説明

無線通信装置及びマッピング方法

【課題】ヘッダによるオーバーヘッドを低減して効率を向上させ、更に、幅広く分布するサイズのIPパケットに適切に対応することのできる無線通信装置及びマッピング方法を提供する。
【解決手段】情報データを無線フレームにマッピングする無線通信装置を提供する。無線通信装置は、拡散率を制御する可変拡散率制御部と、情報データをチャネル符号化してチャネルコーディングブロックを生成し、拡散率を用いてチャネルコーディングブロックを拡散するチャネル符号化及び拡散部と、拡散されたチャネルコーディングブロックを、周波数ブロック及びTTIで構成される無線フレームにマッピングするマッピング部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)パケットを物理チャネルの無線フレームにマッピングする無線通信装置及びIPパケットマッピング方法に関する。
【0002】
図1は従来のHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)におけるIPパケットの物理チャネルへのマッピング方法を示す図である。
【0003】
図1において、送信対象となるIPパケットは、先ず、RLC(Radio Link Control)レイヤの再送単位である一定サイズのRLC−PDU(Protocol Data Unit)に分割される(ステップS1)。なお、RLC−PDUの先頭部分には、RLCレイヤで再送を実現するためのパケット番号等の制御情報を含むヘッダH(RLCヘッダ)が付加される。
【0004】
次いで、チャネル状態に応じて1フレームにて送信可能なRLC−PDUがまとめられ、MAC(Media Access Control)−PDUが生成される(ステップS2)。
【0005】
次いで、このMAC−PDUの先頭部分にはMACレイヤでの制御情報を含むヘッダMAC−H(MACヘッダ)が付加されるとともに、MACレイヤでの再送を行うための誤り検出符号CRC(Cyclic Redundancy Check)符号が付加される(ステップS3)。
【0006】
次いで、MACヘッダおよびCRC符号が付加されたMAC−PDUは、誤り訂正のためのチャネル符号化が行われ、チャネルコーディングブロック(Channel Coding Block)となる(ステップS4)。なお、このチャネルコーディングブロックはMACレイヤでの再送単位であるARQ(Automatic Repeat reQuest)ブロックである。
【0007】
そして、チャネルコーディングブロックは拡散後に無線フレーム(Radio Frame)にマッピングされ(ステップS5)、送信される。
【0008】
なお、出願人は出願時点までに本発明に関連する先行技術文献を発見することができなかった。よって、先行技術文献情報を開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のHSDPAにおけるIPパケットの物理チャネルへのマッピング方法は上述したように行われるものであったが、次のような問題点があった。
【0010】
第1に、IPパケットは複数のレイヤを経由して物理チャネルの無線フレームにマッピングが行われるため、途中で多くのヘッダが付加されることになり、付加されたオーバーヘッドにより通信の効率化が図れないという問題があった。図2は従来のIPパケットの物理チャネルへのマッピングにおけるヘッダ等のビット数の例を示す図である。例えばIPパケットを1500バイト、RLC−PDUを40バイトとすると、IPパケットは38個のRLC−PDUに分割されることとなり、それぞれに16ビットのRLCヘッダが付加される。また、MAC−PDUに付加されるヘッダ等は図示のようになる。このように多くのヘッダ等が付加されるため、そのオーバーヘッドにより通信の効率化が図れない。
【0011】
第2に、IPパケットは可変長であるため、様々なサイズのものがマッピングの対象となる。従来の方法では固定サイズのRLC−PDUに分割され、チャネル状態に応じて1フレームにて送信可能なRLC−PDUがまとめられてMAC−PDUが生成される。この従来の方法ではIPパケットのサイズが何ら考慮されていないため、通信の効率化が図れないという問題があった。図3は有線系インターネット上のIPパケットサイズの分布の例を示す図である。(a)はIPパケットのサイズ(横軸)に対するパケット数割合(縦軸)を示し、(b)はIPパケットのサイズ(横軸)に対するパケット数割合の累積値(縦軸)を示している。この図に示すように、IPパケットは40バイト前後の極めて短いものと、1500バイト前後の大きいものとに二極化している傾向がある(64バイト以下が約50%、1400バイト以上が約20%)。今後の無線通信ではIPパケットが主なトラヒックになると考えられることから、このように幅広く分布するサイズのIPパケットに適切に対応できることが望まれる。
【0012】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、ヘッダによるオーバーヘッドを低減して効率を向上させ、更に、幅広く分布するサイズのIPパケットに適切に対応することのできる無線通信装置及びマッピング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前記の目的は、情報データを無線フレームにマッピングする無線通信装置であって、拡散率を制御する可変拡散率制御部と、前記情報データをチャネル符号化してチャネルコーディングブロックを生成し、前記拡散率を用いて該チャネルコーディングブロックを拡散するチャネル符号化及び拡散部と、前記拡散されたチャネルコーディングブロックを、周波数ブロック及びTTIで構成される無線フレームにマッピングするマッピング部と、を有する無線通信装置、により解決することができる。
【0014】
前記可変拡散率制御部は、定期的に前記拡散率を制御してもよい。
【0015】
前記可変拡散率制御部は、TTI毎に前記拡散率を制御してもよい。
【0016】
前記可変拡散率制御部は、シャドウィングに応じて前記拡散率を制御してもよい。
【0017】
前記可変拡散率制御部は、情報データ毎に前記拡散率を制御してもよい。
【0018】
前記可変拡散率制御部は、適応的に前記拡散率を制御してもよい。
【0019】
前記無線通信装置は、チャネル符号化率又はデータ変調方式を制御する制御部を更に有してもよい。
【0020】
前記マッピング部は、前記チャネルコーディングブロック内の情報データ部分を第1のTTIに割り当て、冗長部分を第2のTTIに割り当ててもよい。
【0021】
前記マッピング部は、前記チャネルコーディングブロック内の情報データ部分を分割し、前記分割された情報データ部分を第1のTTIと第2のTTIとに割り当ててもよい。
【0022】
前記マッピング部は、前記チャネルコーディングブロック内の情報データ部分を複製し、前記情報データ部分を第1のTTIに割り当て、前記複製された情報データを第2のTTIに割り当ててもよい。
【0023】
前記マッピング部は、通信品質に基づいて周波数ブロック及びTTIを選択してマッピングしてもよい。
【0024】
前記マッピング部は、周波数ブロックを分割し、分割された周波数ブロックの一部にマッピングしてもよい。
【0025】
前記マッピング部は、可変拡散率・チップ繰返しファクタCDMAを用いて得られる周波数スペクトラムにマッピングしてもよい。
【0026】
また、本発明の前記の目的は、無線通信装置において情報データを無線フレームにマッピングするマッピング方法であって、チャネル符号化率とデータ変調方式と拡散率とのうち少なくとも1つを制御するステップと、前記情報データをチャネル符号化してチャネルコーディングブロックを生成するステップと、前記拡散率を用いて該チャネルコーディングブロックを拡散するステップと、前記拡散されたチャネルコーディングブロックを、周波数ブロック及びTTIで構成される無線フレームにマッピングするステップと、を有するマッピング方法、によっても解決することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施例によれば、ヘッダによるオーバーヘッドが低減し効率を向上させることができる。更に、幅広く分布するサイズのIPパケットを効率よく伝送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0029】
図4は本発明の実施例による無線通信装置10の構成例を示す図である。
【0030】
無線通信装置10は、送信バッファ101と、分割・連接部103と、パケット符号化部105と、制御部106と、チャネル符号化及び拡散部109と、マッピング部111とから構成される。送信バッファ101は、送信対象のIPパケットを一時的に蓄積する。分割・連接部103は、送信バッファ101に蓄積されたIPパケットを取り出し、分割及び/又は続くIPパケットとの連接を行い、MAC−PDUを生成する。パケット符号化部105は、生成したMAC−PDUにIPパケット分割情報を含むヘッダ及びCRC符号の付加を行う。ここでは、パケット符号化後のMAC−PDUのことを情報データと呼ぶ。制御部106は、チャネル状態に応じてチャネル符号化率とデータ変調方式と拡散率とを適応的に制御する。特に拡散率を制御する部分を可変拡散率制御部107と呼ぶ。可変拡散率制御部107は、セル構成、伝搬条件、無線パラメータ等に応じて拡散率を変化させる。チャネル符号化及び拡散部109は、情報データ(ヘッダ及びCRC符号を付加したMAC−PDU)をチャネル符号化してチャネルコーディングブロックを生成し、拡散する。マッピング部111は、拡散したチャネルコーディングブロックを無線フレームにマッピングする。
【0031】
図5は、図4の無線通信装置10における第1のマッピング方法の概略図である。情報データはチャネル符号化され、可変拡散率制御(VSF制御:Variable Spreading Factor Control)からの拡散率で拡散が行われる(S201)。拡散したチャネルコーディングブロックはチャンク及びTTI(Transmission Time Interval)で構成される無線フレームの2次元ブロックにマッピングされる(S203)。チャンク(Chunk)とは無線フレームのシステム帯域幅を周波数のブロックに分割した一単位のことを言い、周波数ブロックとも言う。
【0032】
従来では、拡散したチャネルコーディングブロックが無線フレームの送信単位である単一のTTI及び単一のシステム帯域幅に割り当てられるように、情報データが予め分割されていた。そのため、IPパケットのサイズに応じて複数の情報データが生成され、複数の情報データのそれぞれにヘッダが付加され、ヘッダの増加によるオーバーヘッドの増大を招くことがあった。本発明の実施例による無線通信装置10は、拡散したチャネルコーディングブロックを任意のチャンク及び任意のTTIにマッピングすることができる。このようにチャンクとTTIとで構成される2次元ブロックにマッピングすることにより、符号化及び拡散前の情報データのサイズに制約が少なくなることから、ヘッダによるオーバーヘッドを低減することができる。また、無線通信装置10は、無線リソースへのマッピング時に、通信品質の高いチャンクとTTIとを選択してマッピングすることもでき、通信品質を向上させることができる。
【0033】
図6は、図4の無線通信装置における第2のマッピング方法の概略図である。図5の第1のマッピング方法と同様に、情報データはチャネル符号化され、可変拡散率制御(VSF制御)からの拡散率で拡散が行われる(S211)。拡散したチャネルコーディングブロックは、チャンク及びTTIで構成される無線フレームの2次元ブロックにマッピングされる(S213)。第2のマッピング方法では、このマッピング時に、無線通信装置10はチャンクで構成される送信帯域幅を適当な方法で間引いて、無線リソースにマッピングする。すなわち、無線通信装置10は、送信帯域幅全体のサブキャリア・シンボル(チャンク幅全体)を用いて送信するのではなく、送信帯域幅(チャンク幅)を間引いて送信する。例えば、図6において、S211で拡散したチャネルコーディングブロックが1つのTTI及び1つのチャンクで送信できる場合であっても、無線通信装置10のマッピング部で周波数を間引いて2つのTTI及び4つのチャンクに割り当ててもよい。
【0034】
このように送信帯域幅を間引く具体的な方法として、割り当てる周波数を図7のようにくしの歯状にするDistributed型と呼ばれる方法がある。可変拡散率・チップ繰返しファクタCDMA(VSCRF-CDMA:Variable Spreading and Chip Repetition Factors-Code Division Multiple Access)と呼ばれる技術を使用することにより、チップ繰返しの適用により、くしの歯状の周波数スペクトラムが生成される。図7は、図6に対応して周波数を8分の1に間引いたときを示している。このように周波数を間引いて送信することにより、第1のマッピング方法と比較して第2のマッピング方法ではダイバーシチ効果が得られるという利点を有する。
【0035】
次に、図8〜図12を参照して、図4に示した無線通信装置において、特に可変拡散率制御部107とチャネル符号化及び拡散部109との動作手順を詳細に説明する。
【0036】
図8は、本発明の実施例による無線通信装置の第1の動作手順を示したフローチャートである。ステップS301において、情報データは、チャネル符号化率に基づいてチャネルコーディングブロックにチャネル符号化される。ステップS303において、チャネル符号化を行った後に、多重化トランスポートチャネル数、各トランスポートチャネルの伝送レート及び/又はQoSに応じてレートマッチングが行われる。一般的に、レートマッチングにはPuncture又はRepetitionを用いる。Punctureとはビット系列から一定周期でビットを抜き取る処理のことを言う。Repetitionとはビット系列に対し一定周期でビットを繰り返し挿入する処理のことを言う。
【0037】
ステップS305において、可変拡散率制御部107で可変拡散率制御が行われる。可変拡散率制御のタイミングとして以下の4つが挙げられる。
(1)TTI毎に変化させる。
(2)情報データ単位(IPパケット単位)で変化させる。
(3)シャドウィングに追従させる。
(4)適応的に変化させる。
(1)(2)(3)の順に時間的に長くなることがわかる。(1)のタイミングで拡散率を制御することにより、最適な拡散率をTTI毎に使用することができる。一方、(3)のタイミングで拡散率を制御することにより、制御情報のオーバーヘッドを低減することができる。(4)の適応的に変化させる例として、例えば移動局の速度に応じて拡散率を制御してもよい。例えば移動局の速度が遅い場合にはゆっくり拡散率を制御し、移動局の速度が速い場合には迅速に拡散率を制御してもよい。
【0038】
ステップS307において、チャネルコーディングブロックがビットインターリーブされ、ステップS309においてチャンクに割り当てるためのスケジューリングが行われる。チャンク毎に、ステップS311でデータ変調される。このとき、チャンク毎のチャネル状態に応じて最適な変調方式を選択することができる。次に、ステップS313において、可変拡散率制御部からの拡散率に基づいて拡散が行われ、ステップS315において各チャンクにマッピングされる。
【0039】
このようにデータ変調S311の前にスケジューリングS309を行うことで、図9に示すように、チャンク毎のチャネル状態に応じた最適な変調方式を選択することができ、通信品質を向上させることができる。
【0040】
なお、図5に示すマッピング方法を使用した場合には、S309において、チャンク及びTTIを選択することによりスケジューリングが行われ、S315において、そのスケジューリングに従って選択されたチャンク及びTTIにマッピングされる。例えば、通信品質の高いチャンク及びTTIをS309において選択し、S315において、選択されたチャンク及びTTIにマッピングする。
【0041】
一方、図6に示すマッピング方法を使用した場合には、S309において、送信しようとするチャンク及びTTIを選択する。図6に示すように送信帯域幅全体を用いて、Distributed型と呼ばれるくしの歯状の周波数スペクトラムを生成して送信する場合には、S309において送信帯域幅全体を選択する。S315において、送信帯域幅全体を間引くことにより、くしの歯状の周波数スペクトラムにマッピングする。
【0042】
図10は、本発明の実施例による無線通信装置の第2の動作手順を示したフローチャートである。データ変調(S409)〜スケジューリング(S413)の順序を除いて、図10は図8と同様である。図10のようにデータ変調を先に行うことで、全てのチャンクが同じ変調方式(例えば16QAM)を用いて変調される。従って、チャンク毎のチャネル状態に応じた最適な変調方式の選択はできなくなるが、制御情報のオーバーヘッドを低減することができる。
【0043】
また、図8及び図10の各ブロックで示す順序は異なっていてもよく、図12に示すように、スケジューリングを行った後に、符号化率制御及びレートマッチングを行い、データ変調してもよい。
【0044】
次に、図13〜図16を参照して、拡散したチャネルコーディングブロックを無線リソースの複数のTTIにマッピングする場合について、図4に示した無線通信装置のマッピング部(図4の111)の動作手順を詳細に説明する。
【0045】
図13は、本発明の実施例による無線通信装置のマッピング部(図4の111)での第1のマッピング方式を示した図である。
【0046】
拡散したチャネルコーディングブロック501は、情報ビットとパリティビットとで構成される。ここで、情報ビットは図5の情報データに対応し、パリティビットは情報ビットをチャネル符号化したときに得られる冗長ビットに対応する。情報ビットとパリティビットとを併せたものが、図5の拡散したチャネルコーディングブロックに対応する。図5では3セットのパリティビットが存在するため、チャネル符号化率が1/4である場合に相当する。
【0047】
図13に示すマッピング方式では、情報ビット及び1セットのパリティビットを第1のTTI及びチャンク1〜10にマッピングし(503)、残りの2セットのパリティビットを第2のTTI及びチャンク1〜10にマッピングして(505)送信している。図13には2つのTTIが図示されているが、任意の数のTTIを使用して送信することができる。
【0048】
情報ビットは情報を復元するために必須な情報であるため、第1のTTIの通信品質が高い場合には、図13に示すように、情報ビットの全てを第1のTTIで送信することが有効である。第1のTTIで送信した情報ビットを受信側で復元することができれば、第2のTTIでパリティビットを送信する必要がなくなる。その他に、第2のTTIでは残りの2セットのパリティビットのうち、1セットのパリティビットを送信しないようにすることもできる。このように1セットのパリティビットを送信しないようにすることで、実質的にチャネル符号化率を1/4から1/3にすることができ、無線リソースの有効活用を図ることができる。逆に、第1のTTIの通信品質が低い場合には、第2のTTIで更にパリティビットを追加して送信することもできる。このように更にパリティビットを追加することで通信品質を向上させることができる。
【0049】
図14は、本発明の実施例による無線通信装置のマッピング部(図4の111)での第2のマッピング方式を示した図である。このマッピング方式では、情報ビット(601)を分割して一方を第1のTTI及びチャンク1〜5にマッピングし(603)、他方を第2のTTI及びチャンク1〜5にマッピングして(605)送信している。この場合には第1のマッピング方法と異なり、第2のTTIでの送信ビット数の削減を図ることができないが、情報ビットを分散させることができる。
【0050】
図15は、本発明の実施例による無線通信装置のマッピング部(図4の111)での第3のマッピング方式を示した図である。このマッピング方式では、情報ビット(701)を予め複製しておき、第1のTTIと第2のTTIとで同じ情報ビットを2回送信している(703、705)。このようにすることで、一方の情報ビットが正確に受信できなくても、もう一方の情報ビットで情報を復元することができるため、通信品質を向上させることができる。
【0051】
図16は、本発明の実施例による無線通信装置のマッピング部(図4の111)での第4のマッピング方式を示した図である。このマッピング方式は、図14と図15を組み合わせた方式に相当する。図15と同様に情報ビット(801)を予め複製しておき、TTIでの送信単位に分割する(803、805)。更に、分割されたブロック(803、805)をチャンク単位に分割し、チャンク及びTTIで構成される無線フレームにマッピングして送信する。この図16では図15と同様に情報ビットを予め複製しているが、図13のように情報ビットを複製しなくてもよい。
【0052】
次に、図4に示した無線通信装置のチャネル符号化及び拡散部(図4の109)のうち特にチャネル符号化の動作特性について図17〜図19を用いて説明する。
【0053】
図17は、チャネル符号化率の特性を算出する際に使用したシミュレーション諸元である。図18は2つの伝搬モデル(Pedestrial-A、12-ray TU)においてチャネル符号化率を変化させたときの特性を示した図である。一般的にチャネル符号化率を低く設定する(冗長度を高くする)ことにより、受信品質が向上する。図18に示すように、双方の伝搬モデルでチャネル符号化率を1/2から1/8まで下げることにより、受信品質が向上する。しかし、1/8から1/16まで変化させても受信品質に大きな変化はみられない。このように、チャネル符号化率は1/8程度で飽和状態になると考えられる。
【0054】
図19は、チャネル符号化率と拡散率との比を変化させた場合の特性を示している。横軸はチャネル符号化率の逆数を示している。この図からもわかるように、チャネル符号化率を下げることにより、受信品質が向上しているが、1/8より小さくしても大きな変化がみられない。このように、チャネル符号化率は1/8で飽和しているが、その後に拡散率を変化させることで受信品質が更に向上することがわかる。このように、チャネル符号化率と拡散率との組み合わせが、1セル周波数繰返しのような周波数利用効率の向上に不可欠になる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。特に、可変拡散率制御は高速大容量の無線通信として下り方向に一般的に適用されることが考えられるが、上り方向に適用されてもよい。このように、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】従来のHSDPAにおけるIPパケットの物理チャネルへのマッピング方法を示す図
【図2】従来のIPパケットの物理チャネルへのマッピングにおけるヘッダ等のビット数の例を示す図
【図3】有線系インターネット上のIPパケットサイズの分布の例を示す図
【図4】本発明の実施例による無線通信装置の構成例を示す図
【図5】図4の無線通信装置における第1のマッピング方法の概略図
【図6】図4の無線通信装置における第2のマッピング方法の概略図
【図7】図6の第2のマッピング方法を用いたときに割り当てられる周波数の例
【図8】本発明の実施例による無線通信装置の第1の動作手順を示したフローチャート
【図9】図8のフローチャートにおける変調方式の適用例
【図10】本発明の実施例による無線通信装置の第2の動作手順を示したフローチャート
【図11】図10のフローチャートにおける変調方式の適用例
【図12】本発明の実施例による無線通信装置の第3の動作手順を示したフローチャート
【図13】本発明の実施例による無線通信装置のマッピング部での第1のマッピング方式
【図14】本発明の実施例による無線通信装置のマッピング部での第2のマッピング方式
【図15】本発明の実施例による無線通信装置のマッピング部での第3のマッピング方式
【図16】本発明の実施例による無線通信装置のマッピング部での第4のマッピング方式
【図17】チャネル符号化率の特性を算出する際に使用したシミュレーション諸元
【図18】チャネル符号化率の特性を示す図
【図19】チャネル符号化率の特性を示す図
【符号の説明】
【0057】
10 無線通信装置
101 送信バッファ
103 分割・連結部
105 パケット符号化部
106 制御部
107 可変拡散率制御部
109 チャネル符号化及び拡散部
111 マッピング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報データを無線フレームにマッピングする無線通信装置であって、
拡散率を制御する可変拡散率制御部と、
前記情報データをチャネル符号化してチャネルコーディングブロックを生成し、前記拡散率を用いて該チャネルコーディングブロックを拡散するチャネル符号化及び拡散部と、
前記拡散されたチャネルコーディングブロックを、周波数ブロック及びTTIで構成される無線フレームにマッピングするマッピング部と、
を有する無線通信装置。
【請求項2】
前記可変拡散率制御部は、定期的に前記拡散率を制御することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記可変拡散率制御部は、TTI毎に前記拡散率を制御することを特徴とする、請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記可変拡散率制御部は、シャドウィングに応じて前記拡散率を制御することを特徴とする、請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記可変拡散率制御部は、情報データ毎に前記拡散率を制御することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記可変拡散率制御部は、適応的に前記拡散率を制御することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
チャネル符号化率又はデータ変調方式を制御する制御部を更に有する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記マッピング部は、前記チャネルコーディングブロック内の情報データ部分を第1のTTIに割り当て、冗長部分を第2のTTIに割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記マッピング部は、前記チャネルコーディングブロック内の情報データ部分を分割し、前記分割された情報データ部分を第1のTTIと第2のTTIとに割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記マッピング部は、前記チャネルコーディングブロック内の情報データ部分を複製し、前記情報データ部分を第1のTTIに割り当て、前記複製された情報データ部分を第2のTTIに割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記マッピング部は、通信品質に基づいて周波数ブロック及びTTIを選択してマッピングすることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記マッピング部は、周波数ブロックを分割し、分割された周波数ブロックの一部にマッピングすることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記マッピング部は、可変拡散率・チップ繰返しファクタCDMAを用いて得られる周波数スペクトラムにマッピングすることを特徴とする、請求項12に記載の無線通信装置。
【請求項14】
無線通信装置において情報データを無線フレームにマッピングするマッピング方法であって、
チャネル符号化率とデータ変調方式と拡散率とのうち少なくとも1つを制御するステップと、
前記情報データをチャネル符号化してチャネルコーディングブロックを生成するステップと、
前記拡散率を用いて該チャネルコーディングブロックを拡散するステップと、
前記拡散されたチャネルコーディングブロックを、周波数ブロック及びTTIで構成される無線フレームにマッピングするステップと、
を有するマッピング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−89107(P2007−89107A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317570(P2005−317570)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】