説明

無線ICタグ読取りシステム

概して、本開示は、無線ICタグ(RFID)読取りシステムを開示する。具体的には、このRFID読取りシステムは、好ましくは携帯式であり、少なくとも1つのRFIDタグ付き関心対象物の存在及びおよその位置の両方を決定するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグ(RFID)読取りシステムに関する。具体的には、このRFID読取りシステムは、好ましくはポータブルであり、少なくとも1つのRFIDタグ付き関心対象物の存在及び概略位置の両方を決定するものである。
【背景技術】
【0002】
無線ICタグ(RFID)技術は、輸送、製造、廃棄物管理、郵便物の追跡、航空機での手荷物照合、及び有料道路の通行料金管理を含む、実質的に全ての産業において幅広く使用されるようになった。RFIDシステムは、図書館あるいは小売店のような保護されたエリアから許可なく物品が取り出されることを防ぐためにしばしば使用される。
【0003】
RFIDシステムは、多くの場合、保護される物品に取り付けられたRFIDタグを検出するための、保護領域の出口付近に配置される問い合わせゾーン又は通路を含む。それぞれのタグは、通常、それが取り付けられる物品を一意的に識別する情報を含む。物品は、本、製造物品、車両、動物若しくは個人、又は実質的にいかなる他の有形の物品であってもよい。また、特定の用途に必要とされる追加データが物品に提供され得る。
【0004】
タグを検出するために、RFリーダは、アンテナを通してRF信号を出力し、問い合わせ通路内に電磁界を創出する。この電磁界は、通路内のタグを作動させる。そして、タグが特徴的な応答を生成する。具体的には、いったん作動されると、タグは、所定のプロトコルを使用して通信し、RFIDリーダが通路内の1つ以上のタグから識別情報を受信できるようにする。
【0005】
既知の多様な無線周波数(「RF」)アンテナ及びRFIDシステムがあり、例えば、米国特許第4,012,740号、同第6,486,780号、同第5,030,959号、日本国特許第2006−050477号、同第2005−269403号、同第2005−195341号、及び英国特許第2,388,963号などである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
利用可能なRFID読取りシステムは目覚しい商業的成功を収めてきたが、関心対象の物品の存在のみでなくより多くの情報を使用者に提供するために、既存のポータブルRFIDシステムの性能を更に改善することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点は、ポータブル無線識別(「RFID」)読取りシステムを提供する。少なくとも1つのRFIDタグ付き関心対象物の位置を使用者が決定するのを助けるためのポータブルRFID読取りシステムは、コンピュータと、ユーザーインターフェイスと、RFID読取り器と、電磁界を生成するためのアンテナとを具備するものであり、このアンテナは、ローブ電界構成(lobe field arrangement)と零電界構成(null field arrangement)との間を電子的に切り替えて、RFIDタグ付き関心対象物の存在及びおよその相関的位置を決定することができる。
【0008】
本発明の別の観点は、ポータブルRFID読取りシステムを提供する。少なくとも1つのRFIDタグ付き関心対象物の位置を使用者が決定するのを助けるためのこのポータブルRFID読取りシステムは、コンピュータと、ユーザーインターフェイスと、RFID読取り器と、電磁界を生成するためのアンテナアレイとを具備するものであり、このアンテナアレイは第1の無線周波数(「RF」)要素と第2のRF要素とを備え、この第1のRF要素と第2のRF要素とが同相駆動されてローブ電界構成を生成し、この第1のRF要素と第2のRF要素とが位相外れで駆動されて零電界構成を生成するものであり、このアンテナアレイをローブ電界構成と零電界構成との間で電子的に切り替えて、RFIDタグ付き関心対象物の存在及びおよその相対的位置を決定することが可能である。
【0009】
本発明の上記の「課題を解決するための手段」は、本発明が開示する各実施形態又は全ての実施例を説明することを意図するものではない。次に続く図面及び詳細説明が、例証となる実施形態をより具体的に例示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は添付図面を参照して更に説明されるが、その際、同様の構造は、いくつかの図面を通して同様の数字によって参照される。
【図1】本発明のポータブルRFID読取りシステムの一実施形態の斜視図。
【図2】ベースハウジングの一部分が取り除かれた、図1のRFID読取りシステムの側面図。
【図3】図1のRFID読取りシステムのブロック図。
【図4】ローブ電界構成及び零電界構成の両方を図示するアンテナパターン。
【図4a】図4の零電界構成を図示する三次元図。
【図4b】図4のローブ電界構成を図示する三次元図。
【図5】ローブ電界構成及び零電界構成の両方を含む図1のRFID読取りシステム。
【図6A】3つの異なる位置での、ローブ電界構成及び零電界構成を提供する図1のRFID読取りシステムの略図。
【図6B】3つの異なる位置での、ローブ電界構成及び零電界構成を提供する図1のRFID読取りシステムの略図。
【図6C】3つの異なる位置での、ローブ電界構成及び零電界構成を提供する図1のRFID読取りシステムの略図。
【図7a】いくつかのRFIDタグ付き物品を有する一室の概略立面図を図示。
【図7b】本発明のRFID読取りシステムの使用者の移動時間を最小化する経路を含む、図7aと類似の図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一般に、多様なRFアンテナ及びRFIDシステムは、RFIDタグを通常有する特定の関心対象品の存在を決定するものとして既知である。しかし、使用者に対するRFIDタグ付き物品の実際の位置を決定し、使用者が探している品を見つけるために使用者に行き方を提供するシステムは少ない。本発明のRFID読取りシステムは、使用者が探しているRFIDタグ付き物品の存在を決定することと、使用者がRFIDでスキャニングしたエリアに対するその物品のおよその位置を直ちに提供することとの両方において使用者を支援する。以下に詳述するように、このRFID読取りシステムは、この目的を達成するために異なる電磁界構成を使用して、RFIDタグ付き関心対象品に対する読取り器のおよその距離及び角度方向を感知することにより、そのような物品の概略位置を使用者に提供する。
【0012】
RFIDタグは、典型的に、動作可能にアンテナに接続された集積回路を含み、この集積回路は、ソースから無線周波数(「RF」)エネルギーを受信し、RFエネルギーを当該技術において周知のやり方で後方散乱する。後方散乱されたRFエネルギーはRFIDタグが調節した信号を提供して、RFIDタグ及びそれに関連付けられた物品に関する情報を通信する。請求項を含む本明細書で使用される物品のようなRFIDタグ付き品は、何らかの方法で品に関連付けられたRFIDタグを指す。例えば、RFIDタグを接着剤で品に取り付けること、若しくはファイルのような品に埋め込むこと、又は、RFIDタグをその品の近くに位置づけることができる。
【0013】
図1及び2は、本発明のRFID読取りシステムの一実施形態を示す。RFID読取りシステム10は、ポータブル又は携帯式RFID読取りシステムの例である。図1は、使用者の手で保持できる手持ち式のシステムの実施形態を例示しているが、システムをポータブルにする他の構成も想像される。例えば、RFID読取りシステム10を移動式カートに取り付けることができる。
【0014】
図1及び2を参照すると、本発明のRFID読取りシステム10は、好ましくは、コンピュータ12と、ユーザーインターフェイス14と、RFID読取り器16と、アンテナ38とを含む。好ましくは、図1及び図2が示すように、コンピュータ12、ユーザーインターフェイス14、RFID読み取り器16、及びアンテナ38の全てが、単一の一体化されたユニットで提供される。好ましくは、アンテナ38はアンテナ要素のアレイである。図1及び2では、RFID読取りシステム38は、第1のアンテナ要素40と第2のアンテナ要素42との2つのアンテナ要素を含む。このシステムのユーザーインターフェイス14は、検索のステータスを通信することと、所望により使用者がデータを入力することとを可能にするように設計される。ユーザーインターフェイス14の1つの実施例は、使用者を特定の品に導くために有用な表示44と表示灯46A、46Bとを含む。しかし、ユーザーインターフェイス44は多くの形態を採ることができ、例えば、ユーザーインターフェイスは、特定の音のような可聴インジケータ、又は振動のような触覚的に感知されるインジケータを含む、使用者を特定の品に導く多様なフィードバックシステムを含むことができる。ユーザーインターフェイス44は、使用者が情報をRFID読取りシステム10に入力することを可能にするキーパッドを含むことができるか、又は表示に記載された品を選択するために上下にカーソルを動かすためのキーを含むことができるか、又はタッチスクリーン表示を含むことができる。ユーザーインターフェイスは、RFIDタグが問合せソースからの問合せを受信すべき速度に応じて使用者がペースを保つために、又は読取り器10に対するRFIDタグのおよその位置を指示するために、所望の間隔で繰り返し生成される音声信号を含むことができる。ユーザーインターフェイス44は、ユニットと一体化するか、又は分離させることができる。分離させる場合、使用者が、見ること、感知すること、又は聞くことが容易にできる「着用可能な」デバイスを含む、多様な方法で設計することができる。
【0015】
また、読取りシステム10は、本明細書に記述したタイプの多様な機能を可能にするために、RFID書込み器、電源18、及びソフトウェアを含むことが好ましい。RFID読取り器/書込み器は、市販の読取り器であるWJコミュニケーションズ(WJ Communications, Inc.)(カリフォルニア州サンノゼ)のパーツ番号MPR7000を含むことができる。コンピュータとしては、例えば、スリーコム社(3Com Company)(カリフォルニア州サンタクララ)から入手可能な「パームトップ(palm-top)」すなわち手持ち携帯コンピュータである「パームパイロット(Palm Pilot)」(登録商標)を提供できる。あるいは、3M社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)の市販の3M 803 RFID読取りシステムと類似のコンピュータでもよい。ポータブルコンピュータは、オペレーティングシステムと、タッチスクリーンディスプレイと、ユーザーインターフェイスを発展させるいくつかのボタンと、再充電ステーションと、別のコンピュータとこのシステムとの間でデータ転送するためのドッキングステーションと、ポータブルRFID読取りシステムに周辺機器を接続するための1つ以上のポートと、蓄電池電源18とを含むことができる。また、いくつかの装置は、バーコードスキャナーのような組込み周辺機器も含む場合がある。ファインダーは、上記3M製品に備え付けられていた。
【0016】
上述のパームパイロット(Palm Pilot)又は他のPDAのようなポータブルコンピュータの使用によって、以下に記述したタイプの多数の実時間機能を実現できることは、RFID読取りシステムと離れたコンピュータ、データベース、ソフトウェアシステム等とが相互作用する必要があるシステムとは対照的である。
【0017】
このRFID読取りシステムは、また、一体式電源を含むことが好ましいが、使用者の手首に巻いて着用できるタイプの、より大きい電源と連結してもよい。一体式電源の場合、この電源はプロセッサに給電してもしなくてもよく、ドッキングステーションに接続したときに再充電することができる。携帯式コンピュータを使用するときは、コンピュータは独自の電源を含むことができ、情報のアップロード及び/又はダウンロードのためにドッキングステーションに接続されたときに再充電することができる。
【0018】
ポータブルRFID読取りシステム10と別のプロセシングステーションの間でデータを転送するための数多くのオプションがある。データをアップロード又はダウンロードするために、ドッキングステーションのアプローチを使用できる。この方法を使用して、例えば、具体的な物品の検索を実行する前に品の識別情報をアップロードすることができる。リンクは、RFID読取りシステム10と別のプロセッサとの間のドッキングステーションとして、又は無線若しくはケーブルによるダウンロード及び/又はアップロードとして、又は無線又はケーブルによる実時間のリンクとして、又は他の任意の、そのようなデータの転送に好適なやり方で、実施することができる。
【0019】
好ましくは、RFID読取りシステム10は、アンテナ要素40、42と、ハンドル部分36と、ベース部分34とを支持する支持部材50を含む。ユーザーインターフェイス14及びコンピュータ12は、ハンドル部分の上に実装される。ベース部分34は、ベース部分に実装された複数の構成要素(電圧又は電力調整器22、慣性センサー20、電力スプリッター24、位相制御回路26、マイクロコントローラ28、減衰器52、及び蓄電池18のような電源)を含む。図3は、これらの構成要素のほとんどを示すブロック図であり、RFID読取り器16とアンテナ38の相互接続方法の説明に便利である。RFID読取り器16を2つのアンテナ要素40、42に相互接続するために、RFID読取り器16からの信号を電力スプリッタ24で分割してから位相制御回路26に接続し、次にそれを2つのアンテナ要素40、42に接続する。この構成は、信号経路を同時に送信及び受信する働きをする。
【0020】
アンテナアレイ38のRFIDアンテナ要素40、42は、1/2波長間隔で置かれるのが好ましい。一実施形態で使用されるアンテナ要素は、915MHz八木アンテナである。そのようなアンテナは導波器と、リフレクタと、被駆動構成要素とを含む。市販の八木アンテナの一例は、ラムジーエレクトロニクス(Ramsey Electronics)から入手可能である。パーツ番号LPY915のこれらのアンテナを、ニューヨーク州ビクター所在のラムジーエレクトロニクス(Ramsey Electronics)からhttp://www.ramseyelectronics.comを介して購入した。米国特許第6,307,521号は、被駆動構成要素とのインピーダンスマッチを開示している。
【0021】
RFID読取りシステム10は、好ましくは、アンテナ38に対するRFIDタグ付き関心対象品の概略の機首方位、方位、経路、又は位置の計算を支援する慣性センサー20を少なくとも1つ含む。慣性センサー20は、水平面(xy面)での回転を感知する角速度センサーであり、ここで、速度信号をいったん積分して、水平面での相対的な角配向を算出する。ここで述べておくが、角速度センサーは北又は西のような絶対角配向を決定することはできないが、何度回転されたか、及びその角動作の方向が時計回りか反時計回りかを決定できる。1つ以上の慣性センサー20を使用することは、より確実な位置の提供を支援することになる。好適な慣性センサーの一例は、パーツ番号ADIS16100としてアナログデバイシズ(Analog Devices, Inc)(マサチューセッツ州ノーウッド)から市販されているものである。現在利用可能な慣性センサーは、RFIDタグ付き関心対象品の精密又は正確な位置を決定できないが、やがて技術の改善につれて精密度が増加するものと期待される。しかし、現在市販されているセンサーは、RFID読取りシステム10に対するRFIDタグ付き関心対象品の概略の方向を多様なやり方で提供することによって、タグ付き関心対象品に対する概略の機首方位、方位、経路又は位置を提供し、使用者がRFIDタグ付き関心対象物を位置決めするのを支援することができる。当業者は、特定の任意の用途に望ましい、位置の精密さ又は正確さにとって適切な市販の入手可能な慣性センサーを選択できる。
【0022】
好ましい一実施形態では、RFID読取りシステム10は、電波スペクトルの極超短波帯(UHF)で動作するように構成される。しかし、RFID読取りシステム10は、電波スペクトルの他の周波数帯、例えば高周波数帯で、動作するように構成することもできる。
【0023】
更に詳述するように、ポータブルRFID読取りシステム10は、物品のレンジ内で起動されたとき、又はRFIDタグ付き品がローブ電界若しくは零電界構成内であるときはいつでも、RFIDタグ付き物品を問合せ、識別することができる。例えば、システムと関連付けられたトリガ48によって断続的な起動を提供して、RFIDシステム10に電力が要求される経過時間を最小化することができる。読取り距離は多くの因子の関数であるが、現在の技術と、システムが動作することが予想される周波数とを鑑みると、最高9.14メートル(30インチ)が期待される。いくつかの用途では、デバイスの動作レンジを制限することによって、より近いレンジで物品と関連付けられたRFIDタグのみをデバイスが問い合わせるようにすることが望ましい場合がある。好ましくは、RFID読取りシステム10がタグ付き関心対象品に近づくにつれて出力電力が減少する。その他の場合は、最長の利用可能な動作レンジが望まれる。他の用途では、蓄電池パックからのより長い連続動作を可能にするために出力電力(したがって読取りレンジ)を制御することが好ましい場合がある。読取りレンジはアンテナの設計及びアンテナに対するRFIDタグの配向によってもまた影響されることになる。読取りレンジ、蓄電池重量、及び蓄電池の再充電又は交換までの寿命がしばしば互いに依存しあうことを理解すべきである。デバイスの特定の用途に基づく多様なトレードオフを想定できる。
【0024】
動作に際して、ポータブルシステムの特に有用な機能は、読取りシステム10がスキャンした物品に関する実時間の情報を得ることである。すなわち、ポータブルRFID読取りシステムはRFIDタグから情報を得て、その情報を直ちに表示するか、又はそのタグ付き物品に関連する、システム内に保管された情報を直ちに表示する。このことは、使用者に対して情報が表示される前に離れた情報データベースとドッキングするか、さもなければ通信しなくてはならないデバイスとは対照的である。本発明のポータブルRFID読取りシステムは、離れたデータベースとドッキング又は通信する機能が望まれる場合には、そのようにすることもできる。
【0025】
図4、4a、4bは、RFID読取りシステム10によって生成された多様な電界構成を説明するのに便利である。図4は、本発明のRFID読取りシステム10によって作り出される電磁界の実際の試験データを図示する2次元のアンテナパターンであり、xy平面を通る零電界構成70の一実施形態と、ローブ電界構成60の一実施形態とを含む。図4a及び4bは図4と同じ電磁界の三次元表現を図示し、図4aは零電界構成70を表し、図4bはローブ電界構成60を表す(図4aはアンテナパターンの部分的表面の表現を図示する)。下記に詳述するように、ローブ構成及び零構成は、RFIDタグ付き物品の位置を特定するのに有用である。
【0026】
ポータブルRFIDデバイスが物理的に小さいこと、つまりRFIDデバイスの可動性を改善することは、多くの場合、便利である。しかし、使用されている波長に対してアンテナが電気的に小さいとき、アンテナはあまり指向性でない。概して、指向性は、与えられた周波数に対するアンテナのサイズに比例する。そのような電気的に小さいアンテナは、物品の有無を検出するために有用であるが、物品が見つかる場所のおよその方向を提供するには有用でない。本明細書で使用される用語「電気的に小さい」とは、使用される波長の10分の1以下の物理的寸法を有するアンテナを指す。より大きいアンテナは、より小さいアンテナより大きい指向性を有する。より高い指向性を有する電気的に大きいアンテナを、アレイ内の要素である電気的に小さい低指向性アンテナのアレイを用いて創出することができる。本発明では、より小さいアンテナのアレイを形成してより大きいアンテナを創出することで、より指向性の大きいアンテナを創出する。RFアレイ要素40、42の間隔及び相対的位相同期は、アンテナアレイ38の性能を決定する上で重要な因子である。RF要素40、42の位相は電子的に制御することができ、そのようなアンテナアレイ38は、一般に「フェイズドアレイアンテナ」と呼ばれる。一実施形態では、RFアレイ要素は最適な性能のために1/2〜1波長間隔にするのが好ましい。一実施形態では、アンテナ要素40、42はy方向に1/2波長、離間される。したがって、アレイ38内のアンテナ要素の数が増加するにつれて、アンテナ38のサイズが増し、概して、アンテナの指向性は改善される。アンテナの指向性の増加が言及されるとき、アンテナの主ローブ電界の角度幅が減少することを意味する。そのような主ローブ電界の角度幅の一例は図4に図示した角度αであり、角度αはローブ電界構成の電力半値角を表す。一実施形態で、角度αは約115°である。しかし、当業者は、所望の用途に依存して他の角度を選択できる。図4で、主ローブ電界は参照番号60aとして示され、副ローブ電界は参照番号60bとして示されている。主ローブ電界は典型的にアンテナ38の真正面にあり、副ローブ電界は典型的にアンテナ38の真後ろにある。好ましい実施形態では、副ローブ60bは最小化又は排除される。アンテナアレイは、また、RF信号の放射又は受信においてアンテナが無効である零点又は角度領域を有するように設計してもよい。零電界構成の一例を、零点72を提供する、70aと指定された1つのローブ部分及び70bと指定されたもう1つのローブ部分を有する図4に図示する。好ましい一実施形態では、角を成す零領域72は主ローブの角度幅と比べて狭い場合がある。そのような主零電界の角度幅の一例は図4に図示した角度βであり、角度βは零電界構成の電力半値角を表す。一実施形態で角度βは約35°であるが、当業者は所望の用途に依存して他の角度を選択できる。図5及び6A〜6Cを参照して下記に詳述するように、本発明は、RFIDタグ付き物品の角位置を見出す試みをするときに利点を提供するために、より高い角度分解能の零点を利用するように設計される。最低2つの要素を伴うアンテナアレイを使用し、2つのアンテナ要素40、42の相対的位相に依存してローブ電界構成60又は零電界構成70を創出することができる。2つのアンテナ要素40、42が同相で駆動されるとき、ローブ電界構成60が創出される。2つのアンテナ要素40、42が位相外れで駆動されるとき、零点72を有する零電界構成70が創出され、図4に示すように、零点はローブ電界60aの角支点間距離(角度α)より小さい角支点間距離(角度β)であるのが好ましい。零点72が形成されるとき、零点72のそれぞれの側に角度を成してオフセットした2つのローブ70a及び70bによって零点が実際に画定される。いずれの構成も、単独でポータブルRFID読取り器と共に使用するのに最適でない場合があるものの、1つの構成から別の構成に電気的に急速に切り替えられる能力は利点をもたらす。下記に図5及び6A〜Cを参照して詳述するように、これらの利点は、ローブ又は零点アンテナ構成を使用してRFIDタグ付き物品を最初に検出し、より高い角度分解能の零点を使用して物品の角位置を識別するのを支援する能力を含むことができる。
【0027】
図5は、ポータブルRFID読取りシステム10と、読取りシステムに対する3つの異なる位置にある、位置A、B、及びCとラベル付けされた代表的なRFIDタグ100と、アンテナ38が創出する零電界70及びローブ電界60とを図示する。典型的には、これらの電界の1つだけが任意の時にアンテナ38により創出され得るが、位相制御回路26を電子的に制御して、1つの電界から別の電界に急速に切り替えることができる。位相制御回路26はマイクロコントローラ28の制御下にあり、マイクロコントローラ28が零電界構成70又はローブ電界構成60を選択することを可能にする。ローブ電界60が選択されたとき、位置B及びCにあるRFIDタグ100は読取られるが、位置Aにあるタグは読取られない。零電界が選択されたとき、図5の位置BにあるRFIDタグは読取られるが、位置A及びCにあるタグ100は読取られない。この情報に基づき、1)RFIDタグCは、ローブ電界60で読取られるが零電界70では読取られないので、読取りレンジ内のシステム10のアンテナ38の概して中央前方にあること、2)RFIDタグBは零電界とローブ電界との両方で読取られるので、アンテナ38の中央から外れた前方左又は右にあること、及び3)位置Aにあるタグはアンテナの読取りレンジ内にないこと、を決定できる。付加的情報がなければ、RFID読取りシステム10はRFIDタグBが中央の左か右かを決定することができない。相対的参照角として、タグCに向かって中央前方の方向を参照配向角0度と見なす。
【0028】
図6は、アンテナが回転されて電界が弧全体をスイープした場合に、これら3つのRFIDタグ100A〜100Cの相対的角度位置をいかにより一意的に特定化できるかを示すために便利である。図6a〜6cは、RFID読取りシステム10が3つの異なる位置で左から右にスイープするに際した電界を図示する。図6aに図示したように、アンテナが参照配向角である0度から反時計回りに約15度回転すると、ローブ電界60はRFIDタグAを読取るが、零電界70は読取りらない。次にこの情報を慣性センサー20からの角度情報と共に使用して、RFIDタグ100Aの位置が、参照角度0度として適宜定義されたおよそ中央前方の機首方位にあることが先に決定されたRFIDタグ100Cへの機首方位の左約15度の機首方位にあることを推測できる。この配向からアンテナ38が時計回りに回転するにつれ、図6bに図示したようにアンテナ38はやがて再び相対角度0度を通ってスイープする。アンテナ38が図6bの角度位置を通ってスイープする間、ローブ電界60はタグCを読取ることができるが、零点72を生成しているアンテナ38は読み取りをせず、したがって、タグCが約0度の相対的機首方位に尚あることが確認される。アンテナが時計回りに回転し続け、0度の参照角度の右約10度の相対角度を通ってスイープするにつれて、図6cに図示するように、ローブ電界60はタグBを読取ることができるが、零電界70のローブ70a、70bはRFIDタグ100Bを読取ることができない。したがって、RFID読取りシステム10がローブ電界60は用いるが零電界70は用いずに特定のRFIDタグ100を読取るとき、特定のRFIDタグ100はアンテナ38の概して中央前方になくてはならない。慣性センサー20から派生する、アンテナ38の角度配向と組み合わされたこの情報は、RFID読取りシステム10の読取りレンジ内の多様なRFIDタグ100への機首方位の相対的角度をマイクロコントローラ28が決定することを可能にする。
【0029】
狭い零電界70を伴わず、慣性センサー20を伴わずに、広いローブ電界60だけが使用され、関心対象のRFIDタグ100が読取られる度にビープ音を発するようにRFID読取り器が設計された場合、使用者はガイガーカウンタのようなポータブルRFID読取り器を使用して単一の特定のタグの位置を見出すことができる。しかし、広いローブ60は正確な方向の情報を提供することができないので、本発明のRFID読取りシステムによって提供される情報と比較して、このRFIDタグの位置決めプロセスは最適ではない。関心対象のRFIDタグ100が多用な方向にある場合、読取り器は、ほぼどの方向に向けられたときも関心対象のタグの1つを見出すことに応答してビープ音を発することになり、使用者を混乱させることになるので、RFID読取り器を用いていくつかのRFIDタグ100を同時に位置決めする能力は非常に困難になる場合がある。RFIDタグ100がアンテナ38の読取り範囲内にあると仮定して、慣性センサー20と、どのRFIDタグ(1つ又は複数)がどの角度配向で読取られたかを相関できるマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ28とを追加することは、特にアンテナ38が360度全回転スイープした後に、関心対象のそれぞれのRFIDタグが位置決めされるおよその角度方向又は機首方位を決定するのを助ける。関心対象のそれぞれのRFIDタグに関する角機首方位情報を、グラフィック又は音響によるユーザーインターフェイスを介してユーザーに提示することができる。
【0030】
慣性センサー20と、関心対象のRFIDタグ100が読取られる度にビープ音又は触感を提供するよう設計されたRFID読取り器とを用いずに、零電界70のみが使用された場合、読取り器が関心対象のRFIDタグ100に直接向いていないときにのみ読取り器がビープ音を発することになるので、使用者はおそらく混乱するであろう。このプロセスは、また、様々な方向に位置付けられたいくつかのRFIDタグ100の位置を使用者が同時に識別しようと試みた場合、更に混乱を来たし、また、ほぼどの方向に向けられたときにもRFID読取り器10がビープ音を発することになる。このシナリオでは、慣性センサー20とマイクロコントローラ28とを追加することは偉大な便益である。読取り器アンテナ38が回転するにつれて、零電界70は弧を描いてスイープする。慣性センサー20は、マイクロコントローラ28に角度配向情報を提供する。次に、マイクロコントローラ28はこの情報を相関して、多様なRFIDタグ100のそれぞれがどの角度配向において読取り可能か不可能かを決定する。アンテナ38が連続的に1方向に回転するにつれて、零点72内に入る前に関心対象のそれぞれのタグが最初に読取られ、零点72内に位置付けられている間は読取られず、次に零点72の外に出ると再び読取られることになることがわかっているので、システム10は、RFIDタグのそれぞれがいつ零点72内にあったか、すなわちいつアンテナ38の真正面に位置付けられていたかを決定する。慣性センサー20は回転の方向を感知できるので、たとえ使用者が読取り器アンテナ38を単一方向への連続回転でなく前後の動きでスイープすることを選択したとしても、マイクロコントローラ28は正確にデータを処理する。
【0031】
零電界70の角度指向性はローブ電界60の角度指向性より大きいので、零電界70を使用して関心対象のRFIDタグ100の角度方向を決定することは有利である。しかし、この構成の難点は、アンテナ38の真正面にあるときRFIDタグ100が零点72内に位置付けられ、読取られないことがある。したがって、本発明のRFID読取りシステムに、ローブ電界60もまた創出できるアンテナ38を提供して、関心対象のRFIDタグ100が実際にアンテナ38のほぼ正面に位置付けられていることを確認することは有利である。
【0032】
RFID読取りシステム10が関心対象のRFIDタグ100の角度配向をいったん識別したら、ユーザーインターフェイス14は、例えば図7aに図示されているように、タグの方向に使用者を案内する。
【0033】
マイクロコントローラ28が読取りシステム10のRF出力電力も変動させる場合は、マイクロコントローラ28は、どのRF電力とどの角度配向で、どのレンジからそれぞれの関心対象のRFIDタグ100が読取られたかも相関し、角位置情報を推測することができる。RF電力は、スイープのデータ収集プロセスの間又はユーザーインターフェイス14によって関心対象のタグに向けて方向付けられている間、変動され得る。例えば、読取り器10が関心対象物100にどれだけ近いかに依存して変動する触感又は音声インジケータをRFID読取りシステム10が提供する場合である。
【0034】
スイーププロセスの間、RFID読取りシステム10は、また、読取られたRFIDタグ100の品目一覧を蓄積し、将来の使用の可能性のためにこれらのRFIDタグ100のそれぞれの位置情報を蓄積することができる。
【0035】
RFID読取りシステム10の使用の一例を図7a及び7bに図示した。図7a及び7bは、参照番号100で指定された多様なRFIDタグ付け品をを有する、人のオフィス120又は部屋を図示する。例えば、オフィス120は、それぞれが独自のRFIDタグ100を有するいくつかのファイルを伴う弁護士オフィスである場合がある。別の例として、部屋120は、医療記録がRFIDタグ付けされている医院内の医療記録室、あるいはRFIDタグ付けされたパレットを伴う倉庫である場合がある。ここで、部屋120が弁護士オフィスである例を引き続き用い、その弁護士のアシスタントが、RFIDタグを伴う多数のファイル100を取り出すために弁護士のオフィス120に入るとする。RFIDタグはそれぞれ独自の識別番号を有し、それぞれのRFIDタグはデータベース内で識別され、特定のRFIDタグが付された特定のファイルと相関される。アシスタントは、データベースから、あるいはポータブルRFID読取りシステム10自体から直接に、探しているファイルを選択する。次にアシスタントはオフィスに入り、それらのファイルの位置決めと回収を開始し、出入り口122のそばに立ち、図7aが図示するように左から右に弧を描いてRFID読取りシステム10をスイープし、RFID読取りシステム10によって生成される電磁エネルギーで部屋120をスキャニングする。最初、RFID読取りシステム10は、最大RF電力でアンテナ38を使用することによって部分的に達成される、遠くに達する電界を使用して、関心対象品100A〜100Cの存在又は欠如を決定する。この位相の間、位相の意図は必ずしも、関心対象品100A〜Cの有無以外の任意の情報を解決することでないので、アンテナパターンは狭くても広くてもよい。関心対象品100A〜Cのうちから何も検出されなければ、次にアシスタントは別の弁護士のオフィス又は他の位置で、探しているファイルを検索することができる。しかし、関心対象品100のいずれかが検出された場合、アンテナ38は、上で詳述した多様なローブ電界と零電界との間を電子的に切り替える次の位相を開始して、読取りシステム10に対する関心対象品100A〜Cのそれぞれの相対的な位置の決定を開始する。あるいは、RFID読取りシステム10をこれら2つの別個のモードで動作する代わりに、システム10は、アンテナが電子的にローブ電界と零電界との間で切り替わる1つのモードを有することができ、関心対象品100A〜Cの有無を決定すると同時に、物品100A〜Cの相対的な位置を決定することができる。ユーザーインターフェイス14のディスプレイ44は、図7a、7bに図示された図と類似に見える可視の部屋の図を使用者に提供して、関心対象品100A〜Cのそれぞれへのおよその方向を提供することができる。次に、図7aの点線矢印が示すように、関心対象品100A〜Cを、使用者が最初に選択した順に回収することができる。あるいは、RFID読取りシステム10は、読取り器から関心対象品100A〜Cまでのおよその距離及び3つの関心対象品100A〜Cの間のおよその距離を計算し、3つの関心対象品100A〜Cの間の移動距離を最適化する追加的な機能性を、そのソフトウェアに含むことができる。例えば、時間的観点からアシスタントは、図7aに図示するように100A、100B、100Cの順に品を回収するよりも、図7bに図示するように100A、100C、100Bの順に物品を回収するほうがより効率的である場合がある。
【0036】
別の実施形態では、一般的な品目一覧の目的で位置RFIDタグを使用した場合(例えば部屋120を指定する固定位置でのRFIDタグ)、使用者は入室前にRFID位置タグを読取ることができ、慣性センサー20を零にして原点(0、0、0)を表すことができる。次に、この位置から使用者が部屋120を通って移動するにつれて、物品のRFIDタグ100を読取り、読取られた品のRFIDタグ100と概略位置(x、y、z)とを関連付けて、情報のデータベースを構築することができる。このデータベースは、ワイヤレスリンクを介しての品目一覧作成の間に、あるいは品目一覧の完成後にドッキングすることによって、構築することができる。このようにして、関心対象の全ての部屋をデータベースに投入した後に、この機能は発見のプロセスを支援することができる。物品が選択されると、操作者には、どの部屋120に行くべきかどうかがわかる。位置のタグを読取った後に、慣性センサーを使用して部屋の中の位置までの案内を得ることができ、この位置から、ファインダーアルゴリズムによって残りの経路が得られる。
【0037】
これで、本発明について、そのいくつかの実施形態に関連して説明した。前述の詳細な説明及び実施例は理解を明確化するためにのみ提示されている。それらから無用の限定を解するべきでない。本明細書に引用された全ての特許及び特許出願は、参照することにより本明細書に組み込まれる。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態において多くの変更を行うことができることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された厳密な詳細及び構造に限定されるべきではなく、それよりもむしろ、特許請求の範囲の文言によって説明される構造、並びにそれらの構造の等価物によって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのRFIDタグ付き関心対象物を使用者が位置決めするのを支援するためのポータブル無線ICタグ(「RFID」)読取りシステムであって、
コンピュータと、
ユーザーインターフェイスと、
RFID読取り器と、
電磁界を生成するためのアンテナと、を備え、前記アンテナが、ローブ電界構成及び零電界構成の間で電子的に切り替わって、RFIDタグ付き関心対象物の存在及びおよその位置を決定することが可能である、ポータブルRFID読取りシステム。
【請求項2】
前記零電界構成の電力半値角が、前記ローブ電界構成の電力半値角より小さい、請求項1に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項3】
前記読取り器の動作レンジが、前記RFID読取り器の出力電力の制御によって制限される、請求項1に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項4】
前記コンピュータが、前記アンテナと前記RFIDタグ付き関心対象物との間の距離が増加しているか減少しているかを決定する、請求項3に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの慣性センサーを更に備える、請求項1に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項6】
前記コンピュータが、前記アンテナと前記RFIDタグ付き関心対象物との間の相対的角度方向を決定する、請求項5に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの慣性センサーを更に備え、前記読取り器の動作レンジが、前記RFID読取り器の出力電力の制御によって制限され、前記コンピュータが、前記電力の設定及び前記慣性センサーに関するデータを収集して前記アンテナと前記RFIDタグ付き関心対象物との間のおよその距離を見積もる、請求項1に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項8】
前記コンピュータが、前記アンテナに対する複数のRFIDタグ付き関心対象品の位置を決定し、前記複数の物品全ての間の移動距離を最小化するように前記複数の物品全てへの移動のための順序を決定する、請求項7に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項9】
前記ユーザーインターフェイスが、前記使用者に情報を提供するための視覚的、音声的、又は触感的インジケータを備える、請求項1に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項10】
前記システムが検索のステータスを通信し、前記ユーザーインターフェイスが、使用者が前記RFIDシステムにデータ入力することを可能にする、請求項9に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項11】
前記ユーザーインターフェイスがディスプレイを含み、前記RFIDタグ付き関心対象品の相対的な位置を表示する、請求項1に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項12】
前記アンテナが電磁界を生成するためのアンテナアレイを備え、前記アンテナアレイが第1の無線周波数(「RF」)要素と第2のRF要素とを備え、前記第1のRF要素と前記第2のRF要素とが同相で駆動されてローブ電界構成を生成し、前記第1のRF要素と前記第2のRF要素とが位相外れで駆動されて零電界構成を生成する、請求項1に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項13】
少なくとも1つのRFIDタグ付き関心対象物を使用者が位置決めするのを支援するためのポータブル無線ICタグ(「RFID」)読取りシステムであって、
コンピュータと、
ユーザーインターフェイスと、
RFID読取り器と、
電磁界を生成するためのアンテナアレイと、を備え、前記アンテナアレイが第1の無線周波数(「RF」)要素と第2のRF要素とを備え、前記第1のRF要素及び前記第2のRF要素が同相駆動されてローブ電界構成を生成し、前記第1のRF要素と前記第2のRF要素が位相外れで駆動されて零電界構成を生成し、前記アンテナアレイがローブ電界構成と零電界構成との間で電子的に切り替えられて、RFIDタグ付き関心対象物の存在及びおよその位置を決定することが可能である、ポータブル無線ICタグ読取りシステム。
【請求項14】
前記零電界構成の電力半値角が、前記ローブ電界構成の電力半値角より小さい、請求項13に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項15】
前記読取り器の動作レンジが前記RFID読取り器の出力電力の制御によって制限される、請求項13に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項16】
前記コンピュータが、前記アンテナと前記RFIDタグ付き関心対象物との間の距離が増加しているか減少しているかを決定する、請求項15に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの慣性センサーを更に備える、請求項13に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの慣性センサーを更に備え、前記読取り器の動作レンジが、前記RFID読取り器の出力電力の制御によって制限され、前記コンピュータが、前記電力の設定及び前記慣性センサーに関するデータを収集して前記アンテナと前記RFIDタグ付き関心対象物との間のおよその距離を見積もる、請求項13に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項19】
前記コンピュータが、前記アンテナと前記RFIDタグ付き関心対象物との間の相対的角度方向を決定する、請求項17に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項20】
前記コンピュータが、前記アンテナに対する複数のRFIDタグ付き関心対象品の位置を決定し、前記複数の物品の全ての間の移動距離を最小化するように前記複数の物品全てへの移動のための順序を決定する、請求項18に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項21】
前記ユーザーインターフェイスが、前記使用者に情報を提供するための視覚的、音声的、又は触感的インジケータを備える、請求項13に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項22】
前記システムが検索のステータスを通信し、前記ユーザーインターフェイスが、使用者が前記RFIDシステムにデータ入力することを可能にする、請求項21に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項23】
前記ユーザーインターフェイスがディスプレイを含み、前記RFIDタグ付き関心対象品の位置を表示する、請求項13に記載のポータブルRFID読取りシステム。
【請求項24】
少なくとも1つのRFIDタグ付き関心対象物を使用者が位置決めするのを支援する方法であって、
少なくとも1つのRFIDタグ付き関心対象物を使用者が位置決めするのを支援するためのポータブル無線ICタグ(「RFID」)読取りシステムを提供する工程であり、前記システムが、
コンピュータと、
ユーザーインターフェイスと、
RFID読取り器と、
電磁界を生成するためのアンテナと、を備え、前記アンテナが、ローブ電界構成及び零電界構成の間で電子的に切り替わって、RFIDタグ付き関心対象物の存在及びおよその位置を決定することができる、工程と、
対象物と関連付けられたRFIDタグを有する関心対象物の存在を決定する工程と、
前記ローブ電界構成と零電界構成との間で電子的に切り替わって、対象物と関連付けられたRFIDタグを有する前記関心対象物の位置を決定する工程と、を含む方法。
【請求項25】
少なくとも1つのRFIDタグ付き関心対象物を使用者が位置決めするのを支援する方法であって、
ローブ電界構成を有する電磁界を生成する工程と、
指定されたエリアをスキャニングする工程と、
RFIDタグ付き関心対象物全体の角度レンジが前記電磁界内で読取られたことを決定する工程と、
前記RFIDタグ付き関心対象物が前記角度レンジのほぼ中央にあることを決定する工程と、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2011−509454(P2011−509454A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539627(P2010−539627)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/086129
【国際公開番号】WO2009/082620
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】