焼結機の点火炉、点火炉の炉内温度調整方法
【課題】パレット内の焼結原料の加熱ムラキを生じさせることなく、かつ、安定した品質の焼結鉱を製造することのできる、焼結機の点火炉を提供すること。
【解決手段】焼結機の点火炉8は、パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、パレットの進行方向における、一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁10と、一対の側壁及び一対の仕切壁10で囲まれた空間の上面を覆う天井壁11と、天井壁11を貫通して該天井壁11と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、パレット内の焼結原料を加熱する複数のバーナ12、13とを備え、一対の側壁、一対の仕切壁10、天井壁11のうち、少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動する。
【解決手段】焼結機の点火炉8は、パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、パレットの進行方向における、一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁10と、一対の側壁及び一対の仕切壁10で囲まれた空間の上面を覆う天井壁11と、天井壁11を貫通して該天井壁11と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、パレット内の焼結原料を加熱する複数のバーナ12、13とを備え、一対の側壁、一対の仕切壁10、天井壁11のうち、少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結機の点火炉、点火炉の炉内温度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼結鉱の製造には、ドワイドロイド式直線焼結機等の焼結機が用いられることが知られている。この焼結機は、無端状に連結された複数のパレット内に、焼結原料を装入し、動力源によってパレットを進行させながら、点火炉によって焼結原料を点火し、通風によって燃焼を継続させることにより、焼結原料の焼結を行うものである。焼結原料は、粉体の鉱石の組成に応じて、生石灰、酸化ケイ素、粉コークス等の凝結材、及び水分を加えて混合して生成される。
点火炉は、上述した成分から構成される焼結原料に点火する炉であり、一対の側壁、一対の仕切壁、天井壁、及びバーナを備えて構成される。
一対の側壁は、パレットの進行方向に直交する幅方向端部に配置され、一対の仕切壁は、パレットの進行方向における、一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結している。天井壁は、一対の側壁及び一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆い、複数のバーナは、天井壁に貫通して設けられ、下方に火炎を放射して、パレット内の焼結原料を加熱する。
【0003】
ところで前述した焼結機においては、点火炉における炉内温度を均一に維持することができない場合や、ホッパからパレット内に装入される焼結原料の量が異なり、原料層の層厚が異なる場合があり、このような場合、パレット内に装入された焼結原料の加熱ムラが生じてしまうという問題がある。
このため、従来、点火炉の天井壁に設置されるバーナのうち、パレットの進行方向に直交する幅方向端部に配置されるバーナを、パレット内壁の傾斜面に沿った角度に配置し、焼結原料を過不足なく加熱する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、天井壁に設置されるバーナを天井壁に対して上下させることにより、焼結原料の加熱ムラを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平1−114692号公報
【特許文献2】特開平3−17497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に開示される技術では、天井壁の形状がフラットで、かつ天井の高さ位置が固定されているため、バーナの角度を変更しただけでは、炉内の幅方向の温度分布を均一とすることは実際上困難である。加えて、天井壁の高さ位置が固定され、バーナも天井壁に固定されているため、パレット内に装入された焼結原料の量によっては、バーナから放射された火炎によって焼結原料が天井、側壁等に溶融付着し、耐火物が損傷する可能性がある。
【0006】
また、前記特許文献2に開示される技術では、天井壁の高さ位置を固定した状態でバーナを上下に移動させているため、天井壁とバーナ間に隙間が生じ、この隙間から大気が侵入して、炉内温度が安定しにくいという可能性がある。
さらに、天井壁の高さ位置を固定した状態でバーナを上下に移動させると、例えば、下降させたバーナの直下の原料が選択的に加熱され、却って加熱ムラを生じてしまうという可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、パレット内の焼結原料の加熱ムラを生じさせることなく、かつ、安定した品質の焼結鉱を製造することのできる、焼結機の点火炉、及び点火炉の炉内温度調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
(1) パレット内に焼結原料を装入し、該パレットを進行させながら、前記焼結原料を焼結する焼結機の点火炉であって、
前記パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、
前記パレットの進行方向における、前記一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁と、
前記一対の側壁及び前記一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆う天井壁と、
前記天井壁を貫通して該天井壁と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、前記パレット内の焼結原料を加熱・点火する複数のバーナとを備え、
前記一対の側壁、前記一対の仕切壁、前記天井壁のうち、少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、
前記可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動することを特徴とする焼結機の点火炉。
【0009】
(2) (1)に記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、天井壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
(3) (1)又は(2)に記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、複数の壁ブロックを組合せて構成され、
各壁ブロックが独立して上下に移動可能とされていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【0010】
(4) (1)乃至(3)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁と他の壁のジョイント部、又は、隣り合う前記壁ブロックのジョイント部には、耐火シールが施されていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(5) (4)に記載の焼結機の点火炉において、
前記ジョイント部には、該ジョイント部で向き合う各壁又は各ブロックのジョイント面にセラミックファイバシートが張り付けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(6) (4)に記載の焼結機の点火炉において、
前記ジョイント部には、側面略U字状に折り曲げられ、前記ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面に、端部が張り付けられた1枚のセラミックファイバシートが介在していることを特徴とする焼結機の点火炉。
【0011】
(7) (1)乃至(6)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁には、前記点火炉内部の温度を測定する温度検出センサが設けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(8) (7)に記載の焼結機の点火炉において、
前記温度検出センサは、前記天井壁の幅方向に複数配列して設けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(9) (8)に記載の焼結機の点火炉において、
複数の前記温度検出センサは、前記パレットの進行方向における、前記複数のバーナの下流側に配置されていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【0012】
(10) (1)乃至(9)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、前記一対の仕切壁のうち、少なくともいずれかの仕切壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
(11) (1)乃至(10)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、前記一対の側壁のうち、少なくともいずれかの側壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
(12) (1)乃至(11)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、この板状体の下面に設けられる係止片に係止され、下方に垂下する耐火物支持体と、前記耐火物支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(13) (1)乃至(12)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、前記板状体の下面に設けられ、下方に垂下する金属製支持体と、前記金属製支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【0013】
(14) パレット内に焼結原料を装入し、該パレットを進行させながら、前記焼結原料を焼結する焼結機の点火炉の炉内温度調整方法であって、
前記点火炉は、
前記パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、
前記パレットの進行方向における、前記一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁と、
前記一対の側壁及び前記一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆う天井壁と、
前記天井壁を貫通して該天井壁と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、前記パレット内の焼結原料を加熱・点火する複数のバーナとを備え、
前記一対の側壁、前記一対の仕切壁、及び前記天井壁の少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、該可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動し、
前記天井壁に温度検出センサを設置して、前記点火炉内の幅方向の炉内温度の分布を測定する手順と、
測定された炉内温度の分布に基づいて、前記可動壁を上下に移動させ、前記点火炉の炉内温度を調整する手順とを実施することを特徴とする焼結機の点火炉の炉内温度調整方法。
(15) (14)に記載の焼結機の点火炉の炉内温度調整方法において、
前記炉内温度の分布を測定する手順は、前記パレットの進行方向における、前記複数のバーナの下流側に、前記温度検出センサを幅方向に複数配列し、各温度検出センサの測定値から、前記炉内温度の分布を測定することを特徴とする焼結機の点火炉の炉内温度調整方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、可動壁は、一対の側壁、一対の仕切壁、天井壁のいずれか、又はこれら壁の任意の組合せ、さらには全部の壁であってもよい。また、可動壁は、壁の一部が上下に移動してもよく、全部が一体で上下するように構成してもよい。また、上下に移動するとは、上下にスライドする構造であってもよく、可動壁の一端を軸として回動するような構造であってもよい。要するに、可動壁は、上下に移動することにより、点火炉内部の容積を変更したり、実質的にバーナを壁毎に、パレット中の焼結原料に接近、離間させる構造であればよい。
この発明によれば、一対の側壁、一対の仕切壁、天井壁のうち、少なくともいずれかの壁の少なくとも一部が上下に移動する可動壁とし、可動壁を移動させることにより、点火炉の炉内容積や放熱量を変化させることができる。従って、点火炉の内部の温度を測定して炉内の温度分布を把握し、炉内の温度分布に応じて可動壁を適切に移動させることにより、炉内の温度分布を均一に調整することができ、製品である焼結鉱の品質を安定させることができる。
また、可動壁を天井壁とすることにより、天井壁とともにバーナも上下に移動するため、バーナによる焼結原料への点火を容易にすることができる。
【0015】
本発明では、可動壁は複数の壁ブロックを組み合わせて構成され、各壁ブロックが独立して上下に可動可能とされているのが好ましい。壁ブロックを組合せて構成する壁としては、一対の側壁、一対の仕切壁、及び天井壁の少なくともいずれかであればよい。
この発明によれば、可動壁が壁ブロックを組合せて構成されることにより、壁ブロックを必要最小限上下に移動させるだけで炉内の温度分布を調整することができ、さらには、壁全体を上下させる場合よりも、より細やかな温度分布の調整を実現できる。
【0016】
本発明では、可動壁と他の壁のジョイント部、又は、隣り合う壁ブロックのジョイント部には、耐火シールが施されているのが好ましい。
ここで、耐火シールが施されるジョイント部の構成としては、ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面にセラミックファイバシートが張り付けられた構成を採用することができ、又は、側面略U字状に折り曲げられ、ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面に、端部が張り付けられた1枚のセラミックファイバシートが介在した構成を採用することができる。
この発明によれば、ジョイント部に耐火シールを施すことにより、ジョイント部から炉内の熱気が外部に放出されることを防止できるため、炉内を安定した温度分布とすることができる。
【0017】
本発明では、天井壁に点火炉内部の温度を測定する温度検出センサが設けられているのが好ましく、より好ましくは、温度検出センサが天井壁の幅方向に複数配列して設けられているのが好ましく、特に、複数の温度検出センサが、パレットの進行方向における、複数のバーナの下流側に配置されているのが好ましい。
この発明によれば、温度検出センサにより、点火炉内部の温度分布を測定することができるため、測定結果に応じて可動壁の位置を調整することで、点火炉内部の温度分布を均一にすることができる。
また、焼結機では、幅方向に温度分布のバラツキが生じ易いので、温度検出センサを幅方向に複数配列して、各温度検出センサの測定値からより高精度に点火炉内部の温度分布を把握することができる。
さらに、複数の温度検出センサが複数のバーナの下流側に配置されることにより、バーナの火炎による炉内の温度分布を正確に把握することができるため、一層高精度に点火炉内部の温度分布を把握することができる。
【0018】
本発明では、可動壁は一対の仕切壁のうち、少なくともいずれかの仕切壁であるのが好ましく、より好ましくは、パレットの進行方向における下流側の仕切壁である。
この発明によれば、仕切壁を可動させることにより、パレット進行方向におけるバーナから放射された火炎の流れを制御することができるため、焼結原料の加熱ムラを無くして均一な品質の焼結鉱を製造することができる。
本発明では、可動壁は一対の側壁のうち、少なくともいずれかの側壁であるのが好ましく、一対の側壁いずれもが独立して上下に移動するのがより好ましい。
この発明によれば、側壁を上下に移動することにより側壁とパレット側面の重なり代を調整することができるため、パレット側面の外部から導入される空気の量を調整することで、炉内温度の分布を制御し易くなる。
【0019】
本発明では、天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、この板状体の下面に設けられる係止片に係止され、下方に垂下する耐火物支持体と、耐火物支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えて構成することができる。
また、天井壁を、上面に配置される金属製の板状体と、板状体の下面に設けられ、下方に垂下する金属製支持体と、金属製支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えた構成としてもよい。
さらに、天井壁は、耐火物支持体及び金属製支持体を併用して構成してもよい。
この発明によれば、耐火物硬化体は、耐火物支持体及び金属製支持体の少なくともいずれかにより板状体に固定されるため、耐火物硬化体の面を、下面として天井壁に設置した際、耐火物硬化体が金属製の板状体から脱落することを防止できる。また、耐火物支持体を用いることにより、高温下でも耐火物硬化体を強固に板状体下面に保持することができる。
【0020】
本発明の炉内温度調整方法によれば、前述したように、温度検出センサで測定した温度から炉内の温度分布を把握して、これに基づいて可動壁の位置を調整することで点火炉内部の温度分布を均一にすることができ、加熱ムラのない高品質な焼結鉱を製造することができる。
また、複数の温度センサを、パレットの進行方向における、複数のバーナの下流側に配置することにより、炉内温度分布の測定を一層高精度に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。ちなみに、本発明の実施形態は、以下に記載する実施形態に限定されるものではない。
図1、図2には、本発明の実施形態に係るドワイドロイド式の焼結機1が示されている。この焼結機1は、粉末状の金属に、生石灰、酸化ケイ素、粉コークス等の凝結材を添加し、水分を加えて混練した焼結原料をパレット中に装入し、上部からバーナ火炎により加熱して焼結させ、焼結鉱を製造する装置であり、フィーダ2、パレット3、クローラ4、駆動輪5、遊動輪6、ダクト7、及び点火炉8を備えて構成される。
【0022】
フィーダ2は、上部から焼結原料が供給され、下部排出口からパレット3内に所定量の焼結原料を装入する原料供給部である。
パレット3は複数設けられており、各パレット3は、クローラ4によって連結されている。このパレット3は、図2に示されるように、上部が開口された箱形状の金属製の容器であり、底部には、パレット3の連結方向に沿って延びるスリット状の開口が複数形成されている。
パレット3の高さは略700mmとされ、パレット3内には、400mm〜700mmの高さで焼結原料Mがフィーダ2から装入される。
【0023】
クローラ4は、駆動輪5、遊動輪6に巻回される金属製の無端ベルトとして構成され、図2に示されるように、パレット3の幅方向端部を支持している。そして、駆動輪5を動力源により回転させると、クローラ4が回転し、連結された複数のパレット3が所定の速度で進行する。
ダクト7は、図示を略したが、ブロアに接続されており、ブロアを動作させると、パレット3の下方空間の空気を吸い出し、これに伴い、パレット3の上方から冷却された空気が導入され、点火炉8によって点火された焼結原料の燃焼を維持するとともに、燃焼後の焼結鉱を冷却する。
【0024】
このような焼結機1では、フィーダ2に焼結原料が供給されると、下部排出口から所定量の焼結原料がパレット3内に装入され、駆動輪5の駆動とともに、各パレット3は、点火炉8に進行し、点火炉8内で焼結原料が点火される。焼結原料Mの点火後、点火した焼結原料Mは、ダクト7の吸い出しに伴う空気により、燃焼が維持され、空気により冷却され、図1では図示を略したが、クラッシャによって破砕され、所定径の焼結鉱が製造される。
【0025】
点火炉8は、図3及び図4に示されるように、底部が開口された直方体状の箱体であり、一対の側壁9、一対の仕切壁10、天井壁11、及びバーナ12、13、14を備えて構成される。尚、図3は、下方から見上げた天井壁11の下面図であり、図4は、パレット3の進行方向から見た側面図である。
一対の側壁9は、パレット3の進行方向に沿って延びるように形成され、パレット3を挟むように対向配置され、各側壁9は、点火炉8に立設される複数本の支柱15に支持される。各側壁9の下端は、パレット3の側壁3Aの上端部を覆う位置まで延出している。
【0026】
一対の仕切壁10は、パレット3の進行方向における側壁9の前側端部同士、後側端部同士を連結するように設けられている。各仕切壁10の上端は、側壁9の上端と揃えられ、側壁9を支持する支柱15間に架設されるフレーム16に取り付けられている。また、各仕切壁10の下端は、側壁9の下端よりも上側に位置している。
天井壁11は、一対の側壁9及び一対の仕切壁10によって囲まれる空間の上面を覆うように設けられており、仕切壁10と同様に、フレーム16に支持されている。この天井壁11には、図3のA1−A1線における断面図である図5に示されるように、天井壁11を貫通して、複数のバーナ12、13が設けられている。
【0027】
パレット3の進行方向における、上流側のバーナ12は、図3のA2−A2線における断面図である図6に示されるように、点火炉8の幅方向に複数配列して設けられ、幅方向両端にはバーナ14が複数設けられている。
また、パレット3の進行方向における、下流側のバーナ13は、図3のA3−A3線における断面図である図7に示されるように、バーナ12と同様に点火炉8の幅方向に複数配列して設けられ、幅方向両端にはバーナ14が複数設けられている。
【0028】
バーナ12、13、14は、火炎放射口が天井壁11の下面に露出するように設けられ、バーナ12、13、14の火炎放射管12A、13A、14Aは、天井壁11と一体化されている。尚、バーナ12、バーナ13の相違は、図5に示されるように、バーナ12では火炎放射管12Aの断面が下方に行くに従って拡がる円錐台形状の断面に形成されているのに対して、バーナ13ではパレット3の進行方向に沿った火炎放射管13Aの断面が下方に行くに従って狭まる三角形状の断面に形成されている点にある。また、バーナ14は、バーナ12、13よりも小型のものである。
【0029】
本実施形態では、点火炉8の幅方向端部近傍で側壁9の下端と、パレット3の上端との間に隙間が形成されているため、この近傍での点火炉8の炉内温度が中央部よりも低下し易いため、複数の小型のバーナ14を配置して火炎の密度を高くすることにより、幅方向端部近傍での炉内温度の低下を防止している。
しかしながら、点火炉8の構造は、これに限られず、例えば、図8に示されるように、バーナ12を点火炉8の幅方向に均等に配置した構成としてもよく、パレット3の進行方向に1段又は3段にバーナ12、13を配列してもよい。要するに、バーナ12、13、14の配置は、点火炉8の炉内温度が均一となるように、適宜設ければよい。
【0030】
次に、図3に示されるように、さらに、天井壁11の下面には、点火炉8の炉内温度を測定するために、温度検出センサ17が複数設けられている。この温度検出センサ17は、熱電対をセラミックス製の保護管で被覆して構成され、天井壁11を貫通して設けられ、保護管が天井壁11の下面に露出している。
この温度検出センサ17は、バーナ12の上流側の略中央に1箇所、下流側に3箇所設けられており、下流側の複数の温度検出センサ17は、点火炉8の幅方向に複数配列して設けられている。本実施形態では、下流側の複数の温度検出センサ17は、幅方向両端及び略中央に設けられているが、より高精度に炉内温度を測定する場合には、温度検出センサ17の本数を増やせばよい。
【0031】
前述した側壁9、仕切壁10、及び天井壁11は、図3乃至図6に示されるように、側壁ブロック19、仕切壁ブロック20、天井壁ブロック21、22を複数組み合わせて構成される。
すなわち、側壁9は、側壁ブロック19をパレット3の進行方向に3個配列して構成される(図3参照)。側壁ブロック19は、図6に示されるように、点火炉8の外周面に配置される鉄皮23と、鉄皮23の内面に溶接固定される複数の側面C字状のチャンネル材24と、各チャンネル材24に係止される複数の耐火物支持体25と、各耐火物支持体25の間の空間に不定形耐火物として流し込まれ、硬化した耐火物硬化体26とを備えている。
【0032】
仕切壁10は、仕切壁ブロック20をパレット3の幅方向に5個配列して構成される(図4参照)。仕切壁ブロック20は、図5に示されるように、点火炉8の外周面及び上面に配置される鉄皮23と、この鉄皮23の内部に配置される冷却配管部材23Aと、鉄皮23及び冷却配管部材23Aの間に不定形耐火物として流し込まれ、硬化した耐火物硬化体26とを備えて構成される。冷却配管部材23Aには、外部から冷却水が循環するようになっていて、仕切壁ブロック20が必要以上に高温となるのを防止している。
【0033】
天井壁11は、複数の天井壁ブロック21、22を平面的に配列して構成され、天井壁ブロック21及び天井壁ブロック22の相違は、天井壁ブロック21が天井面を完全に覆うように形成されているのに対して、天井壁ブロック22がバーナ12、13、14を貫通させる孔が形成されている点にある。
各天井壁ブロック21、22は、側壁ブロック19と同様に、上面に配置される鉄皮23と、鉄皮23の下面に溶接固定される側面C字状の複数のチャンネル材24と、各チャンネル材24に係止され、下方に垂下する複数の耐火物支持体25と、各耐火物支持体25の間に不定形耐火物として流し込まれ、硬化した耐火物硬化体26とを備えている。
【0034】
耐火物支持体25は、図9に示されるように、下方に垂下する直方体状の耐火物から構成され、チャンネル材24に係合する基部251と、略中央から下方先端に亘って側面に形成される凹凸部252とを備えて構成され、凹凸部252部分が不定形耐火物で充填された状態で硬化することにより、耐火物硬化体26は鉄皮23に対して固定される。尚、耐火物支持体25は、アルミナ、シリカ等を主原料とする耐火物粉末にバインダ等を添加して、プレス等により成形し、成形体を焼成することにより得られる。
【0035】
天井壁ブロック21、22は、前述した耐火物支持体25に加えて、図10、図11に示されるように、金属製支持体27、28を備え、これにより、側壁ブロック19等よりより強固に不定形耐火物硬化体26の固定がなされている。
金属製支持体27、28は、鉄皮23の下面に溶接固定される基部271、281と、この基部271、281から鉛直下方に延びる軸部272、282と、軸部272、282の中間及び先端に設けられるアンカー部273、283とを備えて構成される。アンカー部273、283は、軸部272、282の中間部分及び先端部に溶接固定される正面Y字状の部材である。尚、金属製支持体27の先端部のアンカー部273は、板状体を折り曲げて形成されたものであり、他のアンカー部273、283は、軸部272、282と同様の棒状体をY字状に折り曲げて形成される。これら金属製支持体27、28は、ステンレス製等の金属材料を加工して形成される。
【0036】
前述した天井壁ブロック21、22は、具体的には、次のようにして製造される。
まず、鉄皮23を基台に設置し、チャンネル材24、金属製支持体27、28を鉄皮23に溶接固定する。
次に、溶接固定されたチャンネル材24内に耐火物支持体25を、チャンネル材24の側方から差し込み、耐火物支持体25の基部251をチャンネル材24に係止させる。また、この際、バーナ12、13、14の火炎放射管12A、13A、14Aも鉄皮23上に設置しておく。
最後に、天井壁ブロック21、22の大きさに応じた型枠板で耐火物支持体25、金属製支持体27、28、及び火炎放射管12A〜14Aの設置された空間を囲み、必要に応じて鉄皮23の上面にセラミックス製のフェルトに水を含浸させたウェットフェルトを敷き詰め、その上に水で混練したスラリー状の不定形耐火物を流し込み、所定の雰囲気で養生し、硬化させて耐火物硬化体26とする。
一方、側壁ブロック19は、天井壁ブロック21、22の場合と略同様に、鉄皮23を基台に設置して、チャンネル材24を溶接した後、耐火物支持体25をチャンネル材24に係止させた後、不定形耐火物を流し込み、所定の雰囲気で養生し、硬化させて耐火物硬化体26とすることにより、製造される。
また、仕切壁ブロック20は、鉄皮23を基台に設置し、冷却配管部材23Aを鉄皮23に固定した後、不定形耐火物を流し込み、所定の雰囲気で養生し、硬化させて耐火物硬化体26とすることにより製造される。
【0037】
本実施形態では、流し込む不定形耐火物の構成は、側壁ブロック19、仕切壁ブロック20、天井壁ブロック21、22で異なるものとしている。
具体的には、側壁ブロック19は、鉄皮23面上に流し込まれるアルミナシリカ系の断熱キャスタブルと、その上に流し込まれるアルミナ及びCaOを主成分とする耐火キャスタブルとの2層構成からなり、厚さは、略400mmに設定されている。
仕切壁ブロック20は、内部に冷却配管部材23Aが設けられているので、アルミナ及びCaOを主成分とする耐火キャスタブルのみからなり、厚さは、略300mmで設定している。
天井壁ブロック21、22は、鉄皮23の面にセラミックファイバ製のウェットフェルトを2層敷き詰め、その上にアルミナシリカ系の断熱キャスタブルを流し込み、さらにその上に流し込まれるアルミナ及びCaOを主成分とする耐火キャスタブルとの4層構成とされ、厚さは、略400mmに設定されている。
【0038】
このような側壁9、仕切壁10、天井壁11間のジョイント部、及び側壁ブロック19、仕切壁ブロック20、天井壁ブロック21、22同士のジョイント部には、耐火シール処理が施されている。
具体的に天井壁ブロック21、22間のジョイント部で説明すると、図12(A)、(B)に示されるように、ジョイント部で向き合う天井壁ブロック21のジョイント面211及び天井壁ブロック22のジョイント面221には、セラミックファイバシート29が張り付けられている。セラミックファイバシート29はアルミナ、シリカ、あるいはこれに加えてZrO2等の金属酸化物を原料とし、スピニング法で製造された繊維を積層し、ニードリングを行ってブランケット状に形成したシート状体として構成される。
【0039】
このセラミックファイバシート29は、シリカ、アルミナを主成分とするシャモット質骨材に無機バインダを添加して混練した接着剤により、各天井壁ブロック21、22のジョイント面211、221に張り付けられる。
また、詳しくは後述するが、セラミックファイバシート29は、図12(B)に示されるように、天井壁ブロック21、22の高さ位置を変更した場合であっても、耐火シール性能が損なわれないように、ジョイント面211、221の全面に亘って張り付けられている。
尚、セラミックファイバシート29の張り付けは、これに限られるものではなく、例えば、図13に示されるように、天井壁ブロック21、22の略2倍の高さ寸法を有するセラミックファイバシート30を、略中央部でU字状に折り曲げて、セラミックファイバシート30の端部を、各天井壁ブロック21、22のジョイント面211、221の下方部分31で接着するようにしてもよく、このような場合も、天井壁ブロック21、22の高さ位置を変更しても、耐火シール性能が損なわれることはない。
【0040】
また、天井壁ブロック21、22のジョイント部上面には、図14に示されるように、セラミックファイバシート29の当接面上部に、紙面直交方向に延びるセラミックロープ32が設けられ、ジョイント部における耐火シール性能を向上させている。セラミックロープ32は、ニッケルをベースとし、鉄、クロム、ニオブ、モリブデン等の合金元素量が添加されたインコネル(International Nickel Companyの登録商標)を補強線材とするセラミックファイバ紡織材であり、天井壁ブロック21、22間のジョイント部に沿って設けられている。
【0041】
前述した側壁ブロック19は、支柱15に対して独立に上下に移動可能に支持されており、図示を略したが、例えば、鉄皮23の外周面にボルトとナットから構成されるネジ締め構造を形成し、このネジ締め構造で支柱15に締め付け固定する。側壁ブロック19を上下に移動させる場合、ネジを緩め、所望の上下位置に移動させたら、再びネジを締め付けて支柱15に固定する。尚、複数の側壁ブロック19を組み合わせて構成される側壁9には、必要に応じて補助バーナを設けることができる。
一方、天井壁ブロック21、22は、図15に示されるようなネジ締め構造により固定される。具体的には、天井壁ブロック21、22は、鉄皮23の上面に複数のスタッドボルト33が立設されており、フレーム16への固定に際しては、フレーム16に形成された孔にこのスタッドボルト33を挿通し、スタッドボルト33に螺合させた2つのナット34でフレーム16を上下で挟み込んで固定する。天井壁ブロック21、22の上下位置を調整する場合、下側のナット34を緩め、上側のナット34を回して上下位置を調整し、天井ブロック21、22が所望の位置に調整できたら、下側のナット34を回して固定する。仕切壁ブロック20も同様の構造でフレーム16に固定される。
ちなみに、仕切壁ブロック20、天井壁ブロック21、22の固定構造はこれに限られる訳ではなく、チェーンにて吊り下げて可動させることでも良い。
【0042】
そして、以上のような側壁ブロック19の支柱15への支持構造、仕切壁ブロック20及び天井壁ブロック21、22のフレーム16への支持構造において、ネジ締め構造を緩めたり締め付けたりすることにより、ブロック19〜22の上下位置を、他のブロック19〜22とは独立して自由に調整することができる。
例えば、図16に示されるように、パレット3の進行方向下流側の仕切壁10(図15中右側)を構成する仕切壁ブロック20を下方に突出させ、バーナ12、13が一体的に設けられた天井壁11を構成する天井壁ブロック22を下方に突出させ、バーナ12、13の火炎をパレット3上の焼結原料Mに近づけるような設定が可能となる。
また、図17に示されるように、仕切壁10構成する仕切壁ブロック20を下方に突出させ、天井壁11を構成するバーナ12、13よりも上流側に設けられる天井壁ブロック21を下方に突出させることも可能である。
【0043】
さらに、図18に示されるように、バーナ13が一体的に設けられた天井壁11を構成する複数の天井壁ブロック22のうち、パレット3の幅方向に配列されるバーナ14が設けられた天井壁ブロック22を下方に突出させ、バーナ14の火炎をパレット3上の焼結原料Mに近づけるように設定することも可能である。
このように本実施形態に係る点火炉8では、側壁9、仕切壁10、及び天井壁11を構成する任意の壁ブロック19〜22を上下に移動可能となっており、壁ブロック19〜22の任意のブロックを炉内温度に応じて部分的に下方に突出させることも可能であり、天井壁11を構成する天井壁ブロック21、22を全体に下降させ、点火炉8の炉内空間全体の容積を小さくしたり、側壁9の一方を下降させ、下降させた側壁9の近傍の炉内温度を上昇させることが可能である。
【0044】
次に、前述した構造の点火炉8における点火炉8の炉内温度調整方法について説明する。
まず、点火炉8を点火してバーナ12、13、14から火炎を放射した状態で、バーナ12、13、14の下流側に設置された複数の温度検出センサ17を用いて、点火炉8内部の温度分布を測定する。
例えば、点火炉8の幅方向の炉内温度の分布が、図19のグラフG1に示されるような形で検出された場合、炉内温度の分布にバラツキが生じないように天井壁11を構成する天井壁ブロック21、22の上下位置を調整する。
【0045】
具体的には、図16に示されるように、バーナ12、13が設けられた天井壁ブロック22を下降させ、バーナ14が設けられた幅方向端部の天井壁ブロック22は下降させない状態で各バーナ12〜14から放射される火炎の上下位置を調整することにより、中央部の炉内温度を上げ、図19におけるグラフG2のように均一な温度分布とすることもできる。
また、天井壁ブロック21、22を動かすことなく、側壁ブロック19を上昇させ、外気の導入量を増加させることにより、端部位置での炉内温度を降下させることで、炉内温度の分布の均一化を図ってもよい。
【0046】
要するに、本実施形態の点火炉8、及び点火炉8の炉内温度調整方法によれば、側壁9、仕切壁10、天井壁11を構成する壁ブロック19〜22を任意の上下位置に調整することができるため、温度検出センサ17で測定された点火炉8の炉内温度の分布に応じて、壁ブロック19〜22の上下位置を調整し、点火炉8の炉内温度を均一に制御することが可能となり、パレット3内の焼結原料、の加熱ムラを生じさせることがなく、かつ、安定した品質の焼結鉱を製造することができる。
尚、本実施形態では、側壁9、仕切壁10、天井壁11を壁ブロック19〜22で分割形成していたが、これに限らず、側壁、仕切壁、天井壁を1つの大きな板体として構成し、これらの壁が独立して上下に移動するように構成してもよく、さらには、側壁、仕切壁、天井壁全てが独立して上下に移動しなければならないわけではなく、少なくともいずれかの壁が上下に移動可能となっていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係る焼結機の構造を表す模式側面図。
【図2】前記実施形態における焼結機の構造を表すパレットの移動方向から見た模式正面図。
【図3】前記実施形態における焼結機を構成する点火炉の天井見上げ方向から見た平面図。
【図4】前記実施形態における点火炉のパレットの移動方向から見た正面図。
【図5】図3のA1−A1線における断面図。
【図6】図3のA2−A2線におけるバーナの配置を表す断面図。
【図7】図3のA3−A3線におけるバーナの配置を表す断面図。
【図8】前記実施形態の変形となるバーナの配置を表す断面図。
【図9】前記実施形態における耐火物支持体の構造を表す正面図及び側面図。
【図10】前記実施形態における金属製支持体の構造を表す正面図、側面図、及び平面図。
【図11】前記実施形態における他の金属製支持体の構造を表す正面図、側面図、及び平面図。
【図12】前記実施形態における側壁及び他の壁のジョイント部、又は壁ブロック間のジョイント部における耐火シールの構造を表す模式断面図。
【図13】前記実施形態の変形となる耐火シールの構造を表す模式断面図。
【図14】前記実施形態における天井壁のジョイント部の上部の耐火シールの構造を表す模式断面図。
【図15】前記実施形態における天井壁を構成する天井壁ブロックの固定構造を表す側面図。
【図16】前記実施形態における天井壁、仕切壁を構成する壁ブロックの一部を下降させた状態を表す模式断面図。
【図17】前記実施形態における天井壁、仕切壁を構成する壁ブロックの一部を下降させた状態を表す模式断面図。
【図18】前記実施形態における天井壁を構成する壁ブロックのうち、幅方向端部の壁ブロックを下降させた状態を表す模式断面図。
【図19】前記実施形態における壁ブロックの上下位置調整により調整された炉内温度の分布の例を表すグラフ。
【符号の説明】
【0048】
1…焼結機、2…フィーダ、3…パレット、3A…側壁、4…クローラ、5…駆動輪、6…遊動輪、7…ダクト、8…点火炉、9…側壁、10…仕切壁、11…天井壁、12…バーナ、12A…火炎放射管、13…バーナ、13A…火炎放射管、14…バーナ、14A…火炎放射管、15…支柱、16…フレーム、17…温度検出センサ、19…側壁ブロック、20…仕切壁ブロック、21…天井壁ブロック、22…天井壁ブロック、23…鉄皮、23A…冷却配管部材、24…チャンネル材、25…耐火物支持体、26…不定形耐火物硬化体、27…金属製支持体、28…金属製支持体、29…セラミックファイバシート、30…セラミックファイバシート、31…下方部分、32…セラミックロープ、33…スタッドボルト、34…ナット、211…ジョイント面、221…ジョイント面、251…基部、252…凹凸部、271…基部、272…軸部、273…アンカー部、281…基部、282…軸部、283…アンカー部、M…焼結原料
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結機の点火炉、点火炉の炉内温度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼結鉱の製造には、ドワイドロイド式直線焼結機等の焼結機が用いられることが知られている。この焼結機は、無端状に連結された複数のパレット内に、焼結原料を装入し、動力源によってパレットを進行させながら、点火炉によって焼結原料を点火し、通風によって燃焼を継続させることにより、焼結原料の焼結を行うものである。焼結原料は、粉体の鉱石の組成に応じて、生石灰、酸化ケイ素、粉コークス等の凝結材、及び水分を加えて混合して生成される。
点火炉は、上述した成分から構成される焼結原料に点火する炉であり、一対の側壁、一対の仕切壁、天井壁、及びバーナを備えて構成される。
一対の側壁は、パレットの進行方向に直交する幅方向端部に配置され、一対の仕切壁は、パレットの進行方向における、一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結している。天井壁は、一対の側壁及び一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆い、複数のバーナは、天井壁に貫通して設けられ、下方に火炎を放射して、パレット内の焼結原料を加熱する。
【0003】
ところで前述した焼結機においては、点火炉における炉内温度を均一に維持することができない場合や、ホッパからパレット内に装入される焼結原料の量が異なり、原料層の層厚が異なる場合があり、このような場合、パレット内に装入された焼結原料の加熱ムラが生じてしまうという問題がある。
このため、従来、点火炉の天井壁に設置されるバーナのうち、パレットの進行方向に直交する幅方向端部に配置されるバーナを、パレット内壁の傾斜面に沿った角度に配置し、焼結原料を過不足なく加熱する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、天井壁に設置されるバーナを天井壁に対して上下させることにより、焼結原料の加熱ムラを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平1−114692号公報
【特許文献2】特開平3−17497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に開示される技術では、天井壁の形状がフラットで、かつ天井の高さ位置が固定されているため、バーナの角度を変更しただけでは、炉内の幅方向の温度分布を均一とすることは実際上困難である。加えて、天井壁の高さ位置が固定され、バーナも天井壁に固定されているため、パレット内に装入された焼結原料の量によっては、バーナから放射された火炎によって焼結原料が天井、側壁等に溶融付着し、耐火物が損傷する可能性がある。
【0006】
また、前記特許文献2に開示される技術では、天井壁の高さ位置を固定した状態でバーナを上下に移動させているため、天井壁とバーナ間に隙間が生じ、この隙間から大気が侵入して、炉内温度が安定しにくいという可能性がある。
さらに、天井壁の高さ位置を固定した状態でバーナを上下に移動させると、例えば、下降させたバーナの直下の原料が選択的に加熱され、却って加熱ムラを生じてしまうという可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、パレット内の焼結原料の加熱ムラを生じさせることなく、かつ、安定した品質の焼結鉱を製造することのできる、焼結機の点火炉、及び点火炉の炉内温度調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
(1) パレット内に焼結原料を装入し、該パレットを進行させながら、前記焼結原料を焼結する焼結機の点火炉であって、
前記パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、
前記パレットの進行方向における、前記一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁と、
前記一対の側壁及び前記一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆う天井壁と、
前記天井壁を貫通して該天井壁と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、前記パレット内の焼結原料を加熱・点火する複数のバーナとを備え、
前記一対の側壁、前記一対の仕切壁、前記天井壁のうち、少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、
前記可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動することを特徴とする焼結機の点火炉。
【0009】
(2) (1)に記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、天井壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
(3) (1)又は(2)に記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、複数の壁ブロックを組合せて構成され、
各壁ブロックが独立して上下に移動可能とされていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【0010】
(4) (1)乃至(3)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁と他の壁のジョイント部、又は、隣り合う前記壁ブロックのジョイント部には、耐火シールが施されていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(5) (4)に記載の焼結機の点火炉において、
前記ジョイント部には、該ジョイント部で向き合う各壁又は各ブロックのジョイント面にセラミックファイバシートが張り付けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(6) (4)に記載の焼結機の点火炉において、
前記ジョイント部には、側面略U字状に折り曲げられ、前記ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面に、端部が張り付けられた1枚のセラミックファイバシートが介在していることを特徴とする焼結機の点火炉。
【0011】
(7) (1)乃至(6)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁には、前記点火炉内部の温度を測定する温度検出センサが設けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(8) (7)に記載の焼結機の点火炉において、
前記温度検出センサは、前記天井壁の幅方向に複数配列して設けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(9) (8)に記載の焼結機の点火炉において、
複数の前記温度検出センサは、前記パレットの進行方向における、前記複数のバーナの下流側に配置されていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【0012】
(10) (1)乃至(9)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、前記一対の仕切壁のうち、少なくともいずれかの仕切壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
(11) (1)乃至(10)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、前記一対の側壁のうち、少なくともいずれかの側壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
(12) (1)乃至(11)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、この板状体の下面に設けられる係止片に係止され、下方に垂下する耐火物支持体と、前記耐火物支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えていることを特徴とする焼結機の点火炉。
(13) (1)乃至(12)のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、前記板状体の下面に設けられ、下方に垂下する金属製支持体と、前記金属製支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【0013】
(14) パレット内に焼結原料を装入し、該パレットを進行させながら、前記焼結原料を焼結する焼結機の点火炉の炉内温度調整方法であって、
前記点火炉は、
前記パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、
前記パレットの進行方向における、前記一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁と、
前記一対の側壁及び前記一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆う天井壁と、
前記天井壁を貫通して該天井壁と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、前記パレット内の焼結原料を加熱・点火する複数のバーナとを備え、
前記一対の側壁、前記一対の仕切壁、及び前記天井壁の少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、該可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動し、
前記天井壁に温度検出センサを設置して、前記点火炉内の幅方向の炉内温度の分布を測定する手順と、
測定された炉内温度の分布に基づいて、前記可動壁を上下に移動させ、前記点火炉の炉内温度を調整する手順とを実施することを特徴とする焼結機の点火炉の炉内温度調整方法。
(15) (14)に記載の焼結機の点火炉の炉内温度調整方法において、
前記炉内温度の分布を測定する手順は、前記パレットの進行方向における、前記複数のバーナの下流側に、前記温度検出センサを幅方向に複数配列し、各温度検出センサの測定値から、前記炉内温度の分布を測定することを特徴とする焼結機の点火炉の炉内温度調整方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、可動壁は、一対の側壁、一対の仕切壁、天井壁のいずれか、又はこれら壁の任意の組合せ、さらには全部の壁であってもよい。また、可動壁は、壁の一部が上下に移動してもよく、全部が一体で上下するように構成してもよい。また、上下に移動するとは、上下にスライドする構造であってもよく、可動壁の一端を軸として回動するような構造であってもよい。要するに、可動壁は、上下に移動することにより、点火炉内部の容積を変更したり、実質的にバーナを壁毎に、パレット中の焼結原料に接近、離間させる構造であればよい。
この発明によれば、一対の側壁、一対の仕切壁、天井壁のうち、少なくともいずれかの壁の少なくとも一部が上下に移動する可動壁とし、可動壁を移動させることにより、点火炉の炉内容積や放熱量を変化させることができる。従って、点火炉の内部の温度を測定して炉内の温度分布を把握し、炉内の温度分布に応じて可動壁を適切に移動させることにより、炉内の温度分布を均一に調整することができ、製品である焼結鉱の品質を安定させることができる。
また、可動壁を天井壁とすることにより、天井壁とともにバーナも上下に移動するため、バーナによる焼結原料への点火を容易にすることができる。
【0015】
本発明では、可動壁は複数の壁ブロックを組み合わせて構成され、各壁ブロックが独立して上下に可動可能とされているのが好ましい。壁ブロックを組合せて構成する壁としては、一対の側壁、一対の仕切壁、及び天井壁の少なくともいずれかであればよい。
この発明によれば、可動壁が壁ブロックを組合せて構成されることにより、壁ブロックを必要最小限上下に移動させるだけで炉内の温度分布を調整することができ、さらには、壁全体を上下させる場合よりも、より細やかな温度分布の調整を実現できる。
【0016】
本発明では、可動壁と他の壁のジョイント部、又は、隣り合う壁ブロックのジョイント部には、耐火シールが施されているのが好ましい。
ここで、耐火シールが施されるジョイント部の構成としては、ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面にセラミックファイバシートが張り付けられた構成を採用することができ、又は、側面略U字状に折り曲げられ、ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面に、端部が張り付けられた1枚のセラミックファイバシートが介在した構成を採用することができる。
この発明によれば、ジョイント部に耐火シールを施すことにより、ジョイント部から炉内の熱気が外部に放出されることを防止できるため、炉内を安定した温度分布とすることができる。
【0017】
本発明では、天井壁に点火炉内部の温度を測定する温度検出センサが設けられているのが好ましく、より好ましくは、温度検出センサが天井壁の幅方向に複数配列して設けられているのが好ましく、特に、複数の温度検出センサが、パレットの進行方向における、複数のバーナの下流側に配置されているのが好ましい。
この発明によれば、温度検出センサにより、点火炉内部の温度分布を測定することができるため、測定結果に応じて可動壁の位置を調整することで、点火炉内部の温度分布を均一にすることができる。
また、焼結機では、幅方向に温度分布のバラツキが生じ易いので、温度検出センサを幅方向に複数配列して、各温度検出センサの測定値からより高精度に点火炉内部の温度分布を把握することができる。
さらに、複数の温度検出センサが複数のバーナの下流側に配置されることにより、バーナの火炎による炉内の温度分布を正確に把握することができるため、一層高精度に点火炉内部の温度分布を把握することができる。
【0018】
本発明では、可動壁は一対の仕切壁のうち、少なくともいずれかの仕切壁であるのが好ましく、より好ましくは、パレットの進行方向における下流側の仕切壁である。
この発明によれば、仕切壁を可動させることにより、パレット進行方向におけるバーナから放射された火炎の流れを制御することができるため、焼結原料の加熱ムラを無くして均一な品質の焼結鉱を製造することができる。
本発明では、可動壁は一対の側壁のうち、少なくともいずれかの側壁であるのが好ましく、一対の側壁いずれもが独立して上下に移動するのがより好ましい。
この発明によれば、側壁を上下に移動することにより側壁とパレット側面の重なり代を調整することができるため、パレット側面の外部から導入される空気の量を調整することで、炉内温度の分布を制御し易くなる。
【0019】
本発明では、天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、この板状体の下面に設けられる係止片に係止され、下方に垂下する耐火物支持体と、耐火物支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えて構成することができる。
また、天井壁を、上面に配置される金属製の板状体と、板状体の下面に設けられ、下方に垂下する金属製支持体と、金属製支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えた構成としてもよい。
さらに、天井壁は、耐火物支持体及び金属製支持体を併用して構成してもよい。
この発明によれば、耐火物硬化体は、耐火物支持体及び金属製支持体の少なくともいずれかにより板状体に固定されるため、耐火物硬化体の面を、下面として天井壁に設置した際、耐火物硬化体が金属製の板状体から脱落することを防止できる。また、耐火物支持体を用いることにより、高温下でも耐火物硬化体を強固に板状体下面に保持することができる。
【0020】
本発明の炉内温度調整方法によれば、前述したように、温度検出センサで測定した温度から炉内の温度分布を把握して、これに基づいて可動壁の位置を調整することで点火炉内部の温度分布を均一にすることができ、加熱ムラのない高品質な焼結鉱を製造することができる。
また、複数の温度センサを、パレットの進行方向における、複数のバーナの下流側に配置することにより、炉内温度分布の測定を一層高精度に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。ちなみに、本発明の実施形態は、以下に記載する実施形態に限定されるものではない。
図1、図2には、本発明の実施形態に係るドワイドロイド式の焼結機1が示されている。この焼結機1は、粉末状の金属に、生石灰、酸化ケイ素、粉コークス等の凝結材を添加し、水分を加えて混練した焼結原料をパレット中に装入し、上部からバーナ火炎により加熱して焼結させ、焼結鉱を製造する装置であり、フィーダ2、パレット3、クローラ4、駆動輪5、遊動輪6、ダクト7、及び点火炉8を備えて構成される。
【0022】
フィーダ2は、上部から焼結原料が供給され、下部排出口からパレット3内に所定量の焼結原料を装入する原料供給部である。
パレット3は複数設けられており、各パレット3は、クローラ4によって連結されている。このパレット3は、図2に示されるように、上部が開口された箱形状の金属製の容器であり、底部には、パレット3の連結方向に沿って延びるスリット状の開口が複数形成されている。
パレット3の高さは略700mmとされ、パレット3内には、400mm〜700mmの高さで焼結原料Mがフィーダ2から装入される。
【0023】
クローラ4は、駆動輪5、遊動輪6に巻回される金属製の無端ベルトとして構成され、図2に示されるように、パレット3の幅方向端部を支持している。そして、駆動輪5を動力源により回転させると、クローラ4が回転し、連結された複数のパレット3が所定の速度で進行する。
ダクト7は、図示を略したが、ブロアに接続されており、ブロアを動作させると、パレット3の下方空間の空気を吸い出し、これに伴い、パレット3の上方から冷却された空気が導入され、点火炉8によって点火された焼結原料の燃焼を維持するとともに、燃焼後の焼結鉱を冷却する。
【0024】
このような焼結機1では、フィーダ2に焼結原料が供給されると、下部排出口から所定量の焼結原料がパレット3内に装入され、駆動輪5の駆動とともに、各パレット3は、点火炉8に進行し、点火炉8内で焼結原料が点火される。焼結原料Mの点火後、点火した焼結原料Mは、ダクト7の吸い出しに伴う空気により、燃焼が維持され、空気により冷却され、図1では図示を略したが、クラッシャによって破砕され、所定径の焼結鉱が製造される。
【0025】
点火炉8は、図3及び図4に示されるように、底部が開口された直方体状の箱体であり、一対の側壁9、一対の仕切壁10、天井壁11、及びバーナ12、13、14を備えて構成される。尚、図3は、下方から見上げた天井壁11の下面図であり、図4は、パレット3の進行方向から見た側面図である。
一対の側壁9は、パレット3の進行方向に沿って延びるように形成され、パレット3を挟むように対向配置され、各側壁9は、点火炉8に立設される複数本の支柱15に支持される。各側壁9の下端は、パレット3の側壁3Aの上端部を覆う位置まで延出している。
【0026】
一対の仕切壁10は、パレット3の進行方向における側壁9の前側端部同士、後側端部同士を連結するように設けられている。各仕切壁10の上端は、側壁9の上端と揃えられ、側壁9を支持する支柱15間に架設されるフレーム16に取り付けられている。また、各仕切壁10の下端は、側壁9の下端よりも上側に位置している。
天井壁11は、一対の側壁9及び一対の仕切壁10によって囲まれる空間の上面を覆うように設けられており、仕切壁10と同様に、フレーム16に支持されている。この天井壁11には、図3のA1−A1線における断面図である図5に示されるように、天井壁11を貫通して、複数のバーナ12、13が設けられている。
【0027】
パレット3の進行方向における、上流側のバーナ12は、図3のA2−A2線における断面図である図6に示されるように、点火炉8の幅方向に複数配列して設けられ、幅方向両端にはバーナ14が複数設けられている。
また、パレット3の進行方向における、下流側のバーナ13は、図3のA3−A3線における断面図である図7に示されるように、バーナ12と同様に点火炉8の幅方向に複数配列して設けられ、幅方向両端にはバーナ14が複数設けられている。
【0028】
バーナ12、13、14は、火炎放射口が天井壁11の下面に露出するように設けられ、バーナ12、13、14の火炎放射管12A、13A、14Aは、天井壁11と一体化されている。尚、バーナ12、バーナ13の相違は、図5に示されるように、バーナ12では火炎放射管12Aの断面が下方に行くに従って拡がる円錐台形状の断面に形成されているのに対して、バーナ13ではパレット3の進行方向に沿った火炎放射管13Aの断面が下方に行くに従って狭まる三角形状の断面に形成されている点にある。また、バーナ14は、バーナ12、13よりも小型のものである。
【0029】
本実施形態では、点火炉8の幅方向端部近傍で側壁9の下端と、パレット3の上端との間に隙間が形成されているため、この近傍での点火炉8の炉内温度が中央部よりも低下し易いため、複数の小型のバーナ14を配置して火炎の密度を高くすることにより、幅方向端部近傍での炉内温度の低下を防止している。
しかしながら、点火炉8の構造は、これに限られず、例えば、図8に示されるように、バーナ12を点火炉8の幅方向に均等に配置した構成としてもよく、パレット3の進行方向に1段又は3段にバーナ12、13を配列してもよい。要するに、バーナ12、13、14の配置は、点火炉8の炉内温度が均一となるように、適宜設ければよい。
【0030】
次に、図3に示されるように、さらに、天井壁11の下面には、点火炉8の炉内温度を測定するために、温度検出センサ17が複数設けられている。この温度検出センサ17は、熱電対をセラミックス製の保護管で被覆して構成され、天井壁11を貫通して設けられ、保護管が天井壁11の下面に露出している。
この温度検出センサ17は、バーナ12の上流側の略中央に1箇所、下流側に3箇所設けられており、下流側の複数の温度検出センサ17は、点火炉8の幅方向に複数配列して設けられている。本実施形態では、下流側の複数の温度検出センサ17は、幅方向両端及び略中央に設けられているが、より高精度に炉内温度を測定する場合には、温度検出センサ17の本数を増やせばよい。
【0031】
前述した側壁9、仕切壁10、及び天井壁11は、図3乃至図6に示されるように、側壁ブロック19、仕切壁ブロック20、天井壁ブロック21、22を複数組み合わせて構成される。
すなわち、側壁9は、側壁ブロック19をパレット3の進行方向に3個配列して構成される(図3参照)。側壁ブロック19は、図6に示されるように、点火炉8の外周面に配置される鉄皮23と、鉄皮23の内面に溶接固定される複数の側面C字状のチャンネル材24と、各チャンネル材24に係止される複数の耐火物支持体25と、各耐火物支持体25の間の空間に不定形耐火物として流し込まれ、硬化した耐火物硬化体26とを備えている。
【0032】
仕切壁10は、仕切壁ブロック20をパレット3の幅方向に5個配列して構成される(図4参照)。仕切壁ブロック20は、図5に示されるように、点火炉8の外周面及び上面に配置される鉄皮23と、この鉄皮23の内部に配置される冷却配管部材23Aと、鉄皮23及び冷却配管部材23Aの間に不定形耐火物として流し込まれ、硬化した耐火物硬化体26とを備えて構成される。冷却配管部材23Aには、外部から冷却水が循環するようになっていて、仕切壁ブロック20が必要以上に高温となるのを防止している。
【0033】
天井壁11は、複数の天井壁ブロック21、22を平面的に配列して構成され、天井壁ブロック21及び天井壁ブロック22の相違は、天井壁ブロック21が天井面を完全に覆うように形成されているのに対して、天井壁ブロック22がバーナ12、13、14を貫通させる孔が形成されている点にある。
各天井壁ブロック21、22は、側壁ブロック19と同様に、上面に配置される鉄皮23と、鉄皮23の下面に溶接固定される側面C字状の複数のチャンネル材24と、各チャンネル材24に係止され、下方に垂下する複数の耐火物支持体25と、各耐火物支持体25の間に不定形耐火物として流し込まれ、硬化した耐火物硬化体26とを備えている。
【0034】
耐火物支持体25は、図9に示されるように、下方に垂下する直方体状の耐火物から構成され、チャンネル材24に係合する基部251と、略中央から下方先端に亘って側面に形成される凹凸部252とを備えて構成され、凹凸部252部分が不定形耐火物で充填された状態で硬化することにより、耐火物硬化体26は鉄皮23に対して固定される。尚、耐火物支持体25は、アルミナ、シリカ等を主原料とする耐火物粉末にバインダ等を添加して、プレス等により成形し、成形体を焼成することにより得られる。
【0035】
天井壁ブロック21、22は、前述した耐火物支持体25に加えて、図10、図11に示されるように、金属製支持体27、28を備え、これにより、側壁ブロック19等よりより強固に不定形耐火物硬化体26の固定がなされている。
金属製支持体27、28は、鉄皮23の下面に溶接固定される基部271、281と、この基部271、281から鉛直下方に延びる軸部272、282と、軸部272、282の中間及び先端に設けられるアンカー部273、283とを備えて構成される。アンカー部273、283は、軸部272、282の中間部分及び先端部に溶接固定される正面Y字状の部材である。尚、金属製支持体27の先端部のアンカー部273は、板状体を折り曲げて形成されたものであり、他のアンカー部273、283は、軸部272、282と同様の棒状体をY字状に折り曲げて形成される。これら金属製支持体27、28は、ステンレス製等の金属材料を加工して形成される。
【0036】
前述した天井壁ブロック21、22は、具体的には、次のようにして製造される。
まず、鉄皮23を基台に設置し、チャンネル材24、金属製支持体27、28を鉄皮23に溶接固定する。
次に、溶接固定されたチャンネル材24内に耐火物支持体25を、チャンネル材24の側方から差し込み、耐火物支持体25の基部251をチャンネル材24に係止させる。また、この際、バーナ12、13、14の火炎放射管12A、13A、14Aも鉄皮23上に設置しておく。
最後に、天井壁ブロック21、22の大きさに応じた型枠板で耐火物支持体25、金属製支持体27、28、及び火炎放射管12A〜14Aの設置された空間を囲み、必要に応じて鉄皮23の上面にセラミックス製のフェルトに水を含浸させたウェットフェルトを敷き詰め、その上に水で混練したスラリー状の不定形耐火物を流し込み、所定の雰囲気で養生し、硬化させて耐火物硬化体26とする。
一方、側壁ブロック19は、天井壁ブロック21、22の場合と略同様に、鉄皮23を基台に設置して、チャンネル材24を溶接した後、耐火物支持体25をチャンネル材24に係止させた後、不定形耐火物を流し込み、所定の雰囲気で養生し、硬化させて耐火物硬化体26とすることにより、製造される。
また、仕切壁ブロック20は、鉄皮23を基台に設置し、冷却配管部材23Aを鉄皮23に固定した後、不定形耐火物を流し込み、所定の雰囲気で養生し、硬化させて耐火物硬化体26とすることにより製造される。
【0037】
本実施形態では、流し込む不定形耐火物の構成は、側壁ブロック19、仕切壁ブロック20、天井壁ブロック21、22で異なるものとしている。
具体的には、側壁ブロック19は、鉄皮23面上に流し込まれるアルミナシリカ系の断熱キャスタブルと、その上に流し込まれるアルミナ及びCaOを主成分とする耐火キャスタブルとの2層構成からなり、厚さは、略400mmに設定されている。
仕切壁ブロック20は、内部に冷却配管部材23Aが設けられているので、アルミナ及びCaOを主成分とする耐火キャスタブルのみからなり、厚さは、略300mmで設定している。
天井壁ブロック21、22は、鉄皮23の面にセラミックファイバ製のウェットフェルトを2層敷き詰め、その上にアルミナシリカ系の断熱キャスタブルを流し込み、さらにその上に流し込まれるアルミナ及びCaOを主成分とする耐火キャスタブルとの4層構成とされ、厚さは、略400mmに設定されている。
【0038】
このような側壁9、仕切壁10、天井壁11間のジョイント部、及び側壁ブロック19、仕切壁ブロック20、天井壁ブロック21、22同士のジョイント部には、耐火シール処理が施されている。
具体的に天井壁ブロック21、22間のジョイント部で説明すると、図12(A)、(B)に示されるように、ジョイント部で向き合う天井壁ブロック21のジョイント面211及び天井壁ブロック22のジョイント面221には、セラミックファイバシート29が張り付けられている。セラミックファイバシート29はアルミナ、シリカ、あるいはこれに加えてZrO2等の金属酸化物を原料とし、スピニング法で製造された繊維を積層し、ニードリングを行ってブランケット状に形成したシート状体として構成される。
【0039】
このセラミックファイバシート29は、シリカ、アルミナを主成分とするシャモット質骨材に無機バインダを添加して混練した接着剤により、各天井壁ブロック21、22のジョイント面211、221に張り付けられる。
また、詳しくは後述するが、セラミックファイバシート29は、図12(B)に示されるように、天井壁ブロック21、22の高さ位置を変更した場合であっても、耐火シール性能が損なわれないように、ジョイント面211、221の全面に亘って張り付けられている。
尚、セラミックファイバシート29の張り付けは、これに限られるものではなく、例えば、図13に示されるように、天井壁ブロック21、22の略2倍の高さ寸法を有するセラミックファイバシート30を、略中央部でU字状に折り曲げて、セラミックファイバシート30の端部を、各天井壁ブロック21、22のジョイント面211、221の下方部分31で接着するようにしてもよく、このような場合も、天井壁ブロック21、22の高さ位置を変更しても、耐火シール性能が損なわれることはない。
【0040】
また、天井壁ブロック21、22のジョイント部上面には、図14に示されるように、セラミックファイバシート29の当接面上部に、紙面直交方向に延びるセラミックロープ32が設けられ、ジョイント部における耐火シール性能を向上させている。セラミックロープ32は、ニッケルをベースとし、鉄、クロム、ニオブ、モリブデン等の合金元素量が添加されたインコネル(International Nickel Companyの登録商標)を補強線材とするセラミックファイバ紡織材であり、天井壁ブロック21、22間のジョイント部に沿って設けられている。
【0041】
前述した側壁ブロック19は、支柱15に対して独立に上下に移動可能に支持されており、図示を略したが、例えば、鉄皮23の外周面にボルトとナットから構成されるネジ締め構造を形成し、このネジ締め構造で支柱15に締め付け固定する。側壁ブロック19を上下に移動させる場合、ネジを緩め、所望の上下位置に移動させたら、再びネジを締め付けて支柱15に固定する。尚、複数の側壁ブロック19を組み合わせて構成される側壁9には、必要に応じて補助バーナを設けることができる。
一方、天井壁ブロック21、22は、図15に示されるようなネジ締め構造により固定される。具体的には、天井壁ブロック21、22は、鉄皮23の上面に複数のスタッドボルト33が立設されており、フレーム16への固定に際しては、フレーム16に形成された孔にこのスタッドボルト33を挿通し、スタッドボルト33に螺合させた2つのナット34でフレーム16を上下で挟み込んで固定する。天井壁ブロック21、22の上下位置を調整する場合、下側のナット34を緩め、上側のナット34を回して上下位置を調整し、天井ブロック21、22が所望の位置に調整できたら、下側のナット34を回して固定する。仕切壁ブロック20も同様の構造でフレーム16に固定される。
ちなみに、仕切壁ブロック20、天井壁ブロック21、22の固定構造はこれに限られる訳ではなく、チェーンにて吊り下げて可動させることでも良い。
【0042】
そして、以上のような側壁ブロック19の支柱15への支持構造、仕切壁ブロック20及び天井壁ブロック21、22のフレーム16への支持構造において、ネジ締め構造を緩めたり締め付けたりすることにより、ブロック19〜22の上下位置を、他のブロック19〜22とは独立して自由に調整することができる。
例えば、図16に示されるように、パレット3の進行方向下流側の仕切壁10(図15中右側)を構成する仕切壁ブロック20を下方に突出させ、バーナ12、13が一体的に設けられた天井壁11を構成する天井壁ブロック22を下方に突出させ、バーナ12、13の火炎をパレット3上の焼結原料Mに近づけるような設定が可能となる。
また、図17に示されるように、仕切壁10構成する仕切壁ブロック20を下方に突出させ、天井壁11を構成するバーナ12、13よりも上流側に設けられる天井壁ブロック21を下方に突出させることも可能である。
【0043】
さらに、図18に示されるように、バーナ13が一体的に設けられた天井壁11を構成する複数の天井壁ブロック22のうち、パレット3の幅方向に配列されるバーナ14が設けられた天井壁ブロック22を下方に突出させ、バーナ14の火炎をパレット3上の焼結原料Mに近づけるように設定することも可能である。
このように本実施形態に係る点火炉8では、側壁9、仕切壁10、及び天井壁11を構成する任意の壁ブロック19〜22を上下に移動可能となっており、壁ブロック19〜22の任意のブロックを炉内温度に応じて部分的に下方に突出させることも可能であり、天井壁11を構成する天井壁ブロック21、22を全体に下降させ、点火炉8の炉内空間全体の容積を小さくしたり、側壁9の一方を下降させ、下降させた側壁9の近傍の炉内温度を上昇させることが可能である。
【0044】
次に、前述した構造の点火炉8における点火炉8の炉内温度調整方法について説明する。
まず、点火炉8を点火してバーナ12、13、14から火炎を放射した状態で、バーナ12、13、14の下流側に設置された複数の温度検出センサ17を用いて、点火炉8内部の温度分布を測定する。
例えば、点火炉8の幅方向の炉内温度の分布が、図19のグラフG1に示されるような形で検出された場合、炉内温度の分布にバラツキが生じないように天井壁11を構成する天井壁ブロック21、22の上下位置を調整する。
【0045】
具体的には、図16に示されるように、バーナ12、13が設けられた天井壁ブロック22を下降させ、バーナ14が設けられた幅方向端部の天井壁ブロック22は下降させない状態で各バーナ12〜14から放射される火炎の上下位置を調整することにより、中央部の炉内温度を上げ、図19におけるグラフG2のように均一な温度分布とすることもできる。
また、天井壁ブロック21、22を動かすことなく、側壁ブロック19を上昇させ、外気の導入量を増加させることにより、端部位置での炉内温度を降下させることで、炉内温度の分布の均一化を図ってもよい。
【0046】
要するに、本実施形態の点火炉8、及び点火炉8の炉内温度調整方法によれば、側壁9、仕切壁10、天井壁11を構成する壁ブロック19〜22を任意の上下位置に調整することができるため、温度検出センサ17で測定された点火炉8の炉内温度の分布に応じて、壁ブロック19〜22の上下位置を調整し、点火炉8の炉内温度を均一に制御することが可能となり、パレット3内の焼結原料、の加熱ムラを生じさせることがなく、かつ、安定した品質の焼結鉱を製造することができる。
尚、本実施形態では、側壁9、仕切壁10、天井壁11を壁ブロック19〜22で分割形成していたが、これに限らず、側壁、仕切壁、天井壁を1つの大きな板体として構成し、これらの壁が独立して上下に移動するように構成してもよく、さらには、側壁、仕切壁、天井壁全てが独立して上下に移動しなければならないわけではなく、少なくともいずれかの壁が上下に移動可能となっていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係る焼結機の構造を表す模式側面図。
【図2】前記実施形態における焼結機の構造を表すパレットの移動方向から見た模式正面図。
【図3】前記実施形態における焼結機を構成する点火炉の天井見上げ方向から見た平面図。
【図4】前記実施形態における点火炉のパレットの移動方向から見た正面図。
【図5】図3のA1−A1線における断面図。
【図6】図3のA2−A2線におけるバーナの配置を表す断面図。
【図7】図3のA3−A3線におけるバーナの配置を表す断面図。
【図8】前記実施形態の変形となるバーナの配置を表す断面図。
【図9】前記実施形態における耐火物支持体の構造を表す正面図及び側面図。
【図10】前記実施形態における金属製支持体の構造を表す正面図、側面図、及び平面図。
【図11】前記実施形態における他の金属製支持体の構造を表す正面図、側面図、及び平面図。
【図12】前記実施形態における側壁及び他の壁のジョイント部、又は壁ブロック間のジョイント部における耐火シールの構造を表す模式断面図。
【図13】前記実施形態の変形となる耐火シールの構造を表す模式断面図。
【図14】前記実施形態における天井壁のジョイント部の上部の耐火シールの構造を表す模式断面図。
【図15】前記実施形態における天井壁を構成する天井壁ブロックの固定構造を表す側面図。
【図16】前記実施形態における天井壁、仕切壁を構成する壁ブロックの一部を下降させた状態を表す模式断面図。
【図17】前記実施形態における天井壁、仕切壁を構成する壁ブロックの一部を下降させた状態を表す模式断面図。
【図18】前記実施形態における天井壁を構成する壁ブロックのうち、幅方向端部の壁ブロックを下降させた状態を表す模式断面図。
【図19】前記実施形態における壁ブロックの上下位置調整により調整された炉内温度の分布の例を表すグラフ。
【符号の説明】
【0048】
1…焼結機、2…フィーダ、3…パレット、3A…側壁、4…クローラ、5…駆動輪、6…遊動輪、7…ダクト、8…点火炉、9…側壁、10…仕切壁、11…天井壁、12…バーナ、12A…火炎放射管、13…バーナ、13A…火炎放射管、14…バーナ、14A…火炎放射管、15…支柱、16…フレーム、17…温度検出センサ、19…側壁ブロック、20…仕切壁ブロック、21…天井壁ブロック、22…天井壁ブロック、23…鉄皮、23A…冷却配管部材、24…チャンネル材、25…耐火物支持体、26…不定形耐火物硬化体、27…金属製支持体、28…金属製支持体、29…セラミックファイバシート、30…セラミックファイバシート、31…下方部分、32…セラミックロープ、33…スタッドボルト、34…ナット、211…ジョイント面、221…ジョイント面、251…基部、252…凹凸部、271…基部、272…軸部、273…アンカー部、281…基部、282…軸部、283…アンカー部、M…焼結原料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット内に焼結原料を装入し、該パレットを進行させながら、前記焼結原料を焼結する焼結機の点火炉であって、
前記パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、
前記パレットの進行方向における、前記一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁と、
前記一対の側壁及び前記一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆う天井壁と、
前記天井壁を貫通して該天井壁と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、前記パレット内の焼結原料を加熱・点火する複数のバーナとを備え、
前記一対の側壁、前記一対の仕切壁、前記天井壁のうち、少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、
前記可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動することを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項2】
請求項1に記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、天井壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、複数の壁ブロックを組み合わせて構成され、
各壁ブロックが独立して上下に移動可能とされていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁と他の壁のジョイント部、又は、隣り合う前記壁ブロックのジョイント部には、耐火シールが施されていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項5】
請求項4に記載の焼結機の点火炉において、
前記ジョイント部には、該ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面にセラミックファイバシートが張り付けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項6】
請求項4に記載の焼結機の点火炉において、
前記ジョイント部には、側面略U字状に折り曲げられ、前記ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面に、端部が張り付けられた1枚のセラミックファイバシートが介在していることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁には、前記点火炉内部の温度を測定する温度検出センサが設けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項8】
請求項7に記載の焼結機の点火炉において、
前記温度検出センサは、前記天井壁の幅方向に複数配列して設けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項9】
請求項8に記載の焼結機の点火炉において、
複数の前記温度検出センサは、前記パレットの進行方向における、前記複数のバーナの下流側に配置されていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、前記一対の仕切壁のうち、少なくともいずれかの仕切壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、前記一対の側壁のうち、少なくともいずれかの側壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、この板状体の下面に設けられる係止片に係止され、下方に垂下する耐火物支持体と、前記耐火物支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、前記板状体の下面に設けられ、下方に垂下する金属製支持体と、前記金属製支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項14】
パレット内に焼結原料を装入し、該パレットを進行させながら、前記焼結原料を焼結する焼結機の点火炉の炉内温度調整方法であって、
前記点火炉は、
前記パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、
前記パレットの進行方向における、前記一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁と、
前記一対の側壁及び前記一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆う天井壁と、
前記天井壁を貫通して該天井壁と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、前記パレット内の焼結原料を加熱・点火する複数のバーナとを備え、
前記一対の側壁、前記一対の仕切壁、及び前記天井壁の少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、該可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動し、
前記天井壁に温度検出センサを設置して、前記点火炉内の幅方向の炉内温度の分布を測定する手順と、
測定された炉内温度の分布に基づいて、前記可動壁を上下に移動させ、前記点火炉の炉内温度を調整する手順とを実施することを特徴とする焼結機の点火炉の炉内温度調整方法。
【請求項15】
請求項14に記載の焼結機の点火炉の炉内温度調整方法において、
前記炉内温度の分布を測定する手順は、前記パレットの進行方向における、前記複数のバーナの下流側に、前記温度検出センサを幅方向に複数配列し、各温度検出センサの測定値から、前記炉内温度の温度分布を測定することを特徴とする焼結機の点火炉の炉内温度調整方法。
【請求項1】
パレット内に焼結原料を装入し、該パレットを進行させながら、前記焼結原料を焼結する焼結機の点火炉であって、
前記パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、
前記パレットの進行方向における、前記一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁と、
前記一対の側壁及び前記一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆う天井壁と、
前記天井壁を貫通して該天井壁と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、前記パレット内の焼結原料を加熱・点火する複数のバーナとを備え、
前記一対の側壁、前記一対の仕切壁、前記天井壁のうち、少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、
前記可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動することを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項2】
請求項1に記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、天井壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、複数の壁ブロックを組み合わせて構成され、
各壁ブロックが独立して上下に移動可能とされていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁と他の壁のジョイント部、又は、隣り合う前記壁ブロックのジョイント部には、耐火シールが施されていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項5】
請求項4に記載の焼結機の点火炉において、
前記ジョイント部には、該ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面にセラミックファイバシートが張り付けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項6】
請求項4に記載の焼結機の点火炉において、
前記ジョイント部には、側面略U字状に折り曲げられ、前記ジョイント部で向き合う各壁又は各壁ブロックのジョイント面に、端部が張り付けられた1枚のセラミックファイバシートが介在していることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁には、前記点火炉内部の温度を測定する温度検出センサが設けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項8】
請求項7に記載の焼結機の点火炉において、
前記温度検出センサは、前記天井壁の幅方向に複数配列して設けられていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項9】
請求項8に記載の焼結機の点火炉において、
複数の前記温度検出センサは、前記パレットの進行方向における、前記複数のバーナの下流側に配置されていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、前記一対の仕切壁のうち、少なくともいずれかの仕切壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記可動壁は、前記一対の側壁のうち、少なくともいずれかの側壁であることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、この板状体の下面に設けられる係止片に係止され、下方に垂下する耐火物支持体と、前記耐火物支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の焼結機の点火炉において、
前記天井壁は、上面に配置される金属製の板状体と、前記板状体の下面に設けられ、下方に垂下する金属製支持体と、前記金属製支持体の周りの空間に流し込まれた不定形耐火物が硬化した耐火物硬化体とを備えていることを特徴とする焼結機の点火炉。
【請求項14】
パレット内に焼結原料を装入し、該パレットを進行させながら、前記焼結原料を焼結する焼結機の点火炉の炉内温度調整方法であって、
前記点火炉は、
前記パレットを挟んで、該パレットの進行方向に直交する幅方向に対向配置される一対の側壁と、
前記パレットの進行方向における、前記一対の側壁の前側端部同士及び後側端部同士を連結する一対の仕切壁と、
前記一対の側壁及び前記一対の仕切壁で囲まれた空間の上面を覆う天井壁と、
前記天井壁を貫通して該天井壁と一体的に設けられ、下方に火炎を放射して、前記パレット内の焼結原料を加熱・点火する複数のバーナとを備え、
前記一対の側壁、前記一対の仕切壁、及び前記天井壁の少なくともいずれかの壁が上下に移動する可動壁とされ、該可動壁は、少なくとも壁の一部が上下に移動し、
前記天井壁に温度検出センサを設置して、前記点火炉内の幅方向の炉内温度の分布を測定する手順と、
測定された炉内温度の分布に基づいて、前記可動壁を上下に移動させ、前記点火炉の炉内温度を調整する手順とを実施することを特徴とする焼結機の点火炉の炉内温度調整方法。
【請求項15】
請求項14に記載の焼結機の点火炉の炉内温度調整方法において、
前記炉内温度の分布を測定する手順は、前記パレットの進行方向における、前記複数のバーナの下流側に、前記温度検出センサを幅方向に複数配列し、各温度検出センサの測定値から、前記炉内温度の温度分布を測定することを特徴とする焼結機の点火炉の炉内温度調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−97761(P2009−97761A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268389(P2007−268389)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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