無線通信装置、無線通信方法および通信制御プログラム
【課題】複数の無線通信網に接続可能な無線通信装置の消費電力を抑制する。
【解決手段】無線部11は、無線通信網21に接続するとビーコン信号を継続的に受信する。無線部12は、無線部11が無線通信網21に接続していないとき、無線通信網22を介して間欠的にデータ通信を行う。制御部13は、無線部11がビーコン信号を受信する場合の受信間隔についてのパラメータを、無線通信網21の信号から検出し、検出したパラメータに基づいて、無線通信網21との接続を解除するか否か制御する。
【解決手段】無線部11は、無線通信網21に接続するとビーコン信号を継続的に受信する。無線部12は、無線部11が無線通信網21に接続していないとき、無線通信網22を介して間欠的にデータ通信を行う。制御部13は、無線部11がビーコン信号を受信する場合の受信間隔についてのパラメータを、無線通信網21の信号から検出し、検出したパラメータに基づいて、無線通信網21との接続を解除するか否か制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信装置、無線通信方法および通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話システムや無線LAN(Local Area Network)などの無線通信システムが広く利用されている。無線通信装置の中には、複数の種類の無線通信網を利用可能なものがある。例えば、移動通信網に接続して無線通信を行う無線部と無線LANに接続して無線通信を行う無線部の両方を備えた携帯電話機がある。このような無線通信装置を用いることで、場所に応じて利用する無線通信網を選択することができ、複数の種類の無線通信網それぞれの利点を享受することができる。例えば、無線LANが利用可能な場所では無線LANを利用し、それ以外の場所では移動通信網を利用することで、通信の高速性などの前者の利点と通信可能エリアの広さなどの後者の利点とを享受できる。
【0003】
なお、携帯電話通信部と無線LAN通信部を備え、電源が投入されると各無線通信部を初期化して待ち受け状態または休止状態に移行させることで、通信開始までの時間を短縮できるようにした携帯電話機が提案されている。また、アクセスポイントに設定されている省電力パラメータに基づいて、自装置が省電力状態と非省電力状態の何れの状態で動作するか判定し、判定した状態を表示部に表示する端末装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263520号公報
【特許文献2】特開2009−118160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、無線通信網には、無線通信装置に動的にIP(Internet Protocol)アドレスを割り当て、一定時間通信が行われないとIPアドレスの割り当てを解除するものがある。IPアドレスが割り当てられている状態では、無線通信装置は自装置宛てのメッセージがあると無線通信網から通知されるサービス(いわゆるプッシュ型サービス)を利用することができる。そこで、無線通信装置は、待ち受け状態でもIPアドレスの割り当てを維持するよう動作する(例えば、定期的に通信を行う)ことが考えられる。しかし、複数の種類の無線通信網を利用可能な無線通信装置の場合、複数の無線部をどの様に動作させれば、消費電力の抑制に有利になるかという問題がある。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、複数の無線通信網に接続可能な無線通信装置の消費電力を抑制することができる無線通信装置、無線通信方法および通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の無線部と第2の無線部と制御部とを有する無線通信装置が提供される。第1の無線部は、第1の無線通信網に接続するとビーコン信号を継続的に受信する。第2の無線部は、第1の無線部が第1の無線通信網に接続していないとき、第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行う。制御部は、第1の無線部がビーコン信号を受信する場合の受信間隔についてのパラメータを、第1の無線通信網の信号から検出し、検出したパラメータに基づいて、第1の無線通信網との接続を解除するか否か制御する。
【0008】
また、第1および第2の無線部を有する無線通信装置の無線通信方法が提供される。この無線通信方法では、ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを第1の無線通信網の信号から検出する。パラメータに基づいて、第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定する。第1の無線通信網との接続を維持する場合、第1の無線部がビーコン信号を継続的に受信し、第1の無線通信網との接続を解除する場合、第2の無線部が第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行う。また、上記無線通信方法をコンピュータに実行させるための通信制御プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記無線通信装置、無線通信方法および通信制御プログラムによれば、複数の無線通信網に接続可能な無線通信装置の消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態の無線通信装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態の無線通信システムを示す図である。
【図3】端末装置を示すブロック図である。
【図4】制御サーバを示すブロック図である。
【図5】ビーコンフレームの構造例を示す図である。
【図6】待ち受け時の無線通信例を示す図である。
【図7】待ち受け時の消費電力例を示す図である。
【図8】DTIMと消費電力の対応例を示すグラフである。
【図9】第2の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。
【図12】第3の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。
【図13】累積消費電力の変化例を示すグラフである。
【図14】第4の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。
【図15】第4の実施の形態の時間測定を示すフローチャートである。
【図16】待ち受け時間テーブルの構造例を示す図である。
【図17】第4の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の無線通信装置を示す図である。無線通信装置10は、無線部11(第1の無線部)、無線部12(第2の無線部)および制御部13を有する。
【0012】
無線部11は、無線通信網21(第1の無線通信網)に接続して無線通信が可能な無線通信部である。無線通信網21としては、例えば、無線LANが挙げられる。無線部11は、無線通信網21に接続すると、ビーコン信号を継続的に受信する。例えば、無線通信網21のアクセスポイントから、ビーコン信号を周期的に受信する。ビーコン信号の受信間隔は、無線通信網21から通知されるパラメータに基づいて決定される。
【0013】
無線部12は、無線通信網22(第2の無線通信網)に接続して無線通信が可能な無線通信部である。無線通信網22としては、例えば、移動通信網が挙げられる。無線部12は、無線部11が無線通信網21に接続していない場合、無線通信装置10が待ち受け状態の間、無線通信網22を介して間欠的にデータ通信を行う(当該機能を、AlwaysONと呼ぶことがある)。一方、無線部11が無線通信網21に接続している場合、待ち受け状態の間の間欠的なデータ通信は行わない。
【0014】
制御部13は、ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを、無線通信網21の信号から検出する。そして、検出したパラメータに基づいて、無線通信装置10が待ち受け状態の間、無線通信網21との接続を解除するか否か決定する。無線通信網21との接続が維持される場合、無線部11はビーコン信号を受信し、無線部12は間欠的なデータ通信を行わないことになる。一方、無線通信網21との接続が解除される場合、無線部11はビーコン信号を受信せず、無線部12は間欠的にデータ通信を行うことになる。制御部13は、例えば、ビーコン信号の受信間隔が大きくなる場合は無線通信網21との接続を維持し、受信間隔が小さくなる場合は接続を解除すると決定することが考えられる。
【0015】
なお、本出願の発明者は、待ち受け状態の間、無線LANの接続を解除する場合は移動通信網を介して間欠的にデータ通信を行い、無線LANの接続を維持する場合は当該AlwaysONのデータ通信を行わない無線通信装置があることを、製品調査により発見した。例えば、AlwaysONのデータ通信が行われることで、移動通信網から割り当てられたIPアドレスが待ち受け中に解放されることを抑制できる。ただし、無線LANから割り当てられたIPアドレスが維持されていれば、移動通信網から割り当てられたIPアドレスが解放されてもよく、AlwaysONのデータ通信を行わなくてよい。そこで、AlwaysON機能と無線LANの接続維持とを選択適用することが考えられる。
【0016】
上記の無線通信装置10は、ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを無線通信網21の信号から検出し、パラメータに基づいて、無線通信網21との接続を解除するか否か決定する。無線通信網21との接続を維持する場合、無線部11がビーコン信号を継続的に受信し、無線通信網21との接続を解除する場合、無線部12が無線通信網22を介して間欠的にデータ通信を行うよう制御する。
【0017】
無線通信装置10によれば、無線部11によるビーコン信号の受信と無線部12による間欠的なデータ通信のうち、待ち受け中の消費電力の抑制に有利な方法を選択することが可能となる。例えば、アクセスポイントに設定されたパラメータに基づいて決定されるビーコン信号の受信間隔が大きい場合は、無線部11がビーコン信号を受信した方が有利であると判断し、ビーコン信号の受信間隔が小さい場合は、無線部12が間欠的にデータ通信を行った方が有利であると判断することが可能となる。
【0018】
以下に説明する第2〜4の実施の形態では、無線LANと3G(3rd Generation)網などの移動通信網とを利用可能な端末装置の例を挙げる。ただし、第1の実施の形態で述べた無線通信網21,22は、無線LANや移動通信網に限定されない。
【0019】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態の無線通信システムを示す図である。第2の実施の形態の無線通信システムは、端末装置100、アクセスポイント210、基地局220、制御サーバ300、LAN41、移動通信網42およびIPネットワーク43を含む。
【0020】
端末装置100は、無線LANおよび移動通信網42を利用して無線通信を行うことができる無線通信装置であり、例えば、携帯電話機や携帯情報端末装置などである。端末装置100は、第1の実施の形態の無線通信装置10の一例である。端末装置100は、アクセスポイント210にアクセスして無線LANに接続し、基地局220にアクセスして移動通信網42に接続する。端末装置100は、通話やWebブラウジングなどのアプリケーション処理が行われていない待ち受け中は、省電力化が図られるように動作する。
【0021】
アクセスポイント210は、有線のLAN41に接続された無線通信装置である。アクセスポイント210は、端末装置100と無線通信を行い、端末装置100とLAN41との間でデータを転送する。アクセスポイント210は、予め設定されたパラメータを含むビーコンフレームを定期的に送信している。LAN41は、端末装置100が接続すると、端末装置100にIPアドレスを割り当てる。なお、LAN41およびアクセスポイント210は、第1の実施の形態の無線通信網21の一例である。
【0022】
基地局220は、有線の移動通信網42に接続された無線通信装置である。基地局220は、端末装置100と無線通信を行い、端末装置100と移動通信網42との間でデータを中継する。移動通信網42は、端末装置100が接続すると、端末装置100にIPアドレスを割り当てる。ただし、データ通信が一定時間行われないと、端末装置100に割り当てたIPアドレスを解放する。なお、移動通信網42および基地局220は、第1の実施の形態の無線通信網22の一例である。
【0023】
制御サーバ300は、IPネットワーク43を介してLAN41および移動通信網42と接続されたサーバコンピュータである。制御サーバ300は、LAN41または移動通信網42を介して端末装置100と通信を行い、端末装置100に割り当てられたIPアドレスを登録する。そして、登録されているIPアドレスを用いて、端末装置100へのプッシュ型メッセージの送信(例えば、電子メールの到着通知など)を行う。また、制御サーバ300は、端末装置100の機能を拡張するためのプログラムを配信する。なお、第2の実施の形態では、メッセージ送信とプログラム配信とを同一サーバが実行することとしたが、異なるサーバが実行するようにしてもよい。
【0024】
図3は、端末装置を示すブロック図である。端末装置100は、無線部111,112、制御部113、音声信号処理部114、ディスプレイ115、キーパッド116、メモリ117、スピーカ118およびマイクロホン119を有する。
【0025】
無線部111は、無線LANの規格に従って、アクセスポイント210と無線通信を行う。無線部111は、第1の実施の形態の無線部11の一例である。無線部112は、移動無線通信の規格に従って、基地局220と無線通信を行う。無線部112は、第1の実施の形態の無線部12の一例である。無線部111,112は、例えば、受信信号をダウンコンバートし、復調・誤り訂正復号を行って、抽出したデータを制御部113に出力する。また、制御部113から取得するデータを誤り訂正符号化・変調し、無線信号にアップコンバートしてアンテナから出力する。
【0026】
制御部113は、無線通信や画面表示などの端末装置100の動作を制御する。制御部113は、第1の実施の形態の制御部13の一例である。制御部113は、CPU(Central Processing Unit)113aおよびRAM(Random Access Memory)113bを有する。CPU113aは、メモリ117に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部を読み出してRAM113bに展開しプログラムを実行する。RAM113bは、CPU113aが読み出したプログラムやデータを一時的に記憶する揮発性メモリである。制御部113は、待ち受け状態では、アプリケーションプログラムの実行を停止する。
【0027】
音声信号処理部114は、制御部113の制御のもと、音声信号処理を行う。音声信号処理部114は、制御部113から取得するデジタルの音声データを処理し、音声信号をスピーカ118に出力する。また、マイクロホン119から取得する音声信号を処理し、デジタルの音声データとして制御部113に出力する。
【0028】
ディスプレイ115は、制御部113から取得する画像信号に従って、操作画面を表示する。ディスプレイ115として、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを用いることができる。キーパッド116は、複数の入力キーを備えている。キーパッド116は、ユーザにより何れかの入力キーが押下されると、押下された入力キーを示す入力信号を制御部113に出力する。なお、端末装置100は、ディスプレイ115に対するタッチ操作を検出するタッチパネルを備えてもよい。
【0029】
メモリ117は、OS(Operating System)プログラムやアプリケーションプログラムなどのプログラム、および、制御部113の処理に用いられるデータを記憶する不揮発性メモリである。メモリ117として、例えば、フラッシュメモリを用いることができる。記憶されるプログラムには、待ち受け時の無線通信の方法を制御するための通信制御プログラムが含まれる。制御部113は、制御サーバ300が配信するプログラムを取得してメモリ117に格納することで、端末装置100の機能を拡張することも可能である。
【0030】
スピーカ118は、音声信号処理部114から取得する音声信号としての電気信号を物理振動に変換して音を再生する。例えば、ユーザが通話を行っているとき、通話相手の声や背景雑音がスピーカ118から出力される。マイクロホン119は、音の物理振動を電気信号に変換することで音声入力を受け付け、音声信号としての電気信号を音声信号処理部114に出力する。例えば、ユーザが通話を行っているとき、ユーザの声や背景雑音がマイクロホン119から入力される。
【0031】
図4は、制御サーバを示すブロック図である。制御サーバ300は、CPU311、RAM312、HDD(Hard Disk Drive)313、画像信号処理部314、入力信号処理部315、ディスクドライブ316および通信部317を有する。上記ユニットは、制御サーバ300内でバスに接続されている。
【0032】
CPU311は、HDD313に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部を読み出してRAM312に展開しプログラムを実行する。RAM312は、CPU311が読み出したプログラムやデータを一時的に記憶する揮発性メモリである。HDD313は、OSプログラムやアプリケーションプログラムなどのプログラム、および、CPU311の処理に用いられるデータを記憶する。HDD313は、内蔵の磁気ディスクに対し読み書きを行う。なお、他の種類の不揮発性記憶装置を制御サーバ300に設けてもよい。
【0033】
画像信号処理部314は、CPU311の命令に従って、制御サーバ300に接続されたディスプレイ321に操作画面を表示させる。ディスプレイ321として、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイを用いることができる。入力信号処理部315は、制御サーバ300に接続された入力デバイス322から入力信号を取得し、CPU311に通知する。入力デバイス322としては、例えば、マウスなどのポインティングデバイスやキーボードを用いることができる。
【0034】
ディスクドライブ316は、記録媒体323に記録されたプログラムやデータを読み取る駆動装置である。記録媒体323として、例えば、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)などの磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto-Optical disk)を用いることができる。通信部317は、IPネットワーク43に接続して有線通信を行う。例えば、通信部317は、端末装置100の接続時に通信を行い端末装置100に割り当てられたIPアドレスを取得する。また、端末装置100の待ち受け中に通信を行う場合がある。
【0035】
なお、記録媒体323に、端末装置100に実行させるプログラムを記録しておくこともできる。その場合、ディスクドライブ316は、記録媒体323に記録されたプログラムを読み込み、HDD313に格納してもよい。制御サーバ300は、例えば、HDD313に格納されたプログラムを端末装置100に配信する。
【0036】
図5は、ビーコンフレームの構造例を示す図である。図5に示すようなビーコンフレームが、アクセスポイント210から定期的(例えば、100ミリ秒毎)に送信される。ビーコンフレームは、MAC(Media Access Control)ヘッダ、フレームボディおよびFCS(Frame Check Sequence)を含む。MACヘッダは、フレームに付加されるMAC層のヘッダである。FCSは、フレームの誤り検出に用いられる検査ビットである。
【0037】
フレームボディは、ビーコンインターバル、サポートレート、DTIM(Delivery Traffic Indication Message)ピリオドなどのパラメータの値を含む。ビーコンフレームで送信されるパラメータの値は、アクセスポイント210に予め設定されている。ビーコンインターバルは、ビーコンフレームの送信間隔を示す。サポートレートは、アクセスポイント210がサポートしている伝送レートを示す。DTIMピリオドは、送信されるビーコンフレームのうち少なくとも受信すべきビーコンフレームの間隔を示す。例えば、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIMピリオド=10の場合、端末装置100は、少なくとも100ミリ秒×10=1秒に1回、ビーコンフレームを受信する。
【0038】
図6は、待ち受け時の無線通信例を示す図である。端末装置100は、待ち受け中は基地局220との無線レイヤの同期を維持するため、例えば、2.56秒毎に基地局220と無線通信を行う。更に、端末装置100は、IPアドレスの割り当てを維持するため、無線LANの接続を維持するか、または、移動通信網42を介して制御サーバ300と間欠的にデータ通信を行う(AlwaysONのデータ通信)。
【0039】
例えば、端末装置100は、無線LANの接続を解除して無線部111の動作を停止させた場合、28分毎に移動通信網42を介して制御サーバ300とデータ通信を行う(図6(A))。一方、無線LANの接続を維持する場合、アクセスポイント210から通知されるパラメータの値に応じた間隔でビーコンフレームを受信する。パラメータの値は、接続先のアクセスポイントによって異なる可能性がある(図6(B)(C))。
【0040】
図7は、待ち受け時の消費電力例を示す図である。端末装置100は、待ち受け状態を維持するためのベース電力および基地局220との同期を維持するための電力として、例えば、3.28mAを消費する。更に、端末装置100は、ビーコンフレームを受信するための電力、または、AlwaysONのデータ通信のための電力を消費する。
【0041】
例えば、端末装置100は、無線LANの接続を解除してAlwaysONのデータ通信を行う場合、平均で2.72mAを消費する(図7(A))。無線LANの接続を維持し、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=1(受信間隔が100ミリ秒)の場合、0.66mAの無線部111のベース電力と、5.06mAの受信電力とを消費する(図7(B))。無線LANの接続を維持し、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=10(受信間隔が1秒)の場合、0.66mAの無線部111のベース電力と、0.51mAの受信電力とを消費する(図7(C))。
【0042】
このように、端末装置100の消費電力が低くなる待ち受け方法は、アクセスポイント210から通知されるパラメータの値に依存する。図7の例の場合、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=1であれば、無線部111の動作を停止させた方が消費電力が低くなる。一方、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=10であれば、無線部111の動作を維持した方が消費電力が低くなる。
【0043】
図8は、DTIMと消費電力の対応例を示すグラフである。図8のグラフの横軸はアクセスポイント210から通知されるDTIM、縦軸は待ち受け中の端末装置100の平均消費電力を示している。なお、ビーコンインターバルは100ミリ秒に固定されているとする。無線LANの接続を維持する待ち受け方法の消費電力は、DTIMに反比例する。図8の例では、DTIMが3以上のとき、AlwaysONのデータ通信を行う待ち受け方法より消費電力が低くなる。一方、DTIMが2以下のときは、AlwaysONのデータ通信を行う待ち受け方法より消費電力が高くなる。
【0044】
以下、端末装置100における待ち受け時の通信方法の制御について説明する。なお、第2の実施の形態では、ビーコンインターバルが一定(例えば、ビーコンインターバル=100ミリ秒)であると想定する。よって、ビーコンフレームの受信間隔を決定するためのパラメータとして、主にDTIMを考慮する。
【0045】
図9は、第2の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。端末装置100には、制御部113がプログラムを実行することで、パラメータ検出部121、待ち受け選択部122、無線LAN接続部123および移動通信網接続部124が実現される。なお、パラメータ検出部121および待ち受け選択部122は、前述の通信制御プログラムにより実現されてもよく、無線LAN接続部123および移動通信網接続部124はOSプログラムにより実現されてもよい。
【0046】
パラメータ検出部121は、端末装置100が無線LANに接続したとき、無線部111が受信したビーコンフレームに含まれるパラメータを検出する。これにより、アクセスポイント210に設定されているDTIMの値が検出される。
【0047】
待ち受け選択部122は、パラメータ検出部121で検出されたDTIMの値とメモリ117に予め記憶されているDTIM閾値とを比較する。待ち受け選択部122は、比較結果に応じて、端末装置100が待ち受け状態になったときに無線LANの接続を維持するか解除するか決定する。
【0048】
無線LAN接続部123は、制御部113がアプリケーションプログラムを実行している状態から実行を停止した待ち受け状態に移行するとき、待ち受け選択部122の決定に従って、無線部111の動作を制御する。無線LANの接続を解除する場合、無線部111の動作を停止させる(例えば、無線部111への電力供給を停止させる)。
【0049】
移動通信網接続部124は、制御部113が待ち受け状態に移行するとき、無線LANの接続が維持されるか否かに応じて、無線部112の動作を制御する。無線LANの接続が解除される場合、メモリ117に予め記憶された周期情報が示す周期(例えば、28分)で、無線部112がAlwaysONのデータ通信を行うよう制御する。
【0050】
ここで、メモリ117に記憶されたDTIM閾値は、端末装置100を出荷する前や、通信制御プログラムを配布する前などに、端末装置100以外のコンピュータで予め算出しておいてもよい。DTIM閾値は、例えば、以下の手順により算出することができる。
【0051】
まず、式(1)に従って、AlwaysONのデータ通信を行う場合の端末装置100の平均消費電力IOFFを算出する。式(1)において、IaはAlwaysONのデータ通信を行う間の消費電力、taは1回のデータ通信の時間、Tは周期(例えば、28分)を示す。図7の例の場合IOFF=6mAである。次に、ビーコンフレームを受信する場合の端末装置100の消費電力を、DTIMの値を1から増加させて測定する。例えば、図8のプロットが示すような消費電力を測定する。そして、消費電力がIOFF未満となる最小のDTIMを、DTIM閾値とする。図8の例の場合、DTIM閾値=3となる。
【0052】
【数1】
【0053】
図10は、第2の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS11)無線部111は、無線LANに接続すると、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。
【0054】
(ステップS12)パラメータ検出部121は、ステップS11で受信したビーコンフレームに含まれるDTIMを検出する。
(ステップS13)待ち受け選択部122は、ステップS12で検出されたDTIMの値が、メモリ117に記憶されたDTIM閾値以上であるか判断する。閾値以上の場合、処理をステップS14に進める。閾値未満の場合、処理をステップS16に進める。
【0055】
(ステップS14)待ち受け選択部122は、無線LANの接続を維持した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を維持すると決定する。
(ステップS15)端末装置100が待ち受け状態に移行すると、無線部111は、DTIMから決まる間隔で、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。無線部112は、定期的(例えば、2.56秒毎)に基地局220と無線通信を行う。
【0056】
(ステップS16)待ち受け選択部122は、無線LANの接続を解除した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を停止すると決定する。
(ステップS17)端末装置100が待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンフレームの受信を停止する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。また、周期情報が示す周期(例えば、28分)で、制御サーバ300とAlwaysONのデータ通信を行う。
【0057】
端末装置100によれば、無線部111によるビーコンフレームの受信と無線部112によるAlwaysONのデータ通信のうち、待ち受け中の消費電力が低くなる方を選択することが可能となる。接続先のアクセスポイント210に設定されたDTIMが閾値以上の場合は、無線部111がビーコンフレームを受信した方が有利と判断し、DTIMが閾値より小さい場合は、無線部112がAlwaysONのデータ通信を行った方が有利と判断することができる。従って、端末装置100の消費電力が抑制される。
【0058】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態を説明する。第2の実施の形態との差異を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第3の実施の形態では、無線LANのビーコンインターバルがアクセスポイントによって異なる可能性がある場合を考える。第3の実施の形態の無線通信システムは、図2〜4に示した第2の実施の形態と同様のシステム構成によって実現できる。ただし、第3の実施の形態では、通信制御プログラムによって実現される機能が、第2の実施の形態と異なる。
【0059】
図11は、第3の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。第3の実施の形態の端末装置100aには、制御部113がプログラムを実行することで、パラメータ検出部121、待ち受け選択部122a、無線LAN接続部123、移動通信網接続部124および電力算出部125が実現される。
【0060】
待ち受け選択部122aは、パラメータ検出部121で検出されたビーコンインターバルおよびDTIMの値を、電力算出部125に通知する。そして、無線LANの接続を維持した場合の予想消費電力を電力算出部125から取得し、メモリ117に予め記憶された電力閾値と比較する。待ち受け選択部122aは、比較結果に応じて、端末装置100aが待ち受け状態になったときに無線LANの接続を維持するか解除するか決定する。
【0061】
電力算出部125は、待ち受け選択部122aから通知されたビーコンインターバルおよびDTIMの値と、メモリ117に予め記憶された電力パラメータとを用いて、無線LANの接続を維持した場合の予想消費電力を算出する。そして、算出した予想消費電力を待ち受け選択部122aに回答する。
【0062】
ここで、メモリ117に記憶された電力閾値は、端末装置100aを出荷する前や、通信制御プログラムを配布する前などに、端末装置100a以外のコンピュータで予め算出しておいてもよい。電力閾値IThは、例えば、式(2)に従って算出できる。式(2)において、IaはAlwaysONのデータ通信を行う間の消費電力、Ibは待ち受け状態を維持するためのベース電力および基地局220との同期のための電力の合計、taは1回のデータ通信の時間、Tは周期を示す。図7の例の場合、Ib=3.28mA,(Ia−Ib)×ta/T=2.72mA,ITh=6mAである。
【0063】
【数2】
【0064】
図12は、第3の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS21)無線部111は、無線LANに接続すると、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。
【0065】
(ステップS22)パラメータ検出部121は、ステップS11で受信したビーコンフレームに含まれるビーコンインターバルおよびDTIMを検出する。
(ステップS23)電力算出部125は、ステップS22で検出されたビーコンインターバル(BI)およびDTIMと、メモリ117に記憶された電力パラメータを用いて、予想消費電力を算出する。予想消費電力IONは、例えば、式(3)に従って算出する。
【0066】
式(3)において、Ibは待ち受け状態を維持ためのベース電力および基地局220との同期のための電力の合計、Iwは無線部111のベース電力、Icはビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=1の場合のビーコンフレームの受信電力を示す。図7の例の場合、Ib=3.28mA,Iw=0.66mA,Ic=5.06mAである。メモリ117に記憶される電力パラメータには、Ib,Iw,Icが含まれる。
【0067】
【数3】
【0068】
(ステップS24)待ち受け選択部122aは、ステップS23で算出された予想消費電力が、メモリ117に記憶された電力閾値以下であるか判断する。閾値以下の場合、処理をステップS25に進める。閾値を超える場合、処理をステップS27に進める。
【0069】
(ステップS25)待ち受け選択部122aは、無線LANの接続を維持した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を維持すると決定する。
(ステップS26)端末装置100aが待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンインターバルとDTIMから決まる間隔で、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。
【0070】
(ステップS27)待ち受け選択部122aは、無線LANの接続を解除した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を停止すると決定する。
(ステップS28)端末装置100aが待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンフレームの受信を停止する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。また、周期情報が示す周期で、制御サーバ300とデータ通信を行う。
【0071】
端末装置100aによれば、第2の実施の形態と同様、端末装置100aの消費電力が抑制される。また、端末装置100aによれば、アクセスポイントによってビーコンインターバルの設定が異なる場合でも、消費電力が低い待ち受け方法を選択できる。
【0072】
なお、端末装置100aは、待ち受け中にビーコンフレームの受信を継続したまま、無線LANの圏外に移動する可能性がある。そこで、制御部113は、アクセスポイント210からの受信電力が低下して無線LANの圏外に移動したことを検出すると、一定時間経過後または即時に、無線部112がAlwaysONのデータ通信を開始するよう制御してもよい。端末装置100aは、AlwaysONのデータ通信を開始することで、移動通信網42からIPアドレスが割り当てられた状態を維持でき、移動通信網42経由でプッシュ型メッセージを受信できるようになる。この待ち受け方法の切り替え制御は、第2の実施の形態の端末装置100が実行してもよい。
【0073】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態を説明する。第2および第3の実施の形態との差異を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第4の実施の形態では、待ち受け時間の長さを更に考慮して、消費電力が低くなる待ち受け方法を選択する。第4の実施の形態の無線通信システムは、図2〜4に示した第2の実施の形態と同様のシステム構成によって実現できる。ただし、第4の実施の形態では、通信制御プログラムによって実現される機能が、第2および第3の実施の形態と異なる。
【0074】
図13は、累積消費電力の変化例を示すグラフである。図13のグラフの横軸は待ち受け状態に移行してからの経過時間、縦軸は端末装置の累積消費電力を示している。なお、AlwaysONのデータ通信の周期は28分であるとする。また、待ち受け状態を維持するためのベース電力および基地局との同期を維持するための電力は無視している。
【0075】
無線LANの接続を維持する待ち受け方法では、累積消費電力は経過時間に比例する。一方、AlwaysONのデータ通信を行う待ち受け方法では、累積消費電力は28分毎に増加する。よって、平均消費電力が前者の方が低いとしても、待ち受け時間がAlwaysONの周期である28分より短いときは、後者の方が累積消費電力が低くなる。そこで、第4の実施の形態では、待ち受け時間を予測して、待ち受け方法を選択する。
【0076】
図14は、第4の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。第4の実施の形態の端末装置100bには、制御部113がプログラムを実行することで、パラメータ検出部121、待ち受け選択部122b、無線LAN接続部123、移動通信網接続部124、電力算出部125および時間測定部126が実現される。
【0077】
待ち受け選択部122bは、パラメータ検出部121で検出されたビーコンインターバルおよびDTIMの値を電力算出部125に通知する。そして、無線LANの接続を維持した場合の予想消費電力を電力算出部125から取得し、メモリ117に予め記憶された電力閾値と比較する。また、待ち受け選択部122bは、メモリ117に記憶された待ち受け時間データから、現在の曜日および時間帯に対応する平均待ち受け時間を検索する。待ち受け選択部122bは、比較結果および平均待ち受け時間に基づいて、端末装置100bが待ち受け状態になったときに無線LANの接続を維持するか解除するか決定する。
【0078】
時間測定部126は、端末装置100bが待ち受け状態へ移行したタイミングおよび待ち受け状態が解除されたタイミングを検出し、実績としての待ち受け時間を算出する。また、算出された待ち受け時間を集計し、曜日および時間帯毎の平均待ち受け時間を算出する。そして、メモリ117に記憶された待ち受け時間データを更新する。
【0079】
図15は、第4の実施の形態の時間測定を示すフローチャートである。以下、図15に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS31)時間測定部126は、制御部113がアプリケーションプログラムの実行を停止する待ち受け状態に移行することを検出したか判断する。検出した場合、処理をステップS32に進める。検出しない場合、処理をステップS33に進める。
【0080】
(ステップS32)時間測定部126は、待ち受け状態に移行する際に現在時刻を取得して、メモリ117に記憶しておく。そして、処理を終了する。
(ステップS33)時間測定部126は、制御部113が待ち受け状態を解除してアクティブ状態に移行したことを検出したか判断する。検出した場合、処理をステップS34に進める。検出しない場合、処理を終了する。
【0081】
(ステップS34)時間測定部126は、現在時刻を取得し、ステップS32でメモリ117に記憶された時刻との差分を、待ち受け時間として算出する。
(ステップS35)時間測定部126は、ステップS34で算出した待ち受け時間を、現在の曜日および時間帯に対応付けて、メモリ117に記憶された待ち受け時間データに追加する。なお、時間測定部126は、待ち受け時間データに最新のN個(Nは2以上の整数)の待ち受け時間が登録されているように、古い待ち受け時間を削除してもよい。
【0082】
(ステップS36)時間測定部126は、メモリ117に記憶された待ち受け時間データから、現在の曜日および時間帯に対応付けられている過去の待ち受け時間を取得し、当該曜日および時間帯の平均待ち受け時間を算出する。そして、待ち受け時間データに登録されている平均待ち受け時間を更新する。
【0083】
図16は、待ち受け時間テーブルの構造例を示す図である。例えば、図16に示すような待ち受け時間テーブルが、時間測定部126によって生成され、待ち受け時間データとしてメモリ117に記憶される。ただし、図16のデータ構造は一例であり、待ち受け時間データの構造はこれに限定されない。
【0084】
待ち受け時間テーブルには、曜日および時間帯と対応付けて、平均時間および時間#1〜#10が登録される。時間#1〜#10は、曜日および時間帯毎に算出された直近の10回の待ち受け時間の実績値である。新たな待ち受け時間が1つ登録されると、古い方から待ち受け時間が1つ削除される。平均時間は、時間#1〜#10の平均値である。
【0085】
図17は、第4の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。以下、図17に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS41)無線部111は、無線LANに接続すると、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。
【0086】
(ステップS42)パラメータ検出部121は、ステップS41で受信したビーコンフレームに含まれるビーコンインターバルおよびDTIMを検出する。
(ステップS43)電力算出部125は、ステップS42で検出されたビーコンインターバルおよびDTIMと、メモリ117に記憶された電力パラメータを用いて、予想消費電力を算出する。予想消費電力の算出には、例えば、前述の式(3)を用いる。
【0087】
(ステップS44)待ち受け選択部122bは、ステップS43で算出された予想消費電力が、メモリ117に記憶された電力閾値以下であるか判断する。閾値以下の場合、処理をステップS45に進める。閾値を超える場合、処理をステップS49に進める。
【0088】
(ステップS45)待ち受け選択部122bは、メモリ117に記憶された待ち受け時間データから、現在の曜日および時間帯に対応する平均待ち受け時間を検索する。
(ステップS46)待ち受け選択部122bは、ステップS45で検索された平均待ち受け時間が、周期情報が示す周期(例えば、28分)より長いか判断する。長い場合、処理をステップS47に進める。それ以外の場合、処理をステップS49に進める。
【0089】
(ステップS47)待ち受け選択部122bは、無線LANの接続を維持した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を維持すると決定する。
(ステップS48)端末装置100bが待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンインターバルとDTIMから決まる間隔で、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。
【0090】
(ステップS49)待ち受け選択部122bは、無線LANの接続を解除した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を停止すると決定する。
(ステップS50)端末装置100bが待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンフレームの受信を停止する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。また、周期情報が示す周期で、制御サーバ300とデータ通信を行う。
【0091】
端末装置100bによれば、第2および第3の実施の形態と同様、端末装置100bの消費電力が抑制される。また、端末装置100bによれば、過去の待ち受け時間の統計から予測される待ち受け時間が短い場合には、無線LANのビーコンフレームの受信を継続しない。よって、短時間の待ち受けの消費電力が抑制される。なお、第4の実施の形態では、ビーコンインターバルおよびDTIMから算出される予想消費電力と電力閾値とを比較したが、第2の実施の形態と同様に、DTIMとDTIM閾値とを比較してもよい。
【0092】
なお、前述の通り、端末装置100,100a,100bの通信制御機能は、コンピュータを用いて実現できる。その場合、端末装置100,100a,100bに実行させる処理を示す通信制御プログラムが提供される。通信制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、記録媒体323)に記録することができる。記録媒体として、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリを使用できる。磁気ディスクには、HDDおよびFDが含まれる。光ディスクには、CD、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)、DVDおよびDVD−R/RWが含まれる。
【0093】
通信制御プログラムを流通させる場合、例えば、当該プログラムを記録した可搬記録媒体が提供される。または、当該プログラムを他のコンピュータの記憶装置(例えば、制御サーバのHDD313)に格納しておき、ネットワーク経由で当該プログラムを端末装置100,100a,100bに配布することもできる。端末装置100,100a,100bは、例えば、可搬記録媒体に記録されたプログラムまたは他のコンピュータから受信したプログラムを記憶装置(例えば、メモリ117)に格納する。そして、記憶装置からプログラムを読み込んで実行する。ただし、可搬型記録媒体からプログラムを直接読み込んで実行することもできる。または、他のコンピュータからプログラムを受信する毎に逐次、受信したプログラムを実行することもできる。
【符号の説明】
【0094】
10 無線通信装置
11,12 無線部
13 制御部
21,22 無線通信網
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信装置、無線通信方法および通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話システムや無線LAN(Local Area Network)などの無線通信システムが広く利用されている。無線通信装置の中には、複数の種類の無線通信網を利用可能なものがある。例えば、移動通信網に接続して無線通信を行う無線部と無線LANに接続して無線通信を行う無線部の両方を備えた携帯電話機がある。このような無線通信装置を用いることで、場所に応じて利用する無線通信網を選択することができ、複数の種類の無線通信網それぞれの利点を享受することができる。例えば、無線LANが利用可能な場所では無線LANを利用し、それ以外の場所では移動通信網を利用することで、通信の高速性などの前者の利点と通信可能エリアの広さなどの後者の利点とを享受できる。
【0003】
なお、携帯電話通信部と無線LAN通信部を備え、電源が投入されると各無線通信部を初期化して待ち受け状態または休止状態に移行させることで、通信開始までの時間を短縮できるようにした携帯電話機が提案されている。また、アクセスポイントに設定されている省電力パラメータに基づいて、自装置が省電力状態と非省電力状態の何れの状態で動作するか判定し、判定した状態を表示部に表示する端末装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263520号公報
【特許文献2】特開2009−118160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、無線通信網には、無線通信装置に動的にIP(Internet Protocol)アドレスを割り当て、一定時間通信が行われないとIPアドレスの割り当てを解除するものがある。IPアドレスが割り当てられている状態では、無線通信装置は自装置宛てのメッセージがあると無線通信網から通知されるサービス(いわゆるプッシュ型サービス)を利用することができる。そこで、無線通信装置は、待ち受け状態でもIPアドレスの割り当てを維持するよう動作する(例えば、定期的に通信を行う)ことが考えられる。しかし、複数の種類の無線通信網を利用可能な無線通信装置の場合、複数の無線部をどの様に動作させれば、消費電力の抑制に有利になるかという問題がある。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、複数の無線通信網に接続可能な無線通信装置の消費電力を抑制することができる無線通信装置、無線通信方法および通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の無線部と第2の無線部と制御部とを有する無線通信装置が提供される。第1の無線部は、第1の無線通信網に接続するとビーコン信号を継続的に受信する。第2の無線部は、第1の無線部が第1の無線通信網に接続していないとき、第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行う。制御部は、第1の無線部がビーコン信号を受信する場合の受信間隔についてのパラメータを、第1の無線通信網の信号から検出し、検出したパラメータに基づいて、第1の無線通信網との接続を解除するか否か制御する。
【0008】
また、第1および第2の無線部を有する無線通信装置の無線通信方法が提供される。この無線通信方法では、ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを第1の無線通信網の信号から検出する。パラメータに基づいて、第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定する。第1の無線通信網との接続を維持する場合、第1の無線部がビーコン信号を継続的に受信し、第1の無線通信網との接続を解除する場合、第2の無線部が第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行う。また、上記無線通信方法をコンピュータに実行させるための通信制御プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記無線通信装置、無線通信方法および通信制御プログラムによれば、複数の無線通信網に接続可能な無線通信装置の消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態の無線通信装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態の無線通信システムを示す図である。
【図3】端末装置を示すブロック図である。
【図4】制御サーバを示すブロック図である。
【図5】ビーコンフレームの構造例を示す図である。
【図6】待ち受け時の無線通信例を示す図である。
【図7】待ち受け時の消費電力例を示す図である。
【図8】DTIMと消費電力の対応例を示すグラフである。
【図9】第2の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。
【図12】第3の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。
【図13】累積消費電力の変化例を示すグラフである。
【図14】第4の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。
【図15】第4の実施の形態の時間測定を示すフローチャートである。
【図16】待ち受け時間テーブルの構造例を示す図である。
【図17】第4の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の無線通信装置を示す図である。無線通信装置10は、無線部11(第1の無線部)、無線部12(第2の無線部)および制御部13を有する。
【0012】
無線部11は、無線通信網21(第1の無線通信網)に接続して無線通信が可能な無線通信部である。無線通信網21としては、例えば、無線LANが挙げられる。無線部11は、無線通信網21に接続すると、ビーコン信号を継続的に受信する。例えば、無線通信網21のアクセスポイントから、ビーコン信号を周期的に受信する。ビーコン信号の受信間隔は、無線通信網21から通知されるパラメータに基づいて決定される。
【0013】
無線部12は、無線通信網22(第2の無線通信網)に接続して無線通信が可能な無線通信部である。無線通信網22としては、例えば、移動通信網が挙げられる。無線部12は、無線部11が無線通信網21に接続していない場合、無線通信装置10が待ち受け状態の間、無線通信網22を介して間欠的にデータ通信を行う(当該機能を、AlwaysONと呼ぶことがある)。一方、無線部11が無線通信網21に接続している場合、待ち受け状態の間の間欠的なデータ通信は行わない。
【0014】
制御部13は、ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを、無線通信網21の信号から検出する。そして、検出したパラメータに基づいて、無線通信装置10が待ち受け状態の間、無線通信網21との接続を解除するか否か決定する。無線通信網21との接続が維持される場合、無線部11はビーコン信号を受信し、無線部12は間欠的なデータ通信を行わないことになる。一方、無線通信網21との接続が解除される場合、無線部11はビーコン信号を受信せず、無線部12は間欠的にデータ通信を行うことになる。制御部13は、例えば、ビーコン信号の受信間隔が大きくなる場合は無線通信網21との接続を維持し、受信間隔が小さくなる場合は接続を解除すると決定することが考えられる。
【0015】
なお、本出願の発明者は、待ち受け状態の間、無線LANの接続を解除する場合は移動通信網を介して間欠的にデータ通信を行い、無線LANの接続を維持する場合は当該AlwaysONのデータ通信を行わない無線通信装置があることを、製品調査により発見した。例えば、AlwaysONのデータ通信が行われることで、移動通信網から割り当てられたIPアドレスが待ち受け中に解放されることを抑制できる。ただし、無線LANから割り当てられたIPアドレスが維持されていれば、移動通信網から割り当てられたIPアドレスが解放されてもよく、AlwaysONのデータ通信を行わなくてよい。そこで、AlwaysON機能と無線LANの接続維持とを選択適用することが考えられる。
【0016】
上記の無線通信装置10は、ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを無線通信網21の信号から検出し、パラメータに基づいて、無線通信網21との接続を解除するか否か決定する。無線通信網21との接続を維持する場合、無線部11がビーコン信号を継続的に受信し、無線通信網21との接続を解除する場合、無線部12が無線通信網22を介して間欠的にデータ通信を行うよう制御する。
【0017】
無線通信装置10によれば、無線部11によるビーコン信号の受信と無線部12による間欠的なデータ通信のうち、待ち受け中の消費電力の抑制に有利な方法を選択することが可能となる。例えば、アクセスポイントに設定されたパラメータに基づいて決定されるビーコン信号の受信間隔が大きい場合は、無線部11がビーコン信号を受信した方が有利であると判断し、ビーコン信号の受信間隔が小さい場合は、無線部12が間欠的にデータ通信を行った方が有利であると判断することが可能となる。
【0018】
以下に説明する第2〜4の実施の形態では、無線LANと3G(3rd Generation)網などの移動通信網とを利用可能な端末装置の例を挙げる。ただし、第1の実施の形態で述べた無線通信網21,22は、無線LANや移動通信網に限定されない。
【0019】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態の無線通信システムを示す図である。第2の実施の形態の無線通信システムは、端末装置100、アクセスポイント210、基地局220、制御サーバ300、LAN41、移動通信網42およびIPネットワーク43を含む。
【0020】
端末装置100は、無線LANおよび移動通信網42を利用して無線通信を行うことができる無線通信装置であり、例えば、携帯電話機や携帯情報端末装置などである。端末装置100は、第1の実施の形態の無線通信装置10の一例である。端末装置100は、アクセスポイント210にアクセスして無線LANに接続し、基地局220にアクセスして移動通信網42に接続する。端末装置100は、通話やWebブラウジングなどのアプリケーション処理が行われていない待ち受け中は、省電力化が図られるように動作する。
【0021】
アクセスポイント210は、有線のLAN41に接続された無線通信装置である。アクセスポイント210は、端末装置100と無線通信を行い、端末装置100とLAN41との間でデータを転送する。アクセスポイント210は、予め設定されたパラメータを含むビーコンフレームを定期的に送信している。LAN41は、端末装置100が接続すると、端末装置100にIPアドレスを割り当てる。なお、LAN41およびアクセスポイント210は、第1の実施の形態の無線通信網21の一例である。
【0022】
基地局220は、有線の移動通信網42に接続された無線通信装置である。基地局220は、端末装置100と無線通信を行い、端末装置100と移動通信網42との間でデータを中継する。移動通信網42は、端末装置100が接続すると、端末装置100にIPアドレスを割り当てる。ただし、データ通信が一定時間行われないと、端末装置100に割り当てたIPアドレスを解放する。なお、移動通信網42および基地局220は、第1の実施の形態の無線通信網22の一例である。
【0023】
制御サーバ300は、IPネットワーク43を介してLAN41および移動通信網42と接続されたサーバコンピュータである。制御サーバ300は、LAN41または移動通信網42を介して端末装置100と通信を行い、端末装置100に割り当てられたIPアドレスを登録する。そして、登録されているIPアドレスを用いて、端末装置100へのプッシュ型メッセージの送信(例えば、電子メールの到着通知など)を行う。また、制御サーバ300は、端末装置100の機能を拡張するためのプログラムを配信する。なお、第2の実施の形態では、メッセージ送信とプログラム配信とを同一サーバが実行することとしたが、異なるサーバが実行するようにしてもよい。
【0024】
図3は、端末装置を示すブロック図である。端末装置100は、無線部111,112、制御部113、音声信号処理部114、ディスプレイ115、キーパッド116、メモリ117、スピーカ118およびマイクロホン119を有する。
【0025】
無線部111は、無線LANの規格に従って、アクセスポイント210と無線通信を行う。無線部111は、第1の実施の形態の無線部11の一例である。無線部112は、移動無線通信の規格に従って、基地局220と無線通信を行う。無線部112は、第1の実施の形態の無線部12の一例である。無線部111,112は、例えば、受信信号をダウンコンバートし、復調・誤り訂正復号を行って、抽出したデータを制御部113に出力する。また、制御部113から取得するデータを誤り訂正符号化・変調し、無線信号にアップコンバートしてアンテナから出力する。
【0026】
制御部113は、無線通信や画面表示などの端末装置100の動作を制御する。制御部113は、第1の実施の形態の制御部13の一例である。制御部113は、CPU(Central Processing Unit)113aおよびRAM(Random Access Memory)113bを有する。CPU113aは、メモリ117に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部を読み出してRAM113bに展開しプログラムを実行する。RAM113bは、CPU113aが読み出したプログラムやデータを一時的に記憶する揮発性メモリである。制御部113は、待ち受け状態では、アプリケーションプログラムの実行を停止する。
【0027】
音声信号処理部114は、制御部113の制御のもと、音声信号処理を行う。音声信号処理部114は、制御部113から取得するデジタルの音声データを処理し、音声信号をスピーカ118に出力する。また、マイクロホン119から取得する音声信号を処理し、デジタルの音声データとして制御部113に出力する。
【0028】
ディスプレイ115は、制御部113から取得する画像信号に従って、操作画面を表示する。ディスプレイ115として、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを用いることができる。キーパッド116は、複数の入力キーを備えている。キーパッド116は、ユーザにより何れかの入力キーが押下されると、押下された入力キーを示す入力信号を制御部113に出力する。なお、端末装置100は、ディスプレイ115に対するタッチ操作を検出するタッチパネルを備えてもよい。
【0029】
メモリ117は、OS(Operating System)プログラムやアプリケーションプログラムなどのプログラム、および、制御部113の処理に用いられるデータを記憶する不揮発性メモリである。メモリ117として、例えば、フラッシュメモリを用いることができる。記憶されるプログラムには、待ち受け時の無線通信の方法を制御するための通信制御プログラムが含まれる。制御部113は、制御サーバ300が配信するプログラムを取得してメモリ117に格納することで、端末装置100の機能を拡張することも可能である。
【0030】
スピーカ118は、音声信号処理部114から取得する音声信号としての電気信号を物理振動に変換して音を再生する。例えば、ユーザが通話を行っているとき、通話相手の声や背景雑音がスピーカ118から出力される。マイクロホン119は、音の物理振動を電気信号に変換することで音声入力を受け付け、音声信号としての電気信号を音声信号処理部114に出力する。例えば、ユーザが通話を行っているとき、ユーザの声や背景雑音がマイクロホン119から入力される。
【0031】
図4は、制御サーバを示すブロック図である。制御サーバ300は、CPU311、RAM312、HDD(Hard Disk Drive)313、画像信号処理部314、入力信号処理部315、ディスクドライブ316および通信部317を有する。上記ユニットは、制御サーバ300内でバスに接続されている。
【0032】
CPU311は、HDD313に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部を読み出してRAM312に展開しプログラムを実行する。RAM312は、CPU311が読み出したプログラムやデータを一時的に記憶する揮発性メモリである。HDD313は、OSプログラムやアプリケーションプログラムなどのプログラム、および、CPU311の処理に用いられるデータを記憶する。HDD313は、内蔵の磁気ディスクに対し読み書きを行う。なお、他の種類の不揮発性記憶装置を制御サーバ300に設けてもよい。
【0033】
画像信号処理部314は、CPU311の命令に従って、制御サーバ300に接続されたディスプレイ321に操作画面を表示させる。ディスプレイ321として、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイを用いることができる。入力信号処理部315は、制御サーバ300に接続された入力デバイス322から入力信号を取得し、CPU311に通知する。入力デバイス322としては、例えば、マウスなどのポインティングデバイスやキーボードを用いることができる。
【0034】
ディスクドライブ316は、記録媒体323に記録されたプログラムやデータを読み取る駆動装置である。記録媒体323として、例えば、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)などの磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto-Optical disk)を用いることができる。通信部317は、IPネットワーク43に接続して有線通信を行う。例えば、通信部317は、端末装置100の接続時に通信を行い端末装置100に割り当てられたIPアドレスを取得する。また、端末装置100の待ち受け中に通信を行う場合がある。
【0035】
なお、記録媒体323に、端末装置100に実行させるプログラムを記録しておくこともできる。その場合、ディスクドライブ316は、記録媒体323に記録されたプログラムを読み込み、HDD313に格納してもよい。制御サーバ300は、例えば、HDD313に格納されたプログラムを端末装置100に配信する。
【0036】
図5は、ビーコンフレームの構造例を示す図である。図5に示すようなビーコンフレームが、アクセスポイント210から定期的(例えば、100ミリ秒毎)に送信される。ビーコンフレームは、MAC(Media Access Control)ヘッダ、フレームボディおよびFCS(Frame Check Sequence)を含む。MACヘッダは、フレームに付加されるMAC層のヘッダである。FCSは、フレームの誤り検出に用いられる検査ビットである。
【0037】
フレームボディは、ビーコンインターバル、サポートレート、DTIM(Delivery Traffic Indication Message)ピリオドなどのパラメータの値を含む。ビーコンフレームで送信されるパラメータの値は、アクセスポイント210に予め設定されている。ビーコンインターバルは、ビーコンフレームの送信間隔を示す。サポートレートは、アクセスポイント210がサポートしている伝送レートを示す。DTIMピリオドは、送信されるビーコンフレームのうち少なくとも受信すべきビーコンフレームの間隔を示す。例えば、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIMピリオド=10の場合、端末装置100は、少なくとも100ミリ秒×10=1秒に1回、ビーコンフレームを受信する。
【0038】
図6は、待ち受け時の無線通信例を示す図である。端末装置100は、待ち受け中は基地局220との無線レイヤの同期を維持するため、例えば、2.56秒毎に基地局220と無線通信を行う。更に、端末装置100は、IPアドレスの割り当てを維持するため、無線LANの接続を維持するか、または、移動通信網42を介して制御サーバ300と間欠的にデータ通信を行う(AlwaysONのデータ通信)。
【0039】
例えば、端末装置100は、無線LANの接続を解除して無線部111の動作を停止させた場合、28分毎に移動通信網42を介して制御サーバ300とデータ通信を行う(図6(A))。一方、無線LANの接続を維持する場合、アクセスポイント210から通知されるパラメータの値に応じた間隔でビーコンフレームを受信する。パラメータの値は、接続先のアクセスポイントによって異なる可能性がある(図6(B)(C))。
【0040】
図7は、待ち受け時の消費電力例を示す図である。端末装置100は、待ち受け状態を維持するためのベース電力および基地局220との同期を維持するための電力として、例えば、3.28mAを消費する。更に、端末装置100は、ビーコンフレームを受信するための電力、または、AlwaysONのデータ通信のための電力を消費する。
【0041】
例えば、端末装置100は、無線LANの接続を解除してAlwaysONのデータ通信を行う場合、平均で2.72mAを消費する(図7(A))。無線LANの接続を維持し、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=1(受信間隔が100ミリ秒)の場合、0.66mAの無線部111のベース電力と、5.06mAの受信電力とを消費する(図7(B))。無線LANの接続を維持し、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=10(受信間隔が1秒)の場合、0.66mAの無線部111のベース電力と、0.51mAの受信電力とを消費する(図7(C))。
【0042】
このように、端末装置100の消費電力が低くなる待ち受け方法は、アクセスポイント210から通知されるパラメータの値に依存する。図7の例の場合、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=1であれば、無線部111の動作を停止させた方が消費電力が低くなる。一方、ビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=10であれば、無線部111の動作を維持した方が消費電力が低くなる。
【0043】
図8は、DTIMと消費電力の対応例を示すグラフである。図8のグラフの横軸はアクセスポイント210から通知されるDTIM、縦軸は待ち受け中の端末装置100の平均消費電力を示している。なお、ビーコンインターバルは100ミリ秒に固定されているとする。無線LANの接続を維持する待ち受け方法の消費電力は、DTIMに反比例する。図8の例では、DTIMが3以上のとき、AlwaysONのデータ通信を行う待ち受け方法より消費電力が低くなる。一方、DTIMが2以下のときは、AlwaysONのデータ通信を行う待ち受け方法より消費電力が高くなる。
【0044】
以下、端末装置100における待ち受け時の通信方法の制御について説明する。なお、第2の実施の形態では、ビーコンインターバルが一定(例えば、ビーコンインターバル=100ミリ秒)であると想定する。よって、ビーコンフレームの受信間隔を決定するためのパラメータとして、主にDTIMを考慮する。
【0045】
図9は、第2の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。端末装置100には、制御部113がプログラムを実行することで、パラメータ検出部121、待ち受け選択部122、無線LAN接続部123および移動通信網接続部124が実現される。なお、パラメータ検出部121および待ち受け選択部122は、前述の通信制御プログラムにより実現されてもよく、無線LAN接続部123および移動通信網接続部124はOSプログラムにより実現されてもよい。
【0046】
パラメータ検出部121は、端末装置100が無線LANに接続したとき、無線部111が受信したビーコンフレームに含まれるパラメータを検出する。これにより、アクセスポイント210に設定されているDTIMの値が検出される。
【0047】
待ち受け選択部122は、パラメータ検出部121で検出されたDTIMの値とメモリ117に予め記憶されているDTIM閾値とを比較する。待ち受け選択部122は、比較結果に応じて、端末装置100が待ち受け状態になったときに無線LANの接続を維持するか解除するか決定する。
【0048】
無線LAN接続部123は、制御部113がアプリケーションプログラムを実行している状態から実行を停止した待ち受け状態に移行するとき、待ち受け選択部122の決定に従って、無線部111の動作を制御する。無線LANの接続を解除する場合、無線部111の動作を停止させる(例えば、無線部111への電力供給を停止させる)。
【0049】
移動通信網接続部124は、制御部113が待ち受け状態に移行するとき、無線LANの接続が維持されるか否かに応じて、無線部112の動作を制御する。無線LANの接続が解除される場合、メモリ117に予め記憶された周期情報が示す周期(例えば、28分)で、無線部112がAlwaysONのデータ通信を行うよう制御する。
【0050】
ここで、メモリ117に記憶されたDTIM閾値は、端末装置100を出荷する前や、通信制御プログラムを配布する前などに、端末装置100以外のコンピュータで予め算出しておいてもよい。DTIM閾値は、例えば、以下の手順により算出することができる。
【0051】
まず、式(1)に従って、AlwaysONのデータ通信を行う場合の端末装置100の平均消費電力IOFFを算出する。式(1)において、IaはAlwaysONのデータ通信を行う間の消費電力、taは1回のデータ通信の時間、Tは周期(例えば、28分)を示す。図7の例の場合IOFF=6mAである。次に、ビーコンフレームを受信する場合の端末装置100の消費電力を、DTIMの値を1から増加させて測定する。例えば、図8のプロットが示すような消費電力を測定する。そして、消費電力がIOFF未満となる最小のDTIMを、DTIM閾値とする。図8の例の場合、DTIM閾値=3となる。
【0052】
【数1】
【0053】
図10は、第2の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS11)無線部111は、無線LANに接続すると、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。
【0054】
(ステップS12)パラメータ検出部121は、ステップS11で受信したビーコンフレームに含まれるDTIMを検出する。
(ステップS13)待ち受け選択部122は、ステップS12で検出されたDTIMの値が、メモリ117に記憶されたDTIM閾値以上であるか判断する。閾値以上の場合、処理をステップS14に進める。閾値未満の場合、処理をステップS16に進める。
【0055】
(ステップS14)待ち受け選択部122は、無線LANの接続を維持した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を維持すると決定する。
(ステップS15)端末装置100が待ち受け状態に移行すると、無線部111は、DTIMから決まる間隔で、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。無線部112は、定期的(例えば、2.56秒毎)に基地局220と無線通信を行う。
【0056】
(ステップS16)待ち受け選択部122は、無線LANの接続を解除した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を停止すると決定する。
(ステップS17)端末装置100が待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンフレームの受信を停止する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。また、周期情報が示す周期(例えば、28分)で、制御サーバ300とAlwaysONのデータ通信を行う。
【0057】
端末装置100によれば、無線部111によるビーコンフレームの受信と無線部112によるAlwaysONのデータ通信のうち、待ち受け中の消費電力が低くなる方を選択することが可能となる。接続先のアクセスポイント210に設定されたDTIMが閾値以上の場合は、無線部111がビーコンフレームを受信した方が有利と判断し、DTIMが閾値より小さい場合は、無線部112がAlwaysONのデータ通信を行った方が有利と判断することができる。従って、端末装置100の消費電力が抑制される。
【0058】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態を説明する。第2の実施の形態との差異を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第3の実施の形態では、無線LANのビーコンインターバルがアクセスポイントによって異なる可能性がある場合を考える。第3の実施の形態の無線通信システムは、図2〜4に示した第2の実施の形態と同様のシステム構成によって実現できる。ただし、第3の実施の形態では、通信制御プログラムによって実現される機能が、第2の実施の形態と異なる。
【0059】
図11は、第3の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。第3の実施の形態の端末装置100aには、制御部113がプログラムを実行することで、パラメータ検出部121、待ち受け選択部122a、無線LAN接続部123、移動通信網接続部124および電力算出部125が実現される。
【0060】
待ち受け選択部122aは、パラメータ検出部121で検出されたビーコンインターバルおよびDTIMの値を、電力算出部125に通知する。そして、無線LANの接続を維持した場合の予想消費電力を電力算出部125から取得し、メモリ117に予め記憶された電力閾値と比較する。待ち受け選択部122aは、比較結果に応じて、端末装置100aが待ち受け状態になったときに無線LANの接続を維持するか解除するか決定する。
【0061】
電力算出部125は、待ち受け選択部122aから通知されたビーコンインターバルおよびDTIMの値と、メモリ117に予め記憶された電力パラメータとを用いて、無線LANの接続を維持した場合の予想消費電力を算出する。そして、算出した予想消費電力を待ち受け選択部122aに回答する。
【0062】
ここで、メモリ117に記憶された電力閾値は、端末装置100aを出荷する前や、通信制御プログラムを配布する前などに、端末装置100a以外のコンピュータで予め算出しておいてもよい。電力閾値IThは、例えば、式(2)に従って算出できる。式(2)において、IaはAlwaysONのデータ通信を行う間の消費電力、Ibは待ち受け状態を維持するためのベース電力および基地局220との同期のための電力の合計、taは1回のデータ通信の時間、Tは周期を示す。図7の例の場合、Ib=3.28mA,(Ia−Ib)×ta/T=2.72mA,ITh=6mAである。
【0063】
【数2】
【0064】
図12は、第3の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS21)無線部111は、無線LANに接続すると、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。
【0065】
(ステップS22)パラメータ検出部121は、ステップS11で受信したビーコンフレームに含まれるビーコンインターバルおよびDTIMを検出する。
(ステップS23)電力算出部125は、ステップS22で検出されたビーコンインターバル(BI)およびDTIMと、メモリ117に記憶された電力パラメータを用いて、予想消費電力を算出する。予想消費電力IONは、例えば、式(3)に従って算出する。
【0066】
式(3)において、Ibは待ち受け状態を維持ためのベース電力および基地局220との同期のための電力の合計、Iwは無線部111のベース電力、Icはビーコンインターバル=100ミリ秒,DTIM=1の場合のビーコンフレームの受信電力を示す。図7の例の場合、Ib=3.28mA,Iw=0.66mA,Ic=5.06mAである。メモリ117に記憶される電力パラメータには、Ib,Iw,Icが含まれる。
【0067】
【数3】
【0068】
(ステップS24)待ち受け選択部122aは、ステップS23で算出された予想消費電力が、メモリ117に記憶された電力閾値以下であるか判断する。閾値以下の場合、処理をステップS25に進める。閾値を超える場合、処理をステップS27に進める。
【0069】
(ステップS25)待ち受け選択部122aは、無線LANの接続を維持した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を維持すると決定する。
(ステップS26)端末装置100aが待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンインターバルとDTIMから決まる間隔で、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。
【0070】
(ステップS27)待ち受け選択部122aは、無線LANの接続を解除した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を停止すると決定する。
(ステップS28)端末装置100aが待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンフレームの受信を停止する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。また、周期情報が示す周期で、制御サーバ300とデータ通信を行う。
【0071】
端末装置100aによれば、第2の実施の形態と同様、端末装置100aの消費電力が抑制される。また、端末装置100aによれば、アクセスポイントによってビーコンインターバルの設定が異なる場合でも、消費電力が低い待ち受け方法を選択できる。
【0072】
なお、端末装置100aは、待ち受け中にビーコンフレームの受信を継続したまま、無線LANの圏外に移動する可能性がある。そこで、制御部113は、アクセスポイント210からの受信電力が低下して無線LANの圏外に移動したことを検出すると、一定時間経過後または即時に、無線部112がAlwaysONのデータ通信を開始するよう制御してもよい。端末装置100aは、AlwaysONのデータ通信を開始することで、移動通信網42からIPアドレスが割り当てられた状態を維持でき、移動通信網42経由でプッシュ型メッセージを受信できるようになる。この待ち受け方法の切り替え制御は、第2の実施の形態の端末装置100が実行してもよい。
【0073】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態を説明する。第2および第3の実施の形態との差異を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第4の実施の形態では、待ち受け時間の長さを更に考慮して、消費電力が低くなる待ち受け方法を選択する。第4の実施の形態の無線通信システムは、図2〜4に示した第2の実施の形態と同様のシステム構成によって実現できる。ただし、第4の実施の形態では、通信制御プログラムによって実現される機能が、第2および第3の実施の形態と異なる。
【0074】
図13は、累積消費電力の変化例を示すグラフである。図13のグラフの横軸は待ち受け状態に移行してからの経過時間、縦軸は端末装置の累積消費電力を示している。なお、AlwaysONのデータ通信の周期は28分であるとする。また、待ち受け状態を維持するためのベース電力および基地局との同期を維持するための電力は無視している。
【0075】
無線LANの接続を維持する待ち受け方法では、累積消費電力は経過時間に比例する。一方、AlwaysONのデータ通信を行う待ち受け方法では、累積消費電力は28分毎に増加する。よって、平均消費電力が前者の方が低いとしても、待ち受け時間がAlwaysONの周期である28分より短いときは、後者の方が累積消費電力が低くなる。そこで、第4の実施の形態では、待ち受け時間を予測して、待ち受け方法を選択する。
【0076】
図14は、第4の実施の形態の端末装置の機能を示すブロック図である。第4の実施の形態の端末装置100bには、制御部113がプログラムを実行することで、パラメータ検出部121、待ち受け選択部122b、無線LAN接続部123、移動通信網接続部124、電力算出部125および時間測定部126が実現される。
【0077】
待ち受け選択部122bは、パラメータ検出部121で検出されたビーコンインターバルおよびDTIMの値を電力算出部125に通知する。そして、無線LANの接続を維持した場合の予想消費電力を電力算出部125から取得し、メモリ117に予め記憶された電力閾値と比較する。また、待ち受け選択部122bは、メモリ117に記憶された待ち受け時間データから、現在の曜日および時間帯に対応する平均待ち受け時間を検索する。待ち受け選択部122bは、比較結果および平均待ち受け時間に基づいて、端末装置100bが待ち受け状態になったときに無線LANの接続を維持するか解除するか決定する。
【0078】
時間測定部126は、端末装置100bが待ち受け状態へ移行したタイミングおよび待ち受け状態が解除されたタイミングを検出し、実績としての待ち受け時間を算出する。また、算出された待ち受け時間を集計し、曜日および時間帯毎の平均待ち受け時間を算出する。そして、メモリ117に記憶された待ち受け時間データを更新する。
【0079】
図15は、第4の実施の形態の時間測定を示すフローチャートである。以下、図15に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS31)時間測定部126は、制御部113がアプリケーションプログラムの実行を停止する待ち受け状態に移行することを検出したか判断する。検出した場合、処理をステップS32に進める。検出しない場合、処理をステップS33に進める。
【0080】
(ステップS32)時間測定部126は、待ち受け状態に移行する際に現在時刻を取得して、メモリ117に記憶しておく。そして、処理を終了する。
(ステップS33)時間測定部126は、制御部113が待ち受け状態を解除してアクティブ状態に移行したことを検出したか判断する。検出した場合、処理をステップS34に進める。検出しない場合、処理を終了する。
【0081】
(ステップS34)時間測定部126は、現在時刻を取得し、ステップS32でメモリ117に記憶された時刻との差分を、待ち受け時間として算出する。
(ステップS35)時間測定部126は、ステップS34で算出した待ち受け時間を、現在の曜日および時間帯に対応付けて、メモリ117に記憶された待ち受け時間データに追加する。なお、時間測定部126は、待ち受け時間データに最新のN個(Nは2以上の整数)の待ち受け時間が登録されているように、古い待ち受け時間を削除してもよい。
【0082】
(ステップS36)時間測定部126は、メモリ117に記憶された待ち受け時間データから、現在の曜日および時間帯に対応付けられている過去の待ち受け時間を取得し、当該曜日および時間帯の平均待ち受け時間を算出する。そして、待ち受け時間データに登録されている平均待ち受け時間を更新する。
【0083】
図16は、待ち受け時間テーブルの構造例を示す図である。例えば、図16に示すような待ち受け時間テーブルが、時間測定部126によって生成され、待ち受け時間データとしてメモリ117に記憶される。ただし、図16のデータ構造は一例であり、待ち受け時間データの構造はこれに限定されない。
【0084】
待ち受け時間テーブルには、曜日および時間帯と対応付けて、平均時間および時間#1〜#10が登録される。時間#1〜#10は、曜日および時間帯毎に算出された直近の10回の待ち受け時間の実績値である。新たな待ち受け時間が1つ登録されると、古い方から待ち受け時間が1つ削除される。平均時間は、時間#1〜#10の平均値である。
【0085】
図17は、第4の実施の形態の待ち受け制御を示すフローチャートである。以下、図17に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(ステップS41)無線部111は、無線LANに接続すると、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。
【0086】
(ステップS42)パラメータ検出部121は、ステップS41で受信したビーコンフレームに含まれるビーコンインターバルおよびDTIMを検出する。
(ステップS43)電力算出部125は、ステップS42で検出されたビーコンインターバルおよびDTIMと、メモリ117に記憶された電力パラメータを用いて、予想消費電力を算出する。予想消費電力の算出には、例えば、前述の式(3)を用いる。
【0087】
(ステップS44)待ち受け選択部122bは、ステップS43で算出された予想消費電力が、メモリ117に記憶された電力閾値以下であるか判断する。閾値以下の場合、処理をステップS45に進める。閾値を超える場合、処理をステップS49に進める。
【0088】
(ステップS45)待ち受け選択部122bは、メモリ117に記憶された待ち受け時間データから、現在の曜日および時間帯に対応する平均待ち受け時間を検索する。
(ステップS46)待ち受け選択部122bは、ステップS45で検索された平均待ち受け時間が、周期情報が示す周期(例えば、28分)より長いか判断する。長い場合、処理をステップS47に進める。それ以外の場合、処理をステップS49に進める。
【0089】
(ステップS47)待ち受け選択部122bは、無線LANの接続を維持した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を維持すると決定する。
(ステップS48)端末装置100bが待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンインターバルとDTIMから決まる間隔で、アクセスポイント210からビーコンフレームを受信する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。
【0090】
(ステップS49)待ち受け選択部122bは、無線LANの接続を解除した方が消費電力が低いと判断し、待ち受け中に無線部111の動作を停止すると決定する。
(ステップS50)端末装置100bが待ち受け状態に移行すると、無線部111は、ビーコンフレームの受信を停止する。無線部112は、定期的に基地局220と無線通信を行う。また、周期情報が示す周期で、制御サーバ300とデータ通信を行う。
【0091】
端末装置100bによれば、第2および第3の実施の形態と同様、端末装置100bの消費電力が抑制される。また、端末装置100bによれば、過去の待ち受け時間の統計から予測される待ち受け時間が短い場合には、無線LANのビーコンフレームの受信を継続しない。よって、短時間の待ち受けの消費電力が抑制される。なお、第4の実施の形態では、ビーコンインターバルおよびDTIMから算出される予想消費電力と電力閾値とを比較したが、第2の実施の形態と同様に、DTIMとDTIM閾値とを比較してもよい。
【0092】
なお、前述の通り、端末装置100,100a,100bの通信制御機能は、コンピュータを用いて実現できる。その場合、端末装置100,100a,100bに実行させる処理を示す通信制御プログラムが提供される。通信制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、記録媒体323)に記録することができる。記録媒体として、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリを使用できる。磁気ディスクには、HDDおよびFDが含まれる。光ディスクには、CD、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)、DVDおよびDVD−R/RWが含まれる。
【0093】
通信制御プログラムを流通させる場合、例えば、当該プログラムを記録した可搬記録媒体が提供される。または、当該プログラムを他のコンピュータの記憶装置(例えば、制御サーバのHDD313)に格納しておき、ネットワーク経由で当該プログラムを端末装置100,100a,100bに配布することもできる。端末装置100,100a,100bは、例えば、可搬記録媒体に記録されたプログラムまたは他のコンピュータから受信したプログラムを記憶装置(例えば、メモリ117)に格納する。そして、記憶装置からプログラムを読み込んで実行する。ただし、可搬型記録媒体からプログラムを直接読み込んで実行することもできる。または、他のコンピュータからプログラムを受信する毎に逐次、受信したプログラムを実行することもできる。
【符号の説明】
【0094】
10 無線通信装置
11,12 無線部
13 制御部
21,22 無線通信網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信網に接続するとビーコン信号を継続的に受信する第1の無線部と、
前記第1の無線部が前記第1の無線通信網に接続していないとき、第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行う第2の無線部と、
前記第1の無線部が前記ビーコン信号を受信する場合の受信間隔についてのパラメータを、前記第1の無線通信網の信号から検出し、検出した前記パラメータに基づいて、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か制御する制御部と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記パラメータの値と所定の閾値とを比較して、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記パラメータの値から前記第1の無線部が前記ビーコン信号を受信する場合の消費電力を推定し、推定した前記消費電力と所定の閾値とを比較して、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記無線通信装置が過去に待ち受け状態であった時間についてのデータをメモリに記録し、前記メモリに記録されたデータを更に参照して、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記メモリに記録されたデータによって示される平均待ち受け時間が、前記第2の無線部が間欠的にデータ通信を行う周期以下である場合は、前記第1の無線通信網との接続を解除すると決定することを特徴とする請求項4記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の無線通信網との接続を維持すると決定した後、前記無線通信装置が前記第1の無線通信網の圏外に移動したことを検出すると、前記第2の無線部が間欠的にデータ通信を行うよう制御することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項7】
第1および第2の無線部を有する無線通信装置の無線通信方法であって、
ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを第1の無線通信網の信号から検出し、
前記パラメータに基づいて、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定し、
前記第1の無線通信網との接続を維持する場合、前記第1の無線部が前記ビーコン信号を継続的に受信し、前記第1の無線通信網との接続を解除する場合、前記第2の無線部が第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行う、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
第1および第2の無線部を有する無線通信装置を制御するための通信制御プログラムであって、前記無線通信装置が有するコンピュータに、
ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを第1の無線通信網の信号から検出し、
前記パラメータに基づいて、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定し、
前記第1の無線通信網との接続を維持する場合、前記第1の無線部が前記ビーコン信号を継続的に受信し、前記第1の無線通信網との接続を解除する場合、前記第2の無線部が第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行うよう制御する、
処理を実行させることを特徴とする通信制御プログラム。
【請求項1】
第1の無線通信網に接続するとビーコン信号を継続的に受信する第1の無線部と、
前記第1の無線部が前記第1の無線通信網に接続していないとき、第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行う第2の無線部と、
前記第1の無線部が前記ビーコン信号を受信する場合の受信間隔についてのパラメータを、前記第1の無線通信網の信号から検出し、検出した前記パラメータに基づいて、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か制御する制御部と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記パラメータの値と所定の閾値とを比較して、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記パラメータの値から前記第1の無線部が前記ビーコン信号を受信する場合の消費電力を推定し、推定した前記消費電力と所定の閾値とを比較して、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記無線通信装置が過去に待ち受け状態であった時間についてのデータをメモリに記録し、前記メモリに記録されたデータを更に参照して、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記メモリに記録されたデータによって示される平均待ち受け時間が、前記第2の無線部が間欠的にデータ通信を行う周期以下である場合は、前記第1の無線通信網との接続を解除すると決定することを特徴とする請求項4記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の無線通信網との接続を維持すると決定した後、前記無線通信装置が前記第1の無線通信網の圏外に移動したことを検出すると、前記第2の無線部が間欠的にデータ通信を行うよう制御することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項7】
第1および第2の無線部を有する無線通信装置の無線通信方法であって、
ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを第1の無線通信網の信号から検出し、
前記パラメータに基づいて、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定し、
前記第1の無線通信網との接続を維持する場合、前記第1の無線部が前記ビーコン信号を継続的に受信し、前記第1の無線通信網との接続を解除する場合、前記第2の無線部が第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行う、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
第1および第2の無線部を有する無線通信装置を制御するための通信制御プログラムであって、前記無線通信装置が有するコンピュータに、
ビーコン信号の受信間隔についてのパラメータを第1の無線通信網の信号から検出し、
前記パラメータに基づいて、前記第1の無線通信網との接続を解除するか否か決定し、
前記第1の無線通信網との接続を維持する場合、前記第1の無線部が前記ビーコン信号を継続的に受信し、前記第1の無線通信網との接続を解除する場合、前記第2の無線部が第2の無線通信網を介して間欠的にデータ通信を行うよう制御する、
処理を実行させることを特徴とする通信制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−151657(P2012−151657A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8758(P2011−8758)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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