説明

無線通信装置と無線通信システム

【課題】電磁誘導方式を用いたデータ通信とともに、このデータ通信よりも高速なデータ通信を可能とする。
【解決手段】第1データ通信部11は電磁誘導方式で通信を行い、第2データ通信部12は、例えば電磁誘導方式と異なる方式として、電波方式であるバックスキャッタ方式で通信を行う。第1データ通信部11は、キャリア信号を送信して、相手先の無線通信装置と電磁誘導方式で通信を可能とする。第2データ通信部12で通信を開始するとき、第1データ通信部11から送信許可要求を相手先の無線通信装置に送信して、相手先の無線通信装置から無変調キャリア信号を放射させる。第2データ通信部12は、相手先の無線通信装置から放射された無変調キャリア信号を受信して、送信するデータに基づいて変調された反射波信号を送信することで高速通信を行う。高速通信の完了通知が第1データ通信部で受信されたとき、キャリア信号の送信を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信装置と通信システムに関する。詳しくは、電磁誘導方式で通信を行うデータ通信部と、このデータ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて高速に通信を行うデータ通信部を用いて、電磁誘導方式を用いたデータ通信とともに、このデータ通信よりも高速なデータ通信を行えるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触型の通信システム例えば非接触型のIC(Integrated Circuit)カードシステムは、ICカードと、当該ICカードからの情報の読み出しを行う無線通信装置で構成されており、近距離(例えば30cm以内)のデータ通信が可能とされている。
【0003】
このICカードシステムでは、特許文献1に記載されているように、ICカードを無線通信装置に近接させたとき、無線通信装置が発生する電磁波を用いた電磁誘導方式によってICカードに対する電力供給が行われる。また、ICカードおよび無線通信装置はアンテナコイルをそれぞれ有しており、このアンテナコイル同士が近接することにより、電磁結合した状態でデータ通信が実行される。例えば、無線通信装置は、ICカードに対する読出コマンドに基づいて所定周波数のキャリア信号を変調し、変調されたキャリア信号に応じてアンテナコイルに電圧が印加することで電磁波を発生させる。このとき、ICカードでは、この電磁波によってアンテナコイルに生じた電流の変化から読出コマンドを得ることができる。また、ICカードは、読出コマンドに応じたデータを記憶部から読み出して、このデータに基づいて負荷となる抵抗または容量を変化させてアンテナコイルから発生する反磁界を変化させる。このとき、無線通信装置では、反磁界によってアンテナコイルに生じた電圧値の変化を検出することで、ICカードから送信されたデータを得ることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2008−35104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電磁誘導方式を用いた通信システムでは、キャリア信号の周波数が13.56MHzで、通信速度が106Kbpsや212Kbpsとされている。このため、画像等のコンテンツのようにデータ量が多いコンテンツを伝送する場合、リアルタイムでコンテンツを再生することができない。
【0006】
そこで、この発明では、電磁誘導方式を用いたデータ通信とともに、このデータ通信よりも高速なデータ通信を可能とした無線通信装置と無線通信システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の側面は、電磁誘導方式で通信を行う第1データ通信部と、前記第1データ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて前記第1データ通信部よりも高速な通信を行う第2データ通信部と、前記第1データ通信部と前記第2データ通信部の通信動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第1データ通信部からキャリア信号の送信中に前記第2データ通信部を用いて通信を行う無線通信装置にある。
【0008】
この発明において、第1データ通信部は電磁誘導方式で通信を行い、第2データ通信部は、例えば電磁誘導方式と異なる方式として、電波方式であるバックスキャッタ方式で通信を行う。第1データ通信部は、キャリア信号を送信して、相手先の無線通信装置と電磁誘導方式で通信を可能とする。第2データ通信部で通信を開始するとき、第1データ通信部から送信許可要求を相手先の無線通信装置に送信して、相手先の無線通信装置から無変調キャリア信号を放射させる。第2データ通信部は、相手先の無線通信装置から放射された無変調キャリア信号を受信して、送信するデータに基づいて変調された反射波信号を送信することで通信を行う。
【0009】
この発明の第2の側面は、電磁誘導方式で通信を行う第3データ通信部と、前記第3データ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて前記第3データ通信部よりも高速な通信を行う第4データ通信部と、前記第3データ通信部と前記第4データ通信部の通信動作を制御する制御部と、前記電磁誘導方式で送信されたキャリア信号を受信して、該キャリア信号から電力を生成して電力供給を行う電力生成部とを備え、前記制御部は、前記第3データ通信部でキャリア信号の受信中に前記第4データ通信部を用いて通信を行う無線通信装置にある。
【0010】
この発明において、第3データ通信部は電磁誘導方式で通信を行い、第4データ通信部は、例えば電磁誘導方式と異なる方式として、電波方式であるバックスキャッタ方式で通信を行う。電力生成部は、第3データ通信部で受信したキャリア信号から電力を生成して例えば第3データ通信部や第4データ通信部および制御部に対して電力供給を行う。また、第3データ通信部で送信開始要求を受信したとき、第4データ通信部は無変調キャリア信号を放射する。また、第4データ通信部は変調された反射波信号を受信して受信データを生成する。
【0011】
この発明の第3の側面は、第1の無線通信装置に、電磁誘導方式で通信を行う第1データ通信部と、前記第1データ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて前記第1データ通信部よりも高速な通信を行う第2データ通信部と、前記第1データ通信部と前記第2データ通信部の通信動作を制御する制御部とを設け、第2の無線通信装置に、電磁誘導方式で通信を行う第3データ通信部と、前記第3データ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて前記第3データ通信部よりも高速な通信を行う第4データ通信部と、前記第3データ通信部と前記第4データ通信部の通信動作を制御する制御部と、前記第1の無線通信装置の第1データ通信部で送信されたキャリア信号を受信して、該キャリア信号から電力を生成して電力供給を行う電力生成部とを設けるものとし、前記第1の無線通信装置の制御部は、前記第1データ通信部からキャリア信号の送信を行い、該キャリア信号の送信中に前記第1および第2の無線通信装置の制御部は、前記第2データ通信部と第4データ通信部を用いて前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置との間で通信を行う無線通信システムにある。
【0012】
この発明において、第1と第2の無線通信装置は、電磁誘導方式の通信と、例えば電磁誘導方式と異なるバックスキャッタ方式で通信を行う。第1の無線通信装置における第1データ通信部は、キャリア信号の送信を開始して、相手先の無線通信装置と電磁誘導方式で通信を可能とする。第2の無線通信装置の電力生成部は、第3データ通信部で受信したキャリア信号から電力を生成して例えば第3データ通信部や第4データ通信部および制御部に対して電力供給を行う。第1の無線通信装置は、第2データ通信部で通信を開始するとき、第1データ通信部から送信許可要求を送信する。第2の無線通信装置は、第3データ通信部で送信開始要求を受信したとき、第4データ通信部から無変調キャリア信号を放射する。第1の無線通信装置の第2データ通信部は、第2の無線通信装置から放射された無変調キャリア信号を受信して、送信するデータに基づいて変調された反射波信号を送信する。第2の無線通信装置の第4データ通信部は、第2データ通信部で変調された反射波信号を受信して受信データを得る。このように第2データ通信部と第4データ通信部によって高速通信を行う。その後、高速通信の完了通知が第3データ通信部から第1データ通信部に送信されたとき、第1データ通信部はキャリア信号の送信を終了する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、電磁誘導方式で通信を行うデータ通信部と、このデータ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて高速に通信を行う高速データ通信部と、制御部が設けられて、制御部によって、データ通信部からキャリア信号の送信中に高速データ通信部を用いて通信が行われる。このため、電磁誘導方式を用いたデータ通信とともに、このデータ通信よりも高速なデータ通信を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、この発明の実施の一形態について説明する。この発明の無線通信装置は、電磁誘導方式を用いて近距離非接触通信を行うデータ通信部と、このデータ通信部とは異なる方式および/または通信周波数帯域を用いることでさらに高速な近距離非接触通信を行うデータ通信部を有している。
【0015】
電磁誘導方式を用いて通信を行うデータ通信部(以下「低速データ通信部」という)は、例えば13.56MHzの周波数であるキャリア信号をASK(Amplitude Shift Keying)変調して通信を行う。また、低速データ通信部よりも高速な近距離非接触通信を行うデータ通信部(以下「高速データ通信部」という)では、例えば電波方式を用いて高速通信を行う。電波方式としては、例えば4.48GHzの通信周波数帯域を用いる微弱UWB(Ultra Wide Band)と呼ばれる通信方式、低消費電力化が可能なバックスキャッタ方式等を用いて通信を行う。また、電磁誘導方式でベースバンド広帯域通信を行う。さらに、波形等化高速通信等を用いるものとしてもよい。
【0016】
図1は、送信側の無線通信装置10の構成を示している。なお、無線通信装置10の構成は、高速データ通信部として電波方式を用いた場合である。
【0017】
無線通信装置10において、低速データ通信部(第1データ通信部)11は、アンテナ111、第1RFフロントエンド部112、第1変復調部113、第1符号復号化部114を有している。
【0018】
アンテナ111は、電磁誘導方式を用いて非接触通信号を行うためのアンテナであり、アンテナコイルを用いて構成されている。このアンテナ111は、第1RFフロントエンド部112から供給された変調キャリア信号あるいは無変調キャリア信号である送信信号に応じた磁界を発生する。また、アンテナ111は、受信側の無線通信装置のアンテナと電磁結合されて、受信側の無線通信装置によって変調されたキャリア信号を受信信号として第1RFフロントエンド部112に供給する。
【0019】
第1RFフロントエンド部112は、第1変復調部113から供給された送信信号を増幅してアンテナ111に供給する。また、第1RFフロントエンド部112は、アンテナ111から供給された受信信号のノイズを除去したのち増幅して第1変復調部113に供給する。
【0020】
第1変復調部113は、第1符号復号化部114から供給された符号化データに基づきキャリア信号の変調を行い、変調キャリア信号を送信信号として第1RFフロントエンド部112に供給する。また、第1変復調部113は、第1RFフロントエンド部112から供給された受信信号の復調を行い、得られた復調データを第1符号復号化部114に供給する。この第1変復調部113では、例えばASK変復調を行う。
【0021】
第1符号復号化部114は、システムコントローラ15から供給された送信データの符号化処理を行い、符号化データを生成して第1変復調部113に供給する。また、第1符号復号化部114は、第1変復調部113から供給された復調データの復号化処理を行い、得られた復号データを受信データとして、システムコントローラ15に供給する。この第1符号復号化部114では、符号復号化方式としてマンチェスタ方式を用いる。
【0022】
高速データ通信部(第2データ通信部)12は、電波方式を用いて低速データ通信部11よりも高速に通信を行うものである。高速データ通信部12は、アンテナ121、第2RFフロントエンド部122、第2変復調部123、第2符号復号化部124を有している。
【0023】
アンテナ121は、電波方式を用いて非接触通信号を行うためのアンテナである。例えば無線通信装置10でUWB方式を用いる場合、アンテナ121は、第2RFフロントエンド部122から供給された送信信号を無線信号(電波)として送信する。また、アンテナ121は、無線信号を受信して得られた受信信号を第2RFフロントエンド部122に供給する。また、例えば無線通信装置10でバックスキャッタ方式を用いる場合、アンテナ121は、受信側の無線通信装置から放射された無線信号を受信して、送信信号に応じて位相を切り替えて反射する。
【0024】
第2RFフロントエンド部122は、第2変復調部123から供給された送信信号を増幅してアンテナ121に供給する。また、第2RFフロントエンド部122は、アンテナ121から供給された受信信号のノイズを除去したのち増幅して第2変復調部123に供給する。また、バックスキャッタ方式を用いる場合、第2RFフロントエンド部122は、アンテナ121で受信した無線信号を、第2変復調部123から供給された送信信号に基づき位相を切り替えてアンテナ121から反射させる。
【0025】
第2変復調部123は、第2符号復号化部124から供給された符号化データの変調を行い、送信信号を生成して第2RFフロントエンド部122に供給する。また、第2変復調部123は、第2RFフロントエンド部122から供給された受信信号の復調を行い、得られた復調データを第2符号復号化部124に供給する。この第2変復調部123では、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変復調等を行う。
【0026】
第2符号復号化部124は、システムコントローラ15から供給された送信データの符号化処理を行い、符号化データを生成して第2変復調部123に供給する。また、第2符号復号化部124は、第2変復調部123から供給された復調データの復号化処理を行い、得られた復号データを受信データとしてシステムコントローラ15に供給する。この第2符号復号化部124では、符号復号化方式としてNRZ−L(Non Return to Zero-Level)方式を用いる。
【0027】
無線通信装置10の制御部を構成するシステムコントローラ15は、バス14を介して第1符号復号化部114と第2符号復号化部124に接続されている。また、システムコントローラ15は、ホストインタフェース(I/F)16を介して、ホストCPU(Central Processing Unit)20と接続されている。また、システムコントローラ15には、FIFO(First In First Out)/レジスタ部15aが設けられている。なお制御部は、システムコントローラ15やホストCPU20等で構成されている。
【0028】
システムコントローラ15は、ホストインタフェース16を介してホストCPU20から供給された通信設定情報をFIFO/レジスタ部15aのレジスタに書き込む。システムコントローラ15は、FIFO/レジスタ部15aのレジスタに書き込まれた通信設定情報に基づき送信方法や伝送レート等を決定して、高速データ通信部を用いたデータ通信を行うための通信制御コマンド等を生成して第1符号復号化部114に供給する。また、システムコントローラ15は、ホストインタフェース16を介してホストCPU20から供給された伝送データをFIFO/レジスタ部15aのFIFOに書き込む。システムコントローラ15は、FIFOに書き込まれた伝送データを第2符号復号化部124に供給する。
【0029】
ホストCPU20は、ネットワークインタフェース(I/F)21を介して、外部のサーバ等と接続可能とされており、サーバからコンテンツデータ等の取得を行う。またシステムコントローラ15を制御して、取得したコンテンツデータ等を受信側の無線通信装置に送信する処理等を行わせる。
【0030】
図2は、受信側の無線通信装置30の構成を示している。なお、無線通信装置30の構成は、上述の無線通信装置10に対応させて高速データ通信部として電波方式を用いるものとする。
【0031】
無線通信装置30において、低速データ通信部(第3データ通信部)31は、アンテナ311、第1RFフロントエンド部312、第1変復調部313、第1符号復号化部314を有している。
【0032】
アンテナ311は、電磁誘導方式を用いて非接触通信号を行うためのアンテナであり、アンテナコイルを用いて構成されている。アンテナ311は、送信側の無線通信装置のアンテナと電磁結合されて、電磁結合によって生じた受信信号を第1RFフロントエンド部312と電力生成部33に供給する。
【0033】
第1RFフロントエンド部312は、アンテナ311を用いて、送信側の無線通信装置から送信された無変調キャリア信号を、第1変復調部313から供給された送信信号に応じて変調する。また、第1RFフロントエンド部312は、アンテナ311から供給された受信信号のノイズを除去したのち増幅して第1変復調部313とキャリア検出部34に供給する。
【0034】
第1変復調部313は、第1符号復号化部314から供給された符号化データの変調処理を行い、送信信号を生成して第1RFフロントエンド部312に供給する。また、第1変復調部313は、第1RFフロントエンド部312から供給された受信信号の復調を行い、得られた復調データを第1符号復号化部314に供給する。この第1変復調部313は、送信側の無線通信装置に対応して例えばASK変復調を行う。
【0035】
第1符号復号化部314は、制御部35から供給された送信データの符号化処理を行い、符号化データを生成して第1変復調部313に供給する。また、第1符号復号化部314は、第1変復調部313から供給された復調データの復号化処理を行い、得られた復号データを受信データとして、制御部35に供給する。この第1符号復号化部314では、送信側の無線通信装置に対応して、マンチェスタ方式の符号復号化処理を行う。
【0036】
高速データ通信部(第4データ通信部)32は、電波方式を用いて低速データ通信部31よりも高速に通信を行うものである。高速データ通信部32は、アンテナ321、第2RFフロントエンド部322、第2変復調部323、第2符号復号化部324を有している。
【0037】
アンテナ321は、電波方式を用いて非接触通信号を行うためのアンテナである。例えば無線通信装置30で微弱UWB方式を用いる場合、アンテナ321は、第2RFフロントエンド部322から供給された送信信号を無線信号(電波)として送信する。また、アンテナ321は、無線信号を受信して得られた受信信号を、第2RFフロントエンド部322に供給する。また、例えば無線通信装置30でバックスキャッタ方式を用いる場合、アンテナ321は、送信側の無線通信装置からデータを送信できるように無変調キャリア信号を無線信号(電波)として放射する。さらに、アンテナ321は、送信側の無線通信装置で反射された無線信号である反射波信号の受信を行い、反射波信号を受信して得られた受信信号を第2RFフロントエンド部322に供給する。
【0038】
第2RFフロントエンド部322は、第2変復調部323から供給された送信信号をアンテナ321に供給する。また、第2RFフロントエンド部322は、アンテナ321から供給された受信信号のノイズを除去したのち増幅して第2変復調部323に供給する。
【0039】
第2変復調部323は、第2符号復号化部324から供給された符号化データの変調を行い、送信信号を生成して第2RFフロントエンド部322に供給する。また、第2変復調部323は、第2RFフロントエンド部122から供給された受信信号の復調を行い、得られた復調データを第2符号復号化部324に供給する。また、バックスキャッタ方式を用いる場合、第2変復調部323は、送信側の無線通信装置からデータを送信できるように、無変調キャリア信号を送信信号として第2RFフロントエンド部322に供給する。この第2変復調部323では、送信側の無線通信装置に対応して例えばQPSK変復調等を行う。
【0040】
第2符号復号化部324は、制御部35から供給された送信データの符号化処理を行い、符号化データを生成して第2変復調部323に供給する。また、第2符号復号化部324は、第2変復調部323から供給された復調データの復号化処理を行い、得られた復号データを受信データとして制御部35に供給する。この第2符号復号化部324では、送信側の無線通信装置に対応して例えばNRZーL方式を用いる。
【0041】
電力生成部33は、アンテナ311から供給された受信信号を整流して電力生成を行い、無線通信装置30の各部に供給して、無線通信装置30を動作させる。
【0042】
キャリア検出部34は、第1RFフロントエンド部312からキャリア信号が供給されているか否か、および第2RFフロントエンド部322からキャリア信号が供給されているか否かを検出して、検出結果を制御部35に供給する。
【0043】
制御部35は、キャリア検出結果に応じて低速データ通信部31と高速データ通信部32の動作を制御する。例えば、制御部55は、送信側の無線通信装置10から要求された情報を不揮発性メモリ部36から読み出して、低速データ通信部31から送信する処理を行う。また、制御部35は、高速データ通信部32を用いて送信側の無線通信装置10からコンテンツデータ等を取得する。さらに制御部35は、取得したコンテンツデータ等をコンテンツ再生部37に供給することで、コンテンツデータの再生等をコンテンツ再生部37によって行わせる。
【0044】
次に、図3を用いて送信側と無線通信装置と受信側の無線通信装置の通信動作について説明する。なお、以下の説明では、バックスキャッタ方式を用いて高速通信を行うものとする。
【0045】
送信側の無線通信装置10は、受信側の無線通信装置30に対して高速でデータ通信を行う場合、電磁誘導方式で受信側の無線通信装置30に対して送信許可の要求を行う(ST1)。
【0046】
無線通信装置10のホストCPU20は、コンテンツデータ等を無線通信装置30に送信する際に通信制御情報をFIFO/レジスタ部15aのレジスタに書き込む。システムコントローラ15は、FIFO/レジスタ部15aのレジスタに書き込まれた通信制御情報に基づき、低速データ通信部11の動作を開始して、送信許可の要求を示す変調キャリア信号を送信信号としてアンテナ111から送信させる。また、ホストCPU20は、データ送信を行わないときでも、受信完了通知が無線通信装置30から供給されるまで無変調キャリア信号を送信信号としてアンテナ111に供給して、電磁誘導方式の近距離非接触通信を行えるようにしておく。なお、期間TDaは、電磁誘導方式の近距離非接触通信が可能な期間を示している。
【0047】
無線通信装置30のアンテナ311で受信信号すなわち無変調キャリア信号や変調キャリア信号が得られると、電力生成部33はキャリア信号を整流して電力の生成を行い、生成した電力を各部に供給して無線通信装置30の低速データ通信部31やキャリア検出部34および制御部35を動作させる。低速データ通信部31は、受信した変調キャリア信号の復調や、復調データの復号化を行い、得られた受信データを制御部35に供給する。すなわち、無線通信装置10から送信された送信許可の要求が制御部35に供給されることになる。
【0048】
受信側の無線通信装置30は、高速データ通信部を用いた通信を許可するとき、送信許可の応答を行う(ST2)。
【0049】
無線通信装置30の制御部35は、高速データ通信部を用いた通信を許可するとき、送信許可の応答を生成して、低速データ通信部31に供給する。低速データ通信部31は、送信許可の応答を示す送信データの符号化や変調を行い、送信信号を生成する。また、低速データ通信部31は、送信側の無線通信装置から送信されている無変調キャリア信号を送信信号に応じて変調する。
【0050】
無線通信装置10の低速データ通信部11は、受信側の無線通信装置30で変調されたキャリア信号の復調や復号化を行い、得られた受信データをシステムコントローラ15に供給する。すなわち、無線通信装置30から送信された送信許可の応答がシステムコントローラ15に供給されることになる。
【0051】
無線通信装置10のシステムコントローラ15は、無線通信装置30から送信許可の応答が供給されたことから、通信制御情報の通知を行う(ST3)。
【0052】
無線通信装置10のシステムコントローラ15は、FIFO/レジスタ部15aのレジスタに書き込まれた通信制御情報を読み出して低速データ通信部11に供給する。
【0053】
図4は、FIFO/レジスタ部15aのレジスタに書き込まれている通信制御情報を例示したものである。例えばレジスタ「0x12」は送信モードを示すレジスタとされており、高速データ通信部を用いて通信を行うときの伝送速度やデータ形式を示す情報が、ホストCPU20によって書き込まれる。
【0054】
レジスタ「0x12」の最上位ビット「7」の「TxCRCEn」は、データ送信時にCRC生成を行うか否かを示している。ビット「6〜3」の「TxSpeed」は、伝送速度を示している。例えばビット「6〜3」が「0000」であるときは106kbit/s、「0001」であるときは212kbit/s等である。ビット「2」は「TBD(To Be Determined)」であり、現在未定のビットである。ビット「1,0」の「TxFraming」は、どのようなデータ形式を用いるが示されている。例えば「00」はMIFARE(商標)の規格に準拠したデータ形式、「10」はFelica(商標)の規格に準拠したデータ形式であることが示される。
【0055】
無線通信装置10の低速データ通信部11は、通信制御情報の符号化や変調を行い、通信制御情報を示す変調キャリア信号を生成してアンテナ111から送信する。無線通信装置30の低速データ通信部31は、アンテナ111から送信された変調キャリア信号を受信して、変調キャリア信号の復調や復号化を行い、得られた受信データを制御部35に供給する。すなわち、無線通信装置10から送信された通信制御情報が制御部35に供給されることになる。
【0056】
無線通信装置30の制御部35は、通信制御情報に基づき高速データ通信部を用いたデータ通信の設定を行い、無線通信装置10との高速データ通信を行うことができるように、高速データ通信部32のアンテナ321から無線信号として、無変調キャリア信号を放射させる(ST4)。なお、通信制御情報に、データサイズを示す情報を含めるものとすれば、この通信制御情報で示されたサイズのデータ受信が完了したとき、高速データ通信部を用いたデータ通信動作を終了させることができる。
【0057】
無線通信装置30の制御部35は、通信制御情報で示された伝送速度および形式で無線通信装置10とデータ通信を行うことができるように、高速データ通信部32の動作制御を行う。また、制御部35は、無線通信装置10との高速データ通信を行うことができるように、例えば2.45GHzの無変調キャリア信号をアンテナ321から放射させる。
【0058】
無線通信装置10の高速データ通信部12は、無線通信装置30から放射された無変調キャリア信号を利用してデータ送信を行う(ST5)。
【0059】
無線通信装置10のシステムコントローラ15は、ホストCPU20から供給された高速通信データをFIFO/レジスタ部15aのFIFOに順次書き込む。また、システムコントローラ15は、FIFOに書き込まれた高速通信データを順次読み出して、送信データとして高速データ通信部12に供給する。高速データ通信部12は、送信データの符号化や変調を行うことで生成された送信信号に基づき、無線通信装置30から放射された無変調キャリア信号の位相を切り替えて反射する。
【0060】
無線通信装置30の高速データ通信部32は、無線通信装置10からの反射波信号を受信する。また、高速データ通信部32は、反射波信号を受信して得られた受信信号の復調や復号化を行い、得られた受信データを制御部35に供給する。制御部35は、受信データを例えば不揮発性メモリ部36に記憶させる。また、受信データが例えばコンテンツデータであり、受信したコンテンツの再生を行う場合、制御部35は、受信データをコンテンツ再生部37に供給する。
【0061】
無線通信装置30は、受信できなかったデータが生じたときに無線通信装置10に対してデータの再送要求を行う。また、無線通信装置30は、予め通知されたサイズの受信データが得られたとき、無線通信装置10に対して受信完了通知を行う(ST6)。
【0062】
無線通信装置30の制御部35は、受信できなかったデータが生じたとき、この受信できなかったデータの再送要求を低速データ通信部31に供給する。また、制御部35は、データ受信が完了したとき、受信完了通知を低速データ通信部31に供給する。低速データ通信部31は、再送要求や受信完了通知を示す送信データの符号化や変調を行い、送信信号を生成する。また、低速データ通信部31は、送信側の無線通信装置からの無変調キャリア信号を送信信号に応じて変調する。さらに、制御部35は、データ受信が完了したとき、高速データ通信部32の動作を終了して無変調キャリア信号の放射を停止させる。
【0063】
無線通信装置10の低速データ通信部11は、受信側の無線通信装置30で変調されたキャリア信号の復調や復号化を行い、得られた受信データをシステムコントローラ15からホストCPU20に供給する。すなわち、無線通信装置30から送信された再送要求や受信完了通知がホストCPU20に供給されることになる。
【0064】
無線通信装置10のホストCPU20は、再送要求が供給されたとき、無線通信装置30で受信できなかったデータを高速データ通信部12に供給して再送する。また、ホストCPU20は、受信完了通知が供給されたとき、低速データ通信部11の動作を終了させて、アンテナ111への無変調キャリア信号の供給を停止させる。なお、データの再送処理や無変調キャリア信号の供給を停止させる処理の制御は、システムコントローラ15で行うものとしてもよい。
【0065】
図5は、無線通信装置間における相互通信の様子を各回路ブロックと共に示している。
【0066】
2つの無線通信装置40a,40bは、電磁誘導方式例えばFelica(商標)方式で、13.56MHzのキャリア信号を用いて近距離非接触通信を行う。この電磁誘導方式の近距離接触通信では、電磁誘導方式よりも高速である電波方式の近距離非接触通信に関する通信制御情報の通信を行う。
【0067】
電波方式としてバックスキャッタ方式を用いる場合、送信側の無線通信装置は、受信側の無線通信装置から放射された無線信号の位相を、送信信号に応じて切り替えて反射させる。例えば、無線通信装置40aは、無線通信装置40bから放射された2.45GHzの無変調キャリア信号である無線信号を、シリアルデータ生成部で生成された送信データに応じて位相変調して、QPSK変調されたキャリア信号である反射波信号を生成する。無線通信装置40bは、反射波信号を受信して得られた受信信号の復調等を行うことで、送信データと等しい復調データを得ることができる。また、無線通信装置40aから無変調キャリア信号である無線信号を放射して同様の処理を行うものとすれば、無線通信装置40bのシリアルデータ生成部で生成された送信データと等しい復調データを、無線通信装置40aで得ることができる。
【0068】
このように、電磁誘導方式を用いて近距離非接触通信を行う低速データ通信部と、この低速データ通信部とは異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて高速な近距離非接触通信を行う高速データ通信部を設けることで、低速データ通信部を用いたデータ通信だけでなく、このデータ通信よりも高速なデータ通信を行うことができる。したがって、従来のICカードのように、カードに記憶されている情報の読み出した情報の書き換え等を行えるだけでなく、楽曲や動画等のようにデータ容量の大きなコンテンツデータの通信も短時間で行うことができる。
【0069】
また、低速データ通信部からキャリア信号の送信中に高速データ通信部を用いて通信が行われるので、低速データ通信部を用いた通信とともに高速データ通信部を用いた高速通信を行うことができる。このため、低速データ通信部を用いた通信によって高速データ通信を制御することが可能となり、データ通信の最適化が可能となる。例えば高速データ通信部でバックスキャッタ方式を用いる場合、低速データ通信部を用いた通信によってバックスキャッタ方式における無変調キャリア信号の放射を制御する。このようにすれば、高速データ通信を行うときだけ、受信側の無線通信装置から無変調キャリア信号を放射させることが可能となり、不必要な電力消費を防止してデータ通信を行うことができる。
【0070】
また、低速データ通信部からキャリア信号の送信中に高速データ通信部を用いて通信が行われるので、受信側の無線通信装置で受信したキャリア信号を用いて電力生成を行うものとすれば、高速データ通信部に電力を供給する電源を設けることなく高速データ通信部を用いて通信を行うことが可能となり、安価に無線通信装置を提供できる。
【0071】
次に、送信側の無線通信装置10と受信側の無線通信装置30における通信動作の具体例について、図6と図7を用いて説明する。図6は、コンテンツの配信を行う通信システムの構成を示している。なお、コンテンツは、楽曲や動作、静止画、ユーザが所望する情報(例えば好みの店舗情報、買い物履歴、交通機関情報、目的地の地図や風景等)などである。また、以下の説明では、コンテンツが有料で提供されているものとする。
【0072】
この通信システムにおいて、無線通信装置10は、有線あるいは無線の伝送路を介してアクセスポイント50と接続されている。アクセスポイント50はネットワーク60を介してルータ70と接続されている。また、ルータ70には、有料コンテンツの利用に対して課金を行う課金サーバ80、有料コンテンツのコンテンツデータが蓄積されているコンテンツサーバ90が接続されている。
【0073】
無線通信装置10は、コンテンツサーバ90からコンテンツデータを取得して無線通信装置30に送信する。また、無線通信装置30は、プリペイド決済機能が設けられており、有料コンテンツのコンテンツデータの取得に際して生じた料金の決済を行うことができるものとする。
【0074】
図7は、有料コンテンツの配信動作を行うときの通信動作のシーケンスを示している。送信側の無線通信装置10のホストCPU20は、コンテンツ提供者からコンテンツデータを取得するため認証要求をアクセスポイント(AP)50に対して行う(ST11)。
【0075】
アクセスポイント50は、認証要求をコンテンツサーバ90に送信する(ST12)。なお、アクセスポイント50は、認証要求を安全に送信するため、情報を暗号化して送受信するプロトコルを用いる。
【0076】
コンテンツサーバ90は、供給された認証要求が正規のユーザからの要求であるか否かの判別を行い、正規のユーザに対して承認を行う(ST13)。
【0077】
アクセスポイント50は、コンテンツサーバ90によって承認がされたとき、ACKを無線通信装置10のホストCPU20に供給する(ST14)。
【0078】
ホストCPU20は、コンテンツサーバ90によって承認されたことから、コンテンツサーバ90に対するメニュー要求をアクセスポイント50に供給する(ST15)。
【0079】
アクセスポイント50は、メニュー要求をコンテンツサーバ90に転送する(ST16)。
【0080】
コンテンツサーバ90は、要求されたメニュー情報をアクセスポイント50に出力する(ST17)。
【0081】
アクセスポイント50は、供給されたメニュー情報をホストCPU20に転送する(ST18)。
【0082】
無線通信装置10のホストCPU20は、メニュー表示等を行うための送信情報を生成して低速データ通信部11に供給する(ST19)。なお、送信情報には、コンテンツの選択指示、コンテンツデータの転送速度やデータ量等を示す情報を含めるものとしてもよい。
【0083】
低速データ通信部11は、無線通信装置30の低速データ通信部31と電磁誘導方式の近距離非接触通信を行い、送信情報を無線通信装置10から無線通信装置30に供給する(ST20)。また、低速データ通信部11は、データ送信を行わないときでも、通信終了指示がホストCPU20から行われるまで無変調キャリア信号を送信信号としてアンテナ111に供給して、電磁誘導方式の近距離非接触通信を行えるようにしておく。なお、斜線で示す期間TDaは、電磁誘導方式の近距離非接触通信が可能な期間を示している。
【0084】
無線通信装置30の低速データ通信部31は、コンテンツの選択が例えばユーザによって行われたとき、この選択されたコンテンツを示すコンテンツ選択情報と、プリペイド決済機能が設けられた無線通信装置30を識別するための課金認証情報を、電磁誘導方式の近距離非接触通信によって無線通信装置10に送信する(ST21)。なお、無線通信装置30は、課金認証情報等を安全に送信するため、送信する情報の暗号化を行う。
【0085】
無線通信装置10の低速データ通信部11は、無線通信装置30から供給されたコンテンツ選択情報と課金認証情報をホストCPU20に供給する(ST22)。
【0086】
ホストCPU20は、無線通信装置30から供給されたコンテンツ選択情報と課金認証情報をアクセスポイント50に送信する(ST23)。
【0087】
アクセスポイント50は、情報を暗号化して送受信するプロトコルを用いるものとして、無線通信装置10から供給されたコンテンツ選択情報と課金認証情報を課金サーバ80に転送する(ST24)。
【0088】
課金サーバ80は、課金認証情報に基づき、プリペイド決済機能が設けられた無線通信装置30の認証を行う。また、課金サーバ80は、無線通信装置30を承認したとき、コンテンツ選択情報によって示されたコンテンツの提供に必要となる料金を示した課金情報を生成してアクセスポイント50に供給する(ST25)。
【0089】
アクセスポイント50は課金情報を無線通信装置10に供給する(ST26)。
【0090】
無線通信装置10のホストCPU20は、課金情報を低速データ通信部11に供給して、電磁誘導方式の近距離非接触通信によって無線通信装置30の低速データ通信部31に送信する(ST27,ST28)。
【0091】
無線通信装置30は、記憶している残金から課金情報で示された料金を減算して精算を行い、精算が完了したとき、精算完了通知を電磁誘導方式の近距離非接触通信によって低速データ通信部31から無線通信装置10の低速データ通信部11に送信する(ST29)。また、無線通信装置30は、精算が完了したことから、その後、電波方式の近距離非接触通信によって無線通信装置10からコンテンツデータを無線通信装置30に高速伝送できるように、高速データ通信部32から無変調キャリア信号を無線信号として放射する。なお、斜線で示す期間TDbは、無変調キャリア信号を放射して電波方式の近距離非接触通信が可能とされている期間を示している。
【0092】
無線通信装置10の低速データ通信部11は、無線通信装置30から供給された精算完了通知をホストCPU20に供給する(ST30)。
【0093】
ホストCPU20は、無線通信装置30から供給された精算完了通知をアクセスポイント50に送信する(ST31)。
【0094】
アクセスポイント50は、情報を暗号化して送受信するプロトコルを用いるものとして、無線通信装置10から供給された精算完了通知を課金サーバ80に転送する(ST32)。
【0095】
課金サーバ80は、精算完了通知が供給されたとき、コンテンツサーバ90に対して認証要求を行う(ST33)。
【0096】
コンテンツサーバ90は、供給された認証要求が正規の課金サーバからの要求であるか否かの判別を行い、正規のサーバに対して承認を行う(ST34)。
【0097】
課金サーバ80は、コンテンツサーバ90から承認されたとき、料金の精算が完了している無線通信装置10に対して、コンテンツ選択情報で示されたコンテンツデータの配信が行われるように、コンテンツ配信要求をコンテンツサーバ90に供給する(ST35)。
【0098】
コンテンツサーバ90は、コンテンツ配信要求がなされたコンテンツデータをアクセスポイント50に送信する(ST36)。なお、コンテンツサーバ90は、コンテンツデータを安全に送信するため、情報を暗号化して送受信するプロトコルを用いる。
【0099】
アクセスポイント50は、コンテンツサーバ90から供給されたコンテンツデータを無線通信装置10に転送する(ST37)。
【0100】
無線通信装置10のホストCPU20は、供給されたコンテンツデータを高速データ通信部12に供給する(ST38)。
【0101】
高速データ通信部12は、電波方式の近距離非接触通信によって無線通信装置30の低速データ通信部31にコンテンツデータを送信する(ST39)。無線通信装置30は、低速データ通信部31で受信したコンテンツデータを不揮発性メモリ部36に供給して記憶させる。あるいはコンテンツ再生部37に供給してコンテンツを再生する。
【0102】
その後、無線通信装置30は、受信できなかったデータが生じたときに、電磁誘導方式を用いた近距離非接触通信によって、低速データ通信部31からデータの再送要求を無線通信装置10の低速データ通信部11に送信する。また、無線通信装置30は、コンテンツデータの受信が完了したとき、電磁誘導方式を用いた近距離非接触通信によって、低速データ通信部31から受信完了通知を無線通信装置10の低速データ通信部11に送信する(ST40)。なお、無線通信装置30は、コンテンツデータの受信が完了したときは、低速データ通信部31からの無変調キャリア信号の放射を停止する。
【0103】
無線通信装置10の低速データ通信部11は、データの再送要求あるいは受信完了通知をホストCPU20に供給する(ST41)。ホストCPU20は、無線通信装置30から受信完了通知がなされて無線通信装置30との通信を行う必要が無くなったとき、低速データ通信部11に対して通信終了指示を行い、低速データ通信部11におけるアンテナ111への無変調キャリア信号の出力を停止させる。このようにキャリア信号の供給が停止されると、無線通信装置30の電力生成部における電力の生成が停止されて、無線通信装置30の動作が終了する。また、ホストCPU20は、再送要求がなされたとき、この再送要求を、アクセスポイント50を介してコンテンツサーバ90に供給して、受信できなかったデータをコンテンツサーバ90から取得して無線通信装置30に供給する。
【0104】
このようにすれば、上述したように高速なデータ通信やデータ通信の最適化等を行えるだけでなく、電磁誘導方式の近距離無線通信によって従来から行われている決済機能を利用して取得した有料コンテンツのコンテンツデータを、送信側の無線通信装置から受信側の無線通信装置に、近距離非接触通信で高速に送信することができるようになる。
【0105】
なお、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定して解釈されるべきではない。この発明の実施の形態は、例示という形態で本発明を開示したものであり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施の形態の修正や代用をなし得ることは自明である。すなわち、本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0106】
この発明の無線通信装置と無線通信システムによれば、電磁誘導方式で通信を行うデータ通信部と、このデータ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて高速に通信を行うデータ通信部を用いて、電磁誘導方式を用いたデータ通信とともに、このデータ通信よりも高速なデータ通信を行えるようになる。したがって、楽曲や動画等のようにデータ量の大きなコンテンツを非接触で伝送する場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】送信側の無線通信装置の構成を示す図である。
【図2】受信側の無線通信装置の構成を示す図である。
【図3】無線通信装置の通信動作を示すシーケンス図である。
【図4】通信制御情報を例示した図である。
【図5】無線通信装置間における相互通信の様子を示した図である。
【図6】有料コンテンツの配信を行う通信システムの構成を示す図である。
【図7】有料コンテンツの配信動作を行うときの通信動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0108】
10,30,40a,40b・・・無線通信装置、11,31・・・低速データ通信部、12,32・・・高速データ通信部、14・・・バス、15・・・システムコントローラ、15a・・・FIFO/レジスタ部、16・・・ホストインタフェース(I/F)、20・・・ホストCPU、21・・・ネットワークインタフェース(I/F)、33・・・電力生成部、34・・・キャリア検出部、35・・・制御部、36・・・不揮発性メモリ部、37・・・コンテンツ再生部、50・・・アクセスポイント、60・・・ネットワーク、70・・・ルータ、80・・・課金サーバ、90・・・コンテンツサーバ、111,121,311,321・・・アンテナ、112,312・・・第1RFフロントエンド部、113,313・・・第1変復調部、114,314・・・第1符号復号化部、122,322・・・第2RFフロントエンド部、123,323・・・第2変復調部、124,324・・・第2符号復号化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導方式で通信を行う第1データ通信部と、
前記第1データ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて前記第1データ通信部よりも高速な通信を行う第2データ通信部と、
前記第1データ通信部と前記第2データ通信部の通信動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1データ通信部からキャリア信号の送信中に前記第2データ通信部を用いて通信を行う無線通信装置。
【請求項2】
前記電磁誘導方式と異なる方式として電波方式を用いる
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第2データ通信部は、相手先の無線通信装置から放射された無変調キャリア信号を受信して、送信するデータに基づいて変調された反射波信号を送信するバックスキャッタによる通信を行う
請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2データ通信部で通信を開始するとき、前記第1データ通信部から送信許可要求を相手先の無線通信装置に送信することで、該相手先の無線通信装置から前記無変調キャリア信号を放射させる
請求項3記載の無線通信装置。
【請求項5】
電磁誘導方式で通信を行う第3データ通信部と、
前記第3データ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて前記第3データ通信部よりも高速な通信を行う第4データ通信部と、
前記第3データ通信部と前記第4データ通信部の通信動作を制御する制御部と、
前記電磁誘導方式で送信されたキャリア信号を受信して、該キャリア信号から電力を生成して電力供給を行う電力生成部とを備え、
前記制御部は、前記第3データ通信部でキャリア信号の受信中に前記第4データ通信部を用いて通信を行う無線通信装置。
【請求項6】
前記電磁誘導方式と異なる方式として電波方式を用いる
請求項5記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第3データ通信部で送信開始要求を受信したとき、前記第4データ通信部から無変調キャリア信号を放射し、該第4データ通信部は変調された反射波信号を受信して受信データを生成する
請求項6記載の無線通信装置。
【請求項8】
第1の無線通信装置に、
電磁誘導方式で通信を行う第1データ通信部と、
前記第1データ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて前記第1データ通信部よりも高速な通信を行う第2データ通信部と、
前記第1データ通信部と前記第2データ通信部の通信動作を制御する制御部とを設け、
第2の無線通信装置に、
電磁誘導方式で通信を行う第3データ通信部と、
前記第3データ通信部と異なる方式および/または通信周波数帯域を用いて前記第3データ通信部よりも高速な通信を行う第4データ通信部と、
前記第3データ通信部と前記第4データ通信部の通信動作を制御する制御部と、
前記第1の無線通信装置の第1データ通信部で送信されたキャリア信号を受信して、該キャリア信号から電力を生成して電力供給を行う電力生成部とを設けるものとし、
前記第1の無線通信装置の制御部は、前記第1データ通信部からキャリア信号の送信を行い、該キャリア信号の送信中に前記第1および第2の無線通信装置の制御部は、前記第2データ通信部と第4データ通信部を用いて前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置との間で通信を行う無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−50514(P2010−50514A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210513(P2008−210513)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】