説明

無線通信方法、無線通信装置及び無線通信システム

【課題】混信と再送による遅延を回避することで、従来の車々間通信に比べて送受信するデータ量を大幅に削減し、高価で高機能な中央処理装置を使用しなくてもリアルタイム性を確保し、対向車との衝突を無線通信にて回避する。
【解決手段】車両に搭載されている無線通信装置100内の中央処理装置10は、取得した現在位置、方位と記憶部13から読み出した道路情報とに基づいて、その進行方向にある道路の情報を取得する。送信設定情報生成部15は、第1の識別情報に基づき算出した送信チャネルを送信部19に割り当てる。受信設定情報生成部16は、第1の識別情報と反対の方向性を持つ第2の識別情報に基づき算出した受信チャネルを受信部20に割り当てる。同じ道路を互いに逆方向に移動する無線通信装置100は、これにより一方の送信チャネルと他方の受信チャネルが同一となり混信のない双方向の無線通信が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信方法、無線通信装置及び無線通信システムに係り、特に道路情報に基づいて、車両の衝突回避のための道路への進入管理を無線通信により行う無線通信方法、無線通信装置及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路車間通信や車々間通信を行う装置を車両に搭載して、対向車とのすれ違いができないような道幅の狭い道路における衝突を回避する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の衝突回避方法では、車両に設置された移動局と、路側に設置された固定局(例えば、地域などが管理する交通情報センターに接続された光ビーコン)との間で無線通信(路車間通信)を行い、路側に設置された固定局からの進入許可及び禁止の情報を移動局が受信することで、道幅の狭い道路内での対向車との衝突を回避する。
【0004】
また、特許文献1に記載の衝突回避方法によれば、車両に設置された車々間通信装置によって対向車から送信された情報を直接受信することで、対向車の接近を知る事ができ、道幅の狭い道路へ進入すべきかどうかを判断することが可能であり、これによっても道幅の狭い道路内での衝突回避ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−86761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、路車間通信では、狭路毎に路側に固定局を設置するインフラが必須であり、膨大な作業と費用が発生してしまうという課題がある。また、車々間通信では、上述したインフラの必要はないが、路車間通信に比べて送信及び受信するデータ量が多くなることで車々間通信装置の負荷が大きくなり、リアルタイム性が確保できないなどの問題が生じる。
【0007】
高機能な中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を車両に搭載することでリアルタイム性を向上させることも可能であるが、費用が高くなるなどの問題が生じる。更には、特許文献1記載の方法では、通信によって起こり得る混信と再送による遅延を回避できないことも問題である。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、混信と再送による遅延を回避することで、従来の車々間通信に比べて送受信するデータ量を大幅に削減し、高価で高機能な中央処理装置を使用しなくてもリアルタイム性を確保し、対向車との衝突を無線通信にて回避できる無線通信方法、無線通信装置及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、第1の発明の無線通信方法は、自装置の現在位置と、自装置の進行する方向とを取得する現在地情報取得ステップと、交差点または異なる道路の交わる場所を示す道路ノードの位置情及び幅員と、隣り合う2つの道路ノード間の道路を示す道路リンクの情報とを少なくとも含む道路情報を予め記憶している記憶手段から読み出した道路情報と、現在地情報取得ステップで取得した現在位置及び方向とから、現在位置の道路リンクに接続された道路リンクの両端である第1の道路ノード及び第2の道路ノードの各位置情報をそれぞれ取得する位置情報取得ステップと、取得した第1及び第2の道路ノードの位置情報に基づいて、第1の道路ノードから第2の道路ノードへの方向性を持った第1の識別情報と、第2の道路ノードから第1の道路ノードへの方向性を持った第2の識別情報とを生成する識別情報生成ステップと、現在地情報取得ステップで取得した現在位置及び方向に基づいて、自装置が第1の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第1の識別情報に基づいて算出した第1の送信チャネル又は第1の送信周波数を送信手段に割り当て、第2の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第2の識別情報に基づいて算出した第2の送信チャネル又は第2の送信周波数を送信手段に割り当てる送信設定情報生成ステップと、現在地情報取得ステップで取得した現在位置及び方向に基づいて、自装置が第1の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第2の識別情報に基づいて算出した第2の送信チャネル又は第2の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第1の受信チャネル又は第1の受信周波数を受信手段に割り当て、第2の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第1の識別情報に基づいて算出した第1の送信チャネル又は第1の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第2の受信チャネル又は第2の受信周波数を受信手段に割り当てる受信設定情報生成ステップと、少なくとも自装置が道路リンクに進入したことを示す進入データ、又は自装置が道路リンクから退出したことを示す退出データを受信する受信ステップと、進入データを生成して、自装置が道路リンクの入口となる第1又は第2の道路ノードに進入した時に送信手段を介して送信させる進入データ送信ステップと、退出データを生成して、自装置が道路リンクの出口となる第2又は第1の道路ノードから退出した時に送信手段を介して送信させる退出データ送信ステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明の無線通信方法は、送信手段の送信タイミングを設定する送信タイミング設定ステップと、現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を要求する進入要求データを生成して送信手段を介して送信させる進入要求データ送信ステップと、現在位置が道路リンク内であるときに、受信手段により進入要求データを受信したことを検出した時は、道路リンク内に位置することを示す応答データを生成して、送信タイミング設定ステップにより設定された送信タイミングで送信手段を介して送信させる応答データ送信ステップとを更に含むことを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明の無線通信方法は、進入データ又は応答データを受信手段により受信したことを検出した時は、現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を禁止する待機案内を報知する待機案内報知ステップと、退出データを受信手段により受信したことを検出した後で現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を許可する走行許可案内を報知する走行許可案内報知ステップとを更に含むことを特徴とする。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、第4の発明の無線通信方法は、第3の発明における待機案内報知ステップを、受信手段により受信したデータのうち未処理の受信データが存在するか否かを判定する未処理データ判定ステップと、未処理データ判定ステップにより未処理の受信データが存在すると判定したときは、少なくとも道路リンクの入口となる第1又は第2の道路ノードの幅員と対向車の車幅とに基づいて、未処理の受信データを送信した対向車とのすれ違いが可能であるか否かの程度を示すすれ違いレベルを算出し、そのすれ違いレベルを所定の閾値と比較してすれ違いが可能か否かを判定するすれ違いレベル判定ステップとを含む構成とし、すれ違いレベル判定ステップによりすれ違いが困難であると判定されたときに現在位置に接続された道路リンクへの進入を禁止する待機案内を報知することを特徴とする。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、第5の発明の無線通信方法は、第1の発明に、少なくとも道路リンクの入口となる第1又は第2の道路ノードの幅員に基づいて、自装置を搭載した車両の対向車とのすれ違いが可能であるか否かの程度を示すすれ違いレベルを算出し、そのすれ違いレベルを所定の閾値と比較してすれ違いが可能か否かを判定するすれ違いレベル判定ステップを更に含み、すれ違いレベル判定ステップによりすれ違いが困難であると判定された時に、送信設定情報生成ステップによる第1及び第2の送信チャネル又は第1及び第2の送信周波数の算出と、受信設定情報生成ステップによる第1及び第2の受信チャネル又は第1及び第2の受信周波数の算出とを行うことを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するため、第6の発明の無線通信装置は、自装置の現在位置を取得する位置取得手段と、自装置の進行する方向を取得する方向取得手段と、交差点または異なる道路の交わる場所を示す道路ノードの位置情報及び幅員と、隣り合う2つの道路ノード間の道路を示す道路リンクの情報とを少なくとも含む道路情報を、予め記憶している記憶手段と、位置取得手段により取得された現在位置と、方向取得手段により取得された方向と、記憶手段から読み出した道路情報とから、現在位置の道路リンクに接続された道路リンクの両端である第1の道路ノード及び第2の道路ノードの各位置情報をそれぞれ取得する位置情報取得手段と、送信手段及び受信手段と、位置情報取得手段により取得した第1及び第2の道路ノードの位置情報に基づいて、第1の道路ノードから第2の道路ノードへの方向性を持った第1の識別情報と、第2の道路ノードから第1の道路ノードへの方向性を持った第2の識別情報とを生成する識別情報生成手段と、位置取得手段により取得された現在位置と、方向取得手段により取得された方向とに基づいて、自装置が第1の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第1の識別情報に基づいて算出した第1の送信チャネル又は第1の送信周波数を送信手段に割り当て、第2の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第2の識別情報に基づいて算出した第2の送信チャネル又は第2の送信周波数を送信手段に割り当てる送信設定情報生成手段と、位置取得手段により取得された現在位置と、方向取得手段により取得された方向とに基づいて、自装置が第1の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第2の識別情報に基づいて算出した第2の送信チャネル又は第2の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第1の受信チャネル又は第1の受信周波数を受信手段に割り当て、第2の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第1の識別情報に基づいて算出した第1の送信チャネル又は第1の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第2の受信チャネル又は第2の受信周波数を受信手段に割り当てる受信設定情報生成手段と、進入データを生成して、自装置が道路リンクの入口となる第1又は第2の道路ノードに進入した時に送信手段を介して送信させる進入データ送信手段と、退出データを生成して、自装置が道路リンクの出口となる第2又は第1の道路ノードから退出した時に送信手段を介して送信させる退出データ送信手段とを有することを特徴とする。
【0015】
また、上記の目的を達成するため、第7の発明の無線通信装置は、第6の発明に、送信手段の送信タイミングを設定する送信タイミング設定手段と、現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を要求する進入要求データを生成して送信手段を介して送信させる進入要求データ送信手段と、現在位置が道路リンク内であるときに、受信手段により進入要求データを受信したことを検出した時は、道路リンク内に位置することを示す応答データを生成して、送信タイミング設定手段により設定された送信タイミングで送信手段を介して送信させる応答データ送信手段とを更に有することを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、第8の発明の無線通信装置は、第6又は第7の発明に、進入データ又は応答データを受信手段により受信したことを検出した時は、現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を禁止する待機案内を報知する待機案内報知手段と、退出データを受信手段により受信したことを検出した後で現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を許可する走行許可案内を報知する走行許可案内報知手段とを更に有することを特徴とする。
【0017】
また、上記の目的を達成するため、第9の発明の無線通信装置は、第8の発明の待機案内報知手段を、受信手段により受信したデータのうち未処理の受信データが存在するか否かを判定する未処理データ判定手段と、未処理データ判定手段により未処理の受信データが存在すると判定したときは、少なくとも道路リンクの入口となる第1又は第2の道路ノードの幅員と対向車の車幅とに基づいて、未処理の受信データを送信した対向車とのすれ違いが可能であるか否かの程度を示すすれ違いレベルを算出し、そのすれ違いレベルを所定の閾値と比較してすれ違いが可能か否かを判定するすれ違いレベル判定手段とを有する構成とし、すれ違いレベル判定手段によりすれ違いが困難であると判定されたときに現在位置に接続された道路リンクへの進入を禁止する待機案内を報知することを特徴とする。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、第10の発明の無線通信装置は、第6の発明に、少なくとも道路リンクの入口となる第1又は第2の道路ノードの幅員に基づいて、自装置を搭載した車両の対向車とのすれ違いが可能であるか否かの程度を示すすれ違いレベルを算出し、そのすれ違いレベルを所定の閾値と比較してすれ違いが可能か否かを判定するすれ違いレベル判定手段を更に有し、すれ違いレベル判定手段によりすれ違いが困難であると判定された時に、送信設定情報生成手段による第1及び第2の送信チャネル又は第1及び第2の送信周波数の算出と、受信設定情報生成手段による第1及び第2の受信チャネル又は第1及び第2の受信周波数の算出とを行うことを特徴とする。
【0019】
更に、上記の目的を達成するため、第11の発明は複数の車両の各々に搭載された無線通信装置により互いに無線通信を行う無線通信システムであって、上記の無線通信装置は、自装置の現在位置を取得する位置取得手段と、自装置の進行する方向を取得する方向取得手段と、交差点または異なる道路の交わる場所を示す道路ノードの位置情報及び幅員と、隣り合う2つの道路ノード間の道路を示す道路リンクの情報とを少なくとも含む道路情報を、予め記憶している記憶手段と、位置取得手段により取得された現在位置と、方向取得手段により取得された方向と、記憶手段から読み出した道路情報とから、現在位置の道路リンクに接続された道路リンクの両端である第1の道路ノード及び第2の道路ノードの各位置情報をそれぞれ取得する位置情報取得手段と、送信手段及び受信手段と、位置情報取得手段により取得した第1及び第2の道路ノードの位置情報に基づいて、第1の道路ノードから第2の道路ノードへの方向性を持った第1の識別情報と、第2の道路ノードから第1の道路ノードへの方向性を持った第2の識別情報とを生成する識別情報生成手段と、位置取得手段により取得された現在位置と、方向取得手段により取得された方向とに基づいて、自装置が第1の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第1の識別情報に基づいて算出した第1の送信チャネル又は第1の送信周波数を送信手段に割り当て、第2の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第2の識別情報に基づいて算出した第2の送信チャネル又は第2の送信周波数を送信手段に割り当てる送信設定情報生成手段と、位置取得手段により取得された現在位置と、方向取得手段により取得された方向とに基づいて、自装置が第1の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第2の識別情報に基づいて算出した第2の送信チャネル又は第2の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第1の受信チャネル又は第1の受信周波数を受信手段に割り当て、第2の道路ノードを道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、第1の識別情報に基づいて算出した第1の送信チャネル又は第1の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第2の受信チャネル又は第2の受信周波数を受信手段に割り当てる受信設定情報生成手段と、進入データを生成して、自装置が道路リンクの入口となる第1又は第2の道路ノードに進入した時に送信手段を介して送信させる進入データ送信手段と、退出データを生成して、自装置が道路リンクの出口となる第2又は第1の道路ノードから退出した時に送信手段を介して送信させる退出データ送信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、同じ道路を逆方向に移動する他の無線通信装置からの発信情報だけを混信することなく全て受信することができ、混信と再送による遅延を回避できることから、従来の車々間通信に比べて送受信するデータ量を大幅に削減することができ、このことから高価で高機能な中央処理装置を使用しなくてもリアルタイム性を確保して、対向車との衝突を無線通信にて回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の無線通信装置の一実施の形態のブロック図である。
【図2】図1の本発明装置の動作説明用の道路構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の無線通信装置の一実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図4】幅員レベルの一例を示す図である。
【図5】図3中の送受信設定処理を示すフローチャートである。
【図6】図3中の受信処理を示すフローチャートである。
【図7】図1の本発明装置により送受信するデータの一例のフォーマットを示す図である。
【図8】待機案内表示の一例を示す図である。
【図9】走行許可案内表示の一例を示す図である。
【図10】進入判定処理の一例のフローチャートである。
【図11】すれ違いレベルの算出方法の一例を説明する図である。
【図12】図3中の送信処理を示すフローチャートである。
【図13】図1の本発明装置の動作説明用の道路構成の他の例を示すである。
【図14】本発明の無線通信装置の一実施の形態による送信処理の際に行う処理を説明するフローチャートである。
【図15】他車から進入要求データを受信した本発明の無線通信装置の一実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図16】進入要求データ受信時の本発明装置の一実施の形態の動作説明用シーケンス図である。
【図17】本発明の無線通信装置の一実施の形態の他の動作説明用フローチャートである。
【図18】本発明の無線通信装置の他の実施の形態の動作説明用の道路構成の一例を示す図である。
【図19】本発明の無線通信装置の更に他の実施の形態の動作説明用の道路構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明になる無線通信装置の一実施の形態のブロック図を示す。
【0024】
同図において、無線通信装置100は、車両に設置されており、中央処理装置(CPU)10と、位置取得部11と、方向取得部12と、少なくとも道路情報を記憶している記憶部13と、識別情報算出部14と、送信設定情報を生成する送信設定情報生成部15と、受信設定情報を生成する受信設定情報生成部16と、送信タイミング設定部17と、情報入力部18と、アンテナ21を有して無線による送受信を行う送信部19及び受信部20とを備えている。
【0025】
中央処理装置10は、本実施の形態の動作を実行するためのプログラムを記憶しているROM(Read Only Memory)、並びに演算時のデータの書き込み及び読み出し用などに用いられるRAM(Random Access Memory)22を有しており、無線通信装置100の後述の各種処理を実行して、無線通信装置100内の各部を統括的に制御する。中央処理装置10は、本発明の位置情報取得手段、進入データ送信手段、退出データ送信手段、進入要求データ送信手段、応答データ送信手段、すれ違いレベル判定手段などを構成する。
【0026】
位置取得部11は、本発明の位置取得手段を構成し、例えば、周知の全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を構成する人工衛星を経由して送信されるGPS信号を定期的に受信して、公知の演算により地理的な現在位置を表す緯度及び経度からなる位置情報を取得するGPSセンサから構成されている。
【0027】
方向取得部12は、本発明の方向取得手段を構成し、例えば公知の方位センサからなり、この無線通信装置100が搭載されている車両が進行する方向(方位)を取得する。なお、方向取得部12は、方位センサ等の特別なセンサを用いなくとも、GPS信号に含まれる情報から方位を取得してもよい。
【0028】
記憶部13は、本発明の記憶手段を構成しており、交差点または異なる道路の場所を示す道路ノードの位置情報及び幅員と、隣り合う2つの道路ノード間を繋ぐ道路を示す道路リンクの情報とを少なくとも含む道路情報を予め記憶している。
【0029】
識別情報算出部14は、本発明の識別情報生成手段を構成しており、中央処理部10によって記憶部13に記憶されている道路情報から特定された、この無線通信装置100の現在位置の道路リンクとその道路リンクの入口となる第1の道路ノードと出口となる第2の道路ノードとのうち、第1の道路ノードから第2の道路ノードへ向かう方向性をもった第1の識別情報と、第2の道路ノードから第1の道路ノードへ向かう方向性をもった第2の識別情報とを算出する。
【0030】
送信設定情報生成部15は、本発明の送信設定情報生成手段を構成しており、識別情報算出部14で算出された第1の識別情報に基づき送信設定情報として送信チャネルを算出し、中央処理装置10を介して送信部19にその送信チャネルを割り当てる。受信設定情報生成部16は、識別情報算出部14で算出された第2の識別情報に基づき受信設定情報として受信チャネルを算出し、中央処理装置10を介して受信部20にその受信チャネルを割り当てる。
【0031】
送信タイミング設定部17は、本発明の送信タイミング設定手段を構成しており、送信部19の送信タイミングを設定する。情報入力部18は、工事中や集団下校中の送信情報などを入力する。送信部19は、送信設定情報生成部15により算出された送信設定情報である送信チャネルが割り当てられ、その送信チャネルのデータを、アンテナ21を介して無線送信する。受信部20は、受信設定情報生成部15により算出された受信設定情報である受信チャネルが割り当てられ、アンテナ21を介して受信されるデータ中から割り当てられた受信チャネルのデータを選択受信する。送信部19及びアンテナ21は、本発明の送信手段を構成しており、受信部20を及びアンテナ21は、本発明の受信手段を構成している。
【0032】
なお、中央処理装置10、位置取得部11、方向取得部12、記憶部13、識別情報算出部14、送信設定情報生成部15、送信部19及びアンテナ21は、工事現場や集団下校など、情報送信のみを想定した無線送信装置101を構成している。
【0033】
次に、本実施の形態の実施例1の動作について、図1〜図13を併せ参照して説明する。なお、図2は、無線通信装置の動作説明用の道路構成の一例を示す図、図3は、本発明の無線通信装置及び無線通信方法の一実施の形態のフローチャートである。
【0034】
いま、図2に模式的に示すように、無線通信装置100を搭載した自車30が道路36を現在走行中であり、道路36よりも道幅の狭い道路38の入口となる第1の道路ノード32方向へ進行中であるものとする。一方、無線通信装置100を搭載した他車31が道幅の狭い道路38の出口となる第2の道路ノード33方向へ進行中であるものとする。なお、自車とは、実施の形態の動作説明での主体となる無線通信装置100が搭載された車両であり、他車とは、自車以外の無線通信装置100が搭載された車両である。
【0035】
この状態において、自車30に搭載されている無線通信装置100の中央処理装置10は、図3のフローチャートに示すように、まず、位置取得部11により取得された現在位置情報と、方向取得部12により取得された現在の自車30の進行方向(換言すると、無線通信装置100自体の移動方向)を示す方向情報とを、現在地情報として取得する(ステップS10)。これにより、中央処理装置10は、自車30が現在、道路36を道路36よりも道幅の狭い道路38方向へ進行中であることが分かる。
【0036】
続いて、自車30に搭載されている無線通信装置100の中央処理装置10は、記憶部13から読み出した、道路ノードの位置情報と道路リンクの情報と道路ノードの幅員とを少なくとも含む道路情報と、ステップS10で取得した現在地情報とに基づいて、自車30の進行方向にある道路36に接続されている道幅の狭い道路38の道路情報を取得する(ステップS20)。
【0037】
続いて、上記の中央処理装置10は、道路38の道路情報に含まれる幅員(道幅)から道路38の入口である第1の道路ノード32の幅員に基づいて、対向車とのすれ違いが可能であるか否かの判定、すなわち、すれ違いレベルの判定を行う(ステップS30)。この判定においては図4に示すような幅員Wrのレベル1〜5を予め設定しておき、最も幅員Wrの狭いレベル1及び次に幅員Wrの狭いレベル2の場合はすれ違い困難と判定し、レベル2よりも幅員Wrの広いレベル3以上をすれ違い可能と判定する。ただし、図3のフローチャートのステップS30の判定では、一例としてレベル2以下をすれ違い困難、レベル3以上をすれ違い可能と示したが、すれ違いの判定はこれに限定されるものではない。
【0038】
中央処理装置10は、ステップS30のすれ違いレベル判定において、すれ違い可能と判定した場合には処理を終了し、再度現在地情報の取得処理を実施する。一方、ステップS30のすれ違いレベル判定において、すれ違い困難と判定した場合には、対向車の有無を確認する必要があると判断し、通信準備となる送受信設定を行う(ステップS40)。
【0039】
ステップS40の送受信設定においては、図5のフローチャートに示すように、まず、すれ違いが困難とされる道路38の道路情報から、自車30にとって道路38の入口となる始点情報と道路38の出口となる終点情報とを取得する(ステップS41)。続いて、中央処理装置10は、道路38の始点情報から第1の道路ノード32の位置情報Aを取得し(ステップS42)、道路38の終点情報から第2の道路ノード33の位置情報Bを取得する(ステップS43)。上記の位置情報Aは、経度λ1と緯度φ1とからなり、上記の位置情報Bは、経度λ2と緯度φ2とからなる。
【0040】
次に、識別情報算出部14が、入口の位置情報Aから出口の位置情報Bへ向かう方向性を持った第1の識別情報と、出口の位置情報Bから入口の位置情報Aへ向かう方向性を持った第2の識別情報とをそれぞれ算出する(ステップS44)。続いて、送信設定情報生成部15が、上記の第1の識別情報から送信設定情報として送信チャネル番号を算出し、その送信チャネル番号を中央処理装置10を介して送信部19へ割り当てる(ステップS45)。また、受信設定情報部16が、上記の第2の識別情報から受信設定情報として受信チャネル番号を算出し、その受信チャネル番号を中央処理部10を介して受信部20へ割り当てる(ステップS46)。
【0041】
ここで、送信チャネル番号及び受信チャネル番号の算出方法について、特定小電力無線を例にとって詳細に説明する。例えば、特定小電力無線で利用できる429.1750MHzから429.7375MHzの周波数帯を利用する場合、周波数間隔を12.5kHzとして46チャネル使用できる。このうち、1〜6チャネルは最長送信時間と最短休止時間が設定されているため、連続送信が可能となる7〜46チャネルを利用することとする。この場合、道路ノード32の位置情報A(λ1、φ1)と道路ノード33の位置情報B(λ2、φ2)とチャネル総数Nとから、送信チャネル番号CNsと受信チャネル番号CNrとは下記の(1)式及び(2)式により演算算出することができる。
【0042】
CNs=abs(λ1+φ2)modN+7 (1)
CNr=abs(λ2+φ1)modN+7 (2)
ここで、(1)式中のabs(λ1+φ2)は前記第1の識別情報に相当し、(2)式中のabs(λ2+φ1)は前記第2の識別情報に相当する。(1)式は、位置情報Aの経度λ1と位置情報Bの緯度φ2の和の絶対値である前記第1の識別情報をチャネル総数Nで除算した剰余(自然数)に「7」を加算した値が送信チャネル番号CNsであることを示す。同様に、(2)式は、位置情報Bの経度λ2と位置情報Aの緯度φ1の和の絶対値である前記第2の識別情報をチャネル総数Nで除算した剰余(自然数)に「7」を加算した値が受信チャネル番号CNrであることを示す。上記の「7」は連続送信が可能となる7〜46チャネルのうちのチャネル開始番号の“7”を示す。
【0043】
なお、チャネル番号ではなく、周波数を決定するようにしてもよい。この場合には、送信周波数Fsと受信周波数Frとは、使用周波数の下限をFm、チャネルの周波数間隔をFiとしたとき、送信チャネル番号CNs及び受信チャネル番号CNrを用いて下記の(3)式及び(4)式により決定することができる。
【0044】
Fs=Fm+CNs×Fi (3)
Fr=Fm+CNr×Fi (4)
なお、チャネル番号及び周波数の算出方法は、道路の始点と終点とを示す位置情報から算出される計算式であれば上記の(1)式〜(4)式に限定されるものではない。また、ここで計算に利用する位置情報は、記憶部13に記憶されている、道路情報を含む地図データ毎に存在する若干の誤差を含まないよう、秒単位で切り捨てて利用するのが望ましい。こうすることで、異なる地図データを用いた場合においても、地図データ毎に異なる道路リンク番号や道路ノード番号に依存せず、チャネルを決定することが可能となる。
【0045】
なお、図2に示した自車30の対向車である他車31も図1に示す無線通信装置100を搭載しているが、他車31から見れば、道幅の狭い道路38の入口と出口が自車30と逆となるので、他車31の無線通信装置100は、生成する第1の識別情報と第2の識別情報の各方向性が自車30の無線通信装置100のそれ逆となり、よって、送信チャネル番号として(2)式で表されるCNrを設定し、受信チャネル番号として(1)式で表されるCNsを設定することになる。これにより、自車30と他車31との間で双方向の無線通信が可能となる。
【0046】
なお、図5のフローチャートにおいて、ステップS42及びS43は逆の順序でもよいし、ステップS45及びS46も逆の順序でもよく、その処理順序は図5のフローチャートには限定されない。
【0047】
次に、中央処理装置10は、図3のフローチャートに示すように、ステップS40の送受信設定処理に続いて、受信処理を行う(ステップS50)。ステップS50の受信処理においては、図6のフローチャートに示すように、中央処理装置10は自車30が道路38の入口の第1の道路ノード32へ進入するまでに入退出データを受信部20により取得(受信)したかどうかを判定する(ステップS51)。入退出データを取得しなかった場合には、後述するステップS55以降の出力処理へ移行する。一方、入退出データを取得した場合には、その入退出データの内容を解析し、道路38への進入を示す進入データであるか退出データであるかどうかを判定する(ステップS52)。
【0048】
ここで、無線通信装置100が送受信するデータは、例えば図7に示すように、データ種別フラグ(DA)40と、データ種別に応じた内容(DB)のデータ領域41とからなるフォーマットの構成である。データ種別フラグ40には、道路38への入退出を表わすフラグや他車への要求フラグ、他車への応答フラグなどが設定できる。また、データ領域41には、道路38へ進入したことを表わす「1」もしくは退出したことを表わす「0」や、車幅の情報、すれ違い、工事中、集団下校などの種別、一方通行制限、信号機有無などの情報を必要に応じて含めることができる。
【0049】
ステップS51で取得判定する入退出データは、データ種別フラグ40に入退出フラグが設定されたデータである。また、上記の進入データは、入退出データのデータ領域41に、道路へ進入したことを表す「1」と必要に応じて車幅の情報が含まれたデータである。また、上記の退出データは、入退出データのデータ領域41に、道路から退出したことを表す「0」と必要に応じて車幅の情報が含まれたデータである。ステップS51、S52で判定されるデータは、ここでは、他車31がその送信処理(後述のステップS70の送信処理に相当)にて送信したデータである。
【0050】
いま、自車30が取得したデータが、データ種別フラグ40が入退出フラグであり、かつ、データ領域41に道路38へ進入したことを示す「1」が含まれている進入データであるときは、自車30の無線通信装置100内の中央処理装置10は、初期値が「0」である内部カウンタの値Mを1つインクリメントし(ステップS53)、次の出力処理へ移行する。一方、自車30が取得したデータが、データ種別フラグ40が入退出フラグであり、かつ、データ領域41に道路38から退出したことを示す「0」が含まれている退出データであるときは、自車30の無線通信装置100内の中央処理装置10は、内部カウンタの値Mを1つデクリメントし(ステップS54)、次の出力処理へ移行する。ステップS50の受信処理は定期的に繰り返されるので、上記の内部カウンタの値Mは対向車である他車31が道路38を走行中は漸次増加して「1」以上の値を示し、他方、他車31が道路38から退出した後は漸次減少していき、ある時間後には「0」以下の値を示す。
【0051】
出力処理では、自車30の無線通信装置100内の中央処理装置10はステップS55〜S57の処理を行う。すなわち、中央処理装置10は、まず内部カウンタの値Mが「0」以下であるかどうかを判定する(ステップS55)。続いて、内部カウンタの値Mが「0」以下でない場合、すなわち「1」以上であると判定した場合には、中央処理装置10は、対向車である他車31が道路38を走行中であると判断し、図8に示すように一時的に待機するメッセージ60を、ディスプレイ50(図1では図示を省略)に表示する待機案内を自車30の運転者(ユーザー)に対して行う(ステップS56)。
【0052】
一方、ステップS55で内部カウンタの値Mが「0」以下であると判定した場合には、中央処理装置10は、対向車である他車31が道路38から退出していると判断し、図9に示すように進入してよいことを示す走行可能のメッセージ61をディスプレイ50(図1では図示を省略)に表示する走行許可案内を自車30の運転者(ユーザー)に対して行う(ステップS57)。
【0053】
なお、図8の待機案内表示や図9の走行許可案内表示は、ディスプレイ50上に現在地周辺の道路地図55を表示すると共に、道幅の狭い道路38を示す道路画像56を強調表示し、その上に自車のマーク51を重畳した形でメッセージ60、61を表示している。しかし、上記の待機案内や走行許可案内は、メッセージ60又は61だけを表示するものでもよいし、図1では図示を省略したスピーカから音声出力によって一時待機や走行許可を自車30の運転者(ユーザー)に報知するようにしてもよく、報知形態は特に何等限定されるものではない。
【0054】
また、ステップS56の待機案内処理を行う前に、図10のフローチャートに示す進入判定処理を実施してもよい。この進入判定処理では図10に示すように、中央処理装置10は、まず進入判定フラグをオン(ON)にする(ステップS561)。続いて、中央処理装置10は、受信データがあるか否かを検出し(ステップS562)、受信データが無い場合には、そのまま図3のステップS70に進み、受信データが有る場合には、受信データの数Kが「0」より大であるか否かを判定する(ステップS563)。
【0055】
受信データの数Kが「0」以下の場合は、図3のステップS70に進むが、受信データの数Kが「1」以上である場合は、受信データの解析のため、まず、受信データのデータ領域41に含まれる他車幅を取得した後(ステップS564)、すれ違いのレベルを算出する(ステップS565)。このすれ違いのレベルの算出は、例えば図11に示すように、自車幅をα、他車幅をβ、走行しようとする道路の幅員をWr、すれ違いのレベルをLevとしたとき、(5)式の不等式を満足するようなすれ違いのレベルLevを算出する。
【0056】
α×Lev+β×Lev≦Wr (5)
ここでは、図11に示すように、すれ違いのレベルLevは、レベル1が「1.1」、レベル2が「1.2」、レベル3が「1.3」、レベル4が「1.4」、レベル5が「1.5」である。
【0057】
中央処理装置10は、上記ステップS565のすれ違いのレベルの算出後、算出したすれ違いのレベルが1又は2であるのか、レベルが3以上であるのかを判定し(ステップS566)、レベルが3以上のときは走行可能と判断し、受信データの数Kの値を1つデクリメントしてステップS563でKが「0」より大であるか否かを再び判定し、「0」より大であるときは次の受信データについてステップS564〜S566の処理を再び行う。
【0058】
一方、中央処理装置10は、ステップS566の判定において、レベルが1又は2であるときにはすれ違い困難であると判断し、これ以上の受信データの解析は行わず、進入判定フラグをオフ(OFF)として進入を禁止し(ステップS568)、ステップS56の待機案内処理へ進む。
【0059】
なお、図10のフローチャートでは一例としてレベル2以下をすれ違い困難、レベル3以上をすれ違い可能と示したが、すれ違いの判定はこれに限定されるものではない。また、すれ違いの余裕幅やレベルの判定は、車種や運転レベルに応じて変更してもよい。
【0060】
次に、中央処理装置10は、図3のステップS50の受信処理に続いて、走行可能かどうかの判定を行う(ステップS60)。走行可能でない場合は、ステップS50の受信処理を継続して実行し、ステップS50の受信処理により走行可能となった場合は、送信処理を行う(ステップS70)。
【0061】
中央処理装置10は、ステップS70の送信処理においては、図12のフローチャートに示すように、ここでは、進入することを対向車である他車31へ通知するために、道路38の入口の第1の道路ノード32へ進入するタイミングで前述した進入データを送信部19から送信させる(ステップS71)。
【0062】
その後、自車30に搭載された無線通信装置100内の中央処理装置10は、自車30(無線通信装置100)の現在位置を取得しながら道路38の出口の第2の道路ノード33に達したか否かを判定する(ステップS72)。第2の道路ノード33に達した場合には、道路38を退出するタイミングで前述した退出データを送信部19から送信させる(ステップS73)。
【0063】
中央処理装置10は、図3のステップS70の送信処理に続いて、情報をクリアし(ステップS80)、処理を終了する。
【0064】
このように、本実施の形態の無線通信装置100によれば、上記の構成によって、自車30が道幅の狭い道路38の入口の第1の道路ノード32に進入するまでに、対向車の他車31からデータを受信しなかった場合には、自車30が道路38に進入して走行中であることを示す進入データを道路38の入口の第1の道路ノード32に進入するタイミングで他車31に送信して、他車31を道路38に進入しないように待機させることで衝突回避ができる。他方、自車30が道幅の狭い道路38の入口の第1の道路ノード32に進入するまでに、対向車の他車31から道路38を走行中であることを示す進入データを受信した場合には、他車31から送信された退出データを受信して他車31が道路38から退出したことを確認するまで、道路38に進入しないように第1の道路ノード32付近で待機することで衝突回避ができる。
【0065】
この場合、自車30の無線通信装置100の送信チャネルと他車31の無線通信装置100の受信チャネルは同一であり、また、自車30の無線通信装置100の受信チャネルと他車31の無線通信装置100の送信チャネルは同一であるため、混信が生じることはない。従って、本実施の形態の無線通信装置100によれば、混信と再送による遅延を回避できることから、従来の車々間通信に比べて送受信するデータ量を大幅に削減することができ、また、このことから、中央処理装置10として高価で高機能な中央処理装置を使用しなくてもリアルタイム性を確保することができる。
【0066】
また、図13に模式的に示すように、無線通信装置100をそれぞれ搭載した自車30と他車39とが道幅の狭い道路38を第2の道路ノード33方向へ進行中であり、無線通信装置100を搭載した他車31が道幅の狭い道路38の出口となる第2の道路ノード33方向へ進行中である場合も、本実施の形態の無線通信装置100によれば、衝突回避が可能である。
【0067】
すなわち、この場合、本実施の形態の無線通信装置100によれば、同じ方向に走行する自車30の無線通信装置100と他車39の無線通信装置100とはそれぞれの送信チャネルをf1、それぞれの受信チャネルをf2というように同じに設定することになるため、自車30の無線通信装置100は後続の他車39の無線通信装置100から送信される進入データを周波数フィルタリングして受信しないようにできる。また、他車39が自車30に続けて道路38へ進入した場合には、送信チャネルf2、受信チャネルf1に設定されている対向車である他車31の無線通信装置100が自車30の無線通信装置100と他車39の無線通信装置100の各進入データを各々全て受信して内部カウンタをインクリメントし、進入した自車30及び他車39が退出するまで待機することが可能となり、道路38に同時に進入して衝突してしまうことを回避することができる。
【0068】
なお、自車30と他車39の各無線送信装置100の送信チャネルが同じであることから自車30と他車39との送信電波の混信が考えられるが、無線通信装置100では狭い道路38の入口の道路ノード32の進入時を送信タイミングと設定しているため、自車30と他車39とから同じタイミングで送信されることはなく、よって上記の送信電波の混信は回避できる。
【0069】
このように、本実施の形態の無線通信装置100によれば、同じ道路を同じ方向に移動する複数の無線通信装置からの発信情報を周波数フィルタリングし、逆行方向に移動する無線通信装置からの発信情報だけを全て受信することができ、また、道路ノードへの進入時間を基準とした送信タイミングを設定することにより、同じ道路ノードから道路リンクに進入する複数の無線通信装置からの発信情報の混信受信を回避することができる。これにより、本実施の形態の無線通信装置100によれば、混信と再送による遅延を回避できることから、従来の車々間通信に比べて送受信するデータ量を大幅に削減することができ、また、高価で高機能な中央処理装置を使用しなくてもリアルタイム性を確保することができ、対向車との衝突を無線通信にて回避できる。
【0070】
次に、本実施の形態の実施例2の動作について、図14〜図16を併せ参照して説明する。
【0071】
本実施の形態の無線通信装置100は、例えばGPSセンサ等のセンサを利用して絶対時間を取得し、自装置の内部クロックを取得した絶対時間に調整する。この絶対時間の調整によって他車に搭載された各々の無線通信装置100は同期をとることが可能となる。これにより、実施例1では単純に自車30の道路38の入口の道路ノード32の進入タイミングで自車30が進入していることを知らせるための進入データを送信していた(ステップS71)のに対し、この実施例2では、他車31からの進入要求データに対して、算出した送信タイミングで自車30が道路38に既に進入していることを他車31に知らせるための応答データを送信することができる。
【0072】
すなわち、無線通信装置100の中央処理装置10は、図3のステップS70において送信処理を行う際に、図14のフローチャートに示すように、位置取得部11で取得した現在位置が進入ポイントとなる道路ノード32上の位置であるか否かを判定する(ステップS101)。ここで道路ノード32上であると判定された場合には、送信データ用に予め設定された送信タイミングのうち、入退出データ用として定めた先頭の送信タイミング1にてデータを送信する(ステップS102)。例えば10ms毎に時間間隔を区切る場合には、1秒間を一つのグループと考えて「1」から「100」の送信タイミングに分ける。そして、「1」から「100」の送信タイミングの先頭の「1」を進入時に送信する固定タイミングとして割当ててデータを送信する。
【0073】
次に、送信タイミング設定部17は、道路ノード32へ進入した時間を利用して、自車30の送信タイミングを割り当てる(ステップS103)。この送信タイミングの割り当てでは、道路38の距離と幅員から求めた平均速度とから走行予測時間(t)を算出し、進入時の時間から走行予測時間未満の時間(q)をとって、時間間隔数(d)/t×qの式から送信タイミングを算出する。例えば、進入時の時間がh時m分12.345秒であり、走行予測時間(t)が1分と算出された場合は、送信タイミングは100/60×12.345(≒20)となり、送信タイミングを「20」として割り当てる。
【0074】
道路ノード32へ進入後、道路38を道路ノード33方向へ走行中の自車30の無線通信装置100が、図16のシーケンス図に示すように、道路ノード33の一定距離手前から送信された他車31からの進入要求データ70を受信した場合には、図15のフローチャートに従って送信を行う。すなわち、自車30の無線通信装置100は進入要求データ70を受信したと判定した場合(ステップS111のYes)、図14と共に説明した割り当てられた送信タイミングである時に(ステップS112のYes)、自車30が既に道路38を走行中である(無線通信装置100の現在位置が道路38内である)ことを知らせるための応答データ71を送信する(ステップS113)。ここで、上記の進入要求データ70は、図4に示したフォーマットのデータ中のデータ種別フラグ40が他車への要求フラグであるデータである。また、応答データ71は、図4に示したフォーマットのデータ中のデータ種別フラグ40が応答フラグで、かつ、データ領域41に無線通信装置100の現在位置が道路38内であることを示す「1」が含まれているデータである。
【0075】
図16に示すように、他車31の無線通信装置100は、受信した応答データ71から道路38を走行中の車両があることを判断し、一時待機の案内をディスプレイへ表示する。他車31はその一時待機の案内に従って、図16に72で示すように道路ノード33の手前で待機することとなる。
【0076】
そして、自車30が道路38から退出する際に固定タイミングによって退出データ73を送信する。他車31の無線通信装置100は、受信した退出データ73から車両が道路38から退出したことを判断し、走行許可案内をディスプレイに表示して、図16に74で示すように道路38へ進入することとなる。
【0077】
このように、無線通信装置100は、実施例2では送信間隔を進入ポイントの通行時間を基準として整理することによって、自車30が道路38を走行中であっても自車30と対向車である他車31との通信が可能となり、それにより衝突を回避することができる。
【0078】
次に、本実施の形態の実施例3の動作について、図17を併せ参照して説明する。本実施例では、例えば集団下校する生徒達を引率する先生などの引率者が持つ無線通信装置100により安全な下校を可能とする例である。この場合、情報入力部18により集団下校時に通る道路の道幅(幅員)と、集団下校時に必要な安全な幅を自幅として予め入力しておく。
【0079】
無線通信装置100の中央処理装置10は、図17のフローチャートに示すように、下校中の道路の進入車両(対向車)が送信するデータを受信し、未処理の受信データが有るかどうかを判定する(ステップS201)。未処理の受信データが有る場合は、中央処理装置10は、集団下校時に通るこれから進入しようとする道路の幅員が、上記自幅と対向車が送信するデータから得られるその対向車の車幅(他幅)との和の値よりも大きいかどうかなどから、すれ違いレベルを算出する(ステップS202)。このすれ違いレベルの算出は、例えばステップS565及び図11に示した方法で算出することができる。
【0080】
続いて、中央処理装置10は、ステップS202で算出したすれ違いレベルに基づいて、対向車とすれ違うのに必要な安全な道幅が確保されており、すれ違い可と判断した場合はステップS201に戻り再び未処理の受信データが有るかどうかを判定するが、安全な道幅が確保されておらず、すれ違い不可と判断したときには、すれ違い不可の変数の値を1つインクリメントした後(ステップS204)、ステップS201に戻り再び未処理の受信データが有るかどうかを判定する。なお、すれ違い不可の変数の初期値は「0」である。
【0081】
中央処理装置10は、受信データのすべてについてステップS201〜S204の処理を行い、未処理の受信データが無くなったと判断したときは、すれ違い不可の変数の値が「1」以上であるか「0」であるかを判定する(ステップS205)。無線通信装置100は、すれ違い不可の変数の値が「1」以上であると判定したときは、受信部20が前述した進入データ又は前述した退出データを受信するかどうかのデータ待ち状態となる(ステップS206)。
【0082】
受信部20が進入データを受信したと判定したときは、無線通信装置100の中央処理装置10は対向車が道幅の狭い道に進入したと判断し、進入することなく待機しステップS201に戻る。一方、受信部20が退出データを受信したと判定したときは、道路の幅員、自幅、退出データを送信した対向車の車幅などに基づいて、その対向車のすれ違いレベルを算出する(ステップS207)。このすれ違いレベルの算出は、例えばステップS202と同じ方法で算出することができる。
【0083】
続いて、中央処理装置10は、ステップS207で算出したすれ違いレベルの値に基づいてすれ違い可能か否かを判定し(ステップS208)、すれ違いレベルの値が所定の閾値より小さく、すれ違い不可と判断したときには、無線通信装置100の中央処理装置10は退出データを送信した対向車が道幅の狭い道から退出したと判断し、すれ違い不可の変数の値を一つデクリメントした後(ステップS209)、ステップS205に戻り再びすれ違い不可の変数の値が「1」以上か「0」かを判定する。一方、中央処理装置10は、ステップS208ですれ違い可と判定したときは、すれ違い不可の変数の値を変更することなくステップS205を通してステップS206のデータ待ちの状態に戻る。
【0084】
中央処理装置10は、ステップS205〜S209の処理を行い、その結果ステップS205ですれ違い不可の変数の値が「0」と判定したときは、これから進入しようとする道幅の狭い道路から、すれ違いができないような対向車がすべて退出したと判断し、進入可の報知を行う(ステップS210)。この進入可の報知は、ディスプレイの進入許可案内表示やスピーカによる音声での通知である。この進入可の報知を待って、無線通信装置100は、対向車毎の識別情報を保持することなく、この無線通信装置100を持つ先生などの引率者により集団下校する生徒達を狭い道路に進入させて安全に通行させることができる。
【0085】
なお、図17には特に図示していないが、ステップS205ですれ違い不可の変数の値が「0」と判定されるまではディスプレイに待機案内表示を行う。このようにして、集団下校時にも対向車との衝突回避が可能となる。
【0086】
次に、本発明の無線通信装置の他の実施の形態の動作について説明する。本実施の形態は、道路の工事区間内に無線送信装置101を置いて、工事区間の道路での衝突回避を行う例である。
【0087】
図18は、本発明の無線通信装置の他の実施の形態の動作説明用の道路構成の一例を示す。図18において、図1に示した構成の無線送信装置101が道路58の工事区間内に設置されている。工事区間の両端の一方の地点Z1の位置情報は経度λ1と緯度φ1とからなり、他方の地点Z2の位置情報は経度λ2と緯度φ2とからなる。
【0088】
無線送信装置101は、送信部19から送信チャネル#1と#2とを一定期間毎に切り替えて工事区間の地点Z1及びZ2の位置情報を送信する。送信部19は、送信チャネル#1の送信期間では、地点Cから地点Z1に向かう車両に対して、工事区間の入口情報である地点Z1の位置情報(λ1,φ1)に続いて工事区間の出口情報である地点Z2の位置情報(λ2,φ2)を送信する。また、送信チャネル#2の送信期間では、地点Dから地点Z2に向かう車両に対して、工事区間の入口情報である地点Z2の位置情報(λ2,φ2)に続いて工事区間の出口情報である地点Z1の位置情報(λ1,φ1)を送信する。
【0089】
一方、図18には図示を省略しているが、地点Cから地点Z1に向かう車両に搭載された無線通信装置100と、地点Dから地点Z2に向かう車両に搭載された無線通信装置100とは、それぞれ図1のブロック図に示した構成であるが、初期状態では受信チャネル#1及び#2のデータをそれぞれ受信可能であるものとする。
【0090】
地点Cから地点Z1に向かう車両に搭載された無線通信装置100は、受信チャネル#1により上記の送信チャネル#1で送信された工事区間の入口情報及び出口座標を受信し、識別情報算出部14により入口の位置情報Z1から出口の位置情報Z2へ向かう方向性を持った第1の識別情報と、出口の位置情報Z2から入口の位置情報Z1へ向かう方向性を持った第2の識別情報とをそれぞれ算出し、送信設定情報生成部15が、上記の第1の識別情報から送信設定情報として(1)式と同様の演算式により送信チャネル番号CNsを算出し、その送信チャネル番号CNsを中央処理装置10を介して送信部19へ割り当てる。また、受信設定情報部16が、上記の第2の識別情報から受信設定情報として(2)式と同様の演算式により受信チャネル番号CNrを算出し、その受信チャネル番号CNrを中央処理部10を介して受信部20へ割り当てる。
【0091】
一方、地点Dから地点Z2に向かう車両に搭載された無線通信装置100は、受信チャネル#2により上記の送信チャネル#2で送信された工事区間の入口情報及び出口座標を受信し、識別情報算出部14により入口の位置情報Z2から出口の位置情報Z1へ向かう方向性を持った第1の識別情報と、出口の位置情報Z1から入口の位置情報Z2へ向かう方向性を持った第2の識別情報とをそれぞれ算出する。これにより、上記と同様にして、地点Dから地点Z2に向かう車両に搭載された無線通信装置100は、送信設定情報生成部15が、(2)式と同様の演算式により送信チャネル番号CNrを算出し、その送信チャネル番号CNrを中央処理装置10を介して送信部19へ割り当てる。また、受信設定情報部16が、上記の第2の識別情報から受信設定情報として(1)式と同様の演算式により受信チャネル番号CNsを算出し、その受信チャネル番号CNsを中央処理部10を介して受信部20へ割り当てる。
【0092】
これにより、地点Cから地点Z1に進入しようとする車両と、地点Dから地点Z2に進入しようとする車両との間で双方向の無線通信が可能となる。その結果、例えば地点Z1から工事区間に進入した車両は、送信チャネルCNsを利用して進入データを送信する。地点Z2にいる対向車は、受信チャネルCNsで上記の車両が送信した進入データを受信して、すれ違いレベルを算出してすれ違いの可否を判定し、工事区間内でのすれ違いができるかどうかを判断する。これにより、工事区間内での衝突回避ができる。
【0093】
なお、上記の説明ではチャネル番号を算出するように説明したが、チャネル番号ではなく、(3)式又は(4)式により周波数を算出するようにしてもよい。また、チャネル番号や周波数算出は(1)式〜(4)式に限定されるものではない。
【0094】
図19は、本発明の無線通信装置の更に他の実施の形態の動作説明用の道路構成の一例を示す。同図中、図18と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図19において、図1に示した無線送信装置101と同一構成の無線送信装置101a及び101bが道路58の工事区間内に設置されている。
【0095】
無線送信装置101aは、その送信部19から送信チャネル#1で、地点Cから地点Z1に向かう車両に対して、工事区間の入口情報である地点Z1の位置情報(λ1,φ1)に続いて工事区間の出口情報である地点Z2の位置情報(λ2,φ2)を送信する。一方、無線送信装置101bは、その送信部19から送信チャネル#2で、地点Dから地点Z2に向かう車両に対して、工事区間の入口情報である地点Z2の位置情報(λ2,φ2)に続いて工事区間の出口情報である地点Z1の位置情報(λ1,φ1)を送信する。
【0096】
この図19の例は、無線送信装置101a、101bのそれぞれの送信チャネルが#1、#2に固定的に割り当てられている点が図18の例と相違するが、それ以外の車両に搭載された無線通信装置100の動作は図18の例と同様であるので、その説明は省略する。
【0097】
なお、本発明は、以上の実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、例えば、各々無線通信装置100を搭載した自車と他車とにより衝突回避を行う無線通信システムも包含するものである。また、図3のフローチャートの動作をコンピュータにより実行させる衝突回避プログラムも本発明に包含するものである。この場合、衝突回避プログラムは、記憶媒体から再生されてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して配信されてコンピュータに取り込まれてもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 中央処理装置(CPU)
11 位置取得部
12 方向取得部
13 記憶部
14 識別情報算出部
15 送信設定情報生成部
16 受信設定情報生成部
17 送信タイミング設定部
18 情報入力部
19 送信部
20 受信部
21 アンテナ
30 自車
31、39 他車
32 第1の道路ノード
33 第2の道路ノード
36 道幅の広い道路
38 道幅の狭い道路
40 データ種別フラグ
41 データ種別毎のデータ領域
50 ディスプレイ
51 自車マーク
58 道路
60、61 メッセージ
100 無線通信装置
101、101a、101b 無線送信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の現在位置と、前記自装置の進行する方向とを取得する現在地情報取得ステップと、
交差点または異なる道路の交わる場所を示す道路ノードの位置情報及び幅員と、隣り合う2つの前記道路ノード間の道路を示す道路リンクの情報とを少なくとも含む道路情報を予め記憶している記憶手段から読み出した前記道路情報と、前記現在地情報取得ステップで取得した前記現在位置及び前記方向とから、前記現在位置の道路リンクに接続された道路リンクの両端である第1の道路ノード及び第2の道路ノードの各位置情報をそれぞれ取得する位置情報取得ステップと、
取得した前記第1及び第2の道路ノードの位置情報に基づいて、前記第1の道路ノードから前記第2の道路ノードへの方向性を持った第1の識別情報と、前記第2の道路ノードから前記第1の道路ノードへの方向性を持った第2の識別情報とを生成する識別情報生成ステップと、
前記現在地情報取得ステップで取得した前記現在位置及び前記方向に基づいて、自装置が前記第1の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第1の識別情報に基づいて算出した第1の送信チャネル又は第1の送信周波数を送信手段に割り当て、前記第2の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第2の識別情報に基づいて算出した第2の送信チャネル又は第2の送信周波数を前記送信手段に割り当てる送信設定情報生成ステップと、
前記現在地情報取得ステップで取得した前記現在位置及び前記方向に基づいて、自装置が前記第1の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第2の識別情報に基づいて算出した前記第2の送信チャネル又は第2の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第1の受信チャネル又は第1の受信周波数を受信手段に割り当て、前記第2の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第1の識別情報に基づいて算出した前記第1の送信チャネル又は第1の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第2の受信チャネル又は第2の受信周波数を前記受信手段に割り当てる受信設定情報生成ステップと、
少なくとも自装置が前記道路リンクに進入したことを示す進入データ、又は自装置が前記道路リンクから退出したことを示す退出データを受信する受信ステップと、
前記進入データを生成して、自装置が前記道路リンクの入口となる前記第1又は第2の道路ノードに進入した時に前記送信手段を介して送信させる進入データ送信ステップと、
前記退出データを生成して、自装置が前記道路リンクの出口となる前記第2又は第1の道路ノードから退出した時に前記送信手段を介して送信させる退出データ送信ステップと
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
前記送信手段の送信タイミングを設定する送信タイミング設定ステップと、
前記現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を要求する進入要求データを生成して前記送信手段を介して送信させる進入要求データ送信ステップと、
前記現在位置が前記道路リンク内であるときに、前記受信手段により前記進入要求データを受信したことを検出した時は、前記道路リンク内に位置することを示す応答データを生成して、前記送信タイミング設定ステップにより設定された送信タイミングで前記送信手段を介して送信させる応答データ送信ステップと
を更に含むことを特徴とする請求項1記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記進入データ又は前記応答データを前記受信手段により受信したことを検出した時は、前記現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を禁止する待機案内を報知する待機案内報知ステップと、
前記退出データを前記受信手段により受信したことを検出した後で前記現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を許可する走行許可案内を報知する走行許可案内報知ステップとを更に含むことを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信方法。
【請求項4】
前記待機案内報知ステップは、
前記受信手段により受信したデータのうち未処理の受信データが存在するか否かを判定する未処理データ判定ステップと、
前記未処理データ判定ステップにより未処理の受信データが存在すると判定したときは、少なくとも前記道路リンクの入口となる前記第1又は第2の道路ノードの幅員と対向車の車幅とに基づいて、前記未処理の受信データを送信した前記対向車とのすれ違いが可能であるか否かの程度を示すすれ違いレベルを算出し、そのすれ違いレベルを所定の閾値と比較してすれ違いが可能か否かを判定するすれ違いレベル判定ステップとを含み、
前記すれ違いレベル判定ステップによりすれ違いが困難であると判定されたときに前記現在位置に接続された前記道路リンクへの進入を禁止する待機案内を報知することを特徴とする請求項3記載の無線通信方法。
【請求項5】
少なくとも前記道路リンクの入口となる前記第1又は第2の道路ノードの幅員に基づいて、自装置を搭載した車両の対向車とのすれ違いが可能であるか否かの程度を示すすれ違いレベルを算出し、そのすれ違いレベルを所定の閾値と比較してすれ違いが可能か否かを判定するすれ違いレベル判定ステップを更に含み、前記すれ違いレベル判定ステップによりすれ違いが困難であると判定された時に、前記送信設定情報生成ステップによる前記第1及び第2の送信チャネル又は前記第1及び第2の送信周波数の算出と、前記受信設定情報生成ステップによる前記第1及び第2の受信チャネル又は前記第1及び第2の受信周波数の算出とを行うことを特徴とする請求項1記載の無線通信方法。
【請求項6】
自装置の現在位置を取得する位置取得手段と、
前記自装置の進行する方向を取得する方向取得手段と、
交差点または異なる道路の交わる場所を示す道路ノードの位置情報及び幅員と、隣り合う2つの前記道路ノード間の道路を示す道路リンクの情報とを少なくとも含む道路情報を、予め記憶している記憶手段と、
前記位置取得手段により取得された前記現在位置と、前記方向取得手段により取得された前記方向と、前記記憶手段から読み出した前記道路情報とから、前記現在位置の道路リンクに接続された道路リンクの両端である第1の道路ノード及び第2の道路ノードの各位置情報をそれぞれ取得する位置情報取得手段と、
送信手段及び受信手段と、
前記位置情報取得手段により取得した前記第1及び第2の道路ノードの位置情報に基づいて、前記第1の道路ノードから前記第2の道路ノードへの方向性を持った第1の識別情報と、前記第2の道路ノードから前記第1の道路ノードへの方向性を持った第2の識別情報とを生成する識別情報生成手段と、
前記位置取得手段により取得された前記現在位置と、前記方向取得手段により取得された前記方向とに基づいて、自装置が前記第1の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第1の識別情報に基づいて算出した第1の送信チャネル又は第1の送信周波数を前記送信手段に割り当て、前記第2の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第2の識別情報に基づいて算出した第2の送信チャネル又は第2の送信周波数を前記送信手段に割り当てる送信設定情報生成手段と、
前記位置取得手段により取得された前記現在位置と、前記方向取得手段により取得された前記方向とに基づいて、自装置が前記第1の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第2の識別情報に基づいて算出した前記第2の送信チャネル又は第2の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第1の受信チャネル又は第1の受信周波数を前記受信手段に割り当て、前記第2の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第1の識別情報に基づいて算出した前記第1の送信チャネル又は第1の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第2の受信チャネル又は第2の受信周波数を前記受信手段に割り当てる受信設定情報生成手段と、
進入データを生成して、自装置が前記道路リンクの入口となる前記第1又は第2の道路ノードに進入した時に前記送信手段を介して送信させる進入データ送信手段と、
退出データを生成して、自装置が前記道路リンクの出口となる前記第2又は第1の道路ノードから退出した時に前記送信手段を介して送信させる退出データ送信手段と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
前記送信手段の送信タイミングを設定する送信タイミング設定手段と、
前記現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を要求する進入要求データを生成して前記送信手段を介して送信させる進入要求データ送信手段と、
前記現在位置が前記道路リンク内であるときに、前記受信手段により前記進入要求データを受信したことを検出した時は、前記道路リンク内に位置することを示す応答データを生成して、前記送信タイミング設定手段により設定された送信タイミングで前記送信手段を介して送信させる応答データ送信手段と
を更に有することを特徴とする請求項6記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記進入データ又は前記応答データを前記受信手段により受信したことを検出した時は、前記現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を禁止する待機案内を報知する待機案内報知手段と、
前記退出データを前記受信手段により受信したことを検出した後で前記現在位置の道路リンクに接続された道路リンクへの進入を許可する走行許可案内を報知する走行許可案内報知手段と
を更に有することを特徴とする請求項6又は7記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記待機案内報知手段は、
前記受信手段により受信したデータのうち未処理の受信データが存在するか否かを判定する未処理データ判定手段と、
前記未処理データ判定手段により未処理の受信データが存在すると判定したときは、少なくとも前記道路リンクの入口となる前記第1又は第2の道路ノードの幅員と対向車の車幅とに基づいて、前記未処理の受信データを送信した前記対向車とのすれ違いが可能であるか否かの程度を示すすれ違いレベルを算出し、そのすれ違いレベルを所定の閾値と比較してすれ違いが可能か否かを判定するすれ違いレベル判定手段とを有し、
前記すれ違いレベル判定手段によりすれ違いが困難であると判定されたときに前記現在位置に接続された前記道路リンクへの進入を禁止する待機案内を報知することを特徴とする請求項8記載の無線通信装置。
【請求項10】
少なくとも前記道路リンクの入口となる前記第1又は第2の道路ノードの幅員に基づいて、自装置を搭載した車両の対向車とのすれ違いが可能であるか否かの程度を示すすれ違いレベルを算出し、そのすれ違いレベルを所定の閾値と比較してすれ違いが可能か否かを判定するすれ違いレベル判定手段を更に有し、前記すれ違いレベル判定手段によりすれ違いが困難であると判定された時に、前記送信設定情報生成手段による前記第1及び第2の送信チャネル又は前記第1及び第2の送信周波数の算出と、前記受信設定情報生成手段による前記第1及び第2の受信チャネル又は前記第1及び第2の受信周波数の算出とを行うことを特徴とする請求項6記載の無線通信装置。
【請求項11】
複数の車両の各々に搭載された無線通信装置により互いに無線通信を行う無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、
自装置の現在位置を取得する位置取得手段と、
前記自装置の進行する方向を取得する方向取得手段と、
交差点または異なる道路の交わる場所を示す道路ノードの位置情報及び幅員と、隣り合う2つの前記道路ノード間の道路を示す道路リンクの情報とを少なくとも含む道路情報を、予め記憶している記憶手段と、
前記位置取得手段により取得された前記現在位置と、前記方向取得手段により取得された前記方向と、前記記憶手段から読み出した前記道路情報とから、前記現在位置の道路リンクに接続された道路リンクの両端である第1の道路ノード及び第2の道路ノードの各位置情報をそれぞれ取得する位置情報取得手段と、
送信手段及び受信手段と、
前記位置情報取得手段により取得した前記第1及び第2の道路ノードの位置情報に基づいて、前記第1の道路ノードから前記第2の道路ノードへの方向性を持った第1の識別情報と、前記第2の道路ノードから前記第1の道路ノードへの方向性を持った第2の識別情報とを生成する識別情報生成手段と、
前記位置取得手段により取得された前記現在位置と、前記方向取得手段により取得された前記方向とに基づいて、自装置が前記第1の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第1の識別情報に基づいて算出した第1の送信チャネル又は第1の送信周波数を前記送信手段に割り当て、前記第2の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第2の識別情報に基づいて算出した第2の送信チャネル又は第2の送信周波数を前記送信手段に割り当てる送信設定情報生成手段と、
前記位置取得手段により取得された前記現在位置と、前記方向取得手段により取得された前記方向とに基づいて、自装置が前記第1の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第2の識別情報に基づいて算出した前記第2の送信チャネル又は第2の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第1の受信チャネル又は第1の受信周波数を前記受信手段に割り当て、前記第2の道路ノードを前記道路リンクの入口となるように移動していると判断したときには、前記第1の識別情報に基づいて算出した前記第1の送信チャネル又は第1の送信周波数と同じチャネル番号又は周波数の第2の受信チャネル又は第2の受信周波数を前記受信手段に割り当てる受信設定情報生成手段と、
進入データを生成して、自装置が前記道路リンクの入口となる前記第1又は第2の道路ノードに進入した時に前記送信手段を介して送信させる進入データ送信手段と、
退出データを生成して、自装置が前記道路リンクの出口となる前記第2又は第1の道路ノードから退出した時に前記送信手段を介して送信させる退出データ送信手段と
を有することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−65222(P2012−65222A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208870(P2010−208870)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】