説明

焼却処理方式のみに因らないごみ処理方式

【課題】季節の違いや災害等の一時的要因によるごみの内容及び数量の変動に対応することが可能であるとともに、ごみ処理に伴うCO2や有害物質の排出量を抑制できる、焼却方式のみに因らないごみ処理方式を提供する。
【解決手段】ごみを、発酵分解が可能なごみ類と,発酵分解が不可能がごみ類に分別し、発酵分解可能なごみ類は裁断、調合等の処理を経た後に発酵分解及び堆肥化して堆肥資源あるいは炭化用燃料として利用し、発酵分解不可能なごみ類は裁断、混合過程の後、炭化炉にて炭化し、炭化製品を土質改良材や魚礁等に利用し、一部は焼却炉にて焼却処理を行う、焼却方式のみに因らないごみ処理方式。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却処理方式に因らないごみ処理方式として、現在主流であり、単独若しくは並列型で行われている焼却処理方式から脱却、▲1▼発酵分解化処理方式、▲2▼炭化処理方式、▲3▼焼却処理方式の3方式を▲1▼→▲2▼→▲3▼の順序による直列的段階処理方式で、ごみ資源の循環利用化、並びに熱源化利用によって、焼却ごみ量の削減とCO2排出量やダイオキシン等有害物質の排出量を抑制し、削減する方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
焼却ごみはその質と量において日々一定ではありません。
焼却時に発生するCO2並びにダイオキシンを初めとする有害物質等の発生量とその質も、常に一定の数値を示さない。30年以上の稼働実績のあるストーカ炉においても、機能トラブルの解決が不十分な状況が今日でも存在する。
多様性を有する負の要因は、環境対策を大義名分として維持される焼却処理方式において、処理装置の高度技術化や高額な費用の必要性を助長し、焼却ごみ処理費用の肥大化と行政経費への圧迫を招いております。
【0003】
世界的にも地球温暖化阻止が人類最大のテーマと言われ、その一因と言われるCO2排出量削減の遂行が俎上に上がっております。我が国の年間焼却ごみ処理量は、19年度実績で3,870万トンであります。これは、CO2排出量として換算すると約3,000万トン/年であり、我が国年間排出量の約2,0%に当たり、仮に▲1▼→▲2▼→▲3▼の順序による直列的な段階処理方式でごみ処理を行えば約1,500万トン/年以上のCO2排出量削減が可能です。
【発明の開示】

【課題を解決しようとする課題】
【0004】
発酵分解化処理方式は、発酵分解原理による非焼却方式である。
生ごみ、紙類、布類などの焼却ごみは、その量、内容、質において日々常に一定ではなく、発酵分解精度を一定に保つ為の調合精度が課題となる。
【0005】
季節による処理量の増減が著しい草、木、藁等のごみや、災害ごみ極端な数量の変化を伴う発酵可能なごみの場合などの処理に関して、発酵分解精度を一定に保つ為の調合精度が課題となる。
【0006】
炭化処理の場合、ごみの量、内容、質並びに水分量で炭化精度が異なる。
日々常に一定で無い精度のごみを炭化処理する場合では、炭化精度を一定に保つ為の調合精度が課題となる。
【0007】
CO2やダイオキシンやNoxやSoxの排出量の削減には、その排出量を抑制する為の炭化炉内の燃焼環境を作り出すことが課題です。
【0008】
季節や災害や異常時のごみ量変化によって、発酵分解精度や炭化精度が一定で無い場合、発酵分解処理済材の保管量の調整が課題である。
5点が解決すべき課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発酵分解精度を一定に保つ為の調合管理には以下の手順により課題を解決する。
▲1▼発酵処理原料としての“生ごみ、紙類、草木、藁”など発酵分解可能なごみを裁断→粉砕→混合→攪拌等の経過を経て調合並びに脱水し、均一で発酵分解し易い素材へと下拵えする。
▲2▼下拵えによって均一化された調合素材は、発酵菌に因る分解作用での発酵分解過程で蒸気と発酵済材(素材)とに生成分解される。発酵分解完了後、フルイによる素材分別の過程で、発酵済材と非発酵材とに分別され、炭化用資源素材と炭化用熱源材として回収される。
▲3▼季節による処理量の増減が著しい草、木、藁等のごみや、災害ごみ極端な数量の変化を伴う発酵分解が可能なごみの場合などの処理に関して、発酵分解済資源を熟成保管し発酵用の種材として循環使用する事により数量調整が行える。
【0010】
炭化精度を一定に保つ為の調合管理には、以下の手順により課題を解決する。
▲1▼フルイ分別過程で分別された発酵済資源は、炭化用種材として紙類・植物系布類等と共に裁断→混練→成型し、均一でより密度の高い炭化用資源へと下拵えする。
▲2▼フルイ分別過程で分別された非発酵材は、裁断→調合→混練→成型にて炭化用熱源材として回収される。
【0011】
回収プラスチックやビニール類など炭化用熱源材は、炉内温度の高温化に必要な高熱量が期待できる様に、分別→裁断→調合→混練→成型→乾燥による均一燃料化を計り、熱源の均一化問題を解決する。
【0012】
炭化用熱源材はダイオキシン発生抑制策として、熱源の均一化による燃焼温度区域の温度管理を助長する。そして、燃焼温度区域300℃〜350℃の短時間でのパスの設定に適した、計画的な炉内温度の上昇と熱量調整が容易な熱源材として利用され、ダイオキシン発生環境の抑制対策となる。その上、ダイオキシン発生の要因と言われるCu+2含有物の分別排除によって、触媒機能を排除、ダイオキシン発生環境の抑制対策の要因ともなる。
【発明の効果】
【0013】
従来の技術としてのごみ処理方式は、その大部分が焼却処理によってなされている。
平成19年度環境省“全国一般廃棄物処理実態調査結果”によれば、焼却処理は全処理量の76%(3,870万トン)と発表されています。
仮に、▲1▼発酵・堆肥化処理方式で60%、▲2▼炭化処理方式で35%、▲3▼焼却処理方式で5.0%処理した場合、焼却ごみ量は約193万トン(5.0%)と大幅削減、そして、CO2排出量は焼却処理のみに比べその50%以上の削減が出来ます。
【0014】
焼却ごみ量の削減と細分別によるごみ質の均一化で、ダイオキシン発生環境の計画的抑制ができ、ダイオキシンの排出量は80%以上削減できます。
【0015】
ごみの燃料化と炭化製品化の技術で、燃焼後の残灰処理量を90%以上抑制でき、処理場寿命の延命と環境汚染防止の問題解決ができます。
【0016】
焼却処理に伴う、ダイオキシン処理、Nox・Sox処理施設の小型化、不要化が計れ、環境対策費の大幅削減ができます。
【0017】
従来の炭化製品は燃料化のみの利用を目的とした技術が大部分であります。
燃料としての利用は、所詮、燃焼によってCO2や有害物質を発生する事です。
当該炭化技術は炭素純度の高い製品化によって、水質改良、土壌改良などができ、資源循環型炭化技術とその応用製品によって、環境負荷ゼロの効果が期待できます。
【0018】
生ごみ等の堆肥化技術は肥料に、炭焼き技術は燃料にと個々に永い歴史と生活に基づき、安全性と実用性を兼ね備えた資源化技術であります。
歴史のある技術に、現在のセンサー技術とコンピュータ分析技術、そして制御技術の応用によって、肥料への単純活用のみならず、環境改良化を目指したごみ資源の炭化製品化を目指す当該システムは、76%を超える焼却処理量(平成19年度実績)の削減化を実現します。此によって、従来の高価な建設費や維持費を必要とする焼却処理方式から脱却でき、当該費用の大幅削減ができます。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態を添付図1並び図2に基づき説明する。
従来型施設の焼却処理方式を添付図−01にて説明する。
現在、焼却炉での処理方法が主流であり、76%を超える焼却処理量(平成19年度実績)を溶融炉、ストーカ炉、流動床炉によって焼却処理されております。
この中でも、ストーカ炉処理方式が主流ですが、最近では溶融炉方式に替る傾向にあります。しかし、どの方式も焼却方式には変わりなく、CO2排出量やダイオキシン発生への問題は回避できません。
3R(リサイクル、リユース・リデュース)の理念と環境負荷抑制並びに消費エネルギー抑制の見地から、分別のさらなる細分化の必要性が国家的テーマで施政されている今日、分別処理が不要の溶融炉処理方式は、3Rやカーボンニュートラルへの取り組みに反する方式です。当該発明は、上記の問題と矛盾を解決する為の提案です。
【0020】
「焼却処理方式のみに因らないごみ処理方式」を実施するための最良の形態として発酵分解化処理方式と炭化処理方式並びに焼却処理方式の3方式を、添付図−02に基づき説明いたします。
▲1▼分別化に始まり▲2▼発酵分解化▲3▼フルイ分別素材化▲4▼炭化用材下拵▲5▼炭化炉・炭化処理▲6▼焼却処理▲7▼炭化製品の▲1▼→▲6▼工程を、コンピュータ制御技術による生産管理技術で、資源の循環的活用が出来ることが最良の形態と言えます。
此によって、最終処分量の抑制による環境負荷の抑制や、無理無駄のない資源循環活用が実現出来、3Rやカーボンニュートラルの理念が遂行出来ると共に、「焼却処理方式のみに因らないごみ処理方式」ができるのであります。
【実施例】
【0021】
本発明は添付図−02の▲1▼→▲6▼順序による直列的な段階処理方式にて、以下の通り運用実施される。

み類に分別する。

境下、発酵装置内で約45日間発酵分解処理がなされ、発酵処理済資源材となる。

炭化用種材は、粉砕→調合→混練→成型の過程を経て乾燥、炭素純度のより高い生加工材として▲4▼炭化用材に下拵えされる。

加工される。
IV:▲5▼炭化炉にて炭化処理
炉内温度300℃まで徐々に炉内温度上昇させ、
炉内温度300℃〜350℃区域を急速温度上昇し、500℃迄温度並びに圧力を調整しながら炭化処理を行う。
V:▲6▼燃焼炉にて非発酵、非炭化性の可燃物を燃焼処理
上記の実施によって、堆肥や燃料への利用目的だけでなく、良質の炭化製品の製造が可能となります。例えば、水質改善目的の魚礁やブロックやフィルター板、土壌改善目的の堆肥添加材、土壌消臭材などへの利用が出来ると共に、その材料は自然に戻る循環型製品と言えます。
【産業上の利用可能性】
【0022】
▲1▼3R(リサイクル、リユース・リデュース)の理念や▲2▼消費エネルギー抑制や▲3▼地球温暖化阻止や▲4▼環境負荷抑制が政府の施策であり、人類最大のテーマであると言われる。その対策としてCO2の排出量削減が最優先テーマといわれ今日、従来のごみ焼却のみに頼る方式では、▲1▼〜▲4▼すべての重要テーマに反していると思います。我が国の年間焼却ごみ処理量は、19年度実績で3,870万トンであります。これは、CO2排出量として換算すると約3,000万トン/年であり、我が国年間排出量の約2,0%に当たります。「焼却処理方式のみに因らないごみ処理方式」への転換をせずに「焼却処理方式のみ」に拘ったごみ処理行政を続ける以上、CO2の排出量の増加を止めることは不可能であり、無駄な歳出も増加し続けます。
【0023】
「焼却処理方式のみに因らないごみ処理方式」への転換をした場合
▲1▼発酵分解化→▲2▼炭化→▲3▼焼却の順序による直列的な段階処理方式でごみ処理を行えば、約1,500万トン/年のCO2排出量削減が可能です。CO2排出量を取引額(1200円/ton:相場の変動に因る)に換算した場合、1,500万トン/年のCO2取引量費用は約180億円と試算されます。焼却ごみ量の減少によって、CO2排出量だけでなく、ダイオキシンや有害物質発生への問題も解決します。
従来方式に比較した場合、CO2で50%以上、ダイオキシンで80%以上、最終処理灰で90%以上が削減できます。
焼却ごみ量の減少によって、環境対策設備費が小規模となり、施設建設費や施設維持費用が減少し、ごみ行政経費の縮小化が図れます。
【0024】
当該システムは、過去の埋め立て処分ごみの再処分にも応用できます。低温分解済の土壌を発酵分解し、最終的に炭化品として資源化する事ができ、処分場の再生が可能となります。此によって、過去の環境負荷の低減や、廃棄物資源の再利用による3Rの実践が容易になると共に、都市鉱山的発想での産業にも繋がります。
【0025】
当該システムによるごみ処理は、堆肥や燃料への利用目的だけでなく、自然に戻る循環型炭化製品を生み出します。発酵済資源材は、良質の炭化製品の種材になり。成型した生加工の炭化製品は、水質改善目的の魚礁やブロックやフィルター板、そして土壌改善目的の堆肥添加材、土壌消臭材などへの利用が出来製品の産業が生まれます。その上、成型した生加工を種々の目的に適した炭化製品に焼成する炭化炉の開発と産業が発展します。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】:焼却処理方式に因るごみ処理方式
【図2】:焼却処理方式のみに因らないごみ処理方式
【符号の説明】
【0027】
▲1▼焼却処分ごみの分類
:▲1▼−1 発酵・堆肥化が可能なごみ類
:▲1▼−2 発酵・堆肥化が不可能なごみ類
▲2▼発酵装置;発酵・堆肥化処理
▲3▼フルイ分・素材分別
:▲3▼−1 発酵処理済材
:▲3▼−2 非発酵処理回収材
▲4▼炭化用下拵え
▲5▼炭化炉:炭化処理
▲6▼焼却炉:焼却処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2排出量削減とダイオキシン、Nox、Sox等の有害物質の排出量抑制を目的とした、焼却処理方式のみに因らないごみ処理方式を課題として、
▲1▼発酵分解処理方式と▲2▼炭化処理方式並びに▲3▼焼却処理方式の3方式を▲1▼→▲2▼→▲3▼の順序による直列的段階処理方式とする。
▲1▼の発酵分解処理方式は、発酵分解原理による非焼却方式である。
▲2▼の炭化処理方式は、炭化原理よる非焼却方式である。
▲3▼の焼却処理では、発酵分解不可並びに炭化不可のごみを焼却処分する。
以上▲1▼→▲2▼→▲3▼の直列的段階処理方式によって、焼却処理ごみ量の大幅削減とCO2排出量並びにダイオキシン等有害物質排出量の大幅抑制の目的が達成できる。
【請求項2】
本発明は▲1▼発酵分解処理装置並びに当該附帯施設と▲2▼炭化処理装置並びに当該附帯施設と▲3▼小規模焼却処理装置並びに当該附帯施設によって構成される。
▲1▼、▲2▼、▲3▼各装置と附帯施設間は、各種センサー類と自動並びに手動による制御装置により統制管理された、安全な運転性能を有するシステムで構成される。
【請求項3】
本発明は、発酵分解処理過程のフルイ分別処理後に得られる処理済の資源を、炭化処理用の種材として利用する事を目的とすると共に、目的用途毎の形状に加工し、炭化炉にて炭化製品を作り出す事ができる。
【請求項4】
本発明は▲1▼−2初期の分別時と発酵分解処理過程のフルイ分別処理後に得られる▲3▼−2発酵分解不可材を加工、これらを炭化炉での熱源材料として利用する。
熱源資源としての利用によって、焼却処理ごみ量の大幅な削減が図れます。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−140014(P2011−140014A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15991(P2010−15991)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(305051794)
【Fターム(参考)】