説明

無線通信装置

【課題】 簡易な構成によりアンテナを切り替えることができる無線通信装置を提供すること。
【解決手段】 携帯無線通信装置との間で送受信を行う送受信機10と、車両の内部へ指向性を有するAアンテナ1およびBアンテナ2と、Aアンテナ1またはBアンテナ2の何れかを送受信機10に接続するアンテナ切り替え部3と、車両内の乗員の配置を検知する乗員センサ5〜9と、乗員の配置と使用するアンテナとの組み合わせを対応付けたアンテナ選択テーブル4aを記憶し、このアンテナ選択テーブル4aを参照して乗員センサ5〜9が検知した乗員の配置に基づいてアンテナ切り替え部3が接続するアンテナを選択する制御部4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内部の携帯無線通信装置と通信する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の無線通信装置としては、フレーム同期回路とタイミング回路を備え、アンテナをバースト毎に切り替えることにより、データ受信信号強度の変化が速い場合でもダイバシチ効果が得られるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−45970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の無線通信装置では、車両の内部等の限られた狭い空間において携帯無線通信装置と通信する場合等には必ずしも必要としないデータフレーム単位の速いアンテナ切り替えのためのタイミング回路等を備えているため、構成の複雑化に伴う故障確率の増加や製造コストの上昇を招いているという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の無線通信装置は、携帯無線通信装置との間で送受信を行う送受信手段と、車両の内部へ指向性を有する複数の第1のアンテナと、前記第1のアンテナの何れかを前記送受信手段に接続するアンテナ切り替え手段と、車両内の乗員の配置を検知する検知手段と、乗員の配置と使用するアンテナとの組み合わせを対応付けたテーブルを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたテーブルを参照し、前記検知手段が検知した乗員の配置に基づいて前記アンテナ切り替え手段が接続するアンテナを選択するアンテナ選択手段とを有するよう構成している。
【0006】
この構成により、乗員の配置と使用するアンテナの組み合わせを対応付けるテーブルを参照して、検知手段が検知した乗員の配置に基づいてアンテナの切り替えをするので、簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる。
【0007】
また、本発明の無線通信装置は、前記検知手段は、前記車両の座席に設けられた重量センサを有し、この重量センサが前記座席上の重量を測定することにより乗員の配置を検知するよう構成している。
【0008】
この構成により、車両側が備えるスマートエアバッグシステム等が有する重量センサおよび車両側制御部を兼用させることができるので、より一層簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる。
【0009】
また、本発明の無線通信装置は、前記検知手段は、前記車両の座席近傍に設けられ前記座席上の物体を検出する非接触センサを有し、この非接触センサにより乗員の配置を検知するよう構成している。
【0010】
この構成により、車両の座席に重量センサが備わってない場合、または座席に重量センサを設置するのが困難な場合等においても、車両の座席近傍に設けた非接触センサによって乗員の配置を検出することができる。
【0011】
また、本発明の無線通信装置は、前記送受信手段は、受信電力を測定する受信電力測定手段を有し、前記アンテナ選択手段は、前記検知手段が検知する乗員の配置に基づいてアンテナを選択した後に、前記送受信手段が測定した受信電力が所定値未満であった場合、前記選択したアンテナ以外のアンテナを前記第1のアンテナから選択するよう構成している。
【0012】
この構成により、テーブルを参照して選択したアンテナにおける受信電力が設定値未満であった場合、別のアンテナに切り替えることにより、携帯無線通信装置との通信状況が乗員配置以外の何らかの要因によって一時的に悪化した場合にも良好な通信状態を維持することができる。
【0013】
また、本発明の無線通信装置は、前記車両の外部へ指向性を有する第2のアンテナを備え、前記アンテナ切り替え手段は、前記第1のアンテナまたは前記第2のアンテナの1つを前記送受信手段に接続し、前記アンテナ選択手段は、前記検知手段が乗員を検知しなかった場合に、前記第2のアンテナを選択するよう構成している。
【0014】
この構成により、車両内に乗員がいない場合は、車両外に指向性を有する第2のアンテナに切り替えるようにしているので、乗員が車両外に出た場合でも、乗員の携帯する携帯無線通信装置と通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる無線通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の無線通信装置について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の無線通信装置の構成を示す。
【0017】
無線通信装置50は、携帯電話等の図示しない携帯無線通信装置との間で送受信を行う送受信機10と、車両に設置され車両の内部へ指向性を有するAアンテナ1およびBアンテナ2と、Aアンテナ1またはBアンテナ2の何れかを送受信機10に接続するアンテナ切り替え部3と、車両内の乗員の配置を検知する乗員センサ5〜9と、乗員の配置と使用するアンテナとの組み合わせを対応付けたアンテナ選択テーブル4aを記憶し、このアンテナ選択テーブル4aを参照して乗員センサ5〜9が検知した乗員の配置に基づいてアンテナ切り替え部3が接続するアンテナを選択する制御部4とを備えている。なお、制御部4はアンテナ選択テーブル4aを記憶するROM(Read Only Memory)および演算を行うプロセッサー等から構成されている。また、乗員センサ5〜9は車両の各座席または各座席の近傍に設けられたセンサーから構成されている。
【0018】
図2は、制御部4が記憶するアンテナ選択テーブル4aを示す。アンテナ選択テーブル4aは、車両内の乗員の配置と使用するアンテナとを対応付けるものである。なお、このアンテナ選択テーブル4aは、前部に2席と後部に3席の計5席を有する車両の何れかの座席に乗員が着座し、前右席に着座した乗員の携帯する図示しない携帯無線通信装置と通信する場合に、Aアンテナ1又はBアンテナ2の何れを用いた方が状態が良く通信を行えるかを予め測定した図3に示す車両内の受信電力分布に基づいて定めたものである。例えば、前右席にのみ乗員が配置している場合はAアンテナ1を使用し、前右席及び前左席に乗員が配置している場合はBアンテナ2を使用すると定める。同様に、乗員の配置の全ての組み合わせについて使用するアンテナを定めている。なお、本実施形態では、乗員と乗客を区別せず全て乗員と称す。
【0019】
図3〜図6は、アンテナ選択テーブル4aを定める際の根拠となる、乗員の配置と実際に測定された受信電力の分布図の一例を示す。なお、Aアンテナ1は車両内の後部座席の左側面付近に設置され、Bアンテナ2は車両内の後部座席の右後部に設置されている。
【0020】
図3に示す前右席及び後右席に乗員が配置した乗車パターン1の場合、前右席に着座する乗員が携帯する携帯無線通信装置に対するAアンテナ1及びBアンテナ2の受信電力分布の実測値は図4(a)、(b)にそれぞれ破線及び実線で示すようになる。ここで、図4(a)は受信電力を示し、図(b)は受信電力の累積確率を示す。累積確立とは、特定の区間においてグラフ横軸の受信電力以下となる確率のことである。送受信機10の感度が−70dBmであるとすると、乗車パターン1ではAアンテナ1の受信電力が−70dBmとなる確率は約10%である。また、Bアンテナ2の受信電力が−70dBmとなる確率は2パーセントである。すなわち、Bアンテナ2を使用する方が良い受信状態を得ることができる。従って、図2に示すアンテナ選択テーブル4aには、乗車パターン1ではBアンテナ2を使用すると定めている。
【0021】
同様に、図5に示す前右席及び後左席に乗員が配置した乗車パターン2の場合、Aアンテナ1及びBアンテナ2の受信電力分布の実測値は図6(a)、(b)にそれぞれ破線及び実線で示すようになる。乗車パターン2では、Aアンテナ1の受信電力が−70dBmとなる確率は約0%である。また、Bアンテナ2の受信電力が−70dBmとなる確率は5パーセントである。すなわち、Aアンテナ1を使用するようが良い受信状態を得ることができる。従って、図2に示すアンテナ選択テーブル4aには、乗車パターン2ではAアンテナ1を使用すると定めている。
【0022】
以上のように構成された無線通信装置50について、図7を参照して動作を説明する。
【0023】
先ず、乗車パターン検出する(ステップS11)。ここでは、乗員センサ5〜9は、検知した乗員の配置を制御部4に出力する。
【0024】
次いで、制御部4は、乗員センサ5〜9から受け取った乗員の配置に対応するアンテナをアンテナ選択テーブル4aを参照して選択し、アンテナ切り替え部3に制御信号を出力してAアンテナ1またはBアンテナ2のうち選択したアンテナに切り替えさせる(ステップS12)。
【0025】
以上のように本発明の第1の実施の形態の無線通信装置によれば、乗員の配置と使用するアンテナの組み合わせを対応付けるアンテナ選択テーブル4aを参照して、乗員センサ5〜9が検知した乗員の配置に基づいてアンテナの切り替えをするので、簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる。
【0026】
なお、本実施の形態では、Aアンテナ1とBアンテナ2の2つのアンテナを用いているが、アンテナの数は2つに限定されるものではない。例えば、5つのアンテナを使用するようにした場合、5つのアンテナに対して各乗車パターン毎に図4、図6に示すように受信電力を測定し、その結果をもとに図2に示すようなアンテナ選択テーブルを定めればよい。また、本実施の形態では車両の座席数を5としているが、座席数が10であっても上記と同様に受信電力の実測値からアンテナ選択テーブルを定めることによって、簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる効果を奏する。
【0027】
また、送受信機10に接続するアンテナを1つ選択するようにしているが、複数のアンテナの組み合わせを選択して送受信機10に接続するようにしてもよい。
【0028】
また、本実施の形態の無線通信装置50は、無線通信単独の機能を有する装置として構成するものに限定されない。例えば、カーナビゲーション装置またはカーオーディオ装置の構成に無線通信装置50の構成を組み込むようにしてもよい。または、無線通信装置50にカーナビゲーション装置またはカーオーディオ装置の構成を組み込むようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態の無線通信装置の構成を示す。なお、第1の実施の形態の無線通信装置50と同様の構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0029】
無線通信装置60は、携帯電話等の図示しない携帯無線通信装置との間で送受信を行う送受信機10と、車両に設置され車両の内部へ指向性を有するAアンテナ1およびBアンテナ2と、Aアンテナ1またはBアンテナ2の何れかを送受信機10に接続するアンテナ切り替え部3と、車両の各座席に設けられ座席上の重量を測定することにより乗員の配置を検知する重量センサ11〜15と、重量センサ11〜15から入力された乗員の配置を制御部4に出力する車両側制御部16と、乗員の配置と使用するアンテナとの組み合わせを対応付けたアンテナ選択テーブル4aを記憶し、このアンテナ選択テーブル4aを参照して車両側制御部16から入力された乗員の配置に基づいてアンテナ切り替え部3が接続するアンテナを選択する制御部4とを備えている。なお、重量センサ11〜15および車両側制御部16は無線通信装置60の外部の構成としてもよい。すなわち、車両側が備えるいわゆるスマートエアバッグシステム等が有する重量センサと車両側制御部を、本実施の形態の重量センサ11〜15および車両側制御部16として兼用するようにしてもよい。
【0030】
以上のように構成された無線通信装置60について、図9を参照して動作を説明する。
【0031】
先ず、乗車パターン検出する(ステップS21)。ここでは、重量センサ11〜15は、検知した乗員の配置を車両側制御部16に出力し、車両側制御部16は入力された乗員の配置を制御部4に出力する。
【0032】
次いで、制御部4は、車両側制御部16から受け取った乗員の配置に対応するアンテナをアンテナ選択テーブル4aを参照して選択し、アンテナ切り替え部3に制御信号を出力してAアンテナ1またはBアンテナ2のうち選択したアンテナに切り替えさせる(ステップS22)。
【0033】
以上のように本発明の第2の実施の形態の無線通信装置によれば、乗員の配置と使用するアンテナの組み合わせを対応付けるアンテナ選択テーブル4aを参照して、重量センサ11〜15が検知した乗員の配置に基づいてアンテナの切り替えをするので、簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる。また、車両側が備えるスマートエアバッグシステム等が有する重量センサおよび車両側制御部を本実施の形態の無線通信装置60の重量センサ11〜15および車両側制御部16と兼用させることができるので、より一層簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる。
(第3の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態の無線通信装置の構成を示す。なお、第1の実施の形態の無線通信装置50と同様の構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
無線通信装置70は、携帯電話等の図示しない携帯無線通信装置との間で送受信を行う送受信機10と、車両に設置され車両の内部へ指向性を有するAアンテナ1およびBアンテナ2と、Aアンテナ1またはBアンテナ2の何れかを送受信機10に接続するアンテナ切り替え部3と、車両内の乗員の配置を検知する非接触センサ21〜25と、乗員の配置と使用するアンテナとの組み合わせを対応付けたアンテナ選択テーブル4aを記憶し、このアンテナ選択テーブル4aを参照して非接触センサ21〜25が検知した乗員の配置に基づいてアンテナ切り替え部3が接続するアンテナを選択する制御部4とを備えている。ここで、非接触センサ21〜25は、車両の各座席の近傍の例えば天井部に各々設けられ、乗員から放出される赤外線を検知して乗員の配置を検知するものである。
【0035】
以上のように構成された無線通信装置70について、図11を参照して動作を説明する。
【0036】
先ず、乗車パターン検出する(ステップS31)。ここでは、非接触センサ21〜25は、検知した乗員の配置を制御部4に出力する。
【0037】
次いで、制御部4は、非接触センサ21〜25から受け取った乗員の配置に対応するアンテナをアンテナ選択テーブル4aを参照して選択し、アンテナ切り替え部3に制御信号を出力してAアンテナ1またはBアンテナ2のうち選択したアンテナに切り替えさせる(ステップS32)。
【0038】
以上のように本発明の第3の実施の形態の無線通信装置によれば、乗員の配置と使用するアンテナの組み合わせを対応付けるアンテナ選択テーブル4aを参照して、非接触センサ21〜25が検知した乗員の配置に基づいてアンテナの切り替えをするので、簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる。また、車両の座席に重量センサが備わってない場合、または座席に重量センサを設置するのが困難な場合等においても、車両の座席近傍に設けた非接触センサ21〜25によって乗員の配置を検出することができる。
(第4の実施の形態)
図12は、本発明の第4の実施の形態の無線通信装置の構成を示す。なお、第1の実施の形態の無線通信装置50と同様の構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
無線通信装置80は、携帯電話等の図示しない携帯無線通信装置との間で送受信を行う送受信機30と、車両に設置され車両の内部へ指向性を有するAアンテナ1およびBアンテナ2と、Aアンテナ1またはBアンテナ2の何れかを送受信機30に接続するアンテナ切り替え部3と、車両内の乗員の配置を検知する乗員センサ5〜9と、乗員の配置と使用するアンテナの組み合わせを対応付けたアンテナ選択テーブル4aを記憶し、このアンテナ選択テーブル4aを参照して乗員センサ5〜9が検知した乗員の配置に基づいてアンテナ切り替え部3が接続するアンテナを選択する制御部4とを備えている。また、送受信機30は、受信電力を測定して単位時間あたりの平均値を算出し、制御部4に出力する受信電力測定部30aを備えている。受信電力測定部30aが受信電力の平均値を算出するときの単位時間は、無線通信が途絶した場合に通話等に不都合が生じる程度時間より僅かに短く設定するのが好ましい。
【0040】
以上のように構成された無線通信装置80について、図13を参照して動作を説明する。
【0041】
先ず、乗車パターン検出する(ステップS41)。ここでは、乗員センサ5〜9は、検知した乗員の配置を制御部4に出力する。
【0042】
次いで、制御部4は、アンテナ選択テーブル4aを参照して乗員センサ5〜9から受け取った乗員の配置に対応するアンテナを選択し、アンテナ切り替え部3に制御信号を出力してAアンテナ1またはBアンテナ2のうち選択したアンテナに切り替えさせる(ステップS42)。
【0043】
次いで、制御部4は、送受信機30の受信電力測定部30aが算出した受信電力の平均値が所定の設定値以上であるか否かを判断する(ステップS43)。ここで、上記所定の設定値は、例えば送受信機30の受信感度とする。
【0044】
ステップS43の判別が“NO”ならば、制御部4は、ステップS42で選択しなかった方のアンテナに切り替えるようアンテナ切り替え部3を制御する(ステップS44)。
【0045】
次いで、制御部4は、ステップS44で切り替えた方のアンテナにおいて、送受信機30の受信電力測定部30aが算出した受信電力の平均値が所定の設定値以上であるか否かを判断する(ステップS45)。ここでも、上記所定の設定値は、ステップS43における設定値と同様に、例えば送受信機30の受信感度とする。ステップS45の判別が“NO”ならば、ステップS42でアンテナ選択テーブル4aを参照して選択した方のアンテナに再び切り替える(ステップS46)。すなわち、ステップS42でアンテナ選択テーブル4aを参照して選択したアンテナがAアンテナ1であった場合、Aアンテナ1における受信電力の平均値が所定の値未満であった場合、もう一方のアンテナであるBアンテナ2に切り替える(ステップS44)。また、Bアンテナ2を用いても受信電力の平均値が所定の値未満であった場合は、一時的な通信状態の異常が原因である可能性があるため、アンテナ選択テーブル4aに基づいて選択したアンテナであるAアンテナ1に戻すようになっている。
【0046】
次いで、制御部4は、ステップS43およびステップS45において受信電力の平均値が設定値以上と判断された場合およびステップS46でアンテナを切り替えた後は、乗員センサ5〜9から入力された乗員の配置を監視して、乗車パターンすなわち乗員の配置に変化があるか否かを判断する(ステップS47)。ステップS47は、判断が“YES”となるまで、すなわち乗車パターンに変化があるまで継続され、乗車パターンに変化があった場合は、再びステップS41以降の処理を行う。
【0047】
以上のように本発明の第4の実施の形態の無線通信装置によれば、乗員の配置と使用するアンテナの組み合わせを対応付けるアンテナ選択テーブル4aを参照して、乗員センサ5〜9が検知した乗員の配置に基づいてアンテナの切り替えをするので、簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる。また、アンテナ選択テーブル4aを参照して選択したアンテナにおける受信電力が設定値未満であった場合、別のアンテナに切り替えることにより、携帯無線通信装置との通信状況が乗員配置以外の何らかの要因によって一時的に悪化した場合にも良好な通信状態を維持することができる。
【0048】
なお、説明を簡単にするためにアンテナを2つとして説明しているが、3つ以上のアンテナとして順番に受信電力の平均値が所定の値以上になるまで各アンテナに切り替えていくようにしてもよい。
(第5の実施の形態)
図14は、本発明の第5の実施の形態の無線通信装置の構成を示す。なお、第1の実施の形態の無線通信装置50と同様の構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
無線通信装置90は、図示しない携帯無線通信装置との間で送受信を行う送受信機10と、車両に設置され車両の内部へ指向性を有するAアンテナ1およびBアンテナ2と、車両に設置され車両の外部へ指向性を有するCアンテナ31と、Aアンテナ1、Bアンテナ2またはCアンテナ31の何れかを送受信機10に接続するアンテナ切り替え部32と、車両内の乗員の配置を検知する乗員センサ5〜9と、乗員の配置と使用するアンテナとの組み合わせを対応付けたアンテナ選択テーブル4bを記憶し、このアンテナ選択テーブル4bを参照して乗員センサ5〜9が検知した乗員の配置に基づいてアンテナ切り替え部32が接続するアンテナを選択する制御部4とを備えている。なお、制御部4はアンテナ選択テーブル4bを記憶するROM(Read Only Memory)および演算を行うプロセッサー等から構成されている。
【0050】
図15は、制御部4が記憶するアンテナ選択テーブル4bを示す。図に示すように、アンテナ選択テーブル4bは、第1の実施の形態で説明したアンテナ選択テーブル4aにおいて、車両内に乗員がいない場合は車両の外部へ指向性を有するCアンテナ31を選択するように定めたものである。具体的には、前右席、前左席、後右席、後中央席、後左席の何れにも乗員が居ない場合に、使用アンテナをCアンテナ31としている。また、車両内に乗員がいる場合に使用するアンテナは第1の実施の形態で説明したアンテナ選択テーブル4aの場合と同様である。
【0051】
以上のように構成された無線通信装置90について、図16を参照して動作を説明する。
【0052】
先ず、乗車パターン検出する(ステップS51)。ここでは、乗員センサ5〜9は、検知した乗員の配置を制御部4に出力する。
【0053】
次いで、制御部4は、乗員センサ5〜9から受け取った乗員の配置に対応するアンテナをアンテナ選択テーブル4bを参照して選択し、アンテナ切り替え部32に制御信号を出力してAアンテナ1、Bアンテナ2またはCアンテナ31のうち選択したアンテナに切り替えさせる(ステップS52)。
【0054】
以上のように、本発明の第5の実施の形態の無線通信装置によれば、乗員の配置と使用するアンテナの組み合わせを対応付けるアンテナ選択テーブル4bを参照して、乗員センサ5〜9が検知した乗員の配置に基づいてアンテナの切り替えをするので、簡易な構成によりアンテナの切り替えをすることができる。また、車両内に乗員がいない場合は、車両外に指向性を有するCアンテナ31に切り替えるようにしているので、乗員が車両外に出た場合でも、乗員の携帯する携帯無線通信装置と通信を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明は、簡易な構成によりアンテナを切り替えることができるという効果を有し、車両の内部または車両付近の外部の携帯無線通信装置と通信する無線通信装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施の形態に係る無線通信装置のアンテナ選択テーブルの構成を示す図
【図3】第1の実施の形態に係る無線通信装置の乗員配置の一例を示す図
【図4】図3の乗員配置における受信電力を示す図
【図5】第1の実施の形態に係る無線通信装置の乗員配置の他の例を示す図
【図6】図5の乗員配置における受信電力を示す図
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置の動作を説明するフロー図
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る無線通信装置の動作を説明するフロー図
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る無線通信装置の動作を説明するフロー図
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る無線通信装置の動作を説明するフロー図
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図15】第5の実施の形態に係る無線通信装置のアンテナ選択テーブルの構成を示す図
【図16】本発明の第5の実施の形態に係る無線通信装置の動作を説明するフロー図
【符号の説明】
【0057】
1 Aアンテナ(第1のアンテナ)
2 Bアンテナ(第1のアンテナ)
3、32 アンテナ切り替え部(アンテナ切り替え手段)
4 制御部(記憶手段、アンテナ選択手段)
4a、4b アンテナ選択テーブル
5、6、7、8、9 乗員センサ(検知手段)
10、30 送受信機(送受信手段)
11、12、13、14、15 重量センサ(検知手段)
16 車両側制御部(検知手段)
21、22、23、24、25 非接触センサ(検知手段)
30a 受信電力測定部(受信電力測定手段)
31 Cアンテナ(第2のアンテナ)
50、60、70、80、90 無線通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯無線通信装置との間で送受信を行う送受信手段と、
車両の内部へ指向性を有する複数の第1のアンテナと、
前記第1のアンテナの何れかを前記送受信手段に接続するアンテナ切り替え手段と、
車両内の乗員の配置を検知する検知手段と、
乗員の配置と使用するアンテナとの組み合わせを対応付けたテーブルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたテーブルを参照し、前記検知手段が検知した乗員の配置に基づいて前記アンテナ切り替え手段が接続するアンテナを選択するアンテナ選択手段とを備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記車両の座席に設けられた重量センサを有し、この重量センサが前記座席上の重量を測定することにより乗員の配置を検知することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記車両の座席近傍に設けられ前記座席上の物体を検出する非接触センサを有し、この非接触センサにより乗員の配置を検知することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記送受信手段は、受信電力を測定する受信電力測定手段を有し、
前記アンテナ選択手段は、前記検知手段が検知する乗員の配置に基づいてアンテナを選択した後に、前記送受信手段が測定した受信電力が所定値未満であった場合、前記選択したアンテナ以外のアンテナを前記第1のアンテナから選択することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記車両の外部へ指向性を有する第2のアンテナを備え、
前記アンテナ切り替え手段は、前記第1のアンテナまたは前記第2のアンテナの1つを前記送受信手段に接続し、
前記アンテナ選択手段は、前記検知手段が乗員を検知しなかった場合に、前記第2のアンテナを選択することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−109131(P2006−109131A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293664(P2004−293664)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】