焦点計測方法及び装置
【課題】簡便に高精度でフォーカス変動量を測定する。
【解決手段】ピボタル特性パターンの形状値を計測し(ステップS1)、その測定値から露光量の変動を検出する。形状値の測定結果を用いて第1のデータベースにアクセスし(ステップS2)、露光量を算出する(ステップS3)。続いて、孤立パターンの形状値を測定し(ステップS4)、測定結果から第2のデータベースにアクセスし(ステップS5)、算出された適正露光量を用いてフォーカス変動量を決定する(ステップS6)。
【解決手段】ピボタル特性パターンの形状値を計測し(ステップS1)、その測定値から露光量の変動を検出する。形状値の測定結果を用いて第1のデータベースにアクセスし(ステップS2)、露光量を算出する(ステップS3)。続いて、孤立パターンの形状値を測定し(ステップS4)、測定結果から第2のデータベースにアクセスし(ステップS5)、算出された適正露光量を用いてフォーカス変動量を決定する(ステップS6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置や液晶などの表示デバイスを製造するためのリソグラフィー工程において、パターン露光時のフォーカス変動量を計測する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時では、半導体素子の高集積化に伴い、リソグラフィーで形成するパターンの微細化が進行している。また、パターンが微細になるほど、必要とされる寸法均一性も小さくなる。寸法均一性を悪化させる大きな原因の一つに、露光装置のフォーカスエラー(フォーカス変動)が挙げられる。フォーカス変動が発生すると、形成されるパターンに寸法変動が生じ、特に焦点深度の小さい孤立パターンなどの場合に顕著であり、甚だしい幅寸法の縮小を招く。例えば、90nm世代の半導体素子を製造するためには、±50nm程度のフォーカス管理が必須であると言われている。
【0003】
従来の露光装置におけるフォーカスの管理の一例は、以下のように実行されている。先ず日常点検などでフォーカスを各値に振ったサンプルウェーハを作製し、孤立パターンなどの幅寸法をCD−SEMなどを用いて測定した後、フォーカス−CD曲線を描いて最適フォーカス値を決定する。そして、その結果を露光装置側にオフセット値として記憶させることによりフォーカスを管理する。
【0004】
また、いわゆるインラインフォーカスモニター技術の他の具体例として、以下のものが提案されている。特許文献1では、レジストパターンのエッジの傾斜角度とフォーカス位置の関係を求め、ウェーハ上に形成されたレジストパターンのテーパ角度を算出し、フォーカス変動を測定するという技術が提案されている。また特許文献2では、専用マークを用いたレジストパターンの長手方向の長さ測定とレジストの厚みの変化量とから、フォーカス値を測定するという技術が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−154647号公報
【特許文献2】特開2000−133569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来手法によるフォーカス管理では、パターンの寸法測定に長時間を要するため、1日よりも短い時間単位による管理を行うことは困難であり、ましてや数時間単位もしくはそれよりも小さな時間内でのフォーカス変動をモニターすることは不可能である。また、通常の製品処理時にはウェーハ内やロット内でフォーカスを変化させた処理を行わないため、製品ウェーハを用いたフォーカス管理を行うことができないと考えられている。
【0007】
更に、現状で提案されているインラインフォーカスモニター技術では、検出できるフォーカス変動が必要とされる精度を満たすことができず、CD−SEMを用いた測定では測定再現性や測定精度が向上しないという問題が挙げられる。結果として、高精度なフォーカスモニターを行うことができない。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、簡便に高精度でフォーカス変動量を測定することを目的とし、最終的には、測定されたフォーカス変動量の情報を次ロットへのフィードバック、次工程へのフィードフォワードへ反映させ、半導体装置を安定して製造できる焦点計測方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、パターン転写された被転写体の焦点計測方法であって、前記被転写体上に、第1のテストレジストパターンと、前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の第2のテストレジストパターンとを転写形成し、前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定し、前記第1の形状値から露光量を算出し、前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定し、前記第2の形状値及び前記露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出し、前記第2の形状値は、前記第2のテストレジストパターンのテーパ角度を含み、前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記第1及び第2のテストレジストパターンを転写形成するに際して、前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする焦点計測方法が提供される。
【0010】
本発明の他の観点によれば、パターン転写された被転写体の焦点計測装置であって、前記被転写体上に転写形成された第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定する寸法測定手段と、測定された前記第1の形状値から露光量を算出する露光量算出手段と、前記被転写体上に転写形成された、前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定する形状測定手段と、測定された前記第2の形状値及び前記露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段とを含み、前記第2の形状値は、前記第2のテストレジストパターンのテーパ角度を含み、前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記第1及び第2のテストレジストパターンを転写形成するに際して、光学定数及び膜厚を計測する計測手段を更に含み、前記計測手段により、前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする焦点計測装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便に精度良くフォーカス変動量を計測することが可能となる。また、そのフォーカス変動の結果を次ロットや次工程に反映させることにより、精度良く微細なパターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
−本発明の基本骨子−
露光装置のフォーカス変動の測定結果を次ロットや次工程に反映させ、効率良くフォーカス補正を行うには、製品となるウェーハを用いたインラインフォーカスモニター技術が好適である。しかしながら、フォーカス変動量はレジストパターンの形状値(幅寸法、高さ及びテーパ角度など)から測定されるところ、この形状値の変化はフォーカス量及び露光量の双方に依存する。
【0013】
本発明者は、製品となるウェーハのリソグラフィー時に、電極や配線等を形成するための通常パターンと共に、パターン密度の異なる少なくとも2種類のテストレジストパターンを形成し、これらを用いることによりフォーカス変動量の短時間で正確な測定を実現した。即ち本発明では、単一の露光条件において、先ず第1のテストレジストパターンを用いて形状値の変化が露光変動(露光エラー)のみに依存する第1の状態を作出し、この状態で形状値の変化量を測定し、当該測定結果から適正露光量を決定する。続いて、第2のテストレジストパターンを用いて形状値の変化が露光量及びフォーカス変動量の双方に依存する第2の状態を作出し、この状態で形状値の変化量を測定し、当該測定結果と既に測定された適正露光量とからフォーカス変動量を決定する。第2の状態では、第1の状態で決定された露光量を利用して形状値の変化量の測定結果から露光量の影響を排除すれば、ほぼフォーカス変動量のみを正確に知見したものとみなすことができる。
【0014】
また、実際のリソグラフィー工程においては、被加工膜を構成する各層とレジスト膜とでは光学定数及び膜厚が異なり、この相違がレジストパターンの形状値に影響を及ぼす。そこで、被加工膜及びレジスト膜を積層形成してゆく際に、形成する被加工膜に応じて各膜(各層)の光学定数及び膜厚を測定しておき、或いは被加工膜及びレジスト膜を形成した後に積層膜全体(又は一部)の光学定数及び膜厚を測定し、当該測定値を形状値の測定に用い、フォーカス変動量を決定するようにすることが好適である。
【0015】
−本発明の具体的な実施形態−
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、本発明のフォーカス変動計測方法及び装置、並びに当該方法及び装置を用いたフォーカス変動補正方法、そして半導体装置の製造方法について述べる。
【0016】
[フォーカス変動計測方法及び装置]
図1は本実施形態のフォーカス変動の計測対象となるレジストパターンが形成されたシリコンウェーハを示す概略平面図、図2は本実施形態のフォーカス変動計測装置の概略構成を示すブロック図、図3は本実施形態のフォーカス変動計測方法をステップ順に示すフロー図である。
【0017】
本実施形態では、図1(a)に示すように、シリコンウェーハ10において、リソグラフィー工程における各種レジストパターンの形成(レジストパターンの形成領域3)とともに、レジストパターンの非形成領域、例えばスクライブ領域4に複数(ここでは2種類)のテストレジストパターン1,2を形成する。
【0018】
第1のテストレジストパターン1は、図1(b)に示すように、例えば高パターン密度のいわゆるピボタル特性を示すパターンであり、ここでは寸法比が1:1のラインアンドスペース(L&S)パターンとされている。第2のテストレジストパターン2は、 図1(c)に示すように、第1のテストレジストパターン1に比べて低パターン密度、ここでは孤立パターンとみなせる程度の密度のレジストパターン(以下、便宜上単に孤立パターンと記す)とされている。
【0019】
フォーカス変動計測装置は、 図2に示すように、第1のテストレジストパターン1の形状値を測定する形状値測定手段11と、測定された形状値から適正露光量を算出する適正露光量算出手段12と、第2のテストレジストパターン2の形状値を測定する形状値測定手段13と、測定された形状値及び適正露光量から当該シリコンウェーハ10のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段14とを有して構成されている。ここで述べている形状値とは、レジストパターンの形状に起因する値であり、具体的にはレジストパターンの横断面形状を複数の矩形で近似したときの高さやテーパ角度、幅寸法などの情報である。
【0020】
形状値測定手段11,13は、高精度の測定を可能とする電子顕微鏡や原子間力顕微鏡、光学式幅寸法計測装置などの各種計測装置であり、測定対象とする形状値が両者で同一の場合は勿論であるが、異なる場合(例えば幅寸法と高さ又はテーパ角度との場合)でも両者を一の装置として構成しても良い。適正露光量算出手段12は、形状値測定手段11により測定された形状値を用い、形状値と露光量との関係を示す第1のデータベースを使用して適正露光量を決定する。形状値測定手段13は、第2のテストレジストパターン2の形状を測定する。フォーカス変動量算出手段14は、適正露光量算出手段12で決定した適正露光量を用い、露光量及び形状値とフォーカス変動量との関係を示す第2のデータベースを用いてフォーカス変動量を決定する。
【0021】
このフォーカス変動計測装置を用いてフォーカス変動を計測するには、 図3に示すように、先ずピボタル特性を示す第1のテストレジストパターンの形状値を計測する(ステップS1)。第1のテストレジストパターンはフォーカス変動に対する形状値の変化量が極めて小さいため、その測定値から露光量の変動を検出することが可能である。そして、形状値の測定結果を用いて第1のデータベースにアクセスし(ステップS2)、露光量を算出する(ステップS3)。第1のデータベースは、事前に蓄積しておいたピボタル特性を示すレジストパターンの形状値と露光量との関係を示す情報を記したものである。
【0022】
続いて、孤立パターンである第2のテストレジストパターンの形状値を測定する(ステップS4)。第2のテストレジストパターンの形状値は、フォーカス変動及び露光量変動の双方により変化する。測定結果から第2のデータベースにアクセスし(ステップS5)、第1のテストレジストパターンから算出された適正露光量を用いてフォーカス変動量を決定する(ステップS6)。第2のデータベースは、事前に蓄積しておいた孤立パターンの形状値及び露光量、フォーカス変動量の関係を記したものである。このように2種類のレジストパターンにおける形状値を測定することにより、精度良くフォーカス変動量を決定することが可能となる。
【0023】
ここで、本実施形態のフォーカス変動計測方法及び装置を適用した具体的な実験例について説明する。
(実験例1)
この実験例1では、パターン密度の異なる2種類のテストレジストパターンを実際に用い、フォーカス変動が正確に得られる技術的過程について説明する。
【0024】
図4(a)は、ピボタル特性を示すパターン、ここでは幅寸法値が110nmであり寸法比が1:1のL&Sパターン(第1のテストレジストパターン)を用いた場合の、フォーカス変動値と幅寸法値との関係であるフォーカス−CD(Critical Dimension)特性を示す特性図である。ここで、横軸がフォーカス変動値、縦軸が幅寸法値である。また、図中の3本の線分はそれぞれ露光量を210J、220J、230Jと変化させたときのフォーカス−CD特性である。
【0025】
図4(a)によれば、ピボタル特性を示す第1のテストレジストパターンの場合、幅寸法値の変動は、露光量の変化には依存する一方でフォーカス値の変化には殆ど依存せず、フォーカス値が変化しても幅寸法値はほぼ一定値を示すことが判る。即ちこの事実は、第1のテストレジストパターンを用いることにより幅寸法値からフォーカス変動の影響が排除されたものとみなすことができ、測定された幅寸法値から適正露光量のみを決定することができることを意味する。
【0026】
図4(b)は、孤立パターン、ここではピッチが1000nmピッチで幅寸法が110nmのパターン(第2のテストレジストパターン)を用いた場合の、フォーカス変動値とテーパ角度及び高さとの関係を示す特性図である。ここで、横軸がフォーカス変動値である。縦軸の第1軸(図中、左側の縦軸)は、いわゆるサイドウォールアングルを示す。これは、形成されたレジストパターンが単純な台形に近似されるとした場合の当該台形のテーパ角度である。縦軸の第2軸(図中、右側の縦軸)は、当該台形の高さを示す。
【0027】
図4(b)によれば、フォーカス値が正方向に変動(プラスデフォーカス)するに従ってテーパ角度が大きくなる。一方、プラスデフォーカスによりレジスト高さも大きくなるが、あるところまでフォーカスが振られると一定値を示すようになる。この事実は、各形状値(サイドウォールアングル、テーパ角度)がフォーカス変動に依存して変化するものであり、フォーカス変動に対してそれぞれ固有の依存状態を示すことを意味している。そして、これら形状値が露光量とフォーカス値の2つを主なパラメータとして変化することから、敢えてピボタル特性を示さない第2のテストレジストパターンを用い、既に決定された適正露光量を利用することにより、測定された形状値から露光量の影響を排除したものとみなすことが可能となり、フォーカス変動値のみを得ることができる。
【0028】
以上から、パターン密度の異なる2種類のテストレジストパターンを用いることによって、フォーカス変動値を精度良く見積もることが可能となることが判る。
【0029】
(実験例2)
この実験例2では、実際に2種類のデータベースを用いてフォーカス変動量を見積もる一例について説明する。
【0030】
図5(a)に第1のデータベース、 図5(b)に第2のデータベースの一例をそれぞれ示す。
第1のデータベースには、ピボタル特性を示すパターン、ここでは幅寸法が110nmであり寸法比が1:1のL&Sパターン(第1のテストレジストパターン)を用いた場合の、幅寸法値と露光量との関係が規律されている。露光量の変化に伴って幅寸法変動が生じていることが判る。このとき、テーパ角度の変化はほとんど無い。
第2のデータベースには、孤立パターン、ここではピッチが1000nmピッチで幅寸法が110nmのパターン(第2のテストレジストパターン)を用いた場合の、露光量及びテーパ角度とフォーカス変動量との関係が規律されている。
【0031】
ここで例えば、第1のテストレジストパターンの幅寸法の計測結果が118nmであったとすると、このときの適正露光量は第1のデータベースにより202Jであることが判る。また、第2のテストレジストパターンのテーパ角度が86.6°であったとすると、適正露光量が202Jであることから、このときのフォーカス変動量は第2のデータベースにより+0.04μmであることが判る。よって、当該ウェーハのレジストを露光したときの露光エラーとして、フォーカス変動量が+0.04μmであると決定される。
【0032】
[変形例1]
図6は変形例1のフォーカス変動計測装置の概略構成を示すブロック図である。
フォーカス変動計測装置は、第1のテストレジストパターン1の形状値を測定する形状値測定手段11と、測定された形状値から適正露光量を算出する適正露光量算出手段12と、第2のテストレジストパターン2の形状値を測定する形状値測定手段13と、光学式測定器であり、光学定数及び膜厚を計測する計測手段21と、測定された形状値及び適正露光量から当該シリコンウェーハ10のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段14とを備えて構成されている。
【0033】
ここでは、ウェーハ上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、レジスト膜を露光して例えばゲート電極のレジストパターンと共に第1及び第2のテストレジストパターン1,2を転写形成するに際して、計測手段21により、各被加工膜及びレジスト膜のうち少なくとも1つについて、その光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果をフォーカス変動量算出手段14によるフォーカス変動量の算出に用いる。
【0034】
図7は、ウェーハ上にゲートを形成する際に必要となる成膜プロセス及びウェーハの状態を簡略的に示す断面図である。ここでは、一の被加工膜上に形成したレジスト膜をパターニングすることにより、ゲートの形成領域にゲートをパターン形成するためのレジストパターンを、スクライブ領域に第1及び第2のテストレジストパターンを形成する。
【0035】
先ず、図7(a)に示すように、シリコンウェーハ10上に薄いゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜31を介して多結晶シリコン膜32を形成し、計測手段21を用いて多結晶シリコン膜32の光学定数及び膜厚の測定を行う。ここで、シリコン酸化膜31は多結晶シリコン膜32に比して極めて薄いため、その光学定数及び膜厚は無視し得る程度の値である。
【0036】
続いて、図7(b)に示すように、エッチングマスク用のシリコン酸化膜33を形成して、上記と同様にシリコン酸化膜33の光学定数及び膜厚を計測する。このとき、先に計測した多結晶シリコン膜32の光学定数及び膜厚の計測値を用いることにより精度良く計測することができる。
【0037】
続いて、図7(c)に示すように、反射防止膜34及びレジスト膜35を順次形成し、レジストパターンが存在せずレジスト膜35が所謂ベタ状態となっている領域を用いて、レジスト膜35及び反射防止膜34の膜厚及び光学定数を計測する。このとき、先に測定した多結晶シリコン膜32及びシリコン酸化膜33の光学定数及び膜厚を用いることにより、短時間で簡便に精度良く測定することが可能となる。
【0038】
続いて、図7(d)に示すように、リソグラフィーによりレジスト膜35を加工し、ゲートの形成領域にはゲート形状のレジストパターン(不図示)を、スクライブ領域に第1及び第2のテストレジストパターン1,2(図示の例では第1のテストレジストパターン1)を形成する。
【0039】
そして、例えば図3のステップS1〜S5を経た後、ステップS6において、当該シリコンウェーハのフォーカス変動量を算出する。第1のテストレジストパターン1から算出された適正露光量、第2のテストレジストパターン2の形状値、及び上記した光学定数及び膜厚の各測定値を用いてフォーカス変動量を決定する。
【0040】
このように、変形例1によれば、通常光や偏光光を用いて多層の被加工膜上の各テストレジストパターンの形状値を測定する場合、被加工膜の膜厚や光学定数などのパラメータが測定値に大きく影響を及ぼすことから、フォーカス変動量の算出に被加工膜(上記の例では31〜34)及びレジスト膜の光学定数及び膜厚の各測定値を反映させることにより、フォーカス変動量を更に正確に見積もることが可能となる。なおこの場合、レジストパターンは各テストレジストパターンに近い場所に存するものほど、高い精度で形状値を測定することが可能となる。
【0041】
[変形例2]
変形例2では、変形例1と同様の装置構成により光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果をフォーカス変動量算出手段14によるフォーカス変動量の算出に用いるが、光学定数及び膜厚の計測方法が変形例1と異なる。
【0042】
図8は、ウェーハ上にゲートを形成する際に必要となる成膜プロセス及びウェーハの状態を簡略的に示す断面図である。ここでは、一の被加工膜上に形成したレジスト膜をパターニングすることにより、ゲートの形成領域にゲートをパターン形成するためのレジストパターンを、スクライブ領域に第1及び第2のテストレジストパターンを形成する。
【0043】
先ず、図8(a)に示すように、シリコンウェーハ10上に薄いゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜31を介して、多結晶シリコン膜32、エッチングマスク用のシリコン酸化膜33、反射防止膜34及びレジスト膜35を順次形成する。そして、被加工膜を構成する31〜34及びレジスト膜35の全体について、膜厚及び光学定数を計測する。
【0044】
続いて、図8(b)に示すように、リソグラフィーによりレジスト膜35を加工し、ゲートの形成領域にはゲート形状のレジストパターン(不図示)を、スクライブ領域に第1及び第2のテストレジストパターン1,2(図示の例では第1のテストレジストパターン1)を形成する。
【0045】
そして、例えば図3のステップS1〜S5を経た後、ステップS6において、当該シリコンウェーハのフォーカス変動量を算出する。第1のテストレジストパターン1から算出された適正露光量、第2のテストレジストパターン2の形状値、及び上記した光学定数及び膜厚の各測定値を用いてフォーカス変動量を決定する。
【0046】
このように、変形例2によれば、通常光や偏光光を用いて多層の被加工膜上の各テストレジストパターンの形状値を測定する場合、被加工膜の膜厚や光学定数などのパラメータが測定値に大きく影響を及ぼすことから、フォーカス変動量の算出に被加工膜(上記の例では31〜34)及びレジスト膜の光学定数及び膜厚の測定値を反映させることにより、フォーカス変動量を更に正確に見積もることが可能となる。しかも、被加工膜を構成する全ての層及びレジスト膜を形成した状態で一挙にこれら全体の膜厚及び光学定数を測定するため、変形例1よりも迅速且つ簡便にフォーカス変動量を算出することができる。
【0047】
[フォーカス変動補正方法]
本実施形態では、上述したようにフォーカス変動量を知見した後、この情報を用いてフォーカス変動を補正する。
【0048】
図9は本実施形態のフォーカス変動補正方法をステップ順に示すフロー図である。
この補正方法では、先ず第1のロットについて標準的なフォーカス条件により露光し、パターン転写を行う(ステップS11)。続いて、この第1のロットについて上記のフォーカス変動量の算出、例えば図3のステップS1〜S6によりフォーカス変動量を算出する(ステップS12)。続いて、算出されたフォーカス変動量に基づき適正フォーカス量を算出し(ステップS13)、この適正フォーカス量を続く第2のロットにフィードバックする(ステップS14)。
【0049】
そして、第2のロットについて当該適正フォーカス量により、ステップS11〜S13を実行し、その結果を続く第3のロットに対してフィードバックする(ステップS14)。このように、ステップS11〜S14を次ロットに対して実行してゆく。
【0050】
(実験例)
ここで、本実施形態のフォーカス変動補正方法を適用した具体的な実験例について説明する。
図10は、複数のシリコンウェーハからなるロットごとに露光条件を設定して精度良くパターンを形成するための方法を示す表である。ここでは先ず、ロットAを標準フォーカス条件で露光処理した。そして図3のステップS1〜S6により、各テストレジストパターンの幅寸法及び形状の計測を行ってフォーカス変動量を算出したところ、0.04μmのフォーカス変動が検出された。
【0051】
続いて、ロットBを露光処理した。このとき、直前に露光処理したロットAのフォーカス変動条件を反映させて、標準条件に−0.04μmのフォーカスオフセットをかけて露光処理した。そして図3のステップS1〜S6により、各テストレジストパターンの幅寸法及び形状の計測を行ってフォーカス変動量を算出したところ、0.01μmのフォーカス変動が検出された。
【0052】
同様に、ロットCを処理した。このときフォーカス条件として、ロットBのフォーカス変動結果から標準条件に−0.03μmのフォーカスオフセットをかけて露光処理したところ、フォーカス変動は発生しなかった。
【0053】
ロットCと同条件により、続くロットDのロット処理を行ってフォーカス変動を計測したところ、−0.01μmのフォーカス変動が検出された。更に次のロットEについては、標準条件に0.02μmのフォーカスオフセットをかけて処理した。
このように次回のロットに以前のフォーカス変動結果を反映することにより、極めて精度の高いフォーカスコントロールを行うことが可能となることが判る。
【0054】
[フォーカス変動量の計測を含む半導体装置の製造方法]
本実施形態では、リソグラフィー工程において、上述したようにフォーカス変動量を知見し、これを用いて所期のパターン形成を高精度に実行する。
【0055】
図11は、半導体装置の製造方法において、本実施形態のフォーカス変動補正を適用したリソグラフィー工程を示すフロー図である。
先ず、前工程(フォトマスク作製工程、ウェーハ作製工程など)であるステップS21より受け入れたロットを露光処理等して、各テストレジストパターンと共に各種レジストパターンを形成する(ステップS22)。
【0056】
続いて、上記のフォーカス変動計測、例えば図3のステップS1〜S6により、フォーカス変動量を算出する。
その結果、フォーカス変動量が規格内であると判定された場合には次工程(ダイシングを含む組み立て工程等)へ進み(ステップS23)、規格外であると判定された場合にはレジストを剥離して再度露光処理を実行する(ステップS24)。この再処理時には、規格外となったフォーカス変動量をフィードバックして露光処理することにより、精度の高いパターン形成を行うことができる。その結果に問題がなければ次工程へ進むことができる。このような手順を踏むことにより、製品の歩留まりに大きな向上が見込まれる。
【0057】
−本発明を適用した他の実施形態−
上述した実施形態によるフォーカス変動計測装置を構成する各手段(形状値測定手段及び計測手段を除く。)、並びにフォーカス変動計測方法やフォーカス変動補正方法、半導体装置の製造方法の各ステップ(図3のステップS1〜S6、図9のステップS11〜S14、図11のステップS21〜24等)は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0058】
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の有線回線や無線回線等)を用いることができる。
【0059】
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明に含まれる。
【0060】
例えば、図12は、パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。この図12において、1200はコンピュータPCである。PC1200は、CPU1201を備え、ROM1202又はハードディスク(HD)1211に記憶された、或いはフレキシブルディスクドライブ(FD)1212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行し、システムバス1204に接続される各デバイスを総括的に制御する。
【0061】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0062】
(付記1)パターン転写された被転写体の焦点計測方法であって、
前記被転写体上に、パターン密度の異なる少なくとも2種のテストレジストパターンを転写形成しておき、
前記各テストレジストパターンを用いて当該被転写体のフォーカス変動量を算出することを特徴とする焦点計測方法。
【0063】
(付記2)前記各テストパターンは、高パターン密度の第1のテストレジストパターンと、これに比べて低パターン密度の第2のテストレジストパターンとを含み、
前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定し、前記第1の形状値から適正露光量を算出した後、前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定し、前記第2の形状値及び前記適正露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出することを特徴とする付記1に記載の焦点計測方法。
【0064】
(付記3)前記第1のテストレジストパターンはピボタル特性を示すものであり、前記第2のテストレジストパターンはピボタル特性を示さないものであることを特徴とする付記2に記載の焦点計測方法。
【0065】
(付記4)前記形状値は、幅寸法、高さ及びテーパ角度のうちの少なくとも1つであることを特徴とする付記2又は3に記載の焦点計測方法。
【0066】
(付記5)前記適正露光量を算出するに際して、前記第1の形状値を測定した後に、前記第1の形状値と前記適正露光量との関係を示す第1のデータベースを用いて前記適正露光量を決定することを特徴とする付記2〜4のいずれか1項に記載の焦点計測方法。
【0067】
(付記6)前記フォーカス変動量を算出するに際して、前記第2の形状値を測定した後に、前記適正露光量及び前記第2の形状値と前記フォーカス変動量との関係を示す第2のデータベースを用いて前記フォーカス変動量を決定することを特徴とする付記2〜5のいずれか1項に記載の焦点計測方法。
【0068】
(付記7)前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記各テストレジストパターンを転写形成するに際して、
前記各被加工膜及び前記レジスト膜のうち少なくとも1つについて、その光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の焦点計測方法。
【0069】
(付記8)前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測することを特徴とする付記7に記載の焦点計測方法。
【0070】
(付記9)算出された前記フォーカス変動量に基づき得られた適正フォーカス量を、次の前記各被転写体又は複数の前記被転写体からなるロットにフィードバックし、当該適正フォーカス量によりパターン転写を行うことを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の焦点計測方法。
【0071】
(付記10)パターン転写された被転写体の焦点計測装置であって、
前記被転写体上に転写形成されたパターン密度の異なる少なくとも2種の第1及び第2のテストレジストパターンを用い、
高パターン密度の前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定する寸法測定手段と、
測定された前記第1の形状値から露光変動量を算出する露光変動量算出手段と、
前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定する形状測定手段と、
測定された前記第2の形状値及び前記露光変動量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段と
を含むことを特徴とする焦点計測装置。
【0072】
(付記11)前記第1のテストレジストパターンはピボタル特性を示すものであり、前記第2のテストレジストパターンはピボタル特性を示さないものであることを特徴とする付記10に記載の焦点計測装置。
【0073】
(付記12)前記形状値は、幅寸法、高さ及びテーパ角度のうちの少なくとも1つであることを特徴とする付記10又は11に記載の焦点計測装置。
【0074】
(付記13)前記露光変動量算出手段は、測定された前記第1の形状値と適正露光量との関係を示す第1のデータベースを用いて前記適正露光量を決定することを特徴とする付記10〜12のいずれか1項に記載の焦点計測装置。
【0075】
(付記14)前記フォーカス変動量算出手段は、測定された前記適正露光量及び前記第2の形状値と前記フォーカス変動量との関係を示す第2のデータベースを用いて前記フォーカス変動量を決定することを特徴とする付記10〜13のいずれか1項に記載の焦点計測装置。
【0076】
(付記15)前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記各テストレジストパターンを転写形成するに際して、
光学定数及び膜厚を計測する計測手段を更に含み、
前記計測手段により、前記各被加工膜及び前記レジスト膜のうち少なくとも1つについて、その前記光学定数及び前記膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする付記10〜14のいずれか1項に記載の焦点計測装置。
【0077】
(付記16)前記計測手段は、前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測することを特徴とする付記15に記載の焦点計測装置。
【0078】
(付記17)半導体基板上に被加工膜を形成する第1の工程と、
前記被加工膜上にレジスト膜を形成する第2の工程と、
前記レジスト膜にパターン転写して、レジストパターンと共にパターン密度の異なる少なくとも2種のテストレジストパターンを形成する第3の工程と、
前記各テストレジストパターンを用いて当該被転写体のフォーカス変動量を算出する第4の工程と、
算出された前記フォーカス変動量が規格内であるか否かを判定する第5の工程とを
含み、
前記フォーカス変動量が規格内であると判定された場合には次工程へ進み、規格外であると判定された場合には、前記レジストパターン及び前記テストレジストパターンを除去し、前記第2の工程〜前記第5の工程を再度実行することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0079】
(付記18)前記各テストパターンは、高パターン密度の第1のテストレジストパターンと、これに比べて低パターン密度の第2のテストレジストパターンとを含み、
前記第4の工程において、前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定し、前記第1の形状値から適正露光量を算出した後、前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定し、前記第2の形状値及び前記適正露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出することを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
【0080】
(付記19)前記第1のテストレジストパターンはピボタル特性を示すものであり、前記第2のテストレジストパターンはピボタル特性を示さないものであることを特徴とする付記18に記載の半導体装置の製造方法。
【0081】
(付記20)前記形状値は、幅寸法、高さ及びテーパ角度のうちの少なくとも1つであることを特徴とする付記18又は19に記載の半導体装置の製造方法。
【0082】
(付記21)前記第4の工程において、前記適正露光量を算出するに際して、前記第1の形状値を測定した後に、前記第1の形状値と前記適正露光量との関係を示す第1のデータベースを用いて前記適正露光量を決定することを特徴とする付記18〜20のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0083】
(付記22)前記第4の工程において、前記フォーカス変動量を算出するに際して、前記第2の形状値を測定した後に、前記適正露光量及び前記第2の形状値と前記フォーカス変動量との関係を示す第2のデータベースを用いて前記フォーカス変動量を決定することを特徴とする付記18〜21のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0084】
(付記23)前記第3の工程において、前記各被加工膜及び前記レジスト膜のうち少なくとも1つについて、その光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする付記17〜22のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0085】
(付記24)前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測することを特徴とする付記23に記載の半導体装置の製造方法。
【0086】
(付記25)前記第4の工程において算出された前記フォーカス変動量に基づき得られた適正フォーカス量を、次の前記各被転写体又は複数の前記被転写体からなるロットにフィードバックし、当該適正フォーカス量によりパターン転写を行うことを特徴とする付記17〜24のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態のフォーカス変動の計測対象となるレジストパターンが形成されたシリコンウェーハを示す概略平面図である。
【図2】本実施形態のフォーカス変動計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態のフォーカス変動計測方法をステップ順に示すフロー図である。
【図4】本実施形態のフォーカス変動計測方法及び装置における実験例1を示す模式図である。
【図5】本実施形態のフォーカス変動計測方法及び装置における実験例2を示す模式図である。
【図6】本実施形態の変形例1によるフォーカス変動計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】本実施形態の変形例1において、ウェーハ上にゲートを形成する際に必要となる成膜プロセス及びウェーハの状態を簡略的に示す断面図である。
【図8】本実施形態の変形例2において、ウェーハ上にゲートを形成する際に必要となる成膜プロセス及びウェーハの状態を簡略的に示す断面図である。
【図9】本実施形態のフォーカス変動補正方法をステップ順に示すフロー図である。
【図10】本実施形態の実験例において、複数のシリコンウェーハからなるロットごとに露光条件を設定して精度良くパターンを形成するための方法を示す模式図である。
【図11】半導体装置の製造方法において、本実施形態のフォーカス変動補正を適用したリソグラフィー工程を示すフロー図である。
【図12】パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0088】
1 第1のテストレジストパターン
2 第2のテストレジストパターン
3 レジストパターンの形成領域
4 スクライブ領域
10 シリコンウェーハ
11,13 形状値測定手段
12 適正露光量算出手段
14 フォーカス変動量算出手段
21 計測手段
31,33 シリコン酸化膜
32 多結晶シリコン膜
34 反射防止膜
35 レジスト膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置や液晶などの表示デバイスを製造するためのリソグラフィー工程において、パターン露光時のフォーカス変動量を計測する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時では、半導体素子の高集積化に伴い、リソグラフィーで形成するパターンの微細化が進行している。また、パターンが微細になるほど、必要とされる寸法均一性も小さくなる。寸法均一性を悪化させる大きな原因の一つに、露光装置のフォーカスエラー(フォーカス変動)が挙げられる。フォーカス変動が発生すると、形成されるパターンに寸法変動が生じ、特に焦点深度の小さい孤立パターンなどの場合に顕著であり、甚だしい幅寸法の縮小を招く。例えば、90nm世代の半導体素子を製造するためには、±50nm程度のフォーカス管理が必須であると言われている。
【0003】
従来の露光装置におけるフォーカスの管理の一例は、以下のように実行されている。先ず日常点検などでフォーカスを各値に振ったサンプルウェーハを作製し、孤立パターンなどの幅寸法をCD−SEMなどを用いて測定した後、フォーカス−CD曲線を描いて最適フォーカス値を決定する。そして、その結果を露光装置側にオフセット値として記憶させることによりフォーカスを管理する。
【0004】
また、いわゆるインラインフォーカスモニター技術の他の具体例として、以下のものが提案されている。特許文献1では、レジストパターンのエッジの傾斜角度とフォーカス位置の関係を求め、ウェーハ上に形成されたレジストパターンのテーパ角度を算出し、フォーカス変動を測定するという技術が提案されている。また特許文献2では、専用マークを用いたレジストパターンの長手方向の長さ測定とレジストの厚みの変化量とから、フォーカス値を測定するという技術が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−154647号公報
【特許文献2】特開2000−133569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来手法によるフォーカス管理では、パターンの寸法測定に長時間を要するため、1日よりも短い時間単位による管理を行うことは困難であり、ましてや数時間単位もしくはそれよりも小さな時間内でのフォーカス変動をモニターすることは不可能である。また、通常の製品処理時にはウェーハ内やロット内でフォーカスを変化させた処理を行わないため、製品ウェーハを用いたフォーカス管理を行うことができないと考えられている。
【0007】
更に、現状で提案されているインラインフォーカスモニター技術では、検出できるフォーカス変動が必要とされる精度を満たすことができず、CD−SEMを用いた測定では測定再現性や測定精度が向上しないという問題が挙げられる。結果として、高精度なフォーカスモニターを行うことができない。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、簡便に高精度でフォーカス変動量を測定することを目的とし、最終的には、測定されたフォーカス変動量の情報を次ロットへのフィードバック、次工程へのフィードフォワードへ反映させ、半導体装置を安定して製造できる焦点計測方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、パターン転写された被転写体の焦点計測方法であって、前記被転写体上に、第1のテストレジストパターンと、前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の第2のテストレジストパターンとを転写形成し、前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定し、前記第1の形状値から露光量を算出し、前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定し、前記第2の形状値及び前記露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出し、前記第2の形状値は、前記第2のテストレジストパターンのテーパ角度を含み、前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記第1及び第2のテストレジストパターンを転写形成するに際して、前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする焦点計測方法が提供される。
【0010】
本発明の他の観点によれば、パターン転写された被転写体の焦点計測装置であって、前記被転写体上に転写形成された第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定する寸法測定手段と、測定された前記第1の形状値から露光量を算出する露光量算出手段と、前記被転写体上に転写形成された、前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定する形状測定手段と、測定された前記第2の形状値及び前記露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段とを含み、前記第2の形状値は、前記第2のテストレジストパターンのテーパ角度を含み、前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記第1及び第2のテストレジストパターンを転写形成するに際して、光学定数及び膜厚を計測する計測手段を更に含み、前記計測手段により、前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする焦点計測装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便に精度良くフォーカス変動量を計測することが可能となる。また、そのフォーカス変動の結果を次ロットや次工程に反映させることにより、精度良く微細なパターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
−本発明の基本骨子−
露光装置のフォーカス変動の測定結果を次ロットや次工程に反映させ、効率良くフォーカス補正を行うには、製品となるウェーハを用いたインラインフォーカスモニター技術が好適である。しかしながら、フォーカス変動量はレジストパターンの形状値(幅寸法、高さ及びテーパ角度など)から測定されるところ、この形状値の変化はフォーカス量及び露光量の双方に依存する。
【0013】
本発明者は、製品となるウェーハのリソグラフィー時に、電極や配線等を形成するための通常パターンと共に、パターン密度の異なる少なくとも2種類のテストレジストパターンを形成し、これらを用いることによりフォーカス変動量の短時間で正確な測定を実現した。即ち本発明では、単一の露光条件において、先ず第1のテストレジストパターンを用いて形状値の変化が露光変動(露光エラー)のみに依存する第1の状態を作出し、この状態で形状値の変化量を測定し、当該測定結果から適正露光量を決定する。続いて、第2のテストレジストパターンを用いて形状値の変化が露光量及びフォーカス変動量の双方に依存する第2の状態を作出し、この状態で形状値の変化量を測定し、当該測定結果と既に測定された適正露光量とからフォーカス変動量を決定する。第2の状態では、第1の状態で決定された露光量を利用して形状値の変化量の測定結果から露光量の影響を排除すれば、ほぼフォーカス変動量のみを正確に知見したものとみなすことができる。
【0014】
また、実際のリソグラフィー工程においては、被加工膜を構成する各層とレジスト膜とでは光学定数及び膜厚が異なり、この相違がレジストパターンの形状値に影響を及ぼす。そこで、被加工膜及びレジスト膜を積層形成してゆく際に、形成する被加工膜に応じて各膜(各層)の光学定数及び膜厚を測定しておき、或いは被加工膜及びレジスト膜を形成した後に積層膜全体(又は一部)の光学定数及び膜厚を測定し、当該測定値を形状値の測定に用い、フォーカス変動量を決定するようにすることが好適である。
【0015】
−本発明の具体的な実施形態−
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、本発明のフォーカス変動計測方法及び装置、並びに当該方法及び装置を用いたフォーカス変動補正方法、そして半導体装置の製造方法について述べる。
【0016】
[フォーカス変動計測方法及び装置]
図1は本実施形態のフォーカス変動の計測対象となるレジストパターンが形成されたシリコンウェーハを示す概略平面図、図2は本実施形態のフォーカス変動計測装置の概略構成を示すブロック図、図3は本実施形態のフォーカス変動計測方法をステップ順に示すフロー図である。
【0017】
本実施形態では、図1(a)に示すように、シリコンウェーハ10において、リソグラフィー工程における各種レジストパターンの形成(レジストパターンの形成領域3)とともに、レジストパターンの非形成領域、例えばスクライブ領域4に複数(ここでは2種類)のテストレジストパターン1,2を形成する。
【0018】
第1のテストレジストパターン1は、図1(b)に示すように、例えば高パターン密度のいわゆるピボタル特性を示すパターンであり、ここでは寸法比が1:1のラインアンドスペース(L&S)パターンとされている。第2のテストレジストパターン2は、 図1(c)に示すように、第1のテストレジストパターン1に比べて低パターン密度、ここでは孤立パターンとみなせる程度の密度のレジストパターン(以下、便宜上単に孤立パターンと記す)とされている。
【0019】
フォーカス変動計測装置は、 図2に示すように、第1のテストレジストパターン1の形状値を測定する形状値測定手段11と、測定された形状値から適正露光量を算出する適正露光量算出手段12と、第2のテストレジストパターン2の形状値を測定する形状値測定手段13と、測定された形状値及び適正露光量から当該シリコンウェーハ10のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段14とを有して構成されている。ここで述べている形状値とは、レジストパターンの形状に起因する値であり、具体的にはレジストパターンの横断面形状を複数の矩形で近似したときの高さやテーパ角度、幅寸法などの情報である。
【0020】
形状値測定手段11,13は、高精度の測定を可能とする電子顕微鏡や原子間力顕微鏡、光学式幅寸法計測装置などの各種計測装置であり、測定対象とする形状値が両者で同一の場合は勿論であるが、異なる場合(例えば幅寸法と高さ又はテーパ角度との場合)でも両者を一の装置として構成しても良い。適正露光量算出手段12は、形状値測定手段11により測定された形状値を用い、形状値と露光量との関係を示す第1のデータベースを使用して適正露光量を決定する。形状値測定手段13は、第2のテストレジストパターン2の形状を測定する。フォーカス変動量算出手段14は、適正露光量算出手段12で決定した適正露光量を用い、露光量及び形状値とフォーカス変動量との関係を示す第2のデータベースを用いてフォーカス変動量を決定する。
【0021】
このフォーカス変動計測装置を用いてフォーカス変動を計測するには、 図3に示すように、先ずピボタル特性を示す第1のテストレジストパターンの形状値を計測する(ステップS1)。第1のテストレジストパターンはフォーカス変動に対する形状値の変化量が極めて小さいため、その測定値から露光量の変動を検出することが可能である。そして、形状値の測定結果を用いて第1のデータベースにアクセスし(ステップS2)、露光量を算出する(ステップS3)。第1のデータベースは、事前に蓄積しておいたピボタル特性を示すレジストパターンの形状値と露光量との関係を示す情報を記したものである。
【0022】
続いて、孤立パターンである第2のテストレジストパターンの形状値を測定する(ステップS4)。第2のテストレジストパターンの形状値は、フォーカス変動及び露光量変動の双方により変化する。測定結果から第2のデータベースにアクセスし(ステップS5)、第1のテストレジストパターンから算出された適正露光量を用いてフォーカス変動量を決定する(ステップS6)。第2のデータベースは、事前に蓄積しておいた孤立パターンの形状値及び露光量、フォーカス変動量の関係を記したものである。このように2種類のレジストパターンにおける形状値を測定することにより、精度良くフォーカス変動量を決定することが可能となる。
【0023】
ここで、本実施形態のフォーカス変動計測方法及び装置を適用した具体的な実験例について説明する。
(実験例1)
この実験例1では、パターン密度の異なる2種類のテストレジストパターンを実際に用い、フォーカス変動が正確に得られる技術的過程について説明する。
【0024】
図4(a)は、ピボタル特性を示すパターン、ここでは幅寸法値が110nmであり寸法比が1:1のL&Sパターン(第1のテストレジストパターン)を用いた場合の、フォーカス変動値と幅寸法値との関係であるフォーカス−CD(Critical Dimension)特性を示す特性図である。ここで、横軸がフォーカス変動値、縦軸が幅寸法値である。また、図中の3本の線分はそれぞれ露光量を210J、220J、230Jと変化させたときのフォーカス−CD特性である。
【0025】
図4(a)によれば、ピボタル特性を示す第1のテストレジストパターンの場合、幅寸法値の変動は、露光量の変化には依存する一方でフォーカス値の変化には殆ど依存せず、フォーカス値が変化しても幅寸法値はほぼ一定値を示すことが判る。即ちこの事実は、第1のテストレジストパターンを用いることにより幅寸法値からフォーカス変動の影響が排除されたものとみなすことができ、測定された幅寸法値から適正露光量のみを決定することができることを意味する。
【0026】
図4(b)は、孤立パターン、ここではピッチが1000nmピッチで幅寸法が110nmのパターン(第2のテストレジストパターン)を用いた場合の、フォーカス変動値とテーパ角度及び高さとの関係を示す特性図である。ここで、横軸がフォーカス変動値である。縦軸の第1軸(図中、左側の縦軸)は、いわゆるサイドウォールアングルを示す。これは、形成されたレジストパターンが単純な台形に近似されるとした場合の当該台形のテーパ角度である。縦軸の第2軸(図中、右側の縦軸)は、当該台形の高さを示す。
【0027】
図4(b)によれば、フォーカス値が正方向に変動(プラスデフォーカス)するに従ってテーパ角度が大きくなる。一方、プラスデフォーカスによりレジスト高さも大きくなるが、あるところまでフォーカスが振られると一定値を示すようになる。この事実は、各形状値(サイドウォールアングル、テーパ角度)がフォーカス変動に依存して変化するものであり、フォーカス変動に対してそれぞれ固有の依存状態を示すことを意味している。そして、これら形状値が露光量とフォーカス値の2つを主なパラメータとして変化することから、敢えてピボタル特性を示さない第2のテストレジストパターンを用い、既に決定された適正露光量を利用することにより、測定された形状値から露光量の影響を排除したものとみなすことが可能となり、フォーカス変動値のみを得ることができる。
【0028】
以上から、パターン密度の異なる2種類のテストレジストパターンを用いることによって、フォーカス変動値を精度良く見積もることが可能となることが判る。
【0029】
(実験例2)
この実験例2では、実際に2種類のデータベースを用いてフォーカス変動量を見積もる一例について説明する。
【0030】
図5(a)に第1のデータベース、 図5(b)に第2のデータベースの一例をそれぞれ示す。
第1のデータベースには、ピボタル特性を示すパターン、ここでは幅寸法が110nmであり寸法比が1:1のL&Sパターン(第1のテストレジストパターン)を用いた場合の、幅寸法値と露光量との関係が規律されている。露光量の変化に伴って幅寸法変動が生じていることが判る。このとき、テーパ角度の変化はほとんど無い。
第2のデータベースには、孤立パターン、ここではピッチが1000nmピッチで幅寸法が110nmのパターン(第2のテストレジストパターン)を用いた場合の、露光量及びテーパ角度とフォーカス変動量との関係が規律されている。
【0031】
ここで例えば、第1のテストレジストパターンの幅寸法の計測結果が118nmであったとすると、このときの適正露光量は第1のデータベースにより202Jであることが判る。また、第2のテストレジストパターンのテーパ角度が86.6°であったとすると、適正露光量が202Jであることから、このときのフォーカス変動量は第2のデータベースにより+0.04μmであることが判る。よって、当該ウェーハのレジストを露光したときの露光エラーとして、フォーカス変動量が+0.04μmであると決定される。
【0032】
[変形例1]
図6は変形例1のフォーカス変動計測装置の概略構成を示すブロック図である。
フォーカス変動計測装置は、第1のテストレジストパターン1の形状値を測定する形状値測定手段11と、測定された形状値から適正露光量を算出する適正露光量算出手段12と、第2のテストレジストパターン2の形状値を測定する形状値測定手段13と、光学式測定器であり、光学定数及び膜厚を計測する計測手段21と、測定された形状値及び適正露光量から当該シリコンウェーハ10のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段14とを備えて構成されている。
【0033】
ここでは、ウェーハ上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、レジスト膜を露光して例えばゲート電極のレジストパターンと共に第1及び第2のテストレジストパターン1,2を転写形成するに際して、計測手段21により、各被加工膜及びレジスト膜のうち少なくとも1つについて、その光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果をフォーカス変動量算出手段14によるフォーカス変動量の算出に用いる。
【0034】
図7は、ウェーハ上にゲートを形成する際に必要となる成膜プロセス及びウェーハの状態を簡略的に示す断面図である。ここでは、一の被加工膜上に形成したレジスト膜をパターニングすることにより、ゲートの形成領域にゲートをパターン形成するためのレジストパターンを、スクライブ領域に第1及び第2のテストレジストパターンを形成する。
【0035】
先ず、図7(a)に示すように、シリコンウェーハ10上に薄いゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜31を介して多結晶シリコン膜32を形成し、計測手段21を用いて多結晶シリコン膜32の光学定数及び膜厚の測定を行う。ここで、シリコン酸化膜31は多結晶シリコン膜32に比して極めて薄いため、その光学定数及び膜厚は無視し得る程度の値である。
【0036】
続いて、図7(b)に示すように、エッチングマスク用のシリコン酸化膜33を形成して、上記と同様にシリコン酸化膜33の光学定数及び膜厚を計測する。このとき、先に計測した多結晶シリコン膜32の光学定数及び膜厚の計測値を用いることにより精度良く計測することができる。
【0037】
続いて、図7(c)に示すように、反射防止膜34及びレジスト膜35を順次形成し、レジストパターンが存在せずレジスト膜35が所謂ベタ状態となっている領域を用いて、レジスト膜35及び反射防止膜34の膜厚及び光学定数を計測する。このとき、先に測定した多結晶シリコン膜32及びシリコン酸化膜33の光学定数及び膜厚を用いることにより、短時間で簡便に精度良く測定することが可能となる。
【0038】
続いて、図7(d)に示すように、リソグラフィーによりレジスト膜35を加工し、ゲートの形成領域にはゲート形状のレジストパターン(不図示)を、スクライブ領域に第1及び第2のテストレジストパターン1,2(図示の例では第1のテストレジストパターン1)を形成する。
【0039】
そして、例えば図3のステップS1〜S5を経た後、ステップS6において、当該シリコンウェーハのフォーカス変動量を算出する。第1のテストレジストパターン1から算出された適正露光量、第2のテストレジストパターン2の形状値、及び上記した光学定数及び膜厚の各測定値を用いてフォーカス変動量を決定する。
【0040】
このように、変形例1によれば、通常光や偏光光を用いて多層の被加工膜上の各テストレジストパターンの形状値を測定する場合、被加工膜の膜厚や光学定数などのパラメータが測定値に大きく影響を及ぼすことから、フォーカス変動量の算出に被加工膜(上記の例では31〜34)及びレジスト膜の光学定数及び膜厚の各測定値を反映させることにより、フォーカス変動量を更に正確に見積もることが可能となる。なおこの場合、レジストパターンは各テストレジストパターンに近い場所に存するものほど、高い精度で形状値を測定することが可能となる。
【0041】
[変形例2]
変形例2では、変形例1と同様の装置構成により光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果をフォーカス変動量算出手段14によるフォーカス変動量の算出に用いるが、光学定数及び膜厚の計測方法が変形例1と異なる。
【0042】
図8は、ウェーハ上にゲートを形成する際に必要となる成膜プロセス及びウェーハの状態を簡略的に示す断面図である。ここでは、一の被加工膜上に形成したレジスト膜をパターニングすることにより、ゲートの形成領域にゲートをパターン形成するためのレジストパターンを、スクライブ領域に第1及び第2のテストレジストパターンを形成する。
【0043】
先ず、図8(a)に示すように、シリコンウェーハ10上に薄いゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜31を介して、多結晶シリコン膜32、エッチングマスク用のシリコン酸化膜33、反射防止膜34及びレジスト膜35を順次形成する。そして、被加工膜を構成する31〜34及びレジスト膜35の全体について、膜厚及び光学定数を計測する。
【0044】
続いて、図8(b)に示すように、リソグラフィーによりレジスト膜35を加工し、ゲートの形成領域にはゲート形状のレジストパターン(不図示)を、スクライブ領域に第1及び第2のテストレジストパターン1,2(図示の例では第1のテストレジストパターン1)を形成する。
【0045】
そして、例えば図3のステップS1〜S5を経た後、ステップS6において、当該シリコンウェーハのフォーカス変動量を算出する。第1のテストレジストパターン1から算出された適正露光量、第2のテストレジストパターン2の形状値、及び上記した光学定数及び膜厚の各測定値を用いてフォーカス変動量を決定する。
【0046】
このように、変形例2によれば、通常光や偏光光を用いて多層の被加工膜上の各テストレジストパターンの形状値を測定する場合、被加工膜の膜厚や光学定数などのパラメータが測定値に大きく影響を及ぼすことから、フォーカス変動量の算出に被加工膜(上記の例では31〜34)及びレジスト膜の光学定数及び膜厚の測定値を反映させることにより、フォーカス変動量を更に正確に見積もることが可能となる。しかも、被加工膜を構成する全ての層及びレジスト膜を形成した状態で一挙にこれら全体の膜厚及び光学定数を測定するため、変形例1よりも迅速且つ簡便にフォーカス変動量を算出することができる。
【0047】
[フォーカス変動補正方法]
本実施形態では、上述したようにフォーカス変動量を知見した後、この情報を用いてフォーカス変動を補正する。
【0048】
図9は本実施形態のフォーカス変動補正方法をステップ順に示すフロー図である。
この補正方法では、先ず第1のロットについて標準的なフォーカス条件により露光し、パターン転写を行う(ステップS11)。続いて、この第1のロットについて上記のフォーカス変動量の算出、例えば図3のステップS1〜S6によりフォーカス変動量を算出する(ステップS12)。続いて、算出されたフォーカス変動量に基づき適正フォーカス量を算出し(ステップS13)、この適正フォーカス量を続く第2のロットにフィードバックする(ステップS14)。
【0049】
そして、第2のロットについて当該適正フォーカス量により、ステップS11〜S13を実行し、その結果を続く第3のロットに対してフィードバックする(ステップS14)。このように、ステップS11〜S14を次ロットに対して実行してゆく。
【0050】
(実験例)
ここで、本実施形態のフォーカス変動補正方法を適用した具体的な実験例について説明する。
図10は、複数のシリコンウェーハからなるロットごとに露光条件を設定して精度良くパターンを形成するための方法を示す表である。ここでは先ず、ロットAを標準フォーカス条件で露光処理した。そして図3のステップS1〜S6により、各テストレジストパターンの幅寸法及び形状の計測を行ってフォーカス変動量を算出したところ、0.04μmのフォーカス変動が検出された。
【0051】
続いて、ロットBを露光処理した。このとき、直前に露光処理したロットAのフォーカス変動条件を反映させて、標準条件に−0.04μmのフォーカスオフセットをかけて露光処理した。そして図3のステップS1〜S6により、各テストレジストパターンの幅寸法及び形状の計測を行ってフォーカス変動量を算出したところ、0.01μmのフォーカス変動が検出された。
【0052】
同様に、ロットCを処理した。このときフォーカス条件として、ロットBのフォーカス変動結果から標準条件に−0.03μmのフォーカスオフセットをかけて露光処理したところ、フォーカス変動は発生しなかった。
【0053】
ロットCと同条件により、続くロットDのロット処理を行ってフォーカス変動を計測したところ、−0.01μmのフォーカス変動が検出された。更に次のロットEについては、標準条件に0.02μmのフォーカスオフセットをかけて処理した。
このように次回のロットに以前のフォーカス変動結果を反映することにより、極めて精度の高いフォーカスコントロールを行うことが可能となることが判る。
【0054】
[フォーカス変動量の計測を含む半導体装置の製造方法]
本実施形態では、リソグラフィー工程において、上述したようにフォーカス変動量を知見し、これを用いて所期のパターン形成を高精度に実行する。
【0055】
図11は、半導体装置の製造方法において、本実施形態のフォーカス変動補正を適用したリソグラフィー工程を示すフロー図である。
先ず、前工程(フォトマスク作製工程、ウェーハ作製工程など)であるステップS21より受け入れたロットを露光処理等して、各テストレジストパターンと共に各種レジストパターンを形成する(ステップS22)。
【0056】
続いて、上記のフォーカス変動計測、例えば図3のステップS1〜S6により、フォーカス変動量を算出する。
その結果、フォーカス変動量が規格内であると判定された場合には次工程(ダイシングを含む組み立て工程等)へ進み(ステップS23)、規格外であると判定された場合にはレジストを剥離して再度露光処理を実行する(ステップS24)。この再処理時には、規格外となったフォーカス変動量をフィードバックして露光処理することにより、精度の高いパターン形成を行うことができる。その結果に問題がなければ次工程へ進むことができる。このような手順を踏むことにより、製品の歩留まりに大きな向上が見込まれる。
【0057】
−本発明を適用した他の実施形態−
上述した実施形態によるフォーカス変動計測装置を構成する各手段(形状値測定手段及び計測手段を除く。)、並びにフォーカス変動計測方法やフォーカス変動補正方法、半導体装置の製造方法の各ステップ(図3のステップS1〜S6、図9のステップS11〜S14、図11のステップS21〜24等)は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0058】
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の有線回線や無線回線等)を用いることができる。
【0059】
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明に含まれる。
【0060】
例えば、図12は、パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。この図12において、1200はコンピュータPCである。PC1200は、CPU1201を備え、ROM1202又はハードディスク(HD)1211に記憶された、或いはフレキシブルディスクドライブ(FD)1212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行し、システムバス1204に接続される各デバイスを総括的に制御する。
【0061】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0062】
(付記1)パターン転写された被転写体の焦点計測方法であって、
前記被転写体上に、パターン密度の異なる少なくとも2種のテストレジストパターンを転写形成しておき、
前記各テストレジストパターンを用いて当該被転写体のフォーカス変動量を算出することを特徴とする焦点計測方法。
【0063】
(付記2)前記各テストパターンは、高パターン密度の第1のテストレジストパターンと、これに比べて低パターン密度の第2のテストレジストパターンとを含み、
前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定し、前記第1の形状値から適正露光量を算出した後、前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定し、前記第2の形状値及び前記適正露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出することを特徴とする付記1に記載の焦点計測方法。
【0064】
(付記3)前記第1のテストレジストパターンはピボタル特性を示すものであり、前記第2のテストレジストパターンはピボタル特性を示さないものであることを特徴とする付記2に記載の焦点計測方法。
【0065】
(付記4)前記形状値は、幅寸法、高さ及びテーパ角度のうちの少なくとも1つであることを特徴とする付記2又は3に記載の焦点計測方法。
【0066】
(付記5)前記適正露光量を算出するに際して、前記第1の形状値を測定した後に、前記第1の形状値と前記適正露光量との関係を示す第1のデータベースを用いて前記適正露光量を決定することを特徴とする付記2〜4のいずれか1項に記載の焦点計測方法。
【0067】
(付記6)前記フォーカス変動量を算出するに際して、前記第2の形状値を測定した後に、前記適正露光量及び前記第2の形状値と前記フォーカス変動量との関係を示す第2のデータベースを用いて前記フォーカス変動量を決定することを特徴とする付記2〜5のいずれか1項に記載の焦点計測方法。
【0068】
(付記7)前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記各テストレジストパターンを転写形成するに際して、
前記各被加工膜及び前記レジスト膜のうち少なくとも1つについて、その光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の焦点計測方法。
【0069】
(付記8)前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測することを特徴とする付記7に記載の焦点計測方法。
【0070】
(付記9)算出された前記フォーカス変動量に基づき得られた適正フォーカス量を、次の前記各被転写体又は複数の前記被転写体からなるロットにフィードバックし、当該適正フォーカス量によりパターン転写を行うことを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の焦点計測方法。
【0071】
(付記10)パターン転写された被転写体の焦点計測装置であって、
前記被転写体上に転写形成されたパターン密度の異なる少なくとも2種の第1及び第2のテストレジストパターンを用い、
高パターン密度の前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定する寸法測定手段と、
測定された前記第1の形状値から露光変動量を算出する露光変動量算出手段と、
前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定する形状測定手段と、
測定された前記第2の形状値及び前記露光変動量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段と
を含むことを特徴とする焦点計測装置。
【0072】
(付記11)前記第1のテストレジストパターンはピボタル特性を示すものであり、前記第2のテストレジストパターンはピボタル特性を示さないものであることを特徴とする付記10に記載の焦点計測装置。
【0073】
(付記12)前記形状値は、幅寸法、高さ及びテーパ角度のうちの少なくとも1つであることを特徴とする付記10又は11に記載の焦点計測装置。
【0074】
(付記13)前記露光変動量算出手段は、測定された前記第1の形状値と適正露光量との関係を示す第1のデータベースを用いて前記適正露光量を決定することを特徴とする付記10〜12のいずれか1項に記載の焦点計測装置。
【0075】
(付記14)前記フォーカス変動量算出手段は、測定された前記適正露光量及び前記第2の形状値と前記フォーカス変動量との関係を示す第2のデータベースを用いて前記フォーカス変動量を決定することを特徴とする付記10〜13のいずれか1項に記載の焦点計測装置。
【0076】
(付記15)前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記各テストレジストパターンを転写形成するに際して、
光学定数及び膜厚を計測する計測手段を更に含み、
前記計測手段により、前記各被加工膜及び前記レジスト膜のうち少なくとも1つについて、その前記光学定数及び前記膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする付記10〜14のいずれか1項に記載の焦点計測装置。
【0077】
(付記16)前記計測手段は、前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測することを特徴とする付記15に記載の焦点計測装置。
【0078】
(付記17)半導体基板上に被加工膜を形成する第1の工程と、
前記被加工膜上にレジスト膜を形成する第2の工程と、
前記レジスト膜にパターン転写して、レジストパターンと共にパターン密度の異なる少なくとも2種のテストレジストパターンを形成する第3の工程と、
前記各テストレジストパターンを用いて当該被転写体のフォーカス変動量を算出する第4の工程と、
算出された前記フォーカス変動量が規格内であるか否かを判定する第5の工程とを
含み、
前記フォーカス変動量が規格内であると判定された場合には次工程へ進み、規格外であると判定された場合には、前記レジストパターン及び前記テストレジストパターンを除去し、前記第2の工程〜前記第5の工程を再度実行することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0079】
(付記18)前記各テストパターンは、高パターン密度の第1のテストレジストパターンと、これに比べて低パターン密度の第2のテストレジストパターンとを含み、
前記第4の工程において、前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定し、前記第1の形状値から適正露光量を算出した後、前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定し、前記第2の形状値及び前記適正露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出することを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
【0080】
(付記19)前記第1のテストレジストパターンはピボタル特性を示すものであり、前記第2のテストレジストパターンはピボタル特性を示さないものであることを特徴とする付記18に記載の半導体装置の製造方法。
【0081】
(付記20)前記形状値は、幅寸法、高さ及びテーパ角度のうちの少なくとも1つであることを特徴とする付記18又は19に記載の半導体装置の製造方法。
【0082】
(付記21)前記第4の工程において、前記適正露光量を算出するに際して、前記第1の形状値を測定した後に、前記第1の形状値と前記適正露光量との関係を示す第1のデータベースを用いて前記適正露光量を決定することを特徴とする付記18〜20のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0083】
(付記22)前記第4の工程において、前記フォーカス変動量を算出するに際して、前記第2の形状値を測定した後に、前記適正露光量及び前記第2の形状値と前記フォーカス変動量との関係を示す第2のデータベースを用いて前記フォーカス変動量を決定することを特徴とする付記18〜21のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0084】
(付記23)前記第3の工程において、前記各被加工膜及び前記レジスト膜のうち少なくとも1つについて、その光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする付記17〜22のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0085】
(付記24)前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測することを特徴とする付記23に記載の半導体装置の製造方法。
【0086】
(付記25)前記第4の工程において算出された前記フォーカス変動量に基づき得られた適正フォーカス量を、次の前記各被転写体又は複数の前記被転写体からなるロットにフィードバックし、当該適正フォーカス量によりパターン転写を行うことを特徴とする付記17〜24のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態のフォーカス変動の計測対象となるレジストパターンが形成されたシリコンウェーハを示す概略平面図である。
【図2】本実施形態のフォーカス変動計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態のフォーカス変動計測方法をステップ順に示すフロー図である。
【図4】本実施形態のフォーカス変動計測方法及び装置における実験例1を示す模式図である。
【図5】本実施形態のフォーカス変動計測方法及び装置における実験例2を示す模式図である。
【図6】本実施形態の変形例1によるフォーカス変動計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】本実施形態の変形例1において、ウェーハ上にゲートを形成する際に必要となる成膜プロセス及びウェーハの状態を簡略的に示す断面図である。
【図8】本実施形態の変形例2において、ウェーハ上にゲートを形成する際に必要となる成膜プロセス及びウェーハの状態を簡略的に示す断面図である。
【図9】本実施形態のフォーカス変動補正方法をステップ順に示すフロー図である。
【図10】本実施形態の実験例において、複数のシリコンウェーハからなるロットごとに露光条件を設定して精度良くパターンを形成するための方法を示す模式図である。
【図11】半導体装置の製造方法において、本実施形態のフォーカス変動補正を適用したリソグラフィー工程を示すフロー図である。
【図12】パーソナルユーザ端末装置の内部構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0088】
1 第1のテストレジストパターン
2 第2のテストレジストパターン
3 レジストパターンの形成領域
4 スクライブ領域
10 シリコンウェーハ
11,13 形状値測定手段
12 適正露光量算出手段
14 フォーカス変動量算出手段
21 計測手段
31,33 シリコン酸化膜
32 多結晶シリコン膜
34 反射防止膜
35 レジスト膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン転写された被転写体の焦点計測方法であって、
前記被転写体上に、第1のテストレジストパターンと、前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の第2のテストレジストパターンとを転写形成し、
前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定し、
前記第1の形状値から露光量を算出し、
前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定し、
前記第2の形状値及び前記露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出し、
前記第2の形状値は、前記第2のテストレジストパターンのテーパ角度を含み、
前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記第1及び第2のテストレジストパターンを転写形成するに際して、
前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする焦点計測方法。
【請求項2】
前記第2の形状値は、更に前記第2のテストレジストパターンの線幅及び高さのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の焦点計測方法。
【請求項3】
パターン転写された被転写体の焦点計測装置であって、
前記被転写体上に転写形成された第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定する寸法測定手段と、
測定された前記第1の形状値から露光量を算出する露光量算出手段と、
前記被転写体上に転写形成された、前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定する形状測定手段と、
測定された前記第2の形状値及び前記露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段と
を含み、
前記第2の形状値は、前記第2のテストレジストパターンのテーパ角度を含み、
前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記第1及び第2のテストレジストパターンを転写形成するに際して、
光学定数及び膜厚を計測する計測手段を更に含み、
前記計測手段により、前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする焦点計測装置。
【請求項1】
パターン転写された被転写体の焦点計測方法であって、
前記被転写体上に、第1のテストレジストパターンと、前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の第2のテストレジストパターンとを転写形成し、
前記第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定し、
前記第1の形状値から露光量を算出し、
前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定し、
前記第2の形状値及び前記露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出し、
前記第2の形状値は、前記第2のテストレジストパターンのテーパ角度を含み、
前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記第1及び第2のテストレジストパターンを転写形成するに際して、
前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の光学定数及び膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする焦点計測方法。
【請求項2】
前記第2の形状値は、更に前記第2のテストレジストパターンの線幅及び高さのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の焦点計測方法。
【請求項3】
パターン転写された被転写体の焦点計測装置であって、
前記被転写体上に転写形成された第1のテストレジストパターンの第1の形状値を測定する寸法測定手段と、
測定された前記第1の形状値から露光量を算出する露光量算出手段と、
前記被転写体上に転写形成された、前記第1のテストレジストパターンに比べて低パターン密度の前記第2のテストレジストパターンの第2の形状値を測定する形状測定手段と、
測定された前記第2の形状値及び前記露光量から当該被転写体のフォーカス変動量を算出するフォーカス変動量算出手段と
を含み、
前記第2の形状値は、前記第2のテストレジストパターンのテーパ角度を含み、
前記被転写体上に少なくとも1層の被加工膜及びレジスト膜を積層形成した後、前記レジスト膜を露光してレジストパターンと共に前記第1及び第2のテストレジストパターンを転写形成するに際して、
光学定数及び膜厚を計測する計測手段を更に含み、
前記計測手段により、前記各被加工膜及び前記レジスト膜の全てが積層形成された状態で、積層された膜全体の前記光学定数及び前記膜厚を計測しておき、当該計測結果を前記フォーカス変動量の算出に用いることを特徴とする焦点計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−270849(P2008−270849A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209294(P2008−209294)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【分割の表示】特願2003−338142(P2003−338142)の分割
【原出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【分割の表示】特願2003−338142(P2003−338142)の分割
【原出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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