説明

焦点検出素子

【課題】 複数の光学系に対応可能で、且つ回路規模の増加を必要最小限に抑えた低コストな焦点検出素子を提供する。
【解決手段】 被写体像を受光する基準部と参照部の一対のフォトダイオード201-1 と、一対のフォトダイオードの電荷蓄積レベルを示す出力を発生する基準部と参照部の一対のモニタ用フォトダイオード204 と、一対のフォトダイオードに蓄積開始信号及び蓄積終了信号を出力して蓄積動作を制御する積分時間制御回路209 とを備え、積分時間制御回路は一対のモニタ用フォトダイオードのうちの基準部のモニタ用フォトダイオードの出力に基づいて蓄積終了の判定を行う場合と、両方のモニタ用フォトダイオードの出力に基づいて積分終了の判定を行う場合とを、スイッチ210 を介して選択可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焦点検出素子に関し、特に撮影画面内における複数種類の測距点の焦点状態を検出可能な焦点検出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラの高性能化や高機能化に伴って、撮影画面内の多くの測距点の焦点状態を検出できる焦点検出センサが使用されている。このような構成の焦点検出センサにおいては、撮影光学系や焦点検出エリアが変わると、それに応じて、新たな構成の焦点検出センサを開発する必要があり、開発費及び開発期間ともに大きな負担となっている。
【0003】
上記の問題点を解決するために、従来、特開2004−272238号公報において提案されている焦点検出素子では、複数のラインセンサと、各ラインセンサに隣接して設けられ、隣接したラインセンサの受光量をモニタするモニタセンサと、これらのラインセンサ及びモニタセンサを、任意の組み合わせで駆動制御する制御手段とを同一の回路基板上に設けることで、異なる光学系に対応している。
【特許文献1】特開2004−272238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記公報開示の手法においては、複数のラインセンサ及びモニタセンサを任意の組み合わせで制御する回路が必要なため、センサ全体の回路規模が大きくなってしまい、コストアップにつながる。また、測距点数が増えるに従い回路規模も増加するため、今後測距点数がますます増加していく状況においては、制御回路の増加は無視できないという問題点がある。
【0005】
本発明は、従来提案の焦点検出素子における上記問題点を解消するためになされたもので、複数の別個の光学系に対応可能であり、且つ回路規模の増加を必要最小限に抑えた低コストな焦点検出素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、視差を有する異なる視野から観測した被写体像を受光して受光量に応じた電荷を蓄積する一対の受光手段と、前記一対の受光手段に対応し、それぞれの電荷の蓄積レベルを示す出力を発生する一対の蓄積レベル発生手段と、前記一対の受光手段に蓄積開始信号及び蓄積終了信号を出力して蓄積動作を制御する蓄積制御手段とを有する焦点検出素子において、前記蓄積制御手段は、前記一対の蓄積レベル発生手段のうちのいずれか一方の蓄積レベル発生手段の出力に基づいて蓄積終了の判定を行う場合と、前記一対の蓄積レベル発生手段の両方の蓄積レベル発生手段の出力に基づいて蓄積終了の判定を行う場合とを選択可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
そして、上記請求項1に係る発明における構成要件の「受光手段」は、実施例における「フォトダイオード201-1 」に対応し、同じく「蓄積レベル発生手段」は、「モニタ用フォトダイオード204 」に、「蓄積制御手段」は、「積分時間制御回路209-1 〜209-5 ,スイッチ210 」に、それぞれ対応するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る焦点検出素子において、前記蓄積制御手段は、前記一対の蓄積レベル発生手段の両方の蓄積レベル発生手段の出力を用いて蓄積終了の判定を行う場合には、前記一対の蓄積レベル発生手段の出力の平均値に基づいて蓄積終了の判定を行うことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、視差を有する異なる視野から観測した被写体像を受光して受光量に応じた電荷を蓄積する一対の受光手段を構成する各受光部の使用・不使用の組み合わせを複数の焦点検出態様について選択可能な一対の受光手段と、前記一対の受光手段にそれぞれ蓄積開始信号及び蓄積終了信号を出力して蓄積動作を制御する蓄積制御手段とを有する焦点検出素子において、前記一対の受光手段を構成する第1の受光手段と第2の受光手段のそれぞれの一部の受光部を共通とし、前記蓄積終了信号を前記焦点検出態様に応じて切り替えて前記一対の受光手段に出力する切り替え手段を有し、前記蓄積制御手段は、第1の蓄積終了信号を前記第1の受光手段の全ての受光部と前記第2の受光手段のうちの非共通な受光部と前記切り替え手段に出力し、第2の蓄積終了信号を前記第1の受光手段のうちの共通な受光部と前記切り替え手段に出力し、前記切り替え手段は、前記選択された受光部に応じて前記第1の蓄積終了信号と前記第2の蓄積終了信号を切り替えて前記第2の受光手段の共通の受光部に出力することを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る焦点検出素子において、前記蓄積制御手段は、前記一対の受光手段において使用しないものとして選択されていない受光部に対して、使用するものとして選択されている受光部に対する蓄積開始信号及び蓄積終了信号を出力して、蓄積を制御することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1に係る焦点検出素子において、前記蓄積制御手段は、蓄積終了の判定を外部から入力した信号により選択することを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項3に係る焦点検出素子において、前記切り替え手段は、外部から入力した信号により切り替え制御されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一対の蓄積レベル発生手段の一方のみ、つまり基準部の結果のみを使用して蓄積状態の検出を行うことができ、基準部と参照部の対応関係に影響を受けないため、光学系に依存しない蓄積状態の検出が可能となる。また、場合によっては、一対の蓄積レベル発生手段、つまり基準と参照部の両方の結果を用いて蓄積状態の検出を行うことができ、基準部と参照部の平均値を使用することにより、より精度の高い蓄積状態の検出が可能となり、高精度が必要とされる機種にも、また比較的精度が低くても問題なく測距点の少ない機種にも、同一の焦点検出素子で対応が可能となる。また、測距点の異なる光学系に応じて蓄積制御手段による制御を切り替え手段により切り替えることで、一対の受光手段及び一対の蓄積レベル発生手段の組み合わせを変更でき、この切り替え手段は、セレクタなどの簡単な小規模な回路で構成できるため、コストの増加を抑えながら複数の光学系に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例】
【0015】
(実施例1)
本発明に係る焦点検出素子に係る実施例1は、測距点が11点の光学系と、測距点が7点の光学系の異なる2種類の光学系に対応できるように構成したものであるが、この実施例1を詳細に説明するのに先立ち、まずカメラ全体の自動焦点調整機構について説明する。図1は、本発明の実施例1に係る焦点検出素子を含む、レンズ交換式の一眼レフレクスカメラを示す概略ブロック構成図である。すなわち、図1に示すように、このカメラは、交換レンズ101 とカメラボディ110 とから構成されている。そして、交換レンズ101 は、カメラボディ110 の前面に設けられたカメラマウント(不図示)を介してカメラボディ110 に着脱自在に構成されている。また、この交換レンズ101 の内部には、フォーカスレンズ102 と、レンズ駆動部103 と、レンズCPU104 とが設けられている。
【0016】
フォーカスレンズ102 は、撮影光学系に含まれる焦点調節用のレンズであり、レンズ駆動部103 内の図示しないモータによって、その光軸方向(図1の矢印方向)に駆動される。ここで、実際の撮影光学系は複数のレンズから構成されているが、図1においてはフォーカスレンズ102 のみを図示している。レンズ駆動部103 は、モータとその駆動回路(モータドライバ)とから構成されている。レンズCPU104 は、レンズ駆動部103 の制御などを行う制御回路である。このレンズCPU104 は、通信コネクタ105 を介してカメラボディ110 内のAFコントローラ121 と通信可能に構成されている。レンズCPU104 からAFコントローラ121 へは、例えばレンズCPU104 に予め記憶された、フォーカスレンズの製造ばらつき情報やフォーカスレンズの収差情報などのレンズデータが通信される。
【0017】
また、カメラボディ110 は、次のように構成されている。メインミラー111 は、回動可能に構成され、その中央部がハーフミラーで構成されたミラーである。メインミラー111 がダウン位置(図示の位置)にあるときには、交換レンズ101 内のフォーカスレンズ102 を介してカメラボディ110 内に入射した図示しない被写体からの光束の一部が、メインミラー111 で反射されて、フォーカシングスクリーン112 ,ペンタプリズム113 を介して接眼レンズ114 に至る。これにより、図示しない被写体の状態を観察することができる。
【0018】
また、メインミラー111 に入射した光束の一部はハーフミラー部を透過して、メインミラー111 の背面に設置されたサブミラー115 で反射されて、自動焦点検出(AF)を行うためのAF光学系に導かれる。AF光学系は、コンデンサレンズ116 と、全反射ミラー117 と、セパレータ絞り118 と、セパレータレンズ119 とから構成されている。
【0019】
図2は、図1に示したカメラで用いられるAF光学系の2次結像系を模式的に示した図である。サブミラー115 で反射された光束は、1次結像面上に結像される。1次結像面上に結像された被写体の光束は、コンデンサレンズ116 において集光され、全反射ミラー117 で反射された後、図示しないセパレータ絞りにおいて瞳分割される。セパレータ絞りで瞳分割された被写体の光束は、セパレータレンズ119 によって集光されてAF光学系の後方に配置されたAFセンサ120 の所定領域に入射する。ここで、AFセンサ120 は、図3の(A)に示すような撮影画面内に11点の測距点に対応した被写体像を形成する光学系と、図3の(B)に示すような撮影画面内に7点の測距点に対応した被写体像を形成する光学系の2種類の光学系に対応し、各測距点の焦点状態を検出可能なものを想定している。この2種類の光学系は、コンデンサレンズ116 とセパレータレンズ119 の特性の違いによりもたらされるものである。また、AFセンサ120 の構成については後で詳しく説明する。
【0020】
AFセンサ120 においては、被写体からの光束が光電変換によってアナログの電気信号に変換される。AFセンサ120 の出力は、AFコントローラ121 に入力される。AFコントローラ121 は、AFセンサ120 に蓄積の開始・終了及び、読み出し制御を行うと共に、AFセンサ120 からの入力をもとに、デフォーカス量の演算をする。このAFコントローラ121 の動作制御は、システムコントローラ122 によって行われる。
【0021】
また、AFコントローラ121 で得られたデフォーカス量は、レンズCPU104 に通信される。レンズCPU104 では、通信されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ102 を駆動するためのモータの駆動量が演算される。このモータの駆動量に基づいて、レンズ駆動部103 を介してフォーカスレンズ102 が合焦駆動される。
【0022】
また、図1において、メインミラー111 がフォーカスレンズ102 の光路上から退避するアップ位置にあるときは、フォーカスレンズ102 を介して入射した被写体からの光束が撮像素子123 に結像して光電変換される。これによって得られた信号がシステムコントローラ122 に入力されて、所定の画像処理が施される。
【0023】
次に、本発明に係る焦点検出素子であるAFセンサの詳細な構成について説明する。図4は、図3の(A)のような11点の測距点と、図3の(B)のような7点の測距点の2種類の焦点状態を検出するための、各測定点における各センサの配置態様について示す図である。図4に示すAFセンサは、撮影画面の水平方向に沿って配置された水平方向基準部センサ群121a-1及び水平方向参照部センサ群121a-2と、撮影画面の垂直方向に沿って配置された垂直方向基準部センサ群121b-1及び垂直方向参照部センサ群121b-2とから構成されている。なお、水平方向基準部センサ群121a-1と水平方向参照部センサ群121a-2,垂直方向基準部センサ群121b-1と垂直方向参照部センサ群121b-2とが、それぞれ対をなしており、それぞれのセンサ群の対でデフォーカス量の演算が行われ、このような構成により、図3の(A),(B)に示すような11点又は7点の測距点の全ての焦点状態を水平方向センサ群と垂直方向センサ群の2対のセンサ群を用いて検出することができ、焦点検出の精度を向上させることができる。但し7点の測距点の場合、図3の(B)に示すように、左右両端の測距点は垂直方向センサ群のみを用いて検出するようになっている。
【0024】
また、水平方向及び垂直方向の各一対のセンサ群における基準部の画素列からの出力は、図4に示すように参照部の画素列が配置された側とは反対の側、すなわち、参照部の画素列の存在しない側に向けて順次出力されるように出力部が構成されている。同様に、参照部の画素列からの出力は、基準部の画素列が配置された側とは反対の側に向けて順次出力されるように出力部が構成されている。
【0025】
ここで、水平方向基準部センサ群121a-1と水平方向参照部センサ群121a-2とは、それぞれ5個の画素列からなるラインセンサが1列と、3個の画素列からなるラインセンサが2列とで配置された11個の画素列から構成されている。また、垂直方向基準部センサ群121b-1と垂直方向参照部センサ群121b-2とは、それぞれ3個の画素列からなるラインセンサが2列と、2個の画素列からなるラインセンサが2列と、4個の画素列からなるラインセンサが1列とが配置され、14個の画素列から構成されている。垂直方向のセンサ群の画素列の数が11個より多いのは、7点の測距点時に専用で使用するための画素列があるためであり(後出の図11参照)、各測距点数での使用画素列の対応関係は、後で詳細に説明する。
【0026】
図5は、図4の水平方向基準部センサ群121a-1と水平方向参照部センサ群121a-2の一部(それぞれ5個の画素列からなるラインセンサ部分)のセンサの回路構成を示す図である。ここで、図5に示すnは図4のnに対応している。なお、図4において、図5に示す部分以外のセンサの回路構成は、画素列の数が異なる以外は図5の回路構成と同じものである。
【0027】
図5に示すように、本実施例では1つの画素列当たり2つのラインセンサ201 ,202 が千鳥状に配置されている。すなわち、ラインセンサ202 をラインセンサ201 に対して1/2画素分ずらして配置するようにしている。このように2つのラインセンサを千鳥状にずらして配置することにより、焦点検出の精度を向上させることができる。また、図5に示すように、2本目のラインセンサ202 に沿ってその横には、モニタ用のフォトダイオード204 が配置されている。
【0028】
また、図5において、各画素列を構成する2つのラインセンサ201 ,202 は、それぞれが画素を構成する複数のフォトダイオード201-1 ,202-1 から構成されている。これら複数のフォトダイオード201-1 ,202-1 では、該フォトダイオード201-1 に入射した被写体の光束の光量に応じた光電荷が得られる。それぞれのフォトダイオード201-1 ,202-1 で得られた光電荷は、電荷蓄積部201-2 ,202-2 に蓄積される。
【0029】
ここで、電荷蓄積部201-2 ,202-2 の電荷蓄積量は、モニタ用のフォトダイオード204 によってモニタされている。このモニタ用のフォトダイオード204 については、基準部のモニタ用のフォトダイオード204 と対応する参照部のモニタ用のフォトダイオード204 の平均値を、第2の増幅回路211 により所定の増幅率で増幅し、積分時間制御回路209-1 〜209-5 に出力されるように構成されている。積分時間制御回路209-1 〜209-5 は、各モニタ用のフォトダイオード204 に対応して設けられ、積分時間制御回路209-1 〜209-5 に入力された所定の増幅率で増幅されたモニタ用のフォトダイオード204 の出力が、所定の閾値以上になったか否かを判定して、閾値以上になった場合にラインセンサのフォトダイオード201-1 ,202-1 からの電荷蓄積部201-2 ,202-2 への電荷蓄積(積分動作)を終了させる。また、モニタ用のフォトダイオード204 の出力が閾値以上でなくとも、AFコントローラ121 からの蓄積終了コマンドを受けた場合は、電荷蓄積を終了させる。なお、電荷蓄積を終了させるための閾値や積分時間はAFコントローラ121 から変更可能である。
【0030】
スイッチ210 は、参照部モニタ用のフォトダイオード204 からの出力を、有効にするか無効にするかを切り替えるものである。この切り替えは、光学系の違いにより選択されるものであり、図5中の信号fpcnt により行われ、11点の測距点時には有効、7点の測距点時には無効にするようにスイッチ210 は制御される。このスイッチ210 が有効に切り替えられる場合は、蓄積レベルは、基準部と参照部のモニタ用のフォトダイオード204 の平均値が積分時間制御回路209-1 〜209-5 に入力され、スイッチ210 が無効に切り替えられる場合は、基準部のモニタ用のフォトダイオードの値のみが積分時間制御回路209-1 〜209-5 に入力される。
【0031】
電荷蓄積が終了すると、電荷蓄積部201-2 ,202-2 の後段に接続された転送スイッチ201-3 ,202-3 が閉じられて、電荷蓄積部201-2 ,202-2 に蓄積された光電荷が電荷転送路205 に転送される。
【0032】
読み出し制御回路212 は、AFコントローラ121 からのCCD読み出しコマンドを受けると、電荷転送路205 にパルスを印加し、光電荷がパルス毎シフトされ、1画素ずつ電荷・電圧変換アンプ206 に転送されて電圧信号に変換される。電荷・電圧変換アンプ206 において変換された電圧信号は、第1の増幅回路207 において所定の増幅率(例えば、1倍、2倍、4倍、8倍のいずれかが選択される)で増幅された後、出力選択回路208 に入力される。
【0033】
ここで、第1の増幅回路207 による増幅率は、出力される電荷が蓄積された画素列に対応するモニタ用のフォトダイオード204 の出力を増幅する第2の増幅回路211 の増幅率をもとに、読み出し制御回路212 により決定される。出力選択回路208 においては、読み出し制御回路212 により制御され、図示しない他のセンサ列との出力から所定の電圧(選択されたセンサ列の出力を第1の増幅回路207 により増幅した電圧)を選択し出力する。これによって得られた出力電圧VNが、後段のAFコントローラ121 に出力される。
【0034】
図6は、図4の水平方向基準部センサ群121a-1と水平方向参照部センサ群121a-2の一部(それぞれ5個の画素列からなるラインセンサ部分)の積分時間制御回路209-1 〜209-5 からの蓄積停止信号を入力するラインセンサ201 及びラインセンサ202 の対応関係を示す回路構成図である。積分時間制御回路209-1 〜209-5 は、蓄積を終了すべき状態になったとき、対応するラインセンサ201 及び202 に蓄積終了信号を出力するが、この蓄積終了により、ラインセンサ201 及び202 の対応する転送スイッチ201-3 及び202-3 が閉じられ、対応する電荷蓄積部201-2 及び202-2 に蓄積された電荷が電荷転送路205 に転送される。
【0035】
セレクタ213-1 〜213-3 は、対応する2つの積分時間制御回路209-1 〜209-5 から参照部センサへの蓄積停止信号を、11点の測距点と7点の測距点に対応させて切り替えて、参照部の所定のラインセンサ201 及び202 に出力させるためのものである。このセレクタ213-1 〜213-3 における切り替え制御は、光学系に対応してfpcnt 信号により行われ、11点の測距点時はaへ切り替えられ、全ての積分時間制御回路209-1 〜209-5 からの蓄積停止信号が参照部のラインセンサ201 及び202 の各画素を構成するフォトダイオードへそれぞれ入力されるようにし、7点の測距点時にはセレクタ213-1 〜213-3 はbに切り替えられ、3つの積分時間制御回路209-3 〜209-5 からの蓄積停止信号が参照部のラインセンサ201 及び202 の3つのフォトダイオード(n=1〜3)へそれぞれ入力されるようになっている。図6中の図示していないその他の構成については、図5と同一の構成を備えている。また、水平方向の基準部センサ群と参照部センサ群における他のラインセンサ部分、並びに垂直方向の基準部センサ群と参照部センサ群におけるラインセンサ部分の構成も、図5及び図6に示したものと同様の構成を備えている。
【0036】
図7から図9は、AFコントローラ121 からのコマンドと積分時間制御回路209-1 〜209-5 の動作の関係を示し、図7は通常の蓄積シーケンスを、図8は強制蓄積終了シーケンス(所定時間で蓄積を終了)を、図9は第2の増幅回路211 に増幅率が設定された場合の蓄積シーケンスをそれぞれ示す図である。図中のphi-rmは、電荷蓄積部201-2 ,202-2 に蓄積された電荷の吐き出しを行う信号で、High レベルで電荷の吐き出しを行う。vmonは、モニタ用のフォトダイオード204 から出力される第2の増幅回路211 により所定の増幅率で増幅された信号で、積分時間制御回路209-1 〜209-5 により監視される。
【0037】
TG1は、蓄積制御信号で、電荷吐き出し終了と同時にパルスが入力された場合は、蓄積の開始を意味し、このTG1のパルスが入力されると、フォトダイオード201-1 ,202-1 で変換された光電荷が電荷蓄積部201-2 ,202-2 に蓄積される。2回目のTG1のパルス(phi-rmがLowのときに入力されるパルス)は蓄積の停止を意味し、この2回目のTG1のパルスが入力されると、電荷蓄積部201-2 ,202-2 に蓄積された光電荷が電荷転送路205 に転送される。
【0038】
ここで、2回目のTG1のパルスは、通常蓄積シーケンス時には、図7に示すように、vmonがTG1生成用VTH(閾値)を超えたことに起因して発生しているが、強制終了時には、図8に示すように、AFコントローラ121 からの蓄積終了コマンドに起因して発生するようにしている。
【0039】
図9に示す蓄積シーケンスでは、第2の増幅回路211 に所定の増幅率を設定することで、モニタ用のフォトダイオード204 からの出力が増幅され、vmonがTG1生成用VTHにいたる時間が短縮されている。
【0040】
図10は、11点の測距点に対応した光学系を使用する場合の、各測距点に配置されるAFセンサにおける水平及び垂直方向の基準部及び参照部のセンサ群において、使用するラインセンサを実線で示しており、破線で示された垂直方向センサ群のラインセンサ、x1b,x2b,x3b,x1r,x2r,x3rは不使用のラインセンサである。図11は、7点の測距点に対応した光学系を使用する場合における、使用するラインセンサを実線で示しており、破線で示されたラインセンサ、h2bb,h2cb,h3ab,h3bb,h4bb,h4cb,h2cr,h2dr,h3dr,h3er,h4cr,h4dr,v3ab,v2bb,v3bb,v2cb,v2db,v3db,v3eb,v3ar,v3br,v4br,v4cr,v3dr,v4dr,v3erは不使用のラインセンサである。なお、図6に示しラインセンサの構成は、図10及び図11に示したAFセンサにおける水平方向センサ群のうち5個の画素列からなるラインセンサの、使用、不使用の選択切り替えに対応する態様を示しているものである。
【0041】
図12の(A)〜(D)は、各光学系に対応した動作での、基準部ラインセンサと参照部ラインセンサの対応関係を示した表図であり、図12の(A)は、11点の測距点時の水平方向の基準部と参照部のラインセンサの対応関係を示し、図12の(B)は、11点の測距点時の垂直方向の基準部と参照部のラインセンサの対応関係を示し、図12の(C)は、7点の測距点時の水平方向の基準部と参照部のラインセンサの対応関係を示し、図12の(D)は、7点の測距点時の垂直方向の基準部と参照部のラインセンサの対応関係を示している。
【0042】
以上説明したように、実施例1によれば、スイッチ210 を設けることで、電荷蓄積状態の検出を基準部モニタ用のフォトダイオード204 のみを用いて行うことが可能になり、基準部と参照部のラインセンサの対応関係に影響を受けないため、光学系に依存しない蓄積状態の検出ができる。更に、参照部ラインセンサの蓄積停止制御を切り替えることで、比較的小規模な回路で複数の異なった光学系に対応することができる。
【0043】
以上実施例1に基づいて本発明に係る焦点検出素子を説明したが、本発明は上記の実施例1に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。例えば、測距点数は、11点と7点に限定されるものではなく、また、対応する光学系も2種類に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る焦点検出素子を備えた一眼レフレクスカメラを示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示したカメラにおけるAF光学系の2次結像系部分の構成を模式的に示す図である。
【図3】図1に示したAFセンサにおいて、11点の測距点の焦点状態を検出するためのセンサの配置態様を示す図である。
【図4】各測距点に配置される、本発明に係る焦点検出素子の実施例によるAFセンサの構成を示す図である。
【図5】図4に示した水平方向基準部ラインセンサ群と水平方向参照部ラインセンサ群の一部のセンサの回路構成を示す図である。
【図6】図4に示した水平方向基準部ラインセンサ群と水平方向参照部ラインセンサ群の一部における積分時間制御回路から蓄積停止信号を入力するラインセンサの対応関係を示す回路構成図である。
【図7】本発明の実施例に係るAFセンサにおいて、通常の蓄積シーケンスにおけるAFコントローラコマンドと積分時間制御回路の関係を示す図である。
【図8】強制蓄積終了シーケンスにおけるAFコントローラコマンドと積分時間制御回路の関係を示す図である。
【図9】第2の増幅回路に増幅率が設定された場合の蓄積シーケンスにおけるAFコントローラコマンドと積分時間制御回路の関係を示す図である。
【図10】図4に示したAFセンサの11点の測距点に対応した光学系が使用される場合における、使用及び不使用のラインセンサを示す図である。
【図11】図4に示したAFセンサの7点の測距点に対応した光学系が使用される場合における、使用及び不使用のラインセンサを示す図である。
【図12】図4に示したAFセンサの11点及び7点の測距点に対応した光学系が使用された場合における、基準部ラインセンサと参照部ラインセンサの対応関係を示す表図である。
【符号の説明】
【0045】
101 交換レンズ
102 フォーカスレンズ
103 レンズ駆動部
104 レンズCPU
105 通信コネクタ
110 カメラボディ
111 メインミラー
112 フォーカシングスクリーン
113 ペンタプリズム
114 接眼レンズ
115 サブミラー
116 コンデンサレンズ
117 全反射ミラー
118 セパレータ絞り
119 セパレータレンズ
120 AFセンサ
121 AFコントローラ
121a-1 水平方向基準部センサ
121a-2 水平方向参照部センサ
121b-1 垂直方向基準部センサ
121b-2 垂直方向参照部センサ
122 システムコントローラ
201 ,202 ラインセンサ
201-1 ,202-1 フォトダイオード
201-2 ,202-2 電荷蓄積部
201-3 ,202-3 転送スイッチ
204 モニタ用フォトダイオード
205 電荷転送部
206 電荷・電圧変換アンプ
207 第1の増幅回路
208 出力選択回路
209-1 〜209-5 積分時間制御回路
210 スイッチ
211 第2の増幅回路
212 読み出し制御回路
213-1 〜213-3 セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視差を有する異なる視野から観測した被写体像を受光して受光量に応じた電荷を蓄積する一対の受光手段と、
前記一対の受光手段に対応し、それぞれの電荷の蓄積レベルを示す出力を発生する一対の蓄積レベル発生手段と、
前記一対の受光手段に蓄積開始信号及び蓄積終了信号を出力して蓄積動作を制御する蓄積制御手段と、
を有する焦点検出素子において、
前記蓄積制御手段は、前記一対の蓄積レベル発生手段のうちのいずれか一方の蓄積レベル発生手段の出力に基づいて蓄積終了の判定を行う場合と、
前記一対の蓄積レベル発生手段の両方の蓄積レベル発生手段の出力に基づいて蓄積終了の判定を行う場合と、
を選択可能に構成されていることを特徴とする焦点検出素子。
【請求項2】
前記蓄積制御手段は、前記一対の蓄積レベル発生手段の両方の蓄積レベル発生手段の出力を用いて蓄積終了の判定を行う場合には、
前記一対の蓄積レベル発生手段の出力の平均値に基づいて蓄積終了の判定を行うことを特徴とする請求項1に係る焦点検出素子。
【請求項3】
視差を有する異なる視野から観測した被写体像を受光して受光量に応じた電荷を蓄積する一対の受光手段のそれぞれを構成する各受光部の使用・不使用の組み合わせを複数の焦点検出態様について選択可能な一対の受光手段と、
前記一対の受光手段にそれぞれ蓄積開始信号及び蓄積終了信号を出力して蓄積動作を制御する蓄積制御手段と、
を有する焦点検出素子において、
前記一対の受光手段を構成する第1の受光手段と第2の受光手段のそれぞれの一部の受光部を共通とし、
前記蓄積終了信号を前記焦点検出態様に応じて切り替えて前記一対の受光手段に出力する切り替え手段を有し、
前記蓄積制御手段は、第1の蓄積終了信号を前記第1の受光手段の全ての受光部と前記第2の受光手段のうちの非共通な受光部と前記切り替え手段に出力し、
第2の蓄積終了信号を前記第1の受光手段のうちの共通な受光部と前記切り替え手段に出力し、
前記切り替え手段は、前記選択された受光部に応じて前記第1の蓄積終了信号と前記第2の蓄積終了信号を切り替えて前記第2の受光手段の共通の受光部に出力することを特徴とする焦点検出素子。
【請求項4】
前記蓄積制御手段は、前記一対の受光手段において使用しないものとして選択されていない受光部に対して、使用するものとして選択されている受光部に対する蓄積開始信号及び蓄積終了信号を出力して、蓄積を制御することを特徴とする請求項3に係る焦点検出素子。
【請求項5】
前記蓄積制御手段は、蓄積終了の判定を外部から入力した信号により選択することを特徴とする請求項1に係る焦点検出素子。
【請求項6】
前記切り替え手段は、外部から入力した信号により切り替え制御されることを特徴とする請求項3に係る焦点検出素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−107668(P2008−107668A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291946(P2006−291946)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】