説明

焦点検出装置

【課題】コントラスト制御を用いた高速AFと色温度センサを用いた高精度AFを両立させる。
【解決手段】位相差検出により焦点検出用信号を出力する第一のセンサ111と、分光感度が互いに異なる複数の画素を持つ第二のセンサ110を備える焦点検出装置において、第一のセンサ111と第二のセンサ110の蓄積開始タイミングは異なり、第一のセンサ111は蓄積信号の最大値と最小値の差を基に蓄積時間と読み出しゲインを制御し、第一のセンサ111が蓄積終了するタイミングで第二のセンサ110の蓄積を終了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフカメラなどに用いられるオートフォーカス用の焦点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オートフォーカス用の焦点検出装置として、目標物の輝度情報を光センサで受光し、電気処理によって焦点位置を検出するパッシブ方式がある。そのうちの位相差検出方式は、2組の受光素子における輝度信号の横ズレを検出する方式である。
【0003】
一眼レフカメラで用いられている位相差検出方式のオートフォーカス(以下AF)において、被写体光源の色温度によって焦点検出位置が異なるという問題がある。これはレンズの色収差が原因である。この問題を解決した焦点検出装置の例が、特許文献1に開示されている。
【0004】
この装置は、焦点検出用AFセンサと色温度センサが有り、色温度センサの出力を基にしてAFセンサの出力を補正する補正手段を有する。AFセンサのフォトセンサアレイと色温度センサの一対のフォトダイオードは、AFセンサモジュール内に隣接して配置されている。
【0005】
また、AFセンサと色温度センサを備えた焦点検出装置において、各センサの特性向上として、自動利得制御を持たせた特許文献2のような例がある。
【0006】
一方、カメラ駒速の向上等によりAFの高速化が求められている。AFの高速化を図る方法として、AFセンサの蓄積制御をセンサ出力の最大値と最小値の差を検出して行う方法(以下コントラスト制御)がある。このコントラスト制御を用いると、被写体の輝度が低くてもコントラストが十分であれば、短時間で蓄積終了され、高速なAFを行うことができる。コントラスト制御AFの例として、特許文献3がある。
【0007】
したがって、現在のAFには、色温度センサ等を用いた高精度化と、コントラスト制御等を用いた高速化が求められている。
【特許文献1】特開昭63−168613号公報
【特許文献2】特開2005−300756号公報
【特許文献3】特開2000−180706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1,2ではコントラスト制御による高速化について述べられていない。また、特許文献3では、AFセンサの蓄積制御にコントラスト制御を用いているが、被写体によってはAF速度が向上できない可能性がある。
【0009】
なぜなら、低輝度高コントラストの被写体において、AFセンサはコントラスト制御のため比較的早く蓄積が終了する。一方、色温度センサはセンサ出力の最大値を検出して蓄積制御を行う(以下ピーク制御)ため、低輝度な被写体では蓄積時間が長くなる。AF動作にはAFセンサと色温度センサの両方の出力が必要なので、結局AF速度は色温度センサの蓄積時間で制限される。
【0010】
そこで、本発明の目的は、色温度センサ出力を用いた高精度なAF動作を行う際、低輝度高コントラストの被写体においても、コントラスト制御を用いた高速なAFと、色温度センサの出力を用いた高精度なAFを両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の焦点検出装置は、位相差検出により焦点検出用信号を出力する第一のセンサと、分光感度が互いに異なる複数の画素を持つ第二のセンサを備える焦点検出装置において、第一のセンサと第二のセンサの蓄積開始タイミングは異なり、第一のセンサは蓄積信号の最大値と最小値の差を基に蓄積時間と読み出しゲインを制御し、第一のセンサが蓄積終了するタイミングで第二のセンサの蓄積を終了させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、低輝度高コントラストの被写体においても、第一のセンサであるAFセンサがコントラスト制御を活かして早く信号蓄積を終了すると同時に、第二のセンサである色温度センサの信号蓄積を終了できる。コントラスト制御を用いた高速なAFと、色温度センサの出力を用いた高精度なAFを両立させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
いずれの実施形態も、従来技術と同様に、焦点検出装置における色温度センサはAFセンサの色収差補正用である。
【0015】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1を示す回路ブロック図である。
【0016】
101はシリアル通信クロック入力端子、102はシリアル通信イネーブル信号入力端子、103はシリアル通信データ入力端子、104はシリアル通信I/O回路、105は入力信号を一定期間遅延させて出力するカウンタ回路である。106はロジック回路のマスタークロックを生成する発振回路、107は色温度センサ用タイミング生成回路(以下TG)、108はAFセンサ用TGである。これらは、ロジックブロック109を構成する。
【0017】
110は図4に記載している分光感度が互いに異なる複数の画素を持つ第二のセンサとしての色温度センサである。111は従来の特許文献3に記載されている、位相差検出により焦点検出用信号を出力する第一のセンサとしてのAFセンサであって、数十個の画素アレイで1つのAFラインを形成して、1つの測距点に対応している。112は自動利得制御(AGC)回路、113はゲイン回路、114は出力マルチプレクサ、115はアナログ信号出力端子である。
【0018】
120は色温度センサ強制蓄積終了信号、121はAF補正動作開始信号、122はAFセンサ強制蓄積終了信号、123はメインクロックである。124は色温度センサ蓄積開始信号、125は色温度センサ蓄積完了信号である。126は色温度センサ110の駆動信号、127はAFセンサ蓄積完了信号、128はAFセンサ111とAGC回路112とゲイン回路113の駆動信号である。
【0019】
129は色温度センサ蓄積終了信号、132は色温度センサ出力信号、133はAFセンサ最大信号と最小信号、134はAFセンサ最大信号と最小信号とビット信号、135はAFセンサ出力信号、136はアナログ出力信号である。
【0020】
駆動信号126と128は複数の制御信号を示している。色温度センサ駆動信号126は色温度センサ110の蓄積開始と蓄積終了、サンプルホールド、読み出しタイミングを伝達する。駆動信号128はAFセンサ111の補正動作と蓄積中の最大最小出力と蓄積終了と信号読み出しのタイミング、AGC回路112のAGCタイミング、ゲイン回路113の読み出しタイミングを伝達する。
【0021】
図5は、図1に記載のAGC回路112の回路図である。
【0022】
501はAFセンサ最大信号と最小信号133のうちの最大値信号、502は最小値信号、503はバッファアンプ、504はゲイン抵抗1、505はゲイン抵抗2、506はオペアンプ、507はクランプ容量、508はクランプスイッチである。509はコンパレータ、510はAGC基準電圧、511はDAC、512はDAC参照電圧、513は蓄積比較電圧設定信号、514はAFセンサ蓄積モニタ信号、515はAFセンサ蓄積比較信号である。クランプスイッチ508とDAC 511はAFセンサ用TG 108によって制御される。
【0023】
以下、図5に記載のAGC回路の動作を説明する。AFセンサの最大値501と最小値502の差にゲイン抵抗2 505とゲイン抵抗1 504の比で決まるゲインを印加して、AGC基準電圧510でオフセットした値がAFセンサ蓄積モニタ信号514としてコンパレータ509に入力される。DAC 511はDAC参照電圧512を基に、蓄積比較電圧設定信号513で設定されるAFセンサ蓄積比較信号515の電圧を出力する。コンパレータ509はAFセンサ蓄積モニタ信号514とAFセンサ蓄積比較信号515を比較し、前者が後者を超えれば、AFセンサ用TG 108にAFセンサ蓄積完了信号127を出力する。このように、AFセンサ111は蓄積信号の最大値と最小値の差を基に蓄積時間を制御している。
【0024】
AFセンサの出力は外部アナログデジタル変換器(A/D変換器)によってデジタル信号に変換される。A/D変換器の入力Dレンジは一定であるので、A/D変換のDレンジを有効に使うためには、AFセンサの信号振幅を適切に制御する必要がある。AFセンサ蓄積開始直後には高ゲインで読み出した時にAF出力の振幅が適切になるようAFセンサ蓄積比較信号515が設定される(高ゲインモード)。その後、AFセンサ蓄積モニタ信号514がAFセンサ蓄積比較信号515を超えると、今度は低ゲインで読み出した時にAF出力の振幅が適切になるようAFセンサ蓄積比較信号515が再設定される(低ゲインモード)。その後、再びAFセンサ蓄積モニタ信号514がAFセンサ蓄積比較信号515を超えると、AFセンサは蓄積終了される。
【0025】
低輝度低コントラストな被写体においては、AF蓄積時間が長くなることから、外部制御で蓄積を強制終了せざるを得ない状況がある。上記のように高ゲインで蓄積開始する制御を行うことで、仮に蓄積レベルが低い状態で強制終了されても、適切なAF出力振幅を得ることができる。また十分コントラストがついている被写体においては、低ゲインで読み出すのでSN的に優位である。
【0026】
図6は、図1に記載の色温度センサ110の回路図である。
【0027】
601はフォトダイオードリセット電圧(VRST)、602と603は分光感度の異なる画素であり、例えば602は赤カラーフィルタを形成したフォトダイオード(R画素)、603は赤カラーフィルターを搭載していないフォトダイオード(W画素)である。
【0028】
604は積分回路リセットスイッチ(SW1)、605は積分アンプのオフセットを除去するためにリセット期間中、積分容量の片側をフォトダイオードリセット電圧(VRST) 601に固定するスイッチ(SW2)である。606は605と同様のオフセット除去用スイッチ(SW3)、607は色温度センサのゲインを決める積分容量(C_INT)、608は積分用オペアンプ、609は蓄積終了電圧(VCOMP)である。
【0029】
610は色温度センサ110の蓄積レベルモニタ信号と蓄積終了電圧(VCOMP) 609を比較するコンパレータ、611はホールドスイッチ(SW4)、612はW画素出力スイッチ(SW5_W)、613はR画素出力スイッチ(SW5_R)である。614はホールド容量(C_HOLD)、615はオペアンプの動作点を決める基準電圧である。616はホールド容量(C_HOLD) 614との比で読み出しゲインを決めるゲイン容量(C_GAIN)である。617は読み出しリセットスイッチ(SW6)、618はゲインアンプのオフセットを除去するために読み出しリセット期間中、ゲイン容量の片側を601に固定するスイッチ(SW7)である。619はSW7 618と同様のオフセット除去用スイッチ(SW8)、620は出力基準レベル読み出しスイッチ(SW9)、621はゲインアンプ読み出しスイッチ(SW10)である。622はゲイン用オペアンプ、623は色温度センサの蓄積レベルモニタ信号である。
【0030】
図7は、図1の色温度センサ110の動作タイミング図である。
【0031】
701は色温度センサの出力基準レベル、702はW画素出力、703はR画素出力である。図中の記号は図6のそれと同じである。
【0032】
図1、図6、図7を用いてAFセンサおよび色温度センサの動作を説明する。
【0033】
図1の101,102,103の各端子に外部からAF補正動作開始のシリアル信号が入力される。I/O回路104はこれを受けて、AF補正動作開始信号121を出力する。AFセンサ用TG 108はAF補正動作開始信号121を受けてAFセンサ111の補正動作を開始する。補正動作とは、AF画素アレイの固定パターンノイズを除去する動作である。
【0034】
補正動作中にAFセンサのリセットが解除され、AFセンサの蓄積が開始する。補正動作完了後、AFセンサ111からAGC回路112へAFセンサ最大信号と最小信号133が出力され、前述の蓄積時間制御が開始される。AF補正動作開始信号121はカウンタ回路105で一定期間(AF補正動作と同じ期間か補正動作終了からマスタークロック数CLK分遅延した期間)遅延された後に、色温度センサ蓄積開始信号124として色温度センサ用TG 107に入力される。色温度センサ用TG 107は色温度センサ蓄積開始信号124を受けて、色温度センサ110の蓄積を開始する。
【0035】
このように、AFセンサ111と色温度センサ110の信号蓄積開始タイミングは異なっている。AF補正動作開始信号121をカウンタ回路105で遅延させることで、色温度センサ110はAFの補正動作による電源電圧の振られの影響を回避して、安定した蓄積動作が実現できる。
【0036】
色温度センサ110は色温度センサ用TG 107から蓄積開始の指示を受けると、スイッチ(SW1〜SW3) 604〜606を駆動してリセットを解除する。すると光電流に応じてコンパレータ610の入力が変化するので、色温度センサの蓄積レベルモニタ信号623が蓄積終了電圧(VCOMP) 609を超えると色温度センサ用TG 107に色温度センサ蓄積完了信号125を送信する。
【0037】
色温度センサ用TG 107は色温度センサ蓄積完了信号125を受けると、スイッチ(SW1〜SW4) 604〜606,611を制御して蓄積信号をホールド容量(C_HOLD )614に保持し、画素をリセット状態にする(色温度センサ蓄積終了)。読み出し時にはスイッチ(SW5_W )612、(SW5_R )613及び(SW6〜SW10) 617〜621を順次駆動する。ホールド容量(C_HOLD )614に保持された信号に、ゲイン容量(C_GAIN) 616とホールド容量(C_HOLD) 614の比で決まるゲインを印加する。色温度センサの出力基準レベル701→ W画素出力702→ R画素出力703を時刻順に信号を出力する。色温度センサの蓄積制御は、各色の出力の最大値をモニタして制御する必要がある。すなわち、蓄積信号の最大値を基に蓄積時間を制御する。最大値を検出するには、一般的に最大値検出回路が必要であるが、図6ではフィルタを載せていないW画素の方がフィルタを載せたR画素より感度が高いことから、W画素の出力をモニタしている。
【0038】
AFセンサの低ゲインモードでの蓄積が終了すると、AFセンサ用TG 108は色温度センサ蓄積終了信号129を色温度センサ用TG 107に送信する。色温度センサ用TG 107は色温度センサ蓄積終了信号129を受けると、色温度センサ110が蓄積動作中であっても蓄積を終了する。こうすることで、低輝度高コントラストな被写体において、AFセンサがコントラスト制御を活かして早く信号蓄積を終了すると同時に、色温度センサの信号蓄積を終了できる。その結果、色温度センサの蓄積時間が長くなってAF動作が行えない状態を回避できるので、高速なAFと色温度センサを用いた高精度な焦点検出が両立できる。
【0039】
他の蓄積終了の手段として、シリアル通信によってI/O回路104から色温度センサ強制蓄積終了信号120とAFセンサ強制蓄積終了信号122を色温度センサ用TG 107とAFセンサ用TG 108に送信する。これにより、AFセンサと色温度センサの蓄積を外部から強制終了できる。
【0040】
[実施形態2]
図2は本発明の実施形態2を示す回路図である。
【0041】
図2において、201は色温度センサの蓄積モニタ信号、202は色温度センサの蓄積判定に使用する蓄積比較信号、203はDAC回路、204はDAC参照電圧、205は読み出しゲイン切り換えスイッチ、206はゲイン容量、図6と同じ記号は説明を省略する。色温度センサ以外の構成は実施形態1と同じである。
【0042】
DAC回路203、DAC参照電圧204、色温度センサ用TG 107、色温度センサ蓄積完了信号125、コンパレータ610によって、前述のAFセンサの蓄積制御を行うAGC回路112と同様の蓄積制御を行う。すなわち、高ゲインモードで蓄積を開始して、蓄積が進行すれば低ゲインモードに移行する。それぞれの読み出しゲイン設定は読み出しゲイン切り換えスイッチ205とゲイン容量206によって行われる。ゲイン容量206とホールド容量(C_HOLD) 614の比でゲインが決定されることから、読み出し時にオンされる読み出しゲイン切り換えスイッチ205の個数を変えることで、読み出しゲイン値を変えることができる。
【0043】
本実施形態では、色温度センサに読み出しゲイン切り換え機能を設けることで、色温度センサの蓄積時間が短く十分な信号が蓄積できなくても高ゲインで読み出して出力振幅を大きくすることができる。その結果、A/D変換のDレンジを有効に活用することができ、SN向上を実現できる。
【0044】
[実施形態3]
図3は、本発明の実施形態3を示す色温度センサ用TG 107の内部のフローチャートである。
【0045】
図3において、S(ステップ)301は「色温度センサ蓄積開始」、S302は「色温度センサ用TG 107の内部レジスタSTOP(以下STOP)を初期化(=0)する動作」、S303は「色温度センサの蓄積を高ゲインモードに設定する動作」である。
【0046】
S304は「AFセンサの蓄積が終了したか判断する動作?」、S305は「AFセンサが低ゲインモードに設定されているか判断する動作?」である。S306は「内部レジスタSTOPに1を設定する動作」、S307は「コンパレータ610が反転したか判断する動作?」である。
【0047】
S308は「内部レジスタSTOPに1が設定されているか判断する動作?」、S309は「色温度センサの蓄積を低ゲインモードに設定する動作」である。S310は「AFセンサの蓄積が終了したか判断する動作?」、S311は「コンパレータ610が反転したか判断する動作?」、S312は「色温度センサの蓄積を終了させる動作」である。
【0048】
図8は、本発明の実施形態3を示す色温度センサの蓄積状況の概念図である。
【0049】
図8において、801と802は色温度センサの蓄積モニタ信号201の時間変化、803は色温度センサ低ゲインモード時の蓄積比較信号レベル、804は色温度センサ高ゲインモード時の蓄積比較信号レベルである。805はAFセンサ読み出しゲイン切り換えタイミング、806は色温度センサ低ゲインモード蓄積終了タイミング、807は色温度センサ高ゲインモード蓄積終了タイミング、808はAFセンサ蓄積終了タイミングである。809は色温度センサ高ゲインモード、810は色温度センサ低ゲインモードである。
【0050】
本実施形態において、回路構成は実施形態2と同様である。色温度センサ用TG 107の信号処理の中で、色温度センサ110の蓄積制御を行う動作が図3のように異なる。後述するが、AFセンサと色温度センサの間で、高ゲイン読み出しのゲイン値と低ゲイン読み出しのゲイン値の比を同じにしている。
【0051】
図3と図8を用いて実施形態3の動作を説明する。
【0052】
図3のフローチャートにおいて、色温度センサ蓄積開始後、STOPを0に設定する。次に色温度センサの読み出しゲインを高ゲインモードに設定して蓄積をモニタする。高ゲインモードで蓄積中に、AFの蓄積が終了すれば、色温度センサも蓄積を終了して、高ゲインで読み出す。蓄積中にAFの読み出しゲインが低ゲインモードに設定されれば、STOPに1を設定する。蓄積が進んでコンパレータ610が反転すると、STOPの値を調べ、STOPが1であれば蓄積を終了して高ゲインで読み出す。STOPが0であれば色温度センサは低ゲインモードに設定して、蓄積を継続する。低ゲインモードで蓄積中に、AFの蓄積が終了すれば色温度センサも蓄積を終了して、低ゲインで読み出す。蓄積が進んでコンパレータ610が反転すると色温度センサは蓄積を終了して、低ゲインで読み出す。
【0053】
図8の概念図において、2種類の光照射条件における色温度センサの蓄積モニタ信号201の時間変化を示している。同信号がAFセンサ読み出しゲイン切り換えタイミング805までに色温度センサ高ゲインモード時の蓄積比較信号レベル804に達するケースを大電流の色温度センサ光電流A 801で示している。また、色温度センサの蓄積モニタ信号201がAFセンサ読み出しゲイン切り換えタイミング805までに色温度センサ高ゲインモード時の蓄積比較信号レベル804に達しないケースを小電流の色温度センサ光電流B 802で示している。
【0054】
AFセンサ読み出しゲイン切り換えタイミング805において、色温度センサ光電流A 801は、そのまま蓄積を継続して低ゲインモードで読み出す。色温度センサ光電流B 802はAFセンサ読み出しゲイン切り換えタイミング805からAFセンサ蓄積終了タイミング808の期間にコンパレータ610が反転しても、低ゲインモードに設定せずに蓄積を終了して、高ゲインで読み出す。
【0055】
本実施形態では、前述したようにAFセンサと色温度センサの間で、高ゲイン読み出しのゲイン値と低ゲイン読み出しのゲイン値の比を同じにしている。つまり色温度センサ光電流A 801のように、AFセンサ読み出しゲイン切り換えタイミング805で色温度センサの蓄積モニタ信号201が色温度センサ高ゲインモード時の蓄積比較信号レベル804に達しているとする。達していれば、色温度センサの蓄積モニタ信号201は確実にAFセンサ蓄積終了タイミング808までに色温度センサ低ゲインモード時の蓄積比較信号レベル803に達することが分かる。
【0056】
同様に、色温度センサ光電流B 802のようにAFセンサ読み出しゲイン切り換えタイミング805で色温度センサの蓄積モニタ信号201が、色温度センサ高ゲインモード時の蓄積比較信号レベル804に達していないとする。達していなければ、色温度センサの蓄積モニタ信号201はAFセンサ蓄積終了タイミング808までに色温度センサ低ゲインモード時の蓄積比較信号レベル803に達しないことが分かる。そこで、色温度センサ光電流2 802ではAFセンサ読み出しゲイン切り換えタイミング805のタイミングでSTOPに1を設定する。こうしてAFセンサ読み出しゲイン切り換えタイミング805とAFセンサ蓄積終了タイミング808の間に色温度センサの蓄積モニタ信号201が色温度センサ高ゲインモード時の蓄積比較信号レベル804に達すると色温度センサの蓄積を終了する。この結果、色温度センサが低ゲインモードに設定された直後にAFセンサが蓄積終了した場合でも、高ゲインで信号を読み出すので、色温度センサの出力振幅を大きくすることができる。
【0057】
[実施形態4]
図4は、本発明の実施形態4を示す色温度センサの回路図である。
【0058】
本実施形態は、色温度センサは、各画素に複数の蓄積信号保持手段を備えている。色温度センサがゲインを再設定するタイミングと蓄積終了するタイミングで前記保持手段に蓄積信号を保持し、保持した信号と保持したタイミングにおけるゲイン設定を組み合わせて出力する。
【0059】
図4において、401はR画素高ゲインモードホールドスイッチ、402はR画素低ゲインモードホールドスイッチ、403はW画素高ゲインモードホールドスイッチ、404はW画素低ゲインモードホールドスイッチである。405はR画素高ゲインモード読み出しスイッチ、406はR画素低ゲインモード読み出しスイッチ、407はW画素高ゲインモード読み出しスイッチ、408はW画素低ゲインモード読み出しスイッチである。
【0060】
409はR画素高ゲインモードホールド容量、410はR画素低ゲインモードホールド容量、411はW画素高ゲインモードホールド容量、412はW画素低ゲインモードホールド容量である。実施形態4において、色温度センサ以外の回路構成は実施形態2と同様である。各スイッチ401〜408は色温度センサ用TG 107によって駆動される。
【0061】
図4を用いて実施形態4の動作を説明する。
【0062】
色温度センサは高ゲインモードで読み出しを開始する。蓄積が進行してコンパレータ610が反転すると、R画素高ゲインモードホールドスイッチ401とW画素高ゲインモードホールドスイッチ403をオフにする。反転時の蓄積信号をR画素高ゲインモードホールド容量409とW画素高ゲインモードホールド容量411に保持する。その後、低ゲインモードに設定して、蓄積を継続する。再びコンパレータ610が反転すると、R画素低ゲインモードホールドスイッチ402とW画素低ゲインモードホールドスイッチ404をオフして蓄積信号をR画素低ゲインモードホールド容量410とW画素低ゲインモードホールド容量412に保持する。ただし、実施形態1と同様に、色温度センサ蓄積中にAFセンサの蓄積が終了すると、色温度センサの蓄積を終了させる。
【0063】
実施形態4では、色温度センサ読み出し時に、色温度センサが蓄積終了した状況に応じて読み出す保持信号と印加するゲインを選択することができる。例えば、色温度センサがAFセンサより先に蓄積終了していれば、色温度センサを低ゲインモードで読み出す。AFセンサが蓄積終了判定して、同時に色温度センサも蓄積終了された場合は、色温度センサを高ゲインモードで読み出す。こうすることで、前述した、色温度センサが低ゲインモードに設定された直後にAFセンサが蓄積終了した場合でも、色温度センサの出力振幅を大きくできる。
【0064】
[実施形態5]
実施形態1〜4において、AFセンサと色温度センサのゲイン設定を、高ゲインと低ゲインの2種類で説明した。実施形態5では上記ゲイン設定の設定数を増やして、ステップを細かくする。そうすることで、より低いゲインで読み出す機会が増えるため、SN比の向上が期待できる。
【0065】
[実施形態6]
図9は、本発明の実施形態1〜5のAFセンサ、色温度センサを搭載した、焦点検出装置に用いる集積回路である。
【0066】
図9において、901は109と同様のロジックブロックで複数のAFセンサと複数の色温度センサに対応している、902は数十個の画素アレイからなるAFセンサL1A、903はAFセンサL1Bで902と共に1つの測距点に対応している。904はAFセンサL23A、905はAFセンサL24B、906はAFセンサブロックである。
【0067】
910は色温度センサ、911は色温度センサブロック、912はAGC回路1、913はAGC回路2、914はAGC回路3、915はAGC回路4であり、23対のAFセンサの最大最小信号をAGC回路1 912〜AGC回路4 915に時分割で送信する。各AGCが順次蓄積制御することでAGC回路の数を削減している。916は参照電圧電流生成回路、917は温度計回路、918はAFゲイン回路、919は出力マルチプレクサ、920はアナログ回路ブロックである。
【0068】
921は焦点検出装置に用いる集積回路、922は101〜103のシリアル通信端子、923は基準電圧出力端子、924は外部温度計用ダイオード接続端子、925はアナログ信号出力端子である。
【0069】
図9では結線情報を示していないが、ロジックブロック901は外部シリアル通信によって906,911,920の各ブロックの回路を制御する。AFセンサブロック906の信号はAGC回路1 912〜AGC回路4 915で蓄積制御され、蓄積完了信号がロジックブロック901に伝達される。また、AFセンサブロック906の信号はAFゲイン回路918でゲイン印加され、色温度センサブロック911の信号を含めて出力マルチプレクサ919を通してアナログ信号出力端子925から取り出される。参照電圧電流生成回路916で生成される参照電圧と参照電流は、901,906,911,920の各ブロックに供給される。一部の信号はシリアル通信端子922あるいは出力マルチプレクサ919を通してアナログ信号出力端子925から取り出すことができる。
【0070】
本実施形態ではAFセンサの数に比べて色温度センサの数が少なく、1つの色温度センサで複数個のAFセンサの測距点をカバーしている。この場合、1つの色温度センサがカバーする複数個のAFセンサ、又はすべてのAFセンサのうち、蓄積信号の最大値と最小値の差の増加速度が最も遅いAFセンサの蓄積状況を色温度センサに反映させる。例えば、最も蓄積の遅いAFセンサが蓄積終了すれば、色温度センサを蓄積終了させる。また、最も蓄積の遅いAFセンサがゲイン設定を切り換えるタイミングで、色温度センサは読み出しゲインを決定したり(実施形態3)、保持容量に蓄積信号を保持する(実施形態4)。これは、焦点検出の演算はすべてのAFセンサが蓄積終了してから行われるためである。最も蓄積の遅いAFセンサに色温度センサの蓄積時間を合わせることで、色温度センサの蓄積時間をできるだけ延ばし、SNを向上させている。
【0071】
[実施形態7]
図10は、本発明の実施形態7を示すカメラシステムの構成図である。
【0072】
本発明の焦点検出装置をデジタルカメラに組み込んだシステムである。
【0073】
1001は後述するレンズのプロテクトとメインスイッチとを兼ねるバリア、1002は被写体の光学像を固体撮像素子に結像するレンズ、1003はレンズを通過した光量を調整するための絞りである。1004はレンズで結像された被写体を画像信号として取り込む固体撮像装置である。1005は実施形態1又は実施形態2に記載のAFセンサと色温度センサ又は実施形態3の集積回路を搭載した焦点検出装置である。
【0074】
1006は固体撮像素子や焦点検出装置から出力される信号を信号処理する撮像信号処理装置、1007は撮像信号処理回路から出力された信号をアナログデジタル変換するA/D変換器である。1008はA/D変換器より出力された画像データに対して各種の補正を行ったり、データを圧縮する信号処理部である。
【0075】
1009は画像データを一時記憶するためのメモリ部、1010は外部コンピュータなどと通信するための外部I/F回路、1011は信号処理部などに各種タイミング信号を出力するタイミング発生部である。1012は各種演算とカメラ全体を制御する全体制御・演算部、1013は記録媒体制御I/F部、1014は記録媒体に記録、又は読み出しを行うための半導体メモリなどの着脱可能な記録媒体、1015は外部コンピュータである。
【0076】
次に、上記のデジタルカメラの撮影時の動作について説明する。
【0077】
バリア1001がオープンされるとメイン電源がオンされ、次にコントロール系の電源がオンされ、さらにA/D変換器1007などの撮像系回路の電源がオンされる。次いで、焦点検出装置から出力された信号をもとに、全体制御・演算部1012は前記したような位相差検出により被写体までの距離を演算する。その後、レンズ1002を駆動して合焦しているか否かを判断し、合焦していないと判断したときには、再びレンズ1002を駆動してオートフォーカス制御を行う。次いで、合焦が確認された後に本露光が始まる。露光が終了すると、固体撮像装置1004から出力された画像信号はA/D変換器1007でアナログデジタル変換され、信号処理部1008を通り全体制御・演算によりメモリ部1009に書き込まれる。その後、メモリ部1009に蓄積されたデータは全体制御・演算部1012の制御により記録媒体制御I/F部1010を通り着脱可能な記録媒体1014に記録される。また、外部I/F部1010を通り直接コンピュータなどに入力してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態1を示す回路ブロック図
【図2】本発明の実施形態2を示す色温度センサの回路図
【図3】本発明の実施形態3を示すフローチャート
【図4】本発明の実施形態4を示す色温度センサの回路図
【図5】本発明の実施形態1を示すAGC回路の回路図
【図6】本発明の実施形態1を示す色温度センサの回路図
【図7】本発明の実施形態1を示す色温度センサのタイミング図
【図8】本発明の実施形態3を示す色温度センサの蓄積状況の概念図
【図9】本発明の実施形態6を示す集積回路のブロック図
【図10】本発明の実施形態7を示すカメラシステムのブロック図
【符号の説明】
【0079】
105…カウンタ回路
106…発振回路
107…色温度センサ用TG
108…AFセンサ用TG
110…色温度センサ(第二のセンサ)
111…AFセンサ(第一のセンサ)
112…AGC回路
113…ゲイン回路
114…出力マルチプレクサ
129…色温度センサ蓄積終了信号
201…色温度センサの蓄積モニタ信号
202…色温度センサ蓄積比較信号
205…読み出しゲイン切り換えスイッチ
501…最大値信号
502…最小値信号
602…フォトダイオード(R画素)
603…フォトダイオード(W画素)
801…色温度センサ光電流A
802…色温度センサ光電流B
901…ロジックブロック
906…AFセンサブロック
911…色温度センサブロック
920…アナログ回路ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相差検出により焦点検出用信号を出力する第一のセンサと、分光感度が互いに異なる複数の画素を持つ第二のセンサを備える焦点検出装置において、前記第一のセンサと第二のセンサの蓄積開始タイミングは異なり、前記第一のセンサは蓄積信号の最大値と最小値の差を基に蓄積時間と読み出しゲインを制御し、前記第一のセンサが蓄積を終了するタイミングで前記第二のセンサの蓄積を終了させることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記第二のセンサは、各画素の蓄積信号の最大値を基に蓄積時間と読み出しゲインを制御することを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記第二のセンサは、前記第一のセンサが読み出しゲインを再設定するタイミングで、その読み出しゲインを決定することを特徴とする請求項2に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
前記第二のセンサは、各画素に複数の蓄積信号保持手段を備え、前記第二のセンサがゲインを再設定するタイミングと前記第二のセンサが蓄積終了するタイミングで前記保持手段に蓄積信号を保持し、前記保持手段に保持した信号と保持したタイミングにおけるゲイン設定を組み合わせて出力することを特徴とする請求項2に記載の焦点検出装置。
【請求項5】
前記第二のセンサは、複数個有る前記第一のセンサの中で蓄積信号の最大値と最小値の差の増加速度が最も遅いセンサが蓄積終了するタイミングで、信号蓄積を終了させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項6】
前記第二のセンサは、複数個有る前記第一のセンサの中で蓄積信号の最大値と最小値の差の増加速度が最も遅いセンサが読み出しゲインを再設定するタイミングで、その読み出しゲインを決定することを特徴とする請求項3に記載の焦点検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の焦点検出装置を備えたカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−209734(P2008−209734A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47195(P2007−47195)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】