説明

無菌容器の成形方法及び装置並びに無菌充填方法及び装置

【課題】インラインシステムにおいてボトル等の容器の殺菌処理を簡易に行う。
【解決手段】ボトル2のキャビティCを有する金型4内に加熱したプリフォーム1を装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気Mをプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品1aまで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアNを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品をボトルまで膨張させると同時にボトル内の過酸化水素を除去し、上記金型における上記容器の口部に対応する箇所は上記容器の中央部に対応する箇所よりも低い温度に設定して容器の口部の変形を防止するようにした成形方法である。ボトルの殺菌と成形を同時に進めることができるので、殺菌処理を簡易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル等の無菌容器を成形する方法及び装置並びにこの無菌容器を使用した無菌充填方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の内容物の製造ラインにブロー成形機を配置してインラインでPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルを製造し、続いて内容物をボトルに無菌充填するインラインシステムが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
また、同じインラインシステムでも、プリフォームに110℃以上のブロー用の気体を吹き込むことによりボトル内の殺菌とボトルの成形とを同時に行い、この無菌ボトルを内容物充填ラインに供給しようというもの(例えば、特許文献1参照。)もあれば、プリフォームを搬送しながらブロー成形によってPETボトルを作り、このボトルを引き続き走行させながら、定位置に設置したノズルから過酸化水素のミストをボトルの口部に向かって吹き付け、エアノズルをボトルに追従させつつ熱風をボトル内に吹き込んでエアリンスを行い、ボトル内に温水を注入して温水リンスを行い、しかる後にこの無菌ボトルに内容物を充填するというものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−85001号公報
【特許文献2】特開2006−111295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来のボトルの殺菌方法又は無菌充填方法によれば、前者のものにあっては、乾熱殺菌であるから高温の気体でブロー成形するにしても、例えば135℃で3時間、160℃で2時間、180℃で30分それぞれ保持しなければ滅菌は困難である。また、一次ブローと二次ブローとにおいて別個の金型を使用するので、ボトルの成形に時間がかかる。装置構造も複雑化する。したがって、無菌ボトルの生産効率が低く、また、インラインで最終製品とする無菌包装体の生産効率も低下するという問題がある。
【0006】
上記従来のボトルの殺菌方法又は無菌充填方法のうち後者のものにあっては、過酸化水素のミストを定位置で吐出するノズルの先をボトルが走行するので、ミストがボトル内の隅々まで行き届き難いという問題がある。ことにボトル内の底部にはミストが付着し難いので殺菌不良が生じやすい。これを防止するため、従来はボトルの搬送路に沿ってノズルを複数本並べて固定する等してミストを大量に吐出させるようにしている。しかし、これには過酸化水素の消費量の増大を招くという問題がある。また、無菌包装体の生産効率を高めるためにボトルの走行速度を大きくすると、ミストの流量を更に増やさなければならず、過酸化水素の消費量の更なる増大を招く。この問題はノズルをボトルに追従させつつボトル内へミストを吹き込むことで解決するようでもあるが、ミストを吐出するノズルを移動させるものとすると、無菌充填装置の構造が複雑化、大型化し、設置スペースが大きくなり、大幅なコストアップを招くという問題が生じるのみならず、ミスト生成器からノズルまでミストが流れる間にミストが結露しやすくなり、結露した過酸化水素がボトルに向かってボタ落ちしやすくなるという問題が生じる。過酸化水素の濃度を低くすれば結露し難くなるが、その場合は逆に殺菌効果が薄れるという問題がある。
【0007】
したがって、本発明は、インラインシステムにおいてボトル等の容器の殺菌処理速度、成形速度を増し、また、過酸化水素等の過酸化水素の使用量を低減し、また、無菌充填装置の構造を簡素化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0009】
すなわち、請求項1に係る発明は、容器(2)の完成品形状のキャビティ(C)を有する金型(4)内に加熱したプリフォーム(1)を装着し、過酸化水素の凝結ミスト(A)又はガスと一次ブロー用エア(H)とを混ぜた混合気(M)を上記プリフォーム(1)内に吹き込むことによって上記キャビティ(C)内でプリフォーム(1)を中間成形品(1a)まで膨張させると同時に中間成形品(1a)内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エア(N)を上記中間成形品(1a)内に吹き込むことによって上記キャビティ(C)内で中間成形品(1a)を容器(2)の完成品まで膨張させると同時に容器(2)内の過酸化水素を除去し、上記金型における上記容器の口部に対応する箇所は上記容器の中央部に対応する箇所よりも低い温度に設定して容器の口部の変形を防止する無菌容器の成形方法を採用する。
【0010】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の無菌容器の成形方法において、上記容器(2)をPET製とすることができる。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、容器(2)の完成品形状のキャビティ(C)を有する金型(4)を走行させつつ、金型(4)内に加熱したプリフォーム(1)を装着し、過酸化水素の凝結ミスト(A)又はガスと一次ブロー用エア(H)とを混ぜた混合気(M)を上記プリフォーム(1)内に吹き込むことによって上記キャビティ(C)内でプリフォーム(1)を中間成形品(1a)まで膨張させると同時に中間成形品(1a)内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エア(N)を上記中間成形品(1a)内に吹き込むことによって上記キャビティ(C)内で中間成形品(1a)を容器(2)の完成品まで膨張させると同時に容器(2)内の過酸化水素を除去し、上記金型における上記容器の口部に対応する箇所は上記容器の中央部に対応する箇所よりも低い温度に設定して容器の口部の変形を防止するようにし、しかる後に、上記走行する金型(4)から容器(2)を取り出して走行させながら容器(2)に内容物を充填し密封する無菌充填方法を採用する。
【0012】
請求項4に記載されるように、請求項3に記載の無菌充填方法において、上記容器(2)をPET製とすることができる。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、プリフォーム(1)を第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器(2)の完成品形状のキャビティ(C)を有する金型(4)を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォーム(1)を加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォーム(1)を金型(4)で受け取り過酸化水素の凝結ミスト(A)又はガスと一次ブロー用エア(H)とを混ぜた混合気(M)をプリフォーム(1)内に吹き込むことによってキャビティ(C)内でプリフォーム(1)を中間成形品(1a)まで膨張させると同時に中間成形品(1a)内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エア(N)を上記中間成形品(1a)内に吹き込むことによってキャビティ(C)内で中間成形品(1a)を容器(2)の完成品まで膨張させると同時に容器(2)内の過酸化水素を除去するようにし、上記金型における上記容器の口部に対応する箇所は上記容器の中央部に対応する箇所よりも低い温度に設定して容器の口部の変形を防止するようにした無菌容器の成形装置を採用する。
【0014】
請求項6に記載されるように、請求項5に記載の無菌容器の成形装置において、上記容器(2)をPET製とすることができる。
【0015】
また、請求項7に係る発明は、プリフォーム(1)を第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器(2)の完成品形状のキャビティ(C)を有する金型(4)を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、上記金型(4)で成形された容器(2)を上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送する容器用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォーム(1)を加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォーム(1)を金型(4)で受け取り過酸化水素の凝結ミスト(A)又はガスと一次ブロー用エア(H)とを混ぜた混合気(M)をプリフォーム(1)内に吹き込むことによってキャビティ(C)内でプリフォーム(1)を中間成形品(1a)まで膨張させると同時に中間成形品(1a)内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エア(N)を上記中間成形品(1a)内に吹き込むことによってキャビティ(C)内で中間成形品(1a)を容器(2)の完成品まで膨張させると同時に容器(2)内の過酸化水素を除去し、上記金型における上記容器の口部に対応する箇所は上記容器の中央部に対応する箇所よりも低い温度に設定して容器の口部の変形を防止し、上記第三の搬送路でフィラー(39)から上記容器(2)に内容物を充填しキャッパー(40)で密封するようにした無菌充填装置を採用する。
【0016】
また、請求項8に記載されるように、請求項7に記載の無菌充填装置において、上記容器(2)をPET製とすることができる。
請求項9に係る発明は、容器の完成品形状のキャビティを有する金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと加熱した一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去する無菌容器の成形方法を採用する。
請求項10に記載されるように、請求項9に記載の無菌容器の成形方法において、上記容器をPET製とすることができる。
請求項11に係る発明は、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を走行させつつ、金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと加熱した一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、しかる後に、上記走行する金型から容器を取り出して走行させながら容器に内容物を充填し密封する無菌充填方法を採用する。
請求項12に記載されるように、請求項11に記載の無菌充填方法において、上記容器をPET製とすることができる。
請求項13に係る発明は、プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと加熱した一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去するようにした無菌容器の成形装置を採用する。
請求項14に記載されるように、請求項13に記載の無菌容器の成形装置において、上記容器をPET製とすることができる。
請求項15に係る発明は、プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、上記金型で成形された容器を上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送する容器用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと加熱した一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、上記第三の搬送路でフィラーから上記容器に内容物を充填しキャッパーで密封するようにした無菌充填装置を採用する。
請求項16に記載されるように、請求項15に記載の無菌充填装置において、上記容器をPET製とすることができる。
請求項17に係る発明は、容器の完成品形状のキャビティを有する金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去するようにし、上記容器をブロー成形するゾーンには微生物が除去されたエアを常時吹き込むようにした無菌容器の成形方法を採用する。
請求項18に記載されるように、請求項17に記載の無菌容器の成形方法において、上記容器をPET製とすることができる。
請求項19に係る発明は、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を走行させつつ、金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、上記容器をブロー成形するゾーンには微生物が除去されたエアを常時吹き込むようにし、しかる後に、上記走行する金型から容器を取り出して走行させながら容器に内容物を充填し密封する無菌充填方法を採用する。
請求項20に記載されるように、請求項19に記載の無菌充填方法において、上記容器をPET製とすることができる。
請求項21に係る発明は、プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去するようにし、上記容器をブロー成形するゾーンには微生物が除去されたエアを常時吹き込むようにした無菌容器の成形装置を採用する。
請求項22に記載されるように、請求項21に記載の無菌容器の成形装置において、上記容器をPET製とすることができる。
請求項23に係る発明は、プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、上記金型で成形された容器を上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送する容器用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、上記容器をブロー成形するゾーンには微生物が除去されたエアを常時吹き込むようにし、上記第三の搬送路でフィラーから上記容器に内容物を充填しキャッパーで密封するようにした無菌充填装置を採用する。
請求項24に記載されるように、請求項23に記載の無菌充填装置において、上記容器をPET製とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、容器(2)の完成品形状のキャビティ(C)を有する金型(4)内に加熱したプリフォーム(1)を装着し、過酸化水素の凝結ミスト(A)又はガスと一次ブロー用エア(H)とを混ぜた混合気(M)を上記プリフォーム(1)内に吹き込むことによって上記キャビティ(C)内でプリフォーム(1)を中間成形品(1a)まで膨張させると同時に中間成形品(1a)内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エア(N)を上記中間成形品(1a)内に吹き込むことによって上記キャビティ(C)内で中間成形品(1a)を容器(2)の完成品まで膨張させると同時に容器(2)内の過酸化水素を除去する無菌容器の成形方法であるから、ボトル等の容器(2)の殺菌と成形を同時に進めることができ、また、容器よりも表面積の小さいプリフォーム(1)の状態で殺菌すればよいので、少量の過酸化水素の使用によって速やかに殺菌することができ、したがって、インラインシステムにおいて容器(2)を次の充填工程等に速やかに移行させることができる。
【0018】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の無菌容器の成形方法において、上記容器(2)がPET製であるものとした場合は、過酸化水素の容器(2)への過度な吸着を防止することができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、容器(2)の完成品形状のキャビティ(C)を有する金型(4)を走行させつつ、金型(4)内に加熱したプリフォーム(1)を装着し、過酸化水素の凝結ミスト(A)又はガスと一次ブロー用エア(H)とを混ぜた混合気(M)を上記プリフォーム(1)内に吹き込むことによって上記キャビティ(C)内でプリフォーム(1)を中間成形品(1a)まで膨張させると同時に中間成形品(1a)内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エア(N)を上記中間成形品(1a)内に吹き込むことによって上記キャビティ(C)内で中間成形品(1a)を容器(2)の完成品まで膨張させると同時に容器(2)内の過酸化水素を除去し、しかる後に、上記走行する金型(4)から容器(2)を取り出して走行させながら容器(2)に内容物(a)を充填し密封する無菌充填方法であるから、ボトル等の容器(2)の殺菌と成形を同時に進めることができ、また、容器よりも表面積の小さいプリフォーム(1)の状態で殺菌すればよいので、少量の過酸化水素の使用によって速やかに殺菌することができ、したがって、インラインシステムにおいて容器(2)を次の充填工程等に速やかに移行させて無菌包装体を効率良く製造することができる。
【0020】
請求項4に記載されるように、請求項3に記載の無菌充填方法において、上記容器(2)がPET製であるものとした場合は、内部が適正に殺菌され、容器(2)への過酸化水素の過度な吸着のない無菌包装体を製造することができる。
【0021】
請求項5に記載されるように、プリフォーム(1)を第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器(2)の完成品形状のキャビティ(C)を有する金型(4)を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォーム(1)を加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォーム(1)を金型(4)で受け取り過酸化水素の凝結ミスト(A)又はガスと一次ブロー用エア(H)とを混ぜた混合気(M)をプリフォーム(1)内に吹き込むことによってキャビティ(C)内でプリフォーム(1)を中間成形品(1a)まで膨張させると同時に中間成形品(1a)内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エア(N)を上記中間成形品(1a)内に吹き込むことによってキャビティ(C)内で中間成形品(1a)を容器(2)の完成品まで膨張させると同時に容器(2)内の過酸化水素を除去するようにした無菌容器の成形装置であるから、ボトル等の容器(2)の殺菌と成形を同時に進めることができ、また、容器よりも表面積の小さいプリフォーム(1)の状態で殺菌すればよいので、少量の過酸化水素の使用によって速やかに殺菌することができ、したがって、インラインシステムにおいて容器(2)を次の充填機等に速やかに移行させることができる。
【0022】
請求項6に記載されるように、請求項5に記載の無菌容器の成形装置において、上記容器(2)をPET製とし、上記過酸化水素を過酸化水素とした場合は、過酸化水素である過酸化水素の容器(2)への過度な吸着を防止することができるとともに、匂いの残留を来たすことなく容器(2)を短時間で適正に殺菌することができる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、プリフォーム(1)を第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器(2)の完成品形状のキャビティ(C)を有する金型(4)を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、上記金型(4)で成形された容器(2)を上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送する容器用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォーム(1)を加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォーム(1)を金型(4)で受け取り過酸化水素の凝結ミスト(A)又はガスと一次ブロー用エア(H)とを混ぜた混合気(M)をプリフォーム(1)内に吹き込むことによってキャビティ(C)内でプリフォーム(1)を中間成形品(1a)まで膨張させると同時に中間成形品(1a)内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エア(N)を上記中間成形品(1a)内に吹き込むことによってキャビティ(C)内で中間成形品(1a)を容器(2)の完成品まで膨張させると同時に容器(2)内の過酸化水素を除去し、上記第三の搬送路でフィラーから上記容器(2)に内容物を充填しキャッパーで密封するようにした無菌充填装置であるから、ボトル等の容器(2)の殺菌と成形を同時に進めることができ、また、容器よりも表面積の小さいプリフォーム(1)の状態で殺菌すればよいので、少量の過酸化水素の使用によって速やかに殺菌することができ、したがって、インラインシステムにおいて容器(2)を次の充填工程等に速やかに移行させて無菌包装体を効率良く製造することができる。
【0024】
請求項8に記載されるように、請求項7に記載の無菌充填装置において、上記容器(2)をPET製であるものとした場合は、過酸化水素の容器(2)への過度な吸着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る無菌充填方法によって製造される無菌包装体の一例を示す部分切欠正面図である。
【図2】本発明に係る無菌容器の成形方法の各工程を表す説明図である。
【図3】過酸化水素の凝結ミスト又はガスを生成するための気化器の一例を示す垂直断面図である。
【図4】本発明に係る無菌充填装置の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための形態について説明する。
【0027】
この実施の形態におけるインラインシステムによれば、最終製品として図1に示す無菌包装体が製造される。
【0028】
図1に示すように、この無菌包装体は、容器であるボトル2と、蓋であるキャップ3とを備える。
【0029】
ボトル2はこの実施の形態ではPET製であるが、PETに限らずポリプロピレン、ポリエチレン等他の樹脂を用いて作ることも可能である。ボトル2の口部2aには雄ネジ2bが形成される。
【0030】
キャップ3はポリプロピレン等の樹脂を材料にして射出成形等により形成され、キャップ3の成形と同時に雌ネジ3aも形成される。
【0031】
ボトル2には、その内部があらかじめ殺菌処理された状態で飲料等の殺菌処理済の内容物aが充填される。内容物aの充填後にキャップ3がボトルの口部2aに被せられ、雌雄ネジ3a,2bの螺合によってボトル2の口部2aが密封され、無菌包装体が完成する。
【0032】
上記ボトル2は、次に述べるようなブロー成形によって内部を殺菌されると同時に無菌容器として成形される。
【0033】
まず、図2(A)に示すように、プリフォーム1とブロー成形用の金型4が用意される。
【0034】
プリフォーム1は、PETの射出成形等によって略試験管状の有底筒状体として形成される。プリフォーム1は、図1に示したボトル2におけると同様な口部2aを備える。この口部2aにはプリフォーム1の成形と同時に雄ネジ2bが形成される。
【0035】
金型4は、容器であるボトル2の完成品形状のキャビティCを有し、ボトル2の口部2aに対応した金型上部4a、ボトル2の胴部に対応した金型中央部4b、ボトル2の底部に対応した金型底部4cとに分割される。なお、図2(A)(B)(C)では、便宜上、下側が金型上部4aとして表示している。
【0036】
金型4の各部4a,4b,4cには、必要に応じてそれぞれ異なる温度が設定される。例えば、ボトル2の口部2aと底部にそれぞれ対応した金型4の上部4aと下部4cは、中央部4bに比べて低い温度に設定することができる。ボトル2の口部2aはプリフォーム1において既に形成されているため、この口部2aに熱を供給しすぎると口部2aが変形するおそれがある。そこで、この口部2aと接触する金型の上部4aの温度は低くしておくことにより口部2aの変形を防止することができる。
【0037】
プリフォーム1は、その全体の温度が成形に好適な温度域に上昇するようにほぼ均一に加熱された後に、図2(A)に示すように、金型4内に装着される。また、ブローノズル5が金型上部4a及びプリフォーム1の口部2aを貫通してプリフォーム1内に挿入される。
【0038】
この図2(A)の型締工程は、望ましくは金型4、ブローノズル5及びプリフォーム1を同じ速度で走行させながら行われる。
【0039】
次に、図2(B)に示すように、一次ブロー用エアHに殺菌剤である過酸化水素の凝結ミストA(図3参照)を混ぜた混合気Mがブローノズル5からプリフォーム1内に吹き込まれることによって、金型4のキャビティC内でプリフォーム1が中間成形品1aまで膨張すると同時に中間成形品1a内が殺菌される。この工程はプリフォーム1の予備延伸を行うためのいわゆる一次ブロー工程であり、また、殺菌工程でもある。
【0040】
なお、上記一次ブロー用エアHは必要に応じてヒータ等で加熱してもよい。一次ブロー用エアHを加熱した場合は、上記凝結ミストAは過酸化水素ガスとなって混合気Mに含まれることになる。
【0041】
過酸化水素の凝結ミストAは、例えば図3に示す気化器6によって生成可能である。
【0042】
この気化器6は、殺菌剤である過酸化水素の水溶液を滴状にして供給する二流体スプレーである過酸化水素供給部7と、この過酸化水素供給部7から供給された過酸化水素の噴霧をその沸点以上の非分解温度以下に加熱して気化させる気化部8とを備える。過酸化水素供給部7は、過酸化水素供給路7a及び圧縮空気供給路7bからそれぞれ過酸化水素の水溶液と圧縮空気を導入して過酸化水素の水溶液を気化部8内に噴霧するようになっている。気化部8は内外壁間にヒータ8aを挟み込んだパイプであり、このパイプ内に吹き込まれた過酸化水素の噴霧を加熱し気化させる。気化した過酸化水素はノズル9から凝結ミストとなって気化器6外に噴出する。
【0043】
このノズル9には一次ブロー用エアHの供給管10が連結され、この供給管10の下流側に上記ブローノズル5が連結される。一次ブロー用エアHは供給管10の上流において、図示しないが例えばHEPAフィルタ等で濾過した空気流をヒータで加熱することによって作られる。ノズル9から吹き出す過酸化水素の凝結ミストAは供給管10内に流入し、供給管10内を通る一次ブロー用エアHと混じり合って混合気Mとなり、この混合気Mがブローノズル5からプリフォーム1内に吹き込まれる。図2(B)のごとく混合気Mが吹き込まれることによって、プリフォーム1は中間成形品1aまで膨張し、同時に混合気M中の過酸化水素の凝結ミスト又はガスによって内部が殺菌される。
【0044】
この図1(B)の一次ブロー工程も、望ましくは金型4、ブローノズル5及びプリフォーム1の中間成形品1aを一体で走行させながら行われる。
【0045】
続いて、図2(C)に示すように、二次ブロー用エアNを上記ブローノズル5からプリフォーム1の上記中間成形品1a内に吹き込むことによって、上記金型4のキャビティC内で中間成形品1aをボトル2の完成品まで膨張させ、同時にボトル2内の過酸化水素を除去する。
【0046】
二次ブロー用エアNは、上記一次ブロー用エアHと同様なエアであるが、一次ブロー用エアHよりも圧力が高く、また、上記過酸化水素の凝結ミスト又はガスを含むことなく供給される。この二次ブロー用エアNも加熱したうえで供給してよい。
【0047】
この工程は二度目の延伸を行うためのいわゆる二次ブローに対応する。このように、一次と二次のブローが行われることによって耐熱性の良いボトル2が成形されることになる。また、この工程はボトル2内の過酸化水素を除去するものでもあるからエアリンス工程でもある。
【0048】
この図1(C)の二次ブロー工程も、望ましくは金型4、ブローノズル5及びプリフォーム1の中間成形品を一体で走行させながら行われる。
【0049】
このように金型4内でボトル2が成形されると、その後、金型4の型開きが行われ、ボトル2の完成品が金型4外へ取り出される。
【0050】
かくて、殺菌と成形とが同時進行で行われることにより作られたボトル2は、引き続き走行しながら図1に示したように飲料等の内容物aが口部2aから充填され、キャップ3で閉じられて無菌包装体とされる。
【0051】
また、このボトル2はプリフォーム1の状態で殺菌されることから、少量の過酸化水素の使用によって速やかに殺菌され、したがって、インラインシステムにおいてボトル2の充填工程等への移行も速やかに行われる。
【0052】
上記無菌充填方法を実施するための無菌充填装置は、例えば図4のごとく構成される。
【0053】
図4に示すように、この無菌充填装置は、口部2aを有する有底筒状のプリフォーム1(図2(A)参照)を所定の間隔で順次供給するプリフォーム供給機11と、ブロー成形機12と、成形されたボトル2に飲料等の内容物aをボトル2に充填、密封する充填機13とを備える。
【0054】
プリフォーム供給機11から充填機13に至る間には、プリフォーム1(図2(A)参照)を第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、ボトル2の完成品形状のキャビティCを有する金型4(図2(A)参照)を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、金型4で成形されたボトル2を上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送するボトル用搬送手段とが設けられる。
【0055】
プリフォーム用搬送手段の第一の搬送路と、金型用搬送手段の第二の搬送路と、ボトル用搬送手段の第三の搬送路は互いに連通し、これらの搬送路上にはプリフォーム1やボトル2を保持しつつ搬送する図示しないグリッパー等が設けられている。
【0056】
プリフォーム用搬送手段は、その第一の搬送路上に、プリフォーム1を所定の間隔で順次供給するプリフォームコンベア14を備える。また、プリフォームコンベア14の終端からプリフォーム1を受け取って搬送するホイール15,16,17,18の列と、ホイール18からプリフォーム1を受け取って走行させるコンベア19とを具備する。
【0057】
コンベア19は水平方向に長く伸びる無端チェーンを有し、この無端チェーンに沿って加熱部19aが設けられている。
【0058】
プリフォーム1は、プリフォームコンベア14、ホイール15,16,17,18の列を経てコンベア19に受け取られ、加熱部19a内をこのコンベア19によって往復移動する。加熱部19aの内壁面には、図示しないヒータが張り巡らされており、コンベア19によって搬送されるプリフォーム1がこのヒータによって加熱される。
【0059】
ブロー成形機12は、上記プリフォーム供給機11の加熱部19aで加熱されたプリフォーム1を受け取ってボトル2に加熱成形する金型4及びブローノズル5(図2(A)参照)を複数セット備える。
【0060】
ブロー成形機9内には、上記金型用搬送手段の第二の搬送路が通っている。この第二の搬送路は、ホイール20,21,22,17,23の列によって構成される。なお、このホイール20,21,22,17,23の列と上記プリフォーム用搬送手段のホイール15,16,17,18の列との間ではホイール17が共用される。
【0061】
金型4及びブローノズル5は、ホイール21の回りに複数個配置され、ホイール21の回転とともにホイール21の周りを一定速度で旋回する。
【0062】
金型4は、図2(A)に示したように、金型上部4aと金型中央部4bと金型底部4cとを備える。ホイール20のグリッパーがプリフォーム供給機11の加熱部19aで加熱されたプリフォーム1を受け取ってホイール21の回りの金型4に受け渡すと、金型4の上中下部4a,4b,4cが合体してプリフォーム1を図2(A)のごとく把持する。金型4内のプリフォーム1はホイール20の回りを金型4及びブローノズル5と共に旋回しながら、図2(B)のごとく一次ブローに付されて中間成形品1aに成形されると同時に内部を殺菌処理され、図2(C)のごとく二次ブローに付されてボトル2の完成品に成形されると同時に内部の過酸化水素を除去される。図4中、IIA、IIB、IICは図2(A)(B)(C)にそれぞれ対応する。
【0063】
金型4のキャビティC内にプリフォーム1が密着しボトル2が形成されると、この金型4はホイール22に接したところで型開きし、そのボトル2をホイール22のグリッパーに受け渡す。このボトル2はホイール22,17,23を経て充填機13へと搬送される。
【0064】
充填機13は、上記ボトル用搬送手段の第三の搬送路をその内部に有する。この第三の搬送路は、ホイール27,34,35,36,37,38の列を有する。このホイール27,34,35,36,37,38の列に沿って、無菌状態のボトル2に内容物aを充填するためのフィラー39と、内容物aが充填されたボトル2にキャップ3(図1参照)を取り付けて密封するためのキャッパー40とが順に設けられる。
【0065】
なお、フィラー39及びキャッパー40は公知の装置と同様で良いため、説明を省略する。
【0066】
また、この無菌充填装置はチャンバー41で囲まれており、チャンバー41内は無菌ゾーンとグレーゾーンに仕切られている。そして、プリフォーム供給機11及びブロー成形機12はグレーゾーンに、充填機13は無菌ゾーンにそれぞれ配置されている。
【0067】
グレーゾーンにはHEPAで浄化されたエアが常時吹き込まれ、これにより、成形時に殺菌されたボトル2が微生物に二次汚染されることなく無菌ゾーンへと搬送される。
【0068】
次に、図2及び図4を参照して無菌充填装置の動作を説明する。
【0069】
まず、プリフォームコンベア14、ホイール15,16,17,18の列によってプリフォーム1が加熱部19aへと搬送される。
【0070】
加熱部19aにおいてプリフォーム1は、コンベア19によって搬送されつつ、全体の温度が成形に好適な温度域まで加熱される。
【0071】
加熱部19aで加熱されたプリフォーム1は、ホイール20を経てホイール21へと搬送される。そして、プリフォーム1は、金型4及びブローノズル5により図2(A)のごとく抱持され、同図(B)のごとく過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとの混合気Mの吹き込みによって一次ブローされると同時に過酸化水素の凝結ミスト又はガスによって内部を殺菌される。これにより、プリフォーム1はキャビティC内でボトル2の中間成形品1aまで膨張する。さらに、この中間成形品1a内に同図(C)のごとく二次ブロー用エアNを吹き込むことによって、プリフォームの中間成形品1aは二次ブローされると同時に内部から過酸化水素を除去されボトル2の完成品まで膨張する。
【0072】
成形と殺菌が同時に行われたボトル2は、金型4の型開き後にホイール22のグリッパーによって金型4外に取り出され、ホイール22から下流側のホイール17,23,27,34,35,36,37,38の列へと受け渡されつつ充填機13内を走行する。
【0073】
充填機13においてボトル2には、フィラー39により飲料等の滅菌処理された内容物aが充填される。内容物aが充填されたボトル2は、キャッパー40によりキャップ3(図1参照)が取り付けられて密封され、チャンバー41の出口から排出される。
【0074】
上述したようにフィラー39及びキャッパー40は公知の装置であるため、ボトル2への内容物の充填方法及びボトル2の密封方法の説明は省略する。
【0075】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく種々の形態にて実施可能である。例えば、本発明が適用される容器はPETボトルに限定されず、種々の樹脂製容器に適用することができる。容器の成形はインジェクションブローに限定されず、ダイレクトブロー等各種のブロー成形によって成形可能である。また、プリフォームや容器を搬送する搬送手段は、図4に示したホイール搬送装置に限定されない。容器が成形された順に所定の搬送速度で搬送可能な種々の搬送装置、例えばベルト搬送装置、バケット搬送装置、エア搬送装置を使用することもできる。
【符号の説明】
【0076】
1…プリフォーム
1a…中間成形品
2…ボトル
4…金型
39…フィラー
40…キャッパー
C…キャビティ
A…過酸化水素のミスト
H…一次ブロー用エア
M…混合気
N…二次ブロー用エア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の完成品形状のキャビティを有する金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、上記金型における上記容器の口部に対応する箇所は上記容器の中央部に対応する箇所よりも低い温度に設定して容器の口部の変形を防止するようにしたことを特徴とする無菌容器の成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載の無菌容器の成形方法において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌容器の成形方法。
【請求項3】
容器の完成品形状のキャビティを有する金型を走行させつつ、金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、上記金型における上記容器の口部に対応する箇所は上記容器の中央部に対応する箇所よりも低い温度に設定して容器の口部の変形を防止するようにし、しかる後に、上記走行する金型から容器を取り出して走行させながら容器に内容物を充填し密封することを特徴とする無菌充填方法。
【請求項4】
請求項3に記載の無菌充填方法において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌充填方法。
【請求項5】
プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去するようにし、上記金型における上記容器の口部に対応する箇所は上記容器の中央部に対応する箇所よりも低い温度に設定して容器の口部の変形を防止するようにしたことを特徴とする無菌容器の成形装置。
【請求項6】
請求項5に記載の無菌容器の成形装置において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌容器の成形装置。
【請求項7】
プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、上記金型で成形された容器を上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送する容器用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、上記金型における上記容器の口部に対応する箇所は上記容器の中央部に対応する箇所よりも低い温度に設定して容器の口部の変形を防止し、上記第三の搬送路でフィラーから上記容器に内容物を充填しキャッパーで密封するようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項8】
請求項7に記載の無菌充填装置において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌充填装置。
【請求項9】
容器の完成品形状のキャビティを有する金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと加熱した一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去することを特徴とする無菌容器の成形方法。
【請求項10】
請求項9に記載の無菌容器の成形方法において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌容器の成形方法。
【請求項11】
容器の完成品形状のキャビティを有する金型を走行させつつ、金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと加熱した一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、しかる後に、上記走行する金型から容器を取り出して走行させながら容器に内容物を充填し密封することを特徴とする無菌充填方法。
【請求項12】
請求項11に記載の無菌充填方法において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌充填方法。
【請求項13】
プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと加熱した一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去するようにしたことを特徴とする無菌容器の成形装置。
【請求項14】
請求項13に記載の無菌容器の成形装置において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌容器の成形装置。
【請求項15】
プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、上記金型で成形された容器を上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送する容器用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと加熱した一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、上記第三の搬送路でフィラーから上記容器に内容物を充填しキャッパーで密封するようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項16】
請求項15に記載の無菌充填装置において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌充填装置。
【請求項17】
容器の完成品形状のキャビティを有する金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去するようにし、上記容器をブロー成形するゾーンには微生物が除去されたエアを常時吹き込むようにしたことを特徴とする無菌容器の成形方法。
【請求項18】
請求項17に記載の無菌容器の成形方法において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌容器の成形方法。
【請求項19】
容器の完成品形状のキャビティを有する金型を走行させつつ、金型内に加熱したプリフォームを装着し、過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気を上記プリフォーム内に吹き込むことによって上記キャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、次いで、二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによって上記キャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、上記容器をブロー成形するゾーンには微生物が除去されたエアを常時吹き込むようにし、しかる後に、上記走行する金型から容器を取り出して走行させながら容器に内容物を充填し密封することを特徴とする無菌充填方法。
【請求項20】
請求項19に記載の無菌充填方法において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌充填方法。
【請求項21】
プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去するようにし、上記容器をブロー成形するゾーンには微生物が除去されたエアを常時吹き込むようにしたことを特徴とする無菌容器の成形装置。
【請求項22】
請求項21に記載の無菌容器の成形装置において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌容器の成形装置。
【請求項23】
プリフォームを第一の搬送路上で搬送するプリフォーム用搬送手段と、容器の完成品形状のキャビティを有する金型を上記第一の搬送路に接続される第二の搬送路上で搬送する金型用搬送手段と、上記金型で成形された容器を上記第二の搬送路に接続される第三の搬送路上で搬送する容器用搬送手段とを有し、上記第一の搬送路に沿って配置されたヒータにより第一の搬送路上を走行するプリフォームを加熱し、上記第二の搬送路の上流側で上記加熱されたプリフォームを金型で受け取り過酸化水素の凝結ミスト又はガスと一次ブロー用エアとを混ぜた混合気をプリフォーム内に吹き込むことによってキャビティ内でプリフォームを中間成形品まで膨張させると同時に中間成形品内を殺菌し、上記第二の搬送路の下流側で二次ブロー用エアを上記中間成形品内に吹き込むことによってキャビティ内で中間成形品を容器の完成品まで膨張させると同時に容器内の過酸化水素を除去し、上記容器をブロー成形するゾーンには微生物が除去されたエアを常時吹き込むようにし、
上記第三の搬送路でフィラーから上記容器に内容物を充填しキャッパーで密封するようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項24】
請求項23に記載の無菌充填装置において、上記容器がPET製であることを特徴とする無菌充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−32020(P2013−32020A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−241815(P2012−241815)
【出願日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【分割の表示】特願2008−127014(P2008−127014)の分割
【原出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】