無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信システムにおける信号切替え方法
【課題】継続してサービスを提供することができる無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信システムにおける信号切り替え方法を提供すること。
【解決手段】端末装置と無線通信を行う無線通信装置システムにおいて、第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し、前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続され、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える切替装置とを備える。
【解決手段】端末装置と無線通信を行う無線通信装置システムにおいて、第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し、前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続され、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える切替装置とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信システムにおける信号切替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図18は従来の無線基地局装置の構成例を示す図である(例えば、以下の非特許文献1)。無線基地局装置200は、ベースバンド信号に対する処理を行う無線制御装置(REC:Radio Equipment Controller)210と、無線信号に対する処理を行う無線装置(RE:Radio Equipment)220とを備える。無線制御装置210と無線装置220とは、光ファイバにより接続される。接続はCPRIによるインタフェースが用いられる。
【0003】
図19は、CPRI(Common Public Radio Interface)インタフェースを用いた従来の無線通信システムの構成例を示す図である(例えば、以下の特許文献1)。無線通信システム100は、第1の無線基地局装置2と、第2の無線基地局装置4と、各無線基地局装置2,4に接続された上位装置1,3とを備える。第1の無線基地局装置2と第2の無線基地局装置4は、無線制御装置21,51のインタフェース変換部213,513を介して互いに接続される。無線通信システム100は、アンテナ5を介して端末装置と無線通信を行う。無線通信システム100は、2つの無線サービスA,Bを端末装置に提供できる。
【非特許文献1】CPRI Specification V2.1
【特許文献1】PCT/JP2007/000565
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の無線通信システム100は、インタフェース変換部513で故障が発生した場合、無線サービスB対応の第2の無線制御装置51からの信号と、無線サービスA対応の第1の無線制御装置21からの信号とを無線装置52に出力できない。この場合、無線通信システム100はどちらの無線サービスも継続して端末装置に提供することができない。
【0005】
そこで、一目的は、継続してサービスを提供することができる無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信システムにおける信号切替え方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、端末装置と無線通信を行う無線通信装置システムにおいて、第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し、前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続され、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える切替装置とを備える。
【0007】
また、他の態様によれば、端末装置と無線通信を行う無線通信装置において、第1の信号と他の無線通信装置から出力された第2の信号とを合成し、合成された前記第1及び第2の信号を分離する無線制御部と、前記無線制御部から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記無線制御部に出力する共用アンプと、前記他の無線通信装置及び前記無線制御部と前記共用アンプとの間に接続され、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部で異常が発生した場合、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部の接続を切り離すように切替える切替部とを備える。
【0008】
さらに、他の態様によれば、第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと備える無線通信システムにおける信号切替え方法において、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続される切替装置により前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える。
【発明の効果】
【0009】
継続してサービスを提供することができる無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信システムにおける信号切替え方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施するための最良の形態を説明する。
【0011】
図1は、無線通信システム300の構成例を示す図である。無線通信システム300は、無線サービスA対応の第1の無線基地局装置(または無線通信装置)10と、無線サービスB対応の第2の無線基地局装置20と、無線装置(RE)24と、切替装置40とを備える。無線サービスAと無線サービスBとは異なる通信方式であり、無線通信システム300は異なる通信方式の信号を取り扱うことができる。たとえば、無線サービスAは旧サービス、無線サービスBは新サービスの通信方式である。
【0012】
第1の無線基地局装置10は、第1の無線制御装置(REC)11を備える。第1の無線制御装置11は、第1の共通制御部111と、第1のベースバンド信号処理部112と、第1のインタフェース変換部113とを備える。
【0013】
一方、第2の無線基地局装置20は、第2の無線制御装置(REC)22を備える。第2の無線制御装置(REC)22は、第2の共通制御部221と、第2のベースバンド信号処理部222と、第2のインタフェース変換部223とを備える。
【0014】
第1及び第2の共通制御部111,221は、各無線基地局装置10,20に同期信号を配信する等により各無線基地局装置20内を制御したり、個々のユーザ設定等を行う。
【0015】
第1及び第2のベースバンド信号処理部112,222は、上位装置からの信号を例えばI信号、Q信号からなるベースバンド信号に変換し、第1及び第2のインタフェース変換部113,223からのベースバンド信号を上位装置に送信できるフォーマットに変換等を行う。
【0016】
第1のインタフェース変換部113は、第1のCPRI処理部1131と、第1の変換部1132とを備える。
【0017】
第2のインタフェース変換部223は、第2のCPRI処理部2231と、第2の変換部2232と、第3の変換部2233と、第3のCPRI処理部2234と、サービス多重分離部2235と、第4の変換部2236と、第4のCPRI処理2237と、第5の変換部2238とを備える。
【0018】
第1及び第2のCPRI処理部1131,2231は、ベースバンド信号をCPRIフォーマットであるCPRI信号に変換してそれぞれ第1及び第2の変換部1132,2232に出力する。また、第1及び第2のCPRI処理部1131,2231は、第1及び第2の変換部1132,2232からのCPRI信号をベースバンド信号に変換等する。
【0019】
第1及び第2の変換部1132,2232は、第1及び第2のCPRI処理部1131,2231からのCPRI信号を光信号に変換し、光信号をCPRI信号に変換して第1及び第2のCPRI処理部1131,2231に出力等する。
【0020】
第3及び第4の変換部2233,2236は、光信号を電気信号であるCPRI信号に変換して第3及び第4のCPRI処理部2234,2237に出力し、第3及び第4のCPRI処理部2234,2237からのCPRI信号を光信号に変換等する。
【0021】
第3及び第4のCPRI処理部2234,2237は、CPRI信号をベースバンド信号に変換してサービス多重分離部2235に出力し、サービス多重分離部2235からのベースバンド信号をCPRI信号に変換等する。
【0022】
サービス多重分離部2235は、2つの無線サービスAおよびBに対応する2つのCPRI信号を多重または合成して第5の変換部2238に出力し、第5の変換部2238からの多重化されたCPRI信号を無線サービスごとに分離して出力する。
【0023】
第5の変換部2238は多重化されたCPRI信号を光信号に変換して切替装置40に出力し、切替装置40からの光信号をCPRI信号に変換してサービス多重分離部2235に出力する。
【0024】
無線装置24は、第3のインタフェース変換部241と、送受信増幅部242とを備える。
【0025】
第3のインタフェース変換部241は、切替装置40からの光信号をCPRI信号に変換し、変換後のCPRI信号(多重化信号)から無線サービスAおよびBに対応したベースバンド信号を分離または抽出し送受信増幅器242に出力する。また、第3のインタフェース変換部241は、送受信増幅器242から出力された無線サービスAおよびBにそれぞれ対応したベースバンド信号を多重化し、光信号に変換等して切替装置40に出力する。
【0026】
送受信増幅器242は、第3のインタフェース変換部241からのベースバンド信号を変調し、増幅等してアンテナ5に出力する。また、送受信増幅器242は、アンテナ5を介して受信した2つの無線サービスAおよびBに対応する信号を増幅し、ダウンコンバート等して第3のインタフェース変換部241に出力する。
【0027】
このように無線装置24または送受信増幅器242は、無線サービスAおよびBに対応する信号に対して共用して使用される共用アンプでもある。
【0028】
アンテナ5は端末装置と2つの無線サービスAおよびBに対応する信号を送受信する。無線通信システム300は2つの無線サービスAおよびBを提供できる。
【0029】
切替装置40は、第1の光スイッチ41と、第2の光スイッチ42と、第1及び第2の光カプラ43,45と、第6及び第7の変換部44,46と、信号モニタ/自律切替制御部(以下、信号モニタ部)47と、切替制御部48とを備える。
【0030】
第1の光スイッチ41は、第1の変換部1132と第4の変換部2236との間に接続され、さらに第1の変換部1132と第2の光スイッチ42との間に接続される。第1の光スイッチ41は、切替制御部48からの切替制御信号に基づいて、第1の変換部1132からの無線サービスA対応の信号を第2の光スイッチ42または第4の変換部2236のいずれか一方にそれぞれ端子「a」または端子「b」を介して出力する。また、第1の光スイッチ41は、切替制御信号に基づいて第2の光スイッチ42からの信号または第4の変換部2236からの信号のいずれか一方を第1の変換部1132に出力する。
【0031】
第1の光カプラ43は、第1の無線基地局装置10と切替装置40との間に流れる信号を分岐(またはコピー)して第6の変換部44に出力する。第6の変換部44は、分岐した光信号を電気信号に変換し、信号モニタ部47に出力する。
【0032】
第2の光スイッチ42は、第5の変換部2238と無線装置24との間に接続され、さらに第1の光スイッチ41と無線装置24との間に接続される。第2の光スイッチ42は、切替制御部48からの切替制御信号に基づいて、第1の光スイッチ41からの無線サービスA対応の信号、または第5の変換部2238からの多重化信号のいずれか一方をそれぞれ端子「c」または「d」を介して無線装置24に出力する。または、第2の光スイッチ42は切替制御信号に基づいて、無線装置24からの信号を第5の変換部2238または第1の光スイッチ41に出力する。
【0033】
第2の光カプラ45は、第2の光スイッチ42と無線装置24との間に接続され、この間に流れる信号を分岐(またはコピー)する。第7の変換部46は光信号を電気信号に変換し、信号モニタ部47に出力する。
【0034】
信号モニタ部47は、第6または第7の変換部44,46からの信号に基づいて、第1の無線基地局装置10、または第2の無線制御装置22に異常が発生したか否かを検出し、その結果を切替制御部48に通知する。
【0035】
切替制御部48は、信号モニタ部47からの通知に基づいて第1及び第2の光スイッチ41,42に切替制御信号を出力する。
【0036】
次に、第1及び第2の光スイッチ41,42の切替動作を説明する。まず、下り方向(各無線基地局装置10,20から無線装置24への方向)について説明する。図2は切替動作の例を示すフローチャートである。
【0037】
切替装置40は、起動すると(S10)、初期設定を行う(S11)。例えば、切替制御部48は切替装置40の起動を検出すると、初期設定として、第1の光スイッチ41を端子「b」、第2の光スイッチ42を端子「d」に切替えるよう切替制御信号を出力する。第1及び第2の光スイッチ41,42は、切替制御信号に基づいてスイッチが切替わる。図1は初期設定時のスイッチ切替え例を示す。
【0038】
この場合、第1の基地局装置10から出力される無線サービスAの信号は、第1の光スイッチ41を介して無線サービスB対応の第2の無線基地局装置20に出力される。また、無線サービスAとBの2つの多重化された信号は第2の無線基地局装置20から第2の光スイッチ42を介して無線装置24に出力される。この場合、アンテナ5からは2つの無線サービスA、Bの信号が送信されるため、無線通信システム300は2つの無線サービスA、Bを端末装置に提供できる。
【0039】
次いで、切替装置40の信号モニタ部47は、第2の光スイッチ42から出力される多重化された信号に対してモニタを開始する(S12)。
【0040】
そして、信号モニタ部47は第2の光スイッチ42から出力される信号の異常を検出すると(S13でYes)、切替制御部48に異常を検出したことを通知する(S14)。
【0041】
切替制御部48は、この通知を受けて、第1の光スイッチ41を端子「b」から端子「a」に、第2の光スイッチ42を端子「d」から端子「c」に切替えるように各スイッチ41,42に切替制御信号を出力する。
【0042】
図3はスイッチ切替後の無線通信システム300の構成例を示す図である。スイッチ切替後は、無線サービスA対応の信号が第1の光スイッチ41から第2の光スイッチ42に出力され、さらに第2の光スイッチ42から無線装置24に出力される。無線サービスA対応の信号は第2の無線基地局装置20に出力されず、また第2の無線基地局装置20からの出力信号は無線装置24に出力されない。スイッチの切替により、第2の無線基地局装置20が無線通信システム300から切り離され、無線サービスA対応の信号が無線サービスB対応の第2の無線基地局装置20の影響を受けずに無線装置24に出力される。
【0043】
図2に戻り、信号モニタ部47は異常を検出しないとき(S13でNo)、異常を検出するまで処理を繰り返す(S13のループ)。
【0044】
このように、無線通信システム300は、第2の無線基地局装置20から出力される信号の異常を検出すると、切替装置40により無線サービスA対応の信号を出力するようにしている。従って、無線通信システム300は、無線サービスB対応の第2の無線制御装置22で故障等が発生しても継続してサービスを提供できる。
【0045】
次に異常検出の例について説明する。図4はCPRIプロトコルの例を示す図である。CPRIプロトコルのレイヤ1では、コネクタを外す等により光インタフェースの切断が検出できる。信号モニタ部47はこの切断を示す信号を受信することにより異常を検出できる。これ以外にも、信号モニタ部47は、例えばレイヤ2の「HDLC」を利用して異常を検出できる。「HDLC」の例の場合、リンクの切断やプロトコル異常が発生したときに「HDLC」フィールドにはかかる異常を示す情報が挿入されるため、信号モニタ部47がこれを検出することで異常を検出できる。さらに、信号モニタ部47は、例えば「Vender Specific」や、「Control&Management Plane」を用いて診断用データや各ベンダ独自のデータを監視し、異常を示すデータを検出することでも検出可能である。各フィールドへの情報の挿入は、例えばサービス多重分離部2235または第5の変換部2238等で行われる。
【0046】
上述した例は、信号モニタ部47により異常を検出した例である。この場合、信号モニタ部47は、例えば第2の無線制御装置22のサービス多重分離部2235から第2の光スイッチ42の前段までの異常を検出できる。
【0047】
一方、第2の無線基地局装置20における、第2の共通制御部221及び第4の変換部2236からサービス多重分離部2235の前段までの異常は、例えばサービス多重分離部2235で検出できる。サービス多重分離部2235は、CPRI信号を取り扱うため、図4に示した例で異常を検出できる。このような場合において、異常を検出した場合の動作について説明する。図5はその動作例を示すフローチャートである。
【0048】
サービス多重分離部2235は、無線サービスA側の信号、すなわち第4の変換部2236から第4のCPRI処理部2237まで入出力される信号の異常を検出した場合(S20,S21でYes)、無線サービスA側の信号を多重せず無線サービスB側の信号を出力する(S22)。
【0049】
一方、サービス多重分離部2235は、無線サービスB側の信号、すなわち、第2の共通制御部221から第3のCPRI処理部2234まで入出力される信号の異常を検出した場合(S21でYes)、無線サービスB側の信号を多重せず、無線サービスA側の信号を出力する(S22)。
【0050】
サービス多重分離部2235で異常検出が行われる場合、切替装置40は初期設定のままである。ただし、サービス多重分離部2235で異常検出を行わない場合や異常検出ができない場合などは、上述した切替装置40の信号モニタ部47で異常検出が行われてもよい。
【0051】
切替装置40は、第1の無線基地局装置10の異常も監視することができる。信号モニタ部47は、第1の光カプラ43及び第6の変換部44を経由する信号を監視し、初期設定は図1に示すように切替を行う。信号モニタ部47は異常を検出した場合、その旨を切替制御部48に通知する。切替制御部48は、第1の光スイッチ41を端子「a」、第2の光スイッチ42を端子「d」に切替えるように切替制御信号を出力する。
【0052】
図6は切替後の無線通信システム300の構成例を示す図である。無線サービスA対応の信号は第1の光スイッチ41を介して第2の光スイッチ42に出力されるものの、第2の光スイッチ42は端子「d」側に切替えられているため、第2の光スイッチ42から出力されない。また、無線サービスA対応の信号は第2の無線基地局装置20にも送信されない。結局、無線サービスB対応の信号が第2の光スイッチ42から無線装置24に出力される。
【0053】
よって、切替装置40は第1の無線基地局装置10からの信号の異常を検出した場合、第2の無線基地局装置20からの信号を無線装置24に出力するため、無線通信システム300は継続してサービスを提供できる。
【0054】
次に上り方向の動作等について説明する。図7は上り方向における切替動作の例を示すフローチャートである。
【0055】
切替装置40は、起動すると(S40)、初期設定を行う(S41)。例えば、切替制御部48は切替装置40の起動を検出すると、第1の光スイッチ41を端子「b」、第2の光スイッチ42を端子「d」に切替えるよう切替制御信号を出力する。各光スイッチ41,42は各端子にスイッチが切替わる。図1は初期設定時のスイッチ切替例を示す。
【0056】
この場合、無線装置24からの信号は、第2の光スイッチ42を介して第2の無線制御装置22に出力される。また、第2の無線基地局装置20から出力される無線サービスA対応の信号は第1の光スイッチ41を介して第1の無線基地局装置10に出力される。
【0057】
次いで、切替装置40の信号モニタ部47は、第1の光スイッチ41から出力される信号、すなわち第1の光カプラ43及び第6の変換部44から出力される信号の監視を開始する(S42)。
【0058】
そして、信号モニタ部47は第1の光スイッチ41から出力される信号の異常を検出すると(S43でYes)、切替制御部48に異常を検出したことを通知する(S44)。
【0059】
切替制御部48は、この通知を受けて、第1の光スイッチ41を端子「a」に、第2の光スイッチ42を端子「c」に切替えるように各スイッチ41,42に切替制御信号を出力する。スイッチ切替後の構成例を図3に示す。
【0060】
無線装置24からの信号は、第2の光スイッチ42から第1の光スイッチ41を経由して、第1の無線基地局装置10に出力される。2つのスイッチ41,42により、サービスB対応の第2の無線制御装置22と無線装置24との接続が切り離される。第2の無線制御装置22で故障等が発生しても、無線装置24からの信号は第1の無線基地局装置10に出力できる。よって、無線通信システム300は上り方向でも端末装置に対して継続したサービスを提供できる。
【0061】
図7に戻り、信号モニタ部47は第6の変換部44からの信号に異常を検出しないとき(S43でNo)、異常を検出するまで処理を繰り返す(S43のループ)。
【0062】
なお、第2の無線制御装置22のサービス多重分離部2235から第4の変換部2236の間で故障等により異常が発生した場合、信号モニタ部47は第1の光スイッチ41の出力を監視することで異常を検出できる。また、第2の無線制御装置22のサービス多重分離部2235より前段で異常が発生した発生した場合、サービス多重分離部2235で異常を検出することができる。この場合、検出した異常の発生をサービス多重分離部2235が切替装置40に通知できるようにするために、例えば、サービス多重分離部2235と切替制御部48とを制御線で接続してもよい。図8はその構成例を示す図である。切替制御部48は異常発生の通知を受けると、同図に示すように第2の無線制御装置22の接続を切り離すように切替えを行う。
【0063】
次に他の実施例について説明する。例えば、切替装置40は、上位装置からの指示に基づいて切替えが行われてもよい。図9〜図11はこのような場合の無線通信システム300の構成例等を示す図である。
【0064】
図9に示すように、無線通信システム300はさらに第1及び第2の上位装置60,80を備える。第1の上位装置60は無線サービスA対応の第1の無線基地局装置10、第2の上位装置80は無線サービスB対応の第2の無線基地局装置20に接続される。さらに、第1及び第2の共通制御部111,221はそれぞれ切替装置40の切替制御部48と制御線で接続される。
【0065】
図10は、第1または第2の共通制御部111,221における切替動作の例を示すフローチャートである。図10は上り方向及び下り方向のどちらも含まれるフローチャートである。
【0066】
無線サービスAおよびB対応の第1及び第2の無線基地局装置10,20が起動すると(S50)、第1または第2の共通制御部111,221は、第1または第2の上位装置60,80から切替装置40への制御信号を受信したか否かを判定する(S51)。
【0067】
第1または第2の共通制御部111,221は、制御信号を受信したとき(S51でYes)、制御信号に含まれる切替指示を切替制御部48に制御線を介して通知する(S52)。これにより、切替装置40は第1または第2の上位装置60,80からの制御により切替が行われる。例えば図3や図6に示すように、第1または第2の無線制御装置11,22からの信号が無線装置24に出力されるように切替が行われる。このような切替は、例えばメンテナンスや故障等の原因究明のために行われる。
【0068】
一方、第1または第2の共通制御部111,221は、制御信号を受信しないとき(S51でNo)、自装置異常による切替装置40の制御があるか否かを判定する(S53)。例えば、第1及び第2の共通制御部111,221は、それぞれ第1及び第2の無線基地局装置10,20の各部で故障等の異常が発生したときに異常を示す信号を検出できる。これを受信したか否かで本処理は判定できる。
【0069】
自装置の異常による切替装置40への制御がある場合(S53でYes)、第1または第2の共通制御部111,221は切替制御部48に切替を指示する(S54)。切替は、例えば、第2の共通制御部221が第2の無線基地局装置20の異常を検出した場合、第1の光スイッチ41を端子「a」、第2の光スイッチ42を端子「c」に切替えるよう切替制御部48に指示する。これにより、例えば図3に示すように、無線サービスB対応の第2の無線制御装置22が無線通信システム300から切り離すことができる。
【0070】
図11は切替装置40における切替動作の例を示すフローチャートである。図11も下り方向及び上り方向どちらも含まれるフローチャートである。
【0071】
切替装置40の起動により(S60)、切替装置40は初期設定を行う(S61)。例えば、切替装置40は第1の光スイッチ41を端子「b」、第2の光スイッチ42を端子「d」にする。
【0072】
次いで、信号モニタ部47と切替制御部48は信号の監視を行う(S62)。
【0073】
次いで、切替制御部48は、第1または第2の無線基地局装置10,20の第1または第2の共通制御部111,221から切替指示を受信すると(S63でYes)、その指示内容に従い第1及び第2の光スイッチ41,42へ切替制御信号を出力する(S64)。これにより、例えば図3や図6に示すような切替が行われる。
【0074】
一方、第1及び第2の共通制御部111,221から切替指示を受信しないとき(S63でNo)、受信するまで本処理を繰り返す。
【0075】
他の実施例として、切替装置40が第2の無線基地局装置20の外部ではなく内部にあってもよい。図12及び図13はかかる場合の無線通信システム300の構成例を示す図である。第2の無線基地局装置20は信号切り替え部50を備える。図12に示すように、信号切り替え部50と上述した切替装置40は同一構成である。
【0076】
さらに、他の実施例として、第2の無線基地局装置20の第2のインタフェース部223が切替装置40内部にあってもよい。図14及び図15はかかる例における無線通信システム300の構成例を示す図である。切替装置40はさらに第2のインタフェース変換部223を備える。
【0077】
通常動作時、第1及び第2の光スイッチ41,42は、図14に示すように、それぞれ端子「b」及び「d」に切替えられる。一方、第2の無線制御装置22や第2のインタフェース変換部223で異常が発生した場合、図15に示すように、第1及び第2の光スイッチ41,42は、それぞれ端子「a」及び「c」に切替えられる。第1の無線基地局装置10で異常が発生した場合も、図6に示すように、第1及び第2の光スイッチ41,42はそれぞれ端子「a」及び「c」に切替えられる。本例も、異常が発生しても継続して無線サービスを提供できる。
【0078】
さらに、他の実施例として、無線装置24は第2の無線基地局装置20内に設けられていてもよい。図16及び図17は無線通信システム300の本例における構成例を示す図である。図16に示すように、第2の無線基地局装置20はさらに無線装置24を備える。また、図17に示すように、第2の無線基地局装置20は無線装置24と信号切替部50とをさらに備えてもよい。
【0079】
以上まとめると付記のようになる。
【0080】
(付記1)
端末装置と無線通信を行う無線通信装置システムにおいて、
第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、
第2の信号を処理し、前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、
前記第2の無線通信装置からの前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと、
前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続され、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える切替装置と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【0081】
(付記2)
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1の切替部は前記第1の無線通信装置から出力された前記第1の信号を前記第2の切替部に出力するように切替え、前記第2の切替部は前記第1の切替部から出力された前記第1の信号を前記共用アンプに出力するように切替えることで、前記第2の無線通信装置の接続を切り離すことを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0082】
(付記3)
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第2の切替部は前記共用アンプから出力された前記第1及び第2の信号を前記第1の切替部に出力するように切替え、前記第1の切替部は前記第1の切替部から出力された前記第1及び第2の信号を前記第1の無線通信装置に出力するように切替えることで、前記第2の無線通信装置の接続を切り離すことを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0083】
(付記4)
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第1の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1の切替部は前記第1の無線通信装置から出力された前記第1の信号を前記第2の切替部に出力するように切替え、前記第2の切替部は前記第2の無線通信装置から出力された前記第2の信号を前記共用アンプに出力するように切替えることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0084】
(付記5)
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第1の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第2の切替部は前記共用アンプから出力された前記第1及び第2の信号を前記第2の無線通信装置に出力するように切替え、前記第1の切替部は前記第2の切替部と接続されるように切替えることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0085】
(付記6)
前記切替装置は、前記第1の無線通信装置と前記切替装置との間で入出力される信号または前記切替装置と前記無線装置との間で入出力される信号の異常を検出する検出部を備え、
前記第1または前記第2の無線通信装置の異常は前記検出部により検出されることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0086】
(付記7)
前記切替装置は、前記第1の無線通信装置で異常が発生したことを示す信号を前記第1の無線通信装置から受信することで前記第1の無線通信装置の異常を検出することを特徴とする付記5記載の無線通信システム。
【0087】
(付記8)
さらに、前記第1の無線通信装置に接続された第1の上位装置と、前記第2の無線通信装置に接続された第2の上位装置とを備え、
前記切替装置は、前記第1または第2の上位装置からの指示に基づいて、前記第1または前記第2の無線通信装置の接続を切り離すように接続を切替えることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0088】
(付記9)
前記切替装置は前記第2の無線通信装置に設けられていることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0089】
(付記10)
前記第2の無線通信装置は、前記第2の信号を処理する無線制御部と、前記第1及び第2の信号を合成または分離するインタフェース変換部とを備え、
前記インタフェース変換部は前記切替装置と接続されることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0090】
(付記11)
前記インタフェース変換部は前記切替装置に設けられていることを特徴とする付記10記載の無線通信システム。
【0091】
(付記12)
前記第1の信号は第1の通信方式に対応する信号であり、前記第2の信号は第2の通信方式に対応する信号であることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0092】
(付記13)
端末装置と無線通信を行う無線通信装置において、
第1の信号と他の無線通信装置から出力された第2の信号とを合成し、合成された前記第1及び第2の信号を分離する無線制御部と、
前記無線制御部から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記無線制御部に出力する共用アンプと、
前記他の無線通信装置及び前記無線制御部と前記共用アンプとの間に接続され、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部で異常が発生した場合、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部の接続を切り離すように切替える切替部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【0093】
(付記14)
第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置からの前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと備える無線通信システムにおける信号切替え方法において、
前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続される切替装置により前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える、
ことを特徴とする信号切替え方法。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は切替制御の例を示すフローチャートである。
【図3】図3は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図4】図4はCPRIプロトコルの例を示す図である。
【図5】図5は異常を検出した場合の動作例を示す図である。
【図6】図6は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図7】図7は切替制御の例を示すフローチャートである。
【図8】図8は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図9】図9は切替制御の例を示すフローチャートである。
【図10】図10は切替制御の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図12】図12は第2のインタフェース変換部と信号切り替え部の構成例を示す図である。
【図13】図13は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図14】図14は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図15】図15は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図16】図16は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図17】図17は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図18】図18は従来の無線基地局装置の構成例を示す図である。
【図19】図19は従来の無線通信システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
10 第1の無線基地局装置、 11 第1の無線制御装置(REC)、 20 第2の無線基地局装置、 22 第2の無線制御装置(REC)、 24 無線装置(RE)、 40 切替装置、 41 第1の光スイッチ、 42 第2の光スイッチ、 43,45 第1,第2の光カプラ、 44,46 第6,第7の変換部、 47 信号モニタ部、 48 切替制御部、 60,80 第1,第2の上位装置、 50 信号切り替え部、 111,221 第1,第2の共通制御部、 112,222 第1,第2のベースバンド信号処理部、 113,223 第1,第2のインタフェース変換部、 300 無線通信システム、 1131,2231,2234,2237 第1,第2,第3,第4のCPRI処理部、 1132,2232,2233,2236,2238 第1,第2,第3,第4,第5の変換部、 2235 サービス多重分離部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信システム、及び無線通信システムにおける信号切替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図18は従来の無線基地局装置の構成例を示す図である(例えば、以下の非特許文献1)。無線基地局装置200は、ベースバンド信号に対する処理を行う無線制御装置(REC:Radio Equipment Controller)210と、無線信号に対する処理を行う無線装置(RE:Radio Equipment)220とを備える。無線制御装置210と無線装置220とは、光ファイバにより接続される。接続はCPRIによるインタフェースが用いられる。
【0003】
図19は、CPRI(Common Public Radio Interface)インタフェースを用いた従来の無線通信システムの構成例を示す図である(例えば、以下の特許文献1)。無線通信システム100は、第1の無線基地局装置2と、第2の無線基地局装置4と、各無線基地局装置2,4に接続された上位装置1,3とを備える。第1の無線基地局装置2と第2の無線基地局装置4は、無線制御装置21,51のインタフェース変換部213,513を介して互いに接続される。無線通信システム100は、アンテナ5を介して端末装置と無線通信を行う。無線通信システム100は、2つの無線サービスA,Bを端末装置に提供できる。
【非特許文献1】CPRI Specification V2.1
【特許文献1】PCT/JP2007/000565
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の無線通信システム100は、インタフェース変換部513で故障が発生した場合、無線サービスB対応の第2の無線制御装置51からの信号と、無線サービスA対応の第1の無線制御装置21からの信号とを無線装置52に出力できない。この場合、無線通信システム100はどちらの無線サービスも継続して端末装置に提供することができない。
【0005】
そこで、一目的は、継続してサービスを提供することができる無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信システムにおける信号切替え方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、端末装置と無線通信を行う無線通信装置システムにおいて、第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し、前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続され、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える切替装置とを備える。
【0007】
また、他の態様によれば、端末装置と無線通信を行う無線通信装置において、第1の信号と他の無線通信装置から出力された第2の信号とを合成し、合成された前記第1及び第2の信号を分離する無線制御部と、前記無線制御部から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記無線制御部に出力する共用アンプと、前記他の無線通信装置及び前記無線制御部と前記共用アンプとの間に接続され、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部で異常が発生した場合、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部の接続を切り離すように切替える切替部とを備える。
【0008】
さらに、他の態様によれば、第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと備える無線通信システムにおける信号切替え方法において、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続される切替装置により前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える。
【発明の効果】
【0009】
継続してサービスを提供することができる無線通信システム、無線通信装置、及び無線通信システムにおける信号切替え方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施するための最良の形態を説明する。
【0011】
図1は、無線通信システム300の構成例を示す図である。無線通信システム300は、無線サービスA対応の第1の無線基地局装置(または無線通信装置)10と、無線サービスB対応の第2の無線基地局装置20と、無線装置(RE)24と、切替装置40とを備える。無線サービスAと無線サービスBとは異なる通信方式であり、無線通信システム300は異なる通信方式の信号を取り扱うことができる。たとえば、無線サービスAは旧サービス、無線サービスBは新サービスの通信方式である。
【0012】
第1の無線基地局装置10は、第1の無線制御装置(REC)11を備える。第1の無線制御装置11は、第1の共通制御部111と、第1のベースバンド信号処理部112と、第1のインタフェース変換部113とを備える。
【0013】
一方、第2の無線基地局装置20は、第2の無線制御装置(REC)22を備える。第2の無線制御装置(REC)22は、第2の共通制御部221と、第2のベースバンド信号処理部222と、第2のインタフェース変換部223とを備える。
【0014】
第1及び第2の共通制御部111,221は、各無線基地局装置10,20に同期信号を配信する等により各無線基地局装置20内を制御したり、個々のユーザ設定等を行う。
【0015】
第1及び第2のベースバンド信号処理部112,222は、上位装置からの信号を例えばI信号、Q信号からなるベースバンド信号に変換し、第1及び第2のインタフェース変換部113,223からのベースバンド信号を上位装置に送信できるフォーマットに変換等を行う。
【0016】
第1のインタフェース変換部113は、第1のCPRI処理部1131と、第1の変換部1132とを備える。
【0017】
第2のインタフェース変換部223は、第2のCPRI処理部2231と、第2の変換部2232と、第3の変換部2233と、第3のCPRI処理部2234と、サービス多重分離部2235と、第4の変換部2236と、第4のCPRI処理2237と、第5の変換部2238とを備える。
【0018】
第1及び第2のCPRI処理部1131,2231は、ベースバンド信号をCPRIフォーマットであるCPRI信号に変換してそれぞれ第1及び第2の変換部1132,2232に出力する。また、第1及び第2のCPRI処理部1131,2231は、第1及び第2の変換部1132,2232からのCPRI信号をベースバンド信号に変換等する。
【0019】
第1及び第2の変換部1132,2232は、第1及び第2のCPRI処理部1131,2231からのCPRI信号を光信号に変換し、光信号をCPRI信号に変換して第1及び第2のCPRI処理部1131,2231に出力等する。
【0020】
第3及び第4の変換部2233,2236は、光信号を電気信号であるCPRI信号に変換して第3及び第4のCPRI処理部2234,2237に出力し、第3及び第4のCPRI処理部2234,2237からのCPRI信号を光信号に変換等する。
【0021】
第3及び第4のCPRI処理部2234,2237は、CPRI信号をベースバンド信号に変換してサービス多重分離部2235に出力し、サービス多重分離部2235からのベースバンド信号をCPRI信号に変換等する。
【0022】
サービス多重分離部2235は、2つの無線サービスAおよびBに対応する2つのCPRI信号を多重または合成して第5の変換部2238に出力し、第5の変換部2238からの多重化されたCPRI信号を無線サービスごとに分離して出力する。
【0023】
第5の変換部2238は多重化されたCPRI信号を光信号に変換して切替装置40に出力し、切替装置40からの光信号をCPRI信号に変換してサービス多重分離部2235に出力する。
【0024】
無線装置24は、第3のインタフェース変換部241と、送受信増幅部242とを備える。
【0025】
第3のインタフェース変換部241は、切替装置40からの光信号をCPRI信号に変換し、変換後のCPRI信号(多重化信号)から無線サービスAおよびBに対応したベースバンド信号を分離または抽出し送受信増幅器242に出力する。また、第3のインタフェース変換部241は、送受信増幅器242から出力された無線サービスAおよびBにそれぞれ対応したベースバンド信号を多重化し、光信号に変換等して切替装置40に出力する。
【0026】
送受信増幅器242は、第3のインタフェース変換部241からのベースバンド信号を変調し、増幅等してアンテナ5に出力する。また、送受信増幅器242は、アンテナ5を介して受信した2つの無線サービスAおよびBに対応する信号を増幅し、ダウンコンバート等して第3のインタフェース変換部241に出力する。
【0027】
このように無線装置24または送受信増幅器242は、無線サービスAおよびBに対応する信号に対して共用して使用される共用アンプでもある。
【0028】
アンテナ5は端末装置と2つの無線サービスAおよびBに対応する信号を送受信する。無線通信システム300は2つの無線サービスAおよびBを提供できる。
【0029】
切替装置40は、第1の光スイッチ41と、第2の光スイッチ42と、第1及び第2の光カプラ43,45と、第6及び第7の変換部44,46と、信号モニタ/自律切替制御部(以下、信号モニタ部)47と、切替制御部48とを備える。
【0030】
第1の光スイッチ41は、第1の変換部1132と第4の変換部2236との間に接続され、さらに第1の変換部1132と第2の光スイッチ42との間に接続される。第1の光スイッチ41は、切替制御部48からの切替制御信号に基づいて、第1の変換部1132からの無線サービスA対応の信号を第2の光スイッチ42または第4の変換部2236のいずれか一方にそれぞれ端子「a」または端子「b」を介して出力する。また、第1の光スイッチ41は、切替制御信号に基づいて第2の光スイッチ42からの信号または第4の変換部2236からの信号のいずれか一方を第1の変換部1132に出力する。
【0031】
第1の光カプラ43は、第1の無線基地局装置10と切替装置40との間に流れる信号を分岐(またはコピー)して第6の変換部44に出力する。第6の変換部44は、分岐した光信号を電気信号に変換し、信号モニタ部47に出力する。
【0032】
第2の光スイッチ42は、第5の変換部2238と無線装置24との間に接続され、さらに第1の光スイッチ41と無線装置24との間に接続される。第2の光スイッチ42は、切替制御部48からの切替制御信号に基づいて、第1の光スイッチ41からの無線サービスA対応の信号、または第5の変換部2238からの多重化信号のいずれか一方をそれぞれ端子「c」または「d」を介して無線装置24に出力する。または、第2の光スイッチ42は切替制御信号に基づいて、無線装置24からの信号を第5の変換部2238または第1の光スイッチ41に出力する。
【0033】
第2の光カプラ45は、第2の光スイッチ42と無線装置24との間に接続され、この間に流れる信号を分岐(またはコピー)する。第7の変換部46は光信号を電気信号に変換し、信号モニタ部47に出力する。
【0034】
信号モニタ部47は、第6または第7の変換部44,46からの信号に基づいて、第1の無線基地局装置10、または第2の無線制御装置22に異常が発生したか否かを検出し、その結果を切替制御部48に通知する。
【0035】
切替制御部48は、信号モニタ部47からの通知に基づいて第1及び第2の光スイッチ41,42に切替制御信号を出力する。
【0036】
次に、第1及び第2の光スイッチ41,42の切替動作を説明する。まず、下り方向(各無線基地局装置10,20から無線装置24への方向)について説明する。図2は切替動作の例を示すフローチャートである。
【0037】
切替装置40は、起動すると(S10)、初期設定を行う(S11)。例えば、切替制御部48は切替装置40の起動を検出すると、初期設定として、第1の光スイッチ41を端子「b」、第2の光スイッチ42を端子「d」に切替えるよう切替制御信号を出力する。第1及び第2の光スイッチ41,42は、切替制御信号に基づいてスイッチが切替わる。図1は初期設定時のスイッチ切替え例を示す。
【0038】
この場合、第1の基地局装置10から出力される無線サービスAの信号は、第1の光スイッチ41を介して無線サービスB対応の第2の無線基地局装置20に出力される。また、無線サービスAとBの2つの多重化された信号は第2の無線基地局装置20から第2の光スイッチ42を介して無線装置24に出力される。この場合、アンテナ5からは2つの無線サービスA、Bの信号が送信されるため、無線通信システム300は2つの無線サービスA、Bを端末装置に提供できる。
【0039】
次いで、切替装置40の信号モニタ部47は、第2の光スイッチ42から出力される多重化された信号に対してモニタを開始する(S12)。
【0040】
そして、信号モニタ部47は第2の光スイッチ42から出力される信号の異常を検出すると(S13でYes)、切替制御部48に異常を検出したことを通知する(S14)。
【0041】
切替制御部48は、この通知を受けて、第1の光スイッチ41を端子「b」から端子「a」に、第2の光スイッチ42を端子「d」から端子「c」に切替えるように各スイッチ41,42に切替制御信号を出力する。
【0042】
図3はスイッチ切替後の無線通信システム300の構成例を示す図である。スイッチ切替後は、無線サービスA対応の信号が第1の光スイッチ41から第2の光スイッチ42に出力され、さらに第2の光スイッチ42から無線装置24に出力される。無線サービスA対応の信号は第2の無線基地局装置20に出力されず、また第2の無線基地局装置20からの出力信号は無線装置24に出力されない。スイッチの切替により、第2の無線基地局装置20が無線通信システム300から切り離され、無線サービスA対応の信号が無線サービスB対応の第2の無線基地局装置20の影響を受けずに無線装置24に出力される。
【0043】
図2に戻り、信号モニタ部47は異常を検出しないとき(S13でNo)、異常を検出するまで処理を繰り返す(S13のループ)。
【0044】
このように、無線通信システム300は、第2の無線基地局装置20から出力される信号の異常を検出すると、切替装置40により無線サービスA対応の信号を出力するようにしている。従って、無線通信システム300は、無線サービスB対応の第2の無線制御装置22で故障等が発生しても継続してサービスを提供できる。
【0045】
次に異常検出の例について説明する。図4はCPRIプロトコルの例を示す図である。CPRIプロトコルのレイヤ1では、コネクタを外す等により光インタフェースの切断が検出できる。信号モニタ部47はこの切断を示す信号を受信することにより異常を検出できる。これ以外にも、信号モニタ部47は、例えばレイヤ2の「HDLC」を利用して異常を検出できる。「HDLC」の例の場合、リンクの切断やプロトコル異常が発生したときに「HDLC」フィールドにはかかる異常を示す情報が挿入されるため、信号モニタ部47がこれを検出することで異常を検出できる。さらに、信号モニタ部47は、例えば「Vender Specific」や、「Control&Management Plane」を用いて診断用データや各ベンダ独自のデータを監視し、異常を示すデータを検出することでも検出可能である。各フィールドへの情報の挿入は、例えばサービス多重分離部2235または第5の変換部2238等で行われる。
【0046】
上述した例は、信号モニタ部47により異常を検出した例である。この場合、信号モニタ部47は、例えば第2の無線制御装置22のサービス多重分離部2235から第2の光スイッチ42の前段までの異常を検出できる。
【0047】
一方、第2の無線基地局装置20における、第2の共通制御部221及び第4の変換部2236からサービス多重分離部2235の前段までの異常は、例えばサービス多重分離部2235で検出できる。サービス多重分離部2235は、CPRI信号を取り扱うため、図4に示した例で異常を検出できる。このような場合において、異常を検出した場合の動作について説明する。図5はその動作例を示すフローチャートである。
【0048】
サービス多重分離部2235は、無線サービスA側の信号、すなわち第4の変換部2236から第4のCPRI処理部2237まで入出力される信号の異常を検出した場合(S20,S21でYes)、無線サービスA側の信号を多重せず無線サービスB側の信号を出力する(S22)。
【0049】
一方、サービス多重分離部2235は、無線サービスB側の信号、すなわち、第2の共通制御部221から第3のCPRI処理部2234まで入出力される信号の異常を検出した場合(S21でYes)、無線サービスB側の信号を多重せず、無線サービスA側の信号を出力する(S22)。
【0050】
サービス多重分離部2235で異常検出が行われる場合、切替装置40は初期設定のままである。ただし、サービス多重分離部2235で異常検出を行わない場合や異常検出ができない場合などは、上述した切替装置40の信号モニタ部47で異常検出が行われてもよい。
【0051】
切替装置40は、第1の無線基地局装置10の異常も監視することができる。信号モニタ部47は、第1の光カプラ43及び第6の変換部44を経由する信号を監視し、初期設定は図1に示すように切替を行う。信号モニタ部47は異常を検出した場合、その旨を切替制御部48に通知する。切替制御部48は、第1の光スイッチ41を端子「a」、第2の光スイッチ42を端子「d」に切替えるように切替制御信号を出力する。
【0052】
図6は切替後の無線通信システム300の構成例を示す図である。無線サービスA対応の信号は第1の光スイッチ41を介して第2の光スイッチ42に出力されるものの、第2の光スイッチ42は端子「d」側に切替えられているため、第2の光スイッチ42から出力されない。また、無線サービスA対応の信号は第2の無線基地局装置20にも送信されない。結局、無線サービスB対応の信号が第2の光スイッチ42から無線装置24に出力される。
【0053】
よって、切替装置40は第1の無線基地局装置10からの信号の異常を検出した場合、第2の無線基地局装置20からの信号を無線装置24に出力するため、無線通信システム300は継続してサービスを提供できる。
【0054】
次に上り方向の動作等について説明する。図7は上り方向における切替動作の例を示すフローチャートである。
【0055】
切替装置40は、起動すると(S40)、初期設定を行う(S41)。例えば、切替制御部48は切替装置40の起動を検出すると、第1の光スイッチ41を端子「b」、第2の光スイッチ42を端子「d」に切替えるよう切替制御信号を出力する。各光スイッチ41,42は各端子にスイッチが切替わる。図1は初期設定時のスイッチ切替例を示す。
【0056】
この場合、無線装置24からの信号は、第2の光スイッチ42を介して第2の無線制御装置22に出力される。また、第2の無線基地局装置20から出力される無線サービスA対応の信号は第1の光スイッチ41を介して第1の無線基地局装置10に出力される。
【0057】
次いで、切替装置40の信号モニタ部47は、第1の光スイッチ41から出力される信号、すなわち第1の光カプラ43及び第6の変換部44から出力される信号の監視を開始する(S42)。
【0058】
そして、信号モニタ部47は第1の光スイッチ41から出力される信号の異常を検出すると(S43でYes)、切替制御部48に異常を検出したことを通知する(S44)。
【0059】
切替制御部48は、この通知を受けて、第1の光スイッチ41を端子「a」に、第2の光スイッチ42を端子「c」に切替えるように各スイッチ41,42に切替制御信号を出力する。スイッチ切替後の構成例を図3に示す。
【0060】
無線装置24からの信号は、第2の光スイッチ42から第1の光スイッチ41を経由して、第1の無線基地局装置10に出力される。2つのスイッチ41,42により、サービスB対応の第2の無線制御装置22と無線装置24との接続が切り離される。第2の無線制御装置22で故障等が発生しても、無線装置24からの信号は第1の無線基地局装置10に出力できる。よって、無線通信システム300は上り方向でも端末装置に対して継続したサービスを提供できる。
【0061】
図7に戻り、信号モニタ部47は第6の変換部44からの信号に異常を検出しないとき(S43でNo)、異常を検出するまで処理を繰り返す(S43のループ)。
【0062】
なお、第2の無線制御装置22のサービス多重分離部2235から第4の変換部2236の間で故障等により異常が発生した場合、信号モニタ部47は第1の光スイッチ41の出力を監視することで異常を検出できる。また、第2の無線制御装置22のサービス多重分離部2235より前段で異常が発生した発生した場合、サービス多重分離部2235で異常を検出することができる。この場合、検出した異常の発生をサービス多重分離部2235が切替装置40に通知できるようにするために、例えば、サービス多重分離部2235と切替制御部48とを制御線で接続してもよい。図8はその構成例を示す図である。切替制御部48は異常発生の通知を受けると、同図に示すように第2の無線制御装置22の接続を切り離すように切替えを行う。
【0063】
次に他の実施例について説明する。例えば、切替装置40は、上位装置からの指示に基づいて切替えが行われてもよい。図9〜図11はこのような場合の無線通信システム300の構成例等を示す図である。
【0064】
図9に示すように、無線通信システム300はさらに第1及び第2の上位装置60,80を備える。第1の上位装置60は無線サービスA対応の第1の無線基地局装置10、第2の上位装置80は無線サービスB対応の第2の無線基地局装置20に接続される。さらに、第1及び第2の共通制御部111,221はそれぞれ切替装置40の切替制御部48と制御線で接続される。
【0065】
図10は、第1または第2の共通制御部111,221における切替動作の例を示すフローチャートである。図10は上り方向及び下り方向のどちらも含まれるフローチャートである。
【0066】
無線サービスAおよびB対応の第1及び第2の無線基地局装置10,20が起動すると(S50)、第1または第2の共通制御部111,221は、第1または第2の上位装置60,80から切替装置40への制御信号を受信したか否かを判定する(S51)。
【0067】
第1または第2の共通制御部111,221は、制御信号を受信したとき(S51でYes)、制御信号に含まれる切替指示を切替制御部48に制御線を介して通知する(S52)。これにより、切替装置40は第1または第2の上位装置60,80からの制御により切替が行われる。例えば図3や図6に示すように、第1または第2の無線制御装置11,22からの信号が無線装置24に出力されるように切替が行われる。このような切替は、例えばメンテナンスや故障等の原因究明のために行われる。
【0068】
一方、第1または第2の共通制御部111,221は、制御信号を受信しないとき(S51でNo)、自装置異常による切替装置40の制御があるか否かを判定する(S53)。例えば、第1及び第2の共通制御部111,221は、それぞれ第1及び第2の無線基地局装置10,20の各部で故障等の異常が発生したときに異常を示す信号を検出できる。これを受信したか否かで本処理は判定できる。
【0069】
自装置の異常による切替装置40への制御がある場合(S53でYes)、第1または第2の共通制御部111,221は切替制御部48に切替を指示する(S54)。切替は、例えば、第2の共通制御部221が第2の無線基地局装置20の異常を検出した場合、第1の光スイッチ41を端子「a」、第2の光スイッチ42を端子「c」に切替えるよう切替制御部48に指示する。これにより、例えば図3に示すように、無線サービスB対応の第2の無線制御装置22が無線通信システム300から切り離すことができる。
【0070】
図11は切替装置40における切替動作の例を示すフローチャートである。図11も下り方向及び上り方向どちらも含まれるフローチャートである。
【0071】
切替装置40の起動により(S60)、切替装置40は初期設定を行う(S61)。例えば、切替装置40は第1の光スイッチ41を端子「b」、第2の光スイッチ42を端子「d」にする。
【0072】
次いで、信号モニタ部47と切替制御部48は信号の監視を行う(S62)。
【0073】
次いで、切替制御部48は、第1または第2の無線基地局装置10,20の第1または第2の共通制御部111,221から切替指示を受信すると(S63でYes)、その指示内容に従い第1及び第2の光スイッチ41,42へ切替制御信号を出力する(S64)。これにより、例えば図3や図6に示すような切替が行われる。
【0074】
一方、第1及び第2の共通制御部111,221から切替指示を受信しないとき(S63でNo)、受信するまで本処理を繰り返す。
【0075】
他の実施例として、切替装置40が第2の無線基地局装置20の外部ではなく内部にあってもよい。図12及び図13はかかる場合の無線通信システム300の構成例を示す図である。第2の無線基地局装置20は信号切り替え部50を備える。図12に示すように、信号切り替え部50と上述した切替装置40は同一構成である。
【0076】
さらに、他の実施例として、第2の無線基地局装置20の第2のインタフェース部223が切替装置40内部にあってもよい。図14及び図15はかかる例における無線通信システム300の構成例を示す図である。切替装置40はさらに第2のインタフェース変換部223を備える。
【0077】
通常動作時、第1及び第2の光スイッチ41,42は、図14に示すように、それぞれ端子「b」及び「d」に切替えられる。一方、第2の無線制御装置22や第2のインタフェース変換部223で異常が発生した場合、図15に示すように、第1及び第2の光スイッチ41,42は、それぞれ端子「a」及び「c」に切替えられる。第1の無線基地局装置10で異常が発生した場合も、図6に示すように、第1及び第2の光スイッチ41,42はそれぞれ端子「a」及び「c」に切替えられる。本例も、異常が発生しても継続して無線サービスを提供できる。
【0078】
さらに、他の実施例として、無線装置24は第2の無線基地局装置20内に設けられていてもよい。図16及び図17は無線通信システム300の本例における構成例を示す図である。図16に示すように、第2の無線基地局装置20はさらに無線装置24を備える。また、図17に示すように、第2の無線基地局装置20は無線装置24と信号切替部50とをさらに備えてもよい。
【0079】
以上まとめると付記のようになる。
【0080】
(付記1)
端末装置と無線通信を行う無線通信装置システムにおいて、
第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、
第2の信号を処理し、前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、
前記第2の無線通信装置からの前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと、
前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続され、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える切替装置と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【0081】
(付記2)
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1の切替部は前記第1の無線通信装置から出力された前記第1の信号を前記第2の切替部に出力するように切替え、前記第2の切替部は前記第1の切替部から出力された前記第1の信号を前記共用アンプに出力するように切替えることで、前記第2の無線通信装置の接続を切り離すことを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0082】
(付記3)
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第2の切替部は前記共用アンプから出力された前記第1及び第2の信号を前記第1の切替部に出力するように切替え、前記第1の切替部は前記第1の切替部から出力された前記第1及び第2の信号を前記第1の無線通信装置に出力するように切替えることで、前記第2の無線通信装置の接続を切り離すことを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0083】
(付記4)
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第1の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1の切替部は前記第1の無線通信装置から出力された前記第1の信号を前記第2の切替部に出力するように切替え、前記第2の切替部は前記第2の無線通信装置から出力された前記第2の信号を前記共用アンプに出力するように切替えることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0084】
(付記5)
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第1の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第2の切替部は前記共用アンプから出力された前記第1及び第2の信号を前記第2の無線通信装置に出力するように切替え、前記第1の切替部は前記第2の切替部と接続されるように切替えることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0085】
(付記6)
前記切替装置は、前記第1の無線通信装置と前記切替装置との間で入出力される信号または前記切替装置と前記無線装置との間で入出力される信号の異常を検出する検出部を備え、
前記第1または前記第2の無線通信装置の異常は前記検出部により検出されることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0086】
(付記7)
前記切替装置は、前記第1の無線通信装置で異常が発生したことを示す信号を前記第1の無線通信装置から受信することで前記第1の無線通信装置の異常を検出することを特徴とする付記5記載の無線通信システム。
【0087】
(付記8)
さらに、前記第1の無線通信装置に接続された第1の上位装置と、前記第2の無線通信装置に接続された第2の上位装置とを備え、
前記切替装置は、前記第1または第2の上位装置からの指示に基づいて、前記第1または前記第2の無線通信装置の接続を切り離すように接続を切替えることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0088】
(付記9)
前記切替装置は前記第2の無線通信装置に設けられていることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0089】
(付記10)
前記第2の無線通信装置は、前記第2の信号を処理する無線制御部と、前記第1及び第2の信号を合成または分離するインタフェース変換部とを備え、
前記インタフェース変換部は前記切替装置と接続されることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0090】
(付記11)
前記インタフェース変換部は前記切替装置に設けられていることを特徴とする付記10記載の無線通信システム。
【0091】
(付記12)
前記第1の信号は第1の通信方式に対応する信号であり、前記第2の信号は第2の通信方式に対応する信号であることを特徴とする付記1記載の無線通信システム。
【0092】
(付記13)
端末装置と無線通信を行う無線通信装置において、
第1の信号と他の無線通信装置から出力された第2の信号とを合成し、合成された前記第1及び第2の信号を分離する無線制御部と、
前記無線制御部から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記無線制御部に出力する共用アンプと、
前記他の無線通信装置及び前記無線制御部と前記共用アンプとの間に接続され、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部で異常が発生した場合、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部の接続を切り離すように切替える切替部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【0093】
(付記14)
第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置からの前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと備える無線通信システムにおける信号切替え方法において、
前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続される切替装置により前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える、
ことを特徴とする信号切替え方法。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は切替制御の例を示すフローチャートである。
【図3】図3は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図4】図4はCPRIプロトコルの例を示す図である。
【図5】図5は異常を検出した場合の動作例を示す図である。
【図6】図6は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図7】図7は切替制御の例を示すフローチャートである。
【図8】図8は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図9】図9は切替制御の例を示すフローチャートである。
【図10】図10は切替制御の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図12】図12は第2のインタフェース変換部と信号切り替え部の構成例を示す図である。
【図13】図13は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図14】図14は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図15】図15は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図16】図16は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図17】図17は無線通信システムの他の構成例を示す図である。
【図18】図18は従来の無線基地局装置の構成例を示す図である。
【図19】図19は従来の無線通信システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
10 第1の無線基地局装置、 11 第1の無線制御装置(REC)、 20 第2の無線基地局装置、 22 第2の無線制御装置(REC)、 24 無線装置(RE)、 40 切替装置、 41 第1の光スイッチ、 42 第2の光スイッチ、 43,45 第1,第2の光カプラ、 44,46 第6,第7の変換部、 47 信号モニタ部、 48 切替制御部、 60,80 第1,第2の上位装置、 50 信号切り替え部、 111,221 第1,第2の共通制御部、 112,222 第1,第2のベースバンド信号処理部、 113,223 第1,第2のインタフェース変換部、 300 無線通信システム、 1131,2231,2234,2237 第1,第2,第3,第4のCPRI処理部、 1132,2232,2233,2236,2238 第1,第2,第3,第4,第5の変換部、 2235 サービス多重分離部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と無線通信を行う無線通信装置システムにおいて、
第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、
第2の信号を処理し、前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、
前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと、
前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続され、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える切替装置と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1の切替部は前記第1の無線通信装置から出力された前記第1の信号を前記第2の切替部に出力するように切替え、前記第2の切替部は前記第1の切替部から出力された前記第1の信号を前記共用アンプに出力するように切替えることで、前記第2の無線通信装置の接続を切り離すことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第2の切替部は前記共用アンプから出力された前記第1及び第2の信号を前記第1の切替部に出力するように切替え、前記第1の切替部は前記第1の切替部から出力された前記第1及び第2の信号を前記第1の無線通信装置に出力するように切替えることで、前記第2の無線通信装置の接続を切り離すことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第1の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1の切替部は前記第1の無線通信装置から出力された前記第1の信号を前記第2の切替部に出力するように切替え、前記第2の切替部は前記第2の無線通信装置から出力された前記第2の信号を前記共用アンプに出力するように切替えることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項5】
端末装置と無線通信を行う無線通信装置において、
第1の信号と他の無線通信装置から出力された第2の信号とを合成し、合成された前記第1及び第2の信号を分離する無線制御部と、
前記無線制御部から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記無線制御部に出力する共用アンプと、
前記他の無線通信装置及び前記無線制御部と前記共用アンプとの間に接続され、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部で異常が発生した場合、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部の接続を切り離すように切替える切替部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと備える無線通信システムにおける信号切替え方法において、
前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続される切替装置により前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える、
ことを特徴とする信号切替え方法。
【請求項1】
端末装置と無線通信を行う無線通信装置システムにおいて、
第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、
第2の信号を処理し、前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、
前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと、
前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続され、前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える切替装置と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1の切替部は前記第1の無線通信装置から出力された前記第1の信号を前記第2の切替部に出力するように切替え、前記第2の切替部は前記第1の切替部から出力された前記第1の信号を前記共用アンプに出力するように切替えることで、前記第2の無線通信装置の接続を切り離すことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第2の切替部は前記共用アンプから出力された前記第1及び第2の信号を前記第1の切替部に出力するように切替え、前記第1の切替部は前記第1の切替部から出力された前記第1及び第2の信号を前記第1の無線通信装置に出力するように切替えることで、前記第2の無線通信装置の接続を切り離すことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記切替装置は、第1及び第2の切替部を備え、
前記第1の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1の切替部は前記第1の無線通信装置から出力された前記第1の信号を前記第2の切替部に出力するように切替え、前記第2の切替部は前記第2の無線通信装置から出力された前記第2の信号を前記共用アンプに出力するように切替えることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項5】
端末装置と無線通信を行う無線通信装置において、
第1の信号と他の無線通信装置から出力された第2の信号とを合成し、合成された前記第1及び第2の信号を分離する無線制御部と、
前記無線制御部から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記無線制御部に出力する共用アンプと、
前記他の無線通信装置及び前記無線制御部と前記共用アンプとの間に接続され、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部で異常が発生した場合、前記他の無線基地局装置または前記無線制御部の接続を切り離すように切替える切替部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
第1の信号を処理する第1の無線通信装置と、第2の信号を処理し前記第1及び第2の信号を合成または分離する第2の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置から出力された前記第1及び第2の信号を増幅して前記端末装置に送信し、前記端末装置から受信した前記第1及び第2の信号を増幅して前記第2の無線通信装置に出力する共用アンプと備える無線通信システムにおける信号切替え方法において、
前記第1または第2の無線通信装置で異常が発生した場合、前記第1及び第2の無線通信装置と前記共用アンプとの間に接続される切替装置により前記第1または第2の無線通信装置の接続を切り離すように切替える、
ことを特徴とする信号切替え方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−124364(P2010−124364A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297680(P2008−297680)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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