無線端末に限らないので、隣接無線端末以外で通信可能な無線端末を「非隣接無線端末」と呼ぶものとすると、任意の送信側無線端末の通信相手は、非隣接無線端末、前向き隣接無線端末、後向き隣接無線端末、横向き隣接無線端末の4種類に分類できる。
【0181】
そして、図15のフローチャート図の処理では、上記の通り最終着信先の無線端末へパケットが届くまでの通信回数(中継回数)が増えてしまわないようにする為に、少なくとも後向き隣接無線端末からの間欠送信信号P11を受信しても、パケットデータを送信しないようにしている。しかしながら、これでは、もし何等かの理由で(一時的な通信路遮断等)、非隣接無線端末や前向き隣接無線端末等からの間欠送信信号P11を受信しない状況であったならば、パケットデータを送信できないことになってしまう(一定時間TW経過するまでにパケットデータを送信できない場合には、タイムアウトでデータは破棄される)。
【0182】
そこで、パケットデータ送信に関して、非隣接無線端末や前向き隣接無線端末を優先するが、後向き隣接無線端末等であってもパケットデータを送信する場合がある(当然、優先度は低くするが)ように制御することが、他の実施の形態の特徴である。
【0183】
その為に、まず、受信待ち状態R12となる最大の時間帯TWを、図18に示すように、時間帯A、時間帯B、時間帯C、時間帯Dに4分割する。分割した各時間帯のうち、時間帯Aが最初の時間帯であり、次が時間帯B、その次が時間帯Cであり、最後の時間帯が時間帯Dである。
【0184】
そして、以下のルールに沿うように処理を実行する(図19の処理を実行する)。
時間帯 ; パケットデータ送信が許される無線端末
時間帯A; 非隣接無線端末のみ
時間帯B; 非隣接無線端末+前向き隣接無線端末
時間帯C; 非隣接無線端末+前向き隣接無線端末+横向き隣接無線端末
時間帯D; 非隣接無線端末+前向き隣接無線端末+横向き隣接無線端末+後向き隣接無線端末
上記ルールでは、例えば時間帯Bにおいてパケットデータ送信が許される無線端末は、非隣接無線端末、前向き隣接無線端末のみということになる。よって、もし、時間帯Bにおいて受信した間欠送信信号P11の送信元が、横向き隣接無線端末や後向き隣接無線端末であったならば、パケットデータ送信は行われない。
【0185】
以下、図19の処理について説明する。尚、図19には、送信側無線端末の処理のみを
示すものとし、受信側(無線端末Y)の処理は図15に示す処理と略同様であってよいので、図15の処理を利用して説明するものとする。
【0186】
図19において、任意の送信事象J11(ここでは、無線端末X宛のパケットデータの送信又は中継の要求)が発生した無線端末(送信側無線端末)は、上記ステップS11と同様に、受信待ち状態R12に移行し、他の無線端末からの間欠送信信号P11受信待ち状態となる(ステップS31)。そして、任意の他の無線端末から、その無線端末のIDが含まれている間欠送信信号P11が送られてくると、上述した通り、このIDの無線端末が上記4種類の分類の何れに該当するのかを判別できるので、この判別結果に基づき、ステップS32以降の処理を実行する。
【0187】
まず、非隣接無線端末であった場合には(ステップS32,YES)、上記ルールの通り、時間帯A〜D全てにおいてパケットデータ送信が許可されるので、ステップS39、S40、S41の処理を実行する。尚、ステップS39、S40、S41の処理は、図13に示すステップS13〜S16の処理と略同様である(図では省略してあるが、ステップS15に相当する処理も行われる)。従って、図示していないが、受信側ではステップS25の判定処理等が行われ、もしNACKが返信されてきたならば、ステップS41のパケットデータ送信は行うことなく、ステップS31の処理に戻ることになる。
【0188】
また、図示していないが、ステップS32の判定がYESの場合に更にステップS12の処理を行って、ステップS12の判定がNOならば、ステップS31の処理に戻るようにしてもよい。
【0189】
何れにしても、上記「パケットデータ送信が許可される」場合であっても、更に図15で説明した条件を満たさなければ、パケットデータ送信は行われないことになる。但し、この例に限るものではない。
【0190】
もし、前向き隣接無線端末であった場合には(ステップS33,YES)、上記ルールの通り、時間帯B〜Dにおいてパケットデータ送信が許可されるので、現在が時間帯B〜D内にある場合には(ステップS36,YES)ステップS39以降の処理に移行し、現在が時間帯Aであるならば、ステップS31に戻って、次の間欠送信信号P11受信を待つ。
【0191】
もし、横向き隣接無線端末であった場合には(ステップS34,YES)、上記ルールの通り、時間帯C〜Dにおいてパケットデータ送信が許可されるので、現在が時間帯C〜D内にある場合には(ステップS37,YES)ステップS39以降の処理に移行し、現在が時間帯A又はBであるならば、ステップS31に戻って、次の間欠送信信号P11受信を待つ。
【0192】
もし、後向き隣接無線端末であった場合には(ステップS35,YES)、上記ルールの通り、時間帯Dにおいてのみパケットデータ送信が許可されるので、現在が時間帯D内にある場合には(ステップS38,YES)ステップS39以降の処理に移行し、現在が時間帯A〜C内であるならば、ステップS31に戻って、次の間欠送信信号P11受信を待つ。
【0193】
尚、後向き隣接無線端末である場合、そのままでは当然、ステップS25の判定がYESとなりNACKが返信されてしまうので、ここでは特許文献1に記載の「チェックポイント(経由無線端末)」を用いる手法を適用する。すなわち、チェックポイントはいわばダミーの着信先端末であり、着信先を上記無線端末Xからチェックポイントに変更した受信延長要求を送信することで、ステップS25の判定がNO(ACK返信)となるように
する。
【0194】
また、尚、上記ルールの代わりに、以下の変形例のルールを適用してもよい。
受信側無線端末 : 時間延長要求を送信する確率
非隣接無線端末 : 100%
前向き隣接無線端末 : 90%
横向き隣接無線端末 : 50%
後向き隣接無線端末 : 10%
上記の例では、例えば後向き隣接無線端末に関しては、10回に1回しか時間延長要求を送信しないことになり、後向き隣接無線端末に対してパケットデータが送信される可能性は低いものとなる。一方、例えば、非隣接無線端末や前向き隣接無線端末であれば、10回のうち10回又は9回、時間延長要求を送信することになり、非隣接無線端末や前向き隣接無線端末に対してパケットデータが送信される可能性は高いものとなる。勿論、確率的に低いものとはいえ、後向き隣接無線端末に対してパケットデータが送信される場合がありえるようにしている。
【0195】
各無線端末のメモリ等には、予め、上記4種類の無線端末毎に対応付けた時間延長要求を送信する確率(後述するパケットデータ送信先候補とする確率)が記憶されている。そして、送信側として動作する無線端末において、例えば上記ステップS11により任意の受信側無線端末から送信されたID等を受信すると、まず当該ID送信元が上記4種類の何れであるかを判定し、判定した種類に応じた上記時間延長要求を送信する確率(後述するパケットデータ送信先候補とする確率)を取得する(上記記憶内容を参照することで取得する)。
【0196】
そして、取得した“確率”に基づいて、上記ID等の送信元の受信側無線端末をパケットデータ送信先候補とするか否か(時間延長要求を送信するか否か)を決定する。この決定方法は、既存技術で行えるので、特に説明しないが、例えば確率10%であれば、10個のうちの1個を“当り”として10個のうち1個をランダムに選択するような手法を用いればよい。そして、パケットデータ送信先候補とする(時間延長要求を送信する)と決定した場合には、図15等の例ではステップS13の時間延長要求送信処理を行い、時間延長要求送信を行わない例ではパケットデータを送信することになる。
【0197】
尚、上記100%、90%、50%、10%という数値は、当然、一例を示しただけであり、この例に限るわけではない。上記時間延長要求を送信する確率、すなわち換言すればパケットデータ送信先候補とする確率が、非隣接無線端末>前向き隣接無線端末>横向き隣接無線端末>後向き隣接無線端末という条件を満たせばよく、この条件を満たす限り、確率の数値は任意に決定してよい。
【0198】
あるいは、更に、上記の条件に限るものではないが、少なくとも非隣接無線端末や前向き隣接無線端末は、後向き隣接無線端末よりも、時間延長要求を送信する確率が高くなるように設定することは必要である。
【0199】
尚、上記「パケットデータ送信先“候補”」と言っているのは、時間延長要求を送信しても例えば上記ステップS25の処理によりNACK応答が返信された場合には、パケットデータ送信先とはならないので、あくまでも“候補”となるという意味である。これは、時間延長要求を送信しない例の場合も同様であり、この例では時間延長要求を送信せずにパケットデータを送信するものの、受信側で例えば上記ステップS25の判定がYESならば受信処理は行われないので、意味的にはパケットデータ送信先候補とするものとなる。
【0200】
ところで、ここで、上記課題で述べたように、上記各無線端末を識別する為のIDは、製造番号ではなく、各無線端末毎に任意に決定・設定する論理番号を用いていた。この論理番号の決定方法は、何でもよいが、製造番号に比べて非常に情報量が少ないもの(例えば1byte程度)とする必要がある。そして、上記の通り従来では、この様なIDの割当て・登録を、作業員等が手作業で行っていた。この為、手間が掛かることになり、また間違って同じ番号を二重に登録する等の設定ミスが生じる可能性があった。
【0201】
従って、ID番号を自動的に割り当てるように出来ることが望まれる。この場合、各無線端末のうちの1台にID番号割当ての為の機能を備えさせ(ID管理無線端末と呼ぶものとする)、このID管理無線端末が他の全ての無線端末のIDを決定して設定する方法が考えられる。これは、当該ID管理無線端末が含まれる無線通信ネットワークの領域内(少なくとも当該無線通信ネットワークを構成する無線端末の1台と通信可能な位置に)新たな無線端末が設置されると、ID管理無線端末がこの新たな無線端末のIDを決定して設定することが考えられる。
【0202】
しかしながら、本例の無線通信ネットワークの場合、LAN等の通信ネットワークとは異なり、ID管理無線端末が新たな無線端末と直接無線通信できるとは限らない(ネットワークが大きくなれば、直接無線通信できない可能性の方が大きい。中継を行う必要がある)。ここで、本例の無線通信ネットワークの場合、直接無線通信可能な無線端末同士の通信を行う際や中継を行う為にはIDが必要であるという問題がある。
【0203】
この様な問題を解消しつつ本例の無線通信ネットワークにおいてIDの自動割当てを行うことを実現する処理について、以下に説明する。
尚、以下の説明では一例として上記“製造番号”を用いて説明するが、この例に限らない。予め決まっている、各無線端末を一意に識別できる識別コードとして用いることができる情報であればなんでも良い。この様な識別コードを“固定識別コード”というものとする。つまり“製造番号”は“固定識別コード”の一例である。
【0204】
本例では、無線通信ネットワークにおける各無線端末は、上記ID管理無線端末と他の無線端末より成り、更に他の無線端末は、自己のIDが設定済みの無線端末(登録済み無線端末と呼ぶ)と未だ自己のIDが設定されていない無線端末(未登録無線端末と呼ぶ)とに分類され、それぞれ処理内容が異なる。
【0205】
以下、本例の無線通信ネットワークにおけるID自動付与・登録処理について説明する。
尚、本例の各無線端末は、中継処理を行う点等から、送信端末11b、受信端末11aの両方の機能を備える必要があるので、例えば図7に示す構成を有しており、例えば図8に示す動作を行う。そして、既に図7においても説明した通り、本例の各無線端末は、送信端末11bとして動作する場合は送信側の無線端末、受信端末11aとして動作する場合は受信側の無線端末というものとする。また、以下の説明(特にフローチャートの処理の説明)は、図7に示す制御部112の各種機能部毎の動作を説明するものではなく、制御部112の動作として説明するものとする。
【0206】
尚、必ずしも図8のようにR12を中断してT11,R11の動作を行うようにするものではなく、送信端末側として動作中は受信端末側として動作することはなく、データ送信処理が完了したら、受信端末側として動作するようにしてもよい。
【0207】
まず、図20を参照して概略的に説明する。
図20は、本例のID自動付与・登録処理の概略シーケンス図である。
まず、本例の無線通信ネットワークにおいては各無線端末間の通信にはIDが必要とな
るが、未登録無線端末は自己のIDを持っていないので、予め決められている特定の仮のIDを、自己のIDとして用いる。この仮IDは通常のIDとしては用いない番号を用いるものとし、例えばここでは一例として仮ID=‘00’とする。この仮IDは予め決められて全ての無線端末に登録されているので、各無線端末は、通信相手のIDが‘00’であることを以って、通信相手が未登録無線端末であると判定できる。
【0208】
そして、未登録無線端末がID管理無線端末と直接無線通信可能な位置に設置された場合には、ID管理無線端末はこの未登録無線端末からの登録要求があると、任意のID決定処理によりこの未登録無線端末のIDを決定(発行)して、これをこの未登録無線端末へ直接通知する(図示の例では発行ID=‘XX’を通知)。この発行ID通知を受けた未登録無線端末は、この通知されたID=‘XX’を自端末のIDとして登録する。よって、その後は、自己のID=‘XX’として他の無線端末との通信等を行うことになる。つまり、未登録無線端末は、自己のIDが登録されることによって、登録済み無線端末となる。
【0209】
また上記特許文献1等に記載の処理により構成情報を作成し、これに基づいて中継・転送処理を行うことになる(多段中継網の一員となる)。
一方、未登録無線端末がID管理無線端末と直接無線通信できない場合には、登録済み無線端末を介してID管理無線端末に対して上記登録要求(ID発行依頼)を行うことになる。勿論、この場合には、ID管理無線端末からの未登録無線端末に対する上記発行ID通知も、1台以上の登録済み無線端末によって中継・転送されることで、未登録無線端末に渡されることになる。
【0210】
図20に示すように、任意の未登録無線端末と直接無線通信可能な任意の登録済み無線端末が、この未登録無線端末(ID=‘00’)からの登録要求を受けると、要求元の未登録無線端末に対して待機指示を送って待機状態にさせると共に、ID管理無線端末宛にID発行依頼(登録要求パケット)を送信する。このID発行依頼は、多段中継網を介して(他の登録済み無線端末によって中継・転送されて)ID管理無線端末に届くことになる。あるいは、ID管理無線端末に直接渡される場合もある(直接無線通信可能な場合)。
【0211】
このID発行依頼を受信したID管理無線端末は、上記と同様、この要求元の未登録無線端末のIDを任意に決定して、この決定したID(発行ID;図示の例ではID=‘YY’)を通知する為の発行ID通知パケットを、上記と同様に多段中継網を介して、上記ID発行依頼の送信元の登録済み無線端末へ通知する。上記ID発行依頼の送信元の登録済み無線端末は、この発行ID通知パケットを受信すると、これを上記登録要求元の未登録無線端末へ転送する。
【0212】
これより、上記登録要求元の未登録無線端末に上記ID管理無線端末で決定されたIDが届くことになり、当該通知されたID(ここではID=‘YY’)を自端末のIDとして登録する。その後は、上記ID=‘XX’が通知された未登録無線端末と同じであり、特に説明しない。
【0213】
以下、図21以降を参照して、本例のID自動付与・登録処理について更に詳細に説明する。
図22は未登録無線端末の処理フローチャート図、図23は登録済み無線端末の処理フローチャート図、図24はID管理無線端末の処理フローチャート図である。無線端末は、例えば起動時等に図21のモード判別処理を実行して自己が上記3種類の無線端末のどれに該当するかを判定し、判定結果に応じた動作モードになる。例えば、自己が未登録無線端末であると判定した場合には、図22の処理を実行することになる。
【0214】
また、それ以外にも、未登録無線端末が自己のIDを登録した場合には、登録済み無線端末の動作モードへ移行することになる。
図22、図23、図24の処理によって、本例のID自動付与処理が実現されることになる。
【0215】
まず、例えば、各無線端末には所定のスライドSW(スイッチ)等が設けられているものとし、作業者等は、任意の無線通信ネットワークを構成する各無線端末のうちの1台のみ、このスライドSWをONするものとする。また、ID管理無線端末のIDは予め決められているものとし、各無線端末には予めID管理無線端末のIDがメモリ等に記憶されているものとする。ここでは、一例として、ID管理無線端末のIDは予め‘01’に決まっているものとして説明する。但し、この例に限らず、ID管理無線端末は自己のIDを任意に決定してもよい。但し、この場合には他の無線端末はID管理無線端末のIDが分からないので、例えば上記発行ID通知で上記発行IDと一緒にID管理無線端末のIDも通知する必要がある。
【0216】
各無線端末は、例えば起動時等に図21の処理を開始すると、まず、自端末がID管理無線端末であるか否かを判定する(ステップS51)。これは上記一例では、スライドSWがONであるか否かにより判定するものである。そして、自端末がID管理無線端末である場合にはステップS52へ移行し、自端末がID管理無線端末ではない場合にはステップS55へ移行する。
【0217】
自端末がID管理無線端末である場合(ステップS51,YES)、自端末のIDが未だ登録されていない場合には(ステップS52,NO)、自端末のIDを決定・登録する(ステップS53)。ここでは、上記‘01’に決定・登録するが、この例に限らない。そして、動作モードをID管理無線端末として図24の処理を開始する(ステップS54)。既に自己のID登録済みであれば(ステップS52,YES)そのままステップS54の処理を実行する。
【0218】
一方、自端末がID管理無線端末ではない場合には(ステップS51,NO)、自端末が登録済み無線端末か否かを判定する(ステップS55)。これは例えば、自端末のIDが既に登録済みであるか否かにより判定する。そして、自端末が登録済み無線端末であれば(ステップS55,YES)、図23の処理を開始する(ステップS56)。自端末が未登録無線端末であれば(ステップS55,NO)、図22の処理を開始する(ステップS57)。
【0219】
以下、図22〜図24を参照して、IDの自動付与処理について説明する。
まず、未登録無線端末は、上記送信事象J11として登録要求送信が発生したものとして、上記送信側の無線端末として動作する。すなわち、まず、一定時間TWだけ受信待ち状態R12となる(ステップS62)。尚、自己のIDが登録されるまでは、例えば所定のスリープ期間をおいて(ステップS61)、ステップS62以降の処理を繰返す。
【0220】
一方、登録済み無線端末において送信事象J11が生じていないときには上記受信側の無線端末として動作しており、上記図2(a)で説明した通り、一定期間TTの送信状態T11(間欠送信信号P11送信)とそれに続く一定期間TRの受信状態R11を、スリープ期間TSだけ間隔を空けながら間欠的に繰り返す動作を行っている。図23のステップS71,S72の動作がこれに相当する。尚、上記の通り、間欠送信信号P11には自端末のIDが含まれているので、これはステップS71に記載の通り「定期的な自己ID送信処理」であると言える。尚、図2(a)で説明した通り、間欠送信信号P11はID通知信号とも呼ぶものであり、以下の説明ではID通知信号と呼ぶものとする。
【0221】
これより、上記ステップS62の処理は、任意の受信側の無線端末からのID通知信号の受信待ち状態であると言える。そして、任意の受信側の無線端末からのID通知信号を受信した場合には、これがID管理無線端末または登録済み無線端末からのID通知信号であるか否かを判定する(ステップS63)。これは、他の未登録無線端末が後述するステップS67によってID通知信号を送信してくる可能性があるからである。換言すれば、ステップS63の処理は、他の未登録無線端末以外の無線端末からのID通知信号であるか否かを判定するものであると言える。
【0222】
後述するように、未登録無線端末の仮IDは決まっており、ここでは仮に‘00’としているので、ID通知信号のIDが‘00’であればステップS63の判定はNOとなり、例えば一定期間のスリープ状態へと移行し(ステップS61)、その後に再び上記受信待ち状態R12となる(ステップS62)。あるいは、そのまま受信待ち状態R12を続行してもよい。
【0223】
一方、受信したID通知信号のIDが‘00’以外である場合には、未登録無線端末以外の無線端末からのID通知信号を受信したものと判定し(ステップS63,YES)、送信状態T12に移行して送信信号P12として登録要求を送信する(ステップS64)。この登録要求には、自己のIDと製造番号が含まれている。ここで、未登録無線端末は、自己のIDとして、通常のIDとしては使用しない特定の番号を用いるものとし、ここでは一例として‘00’であるものとする。この為、同時期に複数の未登録無線端末が登録要求パケットを送信した場合、その自己IDは全て‘00’になる為、区別出来るようにする為に上記の通り製造番号も付加している。
【0224】
図26に、上述したステップS62,S63やS71〜S73、S75の処理に係る動作例を示す。
図26に示す例では、新たに設置される等した任意の未登録無線端末の周辺に、この未登録無線端末と直接無線通信可能な登録済み無線端末が、3台(図示の登録済み無線端末‘04’、‘05’、‘06’)が存在するものとする。図示の通り各登録済み無線端末‘04’、‘05’、‘06’は、受信側の無線端末として動作するときには、上記図2(a)の処理により、定期的に間欠的に上記ID通知信号の送信処理(及びその後の受信状態R11)を行っている。
【0225】
尚、ID通知信号のパケット構成は、例えば、このパケットがID通知信号であることを示すコマンド(ID通知コマンド)、送信元ID、送信先IDから成り、送信元IDは自端末のIDであり、送信先IDは必ず“all”とする。この“all”は、ネットワーク全体を意味する特殊なアドレスである。つまり、ID通知信号は不特定多数の相手に向かって送信するものであり、所謂“ブロードキャスト”で送信する信号である。
【0226】
よって、図26の例において、例えば登録済み無線端末‘05’が送信側の無線端末として動作していた場合、この登録済み無線端末‘05’が登録済み無線端末‘04’や‘06’が送信するID通知信号を受信して、自己のデータ送信する可能性はある。
【0227】
一方、未登録無線端末は、送信側の無線端末として動作しており、上記図2(b)の処理により受信待ち状態R12となっているが、これは上記の通り他の未登録無線端末以外の無線端末からのID通知信号の受信待ち状態を意味している。つまり、この場合のステップS5の「目的端末」は、未登録無線端末以外の無線端末であればなんでもよいことになる。
【0228】
そして、図26に示す例では、この受信待ち状態において登録済み無線端末‘04’か
らのID通知信号を受信するので、送信状態T12になって登録済み無線端末‘04’に対して上記登録要求の送信を行う。更に、受信状態R13になって後述する待機指示(もしくは発行ID通知)を待つが、これについては後に説明する。
【0229】
尚、上記登録要求のパケットのヘッダ部は登録要求コマンド、送信元ID、送信先IDから成り、そのデータ部には自己(未登録無線端末)の製造番号が格納される。送信元IDは上記特定の仮ID(ここでは‘00’)であり、送信先IDは上記受信したID通知信号のIDとなる。
【0230】
上記のように、未登録無線端末は、複数台の登録済み無線端末と直接無線通信可能な場合でも、そのうちの1台のみに登録要求を出した後は、基本的に、発行ID通知を受信するまでは待機状態となる。
【0231】
登録済み無線端末は、自己が送信したID通知信号に対する返信信号(送信信号P12)を受信すると(ステップS72,YES)、これが未登録無線端末からの上記登録要求であるか否かを判定する(ステップS73)。受信した送信信号P12が例えば他の登録済み無線端末からのデータであったり、他の登録済み無線端末が後述する登録要求パケットを中継してきたものである場合等には、ステップS73の判定はNOとなり、この場合には通常の受信/中継処理等を実行することになる(ステップS74)。
【0232】
一方、未登録無線端末からの上記登録要求を受信した場合には(ステップS73,YES)、例えば上記送信状態T13になって、送信元の未登録無線端末に対して、待機指示を送信する(ステップS75)。この待機指示は例えば上記応答信号P15として送信するものである。
【0233】
そして、ID管理無線端末を宛先とし自端末を送信元とする登録要求パケットを作成して、この登録要求パケットを送信する。これは、まず、ID管理無線端末のIDは分かっており(ID=‘01)’、構成情報を参照すれば宛先(最終着信先)をID管理無線端末とする場合の転送先の無線端末を決定できる(ステップS76)。そして、パケットのヘッダ部(その構成は上記特許文献1等と同様)における宛先(着信先)を上記ID=‘01、送信元を自端末のID、転送先を上記決定した転送先の無線端末IDとした登録要求パケットを作成して送信する。
【0234】
この登録要求パケットのデータ部には上記未登録無線端末の製造番号が格納され、コマンド部には登録要求コマンドが格納される。
勿論、送信する際には、上記送信側の無線端末として動作して、受信待ち状態R12で転送先からのID通知信号を受信したら、登録要求パケットを送信する。
【0235】
そして、上記送信した登録要求パケットに対するID管理無線端末からの応答の発行ID通知パケット(後述する)を受信したら(つまり、その宛先が自端末である発行ID通知パケットを受信したら)(ステップS78,YES)、この発行ID通知パケットを上記登録要求元の未登録無線端末へ転送する(ステップS79)。
【0236】
尚、図23ではステップS78の処理は発行ID通知パケット受信待ち状態となっているが、この場合、その間は他の処理が行えないので、この例に限らず、他の処理も行えるようにしてもよい。例えばステップS71に戻り、上記自端末宛の発行ID通知パケットを受信したら上記ステップS74の処理として上記ステップS79の処理を実行するようにしてもよい。上記他の処理としては、他にも例えば、自端末において何らかの送信事象J11(中継動作も含む)が発生した場合には、送信側の無線端末として動作してもよい。
【0237】
この発行ID通知パケットには、ID要求元の未登録無線端末の製造番号が含まれている。よって、もし、この登録済み無線端末がほぼ同時期に複数の未登録無線端末と直接通信可能であり、自己を送信元とする複数の登録要求パケットをID管理無線端末宛に送信していたとしても、発行ID通知パケットを該当する未登録無線端末に渡すことができる(あるいは未登録無線端末側で判断できる。詳しくは後述する)。
【0238】
尚、当然、当該登録済み無線端末は、上記ステップS79の処理の際には、送信側の無線端末として動作している。一方、未登録無線端末は、上記ステップS75による待機指示を受信したら(図22のステップS65,YES)、発行ID通知パケットの受信待ち状態となっている(ステップS67)。当然、このとき、未登録無線端末は、受信側の無線端末として動作している。そして、上記ステップS79による発行ID通知パケットを受信したら(ステップS68,YES)、この発行ID通知パケットによって通知されたIDを、自己のIDとして設定する(ステップS69)。その後は、登録済み無線端末として動作することになる。
【0239】
但し、待機指示を受信した後に所定時間経過しても発行ID通知パケットを受信しなかった場合には(タイムアウト)、今回の要求は何等かの原因で失敗したものとして(ステップS68,NO)、ステップS61に戻り、所定時間スリープ状態となった後、再びステップS62以降の処理を開始する。
【0240】
また、通信相手がID管理無線端末である場合もあり得る。この場合には、上記待機指示ではなく(ステップS65,NO)、直接、ID通知パケットを受信することになるので(ステップS66,YES)、ステップS69の処理を実行する。
【0241】
尚、登録済み無線端末−未登録無線端末間で送受信するパケット(信号)には、ほとんど全てにおいて(ID通知信号は除く)、製造番号が含まれているものとする。また、既に述べた通り、登録済み無線端末−未登録無線端末間に限らず、全ての無線端末間の通信において、少なくとも上記発行ID通知パケットと登録要求パケットには、ID発行要求元の未登録無線端末の製造番号が含まれている。
【0242】
ここで、例えば図27に示すように、自己のIDが‘06’の登録済み無線端末(以下、登録済み無線端末‘06’という;他の無線端末も同じ)に対して、同時期に2台の未登録無線端末が登録要求を出している場合もあり得る。この場合、2台ともID=‘00’となっているので、一方の未登録無線端末に転送すべき発行ID通知パケットを、他方の未登録無線端末に転送する場合もあり得る。この為、上記の通り、製造番号によって確認を行うようにする必要がある。
【0243】
尚、図27において、丸が無線端末、丸の中の数字がその無線端末のIDであるものとする。また、丸の中が数字ではなく“未”となっているものは未登録無線端末を意味する。換言すれば、丸の中が数字のものは‘01’以外は登録済み無線端末を意味する。これは、図28においても同様である。
【0244】
例えば一例としては、登録済み無線端末は、上記ステップS79の処理において、未登録無線端末が送信したID通知信号を受信すると、このID通知信号のIDが‘00’であることを以って、発行ID通知パケットをこの未登録無線端末に転送する。一方、未登録無線端末は、上記ステップS68の判定において、受信した発行ID通知パケットに含まれる製造番号が自己の製造番号である場合のみ、当該ステップS68の判定をYESとする。これによって、間違えることなく、自己に対して発行されたIDを自己のIDとして登録することができる。
【0245】
尚、上記一例の手法を用いる場合には、未登録無線端末は、上記ステップS69の処理完了後、発行ID通知パケットの転送元の登録済み無線端末(上記の例では‘06’)に対して、ID登録完了を通知するようにしてもよい。これに応じて、発行ID通知パケット転送元の登録済み無線端末においても、上記ステップS79によるパケット転送後、一定時間、ID登録完了通知を待ち、もし一定時間内にID登録完了通知を受信しなかった場合には、ステップS79の処理を続行する。
【0246】
但し、上記製造番号による確認処理は、上記未登録無線端末側で行う例に限らず、登録済み無線端末側で行っても良い。すなわち、この場合、未登録無線端末は上記ステップS67の受信待ち状態の際、一定周期で間欠的に、上記ID通知信号として自己の仮ID(=‘00’)と自己の製造番号を含む信号を送信している。一方、上記ID‘06’の登録済み無線端末のような登録要求パケット送信元の登録済み無線端末は、上記ステップS79の処理の際、受信したID通知信号にIDだけでなく製造番号も含まれている場合、この製造番号が、ステップS78で受信した発行ID通知パケットに含まれる製造番号と同一の場合のみ(勿論、ID通知信号のIDが‘00’であることが前提)、このID通知信号に対する返信として上記発行ID通知パケットを転送する。
【0247】
尚、上記登録済み無線端末は、基本的には自己のIDを登録済みの無線端末を意味するが、上記説明においては特に自己IDを登録後に該自己IDを用いて他の登録済み無線端末または前記ID管理無線端末と所定の通信処理を行うことで構成情報を作成・記憶している無線端末であるものとする(パケット中継処理を行ってもらう必要がある為)。この構成情報の作成処理については、特許文献1等に記載の従来手法通りであるので、ここでは特に説明しない。
【0248】
上記従来技術で説明したように、構成情報(システム構成情報)は、自端末が送信するデータが宛先の無線端末に着信するまでに要する最小の中継回数に関する値と該宛先の無線端末との関係情報と、自端末が直接通信可能であるとする無線端末である隣接無線端末における前記関係情報とから成る情報であり、該構成情報を用いることで直接又は他の1以上の登録済み無線端末に中継させることで他の全ての登録済み無線端末と通信可能となるものである。尚、その意味で、ID管理無線端末も登録済み無線端末の一種と考えることもできる。
【0249】
ID管理無線端末は、図24の処理を実行する。その際、図25に一例を示すID発行管理テーブル300を用いる。
図24において、ステップS81、S82の処理は、上記ステップS71、S72の処理と同様であり、ここでは特に説明しない。
【0250】
返信信号P12を受信すると(ステップS82,YES)、これが未登録無線端末からの登録要求であるか否かを判定する(ステップS83)。このステップS83の判定処理自体は、上記ステップS73と同じであり、特に説明しない。そして、ステップS83の判定がYESになる場合とは、例えば図27の図上左側に示すように、任意の未登録無線端末が、ID管理無線端末と直接無線通信可能な場所に設置された場合である。よって、この場合には、上述したような他の登録済み無線端末が未登録無線端末−ID管理無線端末間のパケット中継・転送を行うような処理は必要なく、ID管理無線端末が未登録無線端末に対して直接、発行ID通知パケットを渡せばよいことになる。
【0251】
これより、ステップS83の判定がYESの場合、ID発行管理テーブル300を参照して未発行IDを1つ選択して、この選択したIDを発行ID通知パケットにより未登録無線端末に通知する(例えばT13で送信)(ステップS85)。
【0252】
ここで、図25に示す例のID発行管理テーブル300は、ID301、使用有無302、製造番号303の各データ項目より成る。ID301には、予め、当該ID管理無線端末が発行可能なID全てが登録されている。
【0253】
図示の例ではID=‘01’〜‘50’までが、このID管理無線端末が発行可能なIDであることになる。使用有無302は、対応するID301のIDを発行済みか否かを示すフラグ等であり、ここでは仮に、例えばフラグON(1)は発行済み、フラグOFF(0)は未発行を意味するものとする。上記未発行IDからの選択は、フラグOFFとなっているIDのなかから1つを選択することになる。そして、選択したIDに対応する使用有無302のフラグONし、更にその製造番号303に登録要求元の未登録無線端末の製造番号を格納する。
【0254】
ステップS85では上記のID発行管理テーブル300の参照・更新処理を行いつつ、上記発行ID通知を未登録無線端末に送信する処理を行う。この発行ID通知は、例えば上記応答信号P15として行う。
【0255】
あるいは、ステップS82がYESとなった時点で受信側の無線端末としての動作は終了して今度は送信側の無線端末として動作することで、上記発行ID通知を行うようにしてもよい。但し、この場合には、未登録無線端末側も、上記ステップS64の登録要求送信したら、送信側の無線端末としての動作は終了して受信側の無線端末として動作している必要がある。更に、この場合には、登録済み無線端末も、上記待機指示送信の際には送信側の無線端末として動作している必要がある。
【0256】
一方、返信信号が任意の登録済み無線端末からの上記登録要求パケットである場合には(ステップS84,YES)、ステップS86の処理を実行する。ここで、ステップS84の判定がYESになる場合とは、当該ID管理無線端末が直接無線通信できない未登録無線端末からの登録要求を受信した任意の登録済み無線端末が作成した上記登録要求パケットが、直接または他の1以上の登録済み無線端末によって中継・転送されてきた場合である。例えば、図27の例では、登録済み無線端末‘06’が任意の未登録無線端末からの登録要求を受けて、送信元を自端末(ID=‘06’)、宛先(最終着信先)をID管理無線端末(ID=‘01’)とする登録要求パケットを作成して、これが登録済み無線端末‘02’、‘03’によって中継・転送されてくることになる。よって、この例では、当該ID管理無線端末は、登録済み無線端末‘03’が中継・転送した登録要求パケットを受信すると(ステップS84,YES)、ステップS86の処理を実行することになる。
【0257】
ステップS86では、上記ステップS85と同様にして、ID発行管理テーブル300の参照・更新処理を行いつつ、要求元の未登録無線端末に割り当てるIDを1つ決定する。そして、受信した登録要求パケットの送信元を宛先(上記の例ではID=‘06’)とし、送信元を自端末(ID=‘01’)とする発行ID通知パケットを作成・送信する。勿論、自己の構成情報を参照して、上記宛先に対する転送先を決定する処理等も行う。また、この発行ID通知パケットのデータ部には、上記決定したIDと登録要求パケットに含まれる製造番号(ID発行要求元の未登録無線端末の製造番号)を格納する。
【0258】
これより、上記の例では、この発行ID通知パケットは、図28に示すように、登録済み無線端末‘02’、‘03’によって中継・転送されて、宛先の登録済み無線端末‘06’に届くことになる。宛先の登録済み無線端末‘06’では、上記の通り、ステップS79の処理により、このID通知パケットを要求元の未登録無線端末に転送することになる。その際、上記の通り、発行ID通知パケットに含まれる製造番号に基づいて、転送を
行うか否かを判定するようにしてもよい。
【0259】
尚、上記ステップS83,S84の判定が何れもNOの場合には、通常の転送/受信処理等を実行することになる(ステップS87)。“通常の”とは、上記特許文献1等に記載の、構成情報等を用いる中継・転送処理等を意味する。
【0260】
尚、ID管理無線端末は、上記ステップS85やS86で送信するID通知パケットに、自端末のIDも含めて送信するようにしてもよい。これは特に、ID管理無線端末のIDを、予め決められている特定のIDとすることなく任意に決めるようにした場合には、必要なものとなる(そうでないと、各登録済み無線端末は、ID管理無線端末のIDが分からないことになり、上記中継・転送が行えないことになるので)。予めID管理無線端末のIDを特定のIDに決めておく場合には、これを予め各無線端末に記憶しておけばよい。
【0261】
特定のIDとしては、上記一例‘01’のように、発行可能なIDのうちの1つを用いても良いが、発行可能なID以外を用いても良い。

ところで、ここで、上記従来の課題で説明したネットワークID(ネットワーク識別コード)を用いる構成においては、複数の無線通信ネットワーク(各グループ)が存在する場合、上記ID管理無線端末は、各グループにそれぞれ1台ずつ存在することになり、各グループ毎にそのID管理無線端末は自己のグループ内の各無線端末に対する上述したID割当てを行うものである(未登録無線端末に対する任意のID発行・通知を行うものである)。
【0262】
作業者等は、任意のグループに対して新たな無線端末(未登録無線端末)を追加する際に、この未登録無線端末のネットワークIDが、これを追加すべきグループのネットワークIDと同じになるように設定する。これは、上記の通り、ロータリーSW(スイッチ)を操作することで設定する。
【0263】
各無線端末は、例えば起動時の初期処理等において、自端末のロータリーSWの設定番号を検出して、これを自端末のネットワークIDとして記憶する(自端末が属する無線通信ネットワークのネットワークIDとして記憶する)。尚、ネットワークIDを略してNIDと記す場合もある。
【0264】
そして、各無線端末間で送受信する信号(パケット)には全て、このパケットを送信する無線端末のネットワークIDが含まれている(例えば上記図43で説明した通り)。そして、このパケットを受信する無線端末は、まず、このパケットに含まれるネットワークIDが自己のネットワークIDと一致するか否かを判定し(ネットワークID一致判定処理という)、不一致の場合にはこのパケットを破棄する。
【0265】
これより、上記図22〜図24の処理の説明は、ネットワークIDが必ず一致することを前提として説明しているものと考えることもできる。上記図22〜図24の処理において、任意のパケット受信時にはまず上記ネットワークID一致判定処理を行うものとすると、ネットワークID不一致の場合にはこのパケットを破棄等するので、少なくともこの受信パケットに係る処理は行わないことになる。
【0266】
すなわち、例えば、上記図23の処理では、ステップS71のID通知信号には自端末のNIDも含めて送信し、またステップS72で受信する返信信号P12にも同様に当該返信信号の送信元の無線端末のNIDが含まれている。そして、ステップS72がYESの場合、まず、返信信号P12のNIDが自端末のNIDと一致するか否かを判定し、一
致する場合のみステップS73へ移行し、不一致の場合には返信信号P12のパケットを破棄する等してステップS71に戻る。
【0267】
ステップS75の待機指示やステップS77の登録要求パケットにも、同様にして、自端末のNIDも含めて送信する。また、発行ID通知パケットを受信した場合には、ステップS78の判定を行う以前に、この発行ID通知パケットのNIDが自端末のNIDと一致するか否かを判定し、一致する場合のみステップS78の判定を行い、不一致の場合にはこのパケットを破棄する等して、次の発行ID通知パケットの受信待ち状態となる。
【0268】
ステップS79のパケット転送時にも、自端末のNIDも含めて送信する。
また、例えば、上記図22の処理では、上記ID通知信号を受信すると、ステップS63の判定以前に、このID通知信号のNIDが自端末のNIDと一致するか否かを判定し、一致する場合のみステップS63へ移行し、不一致の場合にはID通知信号のパケットを破棄する等してステップS61に戻る。
【0269】
ステップS64の登録要求には、自端末のNIDも含めて送信する。
また、ステップS65、S66、S68に関しても、待機指示や発行ID通知を受信すると、これら待機指示や発行ID通知のNIDが自端末のNIDと一致するか否かを判定し、不一致の場合にはこれら待機指示や発行ID通知のパケットを破棄する等して、例えばそのまま待機指示や発行ID通知の受信待ち状態を続行する。NIDが一致する場合には、上記ステップS65、S66、S68に関して説明した通りの処理を行うことになる。
【0270】
また、図24に示す処理においても、ステップS81の処理は上記ステップS71と同様に自端末のNIDも含めて送信するものであり、返信信号P12を受信した場合には(ステップS82,YES)、上記ステップS83やS84の判定処理を行う以前に、返信信号P12のNIDが自端末のNIDと一致するか否かを判定する。そして、一致する場合のみステップS83以降の処理へ移行し、不一致の場合には返信信号P12のパケットを破棄する等してステップS81に戻る。
【0271】
また、当然、ステップS85、86で送信する発行ID通知パケットやステップS87で送信(中継・転送)するパケットにも、自端末のNIDを含めて送信する。
上述したように、各無線端末は、他グループ(自己が属するグループ以外のグループ)の無線端末からの送信信号(パケット)を受信しても、何等処理は行わないことになる。
【0272】
しかしながら、上記従来の課題で説明したように、偶然、上記他グループのネットワークIDが自グループのネットワークIDと同一であった場合には、上述したような問題が生じることになる。
【0273】
例えば、上記図22〜図24の処理を行った結果、一例として図29に示す状態になることが起こりえる。
図29の例では、図示の各ネットワーク(グループA、グループB)毎に一台のID管理無線端末(図示のID=‘1’の無線端末)が存在し、各ID管理無線端末がそれぞれ自グループ内の各無線端末へ図示の通り、ID=‘2’、‘3’等というように、図25に示すID管理テーブル300に従ってID割当てを行ったものとする。そして、この2つのネットワークのネットワークID(以下、NIDと記すものとする)は、同じであるものとする(図示の例では何れもNID=‘3’)。
【0274】
そして、更に未登録無線端末が追加設置され(当然、そのNIDは‘3’に設定される)、この未登録無線端末が両方のネットワークのID=‘2’、‘3’の登録済み無線端
末と直接無線通信可能であった場合、NIDでは区別できない為、どちらかのグループのID管理無線端末によってID割当てが行われることになる(どちらになるかは、基本的に、所謂“早いもの勝ち”で決まる)。その結果、上記未登録無線端末は、図示のID=‘4’の登録済み無線端末となったものとする。
【0275】
これによって、図示の通り、ID=‘4’の登録済み無線端末によって2つのネットワークが結合されて1つのネットワークになった状態となる。この場合、図示の通り、1つのネットワーク内にIDが同一の複数の無線端末が存在することになってしまう。
【0276】
この様な異常状態では、正常なパケット中継が行えないことになる。例えば、グループA内の無線端末‘2’が無線端末‘3’宛のパケットを送出した場合、これが無線端末‘4’に中継された場合、本来の宛先がグループA内の無線端末‘3’であっても、グループB内の無線端末‘3’へと中継・転送されてしまう場合もある。
【0277】
上記のような異常状態を、ネットワーク結合異常と呼ぶものとする。
上記ネットワーク結合異常になる具体例の他の例を、図30、図31に示す。
図30の例では、グループC、Dの2つのネットワークが互いに隣接しており、両方ともそのネットワークIDが‘7’であるものとする。
【0278】
尚、同図や上記図29や後述する図31、34、35において、丸が無線端末(ここでは全て登録済み無線端末であるとする)、丸の中の数字がその無線端末のIDであるものとする。そして、例えばID=6の無線端末は無線端末‘6’というものとする。また、図示の各無線端末のIDは、上記図20〜図28等で説明した処理によって割り当てられているものである。但し、必ずしもID=‘01’がID管理無線端末であるものとは限らず、例えば後述するようにID=‘05’がID管理無線端末であるものとしてもよい。
【0279】
図示のグループCの無線端末‘6’とグループDの無線端末‘8’とは本来は相互に直接無線通信可能であるものとするが、図30では無線端末‘6’−無線端末‘8’間に障害物があって通信できない状態であるものとする。
【0280】
この状態では、2つのネットワークは結合しておらず(ネットワーク結合異常は生じていない)、よって各無線端末の構成情報はその無線端末が属するグループ内の状態を反映した正常な状態となっている。例えば同図には、グループC、Dそれぞれの無線端末‘5’の有する構成情報を示しており、これが正常な状態における構成情報である。
【0281】
一方、上記障害物が除去される等して無線端末‘6’−無線端末‘8’間の直接無線通信が可能となり、この状況が構成情報に反映されると(構成情報が更新されると)、グループC、Dそれぞれの無線端末‘5’の有する構成情報は、図31に示すようになる。
【0282】
この様な状態では、上記図29の場合と同様、正常な中継・転送処理が出来なくなる可能性がある。また、そもそも、2つのネットワークが1つになることは望まれていない(グループ分けしている意味が無くなる)。
【0283】
ところで、上記問題が生じるのは、ネットワークIDをロータリースイッチで設定している為、上記の例ではネットワークIDは16通りしか設定できないことが大きく影響している。よって、ロータリースイッチの桁数を増やして例えば数千、数万通り程度のネットワークID設定を可能にすれば、上記問題が生じる可能性を極めて低くすることができる。
【0284】
しかしながら、これは現実的には難しい。まず、物理的にロータリースイッチの桁数を増やすことは、ロータリースイッチの数を増やすこと等が考えられるが、無線端末に余計な構成が増え、コストも増大し、望ましくない。それ以前に、上記無線通信ネットワークシステムの無線端末のような小型の無線端末の場合、物理的に、ロータリースイッチの数を多くすることは難しい。
【0285】
また、ロータリースイッチのような物理的な設定方法ではなく、例えば作業員等が現場でノートパソコン等の携帯型の小型コンピュータを用いて、ネットワークIDを設定することも考えられるが、現実にはそもそも現場の作業員等にこの様な複雑な作業を行わせることが難しいから、上記のように簡単に設定作業が行える方法(つまりロータリースイッチで設定)を用いているのであり、この方法も現実的には難しい。
【0286】
また、各ネットワーク毎の各ID管理無線端末等が、自動的に自ネットワークのネットワークIDを生成することも考えられるが、詳しくは後述するように、この場合にも問題が生じてしまう。
【0287】
上述したネットワーク結合異常が生じることを完全に防止することは難しいにしても、以下に説明する本手法によれば、この様な異常状態になる可能性を極めて低くすることは出来る。
【0288】
図32(a)〜(c)は、本手法によるネットワークID設定方法について説明する為の図である。
図32(a)には、上記ネットワークIDを用いる場合のパケット構成例を示す。
【0289】
このパケット310では、そのヘッダ部にネットワークID311、送信元ID312、宛先(着信先)ID313、転送元ID314、転送先ID315等が格納され、さらにコマンド316、データ等317が格納される。このパケット構成自体は、図45に示す従来と略同様であり、特に説明しないが、ネットワークID311の内容が従来とは異なる。
【0290】
尚、図32(a)にはパケット構成の一例を示すが、他の各種パケットにおいても必ず上記ネットワークID311が存在する。例えば、上述したように、ID通知信号のパケット構成は、例えば、ID通知コマンド、送信元ID、送信先IDから成るが、本例の場合には更にネットワークID311が付加されていることになる。上記他の各種パケットにおいても同様である。
【0291】
ネットワークID311は、従来ではロータリースイッチによる設定内容そのものとなるが、本例では図32(b)に示す内容となる。すなわち、図32(b)に示すように、ネットワークID311は、ID管理無線端末が任意に決定する部分311a(以下、上位ID311aという)と、ロータリースイッチによる設定内容(手動設定される部分311b;以下、下位ID311bという)とから成る。
【0292】
上記下位ID311bは、例えば現場の作業員などが上記ロータリースイッチ等を用いて手動で設定したものである。換言すれば、“従来におけるネットワークID=下位ID311b”と考えることができる。一方、上位ID311aは、ID管理無線端末が例えば起動時の初期処理の際等に自動的に決定する。
【0293】
図32(c)に、上記上位ID311a、下位ID311bの具体例を示す。
図示の例では、下位ID311bは、上述した16通りの設定が可能なロータリーSW(スイッチ)により設定されたコードであり、4bitで表現できる。一方、上位ID3
11aは当該ID管理無線端末は自動的に生成した12bitの生成コードである。勿論、12bitに限るものではない。上位ID311aの生成方法は、様々であってよく、ランダムに決定してもよいが、例えばID管理無線端末が自身の製造番号を短縮した短縮コードであってもよい。短縮コードの生成方法は、既存の様々な方法であってよい。
【0294】
そして、ID管理無線端末は、自己が生成した上位ID311a(生成コード)と自己に手動設定された上記下位ID311b(ロータリーSW設定)とを図32(b)、(c)に示すように組み合わせることで、自己のネットワークIDを生成する。その後は、ID管理無線端末は、自己が送信する全てのパケットに、上記図32(a)のパケットのように、自己のネットワークIDを含めて送信する。
【0295】
これより、図33に示すように、任意のグループにおいて、最初はID管理無線端末のみが自己のID(=‘01’)とネットワークIDが設定された状態となっており、各未登録無線端末は上記の通り自端末のIDが未登録であるだけでなく、自端末の(自ネットワークの)ネットワークIDも未登録である。
【0296】
ここで、各未登録無線端末は、上記の通り自端末のIDとして特定の仮ID(=‘00’)を用いて通信可能としているが、本例ではネットワークIDが一致しないとパケット破棄されてしまうので、最初にパケット送信するときより前の時点で自己のネットワークIDを決定・設定しておく必要がある。未登録無線端末が最初に送信するパケットは、上記ステップS64による登録要求であるので、登録要求送信前に自己のネットワークIDを決定・設定しておく必要がある。
【0297】
これより、本手法では、未登録無線端末は、上記図22の代わりに図34の処理を実行する。図34の処理は、図22の処理とほぼ同じであるので、略同一の処理に関しては同一符号を付して、その説明はここでは省略し、異なる点についてのみ以下に説明する。
【0298】
図34の処理では、まず、上記図22のステップS63の「登録済み無線端末のID受信?」の処理の代わりに、図示のステップS91の「下位が一致の登録済み無線端末のID受信?」の処理を行い、ステップS91の判定がYESの場合には自己のネットワークIDを決定して設定する処理を行う(ステップS92)。
【0299】
これより、続くステップS64で送信する登録要求には自己のネットワークIDも含めて送信することができる(逐一述べないが、当然、上記特定の仮ID(=‘00’)や製造番号も用いるものである)。勿論、登録要求に限らずその後に送信するパケットには全て自己のネットワークIDも含めて送信し、また受信パケットに含まれるネットワークIDが自己のネットワークIDと不一致の場合には、この受信パケットを破棄する処理を行う。これは、自端末が未登録無線端末から登録済み無線端末になった後も同様である。
【0300】
上記ステップS91の処理は、上記ステップS63と同様に受信したID通知信号のIDが未登録無線端末のID以外(‘00’以外)であるか否かの判定も行うが、更に受信したID通知信号のパケットのネットワークID311の下位ID311b(すなわち、手動設定内容部分)が、自端末の手動設定内容と同じであるか否かも判定し、両方の判定でYESとなった場合にステップS92の処理へ移行する。
【0301】
例えば、図33に示す例では、上記の通りID管理無線端末が自己のネットワークIDを決定・設定しており、ここではID管理無線端末における手動設定(上記ロータリーSWによる設定)は‘07’であったとする。この場合、設置作業員等は、このID管理無線端末と同じグループにすべき全ての無線端末の手動設定を‘07’にする。これより、ここでは、図33に示す全ての未登録無線端末において、その手動設定が‘07’になっ
ているものとする。そして、ここでは仮にID管理無線端末は上位ID311a(生成コード)として‘543’を生成したものとする(この例では簡単の為、生成コードは12bitではないものとする。一方、下位ID311bは4bitであるものとする)。よって、ID管理無線端末のネットワークID(NID)は‘54307’となる。
【0302】
上記の具体例を用いて図33、図35を参照して、上記ステップS91、S92の処理について、より具体的に説明する。
上記具体例において、上記自己のネットワークID=‘54307’を決定・設定済みのID管理無線端末は、上記ステップS81の処理においてID通知信号の送信処理を行っているが、ここでは図35に示すように、自己のID(=‘01’)だけでなく、上記自己のNID=‘54307’も一緒に送信している。
【0303】
そして、図33に示す例では、このID管理無線端末と直接無線通信可能な未登録無線端末は、図示のID管理無線端末に最も近い未登録無線端末1台だけであるとすると、この未登録無線端末は、上記ステップS62のID受信待ち状態中に上記ID管理無線端末からのID通知信号を受信すると、このID通知信号におけるIDが‘00’以外であり、且つそのNIDにおける下位ID311b(ここでは下位4bitの値(=‘07’))が、上記自端末の手動設定内容(=‘07’)と同じであることから、ステップS91の判定はYESとなる。
【0304】
これより、この未登録無線端末は、上記ステップS92の処理により、自己のネットワークIDを、上記ID通知信号のNID=‘54307’に決定して設定する。そして、ステップS64により登録要求を返信するが、図35に示すようにこの登録要求には上記特定の仮ID(=‘00’)だけでなく、自己のネットワークID=‘54307’も含めて送信する(逐一言わないが、製造番号も一緒に送信する)。
【0305】
よって、この登録要求を受信した上記ID管理無線端末は、この登録要求に含まれるNIDが自己のNIDと一致することから、この登録要求を破棄することなく受け入れて、上記ステップS85の処理により発行ID通知を送信することになる。当然、この発行ID通知にもNID=‘54307’が含まれている。これより、上記ID管理無線端末に最も近い未登録無線端末は、発行ID通知のNIDが自己のNIDであることから、上記の通り更に製造番号等が一致すれば、この発行ID通知によって通知された発行IDを自端末のIDとして設定し、その後は上記登録済み無線端末として動作することになる。
【0306】
上記の例では、図33に示す他の未登録無線端末は何れも、1台以上の登録済み無線端末を介してID管理無線端末から自己IDの割当てを受けることになる。この場合も、直接無線通信する端末が上記ID管理無線端末ではなく登録済み無線端末になるだけであり、上記ID管理無線端末の場合と同様にして、自己のネットワークIDを上記NID=‘54307’に決定して設定することになる。
【0307】
すなわち、登録済み無線端末は上記ステップS71により送信するID通知信号に、自己のNIDも含めて送信し、これを受信した未登録無線端末は、このNIDの下位ID311b(ここでは下位4bit)が、上記自端末の手動設定内容と同じであれば、このNIDを自端末のネットワークIDとして決定・設定する。そして、上記のように、自己のNIDを含む登録要求を送信し、この場合には通信相手の登録済み無線端末からは、上記発行ID通知ではなく上記ステップS75による待機指示が送信されてくることになる。
【0308】
上述したように、本手法によれば、ネットワークIDを「自動生成コード+手動設定内容」とすることで、任意のネットワークの近隣のネットワークにおける手動設定内容が、偶然、当該任意のネットワークと同じであったとしても、ネットワークIDが一致する可
能性は極めて低くなり、上記ネットワーク結合異常が生じる可能性は極めて低くなる。
【0309】
また、設置作業員等は、新たな無線端末(未登録無線端末)を設置する際には、この未登録無線端末が所望の無線ネットワーク(グループ)に組み込まれることを意図しており、この意図は上記手動設定に反映されることになる。すなわち、組み込むべきグループの既設の各無線端末と同じ手動設定を行うものである。
【0310】
この為、上記ネットワークIDを、その全体を自動生成にすることなく、一部を手動設定内容としているものである。もし、ネットワークID全体を自動生成してしまうと、未登録無線端末は、上記下位ID311b一致/不一致の判定を行うことができないので、上記ステップS62のID受信待ち状態で最初に受信したID通知信号の送信元無線端末が、他のグループに属する無線端末であっても、それが分からないので、受信したID通知信号のNIDを自己のNIDとして決定・設定してしまうことになる。これに対して、上記手法では上記下位ID311b一致/不一致の判定を行うので、この様な事態を防止できる。
【0311】
しかしながら、上記手法では上記事態を完全に防止することはできない。任意のグループに組み込むべき未登録無線端末が、このグループの手動設定内容と同じ手動設定内容の他のグループの登録済み無線端末やID管理無線端末と、直接無線通信可能である場合には、この未登録無線端末に他のグループのNIDが設定される可能性があり(早いもの勝ちで決まる)、この場合にはこの未登録無線端末は他のグループに組み込まれてしまうことになる。
【0312】
この場合でも、非常に低い可能性で両グループのNIDが一致しない限り、上述した複数のグループの結合の問題が生じることはない。すなわち、上記未登録無線端末は、他のグループのNIDを設定されて登録済み無線端末となった後は、当該他のグループ内の各無線端末としか通信を行えず、別のグループ(特に本来組み込むべきグループ)の無線端末とは通信を行えない(パケット受信しても破棄する)ので、ネットワーク結合異常の問題は生じない。
【0313】
しかしながら、本来組み込むべきグループに組み込まれない事態が生じるのは、問題であり、様々なデメリットを引き起こす可能性がある。例えば、任意のグループに組み込むべき新たな未登録無線端末が、温度センサを備えてその設置場所の温度を計測するものであり、このグループ内の他の既設の無線端末(登録済み無線端末等)は、この温度計測結果を定期的に取得して何等かの処理を行うものとしたかった場合、温度計測結果が取得できないことになる。
【0314】
以下、この様な問題を解決する為の手法について説明する。
上記問題を解決する為に、本手法では、未登録無線端末は、上記図34の処理における上記ステップS91、S92、S64の代わりに、図36に示す処理を実行する。他の処理は図34と同様であってよく、特に説明しない。尚、図36は自己のネットワークID決定フローチャート図であると言える。
【0315】
図36において、未登録無線端末は、上記ステップS62による他の無線端末からのID通知信号の受信待ち状態中に、ID通知信号を受信する毎に(ステップS101,YES)ステップS102〜S104の処理を実行する。すなわち、まず、受信したID通知信号におけるNIDの下位ID311bが、自端末の手動設定内容と一致するか否かを判定し(ステップS102)、不一致の場合には(ステップS102,NO)何も処理は行わずにステップS105へ移行し、予め設定される所定時間経過していない限り(ステップS105,NO)、ステップS101に戻り、次のID通知信号の受信を待つ。
【0316】
一方、上記下位ID311bが自端末の手動設定内容と一致するならば(ステップS102,YES)、この受信信号の受信強度が規定値以上か否かを判定し(ステップS103)、規定値未満であれば(ステップS103,NO)何も処理は行わずにステップS105へ移行する。
【0317】
規定値以上であれば(ステップS103,YES)、上記受信したID通知信号におけるネットワークID及びID(送信元のID)を記憶する。その際、既に同一のネットワークIDが記憶されている場合には、受信したID通知信号のIDを、このネットワークIDに対応付けて追加記憶する(ステップS104)。尚、このステップS104の処理は主に、受信したネットワークIDが複数種類ある場合に、それぞれの受信回数をカウントする為の処理であるので、上記処理例に限らず、例えば単に、既に同一のネットワークIDが記憶されている場合には、そのネットワークIDの受信回数を+1インクリメントする処理であってもよい。
【0318】
ステップS104の処理を実行したら、ステップS105へ移行する。
尚、上記ステップS105の所定時間は、上記一定時間TWとしてもよいし、この一定時間TWの受信待ち状態を複数回実行し得る程度の期間としてもよい。後述する図39の例は、複数回実行し得る程度の期間とした場合の例である。
【0319】
そして、上記所定時間経過したら(ステップS105,YES)、上記ステップS104で記憶した記憶内容を参照して、ステップS106の処理を実行する。
ステップS106では、まず、上記ステップS104の処理によって記憶されたネットワークIDが、0か、1種類か、複数種類かを判定する。もし、0であれば、再度、上記所定時間、ステップS101〜S104の処理を繰返す。もし、記憶されたネットワークIDが1種類であれば、このネットワークIDを自己のネットワークIDとして決定・設定する。もし、記憶されたネットワークIDが複数種類ある場合には、そのネットワークIDに対応付けて登録されたIDの数が一番多いものを(つまり、受信回数が1番多いものを)、自己のネットワークIDとして決定・設定する。
【0320】
上記処理によって、この未登録無線端末は、自己のネットワークIDとして当該未登録無線端末が組み込まれるべきグループのネットワークIDが設定される可能性が極めて高くなる。
【0321】
すなわち、通常、設置作業員は、この未登録無線端末を、例えば図37に示すように、この未登録無線端末を組み込むべきグループ(図示の所望のネットワーク)のエリア内に設置するものであり、それ故、この所望のネットワークに属する各無線端末と当該未登録無線端末との直接無線通信に関しては、その受信強度は強い(規定値以上となる)可能性が高く、更に直接無線通信可能な無線端末の台数は比較的多いものと考えられる。一方、該未登録無線端末が他のネットワークの無線端末と直接無線通信する可能性があるとしても、その受信強度は弱く(規定値未満)、直接無線通信可能な無線端末の台数は比較的少ないものと考えられる。
【0322】
この考えに基づいて、上記ステップS103やS106の処理を行っている。
尚、上記ステップS106によって自己のネットワークIDを設定した後は、任意のID通知信号の受信待ち状態となり(ステップS107)、受信したID通知信号におけるNIDが上記自己のNIDと一致する場合には(勿論、そのIDが‘00’以外である等の条件も必要である)(ステップS108,YES)、上記ステップS64と同様に登録要求を送信する(ステップS109)。
【0323】
上記図36の処理について、図38、図39に示す具体例を参照して説明する。
ここでは、図38に示す未登録無線端末は、図示のID管理無線端末‘1’及び登録済み無線端末‘2’〜‘7’から成る無線通信ネットワーク(仮に、グループEとする)に新たに組み込むべく設置された新規の無線端末であるものとする。このグループEにおける各無線端末の手動設定は‘07’であり、これに基づいてこのグループEのネットワークIDは‘54307’に決定・設定されているものとする。一方、図上右側に示す無線端末‘3’は他の無線通信ネットワーク(仮に、グループFとする)に属する無線端末であり、その手動設定は‘07’であり(つまり、グループEと同じであり)、これに基づいてネットワークIDは‘12307’であったとする。尚、当然、上記未登録無線端末の手動設定は‘07’である。
【0324】
そして、上記未登録無線端末は、上記グループEにおける3台の無線端末(無線端末2,4,6)と直接無線通信可能であり、更に上記グループFの無線端末3とも直接無線通信可能であるものとする。尚、図示の例では、登録済み無線端末とのみ直接無線通信可能であるが、ID管理無線端末と直接無線通信可能となる場合もあり、ID管理無線端末との直接無線通信に関しても登録済み無線端末の場合と同様の処理を行う。
【0325】
この場合、上記未登録無線端末は、例えば図39に示すように、上記グループEにおける3台の無線端末(無線端末2,4,6)及びグループFの無線端末3のそれぞれから送信されるID通知信号を受信することになり、これら各信号を受信する毎にステップS102〜S105の処理を実行することになる。
【0326】
ここでは、仮に、これら各ID通知信号の受信強度は所定値以上であるものとする。この場合には、ステップS104によって記憶される内容は、ステップS106の処理を行う時点では、ネットワークIDは‘54307’と‘12307’とが記憶されていることになるので、上記「記憶されたネットワークIDが複数種類ある場合」の処理を実行することになる。
【0327】
この場合、ネットワークID‘54307’の受信回数は3回、ネットワークID‘12307’の受信回数は1回になるので、上記未登録無線端末は、受信回数が1番多いネットワークIDであるネットワークID‘54307’を、自己のネットワークIDとして決定・設定することになる。つまり、正しくネットワークIDが設定されることになり、この未登録無線端末は、本来組み込まれるべきグループEに正しく組み込まれることになる。
【0328】
その後の上記ステップS107,S108の処理において、最初に受信するID通知信号が、グループFの無線端末3からのID通知信号であったとしても、NID不一致となることから、ステップS108の判定はNOとなり、その後に上記グループEにおける3台の無線端末(無線端末2,4,6)の何れかからのID通知信号を受信したら、ステップS108の判定はYESとなり、登録要求が送信されることになる。
【0329】
上述したように、本手法によれば、ネットワーク結合異常が生じることを防止できる。更に、未登録無線端末が、本来組み込まれるべきネットワークグループに組み込まれない事態が生じることを防止できる。
【0330】
図40に、無線端末の概略的構成例を示す。
図40に示す無線端末400は、アンテナ401と、無線送受信回路402、通信制御部403、電源回路404等を有し、上位装置であるデータ処理装置401に接続してデータ処理装置401とのデータ送受信を行うことができる。無線送受信回路402は上記無線送信回路13aと無線受信回路14a等に相当する。通信制御部403は上記制御部
12a、12b等に相当する。電源回路404は上記電池17a、17b等に相当するが、この例に限らず、商用AC電源を入力してDC電源に変換するAC/DCコンバータ等であってもよい。
【0331】
通信制御部403は、例えばCPU/MPU等であり、この構成例においては、上記図21〜図24や図34、図36の処理は、CPU/MPU等が予めメモリ等に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。また、このメモリには、上記図25のテーブルや構成情報等も記憶される。
【図面の簡単な説明】
【0332】
【図1】無線端末(受信端末、送信端末)の構成図である。
【図2】(a)、(b)は、各動作状態制御部の処理フローチャート図である。
【図3】(a)は図2(a)の処理による受信端末の動作タイミング図、(b)は図2(b)の処理による送信端末11bの動作タイミング図である。
【図4】無線端末の間欠通信方法の一例を示すタイミング図である。
【図5】本例の無線端末の間欠通信方法のその他の例を示すタイミング図である。
【図6】本例の無線端末の間欠通信方法の更に他の例を示すタイミング図である。
【図7】第2実施形態に係る無線端末の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図7の無線端末の間欠通信方法を示すタイミング図である。
【図9】本例の無線端末の間欠通信方法のさらにその他の例を示すタイミング図である。
【図10】図1、図7に示す無線端末を、よりハードウェア的に示す構成図である。
【図11】本例の無線端末の動作方法を示す状態遷移図である。
【図12】(b)は本例の無線端末を無線通信ネットワークシステムに適用した場合の動作例であり,(a)は比較の為の動作例である。
【図13】本例の無線端末によるパケット転送経路の一例を示す図である。
【図14】本例の無線端末のデータ送受信動作の変形例を示す図である。
【図15】本例の無線端末の動作フローチャート図である。
【図16】(a)、(b)は、図15の処理による送信側−受信側間の通信シーケンス図である。
【図17】(a)は本例の構成情報の一例、(b)はネットワーク構成例である。
【図18】変形例に係る受信待ち状態の時間分割例である。
【図19】変形例の無線端末の動作フローチャート図である。
【図20】本例のID自動付与・登録処理の概略シーケンス図である。
【図21】モード判別処理フローチャート図である。
【図22】未登録無線端末の処理フローチャート図である。
【図23】登録済み無線端末の処理フローチャート図である。
【図24】ID管理無線端末の処理フローチャート図である。
【図25】ID登録管理テーブルの一例である。
【図26】未登録無線端末による登録要求送信に係る動作例である。
【図27】登録要求パケットがID管理無線端末へ中継・転送される様子を示す図である。
【図28】ID通知パケットが未登録無線端末へ中継・転送される様子を示す図である。
【図29】複数のネットワークが結合して1つのネットワークになる具体例(その1)である。
【図30】複数のネットワークが結合して1つのネットワークになる具体例(その2(1/2))である。
【図31】複数のネットワークが結合して1つのネットワークになる具体例(その2(2/2))である。
【図32】(a)〜(c)は本例のネットワークIDについて説明する為の図である。
【図33】任意の無線通信ネットワークの初期の状況を示す図である。
【図34】ネットワークIDを用いる場合の未登録無線端末の処理フローチャート図である。
【図35】ネットワークIDを用いる場合の通信シーケンス図である。
【図36】自己のネットワークID決定フローチャート図である。
【図37】図36の処理の考え方を説明する為の図である。
【図38】図36の処理に係る具体例を示す図である。
【図39】図36の処理に係る通信シーケンス図である。
【図40】無線端末の概略構成例である。
【図41】従来の無線通信ネットワークシステム全体の構成の一例を示す図である。
【図42】(a)、(b)は無線端末Aが保持する構成情報の一例を示す図である。
【図43】各無線端末が保持する構成情報の一例を示す図である。
【図44】複数のグループが存在する例を示す図である。
【図45】グループを区別する為のパケットの構成例である。
【符号の説明】
【0333】
11a 受信端末
12a 制御部
13a 無線送信回路
14a 無線受信回路
15a 切り替え部
16a アンテナ
17a 電池
18a インターフェース
19a スイッチ
20a スイッチ
31a 動作状態制御部
32a 第1送信状態制御部
33a 第1受信状態制御部
11b 送信端末
12b 制御部
13b 無線送信回路
14b 無線受信回路
15b 切り替え部
16b アンテナ
17b 電池
18b インターフェース
19b スイッチ
20b スイッチ
31b 動作状態制御部
32b 第2送信状態制御部
33a 第2受信状態制御部
111a,111b 無線端末
112a、112b 制御部
113a、113b 無線送信回路
114a、114b 無線受信回路
115a、115b 切り替え部
116a、116b アンテナ
117a、117b 電池
118a、118b インターフェース
119a、119b スイッチ
120a、120b スイッチ
131a、131b 動作状態制御部
132a、132b 第1送信状態制御部
133a、133b 第2送信状態制御部
134a、134b 第1受信状態制御部
135a、135b 第2受信状態制御部
200 無線端末
201 アンテナ
202 送受信切替部
203 無線送信回路
204 無線受信回路
205 送信状態制御部
206 受信状態制御部
207 データ送信制御部
208 間欠動作制御部
209 ID通知信号判定部
210 電源(電池)
211 電源ライン
212 スイッチ
213 スイッチ
300 ID登録管理テーブル
301 ID
302 使用有無
303 製造番号
310 パケット
311 ネットワークID
312 送信元ID
313 宛先(着信先)ID
314 転送元ID
315 転送先ID
316 コマンド
317 データ等
TT,TR 一定期間
TS スリープ期間
TW 一定時間
T11 送信状態
T12 送信状態
R11 受信状態
R12 受信待ち状態
R13 受信状態
J11,J12 送信事象
P11,P13 間欠送信信号
P12,P14 送信信号(返信信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムであって、
1つの無線通信ネットワークシステムを構成する前記複数の無線端末のうちの1台を前記IDを発行・管理するID管理無線端末とし、
該ID管理無線端末は、
任意のコードを生成し、該生成コードと自端末における手動設定内容とから成る前記ネットワーク識別コードを生成するネットワーク識別コード生成手段を有し、
自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末は、
前記ID管理無線端末または自己のIDが登録済みの無線端末である登録済み無線端末が送信するID通知信号に含まれるネットワーク識別コードにおける前記手動設定内容部分が、自端末における手動設定内容と一致する場合に、該ID通知信号に含まれるネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定する自己ネットワーク識別コード決定手段を有し、該決定・設定した自己のネットワーク識別コードを用いたID登録要求を送信し、該ID登録要求に対して前記ID管理無線端末が決定した発行IDを取得したら、該発行IDを自己のIDとして登録することを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項2】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムであって、
1つの無線通信ネットワークシステムを構成する前記複数の無線端末のうちの1台を前記IDを発行・管理するID管理無線端末とし、
該ID管理無線端末は、
任意のコードを生成し、該生成コードと自端末における手動設定内容とから成る前記ネットワーク識別コードと生成するネットワーク識別コード生成手段を有し、
自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末は、
所定期間、前記ID管理無線端末または自己のIDが登録済みの無線端末である登録済み無線端末が送信するID通知信号の受信待ち状態となり、該ID通知信号を受信する毎に、該ID通知信号に含まれるネットワーク識別コードにおける前記手動設定内容部分が、自端末における手動設定内容と一致する場合には、該ネットワーク識別コードを記憶するネットワーク識別コード決定用情報記憶手段と、
前記所定期間経過後、前記記憶されたネットワーク識別コードが1種類である場合には該記憶されたネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定し、前記記憶されたネットワーク識別コードが複数種類ある場合には、最も多くの回数記憶されたネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定する自己ネットワーク識別コード決定手段を有し、該決定・設定した自己のネットワーク識別コードを用いたID登録要求を送信し、該ID登録要求に対して前記ID管理無線端末が決定した発行IDを取得したら、該発行IDを自己のIDとして登録することを特徴とする無線通信ネットワークシステム。
【請求項3】
前記ネットワーク識別コード決定用情報記憶手段は、前記ID通知信号に含まれるネットワーク識別コードにおける前記手動設定内容部分が自端末に対する手動設定内容と一致する場合であって、且つ該ID通知信号の受信強度が規定値以上である場合に、該ネット
ワーク識別コードを記憶することを特徴とする請求項2記載の無線通信ネットワークシステム。
【請求項4】
前記未登録無線端末は、
前記自己のネットワーク識別コードと予め決められている特定の仮IDと自己の固定識別コードを含む前記ID登録要求を送信するID登録要求手段と、
該ID登録要求に対する発行ID通知を受信すると、該通知された発行IDを自己のIDとして登録するID登録手段とを有し、
前記各登録済み無線端末は、
前記未登録無線端末からのID登録要求を受信した場合に、自端末を送信元とし宛先を前記ID管理無線端末とする、前記ID登録要求の固定識別コードを含むID要求パケットを生成して、該ID要求パケットを送信するID要求パケット生成・送信手段と、
該ID要求パケットに対する前記ID管理無線端末からの応答である、前記固定識別コードを含む前記発行ID通知を受信すると、該発行ID通知を前記未登録無線端末へ転送する発行ID通知転送手段とを有し、
前記ID管理無線端末は、前記ID要求パケットを受信すると又は前記ID登録要求を直接受信すると、任意のIDを該要求元の未登録無線端末に対する発行IDとして決定して、該発行IDと前記固定識別コードを含む前記発行ID通知を、前記受信したID要求パケットにおける送信元の登録済み無線端末宛に送信する又は前記受信したID登録要求の送信元の前記未登録無線端末へ返信する発行ID決定・通知手段を更に有することを特徴とする請求項2記載の無線通信ネットワークシステム。
【請求項5】
前記ID登録手段は、受信した発行ID通知に含まれる固定識別コードが自端末の固定識別コードである場合に、該通知された発行IDを自己のIDとして登録することを特徴とする請求項4記載の無線通信ネットワークシステム。
【請求項6】
前記各無線端末は、
一定周期で間欠的に、少なくとも自己のIDを含む第1の信号を送信すると共にその後に所定の第1の期間、他の無線端末からの前記第1の信号に対する返信の受信待ち状態とする受信動作制御手段と、
任意の送信データがある場合、所定の第2の期間、他の無線端末からの前記第1の信号の受信待ち状態とし、該第1の信号を受信すると、該第1の信号の送信元が前記送信データの送信先である場合には前記第1の信号に対する返信として前記送信データを送信する送信動作状態制御手段とを有し、
前記未登録無線端末は、前記送信動作状態制御手段により、そのIDが前記特定の仮ID以外のIDである前記第1の信号を受信すると、前記送信データとして前記特定の仮IDと自己の固定識別コードを含む前記ID登録要求を送信し、その後は前記前記受信動作制御手段により、前記第1の信号に対する返信としての前記発行ID通知の受信待ち状態となることを特徴とする請求項4または5記載の無線通信ネットワークシステム。
【請求項7】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムにおけるID管理無線端末であって、
任意のコードを生成し、該生成コードと自端末における手動設定内容とから成る前記ネットワーク識別コードを生成するネットワーク識別コード生成手段と、
自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末を含む任意の無線端末に対して、一定周期で間欠的に、前記ネットワーク識別コードを含むID通知信号を送信するID通知信号送信手段と、
該ID通知信号による応答として、自端末の手動設定内容が前記ID通知信号のネットワーク識別コードの手動設定内容と同一であることから該ID通知信号のネットワーク識別コードを自端末のネットワーク識別コードとして登録した任意の前記未登録無線端末から、該ネットワーク識別コードを含むID登録要求があった場合には、任意のIDを該要求元の未登録無線端末に対する発行IDとして決定して該発行IDを通知する発行ID決定・通知手段と、
を有することを特徴とする無線通信ネットワークシステムのID管理無線端末。
【請求項8】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムにおける、自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末であって、
ID管理無線端末または自己のIDが登録済みの無線端末である登録済み無線端末が送信するID通知信号に含まれるネットワーク識別コードにおける手動設定内容部分が、自端末における手動設定内容と一致する場合に、該ID通知信号に含まれるネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定する自己ネットワーク識別コード決定手段と、
該決定・設定した自己のネットワーク識別コードを用いたID登録要求を送信し、該ID登録要求に対して前記ID管理無線端末が決定した発行IDを取得したら、該発行IDを自己のIDとして登録する自己ID登録手段と、
を有することを特徴とする無線通信ネットワークシステムの未登録無線端末。
【請求項9】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムにおける、自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末であって、
所定期間、ID管理無線端末または自己のIDが登録済みの無線端末である登録済み無線端末が送信するID通知信号の受信待ち状態となり、該ID通知信号を受信する毎に、該ID通知信号に含まれるネットワーク識別コードにおける手動設定内容部分が、自端末における手動設定内容と一致する場合には、該ネットワーク識別コードを記憶するネットワーク識別コード決定用情報記憶手段と、
前記所定期間経過後、前記記憶されたネットワーク識別コードが1種類である場合には該記憶されたネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定し、前記記憶されたネットワーク識別コードが複数種類ある場合には、最も多くの回数記憶されたネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定する自己ネットワーク識別コード決定手段と、
該決定・設定した自己のネットワーク識別コードを用いたID登録要求を送信し、該ID登録要求に対して前記ID管理無線端末が決定した発行IDを取得したら、該発行IDを自己のIDとして登録する自己ID登録手段と、
を有することを特徴とする無線通信ネットワークシステムの未登録無線端末。
【請求項10】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムにおけるID管理無線端末のコンピュータを、
任意のコードを生成し、該生成コードと自端末における手動設定内容とから成る前記ネットワーク識別コードを生成するネットワーク識別コード生成手段と、
自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末を含む任意の無線端末に対して、一定周期で間欠的に、前記ネットワーク識別コードを含むID通知信号を送信するID通知信号送信手段と、
該ID通知信号による応答として、自端末の手動設定内容が前記ID通知信号のネットワーク識別コードの手動設定内容と同一であることから該ID通知信号のネットワーク識別コードを自端末のネットワーク識別コードとして登録した任意の前記未登録無線端末から、該ネットワーク識別コードを含むID登録要求があった場合には、任意のIDを該要求元の未登録無線端末に対する発行IDとして決定して該発行IDを通知する発行ID決定・通知手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムにおける、自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末のコンピュータを、
ID管理無線端末または自己のIDが登録済みの無線端末である登録済み無線端末が送信するID通知信号に含まれるネットワーク識別コードにおける手動設定内容部分が、自端末における手動設定内容と一致する場合に、該ID通知信号に含まれるネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定する自己ネットワーク識別コード決定手段と、
該決定・設定した自己のネットワーク識別コードを用いたID登録要求を送信し、該ID登録要求に対して前記ID管理無線端末が決定した発行IDを取得したら、該発行IDを自己のIDとして登録する自己ID登録手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
無線データ通信を行う複数の無線端末によって構成され、各無線端末は任意に割り当てられるIDによって識別され、各無線端末は構成情報を用いて直接又は他の1以上の無線端末に中継させることで他の全ての無線端末と通信可能であり、各無線通信ネットワークシステムを識別する為のネットワーク識別コードが用いられる無線通信ネットワークシステムにおける、自己のIDが未だ登録されていない無線端末である未登録無線端末のコンピュータを、
所定期間、ID管理無線端末または自己のIDが登録済みの無線端末である登録済み無線端末が送信するID通知信号の受信待ち状態となり、該ID通知信号を受信する毎に、該ID通知信号に含まれるネットワーク識別コードにおける手動設定内容部分が、自端末における手動設定内容と一致する場合には、該ネットワーク識別コードを記憶するネットワーク識別コード決定用情報記憶手段と、
前記所定期間経過後、前記記憶されたネットワーク識別コードが1種類である場合には該記憶されたネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定し、前記記憶されたネットワーク識別コードが複数種類ある場合には、最も多くの回数記憶されたネットワーク識別コードを自己のネットワーク識別コードとして決定・設定する自己ネットワーク識別コード決定手段と、
該決定・設定した自己のネットワーク識別コードを用いたID登録要求を送信し、該ID登録要求に対して前記ID管理無線端末が決定した発行IDを取得したら、該発行IDを自己のIDとして登録する自己ID登録手段、
として機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図20】
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【図37】
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【公開番号】特開2010−28169(P2010−28169A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183413(P2008−183413)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】