説明

無音側溝

【課題】蓋体を側溝本体に覆設するだけで容易に位置決めして所定位置に保持することができるので、位置ずれが発生し難く、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体同士が接触するのを確実に防止でき、車両などが通過しても騒音や蓋体の破損が発生することがない施工性、信頼性、耐久性に優れる無騒音側溝を提供することを目的とする。
【解決手段】側溝本体の蓋掛かり部上面に蓋体を覆設し溝内部を閉塞するコンクリート製の無騒音側溝であって、側溝本体の蓋掛かり部上面側に埋設された埋設部と、埋設部に延設又は配設され蓋掛かり部上面から突出した弾性突出部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の縁などに沿って配設される蓋付きのコンクリート製の側溝に関し、特に、車両等が通過する際に騒音が発生するのを防止できる無音側溝に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の縁などに沿って配設される蓋付きのコンクリート製の側溝は、側溝本体の蓋掛かり部に蓋体が覆設され閉塞される構造になっている。このコンクリート製の側溝本体及び蓋体は、蓋体の設置作業上、蓋体と側溝本体との間や隣接する蓋体同士の間に空隙が発生する。このため、車両が蓋体の上を通過する毎に蓋体が前後左右に移動し、側溝本体や隣接する蓋体と衝突して騒音が発生するという問題点があった。また、蓋体と側溝本体を精度良く作製する等して、蓋体が前後や左右に移動しないようにしても、車両通行時の強い衝撃などにより、蓋体がバウンドした場合には、側溝本体や隣接する蓋体と衝突して騒音が発生するという問題点があった。特に、交通量が多く車両が頻繁に通過する道路では、側溝本体に対する蓋体の収まりが悪い場合、大きな騒音が発生するばかりでなく、車両の重量が大きな負荷となり、蓋体或いは側溝本体が破損するという問題点もあった。
このような問題点を解決するために様々な検討がなされている。
例えば、(特許文献1)には、「側溝本体の開口部の上面部には緩衝体を載置し、該開口部に装着される蓋体を受け止め両者間に介挿する一方、緩衝体を載置する側壁本体の上面部には係合凹部を形成し、他方緩衝体の下面には係止凸部を設けて係合凹部に嵌合係止し、開口部上面部と蓋体の当接部間からの脱落を防止するようにしてなる蓋付きコンクリート側溝。」が開示されている。
また、(特許文献2)には、「対向状態に配置した係合用凹部内に係合状態に配置して二つの係合対象物同士を係合する係合体と、同係合体の外周面中途部より少なくともその一部が外方へ鍔状に張り出した鍔状片を有して、同鍔状片が二つの係合対象物同士の当接面間に配置される緩衝・防音体とを具備することを特徴とする係合兼緩衝・防音具。」が開示されている。
【特許文献1】特開2001−214506号公報
【特許文献2】特開2004−308326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)では、側溝本体と蓋体の間に緩衝体を介挿することで両者の間にできる空隙を埋め、直接衝突することを回避して、騒音や破損の発生を防止しているが、蓋体は緩衝体との摩擦力で保持されているだけで、蓋体と緩衝体或いは緩衝体と側溝本体とは直接固定されていないため、蓋体の移動が発生し易く、隣接する蓋体や側溝本体との接触による騒音の発生を完全には防止できないという課題を有していた。また、施工時に側壁本体の上面部に緩衝体を載置した上で蓋体を配置しなければならないので工数がかかり施工性に欠けるという課題を有していた。更に、側壁本体の上面部に形成した係合凹部の内部に小石などの異物等が入り込み易く、緩衝体を載置する際に、緩衝体の下面に設けた係止凸部が係合凹部に収まりきらずに緩衝体の表面に凹凸が生じ、蓋体と緩衝体との間に部分的に空隙が発生して、車両の通過により蓋体が傾いたり、跳ね上がったりする等して騒音や蓋体の破損が発生するという課題を有していた。
(2)(特許文献2)では、係合対象物の係合用凹部に一箇所ずつ係合体を装着しなければならず施工性に欠けると共に、係合体を装着し忘れる可能性があり、その場合は係合対象物にがたつきが生じ、騒音や破損が発生し易くなるという課題を有していた。また、係合用凹部の内部に小石などの異物等が入り込むと、係合体が浮き上がったり、傾いたりして、係合対象物同士の当接面間に不均一な空隙が生じ、車両の通過により係合対象物同士が接触し、騒音や破損が発生するという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、蓋体を側溝本体に覆設するだけで容易に位置決めして所定位置に保持することができるので、位置ずれが発生し難く、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体同士が接触するのを確実に防止でき、車両などが通過しても騒音や蓋体の破損が発生することがない施工性、信頼性、耐久性に優れる無音側溝を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の無音側溝は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の無音側溝は、側溝本体の蓋掛かり部上面に蓋体を覆設し溝内部を閉塞するコンクリート製の無音側溝であって、前記側溝本体の蓋掛かり部上面側に埋設された埋設部と、前記埋設部に延設又は配設され前記蓋掛かり部上面から突出した弾性突出部と、を有する衝撃吸収部材を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)衝撃吸収部材が、埋設部で側溝本体の蓋掛かり部上面側に埋設され、側溝本体と一体化されているので、現場での施工時に衝撃吸収部材を装着する必要がなく、また、衝撃吸収部材を装着し忘れたり、衝撃吸収部材が脱落したりすることがなく、取扱いが容易で、信頼性に優れる。
(2)衝撃吸収部材の埋設部に延設又は配設された弾性突出部が、側溝本体の蓋掛かり部上面から突出しているので、蓋体を上方から載置するだけで、弾性突出部の上端面を蓋体の底面に当接させて確実に支持することができ、蓋体の底面と側溝本体の蓋掛かり部上面が直接接触せず、車両等が通過した際には、衝撃吸収部材の弾性突出部が圧縮変形して重量を吸収することができる。
(3)蓋体の底面を衝撃吸収部材の弾性突出部で支持するだけなので、容易に蓋体の着脱を行うことができ、蓋体の底面と側溝本体の蓋掛かり部上面との間などに小石や土砂等の異物が入り込んだ場合も、簡便に取り除くことができ、メンテナンス性に優れる。
【0006】
ここで、衝撃吸収部材は蓋体の少なくとも四隅に相当する位置に配置される。尚、蓋体の寸法に応じて長手方向の任意の位置に衝撃吸収部材を追加することができる。
衝撃吸収部材の弾性突出部は、蓋体に車両等の荷重がかかった際に弾性変形してその重量を吸収し、蓋体の底面と側溝本体の蓋掛かり部上面が接触するのを防止できる弾性と剛性を有するものであればよい。具体的には、硬質の天然ゴムや合成ゴム等の弾性体や合成樹脂、或いはアルミニウム製やステンレス製等の板ばねやコイルばね等のばねが好適に用いられる。衝撃吸収部材は埋設部と弾性突出部を同一の材料で一体に形成したものが作業性の点から好ましいが、弾性突出部が天然ゴム製、合成ゴム製、合成樹脂製等の場合、鉄やステンレス等の金属で円柱状や角柱状等に形成された埋設部の上面に円柱状や角柱状等に形成された弾性突出部を接着等により固定してもよい。
【0007】
合成樹脂としては、適度な弾性と耐候性を有するものが好ましく、例えばふっ素樹脂(FR)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリアミドイミド(PAI)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)等が好適に用いられる。
また、弾性突出部がばねの場合、前述の金属製の埋設部の上面に溶接等により固設することができる。特にコイルばねの場合は、埋設部を中空の有底筒状に形成し、上部が突出するように埋設部の内部(中空部)に収容するようにしてもよい。
尚、蓋体の底面側に衝撃吸収部材の埋設部を埋設して蓋体と衝撃吸収部材を一体に形成しても側溝本体と衝撃吸収部材を一体に形成した場合と同様の作用を得ることができる。特に、蓋体と衝撃吸収部材を一体に形成した場合は、蓋体を側溝本体の蓋掛かり部上面に載置するだけで位置決めをする必要がないので施工性、普遍性に優れる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無音側溝であって、前記衝撃吸収部材の少なくとも前記弾性突出部が、硬質ゴム製である構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)衝撃吸収部材の少なくとも弾性突出部が硬質ゴム製であることにより、弾性突出部表面の摩擦力により蓋体を所望の位置に保持することができ、位置ずれを防止できる。
(2)弾性突出部が硬質ゴム製であることにより、車両などが通過しても蓋体の下面と側溝本体の蓋掛かり部上面が当たるのを防止し、両者の間隔を保持できる。
ここで、弾性突出部の材質としては、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム(VMQ)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等が好適に用いられる。
弾性突出部の表面全体を劣弧状の凸状や凹状に形成した場合、車両などが通過しても蓋体の裏面と接触した際に、弾性突出部の表面が潰れて平坦状に変形し、接触面積が拡大するので摩擦力が大きくなって確実に蓋体を所定位置に保持することができる。また、弾性突出部の表面を荒らして複数の凹凸部を形成して摩擦力を増大させてもよい。
【0009】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の無音側溝であって、前記蓋体の底面に前記弾性突出部の高さより浅い深さで形設され前記衝撃吸収部材の前記弾性突出部の先端部が嵌合される嵌合凹部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)蓋体の底面に衝撃吸収部材の弾性突出部の先端部が嵌合される嵌合凹部が形設されているので、弾性突出部の位置に嵌合凹部の位置を合わせて、蓋掛かり部上面に蓋体を覆設するだけで、容易かつ確実に蓋体を位置決め固定して所定の位置及び高さに保持することができ、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体同士が接触して騒音や蓋体の破損が発生するのを確実に防止できる。
(2)蓋体の底面に、衝撃吸収部材の弾性突出部の高さより浅い深さで嵌合凹部が形設されているので、蓋体を側溝本体に覆設した状態で、蓋体の底面と側溝本体の蓋掛かり部上面が直接接触せず、車両等が通過した際には、衝撃吸収部材の弾性突出部が圧縮変形して重量を吸収することができる。
(3)衝撃吸収部材の弾性突出部の先端部を蓋体の嵌合凹部に嵌合させるだけなので、蓋体の着脱が容易で、蓋体を取り外して溝内部を清掃したり、工具を用いることなく蓋体を交換したりでき、メンテナンス性に優れる。
(4)嵌合凹部が蓋体の底面に形設されていることにより、小石等の異物が嵌合凹部に入るのを防止でき、嵌合凹部に確実に衝撃吸収部材の弾性突出部の先端部を嵌合させることができるので、側溝本体に対して蓋体を水平に保持することができ、車両等が通過した際に重量を吸収し、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体同士が接触するのを確実に防止できる。
【0010】
ここで、嵌合凹部の深さは、衝撃吸収部材の弾性突出部の高さより浅く形設するが、蓋体に車両の重量がかかり、衝撃吸収部材が圧縮変形した状態でも、蓋体の底面と側溝本体の蓋掛かり部上面との間に隙間が維持できるように、嵌合凹部の深さと弾性突出部の高さを設定する。これにより、車両などの通過時に蓋体の底面と側溝本体の蓋掛かり部上面が接触することがない。
嵌合凹部の底面側の内周と衝撃吸収部材の弾性突出部の先端部の外周との間には、2mm〜4mmの隙間を形成することが好ましい。この隙間が2mmより小さくなるにつれ、嵌合凹部に弾性突出部を嵌合させるのが困難になる傾向があり、4mmより大きくなるにつれ、蓋体のがたつき(位置ずれ)が生じ易くなり、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体との接触が発生し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。この隙間を2mm〜4mmとすることで、弾性突出部が変形した際に、膨張によりその隙間を埋めて蓋体の位置ずれや傾きの発生を防止でき、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体との接触を防止できる。
【0011】
また、蓋体の側面と側溝本体の蓋掛かり部側面との間、及び隣接する蓋体の端面同士の間には、それぞれ2mm〜4mmの隙間を形成することが好ましい。これらの隙間が2mmより小さくなるにつれ、蓋体ががたついた際に蓋体と側溝本体や隣接する蓋体との接触が発生し易くなる傾向があり、4mmより大きくなるにつれ、隙間から小石や土砂等の異物が侵入し易くメンテナンス性が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。これらの隙間を2mm〜4mmとすることで、衝撃吸収部材や嵌合凹部の位置や寸法の誤差を吸収できると共に、蓋体の前後や左右のいずれかに集中的に荷重がかかる等して蓋体の傾きが発生した場合でも、蓋体の側面と側溝本体の蓋掛かり部側面や蓋体の端面同士が接触するのを確実に防止できる。
【0012】
嵌合凹部は型枠の材質を考慮して蓋体の底面に向かって拡開したテーパ角を形成することが好ましい。これにより、成形後に型枠を容易に脱型することができ、成形性に優れる。例えば、テーパ角としては、型枠が弾性を有するゴム製等の場合は、1度〜3度が好ましく、剛性を有する金属製等の場合は、1度〜5度が好ましい。ただし、これらの値に限定されるものではなく、型枠の材質や嵌合凹部の孔径、深さ等により、適宜、選択することができる。
尚、蓋体の底面側に衝撃吸収部材の埋設部を埋設して蓋体と衝撃吸収部材を一体に形成する場合は、蓋掛かり部上面に嵌合凹部を形設すればよい。衝撃吸収部材と嵌合凹部の上限関係が逆になるだけで、同様の作用が得られる。また、嵌合凹部に小石や土砂等の異物が入り込んだ場合も、嵌合凹部の深さが浅く、上方に拡開しているので、簡便に掃き出して取り除くことができ、メンテナンス性に優れる。
埋設部の外周に凸条部及び/又は凹条部が形成した場合、埋設した衝撃吸収部材をアンカー効果により側溝本体や蓋体と一体化させることができ、強固に固定して抜け落ちを防止でき信頼性、耐久性に優れる。
ここで、凸条部や凹条部は任意の間隔で任意の数だけ形成することができる。また、連続状の凸条部や凹条部の代わりに不連続な凸部や凹部をランダムに形成してもよい。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の無音側溝であって、前記衝撃吸収部材が、前記弾性突出部の下端側外周に形成された凹条の型枠係合部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)衝撃吸収部材の弾性突出部の下端側外周に凹条の型枠係合部が形成されていることにより、衝撃吸収部材の埋設部を側溝本体に埋設して成型する際に、衝撃吸収部材を型枠に確実に固定することができるので、衝撃吸収部材の水平方向及び高さ方向の位置決め精度を向上させることができ、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体同士との位置関係を適正に保つことができ、生産性、信頼性に優れる。
【0014】
ここで、型枠係合部の凹条の幅は型枠の厚さに合わせて1mm〜2mmに形成する。また、型枠係合部の凹条の深さは0.5mm〜1.5mmが好ましい。型枠係合部の凹条の深さが0.5mmより浅くなるにつれ、衝撃吸収部材を型枠に穿設された衝撃吸収部材装着孔で確実に保持することが困難になる傾向があり、1.5mmより深くなるにつれ、衝撃吸収部材の剛性により衝撃吸収部材装着孔への装着が困難になる傾向があり、いずれも好ましくない。
弾性突出部は下端側の型枠係合部の近傍のみを衝撃吸収部材装着孔の孔径よりも大径に形成し、先端側は衝撃吸収部材装着孔と略同等の外径に形成することが好ましい。これにより、衝撃吸収部材を衝撃吸収部材装着孔へ装着する際や成形後に型枠を脱型する際に、衝撃吸収部材の先端側の剛性が邪魔になることがなく、型枠との着脱作業を容易に行うことができると共に、大径部で確実に衝撃吸収部材装着孔に固定できる。
尚、弾性突出部が剛性ゴム製や軟質の合成樹脂製の場合には、型枠の材質として金属が好適に用いられ、弾性突出部が金属製の場合には、型枠の材質としてゴム等が好適に用いられる。これにより、弾性突出部と型枠のいずれかが弾性変形して、衝撃吸収部材の型枠への装着及び成形後の型枠の脱型を容易に行うことができ施工性に優れる。
【0015】
本発明の請求項5に記載の無音側溝の製造方法は、請求項1乃至4の内いずれか1項の側溝本体又は蓋体の型枠に穿設された衝撃吸収部材装着孔に請求項4の衝撃吸収部材の型枠係合部を係合させる衝撃吸収部材装着工程と、前記型枠の内部にコンクリートを投入するコンクリート打設工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)側溝本体又は蓋体の型枠に穿設された衝撃吸収部材装着孔に衝撃吸収部材の型枠係合部を係合させる衝撃吸収部材装着工程を有するので、予め位置決めされた衝撃吸収部材装着孔に衝撃吸収部材を高精度で強固に固定することができ、高品質で生産性に優れる。
(2)コンクリート打設工程により型枠の内部にコンクリートを投入することで、衝撃吸収部材の埋設部をコンクリートに埋設固定することができ、容易に側溝本体又は蓋体と衝撃吸収部材を一体化することができるので、長寿命性、メンテナンス性に優れ、維持管理費を削減することができる。
(3)衝撃吸収部材が型枠係合部で弾性により強固に保持されているので、コンクリート打設時のバイブレータ等の振動にも抗して衝撃吸収部材装着孔から外れるのを防止できる。
【0016】
ここで、前述のように型枠係合部の高さと型枠の厚さを合わせると共に、衝撃吸収部材装着孔の孔径を型枠係合部の外径に合わせて穿設する。衝撃吸収部材装着工程において、埋設部側を持って衝撃吸収部材をねじりながら衝撃吸収部材装着孔へ弾性突出部を挿入すると、弾性突出部が剛性ゴム製や軟質の合成樹脂製で型枠が金属製の場合には、圧縮された弾性突出部が衝撃吸収部材装着孔を通過した後、膨張し、型枠係合部で衝撃吸収部材装着孔に強固に固定される。また、弾性突出部が金属製で型枠がゴム製の場合には、膨張した衝撃吸収部材装着孔が弾性突出部を通過した後、収縮し、型枠係合部に強固に固定される。従って、コンクリート打設工程においてコンクリートを投入した際にも、衝撃吸収部材の傾きや位置ずれ、脱落等が発生することがなく、側溝本体又は蓋体と衝撃吸収部材を一体に成形することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の無音側溝によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)側溝本体の成型時に衝撃吸収部材の埋設部を埋設して一体に形成することにより、現場での施工時に衝撃吸収部材を装着する必要がなく、また、衝撃吸収部材を装着し忘れたり、衝撃吸収部材が脱落したりすることがなく、取扱いが容易で、信頼性に優れた無音側溝を提供することができる。
(2)側溝本体の蓋掛かり部上面から突出した衝撃吸収部材の弾性突出部に対し、上方から蓋体を載置することにより、弾性突出部で蓋体を確実に支持することができ、蓋体の底面と側溝本体の蓋掛かり部上面が接触するのを防止でき、車両等が通過した際には、衝撃吸収部材の弾性突出部が圧縮変形して重量を吸収することができる信頼性に優れた無音側溝を提供することができる。
(3)蓋体の底面を衝撃吸収部材の弾性突出部で支持するだけなので、容易に蓋体の着脱を行うことができ、蓋体の底面と側溝本体の蓋掛かり部上面との間などに小石や土砂等の異物が入り込んだ場合も、簡便に取り除くことができるメンテナンス性、施工性に優れた無音側溝を提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)衝撃吸収部材の少なくとも弾性突出部が硬質ゴム製であることにより、弾性突出部表面の摩擦力により蓋体を所望の位置に保持することができ、効果的に位置ずれの発生を防止できる信頼性に優れた無音側溝を提供することができる。
(2)弾性突出部が硬質ゴム製であることにより、車両などが通過しても蓋体の下面と側溝本体の蓋掛かり部上面が当たるのを防止し、両者の間隔を保持できる信頼性に優れた無音側溝を提供することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)蓋体の底面に形設された嵌合凹部に衝撃吸収部材の弾性突出部の先端部を嵌合させるだけで、容易かつ確実に蓋体を位置決め固定して所定の位置に保持することができるので、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体同士が接触して騒音や蓋体の破損が発生するのを確実に防止でき、美観を保持して耐用年数を向上させることができる信頼性、実用性に優れた無音側溝を提供することができる。
(2)蓋体の底面に形設する嵌合凹部の深さを、衝撃吸収部材の弾性突出部の高さより浅くすることにより、蓋体を側溝本体に覆設した状態で、蓋体の底面と側溝本体の蓋掛かり部上面が直接接触することがなく、車両等が通過した際には、衝撃吸収部材の弾性突出部が圧縮変形して重量を吸収し、騒音の発生を防止できる信頼性に優れた無音側溝を提供することができる。
(3)衝撃吸収部材の弾性突出部の先端部を蓋体の嵌合凹部に嵌合させるだけなので、蓋体の着脱が容易で、蓋体を取り外して溝内部を清掃したり、工具を用いることなく蓋体を交換したりできるメンテナンス性、施工性に優れた無音側溝を提供することができる。
(4)蓋体の底面に形設された嵌合凹部に小石等の異物が入るのを防止でき、嵌合凹部に確実に衝撃吸収部材の弾性突出部の先端部を嵌合させて、側溝本体に対して蓋体を水平に保持することができ、車両等が通過した際に重量を吸収し、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体同士が接触することにより発生する騒音を確実に防止できる施工性、信頼性に優れた無音側溝を提供することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)衝撃吸収部材の埋設部を埋設して側溝本体を成型する際に、衝撃吸収部材の弾性突出部の下端側外周に形成された凹条の型枠係合部を型枠に係合させて衝撃吸収部材を確実に固定することができるので、衝撃吸収部材の水平方向及び高さ方向の位置決め精度を向上させることができ、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体同士との位置関係を適正に保つことができる生産性、信頼性に優れた無音側溝を提供することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)衝撃吸収部材装着工程により、予め側溝本体又は蓋体の型枠に位置決めして穿設された衝撃吸収部材装着孔に、衝撃吸収部材の型枠係合部を係合させ高精度で強固に固定することができる高品質で生産性に優れた無音側溝の製造方法を提供することができる。
(2)コンクリート打設工程において、型枠の内部に投入したコンクリートに、衝撃吸収部材の埋設部を埋設固定することができ、容易に側溝本体又は蓋体と衝撃吸収部材を一体化して長寿命性、メンテナンス性に優れた無音側溝を得ることができ、維持管理費を削減することができる実用性に優れた無音側溝の製造方法を提供することができる。
(3)衝撃吸収部材が硬質ゴムで形成され、かつ型枠係合部で弾性により強固に保持されているので、コンクリート打設時のバイブレータ等の振動にも抗して衝撃吸収部材装着孔から外れるのを防止できる生産性、信頼性に優れた無音側溝の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における無音側溝を示す要部透視斜視図であり、図2は実施の形態1における無音側溝を示す断面側面図である。
図1及び図2中、1は実施の形態1におけるコンクリート製の無音側溝、2は断面略U字型に形成された無音側溝1の側溝本体、2aは側溝本体2の内側に一段低く段差状に形成され蓋体3の底面3aと対向する蓋掛かり部上面、2bは蓋体3の側面3bと対向する側溝本体2の蓋掛かり部側面、2cは側溝本体2の上面、3は側溝本体2の蓋掛かり部上面2aに係止され溝内部を覆設する蓋体、3aは蓋体3の底面、3bは蓋体3の左右の側面、3cは蓋体3の前後の端面、3dは蓋体3の上面、3eは各々の蓋体3の底面3aの四隅に形設され後述する衝撃吸収部材4が嵌合された略円形の嵌合凹部、4は天然ゴム等の硬質ゴムで略円柱状に形成され側溝本体2の蓋掛かり部に埋設部が埋設され弾性突出部が蓋掛かり部上面2aに突設され側溝本体2と一体に形成された衝撃吸収部材である。
尚、通常状態で側溝本体2の上面2cと蓋体3の上面3dは略面一となるようにし、車両その他がスムーズに通過できるようにした。
【0023】
次に、嵌合凹部と衝撃吸収部材の詳細について説明する。
図3(a)は実施の形態1における無音側溝の嵌合凹部及び衝撃吸収部材を示す要部拡大断面側面図であり、図3(b)は実施の形態1における車両通過時の衝撃吸収部材の変形状態を示す要部拡大断面側面図である。
図3中、5は側溝本体2の蓋掛かり部上面2aに埋設された衝撃吸収部材4の埋設部、5aは埋設部5の外周に形成された凹条部、6は埋設部5と一体に形成され側溝本体2の蓋掛かり部上面2aから突出して蓋体3の嵌合凹部3eに先端部が嵌合された衝撃吸収部材4の弾性突出部、6aは弾性突出部6の下端側外周に深さが約1mmに形成された凹条の型枠係合部、6bは弾性突出部6の下端側の型枠係合部6aの近傍に形成された大径部である。
【0024】
本実施の形態では、衝撃吸収部材4を蓋体3の四隅に相当する位置に配置したが、蓋体3の寸法に応じて長手方向の任意の位置に衝撃吸収部材4を追加することができる。
衝撃吸収部材4は埋設部5と弾性突出部6を天然ゴム(NR)で一体に形成したが、埋設部5を鉄やステンレス等の金属で形成し、その上面に弾性突出部6を接着等により固定してもよい。また、衝撃吸収部材4全体を略円柱状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば全体を略多角柱状等に形成してもよいし、埋設部5を略多角柱状に形成し、弾性突出部6のみを略円柱状に形成してもよい。弾性突出部6の材質としては、天然ゴム(NR)以外にニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム(VMQ)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等のゴムやふっ素樹脂(FR)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリアミドイミド(PAI)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)等の合成樹脂を用いてもよい。
更に、弾性突出部6にはアルミニウム製やステンレス製等の板ばねやコイルばね等を用いてもよい。その場合、金属製の埋設部5の上面に溶接等により弾性突出部6を固設することができる。また、弾性突出部6としてコイルばねを用いる場合は、埋設部5を外周にアンカー部(凹凸)を有する中空の筒状に形成し、弾性突出部6の上部が突出するように埋設部5の内部に収容するようにしてもよい。
【0025】
嵌合凹部3eの底部の内周と衝撃吸収部材4の弾性突出部6の先端側の外周との間には、2mm〜4mmの隙間(片側当たり1mm〜2mmの隙間)を形成した。この隙間が2mmより小さくなるにつれ、嵌合凹部3eに弾性突出部6の先端部を嵌合させるのが困難になる傾向があり、4mmより大きくなるにつれ、蓋体3のがたつき(位置ずれ)が生じ易くなり、蓋体3と側溝本体2や隣接する蓋体3との接触が発生し易くなる傾向があることがわかったためである。この隙間を2mm〜4mmとすることで、図3(b)に示すように、車両が通過し、弾性突出部6が変形した際に、膨張によりその隙間を埋めて蓋体3の位置ずれや傾きの発生を防止でき、蓋体3と側溝本体2や隣接する蓋体3との接触を防止できる。
【0026】
また、蓋体3の側面3bと側溝本体2の蓋掛かり部側面2bとの間、及び隣接する蓋体3の端面3c同士の間には、それぞれ2mm〜4mmの隙間を形成した。これらの隙間が2mmより小さくなるにつれ、蓋体3ががたついた際に蓋体3と側溝本体2や隣接する蓋体3との接触が発生し易くなる傾向があり、4mmより大きくなるにつれ、隙間から小石や土砂等の異物が侵入し易くなる傾向があることがわかったためである。これらの隙間を2mm〜4mmとすることで、衝撃吸収部材4や嵌合凹部3eの位置や寸法の誤差を吸収できると共に、蓋体3の前後や左右のいずれかに集中的に荷重がかかる等して蓋体3の傾きが発生した場合でも、蓋体3の側面3bと側溝本体2の蓋掛かり部側面2bや蓋体3の端面3c同士が接触するのを確実に防止できる。
【0027】
嵌合凹部3eは蓋体3の底面3aに向かって1度〜3度のテーパ角で拡開させて形成した。テーパ角が1度より小さくなるにつれ、成形後に型枠を脱型するのが困難になる傾向があり、3度より大きくなるにつれ、衝撃吸収部材4の弾性突出部6の逃げ代が大きくなって蓋体4の傾きが発生し易くなる傾向があることがわかったためである。
嵌合凹部3eの深さは、図3(a)に示すように衝撃吸収部材4の弾性突出部6の高さより浅く形設するが、荷物を満載した大型ダンプが通過し、衝撃吸収部材4の弾性突出部6が圧縮変形した状態でも、図3(b)に示すように蓋体3の底面3aと側溝本体2の蓋掛かり部上面2aとの間に2mm〜4mmの隙間が維持できるように、嵌合凹部3eの深さと弾性突出部6の高さを設定した。これにより、車両などの通過時に蓋体3の底面3aと側溝本体2の蓋掛かり部上面2aが接触することがなく、騒音の発生を確実に防止できる。
尚、本実施の形態では、衝撃吸収部材4の埋設部5の外周に一本の凹条部5aを形成したが、埋設部5の外径や高さ等に応じて複数の凹条部5aを任意の間隔で形成することができる。また、凹条部5aの代わりに凸条部を形成したり、不連続な凸部や凹部をランダムに形成したりしてもよい。
【0028】
次に、無音側溝の製造方法について説明する。
図4(a)は実施の形態1における無音側溝の製造方法の衝撃吸収部材装着工程を示す要部拡大断面側面図であり、図4(b)は実施の形態1における無音側溝の製造方法のコンクリート打設工程を示す要部拡大断面側面図であり、図4(c)は実施の形態1における無音側溝の側溝本体の完成状態を示す要部拡大断面側面図である。
図4中、7は側溝本体2を成形するための金属製の型枠、7aは型枠7の衝撃吸収部材4の取り付け位置に穿設された衝撃吸収部材装着孔、8は型枠7の内部に投入されたコンクリートである。
【0029】
まず、図4(a)に示す衝撃吸収部材装着工程において、埋設部5側を持って衝撃吸収部材4をねじりながら衝撃吸収部材装着孔7aへ弾性突出部6を挿入することにより、型枠係合部6aが衝撃吸収部材装着孔7aに係合され、大径部6bにより衝撃吸収部材4と型枠7が強固に固定される。
次に、図4(b)に示すコンクリート打設工程において型枠7の内部にコンクリート8を投入することにより、衝撃吸収部材4の埋設部5をコンクリート8に埋設固定する。
最後に型枠7を取り外すことにより、図4(c)に示すように衝撃吸収部材4が一体化された側溝本体2を得ることができる。
尚、型枠係合部6aの幅と型枠7の厚さを合わせると共に、衝撃吸収部材装着孔7aの孔径を型枠係合部6aの外径に合わせて穿設した。これにより、衝撃吸収部材装着工程において、衝撃吸収部材4を衝撃吸収部材装着孔7aに装着する際に、埋設部5側を持って衝撃吸収部材4をねじりながら衝撃吸収部材装着孔7aへ弾性突出部6を挿入すると、圧縮された弾性突出部6の大径部6bが衝撃吸収部材装着孔7aを通過した後、膨張し、型枠係合部6aで衝撃吸収部材装着孔7aに強固に固定される。そのため、コンクリート打設工程においてコンクリート8を投入した際にも、衝撃吸収部材4の傾きや位置ずれ、脱落等が発生することがなく、側溝本体2と衝撃吸収部材4を一体に成形することができる。
【0030】
また、型枠係合部6aの凹条の深さは0.5mm〜1.5mmに形成した。型枠係合部6aの凹条の深さが0.5mmより浅くなるにつれ、衝撃吸収部材4を型枠7に穿設された衝撃吸収部材装着孔7aで確実に保持することが困難になる傾向があり、1.5mmより深くなるにつれ、衝撃吸収部材4の大径部6bの剛性により衝撃吸収部材装着孔7aへの装着が困難になる傾向があることがわかったためである。
尚、弾性突出部6の先端側は衝撃吸収部材装着孔7aと略同等の外径に形成した(図3参照)。これにより、衝撃吸収部材4を衝撃吸収部材装着孔7aへ装着する際や成形後に型枠7を脱型する際に、衝撃吸収部材4の先端側の剛性が邪魔になることがなく、型枠7との着脱作業を容易に行うことができる。
側溝本体2が工場生産であり、衝撃吸収部材4を型枠7で位置決め固定して側溝本体2と一体に形成できるので、寸法管理が容易で歩留まりが高く、高品質で量産性に優れる。
【0031】
以上のように実施の形態1における無音側溝によれば、以下の作用を有する。
(1)硬質ゴム製の衝撃吸収部材4が、埋設部5で側溝本体2の蓋掛かり部上面2a側に埋設され、側溝本体と一体化されているので、現場での施工時に衝撃吸収部材4を装着する必要がなく、また、衝撃吸収部材4を装着し忘れたり、衝撃吸収部材4が脱落したりすることがなく、取扱いが容易で、信頼性に優れる。
(2)蓋体3の底面3aに衝撃吸収部材4の弾性突出部6の先端部が嵌合される嵌合凹部3eが形設されているので、弾性突出部6の位置に嵌合凹部3eの位置を合わせて、蓋掛かり部上面2aに蓋体3を覆設するだけで、容易かつ確実に蓋体3を位置決め固定して所定の位置に保持することができ、蓋体3と側溝本体2や隣接する蓋体3同士が接触して騒音や蓋体3の破損が発生するのを確実に防止できる。
(3)蓋体3の底面3aに、衝撃吸収部材4の弾性突出部6の高さより浅い深さで嵌合凹部3eが形設されているので、蓋体3を側溝本体2に覆設した状態で、蓋体3の底面3aと側溝本体2の蓋掛かり部上面2aが直接接触せず、車両等が通過した際には、硬質ゴム製の衝撃吸収部材4の弾性突出部6が圧縮変形して衝撃を防止できる。
(4)衝撃吸収部材4の弾性突出部6の先端部を蓋体3の嵌合凹部3eに嵌合させるだけなので、蓋体3の着脱が容易で、蓋体3を取り外して溝内部を清掃したり、工具を用いることなく蓋体3を交換したりでき、メンテナンス性に優れる。
(5)嵌合凹部3eが蓋体3の底面3aに形設されていることにより、小石等の異物が嵌合凹部3eに入るのを防止でき、嵌合凹部3eに確実に衝撃吸収部材4の弾性突出部6の先端部を嵌合させることができるので、側溝本体2に対して蓋体3を水平に保持することができ、車両等が通過した際に重量を吸収し、蓋体3と側溝本体2や隣接する蓋体3同士が接触するのを確実に防止できる。
(6)衝撃吸収部材4の埋設部5の外周に凹条部5aが形成されているので、埋設した衝撃吸収部材4をアンカー効果により側溝本体2と一体化させることができ、強固に固定して抜け落ちを防止でき信頼性、耐久性に優れる。
(7)衝撃吸収部材4の硬質ゴム製の弾性突出部6の下端側外周に凹条の型枠係合部6aが形成されていることにより、衝撃吸収部材4の埋設部5を埋設して側溝本体2を成型する際に、衝撃吸収部材4を型枠7に確実に固定することができるので、衝撃吸収部材4の水平方向及び高さ方向の位置決め精度を向上させることができ、蓋体3と側溝本体2や隣接する蓋体3同士との位置関係を適正に保つことができ、生産性、信頼性に優れる。
【0032】
以上のように実施の形態1における無音側溝の製造方法によれば、以下の作用を有する。
(1)側溝本体2の型枠7に穿設された衝撃吸収部材装着孔7aに衝撃吸収部材4の型枠係合部6aを係合させる衝撃吸収部材装着工程を有するので、予め位置決めされた衝撃吸収部材装着孔7aに衝撃吸収部材4を高精度で強固に固定することができ、高品質で生産性に優れる。
(2)コンクリート打設工程により型枠7の内部にコンクリート8を投入することで、衝撃吸収部材4の埋設部5をコンクリート8に埋設固定することができ、容易に側溝本体2と衝撃吸収部材4を一体化することができるので、長寿命性、メンテナンス性に優れ、維持管理費を削減することができる。
(3)衝撃吸収部材4が硬質ゴムで形成され、かつ型枠係合部6aで弾性により強固に保持されているので、コンクリート打設時のバイブレータ等の振動にも抗して衝撃吸収部材装着孔7aから外れるのを防止できる。
【0033】
(実施の形態2)
図5(a)は実施の形態2における無音側溝の蓋体を示す要部断面側面図であり、図5(b)は実施の形態2における無音側溝を示す要部断面側面図である。
尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図5において、実施の形態2における無音側溝11が実施の形態1と異なるのは、蓋体13の底面3aに衝撃吸収部材4aの埋設部5が埋設され蓋体13と衝撃吸収部材4aが一体に形成されている点と、衝撃吸収部材4aの弾性突出部6の表面全体が劣弧状の凹状に形成され側溝本体12の蓋掛かり部上面2aに直接、載置されている点である。
【0034】
衝撃吸収部材4aの弾性突出部6の表面全体を劣弧状の凹状に形成することで、側溝本体12の蓋掛かり部上面2aと接触した際に、弾性突出部6の表面が吸盤のように潰れて平坦状に変形し、接触面積が拡大するので摩擦力が大きくなって確実に蓋体13を保持することができる。尚、弾性突出部6の表面全体を劣弧状の凸状に形成したり、表面を荒らして複数の凹凸部を形成したりして摩擦力を増大させてもよい。
また、側溝本体12の蓋掛かり部上面2aに弾性突出部6を嵌合させる嵌合凹部を形設してもよい。このとき、実施の形態1とは衝撃吸収部材4aと嵌合凹部の位置関係が上下逆になるだけで、寸法形状や材質その他については実施の形態1と同様である。嵌合凹部の深さを浅く形成できるので、嵌合凹部に小石や土砂等の異物が入り込んだ場合も、簡便に掃き出して取り除くことができ、メンテナンス性に優れる。
尚、蓋体13と衝撃吸収部材4aを一体に成形する場合の製造方法は、実施の形態1と型枠7の形状が異なるだけで、工程は同様であるので、説明を省略する。
【0035】
以上のように実施の形態2における無音側溝によれば、実施の形態1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)衝撃吸収部材4aの埋設部5に延設された弾性突出部6が、蓋体13の底面3aから突出しているので、蓋体13を上方から載置するだけで、弾性突出部6の下端面を側溝本体12の蓋掛かり部上面2aに当接させて確実に支持することができ、蓋体13の底面3aと側溝本体12の蓋掛かり部上面2aが直接接触せず、車両等が通過した際には、衝撃吸収部材4aの弾性突出部6が圧縮変形して重量を吸収することができる。
(2)蓋体13を衝撃吸収部材4aの弾性突出部6で支持するだけなので、容易に蓋体13の着脱を行うことができ、蓋体13の底面3aと側溝本体2の蓋掛かり部上面2aとの間などに小石や土砂等の異物が入り込んだ場合も、簡便に取り除くことができ、メンテナンス性に優れる。
(3)衝撃吸収部材4aの弾性突出部6が硬質ゴム製であることにより、弾性突出部6表面の摩擦力により蓋体13を所望の位置に保持することができ、位置ずれを防止できる。
(4)弾性突出部6が硬質ゴム製であることにより、車両などが通過しても蓋体13の下面3aと側溝本体12の蓋掛かり部上面2aが当たるのを防止し、両者の間隔を保持できる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
まず、実施の形態1と同様の天然ゴム(NR)製の衝撃吸収部材について、JIS K6250に準じて常態試験を行った。
測定は、硬さ(JIS A)、引張強さ、伸びの3項目について行った。
JIS K6253の試験方法に準じ、硬さ(JIS A)を測定したところ、規格値70±5(度)に対し、測定値は68(度)であった。
JIS K6251の試験方法に準じ、引張強さを測定したところ、規格値14.5(MPa)以上に対し、測定値は18.3(MPa)であった。
JIS K6251の試験方法に準じ、伸びを測定したところ、規格値300(%)以上に対し、測定値は400(%)であった。
【0037】
次に、直径100(mm)、高さ200(mm)のコンクリートに、外径30(mm)、高さ27(mm)の衝撃吸収部材4の弾性突出部5を高さ7(mm)だけ突出させて埋設し、JIS A1108のコンクリートの圧縮試験方法に準拠して、衝撃吸収部材4に圧縮を加え、その収縮変化を確認した。
50kN〜55kNの荷重に対し、弾性突出部5の圧縮量は4mmであった。これは一点に全荷重をかけた場合の圧縮量であり、実際の車両通過時には、車両の重量は各タイヤに分散するので、車両通過による変形状態においては、蓋体3の底面3aと側溝本体2の蓋掛かり部上面2aが接触することはないことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、蓋体を側溝本体に覆設するだけで容易に位置決めして所定位置に保持することができるので、位置ずれが発生し難く、蓋体と側溝本体や隣接する蓋体同士が接触するのを確実に防止でき、車両などが通過しても騒音や蓋体の破損が発生することがない施工性、信頼性、耐久性に優れる無音側溝を提供することができ、側溝が配設される道路周辺の騒音問題を確実かつ効果的に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態1における無音側溝を示す要部透視斜視図
【図2】実施の形態1における無音側溝を示す断面側面図
【図3】(a)実施の形態1における無音側溝の嵌合凹部及び衝撃吸収部材を示す要部拡大断面側面図(b)実施の形態1における無音側溝の変形状態を示す要部拡大断面側面図
【図4】(a)実施の形態1における無音側溝の側溝本体の成形方法の衝撃吸収部材装着工程を示す要部拡大断面側面図(b)実施の形態1における無音側溝の側溝本体の成形方法のコンクリート打設工程を示す要部拡大断面側面図(c)実施の形態1における無音側溝の側溝本体の完成状態を示す要部拡大断面側面図
【図5】(a)実施の形態2における無音側溝の蓋体を示す要部断面側面図(b)実施の形態2における無音側溝を示す要部断面側面図
【符号の説明】
【0040】
1,11 無音側溝
2,12 側溝本体
2a 蓋掛かり部上面
2b 蓋掛かり部側面
2c 上面
3,13 蓋体
3a 底面
3b 側面
3c 端面
3d 上面
3e,12a 嵌合凹部
4,4a 衝撃吸収部材
5 埋設部
5a 凹条部
6 突出部
6a 型枠係合部
6b 大径部
7 型枠
7a 衝撃吸収部材装着孔
8 コンクリート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝本体の蓋掛かり部上面に蓋体を覆設し溝内部を閉塞するコンクリート製の無音側溝であって、前記側溝本体の蓋掛かり部上面側に埋設された埋設部と、前記埋設部に延設又は配設され前記蓋掛かり部上面から突出した弾性突出部と、を有する衝撃吸収部材を備えたことを特徴とする無音側溝。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材の少なくとも前記弾性突出部が、硬質ゴム製であることを特徴とする請求項1に記載の無音側溝。
【請求項3】
前記蓋体の底面に前記弾性突出部の高さより浅い深さで形設され前記衝撃吸収部材の前記弾性突出部の先端部が嵌合される嵌合凹部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の無音側溝。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材が、前記弾性突出部の下端側外周に形成された凹条の型枠係合部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の無音側溝。
【請求項5】
請求項1乃至4の内いずれか1項の側溝本体又は蓋体の型枠に穿設された衝撃吸収部材装着孔に請求項4の衝撃吸収部材の型枠係合部を係合させる衝撃吸収部材装着工程と、前記型枠の内部にコンクリートを投入するコンクリート打設工程と、を備えたことを特徴とする無音側溝の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−56621(P2007−56621A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246043(P2005−246043)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(598104115)岩丸産業株式会社 (1)
【出願人】(391042324)有限会社稲佐鉄工所 (1)
【Fターム(参考)】