説明

無線電力伝送システム、送電装置、及び受電装置

【課題】効率の良い電力伝送を実現する無線電力伝送システム及び送電装置、受電装置を提供する。
【解決手段】電力を送電する送電部と送電する電力を調整する電力調整部と通信部とを備えた送電装置と、電力を受電する受電部と受電した電力を検出する電力検出部と受電した電力を蓄積する蓄電部と通信部とを備えた受電装置とを備えた無線電力伝送システムにおいて、送電電力と受電電力の比である電力の伝送効率と、蓄電残量に基づいて、送電電力を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送システム、送電装置、及び受電装置に係り、特に、携帯端末機器等のように電源部からの位置が変化する環境下で使用される可能性のある機器に適した、無線電力伝送システム、送電装置、及び受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導や磁気結合等を利用して、無線による電力伝送を行う無線電力伝送システムの開発が進んでいる。この無線電力伝送システムの例として、携帯端末機器への充電システムが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、磁気共振現象を利用した非接触による電力の伝送を行う電力送信装置及び電力受信装置が開示されている。特許文献1に記載の装置は、電力受信装置に、受信電力検出回路と、受信電力検出回路による測定値を電力送信装置に送信するデータ送信回路を備え、電力送信装置に、受信電力検出回路によって測定された受信電力値のデータを受信するためのデータ受信回路と、送信電力を測定するための送信電力検出回路と、データ受信回路から出力される受信電力値と送信電力検出回路で測定された送信電力値とを比較するための送受信電力比較回路と、送受信比較回路における比較結果により送信する電力を制御する電力制御回路と、少なくとも二つの送信電力設定値を記憶する記憶部と、送受信比較回路における比較結果により、ユーザに警告を知らせる警報用LEDを備えている。
【0004】
また、特許文献2には、2次元通信シートを利用し通信装置と端末装置間で電力を送信可能な2次元通信システムの例が記載されている。この2次元通信システムでは、端末装置が自己における電力の蓄積量が所定のレベルよりも低下すると、2次元通信シートを介して電力の送信要求メッセージを通信装置へ送信する。通信装置は、メッセージに応じて、2次元通信シートを介して電力を送電する。そして、端末装置は、通信装置から電力を受電して蓄積する。また、蓄積量が所定レベルに達すると、端末装置は2次元通信シートを介して電力の送電停止要求メッセージを通信装置へ送信し、通信装置は、電力の送電を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−51137号公報
【特許文献2】特開2009−278331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、受電電力と送電電力の比電力の伝送効率に基づいて送電電力を制御し、伝送効率が予め定められた値よりも小さい場合には、異常と判断して送電を停止することができる。しかし、伝送効率は故障や異物混入などの異常状態でなければ、常に同じ値であるとは限らない。例えば、送電装置と受電装置の位置関係や受電装置の数、受電装置同士の位置関係などによって変化する。
【0007】
そのため、たとえ正常状態において伝送効率が変化しても、伝送効率とは無関係に既定の送電電力を供給してしまう。従って、伝送効率が低い状態が続いても、規定の電力伝送を継続するため、効率の悪い電力伝送になってしまう。
【0008】
また、異常状態と判断する伝送効率を高めに設定した場合、たとえ正常状態であっても異常と判断されてしまい送電が開始されないため、受電装置は動作できない。仮に受電装置が二次電池やキャパシタなどの蓄電部を備えていたとしても、その蓄電残量は低下し続けるため、やがて受電装置の動作を停止せざるを得なくなる。
【0009】
一方、特許文献2の2次元通信システムでは、端末装置の蓄電器の電力量を常にモニタするモニタ回路を備えており、電力の需要に応じて端末装置へ電力を送電することが出来る。
【0010】
しかし、通信装置と端末装置間の電力の伝送効率の変化については、なんら配慮されていない。例えば、携帯端末機器のような移動端末では、送電装置との位置関係などの通信環境の変化により、器機自体の機能は正常であっても、電力の伝送効率が刻々と変化する場合がある。
【0011】
本発明の解決課題の1つは、機器は正常状態にあってかつ伝送効率が刻々と変化しても、平均的な伝送効率の良い電力伝送を実現する無線電力伝送システム、送電装置、及び受電装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の解決課題は、環境に変化があっても受電装置への電力伝送を適切に行い、受電装置が動作を停止せざるを得ない状況を低減し、平均的な伝送効率を改善できる無線電力伝送システム、送電装置、及び受電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための一例を挙げるならば、次の通りである。送電装置と受電装置との間で無線により電力を伝送する無線電力伝送システムであって、前記送電装置は、電力を送電する送電部と、前記送電する電力を調整する電力調整部とを有しており、前記受電装置は、前記電力を受電する受電部と、前記送電装置から受電した電力を蓄積する蓄電部とを有しており、前記送電装置と前記受電装置間における前記電力の伝送効率と、前記蓄電部の蓄電残量とに基づいて、前記送電装置からの送電電力の大きさを調整する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力の伝送効率と蓄電残量に基づいて送電電力を調整するので、伝送効率が変化するような使用環境下においても平均的な伝送効率の良い電力伝送を実現する無線電力伝送システム及び送電装置、受電装置を提供することができる。また、環境に変化があっても受電装置が動作を停止せざるを得ない状況を低減し、平均的な伝送効率を改善することができる無線電力伝送システム及び送電装置、受電装置を提供することができる。
【0015】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施例になる無線電力伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】第1の実施例における、送電装置と受電装置の処理を説明するフローチャートである。
【図3A】第1の実施例における、送電電力の時間波形の一例を示す図である。
【図3B】第1の実施例における、送電電力の時間波形の他の例を示す図である。
【図4A】第1の実施例における、送電電力の設定テーブルの例である。
【図4B】第1の実施例における、伝送効率の異なる例を示す図である。
【図4C】第1の実施例における、無線電力伝送条件と送電電力の関係を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例における、送電装置と受電装置の処理を説明するフローチャートである。
【図6A】第2の実施例における、送電電力の設定テーブルの例を示す図である。
【図6B】同じ受電装置における、伝送効率の履歴の異なる例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例における、送電装置と受電装置の処理を説明するフローチャートである。
【図8】第3の実施例における、同じ受電装置に対する2種類の送電電力の設定テーブルの例を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施例における、無線電力伝送システムの構成例を示す図である。
【図10】第4の実施例における、送電装置と受電装置の処理を説明するフローチャートである。
【図11】第4の実施例における、要求電力の設定テーブルの例を示す図である。
【図12A】本発明の第5の実施例における、無線電力伝送システムの装置構成の概略を示す外観斜視図である。
【図12B】第5の実施例における、電力伝送媒体内を伝送される電力の強度を示す概略図である。
【図13】第5の実施例における、無線電力伝送システムの構成例を示す図である。
【図14】第5の実施例における、送電装置と受電装置と残存電力検出装置の処理を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の第6の実施例における、無線電力伝送システムの装置構成の概略を示す外観斜視図である。
【図16】第6の実施例における、無線電力伝送システムの構成の例を示す図である。
【図17】第6の実施例における、送電装置と受電装置と残存電力検出装置の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の代表的な実施例によれば、無線電力伝送システムは、電磁誘導や磁気結合等を利用して無線により電力の伝送を行う送電装置と受電装置とを備えている。送電装置は、電力を送電する送電部と、送電する電力を調整する電力調整部と、通信部とを有している。受電装置は、電力を受電する受電部と、受電した電力を検出する電力検出部と、受電した電力を蓄積する蓄電部とを有している。受電装置は、さらに、蓄電部の蓄電残量を検出する機能を有している。送電装置は、送電電力と受電電力の比である電力の伝送効率と、蓄電残量とに基づいて、受電装置への送電電力を調整する。これにより、無線による電力の伝送効率が刻々と変化する場合でも、平均的には伝送効率の良い電力伝送系を実現することができる。
【0018】
本発明の無線電力伝送システムの適用例として、携帯電話機、スマートフォン、モバイル器機等の携帯端末機器や、テレビのディスプレイ等の可搬型AV器機、掃除ロボットなど、電源からの距離が変化することの多い環境下で、ワイヤレスで使用される機器への充電を行うものが挙げられる。
以下、図面を用いて実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
本実施例では、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量に基づいて、送電装置の送電電力を調整する無線電力伝送システムの例を、図1〜図4Cを参照しながら、説明する。
【0020】
図1は、本実施例の無線電力伝送システムの構成例を示す図である。無線電力伝送システム1000は、受電装置100と送電装置200で構成されている。受電装置100は、受電アンテナ101、受電部102、電力検出部103、蓄電部104、制御部105、通信部106、及び通信アンテナ107を有する。また、蓄電部104に、携帯電話などの電子機器が負荷108として接続されている。
【0021】
送電装置200は、送電アンテナ201、送電部202、電力調整部203、制御部204、記憶部205、通信部206、及び通信アンテナ207を有する。記憶部205には、送電電力を設定するためのテーブルや数式が格納されている。
【0022】
受電装置100の受電部102は、受電アンテナ101を介して送電装置200から無線により送電された電力を受電し、電力検出部103に出力する。電力検出部103は、入力された電力レベルを検出する。蓄電部104は受電した電力を蓄える負荷である。制御部105は、最大化制御部105aにより受電電力が最大となるように受電部102を制御し、その後、適応制御部105bにより電力検出部103が検出した電力レベルと蓄電部104の蓄電残量の情報を取得し、通信部106を制御する。通信部106は、通信用信号を生成し、通信アンテナ107を介して送電装置200と通信する。
【0023】
送電装置200の通信部206は、通信アンテナ207を介して受電装置100と通信する。制御部204は適応制御部204aを備えており、通信部206が受信した情報と記憶部205に格納した情報を取得し、電力調整部203を制御する。電力調整部203は、制御部204の制御に従い送電部202の出力電力を調整する。送電部202は送電アンテナ201を介して、無線により受電装置100に電力を送電する。
【0024】
なお、本発明では、一対のアンテナ等のインタフェースにより、無線電力伝送や無線通信が可能な電界あるいは磁界が存在する空間を、無線電力伝送空間700と定義する。このインタフェースは、無線電力伝送空間において電磁誘導や磁気結合等の、電磁波による無線電力伝送や無線通信が可能なインタフェースであればどのようなものでも良い。インタフェースの例として、例えば、受電アンテナ101と送電アンテナ201、通信アンテナ107と通信アンテナ207は、あるいは、ダイポールアンテナやパッチアンテナ、コイル、電極、共振器、カプラ、シート状の誘電体を用いた電力伝送媒体などが挙げられる。このようなインタフェースを以下では、単にアンテナとして説明する。なお、本発明の無線電力伝送システムで用いる周波数は、例えば、2.4Ghzとする。ただし、本発明が、この周波数に限定されるものでないことは言うまでも無い。
【0025】
また、受電アンテナ101に通信アンテナ107の機能を持たせ、通信アンテナ107の機能を持たせた受電アンテナ101と通信部106をも接続しても良い。同様に、送電アンテナ201に通信アンテナ207の機能を持たせ、通信アンテナ207の機能を持たせた送電アンテナ201と通信部206をも接続しても良い。
【0026】
なお、受電装置100は、携帯電話などの電子機器(負荷)に組み込まれていても良い。同様に、送電装置200も他の電子機器に組み込まれていても良い。また、蓄電部104は例えばリチウムイオン電池のような二次電池やコンデンサ、キャパシタなど、電力を貯蔵するものである。
【0027】
また、制御部204は通信部206から取得した情報を記憶部205に格納しても良い。記憶部205は例えばフラッシュメモリやハードディスク、SSDなどである。
【0028】
また、受電装置100を構成する各部は蓄電部104に蓄えられた電力で動作しても良いし、受電部102で受電した電力で動作しても良い。
【0029】
図2は、本実施例における、送電装置と受電装置間の無線電力伝送の処理を説明するフローチャートである。
送電装置200は、電力調整部203を初期設定し、送電部202から初期設定電力(P0)の無線送電を行う(S200)。受電装置100は初期設定電力(P0)を受電部102で受電する(S100)。そして、受電電力が最大となるように、制御部105の最大化制御部105aが受電部102を制御する(S101)。その後、電力検出部103で受電電力を検出し(S102)、制御部105の適応制御部105bで蓄電部104の蓄電残量を検出する(S103)。そして、検出した受電電力と蓄電残量に関する情報を通信部106で送電装置200に送信する(S104)。
【0030】
送電装置200は、受電電力、蓄電残量に関する情報を通信部206で受信した場合(S201)、制御部204の適応制御部204aで伝送効率を算出し(S202)、伝送効率と蓄電残量に基づいて、記憶部205に格納したテーブルや数式を用いて、制御部204で送電電力を設定する(S203)。そして、制御部204は電力調整部203を制御し、送電部202から設定した電力P1を送電する(S204)。その後、受電装置100は送電された電力を受電部102で受電する(S105)。
【0031】
以降、所定の時間間隔ΔT毎に(S106)、受電電力の最大化(S101)以降を繰り返えし、送電部202から受電部102へ、設定した電力PNを送電する。
【0032】
なお、受電電力検出S102と蓄電残量検出S103の処理はどちらを先に実施しても良い。
【0033】
図3Aは、本実施例における、送電電力の時間波形の一例を示す図であり、図3Bは、送電電力の時間波形の他の例を示す図である。
【0034】
図3Aの例は、送電電力Pの設定S203を送電電力振幅で行った例である。受電電力の最大化(S101)から設定した電力の送電S204までを実施する所定の時間間隔ΔTごとに、送電電力振幅(h1,h2,−)を更新することにより、送電電力(P1,P2,−,PN)を更新する。
【0035】
図3Bの例は、送電電力の設定S203を、所定の時間間隔ΔTにおける送電時間(ON)と停止時間(OFF)との比で行ったデューティ制御の例である。受電電力の最大化(S101)から設定した電力の送電S204までを実施する所定の時間間隔ΔTごとに送電停止時間(OFF)を設定し、時間平均の送電電力(P1,P2,−,PN)を更新する。なお、各時間間隔ΔTの前半が送電停止時間(OFF)、後半が送電時間(ON)となっているのは、送電時間(ON)における受電電力の情報を利用して、次のサイクル(時間間隔ΔT)の送電電力(PN)を演算し、更新するためである。
【0036】
図4Aは、本実施例における、送電電力の設定テーブルの一例である。この例では、伝送効率α(%)と蓄電残量B(%)に応じて送電電力P(W)を10Wから0Wまで設定している。伝送効率αは、送電装置と受電装置の位置関係や受電装置の数、受電装置同士の位置関係などの変化に伴って、時々刻々と変化する。図4Bに、伝送効率の高い状態と低い状態の例を示す。図4Bの(A)は伝送効率が70%、(B)は伝送効率が50%のときの、無線電力伝送空間700内の受電装置100と送電装置200の距離の関係である。受電装置100と送電装置200の距離が遠くなると、伝送効率は低下する傾向にある。
【0037】
そこで、本実施例では、伝送効率が高いほど送電電力を高く設定し、蓄電残量が高いほど、送電電力を低く設定する。また、伝送効率と蓄電残量に応じて、無段階に送電電力を設定しても良いし、送電実施、送電停止の2値で設定するなどしても良い。
【0038】
本実施例においても、伝送効率が正常状態では発生しないような低い値となったときは、異常と判断して送電を停止する。但し、この値は、故障や異物混入などの異常状態でなければ発生しないようなかなり低い値に設定する。図4Aに示したテーブルの例では、伝送効率が20%以下の場合を、異常と判断して送電を停止する。逆に、伝送効率が20%を越えてかつその近傍の低い値にある場合は送電を一律に停止しないで、受電装置の蓄電残量が少ないときは電力伝送を行い、蓄電残量が多いときはこれを停止する。このように、受電装置が動作を停止せざるを得ない状況を低減することで、平均的な伝送効率を改善することができる。
【0039】
図4Cは、本実施例における、無線電力伝送条件と送電電力の大よその関係を示す図である。無線電力伝送条件は、無線電力伝送システムにおける最新の伝送効率α(%)と蓄電残量B(%)とに応じて変更するのが望ましい。すなわち、無線電力伝送システムにおける無線電力伝送条件を常時(定期的に)検知し、無線電力伝送条件が良く(H)なるほど、送電電力を大きくする。パターンAは非線形、パターンBは線形に変化させている。
【0040】
従って、図4Aのテーブルに代えて、送電電力P(W)を、無線電力伝送条件を与える伝送効率αと蓄電残量Bの関数、P=f(B,α)とすることができる。
【0041】
より具他的には、送電電力Pを例えば次のような式(1)として表現し、記憶部205に保持すれば良い。
【0042】
P=(1/B)×α×X (1)
但し、X(W)は常数
本実施例によれば、システムが正常状態にあってかつ無線電力伝送条件が刻々と変化するような環境下でも、伝送効率に応じて送電電力の大きさを遂次更新し、常に最適な電力伝送を行うので、システム全体としては平均的に見て効率の良い電力伝送を実現することができる。
【0043】
以上述べたように、本実施例に係る無線電力伝送システムを適用すれば、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量とに基づいて、送電装置の送電電力を遂次調整することで、平均的な伝送効率の良い電力伝送を実現することができる。また、受電装置の蓄電残量が下がりすぎる危険性を低減することができる。
【実施例2】
【0044】
実施例2の無線電力伝送システム及び送電装置、受電装置を、図5〜図6Bを参照しながら、説明する。本実施例では、ある受電装置に対する現在と過去の電力の伝送効率と、受電装置の蓄電残量とに基づいて、送電装置の送電電力を調整する。本実施例では、伝送効率を、現在と過去(1〜複数サイクル)の電力の伝送効率の履歴、換言すると累積発生率に基づいて、算出する
図5は、本実施例の送電装置と受電装置の処理を説明するフローチャートの例である。なお、受電電力最大化に関する構成とフローは実施例1と同一のため説明を省略する。(以下の各実施例でも同じ)
送電装置200は、電力調整部203を初期設定し、送電部202から初期設定送電を行う(S200)。受電装置100は初期設定送電S200を受電部102で受電し(S100)、受電電力が最大となるように、制御部105が受電部102を制御する(S101)。その後、電力検出部103で受電電力を検出する(S102)。そして、制御部105で蓄電部104の蓄電残量を検出し(S103)、検出した受電電力と蓄電残量に関する情報を通信部106で送電装置200に送信する(S104)。
【0045】
送電装置200は、受電電力、蓄電残量に関する情報を通信部206で受信した場合(S201)、制御部204で伝送効率を算出し(S202)、同じ受電装置100の現在と過去(1〜複数サイクル)の電力の伝送効率の履歴、すなわち伝送効率の累積発生率と受電装置の蓄電残量に基づいて、記憶部205に格納したテーブルや数式を用いて、制御部204で送電電力を設定する(S206)。送電電力は送電電力振幅で設定しても良いし、送電時間と停止時間との比で設定しても良い。そして、制御部204は電力調整部203を制御し、送電部202から設定した電力を送電する(S204)。その後、受電装置100は送電された電力を受電部102で受電する(S105)。以降、受電電力検出S102以降を繰り返す。
なお、受電電力検出S102と蓄電残量検出S103はどちらを先に実施しても良い。
【0046】
図6Aは、本実施例の送電電力の設定テーブルの一例を示す図である。また、図6Bは、同じ受電装置における伝送効率の履歴が異なる2つの例を示す図である。
図6Aの(A)は高い伝送効率の発生確率が高い場合の送電電力の設定例、(B)は低い伝送効率の発生確率が高い場合の送電電力の設定例を示している。図6Bの(A)は、図6Aの(A)に対応するもので、高い伝送効率の発生確率が高い場合の一例として、受電装置100が送電装置200から近い範囲100aを移動する例(100−1)を示している。図6Bの(B)は図6Aの(B)に対応するもので、低い伝送効率の発生確率が高い場合の一例として、受電装置100が送電装置200から遠い範囲100bを移動する例(100−2)を示している。
【0047】
どちらの場合においても、その時の伝送効率が高いほど送電電力は高く設定されるが、例えば送電電力を4段階に設定した場合、各段階の伝送効率の閾値は異なる。同じ受電装置100であっても、高い伝送効率の発生確率が高い、例えば距離的に近い領域内での移動履歴が多い場合は、閾値が高めに設定され、低い伝送効率の発生確率が高い、例えば距離的に遠い領域内での移動履歴が多い場合は、閾値が低めに設定される。
【0048】
また、送電電力は、伝送効率の発生確率に応じて、無段階に設定しても良いし、送電実施、送電停止の2値で設定するなどしても良い。また、例えば伝送効率の発生確率は受電装置ごとの分布から求めても良いし、いくつかの受電装置の伝送効率の発生確率を合計した分布から求めるなどでも良い。また、例えば過去1日の伝送効率から発生確率を求めても良いし、過去1時間の伝送効率から発生確率を求めるなどでも良い。
【0049】
なお、図6Aの(A)、(B)のテーブルに代えて、送電電力P(W)を、電力の伝送効率α(%)の履歴値、及び蓄電残量B(%)の関数として式で表現し、記憶部205に保持しても良い。
【0050】
以上、本実施例に係る無線電力伝送システムを適用すれば、現在の電力の伝送効率と過去の電力の伝送効率に基づいて、送電装置の送電電力を調整することで、高い伝送効率の発生頻度が高い受電装置へは、高い伝送効率時により多くの電力を伝送できるようになり、平均的にはより高効率に電力を伝送することができる。また、低い伝送効率の発生頻度が高い受電装置へは、低い伝送効率時にも十分な電力を伝送できるようになり、蓄電残量が下がりすぎる危険性をより低減することができる。
【実施例3】
【0051】
実施例3の無線電力伝送システム及び送電装置、受電装置を、図7〜図8を参照しながら、説明する。本実施例では、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量と受電装置の消費電力に基づいて、送電装置がその送電電力を調整する。
【0052】
図7は、本実施例の送電装置と受電装置の処理を説明するフローチャートである。
【0053】
送電装置200は、電力調整部203を初期設定し、送電部202から初期設定送電を行う(S200)。受電装置100は初期設定送電S200を受電部102で受電し(S100)、受電電力が最大となるように、制御部105が受電部102を制御する(S101)。その後、電力検出部103で受電電力を検出し(S102)、制御部105で蓄電部104の蓄電残量を検出する(S103)。そして、受電装置100の消費電力を制御部105で検出する(S106)。その後、検出した受電電力と蓄電残量と消費電力に関する情報を通信部106で送電装置200に送信する(S107)。
【0054】
送電装置200は受電電力、蓄電残量、消費電力に関する情報を通信部206で受信した場合(S207)、制御部204で伝送効率を算出し(S202)、伝送効率と蓄電残量と消費電力に基づいて、記憶部205に格納したテーブルや数式を用いて、制御部204で送電電力を設定する(S208)。送電電力は送電電力振幅で設定しても良いし、送電時間と停止時間との比で設定しても良い。そして、制御部204は電力調整部203を制御し、送電部202から設定した電力を送電する(S204)。その後、受電装置100は送電された電力を受電部102で受電する(S105)。以降、受電電力検出S102以降を繰り返す。
【0055】
なお、受電電力検出S102と蓄電残量検出S103と消費電力検出S106はどれを先に実施しても良い。
【0056】
図8は、同じ受電装置に対する2種類の送電電力の設定テーブルの例である。
図8の(A)は消費電力が大きい時の送電電力の設定例を示している。図8の(B)は消費電力が小さい時の送電電力の設定例を示している。どちらにおいても、伝送効率が高いほど、蓄電残量が低いほど、送電電力は高く設定されるが、消費電力の大きい時は消費電力の小さい時よりも送電電力を大きめに設定する。例えば、蓄電残量が30%で伝送効率が70%の場合、消費電力が大きい時は8W、消費電力が小さい時は6Wなどと設定する。また、図8では消費電力は2段階の設定になっているが、多段階や無段階に設定しても良い。また、消費電力は瞬時的な値を制御に用いるのではなく、ある時間の平均値を用いるなどしても良い。その際、消費電力の平均値は、受電装置で算出しても良いし、送電装置で算出しても良い。また、消費電力は蓄電残量と受電電力の履歴から算出しても良い。所定の時間における蓄電残量の変動量と受電電力の積分値の和が消費電力の積分値となる。
【0057】
なお、図8の(A)、(B)のテーブルに代えて、送電電力P(W)を、現在と過去の電力の伝送効率α(%)、蓄電残量B(%)及び消費電力C(W)の関数として、P=f(B,α,C)の式で表現し、記憶部205に保持しても良い。
【0058】
以上、本実施例に係る無線電力伝送システムを適用すれば、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量と受電装置の消費電力に基づいて、送電装置の送電電力を調整することで、受電装置の消費電力が大きい時は、より多くの電力を伝送し、蓄電残量が下がりすぎる危険性をより低減することができる。また、受電装置の消費電力が小さい時は、高い伝送効率時により多くの電力を伝送できるようになり、平均的にはより高効率に電力を伝送することができる。
【実施例4】
【0059】
実施例4の無線電力伝送システム及び送電装置、受電装置を、図9〜図11を参照しながら、説明する。本実施例では、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量に基づいて、受電装置が送電装置の送電電力を調整する。
【0060】
図9は、本実施例の無線電力伝送システムの構成例を示す図である。図9の受電装置300及び送電装置400のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0061】
受電装置300は、受電アンテナ101、受電部102、電力検出部103、蓄電部104、制御部301、記憶部302、通信部303、通信アンテナ107を有する。
【0062】
送電装置400は、送電アンテナ201、送電部202、電力調整部203、制御部401、通信部402、通信アンテナ207を有する。
【0063】
制御部301は、電力検出部103が検出した電力レベルと蓄電部104の蓄電残量と通信部303で受信した送電電力と記憶部302に格納した情報を取得し、通信部303を制御する。通信部303は通信アンテナ107を介して送電装置400と通信する。
【0064】
制御部401は、電力調整部203に設定した送電電力の情報を、通信部402を用いて受電装置300に送信する。また、制御部401は通信部402が受信した受電装置300の情報を取得し、電力調整部203を制御する。
【0065】
受電装置300には負荷として蓄電部104しかないが、他に携帯電話などの電子機器が接続していても良い。また、受電装置300が携帯電話などの電子機器に組み込まれていても良い。同様に、送電装置400も他の電子機器に組み込まれていても良い。また、蓄電部104は例えばリチウムイオン電池のような二次電池やコンデンサ、キャパシタなど、電力を貯蔵するものである。
【0066】
また、制御部301は通信部303から取得した情報や電力検出部103から取得した情報や蓄電部104から取得した情報などを記憶部302に格納しても良い。また、制御部301が算出し送電装置400に送付する情報を記憶部302に格納しても良い。記憶部302は例えばフラッシュメモリやハードディスク、SSDなどである。
【0067】
また、受電装置300を構成する各部は蓄電部104に蓄えられた電力で動作しても良いし、受電部102で受電した電力で動作しても良い。
【0068】
図10は、本実施例の送電装置と受電装置の処理を説明するフローチャートである。送電装置400は、電力調整部203を初期設定し、送電部202から初期設定送電を行う(S200)。受電装置300は初期設定送電S200を受電部102で受電し(S100)、受電電力が最大となるように、制御部105が受電部102を制御する(S101)。その後、電力検出部103で受電電力を検出する(S102)。
【0069】
そして、送電装置400は、電力調整部203の設定に基づく送電電力に関する情報を通信部402で受電装置300に送信する(S401)。受電装置300は通信部303で送電装置400から送信された情報を受信する(S301)。
【0070】
制御部301は、通信部303で受信した送電電力に関する情報と電力検出部103で検出した受電電力の情報を取得し、伝送効率を算出する(S302)。そして、制御部301は蓄電部104の蓄電残量を検出する(S103)。
【0071】
その後、算出した伝送効率と検出した蓄電残量に基づいて、記憶部302に格納したテーブルや数式を用いて、制御部301は送電装置に送電して欲しい電力である要求電力を設定し(S303)、通信部303は要求電力に関する情報を送電装置400に送信する(S304)。
【0072】
送電装置400は、要求電力に関する情報を通信部402で受信した場合(S402)、制御部401で送電電力を設定する(S403)。送電電力は送電電力振幅で設定しても良いし、送電時間と停止時間との比で設定しても良い。そして、制御部401は電力調整部203を制御し、送電部202から設定した電力を送電する(S204)。その後、受電装置300は送電された電力を受電部102で受電する(S105)。以降、受電電力検出S102以降を繰り返す。
【0073】
なお、受電電力検出S102と蓄電残量検出S103と送電電力に関する情報の受信S301はどれを先に実施しても良い。
【0074】
図11は、本実施例における、要求電力の設定テーブルの例を示す図である。この例では、伝送効率と蓄電残量に応じて10Wから0Wまで設定している。伝送効率が高いほど要求電力を高く設定し、蓄電残量が高いほど、要求電力を低く設定する。また、伝送効率と蓄電残量に応じて、無段階に要求電力を設定しても良いし、要求実施、要求停止の2値で設定するなどしても良い。
【0075】
この実施例でも、図11のテーブルに代えて、送電電力P(W)を、伝送効率と蓄電残量の関数、P=f(B,α)として式で表現し、記憶部205に保持しても良い。
【0076】
以上、本実施例に係る無線電力伝送システムを適用すれば、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量に基づいて、受電装置が送電装置の送電電力を調整することができ、平均的には効率の良い電力伝送を実現することができる。また、受電装置の蓄電残量が下がりすぎる危険性を低減することができる。
【0077】
また、受電装置が伝送効率を算出することで、複数の異なる送電装置を利用する場合においても、情報を一括管理することができる。例えば、受電装置が携帯電話に組み込まれ、送電装置が家やオフィス、商業施設などに複数設置されている場合、送電装置は膨大な数の受電装置を扱うことになるため、情報の管理が難しく構成が複雑になる。しかし、本実施例に係る無線電力伝送システムを適用すれば、個々の受電装置が自身の情報を管理するため、送電装置の構成を簡易にすることができる。
【0078】
また、実施例2のように、現在の電力の伝送効率と過去の電力の伝送効率に基づいて、要求電力を調整しても良い。また、実施例3のように、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量と受電装置の消費電力に基づいて、要求電力を調整しても良い。
【0079】
また、受電装置に伝送効率に関する情報を表示する表示部を追加し、伝送効率に関する情報を、受電装置を使用するユーザに示しても良い。伝送効率に関する情報を示すことで、より効率を意識した使い方を促すことができる。
【実施例5】
【0080】
実施例5の無線電力伝送システム及び送電装置、受電装置を、図12A〜図14を参照しながら、説明する。本実施例では、無線電力伝送空間として、シート状の誘電体を有する電力伝送媒体を用い、この電力伝送媒体を介して伝播するエバネッセント波を利用して、無線電力伝送や無線通信を行う。また、受電装置から受電電力の情報を取得せずに、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量に基づいて、送電装置がその送電電力を調整する、
まず、図12Aは、本発明の第5の実施例における、無線電力伝送システムの装置構成の概略を示す外観斜視図である。
無線電力伝送システム1000を構成する、送電装置600と受電装置500と残存電力検出装置710は、いずれも無線電力伝送空間700として機能する電力伝送媒体702の上面(もしくは側面)に接続される。送電装置600は電力伝送媒体702を介して受電装置500に電力を伝送する。そして、残存電力検出装置710は電力伝送媒体702内に残存している電力を検出する。
【0081】
電力伝送媒体702は、例えば、誘電体と導体からなるシート状の導波路で構成され、その上部の導体に例えば穴を開けたり、メッシュ状にしたりすることで、各装置間の電力伝送路として用いられる。すなわち、電力伝送媒体702は、内部に導波路構造を有する厚みがほぼ一定のシート状の誘電体と、この誘電体の一方の面に穴やメッシュ状に形成された金属性の導体部と、誘電体の他方面の全面に設けられた金属性の導体部とを備えている。メッシュ状の導体部によって囲まれる複数の矩形の開口部が、電磁波の波長よりも短い間隔で配置されている。送電装置600、受電装置500及び残存電力検出装置710は各々アンテナを備えており、これらの装置の各アンテナが電力伝送媒体702のメッシュ状の導体部上に配置される。電力は電力伝送媒体702内を伝播するため、送電装置600からアンテナを介して送電された電力のうちアンテナで受電装置500に受電されなかった電力の一部は、電力伝送媒体702内に残存する。誘電体内に、導波路に代えてコイルなどのインタフェースを形成しても良い。
【0082】
電力伝送媒体702は、例えば、オフィス内の机上の表面を覆うシートとして設置され、送電装置600である電源部から、受電装置500であるパソコン、携帯端末などに、無線で電力を供給する機能を有する。利用者が、パソコンや携帯端末を机上の任意の位置に置くだけで、電力の供給を受けることができる。
【0083】
電力伝送媒体702内を伝送される電力の強度は、送電装置600からの距離や受電装置500の設置状況に応じて、低減する。例えば、図12Aのように、矩形の電力伝送媒体702の一端近傍に送電装置600が位置し、電力伝送媒体702の他端近傍に残存電力検出装置710が位置する場合において、電力伝送媒体702上に受電装置500が1つも存在しないときは、送電装置600から送電される電力を100としたとき、残存電力検出装置710で検出される残存電力は、電力伝送媒体702の伝送効率による電力損失(=無負荷時電力損失)のために、例えば95になる。もし、電力伝送媒体702に受電装置500が1つ存在するときはこの受電装置500で所定の電力が受電され、残存電力検出装置710で検出される残存電力は例えば20となり、受電装置500が2つ存在するときはこれらの受電装置500で所定の電力が受電され、残存電力検出装置710で検出される残存電力の大きさが例えば10となる。
【0084】
図12Bは、図12Aの無線電力伝送システムにおける、電力伝送媒体702内を伝送される電力の強度を示す概略図である。電力は、図12Bの(A)、(B)に示すように、電力伝送媒体702内の位置によって電力強度が変化する。図12Bの(A)は電力伝送媒体702の端面で電力が反射する場合の例である。例えば、電力伝送媒体702の端面で上下の導体が短絡または開放していると反射する。
【0085】
送電装置600から放射された電波と電力伝送媒体702の端面で反射した電波とが干渉し、定在波が発生する。つまり、電力を強めあう場所と弱めあう場所が発生する。その間隔は、電力伝送に用いる周波数の電力伝送媒体702内での波長の4分の1である。従って、残存電力検出装置710は電力伝送媒体702上の2箇所以上で残存電力を検出することが好ましい。例えば、残存電力を検出するアンテナを電力伝送に用いる周波数の電力伝送媒体702内での波長の4分の1の間隔で配置すると、定在波の影響を軽減して残存電力を検出することができる。すなわち残存電力検出装置710を、波長の4分の1の間隔で2箇所以上に近接して配置された複数の残存電力検出装置で構成するのが望ましい。
【0086】
図12Bの(B)は電力伝送媒体702の端面で電力が反射しない場合の例である。例えば、電力伝送媒体702の端面で上下の導体が特定のインピーダンスで終端したり、電波吸収体を用いたりする場合である。この例では、送電装置600から放射された電波しか存在しないため、定在波は発生しない。この場合、残存電力検出装置710は電力伝送媒体702上の1箇所で残存電力を検出しても良い。
【0087】
なお、送電装置600と残存電力検出装置710は、電力伝送媒体702の側面や下面に配置されても良いし、一体化しても良い。また、送電装置600と残存電力検出装置710は同一の装置に組み込み一体化しても良い。また、残存電力検出装置710は、1つの電力伝送媒体702に2つ以上設置にしてもよい。
【0088】
また、電力伝送媒体702はシート状に限らず、ケーブル状であったり、立体構造であったりしても良い。
【0089】
図13は、本実施例の無線電力伝送システム1000の構成例を示す図である。
図13の受電装置500及び送電装置600のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0090】
受電装置500は、受電アンテナ101、受電部102、蓄電部104、制御部501、通信部502、通信アンテナ107を有する。
【0091】
送電装置600は、送電アンテナ201、送電部202、電力調整部203、制御部601、記憶部205、通信部602、通信アンテナ207を有する。
【0092】
残存電力検出装置710は、受電アンテナ711a、711b、受電部712a、712b、電力検出部713、制御部714、通信部715、通信アンテナ716を有する。
【0093】
制御部501は、蓄電部104の蓄電残量に関する情報を取得し、通信部502を制御する。通信部502は通信アンテナ107を介して送電装置600と通信する。
【0094】
制御部601は、通信部602が受信した受電装置500と残存電力検出装置710の情報と、記憶部205の情報を取得し、電力調整部203を制御する。
【0095】
受電部712aは、受電アンテナ711aを介して、送電装置600から送電され電力伝送媒体702内に残存した電力を受電し、電力検出部713に出力する。受電部712bは、受電アンテナ711bを介して、送電装置600から送電され電力伝送媒体702内に残存した電力を受電し、電力検出部713に出力する。電力検出部713は入力された電力レベルを検出する。制御部714は電力検出部713が検出した電力レベルの情報を取得し、通信部715を制御する。通信部715は、通信用信号を生成し、通信アンテナ716を介して送電装置600と通信する。
【0096】
なお、受電アンテナ711a、711bと通信アンテナ716は、ダイポールアンテナやパッチアンテナ、コイル、電極、共振器、カプラなど、電力伝送媒体702を介して無線電力伝送や無線通信が可能なインタフェースであればどのようなものでも良い。また、受電アンテナ711aまたは711bに通信アンテナ716の機能を持たせ、通信アンテナ716の機能を持たせた受電アンテナ711aまたは711bと通信部715をも接続しても良い。
【0097】
また、送電装置600と残存電力検出装置710が一体化された場合、電力検出部713が検出した電力レベルの情報を、制御部601が取得すれば良いため、制御部714と通信部715と通信アンテナ716は必要無い。
【0098】
また、残存電力検出装置710の全部または受電アンテナ711a、711bや電力検出部713など一部の構成は、電力伝送媒体702内の残存電力をより正確に検知するために電力伝送媒体702の複数の場所に設置しても良い。複数の場所に設置することで、電力伝送媒体702内の定在波などの影響で残存電力を過小または過大に検知する可能性が減少する。
【0099】
また、送電装置600の送電アンテナ201や送電部202や電力調整部203などの一部の構成部は、電力伝送媒体702内の任意の場所に電力を送電したり、大電力を送電したりするために電力伝送媒体702の複数の場所に設置しても良い。複数の場所に設置することで、電力伝送媒体702内の定在波などの影響で受電装置への電力の伝送効率が低下する可能性が減少する。
【0100】
また、受電装置500には負荷として蓄電部104しかないが、他に携帯電話などの電子機器が接続していても良い。また、受電装置500が携帯電話などの電子機器に組み込まれていても良い。同様に、送電装置600も他の電子機器に組み込まれていても良い。また、蓄電部104は例えばリチウムイオン電池のような二次電池やコンデンサ、キャパシタなど、電力を貯蔵するものである。
【0101】
また、制御部601は通信部602から取得した情報を記憶部205に格納しても良い。記憶部205は例えばフラッシュメモリやハードディスク、SSDなどである。
【0102】
また、受電装置500を構成する各部は蓄電部104に蓄えられた電力で動作しても良いし、受電部102で受電した電力で動作しても良い。
【0103】
図14は、本実施例における、送電装置と受電装置と残存電力検出装置の処理を説明するフローチャートである。
送電装置600は、電力調整部203を初期設定し、送電部202から初期設定送電を行う(S200)。受電装置500は初期設定送電S200を受電部102で受電する(S100)。同様に、残存電力検出装置710は受電部712で電力伝送媒体702内に残存している電力を受電し、電力検出部713で電力レベルを検出する(S700)。
【0104】
その後、制御部501は蓄電部104の蓄電残量を検出し(S103)、蓄電残量に関する情報を通信部502で送電装置600に送信する(S501)。同様に、制御部714は電力検出部713が検出した残存電力に関する情報を通信部715で送電装置600に送信する(S701)。
【0105】
送電装置600は残存電力に関する情報を通信部602で受信し(S601)、かつ、蓄電残量に関する情報を通信部602で受信し(S602)、制御部601で伝送効率を算出する(S603)。
【0106】
ここで、電力検出部713が検出した電力伝送媒体702内の残存電力は、送電装置600の送電電力(P0〜PN)から、受電装置500の受電電力(及び無負荷時電力損失)を引いた値に相当するとみなすことができる。従って、残存電力を受電装置500の受電電力に代替することにより、実施例1と同様に、伝送効率を算出することができる。
【0107】
これらの伝送効率と蓄電残量に基づいて、記憶部205に格納したテーブルや数式を用いて、制御部601で送電電力を設定する(S203)。送電電力は送電電力振幅で設定しても良いし、送電時間と停止時間との比で設定しても良い。そして、制御部601は電力調整部203を制御し、送電部202から設定した電力を送電する(S204)。
【0108】
その後、受電装置500は送電された電力を受電部102で受電する(S105)。同様に、残存電力検出装置710は電力伝送媒体702内に残存している電力を受電部712で受電し、電力検出部713で電力レベルを検出する(S702)。以降、蓄電残量検出S103以降を繰り返す。
【0109】
以上、本実施例に係る無線電力伝送システムを適用すれば、受電装置から受電電力の情報を取得せずに、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量に基づいて、送電装置の送電電力を調整することで、効率の良い電力伝送を実現することができる。また、受電装置の蓄電残量が下がりすぎる危険性を低減することができる。
【0110】
受電装置から受電電力の情報を取得する必要が無いため、受電装置の構成が簡易になり、さらに、受電装置と送電装置との間の通信量も低減する。
【0111】
なお、伝送効率が高い場合、残存電力は小さく、伝送効率が低い場合、残存電力は大きいため、残存電力を一定に保つように送電電力を制御しても良い。こうすることで、送電電力の設定が簡易になる。
【0112】
また、実施例2のように、現在の電力の伝送効率と過去の電力の伝送効率に基づいて、送電電力を調整しても良いし、実施例3のように、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量と受電装置の消費電力に基づいて、送電電力を調整しても良い。
【0113】
あるいはまた、図12Aにおいて、残存電力検出装置710を省略し、電力伝送媒体702上の受電装置500と送電装置600とが、前記各実施例のように、電力及び情報を送受する機能を有し、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量等に基づいて送電電力を算出し、受電装置もしくは送電装置が送電電力を調整するようにしても良い。
【実施例6】
【0114】
実施例6の無線電力伝送システム及び送電装置、受電装置を、図15〜図17を参照しながら、説明する。本実施例の無線電力伝送システム1000では、電力伝送媒体702上に受電装置が複数存在し、どの受電装置からも受電電力の情報を取得せずに、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量に基づいて、送電装置の送電電力を調整する。
【0115】
図15は、本実施例の無線電力伝送システムの概略を示す外観斜視図である。なお、図15の電力伝送媒体702と残存電力検出装置710は、実施例5に関して図12において既に説明したため、説明を省略する。
【0116】
送電装置900と受電装置800、810と残存電力検出装置710はいずれも電力伝送媒体702上に配置される。送電装置900は電力伝送媒体702を介して受電装置800、810に電力を伝送する。
【0117】
なお、送電装置900は複数の送電アンテナを持っても良い。また、送電装置900を複数設置しても良い。これらの送電電力を受電装置800、810の位置や送電電力に応じて調整すると良い。また、送電装置900と残存電力検出装置710は電力伝送媒体702の側面や下面に配置されても良いし、一体化しても良い。また、送電装置900と残存電量検出装置710は同一の装置に組み込み一体化しても良い。
【0118】
図16は、本実施例における、無線電力伝送システムの構成の例を示す図である。
図16の受電装置800及び送電装置900のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。また、受電装置800と受電装置810は同一構成であるため、受電装置810の説明を省略する。また、残存電力検出装置710は図13において既に説明したため、説明を省略する。
【0119】
受電装置800は、受電アンテナ101、受電スイッチ801、受電部102、蓄電部104、制御部802、通信部803、通信アンテナ107、を有する。
【0120】
送電装置900は、送電アンテナ201a、201b、送電部202a、202b、電力調整部203、制御部901、記憶部205、通信部902、通信アンテナ207を有する。
【0121】
制御部802は送電装置900から通信部803を介して受電量の制御に関する指示を受ける。その指示に基づいて、制御部802は受電スイッチ801を制御する。また、制御部802は蓄電部104の蓄電残量に関する情報を取得し、通信部803を制御する。そして、通信部803は通信アンテナ107を介して送電装置900と通信する。
【0122】
制御部901は、通信部902が受信した受電装置800、810と残存電力検出装置710の情報と、記憶部205の情報を取得し、受電装置800、810の受電制御を指示するため、通信部902を介して受電装置800、810と通信する。また、制御部901は電力調整部203を制御し、設定した電力を送電する。
【0123】
また、送電装置900の送電アンテナ201a、201bや送電部202a、202bや電力調整部203などの一部の構成部は、電力伝送媒体702内の任意の場所に電力を送電したり、大電力を送電したりするために電力伝送媒体702の複数の場所に設置しても良い。複数の場所に設置することで、電力伝送媒体702内の定在波などの影響で受電装置への電力の伝送効率が低下する可能性が減少する。
【0124】
なお、受電スイッチ801は受電アンテナ101と受電部102とを接続したり、切断したりするスイッチでも良いし、受電アンテナ101や受電部102のインピーダンスを調整するインピーダンス調整部として機能しても良いし、受電アンテナ101を電力伝送媒体702から遠ざける受電アンテナ位置調整部として機能しても良い。
【0125】
また、受電装置800には負荷として蓄電部104しかないが、他に携帯電話などの電子機器が接続していても良い。また、受電装置800が携帯電話などの電子機器に組み込まれていても良い。同様に、送電装置900も他の電子機器に組み込まれていても良い。また、蓄電部104は例えばリチウムイオン電池のような二次電池やコンデンサ、キャパシタなど、電力を貯蔵するものである。
【0126】
また、制御部901は通信部902から取得した情報を記憶部205に格納しても良い。記憶部205は例えばフラッシュメモリやハードディスク、SSDなどである。
【0127】
また、受電装置800を構成する各部は蓄電部104に蓄えられた電力で動作しても良いし、受電部102で受電した電力で動作しても良い。
【0128】
図17は、本実施例における、送電装置と受電装置と残存電力検出装置の処理を説明するフローチャートである。
送電装置900は、電力調整部203を初期設定し、送電部202から初期設定送電(P0)を行う(S200)。受電装置800は初期設定送電S200を受電部102で受電する(S100a)。同様に、受電装置810も受電する(S100b)。また、残存電力検出装置710は受電部712で電力伝送媒体702内に残存している電力Pxを受電し、電力検出部713で電力レベルを検出する(S700)。
【0129】
その後、制御部802は蓄電部104の蓄電残量を検出し(S103a)、蓄電残量に関する情報を通信部502で送電装置900に送信する(S501a)。同様に、受電装置810においても、蓄電残量を検出し(S103b)、蓄電残量に関する情報を送電装置900に送信する(S501b)。また、制御部714は電力検出部713が検出した残存電力に関する情報を通信部715で送電装置600に送信する(S701)。
【0130】
送電装置900は残存電力に関する情報を通信部902で受信し(S601)、かつ、蓄電残量に関する情報を通信部902で受信した場合(S602)、制御部901で伝送効率を算出し(S603)、伝送効率と蓄電残量に基づいて、記憶部205に格納したテーブルや数式を用いて、受電装置800、810の受電制御を決定し、通信部902で受電制御の内容を受電装置800、810に送信する(S901)。
【0131】
受電装置800は、受電制御の指示を通信部803で受信し(S801a)、制御部802は受信した指示に基づいて、受電スイッチ801を制御する(S802a)。同様に、受電装置810も、受電制御の指示を受信し(S801b)、受電制御する(S802b)。
【0132】
そして、送電装置900は伝送効率と蓄電残量に基づいて、制御部901で送電電力を設定する(S203)。送電電力は送電電力振幅で設定しても良いし、送電時間と停止時間との比で設定しても良い。そして、制御部901は電力調整部203を制御し、送電部202から設定した電力(P11,P12)を送電する(S204)。
【0133】
その後、受電装置800は送電された電力を受電部102で受電する(S105a)。同様に、受電装置810も送電された電力を受電する(S105b)。また、残存電力検出装置710は電力伝送媒体702内に残存している電力Pyを受電部712で受電し、電力検出部713で電力レベルを検出する(S702)。以降、蓄電残量検出S103a以降を繰り返し、送電部202から設定した電力(PN1,PN2)を送電する(S204)。
【0134】
以上、本実施例に係る無線電力伝送システムを適用すれば、複数の受電装置が存在していても、受電装置から受電電力の情報を取得せずに、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量(Px,Py)に基づいて、送電装置の送電電力を調整することで、任意の受電装置に対して効率の良い電力伝送を実現することができる。また、受電装置の蓄電残量が下がりすぎる危険性を低減することができる。
【0135】
受電装置から受電電力の情報を取得する必要が無いため、受電装置の構成が簡易になり、さらに、受電装置と送電装置との間の通信量も低減する。
【0136】
また、大電力を要求する受電装置と小電力を要求する受電装置が混在していても、受電制御を指示することにより、大電力を要求する受電装置と小電力を要求する受電装置の両方にそれぞれ所望の電力を伝送することができる。また、小電力を要求する受電装置に大電力を供給し、受電装置を破壊する危険性も回避できる。
【0137】
また、電力を伝送したい受電装置の周囲に、他の受電装置が存在する場合、周囲の他の受電装置に電力を受電されてしまい、電力を伝送したい受電装置に電力を伝送できない可能性があるが、本実施例に係る無線電力伝送システムを適用すれば、周囲の他の受電装置の受電制御により、電力を伝送した受電装置に電力を伝送することができる。
【0138】
なお、伝送効率が高い場合、残存電力は小さく、伝送効率が低い場合、残存電力は大きいため、残存電力を一定に保つように送電電力を制御しても良い。こうすることで、送電電力の設定が簡易になる。
【0139】
また、実施例2のように、現在の電力の伝送効率と過去の電力の伝送効率に基づいて、送電電力を調整しても良いし、実施例3のように、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量と受電装置の消費電力に基づいて、送電電力を調整しても良い。
【0140】
また、1つの電力伝送媒体702上に、受電装置のみならず送電装置も複数存在するシステムにも、本発明を適用できる。この場合、各受電装置は、より電力の伝送効率の良い側の送電装置との間で、電力の送受を行うようにすれば良い。この例でも、電力の伝送効率と受電装置の蓄電残量に基づいて、各送電装置から各受電装置への送電電力を調整する。
【0141】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0142】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0143】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0144】
100、300、500、800、810 受電装置、
100a、100b 受電装置の移動範囲、
101、711 受電アンテナ、
102、712 受電部、
103、713 電力検出部、
104 蓄電部、
105、204、301、401、501、601、714、802、901 制御部、
105a 最大化制御部、
105b 適応制御部、
106、206、303、402、502、602、715、803、902 通信部、
107、207、716 通信アンテナ、
200、400、600、900 送電装置、
201 送電アンテナ、
202 送電部、
203 電力調整部、
204 制御部、
204a 適応制御部、
205、302 記憶部、
700 無線電力伝送空間、
702 電力伝送媒体、
710 残存電力検出装置、
801 受電スイッチ、
1000 無線電力伝送システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置と受電装置との間で無線により電力を伝送する無線電力伝送システムであって、
前記送電装置は、電力を送電する送電部と、前記送電する電力を調整する電力調整部とを有しており、
前記受電装置は、前記電力を受電する受電部と、前記送電装置から受電した電力を蓄積する蓄電部とを有しており、
前記送電装置と前記受電装置間における前記電力の伝送効率と、前記蓄電部の蓄電残量とに基づいて、前記送電装置からの送電電力の大きさを調整する機能を有する
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記伝送効率が高いほど前記送電電力を高く設定し、前記蓄電残量が高いほど、前記送電電力を低く設定する
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記伝送効率は、前記伝送効率の履歴に基づいて算出され、
前記伝送効率の履歴において高い伝送効率の発生確率が高いほど、前記送電電力を大きくする閾値が高くなるように、前記送電電力を調整する
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記受電装置の消費電力を算出し、
前記消費電力の大きい時は該消費電力の小さい時よりも前記送電電力が大きくなるように、前記送電装置からの前記送電電力を調整する
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項5】
請求項1において、
電力を伝送する電力伝送媒体と、
前記電力伝送媒体内の残存電力を検出する残存電力検出部とを備え、
前記電力伝送媒体は、誘電体と、該誘電体を挟んでその上下両面に形成された一対の導体からなり、
前記電力伝送媒体を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送し、
前記残存電力検出部で前記電力伝送媒体内の残存電力を検出し、
前記電力伝送媒体内の残存電力と前記蓄電部の蓄電残量とに基づき、前記電力の伝送効率を算出する
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記受電装置は受電量の調整部を備え、
前記電力の伝送効率と、前記蓄電残量に基づいて、前記受電量の調整部を制御する
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項7】
請求項1において、
前記送電電力の大きさの調整は送電信号の振幅の調整、もしくは送電時間の調整によって行う
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項8】
請求項1において、
前記受電装置から受電電力を前記送電装置に送信し、該送電装置で前記伝送効率を算出する
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項9】
請求項1において、
前記送電装置から送電電力を前記受電装置に送信し、該受電装置で前記伝送効率を算出する
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項10】
請求項5において、
前記電力伝送媒体の端面で前記一対の導体が短絡または開放しており、
前記残存電力検出装置は、前記電力伝送媒体上の複数の箇所に設置され、
前記複数の残存電力検出装置の配置間隔は、前記電力の伝送に用いる周波数の前記電力伝送媒体内での波長の4分の1である
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項11】
請求項5において、
前記電力伝送媒体はその端面で電力が反射しない構成を有しており、
前記残存電力検出装置は前記電力伝送媒体の1箇所に設置されている
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項12】
請求項5において、
前記電力伝送媒体に、少なくとも1つの前記送電装置と、複数の前記受電装置と、少なくとも1つの前記残存電力検出装置とが接続され、
前記電力伝送媒体内の残存電力と前記受電装置の前記各蓄電部の蓄電残量とに基づき、前記各受電装置における前記電力の伝送効率を算出及び送電電力が算出される
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項13】
無線により受電装置に電力を送電する送電部と、
該送電する電力を調整する電力調整部と、
無線により前記受電装置と通信する通信部と、
制御部とを備え、
前記受電装置から、送電受電電力及び蓄電残量の情報を取得し、
送電した電力の伝送効率を算出し、該伝送効率と前記電残量に基づいて、
前記送電電力の大きさを調整する
ことを特徴とする送電装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記伝送効率が高いほど前記送電電力を高く設定し、前記蓄電残量が高いほど、前記送電電力を低く設定する
ことを特徴とする送電装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記伝送効率は、前記伝送効率の履歴に基づいて算出され、
前記伝送効率の履歴において、高い伝送効率の発生確率が高いほど、前記送電電力を大きくする閾値が高くなるように、前記送電電力を調整する
ことを特徴とする送電装置。
【請求項16】
請求項14において、
電力を伝送する電力伝送媒体に接続され、
前記電力伝送媒体は、誘電体と、該誘電体を挟んでその上下両面に形成された一対の導体からなり、
前記電力伝送媒体を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送し、
前記電力伝送媒体内の残存電力の情報と前記蓄電部の蓄電残量とに基づき、前記電力の伝送効率を算出する
ことを特徴とする送電装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記電力の伝送効率と、前記蓄電残量に基づいて、前記受電装置に受電制御を指示し、前記送電電力を調整する
ことを特徴とする送電装置。
【請求項18】
無線により送電装置から電力を受電する受電部と、
受電した電力を検出する電力検出部と、
受電した電力を蓄積する蓄電部と、
無線により前記送電装置と通信する通信部と、
制御部とを備え、
前記送電装置から受電制御の指示を受け、該受電制御を行い、
前記送電装置から送電された電力と前記受電部で受電した電力との比である前記電力の伝送効率と、前記蓄電部の蓄電残量とに基づいて、受電量の調整を行う
ことを特徴とする受電装置。
【請求項19】
請求項18において、
前記送電装置から受信した前記電力の伝送効率と、前記蓄電部の蓄電残量とに基づいて、要求電力を設定し、
前記送電装置に前記要求電力を送信する
ことを特徴とする受電装置。
【請求項20】
請求項18において、
電力を伝送する電力伝送媒体に接続され、
前記電力伝送媒体は、誘電体と、該誘電体を挟んでその上下両面に形成された一対の導体からなり、
前記電力伝送媒体を介して前記送電装置からの電力を受信し、
前記電力伝送媒体内の残存電力の情報と前記蓄電部の蓄電残量とに基づき、前記電力の伝送効率を算出する
ことを特徴とする受電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−125112(P2012−125112A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276099(P2010−276099)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】