説明

焼肉鍋セット

【課題】配管部材をなくして自由に移動でき、焼肉とシャブシャブとを食することのできる焼肉鍋セットを提供すること
【解決手段】焼肉鍋セット10は、加熱炉1と中央部に桝状トレー部材20を着脱可能に装着する焼肉鍋11とから構成する。加熱炉10は、加熱炉本体2を、七輪を使用して構成し、炭5を載置するロストル7を備えている。炉壁3の上面には、複数の球体9を埋設して、焼肉鍋11を支持している。焼肉鍋11は、中央部に桝状トレー部材20を嵌合するための開口筒部12を形成するとともに、開口筒部12の周辺に焼肉面13を形成する。焼肉面13を、4分割して焼肉分割面を形成する。4分割する焼肉分割面の先端には、収納凹状体14を配置して肉汁の収納場所とするとともに、焼肉鍋11を加熱炉1から落下することを防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焼肉鍋と加熱炉を組付けて構成する焼肉鍋セットに関する。
【背景技術】
【0002】
焼肉店で焼肉を食する場合、各種の肉を鉄板あるいは網上に載せて焼き具合を見ながら食することになる。この場合、例えば、ガスコンロで加熱する場合には、火力の調整をするとともに焼き具合を見ながら適度に肉をひっくり返して食することになるものの、時間が経つにつれて、焼き過ぎることがあり、焼き過ぎた肉を捨ててしまうことがある。また、焼肉を食する場合、一人ではなく複数の人で食する場合が多く、肉を焼くことを好む人もあれば、好まない人もいる。この場合、例えば、焼肉のほかに同時に肉を煮ることができれば喜ばれることとなる。
【0003】
従来、焼肉鍋として、焼肉と煮込み野菜とを同一に料理できるものが特許文献1に開示されていた。これによると、中央に開口された火焔口を備え、火焔口の周辺に焼肉面を形成するとともに、火焔口に着脱可能な火焔遮断網を配置させている。火焔遮断網に煮鍋を載置させることにより、焼肉面で焼肉を料理し、煮鍋で野菜等を煮込むことができ、焼肉と煮込み野菜とを同一に料理できることとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭49−13471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
焼肉店では、多くの焼肉鍋セットを設置する際、加熱炉がガスを使用する場合にはガス配管を多量に用意しなければならないので、配管スペースをとることになり、食する人にとっては、配管が邪魔になっていた。また、配管及び加熱炉の位置がおおよそ決められることから、焼肉鍋セットを設置する場所の自由度が少ないという問題点もあった。
【0006】
そのため、加熱用配管部材をなくしてスペースを広げ、コンパクトで移動可能な焼肉鍋セットであって、しかも肉を焼くことと、肉を煮ることを同時に行える焼肉鍋セットが課題として挙げられていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、肉を焼くことと煮ることを同時に行え、しかも、コンパクトで移動可能な焼肉鍋セットを提供することを目的とする。そのために、本発明に係る焼肉鍋セットは、以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、焼肉鍋と、前記焼肉鍋を載設して炭火で加熱する加熱炉とを備えた焼肉鍋セットであって、前記焼肉鍋が、中央部に開口筒部と、前記開口筒部の周辺に分割して配設される焼肉面と、前記焼肉面に連接されて前記焼肉面の外周縁部から延設されるとともに等間隔の位置に配置される複数の位置ずれ防止部を備えて構成され、前記開口筒部には、桝状トレー部材が着脱可能に載設され、前記加熱炉が、珪藻土で形成されて上方が開口された筒状の炉壁と、前記炉壁内に配設されて炭を載設するロストルと、を備え、前記焼肉面が外周側に向かって下傾して形成されるとともに、前記焼肉面が前記炉壁の上面で支持され、前記焼肉面の少なくとも半分の面積が、前記炉壁の内周面の延長線上より内方にあることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1にかかわるものであって、前記焼肉鍋が、前記炉壁の上面に、前記炉壁から上方に突出した複数の支持部材に支持されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2の発明に係るものであって、前記炉壁の内周面の延長線上における前記焼肉面の位置は、前記焼肉鍋の中心位置から前記焼肉面の外周縁部までの長さの60〜80%の位置に配設されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3のいずれかの発明にかかわるものであって、前記炉壁の上部には、複数の通気溝が縦方向に形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1の発明に係るものであって、前記位置ずれ防止部が油又は焼肉を収納する収納凹状体として形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明における請求項1の構成によれば、加熱炉が珪藻土で形成されて上方が開口された筒状の炉壁、例えば、七輪を使用して構成することができ、炉壁内に配置した炭火で加熱することができることから、ガス配管をする必要がなく、配管部材が邪魔になることがない。また、移動可能に設置できることから、設置場所の自由度を向上することができる。また、複数に配設された位置ずれ防止部が焼肉鍋外周面を等間隔の位置に配設されることにより、焼肉鍋を加熱炉から落下させることがない。さらに桝状のトレー部に水を入れて加熱することにより、焼肉面の加熱温度を所定温度で保持することができ、肉を焼き過ぎることがなく、桝状のトレー部で肉を煮ることにより、シャブシャブとして食することが可能となる。さらに、焼肉面が分割されているから、複数の人数であっても一人分を確保することができる。
【0013】
請求項2の構成によれば、焼肉鍋を炉壁上に設置する際、炉壁上に複数の支持部材を突出するように配設すれば、焼肉鍋と炉壁との間で、常に、通気することができて、炭火の火力を保持することができる。
【0014】
請求項3の構成によれば、炉壁の内周面の延長線上における前記焼肉面の位置が、焼肉鍋の中心位置から焼肉面の外周縁部までの長さの60〜80%の位置に配設されているから、焼肉面が炉壁上で支持されていても、焼肉面の外周縁部が加熱されて、肉を焼くことができる。
【0015】
請求項4の構成によれば、炉壁の上部に縦方向の溝が形成されることにより、溝が通気口として形成されることから炭火に空気を送ることができる。
【0016】
請求項5の構成によれば、位置ずれ防止部を油や焼肉を収納可能な収納筒部に形成することにより、油たまりや、取り皿の代わりにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による焼肉鍋セットを示す組付断面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】加熱炉を示す平面図である。
【図4】同斜視図である。
【図5】焼肉鍋を示す平面図である。
【図6】同斜視図である。
【図7】焼肉鍋の別の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明の焼肉鍋セットにおける一実施形態を図に基づいて説明する。図1は、焼肉鍋セット10を示す断面図であり、図2はその平面図である。焼肉鍋セット10は、加熱炉1上に焼肉鍋11を装着して構成している。焼肉鍋11の中央部には、桝状トレー部材20が着脱可能に載置されている。
【0019】
図1及び図3〜4に示すように、加熱炉1は、加熱炉本体2として七輪が使用され、珪藻土で形成された炉壁3と、炉壁3の外周面を覆うカバー4と、炉壁3内に収納されて炭5を載せるロストル7とを備えている。炉壁3内は、底部に灰溜まり部31が形成されるとともに上部に加熱部32が形成されている。灰溜まり部31と加熱部32とは段差状に形成され灰溜まり部31の上面に座部33が形成されている。ロストル7は、炉壁3の底部に形成された座部33に載置されている。また、図4に示すように、加熱炉1には灰溜まり部31に連接して外部に通じる通気口34が形成されている。さらに加熱部32の上面には、円周方向に沿って複数の通気溝35が等間隔の位置に形成されている。加熱部32の上面の内周面から上方に向かう延長線上には、後述の焼肉面が支持されることとなる。
【0020】
カバー4には、炉壁3の通気口34と対向する位置に通気窓41が形成され、通気窓41を開閉することにより通気量の調整をすることができる。また、炉壁3の上面には、等間隔位置の4箇所に球体9を埋設している。球体9は、焼肉鍋11を支持する支持部材として構成されている。
【0021】
図5〜6に示すように、焼肉鍋11は、中央部に開口筒部12を形成し、開口筒部12の周辺に焼肉面13を形成している。開口筒部12は円筒状のリブ121を垂直方向に立設して、桝状トレー部材20を内嵌できるようにしている。焼肉面13は、中央部を開口するとともに4辺に円弧状の外周縁部を有した略矩形状に形成され、焼肉鍋11の中心から半径方向に延設した区画リブ131を上方に突出させている。実施形態においては、焼肉鍋11を4人分として形成するために、円周方向に沿って4分割に区画されている。区画された各焼肉面13は焼肉分割面132として形成されている。焼肉分割面132は、その60〜80%の面積が炉壁3の加熱部32の内周面の範囲内に入るように形成されている。つまり、図1〜2に示すように、加熱部32の内周面の上方への延長線上の位置Pが、焼肉鍋11の中心位置から焼肉分割面132の外周縁部までの距離P1の60〜80%の位置となるように形成されている。これにより、それぞれの焼肉分割面132は炉壁3上に支持されていても、それぞれの焼肉分割面132は半分以上が直接炭火で加熱されることから、熱伝導によって全体面が即座に加熱されることとなる。
【0022】
単体の焼肉分割面132の先端に、上部を開口した収納凹状体14が配置されている。焼肉分割面132は中心部から外周面側に向かって下傾して形成され、収納凹状体14は、肉を焼いた後の油(肉汁)を回収することができる。この場合、油を拭き取って、焼いた肉を仮置きしておくこともできる。
【0023】
収納凹状体14は、加熱炉本体2の外方に加熱炉本体2の上面側から下方に向かって突出して配置されている。この収納凹状体14は炉壁3の外周面に4分割された位置に設置されてちょうど四隅の位置に配置されることになるから、例えば、焼肉鍋11が加熱炉本体2から位置ずれして、落下しそうになっても、収納凹状体14が加熱炉本体2に干渉して、ストッパとすることができ、焼肉鍋11の加熱炉1からの位置ずれ防止部材として機能することとなる。
【0024】
なお、図7に示すように、焼肉鍋11に形成された収納凹状体14を単なるフック部材14Aとして加熱炉本体2の外周面に掛止可能に形成してもよい。
【0025】
開口筒部12に載置する桝状トレー部材20は、図1及び図6に示すように、開口筒部12に内嵌可能に形成されるとともに下面側を閉口する円筒状の嵌合部21と、水を溜めて加熱することにより煮炊きできる煮焚き部22とから構成されている。煮焚き部22は矩形桝状に形成され、水を入れて加熱することとなる。煮焚き部22においては、肉を煮ることによりシャブシャブとして食することができ、また、野菜等を煮込むことができる。煮焚き部22に水を入れて加熱することにより、焼肉面13の温度上昇を抑制することができ、加熱された焼肉面13の温度を保持することができる。
【0026】
なお、炭5は、特に限定するものではないが、火力を強くするために、実施形態においては備中炭よりオガ炭を使用することが望ましい。
【0027】
次に、上述のように構成された焼肉鍋セット10の使用状態を説明する。まず、加熱炉1を、テーブルのいずれかの適宜な位置に移動させてセットする。加熱炉1には、ガス配管等の配管部材がないから、自由な位置におくことができる。そして図1に示すように、ロストル7を加熱炉1内に設置した後、ロストル7上に炭5を投入し、炉壁3の上面に配置された4個の球体9に焼肉鍋11を載置する。焼肉鍋11は、4隅に配置された4個の収納凹状体14を炉壁3の外側に配置することにより、たとえ焼肉鍋11が加熱炉1から位置ずれして落下しそうになっても、収納凹状体14を炉壁3の外周面に干渉させることができて、焼肉鍋11を加熱炉1から落下させることはない。
【0028】
次に、加熱炉1の加熱部32に投入した炭5に点火をして加熱部32内を加熱する。焼肉鍋11の開口筒部12に桝状トレー部材20を挿入して、桝状トレー部材20内に水を入れる。桝状トレー部材20は、焼肉鍋11の中央にあり直接炭火が当たることから、桝状トレー部材20の水は加熱されて沸騰する。同時に焼肉面13も全体的に加熱されて、肉や野菜を載せることができる。桝状トレー部材20に水を入れて加熱することにより、焼肉面13の温度上昇を制限して温度を保持することになる。これにより肉や野菜を焼き過ぎることはない。炭火は、加熱炉1の加熱部32の上部に形成された通気溝35から、常に空気が導入されて加熱されている。さらに、炉壁3の通気口34の開口量を調整することにより火力を調整することができる。焼肉面13は、外側に向かって下傾して形成されているから、焼肉面13で肉を焼くことにより発生する油分を収納凹状体14内に収納することができ、焼肉を食する際に、油分を除いて食することができる。収納凹状体14には、焼けた肉を一時的に保管しておくことも可能である。
【0029】
桝状トレー部材20内では、野菜を煮ることができるとともに、肉を入れることにより肉を煮てシャブシャブとして食することもできる。
【0030】
上述のように、実施形態の焼肉鍋セット10は、加熱炉本体2として七輪を使用するから、炭火で加熱することができる。これにより、ガス配管を使用することがなく、ガス配管が邪魔になることがなく、またガス配管器具によるスペースをとることがない。しかも焼肉鍋セット10を自由に移動することができるから、適宜な位置に持ち運ぶこともできる。
【0031】
また、焼肉鍋11には、焼肉面13で肉や野菜を焼くことのほかに、桝状トレー部材20で肉や野菜を煮てシャブシャブとすることができることから、好みにより自由に選択することができる。また、焼肉面13の先端に配置された収納凹状体14により、肉汁を収納するとともに、焼肉を一旦収納することもできる。しかも収納凹状体14は、加熱炉本体2の周りに下方に向かって突出して対向して配置されているから、焼肉鍋11を移動させて位置ずれさせても、ストッパとなって、加熱炉本体2から落下させる虞はない。
【0032】
さらに、桝状トレー部材20に水を入れて加熱することにより、焼肉面13の温度上昇を制限することができ、焼肉面13の加熱温度を保持することができるから、肉や野菜を焼き過ぎることがない。
【0033】
なお、本発明の焼肉鍋セットは上述の形態に限定するものではない。例えば、焼肉鍋を支持する支持部材(球体9)を配置しなくても、焼肉鍋を、直接、炉壁上に載置させてもよい。また、加熱炉が炭で加熱するものであれば、加熱炉本体が七輪でなくてもよい。さらに、焼肉鍋11を、例えば、4人分以外にする場合には、区画リブ131をその人数分に合わせて形成して、焼肉分割面を適宜の分割面にすることができる。
【符号の説明】
【0034】
1、加熱炉
2、加熱炉本体(七輪)
3、炉壁
5、炭
7、ロストル
9、球体
10、焼肉鍋セット
11、焼肉鍋
12、開口筒部
13、焼肉面
14、収納凹状体
20、桝状トレー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼肉鍋と、前記焼肉鍋を載設して炭火で加熱する加熱炉とを備えた焼肉鍋セットであって、
前記焼肉鍋が、中央部に開口筒部と、前記開口筒部の周辺に配設される焼肉面と、前記焼肉面に連接されて前記焼肉面の外周縁部から延設される複数の位置ずれ防止部を備えて構成され、
前記開口筒部には、桝状トレー部材が着脱可能に載設され、
前記加熱炉が、珪藻土で形成されて上方が開口された筒状の炉壁と、前記炉壁内に配設されて炭を載設するロストルと、を備え、
前記焼肉面が外周側に向かって下傾して形成されるとともに、前記焼肉面が前記炉壁の上面で支持され、前記焼肉面の少なくとも半分の面積が、前記炉壁の内周面の延長線上より内方にあることを特徴とする焼肉鍋セット。
【請求項2】
前記焼肉鍋が、前記炉壁の上面に、前記炉壁から上方に突出した複数の支持部材に支持されていることを特徴とする請求項1記載の焼肉鍋セット。
【請求項3】
前記炉壁の内周面の延長線上における前記焼肉面の位置は、前記焼肉鍋の中心位置から前記焼肉面の外周縁部までの長さの60〜80%の位置に配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の焼肉鍋セット。
【請求項4】
前記炉壁の上部には、複数の通気溝が縦方向に形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の焼肉鍋セット。
【請求項5】
前記位置ずれ防止部が油又は焼肉を収納する収納凹状体として形成されていることを特徴とする請求項1記載の焼肉鍋セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−30597(P2011−30597A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176927(P2009−176927)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(509214595)絆ホールディング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】