説明

焼却炉の化学量論的酸化剤パーセントを測定し制御する方法とシステム

【課題】焼却炉の熱分解セクションにおける化学量論的酸化剤パーセントを測定し制御する方法とシステムが提供される。
【解決手段】この方法とシステムは、熱分解セクション内のガスの酸素濃度と温度の測定値、ならびに、これらの値と化学量論的酸化剤パーセントとの間の数学的関係に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、燃焼プロセス、より詳細には、焼却炉の熱分解セクションにおける化学量論的酸化剤パーセント(percent stoichiometric oxidant)を決定する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焼却に際しては、2段階の燃焼を用いることが一般に行われている。第1段階において、燃焼空気は、化学量論的な空気の必要量より少ない流量で供給される。化学量論的な空気の必要量は、燃料と廃棄物の流れが完全燃焼するために必要な空気流量として定義される。完全燃焼は、燃焼生成物が、CO、HO、NおよびHe(存在する場合)のような安定な化合物であることを意味する。
【0003】
こうして、第1段階において、廃棄物は、通常、酸素欠乏雰囲気下で熱分解される。この炉、または炉の一部分は、通常、還元、1次燃焼、酸素欠乏、あるいは、熱分解の炉またはチャンバと呼ばれる。次いで、追加の燃焼空気が、次のセクションで供給されて不完全燃焼生成物をすべて崩壊させる。この2次セクションは、通常、再酸化セクションまたはアフターバーナ(afterburner)と呼ばれる。
【0004】
汚染物質の放出は、熱分解セクションとアフターバーナに供給される燃焼空気の量に強く影響される。したがって、両方のセクションへの空気供給を測定し制御できれば非常に望ましい。通常、アフターバーナへの空気供給は、煙突排出ガスの酸素がある一定レベルで過剰になるように、あるいは、いくつかの場合には、温度が目標値になるように制御される。熱分解セクションへの、空気または酸化剤の供給は制御がより困難である。熱分解セクションへの酸化剤供給量は、化学量論的酸化剤パーセントまたは「PSO」として測定され制御されることが望ましい。PSOは、実際の酸化剤供給量を化学量論的酸化剤供給量で割り、パーセントで表したものに等しい。酸化剤には、NOおよびNOのような化合物が含まれるが、実際には、焼却炉での酸化剤の主な供給源は一般に空気である。したがって、「PSA」(化学量論的空気パーセント)という用語が、PSOの代わりにしばしば用いられる。
【0005】
PSOを当量比(equivalence ratio)に関連付けることもできる。当量比は、燃料:空気の実際の比を、燃料:空気の化学量論的な比で割ったものとして定義される。当量比は単に100/PSOであるから、当量比はPSOに関連付けられる。燃料と空気が完全燃焼を達成するように供給される場合、その反応は化学量論的であると言われ、PSOは100%に等しく、当量比は1に等しい。
【0006】
熱分解炉への空気供給を直接制御する通常の方法の1つは、燃料、廃棄物、および空気の流量を測定し、PSOを計算し、次に、空気の供給量を変えることにより特定の値にPSOを制御することである。廃棄物の構成は、時間と共に変化するか、あるいは単に分からないことが多い。実際には、廃棄物の構成の不確定さと変動に伴う難しさのために、廃棄物は、しばしば化学量論的な空気の必要量の計算から除外される。この除外のために、前記の方法では正しい空気の必要量を正確に反映させることができない。
【0007】
空気供給を制御する別の通常の方法は、熱分解炉における可燃性レベルを測定し制御すること、あるいは、アフターバーナ空気の追加による温度変化を測定することである。これらの方法はPSOを制御する間接的方法であり、実際のPSOを決定せず、実際のPSOに対する変動する温度の影響を考慮していない。
【0008】
いくつかの方法は、排出ガスに酸素センサを使用することを含む。例えば、F.M.Lewisにより1983年に出願された米国特許第4459923号は、最も高温の炉床の温度を制御し、排出ガスのO含量をある最小値に維持することにより複式炉床炉の運転を制御する方法を記載する。PSAは、排出ガス中の酸素測定から、次の式を用いて計算される。
【0009】
PSA=[1+%O/(21−%O)]×100
雰囲気空気(純粋な酸素でなく)が使用される場合、排出ガス中の酸素濃度が負、または21%を超えることはあり得ないので、言うまでもなく、この関係はPSAが100%を超える場合にだけ使用できる。この式は、100%より小さい値になり得ないし、そうなることは意図されていない。このように、前記の関係は、燃料不足(fuel−lean)または超化学量論的(super−stoichiometric)燃焼であることを必要とし、酸素レベルが非常に低くなる(ppmまたはppbレベルでさえあるような)燃料過剰(fuel−rich)または亜化学量論的(sub−stoichiometric)燃焼に対しては適用できない。実際、燃料過剰の燃焼にこの式を適用すると、実際にはPSAが100%よりずっと小さいはずである場合に、PSAが100%に等しいという誤った結論が得られるであろう。さらに、特定のO測定境界内で一定温度に保つことが制御手段を提供するが、これらの従来技術の方法は、実際のPSAに基づいていない。一般に、制御手法は、一定のPSAよりむしろ一定温度を保つことであったし、温度変化による実際のPSAの変動を計算する試みはまったくなかった。
【0010】
酸素センサもまた、内燃機関の空気/燃料の比、または当量比を測定するために用いられており、このような装置は自動車で広く用いられている(HowardとWheetmanにより1980年に出願された米国特許第4283256号を参照)。しかし、これらのセンサは、当量比が酸素レベルおよび温度に依存することを考慮に入れておらず、そのために広い範囲の温度では機能し得ない。幸運にも、このような装置では、排出ガス温度が、通常比較的狭い範囲内に調節されるので、当量比の予測への温度の影響を無視することができる。
【0011】
温度の影響を評価する必要が認識されたために、さらに別の装置が開発されてきた。例えば、米国特許第4151503号および米国特許第4391691号は、排出ガス温度の違いに応じて電気抵抗が迅速に変化するように加工された半導体チップを利用する。温度に依存する電気抵抗は、PSOをより正確に予測するために酸素センサからの信号を補償するために使用される。温度補償チップに使用される材料の機械的および電気的特性のために、このような装置は、焼却炉の熱分解セクションにおいて普通に見られる高温(1400℃から3200℃)においては機能し得ない。
【0012】
従って、温度の変動を補償し、前記の問題を回避する、焼却炉の熱分解セクションにおけるPSOの直接測定法が求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明により、焼却炉の熱分解セクションにおける化学量論的酸化剤パーセント(「PSO」)を測定し決定し制御する方法、ならびに、PSOを測定し決定し制御するのに使用されるシステムが提供され、これらの方法およびシステムは、前記の要求を満たし、従来技術の欠点を克服する。焼却炉の熱分解炉におけるPSOを測定し決定する方法は、基本的に、以下のステップからなる。熱分解セクション内のガス中の酸素濃度または分圧を感知するように設置された酸素センサを利用して、酸素濃度に対応する電気信号を発生させる。熱分解セクション内のガスの温度を感知するように設置された温度センサを用いて、温度に対応する電気信号を発生させる。次に、これらの電気信号とPSOとの間の数学的関係を用いて、酸素センサと温度センサからの電気信号をPSO推定値に変換するプロセッサに、これらの電気信号を伝える。数学的関係は、温度および温度の変動による(温度は1100°Fより高い)PSO推定値の調節を含んでいる。
【0014】
焼却炉の熱分解セクションにおけるPSOを制御するための本発明の方法は、前記のように、酸素濃度および温度に対応する電気信号を発生させること、そして、前記の数学的関係を用いて電気信号をPSO推定値に変換するためのプロセッサにこれらの信号を伝えることを含む。このPSO推定値は、PSO推定値と設定PSO値に基づいて、燃焼空気、酸化剤または燃料の流れを調節するために、燃焼空気ブロア、酸化剤または燃料の流れの制御信号を発生するフィードバックコントローラへ中継される。次に、制御信号は燃焼空気ブロア、酸化剤または燃料の制御装置に中継される。
【0015】
燃焼炉の熱分解セクションにおけるPSOを測定し決定することに使用されるシステムは、基本的に、次のものを含む:熱分解セクション内のガス中の酸素濃度に対応する電気信号を発生する手段、熱分解セクション内のガスの温度に対応する電気信号を発生する手段、および、これらの電気信号とPSOとの間の数学的関係を用いて酸素濃度と温度に対応する電気信号をPSO推定値に変換する装置。数学的関係は、温度および温度の変動による(温度は1100°Fより高い)PSO推定値の調節を含んでいる。
【0016】
焼却炉の熱分解セクションにおけるPSO制御に用いられるシステムは、基本的に、様々な温度で(温度は1100°Fより高い)PSOを測定し決定する前記の手段と装置、焼却炉の熱分解セクションへの燃焼空気、酸化剤または燃料の量を制御する制御装置、および、PSO推定値と設定PSO値に基づいて燃焼空気制御装置への制御信号を発生する手段を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
焼却炉の熱分解セクションのPSOを測定し決定する、本発明の好ましい方法は、基本的に以下のステップを含む。酸素濃度に対応する電気信号は、熱分解セクション内のガス中の酸素濃度または分圧を感知するように設置された酸素センサを利用して発生させる。温度に対応する電気信号は、熱分解セクション内のガスの温度を感知するように設置された温度センサを用いて発生させる。次に、これらの電気信号は、酸素センサと温度センサからの電気信号を、PSOとの間の数学的関係を用いてPSO推定値に変換するプロセッサに伝えられる。数学的関係は、温度および温度の変動による(温度は1100°Fより高い)PSO推定値の調節を含んでいる。一般的な方法が図1に示されている。
【0018】
本発明において使用され得る、酸素濃度に対応する電気信号12を発生するための適切な酸素センサ10には、これらに限定されないが、ジルコニア系酸素センサ、電気化学センサ、マイクロ燃料センサ、および常磁性センサが含まれる。これらの中で、ジルコニア系センサが好ましい。特に適切な酸素センサ10は、「Oxyfire(商標)」の商品名で、Marathon Sensors,Inc.(オハイオ州、シンシナティ)から市販されている。センサ10は、焼却炉熱分解セクションの正しい内部のガス中の酸素濃度または分圧を感知するように設置されるべきである。
【0019】
本発明において使用され得る、温度に対応する電気信号を発生するための適切な温度センサ14には、これらに限定されないが、熱電対、抵抗温度検出器、高温計および遠隔温度計測装置が含まれる。これらの中で熱電対が好ましい。特に適切な熱電対は、B型またはR型一体式熱電対プローブとして、Marathon Sensors,Inc.(オハイオ州、シンシナティ)から市販されている。センサ14は、焼却炉熱分解セクションの正しい内部で、酸素センサにできるだけ近い位置でガスの温度を感知するように設置されるべきである。
【0020】
酸素センサおよび温度センサからの信号(12および16)は、PSO推定値20を計算するプロセッサ18に伝えられる。特に適切なプロセッサ18は、「VersaPro(商標)」ストイキオメトリックモニタの商品名で、Marathon Sensors,Inc.(オハイオ州、シンシナティ)から市販されている。
【0021】
プロセッサ18は、本発明に従って、平衡計算により開発された数学的関係を用いて、PSO推定値20を計算するようにプログラムされている。この方法は、熱分解セクション22では、酸素濃度がその平衡値近くまで達するのに十分な長い滞留時間があるという当初の仮定に基づいている。ユニットが運転状態になると、通常、実際の非平衡の運転状態に対する調節を行うことができる。
【0022】
PSOは、多くの様々な形式で、酸素濃度と温度の関数として表すことができる。これらの形式の中で、2つが最も適切であることが分かっている。第1の形式は次のシグモイド関数であり、
PSO=a+b/[1+((x+eT)/c)
式中、xは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは温度(°F)であり、aからeは実験により決まる定数である。ジルコニア系酸素センサを用いると、パーセントでPSOが得られる適切な実験定数の1組は次の通りである。
【0023】
a=−733.109;b=873.246;c=1610.403;d=15.176;e=0.2439
第2の好ましい表式は、多項式の形式であり、
PSO=[a+b(x+eT)+c(x+eT)+d(x+eT)]×100
式中、やはりxは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは(T−2100)に等しく、Tは温度(°F)であり、aからeは実験定数である。ジルコニア系酸素センサを用いると、パーセントでPSOが得られる適切な実験定数の1組は次の通りである。
【0024】
a=3.424;b=−1.3433E−02;c=2.4979E−05;d=−1.5670E−08;e=0.2439
シグモイドおよび多項式の関係は、メタン/空気の混合物の平衡計算から導かれるが、それらは、一般の炭化水素/空気の燃焼に適用され、非常に良く一致することが示されている。これらの関係は、焼却用途(炭化水素、空気、および廃棄物の流れ)にもまた適用され、実際のPSOと予測PSOとの間でよく一致することが示されている。これらの関係は、H/空気の燃焼、CO/空気の燃焼、または、炭化水素/純Oの燃焼ではうまく合わない。
【0025】
当量比は単に100/PSOであるから、当量比24もまた、酸素および温度信号により表すことができる。例えば、PSO20が80%である場合、当量比24は100/80、すなわち1.25である。
【0026】
PSOを測定し決定する本発明の方法は、NH、HCN、CN、CNのような多くの種類の廃棄物化合物、パラフィン、オレフィン、シクロパラフィン、アセチレンおよび芳香族化合物のような飽和および不飽和有機燃料の燃焼に、非常に小さい誤差で適用することができる。正確度は、水(HO)、NOおよびNOのような、結合酸素を含む化合物の過剰な量により影響され得る。ここで、「過剰な量」は、1ポンドの炭化水素燃料(通常運転で供給される廃棄物または燃料であり得る)当たりの、焼却炉に向かうすべての流れ(例えば、廃棄物の流れ、または冷却の流れ)から、約1ポンドを超える結合酸素として定義される。
【0027】
焼却炉の熱分解セクションにおけるPSOを制御するための本発明の好ましい方法は、基本的に以下のステップを含む。熱分解セクション22内のガス中の酸素濃度に対応して電気信号12を発生させる。熱分解セクション内のガスの温度に対応して電気信号16を発生させる。酸素濃度および温度に対応する電気信号(12および16)を、電気信号とPSOとの間の数学的関係を用いて電気信号をPSO推定値20に変換するプロセッサ18に伝える。数学的関係は、温度および温度の変動による(温度は1100°Fより高い)PSO推定値の調節を含む。PSO推定値20は、PSO推定値20および設定PSO値36に基づいて燃焼空気30、酸化剤または燃料の流れ(32および/または34)を調節するために、燃焼空気、酸化剤または燃料の流れを制御する信号28を発生するフィードバックコントローラ26に中継される。次に、この制御信号は、燃焼空気ブロア38の制御装置に中継される。この一般的方法は図2に示されている。
【0028】
空気30は、ブロア38により燃焼炉の熱分解セクション22に供給される。その空気の流量は、バルブを用いること、ブロア速度を変えること、あるいはブロアの羽根のピッチを変えることを含めて、いくつかの手段により変えることができる。本発明により、これらに限定されないが、バルブ、ブロア速度変更装置またはブロア羽根ピッチ調節用具を含む群から選択される適切な用具を用いてブロアの空気の流れ30を調節することにより、設定値36であるようにPSOを制御することができる。これは、プロセッサ18からフィードバックコントローラ26へ、PSO推定値20を電気的に移送することにより達成される。フィードバックコントローラ26は、当業者に知られている標準的な制御手法を利用して、PSO推定値20と設定PSO値36に基づいて、燃焼空気ブロア制御装置への信号28を発生する。
【0029】
焼却炉の熱分解セクション22におけるPSOを測定するのに使用される好ましいシステムは、基本的に、熱分解セクション22内のガス中の酸素濃度に対応する電気信号12を発生する手段、熱分解セクション22内のガスの温度に対応する電気信号16を発生する手段、および、酸素濃度と温度に対応する電気信号を電気信号とPSOとの間の数学的関係を用いてPSO推定値20に変換する装置18を備える。数学的関係は、温度および温度の変動による(温度は1100°Fより高い)PSO推定値の調節を含む。
【0030】
焼却炉の熱分解セクション22におけるPSOを制御するのに使用される好ましいシステムは、基本的に、熱分解セクション22内のガス中の酸素濃度に対応する電気信号12を発生する手段、熱分解セクション22内のガスの温度に対応する電気信号16を発生する手段、焼却炉の熱分解セクション22への燃焼空気30、酸化剤または燃料(32または34)の量を制御するための燃焼空気ブロア、酸化剤または燃料の制御装置、電気信号とPSOとの間の数学的関係を用いて酸素濃度と温度(12および16)に対応する電気信号をPSO推定値に変換する装置18、ならびに、PSO推定値20と設定PSO値36に基づいて燃焼空気制御装置への制御信号28を発生する手段を備える。
【0031】
本発明の方法をさらに例示するために、以下に実施例を記載する。
【実施例】
【0032】
この実施例では、酸素センサは、1400°Fを超える温度で酸素イオンを通す固体電解質をもつ酸化ジルコニウム(すなわちジルコニア)電解質セルである。イオン伝導は2つの電極間の電圧として現れる。電圧の大きさは、セル壁面を横断する酸素濃度(酸素分圧の比)とセルの温度により決まる。セルのe.m.fは、次のネルンストの式により決められ、
x=−0.0215(T)Log10(P/P
xはセルの出力電圧(ミリボルト);Pはセル内の酸素分圧(%)で20.95%であり;Pは測定されるプロセスの酸素分圧(%)であり;Tはプローブの絶対温度(K)である。
【0033】
燃焼ガス中の酸素の分圧を、メタン/空気の混合物に対して、様々な亜化学量論的状態について、1400°Fと3000°Fの間の様々な温度での平衡状態で計算した。次に、これらの値をネルンストの式に入れてセルの出力電圧を得た。次に、様々な未化学量論的状態でのセル出力電圧(x)と燃焼ガスの運転温度(T)を、シグモイド関係に対する非線形回帰を用いて経験的に評価し、このようにして、データの限界範囲内の状態について化学量論的酸化剤パーセント(PSO)を計算するために必要な定数を得た。実験定数は次の様に計算された。
【0034】
a=−733.109;b=873.246;c=1610.403;d=15.176;e=0.2439
【0035】
次に、得られた関係によるPSOの予測値を既知のPSO値と比較し、表1に示した。シグモイド関係からの予測値は既知のPSO値とよく一致している。
【表1】

【0036】
このように、本発明により、それに本来備わる利点だけでなく、先に記載された目的と利点も十分に実現されている。当業者により多くの変更がなされ得るが、このような変更は、添付の請求範囲により定められる本発明の精神の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】熱分解セクション運転中にPSOを測定する本発明のシステムをもつ典型的な焼却炉を示す。
【図2】熱分解セクションへの燃焼空気流量を制御する本発明のシステムをもつ典型的な焼却炉を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解セクション内のガス中の酸素濃度を感知するように設置された酸素センサを利用して、酸素濃度に対応する電気信号を発生させるステップ;
前記熱分解セクション内のガスの温度を感知するように設置された温度センサを利用して、温度に対応する電気信号を発生させるステップ;および
前記電気信号とPSOとの間の数学的関係(温度および温度の変動による(温度は1100°Fより高い)PSO推定値の調節を含んでいる)を用いて、前記酸素センサと前記温度センサからの前記電気信号をPSO推定値に変換するプロセッサに、前記電気信号を伝えるステップ
を含む、焼却炉の熱分解セクションにおけるPSOを決定する方法。
【請求項2】
前記酸素センサが、ジルコニア系酸素センサ、電気化学センサ、マイクロ燃料センサおよび常磁性センサからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記温度センサが、熱電対、抵抗温度検出器、高温計および遠隔温度検出装置からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記温度センサが熱電対である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記数学的関係が、
PSO=a+b/[1+((x+eT)/c)
(xは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは温度(°F)であり、aからeは実験定数である)
である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサであり、実験定数が、
a=−733.109;b=873.246;c=1610.403;d=15.176;e=0.2439
である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記数学的関係が、
PSO=[a+b(x+eT)+c(x+eT)+d(x+eT)]×100
(xは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは(T−2100)に等しく、Tは温度(°F)であり、aからeは実験定数である)
である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサであり、実験定数が、
a=3.424;b=−1.3433E−02;c=2.4979E−05;d=−1.5670E−08;e=0.2439
である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
熱分解セクション内のガス中の酸素濃度に対応する電気信号を発生させるステップ;
前記熱分解セクション内のガスの温度に対応する電気信号を発生させるステップ;
前記電気信号とPSOとの間の数学的関係(温度および温度の変動による(温度は1100°Fより高い)PSO推定値の調節を含んでいる)を用いて前記電気信号をPSO推定値に変換するプロセッサに、酸素濃度と温度に対応する前記電気信号を伝えるステップ;
前記PSO推定値、設定PSO値およびプロセス流に基づいて、プロセス流量(燃焼空気、酸化剤および燃料の流量からなる群から選択される)を調節するための流れ制御信号を発生するフィードバックコントローラに、前記PSO推定値を中継するステップ;および
前記の流れ制御信号を対応する流れ制御装置に中継するステップ
を含む、焼却炉の熱分解セクションにおけるPSOを制御する方法。
【請求項11】
前記酸素濃度に対応する前記電気信号が、ジルコニア系酸素センサ、電気化学センサ、マイクロ燃料サンサおよび常磁性センサからなる群から選択され、前記熱分解セクション内のガス中に設置された酸素センサにより発生する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサである請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記温度に対応する前記電気信号が、熱電対、抵抗温度検出器、高温計および遠隔温度検出装置からなる群から選択され、前記熱分解セクション内のガスの温度を感知するように設置された温度センサにより発生する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記温度センサが熱電対である請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記数学的関係が、
PSO=a+b/[1+((x+eT)/c)
(xは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは温度(°F)であり、aからeは実験定数である)
である請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサであり、実験定数が、
a=−733.109;b=873.246;c=1610.403;d=15.176;e=0.2439
である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記数学的関係が、
PSO=[a+b(x+eT)+c(x+eT)+d(x+eT)]×100
(xは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは(T−2100)に等しく、Tは温度(°F)であり、aからeは実験定数である)
である請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサであり、実験定数が、
a=3.424;b=−1.3433E−02;c=2.4979E−05;d=−1.5670E−08;e=0.2439
である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
熱分解セクション内のガス中の酸素濃度に対応する電気信号を発生する手段;
前記熱分解セクション内のガスの温度に対応する電気信号を発生する手段;および
前記電気信号とPSOとの間の数学的関係(温度および温度の変動による(温度は1100°Fより高い)PSO推定値の調節を含んでいる)を用いて、酸素分圧および温度に対応する前記電気信号を、PSO推定値に変換する装置
を備える、焼却炉の熱分解セクションにおけるPSOを決定するシステム。
【請求項20】
前記酸素濃度に対応する前記電気信号が、ジルコニア系酸素センサ、電気化学センサ、マイクロ燃料サンサおよび常磁性センサからなる群から選択され、前記熱分解セクション内のガス中に設置された酸素センサにより発生する請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサである請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記温度に対応する前記電気信号が、熱電対、抵抗温度検出器、高温計および遠隔温度検出装置からなる群から選択され、前記熱分解セクション内のガスの温度を感知するように設置された温度センサにより発生する請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記温度センサが熱電対である請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記数学的関係が、
PSO=a+b/[1+((x+eT)/c)
(xは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは温度(°F)であり、aからeは実験定数である)
である請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサであり、実験定数が、
a=−733.109;b=873.246;c=1610.403;d=15.176;e=0.2439
である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記数学的関係が、
PSO=[a+b(x+eT)+c(x+eT)+d(x+eT)]×100
(xは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは(T−2100)に等しく、Tは温度(°F)であり、aからeは実験定数である)
である請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサであり、実験定数が、
a=3.424;b=−1.3433E−02;c=2.4979E−05;d=−1.5670E−08;e=0.2439
である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
焼却炉の熱分解セクション内のガス中の酸素濃度に対応する電気信号を発生する手段;
前記熱分解セクション内のガスの温度に対応する電気信号を発生する手段;
前記電気信号とPSOとの間の数学的関係(温度および温度の変動による(温度は1100°Fより高い)PSO推定値の調節を含んでいる)を用いて、酸素濃度および温度に対応する前記電気信号を、PSO推定値に変換する装置;
前記PSO推定値、設定PSO値およびプロセス流に基づいて、プロセス流量(燃焼空気、酸化剤および燃料の流量からなる群から選択される)を調節するための流れ制御信号を発生する手段;および
前記制御信号に対応する前記プロセス流量を調節する装置
を備える、焼却炉の運転を制御するシステム。
【請求項29】
前記酸素濃度に対応する前記電気信号が、ジルコニア系酸素センサ、電気化学センサ、マイクロ燃料サンサおよび常磁性センサからなる群から選択され、前記熱分解セクション内のガス中に設置された酸素センサにより発生する請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサである請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記温度に対応する前記電気信号が、熱電対、抵抗温度検出器、高温計および遠隔温度検出装置からなる群から選択され、前記熱分解セクション内のガスの温度を感知するように設置された温度センサにより発生する請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
前記温度センサが熱電対である請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
前記数学的関係が、
PSO=a+b/[1+((x+eT)/c)
(xは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは温度(°F)であり、aからeは実験定数である)
である請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサであり、実験定数が、
a=−733.109;b=873.246;c=1610.403;d=15.176;e=0.2439
である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記数学的関係が、
PSO=[a+b(x+eT)+c(x+eT)+d(x+eT)]×100
(xは酸素センサ出力(ミリボルト)であり、Tは(T−2100)に等しく、Tは温度(°F)であり、aからeは実験定数である)
である請求項28に記載のシステム。
【請求項36】
前記酸素センサがジルコニア系酸素センサであり、実験定数が、
a=3.424;b=−1.3433E−02;c=2.4979E−05;d=−1.5670E−08;e=0.2439
である請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−177651(P2006−177651A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−294342(P2005−294342)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(500352889)ジョン ジンク カンパニー,エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】