説明

無線LANシステム、アクセスポイント装置、アクセスポイント装置の検出方法及びそのプログラム

【課題】アクセスポイント装置において、無線子機との接続関係を維持しながら、当該アクセスポイント装置とは異なるチャンネルを使用している他のアクセスポイント装置を検出する。
【解決手段】第1のアクセスポイント装置は、使用中のチャンネルとは異なるチャンネルを用いて、使用中のチャンネルを示すチャンネル情報を付与したプローブ要求を送信し、プローブ要求の送信後、所定期間内に使用中のチャンネルに復帰することで、使用中のチャンネルで無線親機として動作しながら、別のチャンネルでプローブ要求を送信する。一方、第2のアクセスポイント装置は、受信したプローブ要求に付与されたチャンネル情報が示すチャンネルを用いて、プローブ応答を送信する。第1のアクセスポイント装置は、使用中のチャンネルを用いて、このプローブ応答を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチャンネルで無線通信が可能なアクセスポイント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線LANが普及している。無線LANにおいては、無線LAN機器の電波到達範囲内においてのみ通信が可能となるため、1つの無線LAN機器の電波到達範囲を超える広範囲のエリアに亘って通信を行いたい場合に、複数のアクセスポイントを設置して、アクセスポイント間で無線パケットを中継する技術が開発されている(例えば、下記特許文献1)。
【0003】
このように複数のアクセスポイントが設置される環境下では、複数のアクセスポイントが相互に異なるチャンネルで子機と通信している場合には、子機との通信を維持しながら、他のアクセスポイントを検索することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−248289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の問題の少なくとも一部を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、アクセスポイント装置において、無線子機との接続関係を維持しながら、当該アクセスポイント装置とは異なるチャンネルを使用している他のアクセスポイント装置を検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]複数のチャンネルで無線通信が可能な第1のアクセスポイント装置と第2のアクセスポイント装置とを備えた無線LANシステムであって、
前記第1のアクセスポイント装置は、
使用中のチャンネルを示すチャンネル情報を付与したプローブ要求を、前記複数のチャンネルのうちの、該使用中のチャンネルとは異なるチャンネルを用いて送信する要求手段と、
前記プローブ要求の送信後、所定期間内に前記使用中のチャンネルに復帰する要求後復帰手段と
を備え、
前記第2のアクセスポイント装置は、前記プローブ要求を受信した際に、該プローブ要求に付与されたチャンネル情報が示すチャンネルを用いて、プローブ応答を送信する応答手段を備えた
無線LANシステム。
【0008】
かかる構成の無線LANシステムにおいて、第1のアクセスポイント装置は、使用中のチャンネルとは異なるチャンネルを用いて、使用中のチャンネルを示すチャンネル情報を付与したプローブ要求を送信し、プローブ要求の送信後、所定期間内に使用中のチャンネルに復帰するので、使用中のチャンネルで無線子機との接続関係を維持しながら、別のチャンネルでプローブ要求を送信することができる。しかも、第2のアクセスポイント装置は、受信したプローブ要求に付与されたチャンネル情報が示すチャンネルを用いて、プローブ応答を送信するので、第1のアクセスポイント装置は、使用中のチャンネルを用いて、プローブ応答を受信することができる。したがって、第1のアクセスポイント装置は、無線子機との接続関係を維持しながら、当該アクセスポイント装置とは異なるチャンネルを使用している他のアクセスポイント装置を検出することができる。
【0009】
[適用例2]前記所定期間は、前記第1のアクセスポイント装置が送信するビーコンの送信周期である適用例1記載の無線LANシステム。
かかる構成の無線LANシステムにおいて、第1のアクセスポイント装置は、ビーコンの送信周期内に使用中のチャンネルに復帰するので、使用中のチャンネルでのビーコン送信の欠落を抑制することができる。その結果、通信中の接続が解除されることを抑制することができる。
【0010】
[適用例3]適用例1または適用例2記載の無線LANシステムであって、前記使用中のチャンネルとは異なるチャンネルは複数存在し、前記要求手段は、1つのプローブ要求を送信するごとに、前記要求後復帰手段による復帰と、復帰したチャンネルでの所定の待機期間とを経て、前記使用中のチャンネルとは異なるチャンネルの全てに対して順次、前記プローブ要求を送信する無線LANシステム。
【0011】
かかる構成の無線LANシステムにおいて、第1のアクセスポイント装置は、使用中のチャンネルとは異なるチャンネルの全てに対して順次、プローブ要求を送信するので、第1のアクセスポイントと第2のアクセスポイントとで使用可能なチャンネルが重複する場合には、その範囲においてアクセスポイントを確実に検出することができる。しかも、順次送信するプローブ要求の各々は、使用中のチャンネルへの復帰と、復帰したチャンネルでの所定の待機期間とを経て送信されるので、使用中のチャンネルでのビーコン送信の欠落を抑制して、通信中の接続が解除されることを抑制することができる。
【0012】
[適用例4]前記第2のアクセスポイント装置は、前記プローブ応答を送信するためにチャンネルを変更した場合には、前記プローブ応答の送信後に、変更前のチャンネルに復帰する応答後復帰手段を備えた適用例1ないし適用例3のいずれか記載の無線LANシステム。
【0013】
かかる構成の無線LANシステムにおいて、第2のアクセスポイント装置は、プローブ応答を送信するためにチャンネルを変更した場合には、プローブ応答の送信後に、変更前のチャンネルに復帰するので、変更前のチャンネルでの通信を維持することができる。
【0014】
また、本発明は、上述した無線LANシステムのほか、無線LANシステムを構成するアクセスポイント装置、プローブ要求を送信するためのプログラム、当該プログラムを記録した記憶媒体、アクセスポイント装置の検出方法等としても実現することができる。勿論、これらの実現形態に対しても、適用例2〜適用例4の構成を付加することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例としての無線LANシステム20の概略構成を示す説明図である。
【図2】アクセスポイントAP1の概略構成を示す説明図である。
【図3】アクセスポイント検索処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】アクセスポイント検索処理及び受信処理におけるチャンネルの切り替えの様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例について説明する。
A.実施例:
A−1.無線LANシステム20の概略構成:
図1は、本発明の実施例としての無線LANシステム20の概略構成を示す説明図である。図示するように、無線LANシステム20は、2台のアクセスポイントAP1,AP2と、4台の無線端末STA11〜STA22とを備えている。本実施例では、予め同一のESSID(Extended Service Set Identifier)、無線暗号設定されたアクセスポイントAP1,AP2と無線端末STA11〜STA22とは、IEEE802.11規格に準拠した無線LAN装置である。
【0017】
アクセスポイントAP1,AP2は、本実施例においては同一の構成であり、アクセスポイント間で無線パケットを中継するWDS(Wireless Distribution System)機能を有している。アクセスポイントAP1,AP2は、それぞれが互いに電波到達範囲内に設置されており、相互に通信が可能である。また、アクセスポイントAP1,AP2は、N個(Nは2以上の整数、ここではN=14)のチャンネルを切り替えて、通信が可能である。なお、アクセスポイントは、3台以上であってもかまわない。
【0018】
無線端末STA11〜STA22は、本実施例では、無線LANカードを備えた、または、無線LANモジュールを内蔵した汎用のパーソナルコンピュータである。無線端末STA11,STA12は、アクセスポイントAP1を介したインフラストラクチャモードでの通信が可能であり、無線端末STA11,STA12とアクセスポイントAP1とでネットワークBSS1を構築している。同様に、無線端末STA21,STA22とアクセスポイントAP2とでネットワークBSS2を構築している。また、ネットワークBSS1,BSS2によって、ESS(Extended Service Set)が構築され、無線端末STA11〜STA22は、互いに、アクセスポイントAP1,AP2を介した通信を行うことができる。なお、無線端末の台数は、なんら制限されるものではなく、例えば、アクセスポイント1つに対して、無線端末が1つ存在するだけでもよい。
【0019】
A−2.アクセスポイントAP1〜AP3の概略構成:
同一構成のアクセスポイントAP1,AP2を代表して、アクセスポイントAP1の概略構成を図2に示す。図示するように、アクセスポイントAP1は、CPU30、フラッシュROM41、ROM42、RAM43、無線通信インタフェース50を備え、それぞれがバスにより相互に接続されている。
【0020】
CPU30は、フラッシュROM41やROM42に記憶されたファームウェア等のプログラムをRAM43に展開して実行することで、アクセスポイントAP1の動作全般を制御する。また、CPU30は、所定のプログラムにより、要求部31、要求後復帰部32、応答部33、応答後復帰部34としても機能する。これらの各機能部の詳細については、後述する。
【0021】
無線通信インタフェース50は、無線通信を行うためのインタフェースであり、無線親機インタフェース51と、無線子機インタフェース52とを含んでいる。無線親機インタフェース51は、無線親機(以下、単に親機ともいう)として機能して、無線子機(以下、単に子機ともいう)から無線パケットを受信する。無線子機インタフェース52は、子機として機能して、親機へ無線パケットを送信する。つまり、アクセスポイントAP1は、親機としても子機としても機能する。この無線親機インタフェース51及び無線子機インタフェース52は、外部への電波の送信や外部からの電波の受信が可能な状態で、アクセスポイントAP1に内蔵されている。なお、無線親機インタフェース51と無線子機インタフェース52とは、1つの無線モジュールで構成されてもよいし、それぞれ異なるモジュールで構成されてもよい。
【0022】
A−3.アクセスポイント検出処理:
無線LANシステム20におけるアクセスポイント検出処理について説明する。アクセスポイント検出処理とは、アクセスポイントAP1,AP2が無線端末STA11,STA12、または、STA21,STA22と接続している際に、プローブ要求(ProbeRequest)を送信する処理である。以下では、アクセスポイントAP1が無線端末STA11,STA12との接続中に、プローブ要求を送信するものとして説明する。また、本実施例では、アクセスポイントAP1が無線端末STA11,STA12との間でチャンネルCH1による通信を行っていることとして説明する。アクセスポイント検出処理の流れを図3に示す。アクセスポイント検出処理が開始されると、図示するように、アクセスポイントAP1のCPU30は、まず、アクセスポイントAP1がサポートしているチャンネルCH1〜CHnを検出する(ステップS110)。この処理は、本実施例では、ROM42に記憶されたサポート情報を読み込むことにより行うものとした。なお、チャンネルに付した1〜nの番号は、N個のチャンネルを区別するために便宜的に付したものである。
【0023】
チャンネルCH1〜CHnを検出すると、CPU30は、プローブ要求を未だ送信していないチャンネルのうちから、1つのチャンネルCHj(jは1以上N以下の整数)を選択する(ステップS120)。チャンネルCHjを選択すると、CPU30は、選択したチャンネルCHjが、無線端末STA11,STA12との通信に使用中のチャンネルCH1と異なる場合には、出力バンドをチャンネルCH1からチャンネルCHjに変更する(ステップS130)。なお、チャンネルCHjとチャンネルCH1とが一致する場合には、出力バンドの変更は行われない。
【0024】
出力バンドを変更すると、CPU30は、要求部31の処理として、チャンネルCHjを利用して、チャンネル情報を付与したプローブ要求をブロードキャストする(ステップS140)。チャンネル情報とは、子機との通信に使用中のチャンネルCH1を示す情報である。プローブ要求のフレーム構成は、IEEE802.11規格によって規定されており、プローブ要求フレームを構成するフレーム要素には、ベンダが自由に定義可能なオプショナル領域が用意されている。本実施例においては、CPU30は、このオプショナルな領域に、チャンネル情報を書き込むことで、プローブ要求にチャンネル情報を付与する。なお、本実施例においては、上記ステップS130で出力バンドを変更しなかった場合には、ステップS140では、チャンネル情報を付与せずに、プローブ要求を送信する構成とした。ただし、チャンネル情報を付与して、プローブ要求を送信してもかまわない。
【0025】
プローブ要求を送信すると、CPU30は、要求後復帰部32の処理として、所定の期間内に、使用中であった元のチャンネルCH1に復帰する(ステップS150)。本実施例では、プローブ要求の送信後、即時にチャンネルCH1に復帰するものとした。所定の期間は、短いほど、より望ましく、アクセスポイントAP1のビーコンの送信周期以下に設定することが望ましい。こうすれば、チャンネルCH1でのビーコンの送信が欠落することを抑制でき、その結果、無線端末STA11,STA12との通信接続が解除されることを抑制することができる。なお、上記ステップS130で出力バンドの変更が行われなかった場合には、ステップS150では、チャンネルCH1への復帰は必要ない。
【0026】
チャンネルCH1に復帰すると、CPU30は、全てのチャンネルCH1〜CHnが上記ステップS120で選択されたか否かを判断する(ステップS160)。その結果、未選択のチャンネルがあれば(ステップS160:NO)、CPU30は、所定期間だけ待機する(ステップS170)。ステップS170の待機期間では、他の無線処理、つまり、チャンネルCH1を利用したビーコンの送信や、無線端末STA11,STA12との通信が実行される。こうして、所定期間待機すると、CPU30は、処理を上記ステップS120に戻し、ステップS120〜S160の処理を繰り返す。
【0027】
ステップS170の待機期間は、アクセスポイントAP1のビーコン送信周期Tの1倍以上とすることが望ましく、ビーコン送信周期Tの2倍以上とすることがさらに望ましい。ビーコン送信周期Tの1倍以上とすれば、ステップS170の待機期間内にビーコンを少なくとも1回は送信できるので、無線端末STA11,STA12との通信接続が解除されることを抑制することができる。また、ビーコン送信周期Tの2倍以上、例えば、2倍、3倍などとすれば、ビーコンを2回以上送信できるので、ビーコンの消失の可能性などを考慮しても、通信接続が解除されることを確実に抑制することができる。
【0028】
こうして、全てのチャンネルCH1〜CHnについて、プローブ要求を送信すると(ステップS160:YES)、送信側のアクセスポイント検索処理は終了となる。以上の説明から明らかなように、アクセスポイントAP1は、図5に示すように、僅かな期間のみ、使用中のチャンネルCH1から他のチャンネル、例えばCH3に出力バンドを変更して、使用中のチャンネルCH1を示すチャンネル情報を付与したプローブ要求を送信するのである。こうすることで、自身が待機しているチャンネルCH1を、他のアクセスポイントに報知することができる。
【0029】
A−4.受信処理:
無線LANシステム20における受信処理について説明する。受信処理とは、プローブ要求またはプローブ応答(ProbeResponse)を受信したアクセスポイントAP1,AP2が、受信したフレームに応じて行う処理である。以下では、アクセスポイントAP2が、アクセスポイントAP1からプローブ要求またはプローブ応答を受信するものとして説明する。受信処理の流れを図4に示す。受信処理が開始されると、図示するように、アクセスポイントAP2のCPU30は、まず、プローブ要求を受信したか否かを判断する(ステップS210)。
【0030】
その結果、プローブ要求を受信していれば(ステップS210:YES)、CPU30は、さらに、プローブ要求の上述したオプショナル領域に、チャンネル情報が含まれているか否かを判断する(ステップS220)。その結果、チャンネル情報が含まれていれば(ステップS220:YES)、プローブ要求を送信したアクセスポイントAP1は、チャンネル情報が示すチャンネルCH1で、プローブ応答を待機しているということであるから、CPU30は、応答部33の処理として、使用中のチャンネル、例えば、チャンネルCH3から、チャンネル情報が示すチャンネルCH1に一時的に、出力バンドを変更する(ステップS230)。
【0031】
チャンネルCH1に出力バンドを変更すると、CPU30は、応答部33の処理として、自身の情報(SSID、チャンネル情報など)を含めたプローブ応答を、アクセスポイントAP1に送信する(ステップS240)。なお、IEEE802.11規格において、プローブ応答の情報要素の1つとしてチャンネル情報が規定されているので、CPU30は、容易にチャンネル情報をプローブ応答に付与することができる。一方、チャンネル情報が含まれていなければ(ステップS220:NO)、チャンネルの変更(上記ステップS230)を省略して、プローブ応答を、アクセスポイントAP1に送信する(ステップS240)。
【0032】
こうして、プローブ応答の送信が終了すると、CPU30は、応答後復帰部34の処理として、上記ステップS230でチャンネルを変更した場合には、変更前のもとのチャンネルCH3に復帰し(ステップS250)、受信処理を終了する。なお、もとのチャンネルに復帰するための期間は、上記ステップS150と同様に設定することが望ましい。以上の説明から明らかなように、アクセスポイントAP2は、図5に示すように、僅かな期間のみ、使用中のチャンネル、例えばチャンネルCH3から、アクセスポイントAP1が使用中のCH1に出力バンドを変更して、プローブ応答を送信するのである。こうすることで、アクセスポイントAP1は、使用中のチャンネルCH1を用いて、プローブ応答を受信することができる。
【0033】
一方、プローブ要求を受信していなければ(ステップS210:NO)、CPU30は、プローブ応答を受信したか否かを判断する(ステップS260)。その結果、プローブ応答を受信していなければ(ステップS260:NO)、CPU30は、受信処理を終了する。一方、プローブ応答を受信していれば(ステップS260:YES)、CPU30は、プローブ応答から無線機器の情報(SSID、チャンネル情報など)を抽出し、RAM43などに記録する(ステップS270)。こうして、受信処理は終了となる。このようにチャンネル情報を記録すれば、無線LANシステム20を構成するアクセスポイントのチャンネルを事前設定しておかなくても、その後、他のアクセスポイントとの通信に用いるチャンネルを特定することができる。また、チャンネルが記録されたアクセスポイントのみを検出するのであれば、上記ステップS120において選択するチャンネル数を減らして、アクセスポイント検索処理を効率化することも可能である。
【0034】
A−5.効果:
かかる構成の無線LANシステム20において、無線LANシステム20を構成するアクセスポイントAP1は、無線端末STA11,STA12との通信に使用中のチャンネルとは異なるチャンネルを用いて、使用中のチャンネルCH1を示すチャンネル情報を付与したプローブ要求を送信し、プローブ要求の送信後、所定期間内に使用中のチャンネルに復帰するので、使用中のチャンネルCH1で無線端末STA11,STA2との接続関係を維持しながら、別のチャンネルでプローブ要求を送信することができる。しかも、アクセスポイントAP2は、受信したプローブ要求に付与されたチャンネル情報が示すチャンネルCH1を用いて、プローブ応答を送信するので、アクセスポイントAP1は、使用中のチャンネルCH1を用いて、プローブ応答を受信することができる。したがって、アクセスポイントAP1は、無線端末STA11,STA2との接続関係を維持しながら、異なるチャンネルを使用している他のアクセスポイントAP2を検出することができる。
【0035】
また、無線LANシステム20において、アクセスポイントAP1は、使用中のチャンネルCH1とは異なるチャンネルの全てに対して順次、プローブ要求を送信するので、アクセスポイントAP1が使用可能なチャンネルをアクセスポイントAP2が利用している場合には、アクセスポイントAP2を確実に検出することができる。しかも、順次送信するプローブ要求の各々は、使用中のチャンネルCH1への復帰と、当該チャンネルCH1での所定の待機期間とを経て送信されるので、使用中のチャンネルCHでのビーコン送信の欠落を抑制して、無線端末STA11,STA2との接続が解除されることを抑制することができる。
【0036】
また、無線LANシステム20において、アクセスポイントAP2は、アクセスポイントAP1にプローブ応答を送信するためにチャンネルを変更した場合には、プローブ応答の送信後に、変更前のチャンネルに復帰するので、変更前のチャンネルでの無線端末STA21,STA22との接続が解除されることを抑制することができる。
【0037】
上述した実施例の変形例について説明する。
B:変形例:
B−1.変形例1:
上述の実施形態においては、無線LANシステム20を構成するアクセスポイントAP1,AP2は、同一の構成であったが、必ずしも、同一の構成である必要はない。AP検索処理を行うアクセスポイントが、少なくとも要求部31、要求後復帰部32として機能し、受信処理を行うアクセスポイントが少なくとも応答部33として機能するものであればよい。例えば、受信処理を行う側のアクセスポイントは、子機としての機能を有していなくてもよいし、有線インタフェースを備え、ブリッジ機能を有するものであってもよい。
【0038】
B−2.変形例2:
上述の実施形態においては、アクセスポイントAP1が、無線端末STA11,STA12との通信中にプローブ要求を送信する構成について示したが、かかる例に限るものではなく、例えば、無線端末STA11,STA12に代えて、WDS機能を有するアクセスポイントとの通信中にプローブ要求を送信する構成としてもよい。つまり、子機として働く無線LAN装置と通信を行いながら、上流側のアクセスポイントやリピータにプローブ要求を送信する構成であればよい。
【0039】
B−3.変形例3:
上述の実施形態においては、アクセスポイントAP1は、サポートされたチャンネルCH1〜CHnの全てに対してプローブ要求を送信する構成としたが、無線LANシステム20を構成するアクセスポイントの使用するチャンネルが事前設定され、既知である場合には、その既知のチャンネルのみに対して、プローブ要求を送信すればよい。
【0040】
B−4.変形例4:
上述の実施形態においては、アクセスポイントAP1は、1つのプローブ要求を送信するたびに、もとのチャンネルCH1への復帰と、チャンネルCH1での待機期間を確保する構成としたが、ビーコン送信周期T内に、複数のチャンネルでプローブ要求を送信可能であるなど、無線端末STA11,STA12から接続解除されないことが明らかな場合には、上記ステップS150,S170は省略可能である。例えば、2つのプローブ要求を送信するたびに、もとのチャンネルCH1への復帰と、チャンネルCH1での待機期間を確保する構成としてもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態における本発明の構成要素のうち、独立クレームに記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略、または、組み合わせが可能である。また、本発明はこうした実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、本発明は、無線LANシステムとしての構成のほか、無線LAN装置、そのプログラム、当該プログラムを記録した記憶媒体、アクセスポイント装置の検出方法等としても実現することができる。
【符号の説明】
【0042】
20…無線LANシステム
30…CPU
31…要求部
32…要求後復帰部
33…応答部
34…応答後復帰部
41…フラッシュROM
42…ROM
43…RAM
50…無線通信インタフェース
51…無線親機インタフェース
52…無線子機インタフェース
AP1,AP2…アクセスポイント
STA11,STA12,STA21,STA22…無線端末
BSS1,BSS2…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルで無線通信が可能な第1のアクセスポイント装置と第2のアクセスポイント装置とを備えた無線LANシステムであって、
前記第1のアクセスポイント装置は、
使用中のチャンネルを示すチャンネル情報を付与したプローブ要求を、前記複数のチャンネルのうちの、該使用中のチャンネルとは異なるチャンネルを用いて送信する要求手段と、
前記プローブ要求の送信後、所定期間内に前記使用中のチャンネルに復帰する要求後復帰手段と
を備え、
前記第2のアクセスポイント装置は、前記プローブ要求を受信した際に、該プローブ要求に付与されたチャンネル情報が示すチャンネルを用いて、プローブ応答を送信する応答手段を備えた
無線LANシステム。
【請求項2】
前記所定期間は、前記第1のアクセスポイント装置が送信するビーコンの送信周期である請求項1記載の無線LANシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の無線LANシステムであって、
前記使用中のチャンネルとは異なるチャンネルは複数存在し、
前記要求手段は、1つのプローブ要求を送信するごとに、前記要求後復帰手段による復帰と、復帰したチャンネルでの所定の待機期間とを経て、前記使用中のチャンネルとは異なるチャンネルの全てに対して順次、前記プローブ要求を送信する
無線LANシステム。
【請求項4】
前記第2のアクセスポイント装置は、前記プローブ応答を送信するためにチャンネルを変更した場合には、前記プローブ応答の送信後に、変更前のチャンネルに復帰する応答後復帰手段を備えた請求項1ないし請求項3のいずれか記載の無線LANシステム。
【請求項5】
複数のチャンネルで無線通信が可能なアクセスポイント装置であって、
使用中のチャンネルを示すチャンネル情報を付与したプローブ要求を、前記複数のチャンネルのうちの、該使用中のチャンネルとは異なるチャンネルを用いて送信する要求手段と、
前記プローブ要求の送信後、所定期間内に前記使用中のチャンネルに復帰する要求後復帰手段と
を備えたアクセスポイント装置。
【請求項6】
複数のチャンネルで無線通信が可能なアクセスポイント装置であって、
他のアクセスポイント装置から、チャンネルを特定するチャンネル情報が付与されたプローブ要求を受信した際に、該チャンネル情報が示すチャンネルを用いて、プローブ応答を送信する応答手段を備えた
アクセスポイント装置。
【請求項7】
複数のチャンネルで無線通信が可能なアクセスポイント装置が、無線端末として働く無線LAN装置と接続関係を維持しながら、他のアクセスポイント装置を検出するための検出方法であって、
使用中のチャンネルを示すチャンネル情報を付与したプローブ要求を、前記複数のチャンネルのうちの、該使用中のチャンネルとは異なるチャンネルを用いて送信し、
前記プローブ要求の送信後、所定期間内に前記使用中のチャンネルに復帰し、
前記プローブ要求を受信した前記他のアクセスポイント装置に、該プローブ要求に付与されたチャンネル情報が示すチャンネルを用いて、プローブ応答を送信させ、
前記他のアクセスポイント装置から前記プローブ応答を受け取って、該他のアクセスポイント装置を検出する
検出方法。
【請求項8】
複数のチャンネルで無線通信が可能なアクセスポイント装置が、無線端末として働く無線LAN装置と接続関係を維持しながら、プローブ要求を送信するためのプログラムであって、
使用中のチャンネルを示すチャンネル情報を付与したプローブ要求を、前記複数のチャンネルのうちの、該使用中のチャンネルとは異なるチャンネルを用いて送信する要求機能と、
前記プローブ要求の送信後、所定期間内に前記使用中のチャンネルに復帰する要求後復帰機能と
をコンピュータに実現させるプログラム。
【請求項9】
複数のチャンネルで無線通信が可能なアクセスポイント装置が、プローブ応答を送信するためのプログラムであって、
他のアクセスポイント装置から、チャンネルを特定するチャンネル情報が付与されたプローブ要求を受信した際に、該チャンネル情報が示すチャンネルを用いて、プローブ応答を送信する応答機能をコンピュータに実現させる
プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−95340(P2012−95340A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281161(P2011−281161)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2010−38753(P2010−38753)の分割
【原出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】