説明

煙感知器用の作動試験器

【課題】全体構造を簡素化して軽量化と低コスト化を実現しながら、試験煙を安定して生成でき、しかもランニングコストを削減できる煙感知器用の作動試験器を提供する。
【解決手段】煙感知器の周囲空間を覆うフードと、試験煙を生成する発煙装置2と、発煙装置2を収容するハウジングと、ハウジングを支持する支柱とを備えている。発煙装置2は、パラフィンPを収容する発煙容器25と、発煙容器25内に収容されるヒーター26および吸上げ芯27と、電源などで構成する。吸上げ芯27は金属細線を編組した吸液材で構成されて、ヒーター26に隣接する発煙部41と、パラフィンPに接触する吸上げ部42とを備えている。ヒーター26の熱を発煙部41と吸上げ部42を介して伝導してパラフィンPを溶融させ、吸上げ部42および発煙部41の毛細管現象で吸上げた液状のパラフィンPをヒーター26で加熱して試験煙を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井などに設置される煙感知器の動作確認のために使用される煙感知器用の作動試験器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作動試験器として、試験煙としてフロンガスを噴出する形態の作動試験器が公知である(特許文献1)。そこでは、パイプの上端に固定した椀形のカバーと、パイプの下端に装着したガスボンベなどで作動試験器を構成している。ガスボンベの上部にはノズルレバーが設けてあり、このレバーを押し下げることにより、ガスボンベに充填されたフロンガスをパイプ内に配置したチューブを介してカバー内部に噴出できる。このようにフロンガスを試験煙とする作動試験器は、ノズルレバーを操作するだけで瞬時にカバー内部をフロンガスで満たすことができ、煙感知器の動作確認をより短い時間で行うことができる。しかし、フロンガスは炭酸ガスに比べて地球温暖化係数が著しく大きいため、その使用が制限される傾向にあり、煙感知器の動作確認の現場によっては、フロンガス以外の試験煙を使用することが作業条件として指定されることもある。また、試験煙としてフロンガスを使用するので、煙感知器の動作確認に要するランニングコストが高く付く不利もある。
【0003】
本発明の作動試験器においては、地球温暖化になんら影響を及ぼさない発煙材として、固形パラフィンを使用するが、固形パラフィンを発煙材とする作動試験器は例えば特許文献2に公知である。そこでは、固形パラフィンをソレノイドで上昇させ、発熱プレートに接触させて試験煙を発生している。特許文献3にも固形パラフィンを発煙材とする作動試験器が開示してある。そこでは、パラフィンの内部に加熱用ヒーターと保温用ヒーターを埋設している。使用時には、加熱用ヒーターを商用電源で加熱してある程度発煙できる状態にしておき、加熱用ヒーターへの通電を停止したのち、保温用ヒーターを作動させて発煙状態を維持している。保温用ヒーターは、操作ロッドの内部に配置した電池を電源にして駆動できるようになっている。
【0004】
本発明の作動試験器においては、銅の細線を編組したテープ状の吸上げ芯で溶融したパラフィンを吸い上げ、ヒーターで加熱して試験煙を生成するが、このように毛細管現象によって発煙材を吸い上げる作動試験器は特許文献4に公知である。そこでは、石綿製の吸上げ芯で油を吸い上げ、吸上げ芯の回りに巻き付けたニクロム線で吸い上げられた油を加熱して試験煙を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−079828号公報(段落番号0002、0037、図1)
【特許文献2】登録実用新案第3097430号公報(段落番号0024、図2)
【特許文献3】特開昭53−017297号公報(第1頁右欄8行〜第2頁左欄2行、図1)
【特許文献4】実願昭54−047834号(実開昭55−150491号)のマイクロフィルム(明細書第1頁13行、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の作動試験器では、固形パラフィンをソレノイドで上昇させて発熱プレートに接触させる。そのため、発煙構造が複雑で大掛かりになるうえ、作動試験を行う場合には、ヒーター、送風ファン、およびソレノイドなどの駆動用電源として重たいバッテリーを携行しなければならず、全体として作動試験器の取り扱いが煩わしいものであった。さらに、支持棒の下端に設けたメインスイッチと、ソレノイドスイッチとをオン操作して、固形パラフィンを発熱プレートに接触させて発煙させるので、一連の作業に時間を要し、煙感知器の動作確認を短時間で行うことができない。
【0007】
また、特許文献3の作動試験器では、加熱用ヒーターを商用電源で加熱してパラフィンを予熱しておき、以後は電池を電源とする保温用ヒーターを作動させて発煙状態を維持するので、試験環境の温度条件の違いで発煙量にばらつきを生じやすい。例えば、低温の試験環境ではパラフィンの温度が低下して、煙感知器の動作確認に必要な試験煙を発生できないことがある。
【0008】
本発明の目的は、全体構造を簡素化して軽量化と低コスト化を実現しながら、試験煙を安定して生成でき、しかもランニングコストを削減できる煙感知器用の作動試験器を提供することにある。
本発明の目的は、フードを煙感知器の周囲壁に押し付け操作するだけでヒーターを作動させてパラフィンを加熱できる、使い勝手に優れた煙感知器用の作動試験器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る煙感知器用の作動試験器は、煙感知器Sの周囲空間を覆うフード1と、試験煙を生成し、生成した試験煙をフード1内に供給する発煙装置2と、発煙装置2を収容するハウジング3と、ハウジング3を支持する支柱4とを備えている。図1に示すように発煙装置2は、パラフィンPを収容する発煙容器25と、発煙容器25内に収容されるヒーター26および吸上げ芯27と、ヒーター26に駆動電流を供給する電源28(図4参照)とを含む。吸上げ芯27は、金属細線を編組した吸液材で構成されて、ヒーター26に隣接する状態で配置される発煙部41と、発煙部41から導出されてパラフィンPに接触する吸上げ部42とを備えている。ヒーター26の熱を発煙部41と吸上げ部42を介して伝導してパラフィンPを溶融させ、吸上げ部42と発煙部41の毛細管現象で吸上げた液状のパラフィンPをヒーター26で加熱して試験煙を生成する。
【0010】
発煙容器25は、金属製の容器本体33と、容器本体33の内底に配置されるセラミックス製のパラフィンベース35と、パラフィンベース35の中央に突出するセラミックス製の筒状のヒーターホルダー36とを含む。ヒーターホルダー36の突端に、ヒーター26の周囲を覆う金属製の保護筒40を固定する。吸上げ芯27の発煙部41は、保護筒40の周囲に密着する状態で複数回巻き付ける。吸上げ芯27の吸上げ部42は、ヒーターホルダー36の周面からパラフィンベース35に沿って配置されて、容器本体33に収容したパラフィンPの底部に接触する。
【0011】
ヒーター26に駆動電流を供給する電源を2次電池28で構成する。ハウジング3の内部を、発煙容器25を収容する上側の発煙室14と、2次電池28を収容する下側の電装品室15とに区分して、発煙容器25および2次電池28のうち、少なくとも2次電池28をハウジング3に対して着脱可能に装着する。
【0012】
フード1はハウジング3で待機位置と閉止位置との間を往復スライドできるよう案内支持して、両者の間に設けたばね19で待機位置に位置保持する。ヒーター26に対する給電状態をオン・オフする給電スイッチ30をハウジング3に配置する。フード1が煙感知器Sの装着壁に密着操作されるときの、フード1とハウジング3との相対移動動作で、給電スイッチ30をオン状態に切り換える。
【0013】
ハウジング3に無線式のリモートコントローラーの受信機61を配置する。受信機61は、作業者が携行する無線式のリモートコントローラーの送信機62からの信号を受けて、ヒーター26への通電状態をオン・オフする。
【0014】
ハウジング3の発煙室14に、試験煙を強制的に循環させる撹拌ファン5を設ける。
【0015】
ハウジング3の外面に一対の吊持アーム55を固定する。支柱4の端部に固定した一対の支持アーム56で、前記吊持アーム55を揺動軸57を介して軸支して、ハウジング3およびフード1を支柱4に対して相対揺動可能に支持する。
【0016】
ヒーター26に駆動電流を供給する電源を2次電池28で構成する。ハウジング3の内部を、発煙容器25を収容する上側の発煙室14と、2次電池28を収容する下側の電装品室15とに区分する。電装品室15の側に、加圧空気を生成するファン85を設ける。発煙室14と電装品室15との間に、ファン85から送給される加圧空気を発煙容器25へ向かって送給案内するダクト76を設ける。
【0017】
発煙容器25は、金属製の容器本体33と、容器本体33の中央に突出するセラミックス製の筒状のヒーターホルダー36とを含む。ヒーターホルダー36の突端に、ヒーター26の周囲を覆う金属製の保護筒40を固定する。吸上げ芯27の発煙部41は、保護筒40の周囲に密着する状態で複数回巻き付ける。吸上げ芯27の吸上げ部42は、ヒーターホルダー36の周面から容器本体33の内底に沿って配置されて、容器本体33に収容したパラフィンPの底部に接触する。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、パラフィンPを収容する発煙容器25と、発煙容器25内に収容されるヒーター26および吸上げ芯27と、ヒーター26に駆動電流を供給する電源28などで作動試験器の発煙装置2を構成した。また、ヒーター26に隣接する発煙部41と、パラフィンPに接触する吸上げ部42で吸上げ芯27を構成し、ヒーター26の熱を発煙部41と吸上げ部42を介して伝導してパラフィンPを溶融させるようにした。さらに、吸上げ芯27を金属細線を編組した吸液材で構成することにより、溶融したパラフィンPを毛細管現象で発煙部41まで吸上げ、ヒーター26の熱で気化させて試験煙を生成するようにした。
【0019】
以上のように構成した発煙装置2によれば、パラフィンをソレノイドで昇降操作してヒーターに接離する従来の発煙構造に比べて、可動部分がない分だけ作動試験器の主要構造である発煙装置2の構造を簡素化して、作動試験器の軽量化と低コスト化を実現できる。また、パラフィンPを発煙材とするので、フロンガスを試験煙とする作動試験器に比べて、地球温暖化防止に寄与できるうえ、ランニングコストを削減できる。さらに、液化したパラフィンPを吸上げ部42と発煙部41で吸上げ、ヒーター26で加熱して試験煙を生成するので、パラフィンPが局部的に過剰に加熱され、あるいは不必要に気化されるのを抑止して試験煙を安定して生成できる。
【0020】
金属製の容器本体33と、セラミックス製のパラフィンベース35およびヒーターホルダー36などで発煙容器25を構成し、その内部にパラフィンPを収容すると、パラフィンベース35およびヒーターホルダー36の蓄熱作用で、加熱されたパラフィンPの温度状態を維持できる。したがって、低温の試験環境であってもパラフィンPの温度が低下するのを抑止して、遅滞なく試験煙を生成できる。また、ヒーターホルダー36の突端にヒーター26の保護筒40を固定し、その周囲に吸上げ芯27の発煙部41を複数回巻き付けて密着させるので、発煙部41まで吸上げた液状のパラフィンPの加熱を効果的に行うことができる。さらに、吸上げ芯27の吸上げ部42をパラフィンPの底部に接触させて、パラフィンPの溶融部分を底面の中央から上面側および周面側へと成長させるので、パラフィンPが不必要に消費されるのを解消しながら、試験煙を効率よく生成できる。
【0021】
ハウジング3の内部を、発煙容器25を収容する上側の発煙室14と、2次電池28を収容する下側の電装品室15とに区分すると、試験煙や溶融したパラフィンPが電装品室15の側へ流入するのを防止できる。また、発煙容器25および2次電池28のうち、少なくとも2次電池28をハウジング3に対して着脱可能に装着することにより、2次電池28の着脱を容易化して、2次電池28の充電や交換を簡便に行える。また、発煙容器25を着脱可能とする場合には、パラフィンPの補充や、発煙容器25の内面の清掃などのメンテナンスを簡便に行える。
【0022】
フード1が煙感知器Sの周りの装着壁に密着操作されるときの、フード1とハウジング3の相対動作を利用して給電スイッチ30をオン状態に切り換えるようにすると、給電スイッチ30を切り換える必要がない。したがって、作動試験を行うときの作業者は、フード1を煙感知器Sの周囲壁に押し付け操作するだけでヒーター26を作動させて試験煙を供給でき、フード1を煙感知器Sの周囲壁から分離するだけでヒーター26への通電を停止できる。これにより、必要時に限ってヒーター26を作動できるうえ、スイッチの切り忘れ等による2次電池28の無駄な消費を解消して、作動試験器の使い勝手を向上できる。
【0023】
ヒーター26への通電状態を、無線式のリモートコントローラーの送信機62および受信機61で切り換えるようにすると、送信機62の送信ボタン63を操作するだけの簡単な操作で、ヒーター26への通電状態を速やかにオン・オフできる。フード1とハウジング3の相対動作を利用して給電スイッチ30をオン状態に切り換える場合に比べて、作動試験器の構造を簡素化できる。また、作動試験器を支持していない作業者が送信機62を操作して、ヒーター26への通電状態をオン・オフすることができる。
【0024】
ハウジング3の発煙室14に撹拌ファン5を設けると、フード1内の試験煙を強制的に循環させて、煙感知器Sによる試験煙の検知をより少ない量の試験煙で行える。また、試験煙の検知に要する時間を短縮でき、全体としてパラフィンPおよび2次電池28の消耗量を減少して、煙感知器Sの作動試験に要するランニングコストを減少できる。
【0025】
ハウジング3に設けた一対の吊持アーム55を、支柱4に設けた一対の支持アーム56で揺動軸57を介して軸支し、ハウジング3およびフード1を支柱4に対して相対揺動可能に支持すると、支柱4が傾いている場合であってもフード1を煙感知器Sの周囲壁に密着できる。したがって、煙感知器Sの真下に机やテーブルがある場合でも、フード1を煙感知器Sの周囲壁に密着させて、的確に作動試験を実行できる。
【0026】
ハウジング3の内部を、発煙容器25を収容する上側の発煙室14と、2次電池28を収容する下側の電装品室15とに区分して、電装品室15に設けたファン85から送給される加圧空気を、ダクト76で発煙容器25へ向かって送給案内すると、発煙容器25で生成した試験煙を煙感知器Sに対して確実に送給して、煙感知器Sによる試験煙の検知をより少ない量の試験煙で行える。また、試験煙の検知に要する時間を短縮でき、全体としてパラフィンPおよび2次電池28の消耗量を減少して、煙感知器Sの作動試験に要するランニングコストを減少できる。さらに、ファン85を電装品室15に配置すると、試験煙すなわち気化したパラフィンPがファン85に触れることがなく、したがって、気化したパラフィンPがファン85のファンブレードに付着して、ブレード表面で冷え固まるのを解消できる。
【0027】
金属製の容器本体33とセラミックス製のヒーターホルダー36などで発煙容器25を構成し、その内部にパラフィンPを収容すると、加熱されたパラフィンPの温度が低下するのを抑制して、遅滞なく試験煙を生成できる。ヒーターホルダー36の突端にヒーター26の保護筒40を固定し、その周囲に吸上げ芯27の発煙部41を複数回巻き付けて密着させるので、発煙部41まで吸上げた液状のパラフィンPの加熱を効果的に行うことができる。さらに、吸上げ芯27の吸上げ部42をパラフィンPの底部に接触させて、パラフィンPの溶融部分を底面の中央から上面側および周面側へと成長させるので、パラフィンPが不必要に消費されるのを解消しながら、試験煙を効率よく生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る作動試験器の発煙装置の縦断正面図である。
【図2】本発明に係る作動試験器の側面図である。
【図3】本発明に係る作動試験器の正面図である。
【図4】本発明に係る発煙装置の縦断面図である。
【図5】本発明に係る発煙装置の縦断面図である。
【図6】使用時における給電スイッチの作動状態を示す縦断面図である。
【図7】図3におけるA−A線断面図である。
【図8】電装品の概略配線図である。
【図9】2次電池の交換状況を示す縦断面図である。
【図10】別の実施例に係る発煙装置の縦断面図である。
【図11】別の実施例に係る作動試験器の側面図である。
【図12】別の実施例に係る発煙装置の縦断面図である。
【図13】2次電池および発煙装置の着脱状態を示す縦断面図である。
【図14】無線リモートコントロールを含む電装品の概略配線図である。
【図15】さらに別の実施例に係る作動試験器の縦断面図である。
【図16】さらに別の実施例に係る発煙装置の縦断面図である。
【図17】さらに別の実施例に係る発煙装置の縦断面図である。
【図18】さらに別の実施例に係る作動試験器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施例) 図1ないし図9は本発明に係る煙感知器用の作動試験器の実施例を示す。図2および図5において作動試験器は、煙感知器Sの周囲空間を覆うフード1と、試験煙を生成し、生成した試験煙をフード1内に供給する発煙装置2と、発煙装置2を収容するハウジング3と、ハウジング3を支持する支柱4と、撹拌ファン5などで構成する。フード1は、上下面が開口する椀状のフード本体7と、フード本体7の下端に固定される円筒状のフードベース8と、フード本体7の上開口縁に装着されるパッキン9とで構成する。フード本体7はアルミニウム製のプレス成形品からなり、その下端縁はフードベース8の上端に外嵌されてビスで固定してある。フードベース8はアルミニウム製の円筒体からなり、その周面の3個所には縦長のスライド溝10が形成してある。
【0030】
ハウジング3はアルミニウム製の円筒体からなり、図4に示すように、その内部を区分壁13で上下に区画して、区分壁13の上下に発煙室14と電装品室15が設けてある。フード本体7の内部空間と連通する上側の発煙室14には、発煙装置2と撹拌ファン5が収容され、下側の電装品室15には2次電池(電源)28やスイッチ29・30などが収容してある。撹拌ファン5は軸流ファンからなり、ハウジング3の上端に固定したブラケット6で支持してある。撹拌ファン5は、発煙装置2の上部空間へ向かって加圧空気を送給して、発煙室14およびフード1内の空気を強制的に撹拌する。これにより、発煙装置2で生成した試験煙を煙感知器Sに対して確実に送給することができ、より少ない量の試験煙で煙感知器Sの作動試験を行える。
【0031】
ハウジング3の下面には開閉自在な蓋16が設けてあり、この蓋16を開閉することにより電装品室15を開閉できる。符号17は蓋16を支持するヒンジであり、符号18は蓋16を閉止状態に保持するレバーリンク式の止め金具である。先のフード1は、ハウジング3に外嵌されて待機位置と閉止位置とに相対スライドできるよう支持してあり、両者の間に設けたばね19で待機位置に位置保持してある。詳しくは、フードベース8をハウジング3でスライド案内し、スライド溝10を介してハウジング3の周面にねじ込んだピン20と、フードベース8の下部に固定したピン21との間に引っ張りコイル形のばね19を掛止して、常態において前者ピン20がスライド溝10の下端に位置するようにフード1を引き上げ付勢している(図2参照)。図7に示すように、ピン20・21とばね19は、ハウジング3およびフードベース8の周囲3個所に設けてある。
【0032】
図1において発煙装置2は、パラフィンPを収容する発煙容器25と、発煙容器25内に収容されるヒーター26および吸上げ芯27と、ハウジング3に収容されてヒーター26に駆動電流を供給する2次電池28(図5参照)と、電源スイッチ29および給電スイッチ30などで構成する。発煙容器25は、ステンレス材(金属製)の旋削品からなる皿状の容器本体33と、容器本体33にねじ込み装着される容器蓋34と、容器本体33内に配置されるパラフィンベース35、およびヒーターホルダー36などで構成する。容器本体33は、耐熱樹脂製の座板37を介して区分壁13の上面中央に配置されて、区分壁13の下面側からねじ込んだボルト38で固定してある。容器蓋34の中央には、試験煙の出口39が開口してある。
【0033】
円盤状に形成されるパラフィンベース35と、円筒状に形成されるヒーターホルダー36は、それぞれセラミックスで形成されており、ヒーターホルダー36をパラフィンベース35に対して上下貫通状に組み付けて一体化してある。パラフィンベース35とヒーターホルダー36は、前者35が容器本体33の底壁で受止められ、後者36の下端面が容器本体33の下面と面一になる状態で、容器本体33に組み付けてある。この組み付け状態において、ヒーターホルダー36の上端はパラフィンベース35の上面より上方に突出しており、この突出部分にヒーター26および吸上げ芯27が組み込んである。
【0034】
パラフィンPは、常温で固形を保持する植物系の蝋、動物系の蝋、および石油系の蝋などを使用できるが、動物系の蜜蝋を使用するのが好ましい。パラフィンPは、予めドーナツ状に成形してあり、その中央の穴がヒーターホルダー36および吸上げ芯27の周囲を取り囲む状態で発煙容器25に装填される。
【0035】
ヒーター26は市販の丸軸状のセラミックヒーターからなり、その外面がステンレス製(金属製)の保護筒40で覆われている。保護筒40の下端をヒーターホルダー36の内面上端に固定することにより、ヒーター26がヒーターホルダー36に固定してある。この取り付け状態において、保護筒40の大半の部分がヒーターホルダー36の上方へ突出して、その上端が容器蓋34の出口39の内周面に臨んでいる(図1参照)。
【0036】
吸上げ芯27は、ヒーター26の保護筒40の周囲に密着する状態で複数回巻き付けられる発煙部41と、発煙部41の上下端から導出されて、ヒーターホルダー36の周面からパラフィンベース35に沿ってL字状に配置される吸上げ部42とを一体に備えている。吸上げ芯27は、銅製(金属製)の細線を平編みしたテープ状の吸液材、具体的には市販のはんだ吸取線を利用して形成してあり、毛細管現象で液体を吸上げることができる。銅製の細線を編組したテープ状のはんだ吸取線以外に、銅製の細線を袋編みしたはんだ吸取線で形成してもよい。ヒーター26の給電リード43は、ヒーターホルダー36の筒内と、座板37および区分壁13に設けた通口を介して電装品室15側へ導出されて電池ユニット45に接続してある。
【0037】
図4において電池ユニット45は、筒形の4個の2次電池28と、これらの2次電池28を収容する角箱状の電池ケース46とで構成する。電池ユニット45を着脱可能としながら、装着状態を保持するために、区分壁13の下面に下向きに開口するホルダー47を固定し、蓋16の内面に押えばね48を設けている。ホルダー47の天井壁には一対のコネクター49が固定してあり、電池ケース46の上壁には、ホルダー47側のコネクター49に対応する一対のコネクター50が固定してある。先の給電リード43の一方は、ホルダー47側の一方のコネクター49に接続される。蓋16を開放した状態で、電池ユニット45をホルダー47に装填し、蓋16を閉止して止め金具18で固定することにより、電池ケース46の下端面を押えばね48で押し上げて、電池ユニット45を固定保持できる。この固定状態において2次電池28は縦長姿勢に保持されている。
【0038】
図8に撹拌ファン5、ヒーター26、電池ユニット45と、電源スイッチ29および給電スイッチ30の結線状態の概略を示す。実際には、図4および図6に示すように、ハウジング3の周壁の下部に電源スイッチ29を配置し、その上方に給電スイッチ30が配置してある。電源スイッチ29は市販のスライドスイッチであり、その切換ノブをスライド操作することにより、ヒーター26および撹拌ファン5の給電路をオン・オフいずれかに切り換えることができる。
【0039】
給電スイッチ30は市販のマイクロスイッチからなり、フード1とハウジング3の相対的な上下スライド動作を利用して、先の給電路をオン・オフいずれかに切り換える。そのために、給電スイッチ30の検知レバー30aをハウジング3の外面に露出させて、フードベース8のスライド領域に臨ませている。フードベース8の下端内面には、検知レバー30a用のガイド面53が斜めに形成してある(図6参照)。検知レバー30aは、常態において図4に示すようにガイド面53で受止められており、この状態の給電スイッチ30はオフ状態になっている。フード1が煙感知器Sの周囲の天井壁に押し付けられると、図6に示すようにハウジング3がフードベース8に対して上昇し、これに伴い検知レバー30aがフードベース8の内面壁で押し込まれて給電スイッチ30がオン状態に切り換わる。つまり、フード1が煙感知器Sの装着壁に密着操作されるときの、フード1とハウジング3との相対移動動作で給電スイッチ30をオン状態に切り換えることができる。
【0040】
支柱4の姿勢とは無関係に、フード1の上開口を天井壁に対して適正に密着させるために、ハウジング3の外面の対向位置に一対の吊持アーム55を固定し、これらの吊持アーム55を支柱4の上端に固定した一対の支持アーム56で、揺動軸57を介して軸支している。揺動軸57の一端には吊持アーム55にねじ込まれるねじ軸58が設けてあり、他端には操作頭部59が設けてある(図7参照)。このように、フード1およびハウジング3を支柱4に対して相対揺動可能に支持すると、図2に示すように、支柱4の姿勢が垂直でない場合にも、フード1のパッキン9を天井壁に密着させて、フード本体7で覆われた空間を密閉することができる。
【0041】
煙感知器Sの作動試験を行う場合には、まずパラフィンPを予熱する。具体的には、電源スイッチ29をオン状態に切り換え、さらに検知レバー30aを押し込み操作して給電スイッチ30をオン状態に切り換え、ヒーター26を作動させる。ヒーター26の熱は、保護筒40から吸上げ芯27の発煙部41と吸上げ部42を介してパラフィンPに伝導され、主に吸上げ部42の周囲のパラフィンPを溶融できる。また、溶融して液化したパラフィンPは吸上げ芯27の毛細管現象によって、吸上げ部42から発煙部41へと吸上げられ、ヒーター26の熱を受けて気化する。このように、予熱を行って試験煙をすぐに生成できる状態で作動試験を行うことにより、パラフィンPが液化し、さらに気化するまでの時間を短くできる。
【0042】
図3および図6に示すように、フード本体7を煙感知器Sの周囲の天井壁に密着させた閉止位置においては、ハウジング3がフードベース8に対して上昇して、給電スイッチ30がオン状態に切り換わる。これによりヒーター26が作動し、吸上げ芯27を介してパラフィンPが加熱され、同時に撹拌ファン5が起動して発煙装置2で生成した試験煙を一方向へ送給しながら撹拌する。そのため、試験煙はフード本体7の内部において図6に矢印で示すように循環し、煙感知器Sの下部に設けた検知口の内部に入り込む。煙感知器Sが試験煙を検知したことを確認できたらフード本体7を天井壁から分離して、次の試験対象となる煙感知器Sの作動試験を行う。フード本体7が天井壁から離れた状態では、フード1が待機位置へ復帰するので給電スイッチ30がオフ状態に切り換わってヒーター26への通電が停止される。因みに、蜜蝋の融点は70℃以下、気化温度は130℃、発火温度は300℃であるので、連続してヒーター26を作動し続けない限り発煙部41が発火温度に達することはない。
【0043】
図10ないし図14に別の実施例に係る煙感知器用の作動試験器を示す。この実施例では、撹拌ファン5およびヒーター26への通電を無線式のリモートコントローラーで行う点と、発煙容器25をハウジング3に対して着脱できるようにする点が先の実施例と異なる。詳しくは、電装品室15の内部にリモートコントローラーの受信機61を配置し(図12参照)、作業者が携行するリモートコントローラーの送信機62(図11参照)からの信号によって、給電スイッチ30をオン状態とオフ状態に切り換えられるようにしている。送信機62には送信ボタン63が設けてあり、この送信ボタン63を一度押すと給電スイッチ30がオン状態に切り換わり、もう一度押すと給電スイッチ30がオフ状態に切り換わる。受信機61および送信機62は、赤外線を通信媒体とする方式と、超音波を通信媒体とする方式のどちらであってもよい。給電スイッチ30がオン状態に切り換わったのち、タイマーで所定時間だけヒーター26に通電してもよい。
【0044】
発煙容器25をハウジング3に対して着脱するために、図10および図13に示すように区分壁13の上面に円形の装填凹部64を設け、その外面の対向位置に一対の保持レバー65を設ける。保持レバー65は軸66を中心にして往復揺動でき、圧縮コイル形のばね67で揺動付勢してある。図10に示すように、発煙容器25を装填凹部64に嵌め込んだのち、容器本体33の周面に設けた段部68を、保持レバー65の押え爪69で押圧することにより発煙容器25を固定できる。また、図13に示すように、一対の保持レバー65をばね67の付勢力に抗しながら拡開操作することにより、発煙容器25を装填凹部64から取り外すことができる。発煙容器25の着脱に連動して電気的な接続を行うために、区分壁13の下方に配置した基板71にコネクター72を設け、容器本体33の下面に基板71側のコネクター72に対応するコネクター73を固定している。
【0045】
以上のように、発煙容器25をハウジング3に対して着脱できるようにすると、パラフィンPの補充や、容器本体33の内面の清掃を的確に行える。電池ユニット45は、電池ケース46と、ケース蓋75と、4個の2次電池28で構成し、電池ケース46を蓋16の内面に固定した。蓋16はハウジング3に固定してあり、ケース蓋75を蓋16から取り外すと、電池ケース46に装填した2次電池28を着脱できる。電池ケース46に装填した2次電池28は横臥姿勢に保持される。この実施例では、無線式のリモートコントローラーで給電スイッチ30を切り換えるので、フード本体7をハウジング3に直接固定して作動試験器の構造を簡素化できる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。次の別実施例においても同様に扱う。
【0046】
図15ないし図18にさらに別の実施例に係る煙感知器用の作動試験器を示す。ここでのハウジング3は、図15に示すように、上下面が開口する円筒体3aと、円筒体3aの下側開口を塞ぐ円板状の区分壁13と、区分壁13の下面に配置した四角箱状の上箱体3bと、上箱体3bの下面に配置した四角箱状の下箱体3cとで構成する。円筒体3aの内部が発煙室14であり、上箱体3bおよび下箱体3cの内部が電装品室15になっている。下箱体3cの上面は開口しており、上箱体3bの下壁には、下箱体3cの内部空間に臨む通口が形成してある。
【0047】
発煙容器25は、先の別実施例と同様に、ハウジング3に対して着脱できる。図17に示すように、区分壁13の上面に配置したコネクターソケット(コネクター)72に、容器本体33の下面に設けたコネクタープラグ(コネクター)73を差し込むことにより、発煙容器25を発煙室14内に装着でき、ヒーター26を電池ユニット45に対して電気的に接続することができる。コネクターソケット72はソケットホルダー74に固定されており、ソケットホルダー74は区分壁13に対して、図示していないビスで締結してある。この実施例では、ソケットホルダー74で容器本体33を区分壁13から上方へ離れた位置で支持して、容器本体33から区分壁13へ熱が伝導しないようにすることにより、先の実施例における耐熱樹脂製の座板37を省略している。
【0048】
図15に示すように発煙室14の内部の一側には発煙容器25が、他側にはダクト76が配置してある。ダクト76は逆J字状の管材からなり、その下端に設けた入口開口76aが区分壁13を貫通する通口を介して電装品室15に連通してある。ダクト76の湾曲部側の出口開口76bは、容器蓋34に形成した試験煙の出口39へ向かって指向させてある。
【0049】
フード1は、上下面が開口する上下に伸縮変形可能な蛇腹状のプラスチック成形品からなり、円筒体3aの上縁部に外嵌する状態で固定してある。フード1の上開口縁の2個所には凹部77が形成されており、これら凹部77は、フード1の上縁が壁面に押し付けられた状態において、フード1内の空気の流出を許す通気口として機能する。
【0050】
上箱体3bの内部空間は一側方(図16において右方)へ向かって開口しており、この開口を塞ぐように電池ユニット45が装着されている。電池ユニット45は、電池ケース46と、ケース蓋75と、4個の2次電池28とで構成される。4個の2次電池28は、横臥姿勢で上下に並べて電池ケース46に装填されており、ケース蓋75を電池ケース46から取り外すと2次電池28を着脱できる。電池ケース46と対向する上箱体3bの他側壁には、外気を電装品室15に取り込むための吸込口79が形成され、この吸込口79の外側に軸流型のファン85が装着されている。ファン85の外側には、電装品室15への塵埃の侵入を防止するためのフィルター80が装着されている。
【0051】
ファン85およびヒーター26の起動および停止は、先の別実施例と同様に無線式のリモートコントローラーで行う。そのために、図15に示すように、リモートコントローラーの受信機61が実装された基板71を下箱体3cの内部に装填し、下箱体3cの底壁に形成した窓部から受信機61を露出させる。リモートコントローラーの送信機62は、図18に示すように支柱4に取り付けてあり、送信機62に設けた送信ボタン63を一度押すと、給電スイッチ30がオン状態に切り換わり、もう一度押すと給電スイッチ30がオフ状態に切り換わる。また基板71には、図15に示すように、電源スイッチ29、モードスイッチ82、およびLEDからなる一対のパイロットランプ83が設けられて、下箱体3cの底壁の窓部から露出している。リモートコントローラーが故障等した場合には、モードスイッチ82を切り換えて、ヒーター26等を手動で動作させることができる。
【0052】
ファン85を回転駆動させると、加圧された外気が吸込口79を介して上箱体側3b側の電装品室15へ送給され、さらに電装品室15からダクト76を介して発煙容器25へと送給される。これにより、発煙容器25で生成した試験煙を、煙感知器Sに対して確実に送給することができる。この実施例のように、ファン85を電装品室15に配置すると、試験煙すなわち気化したパラフィンPがファン85に触れることがなく、したがって、気化したパラフィンPがファン85のファンブレードに付着して、ブレード表面で冷え固まるのを解消できる。
【0053】
上記の実施例では、吸上げ芯27を保護筒40の周囲に複数回巻き付けて発煙部41としたが、その必要はなく、たとえば吸上げ芯27を保護筒40の周面に沿って逆U字状に密着させて発煙部41とすることができる。本発明の作動試験器は、天井以外の壁に煙感知器が設置してある場合でも問題なく作動試験を行うことができる。ヒーターホルダー36は容器本体33の中央から偏心した位置に設けることができる。
【0054】
給電スイッチ30を支柱4のグリップの近傍に配置しておき、作業者が給電スイッチ30を切り換え操作して、ヒーター26および撹拌ファン5(ファン85)への通電状態を切り換えることができる。ヒーター26を筒状に構成し、その中央に発煙部41を配置して、発煙部41まで吸上げたパラフィンを気化することができる。ヒーター26とは別に、パラフィンPを溶融するための専用のヒーターをパラフィンベース35の上面に配置しておくことができる。ヒーター26などに駆動電流を供給する電源28は2次電池に限られず、例えば1次電池を用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 フード
2 発煙装置
3 ハウジング
5 撹拌ファン
14 発煙室
15 電装品室
25 発煙容器
26 ヒーター
27 吸上げ芯
28 電源(2次電池)
30 給電スイッチ
40 ヒーターの保護筒
41 吸上げ芯の発煙部
42 吸上げ芯の吸上げ部
S 煙感知器
P パラフィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙感知器(S)の周囲空間を覆うフード(1)と、試験煙を生成し、生成した試験煙をフード(1)内に供給する発煙装置(2)と、発煙装置(2)を収容するハウジング(3)と、ハウジング(3)を支持する支柱(4)とを備えている煙感知器の作動試験器であって、
発煙装置(2)は、パラフィン(P)を収容する発煙容器(25)と、発煙容器(25)内に収容されるヒーター(26)および吸上げ芯(27)と、ヒーター(26)に駆動電流を供給する電源(28)とを含み、
吸上げ芯(27)は、金属細線を編組した吸液材で構成されて、ヒーター(26)に隣接する状態で配置される発煙部(41)と、発煙部(41)から導出されてパラフィン(P)に接触する吸上げ部(42)とを備えており、
ヒーター(26)の熱を発煙部(41)と吸上げ部(42)を介して伝導してパラフィン(P)を溶融させ、吸上げ部(42)と発煙部(41)の毛細管現象で吸上げた液状のパラフィン(P)をヒーター(26)で加熱して試験煙を生成することを特徴とする煙感知器用の作動試験器。
【請求項2】
発煙容器(25)が、金属製の容器本体(33)と、容器本体(33)の内底に配置されるセラミックス製のパラフィンベース(35)と、パラフィンベース(35)の中央に突出するセラミックス製の筒状のヒーターホルダー(36)とを含み、
ヒーターホルダー(36)の突端に、ヒーター(26)の周囲を覆う金属製の保護筒(40)が固定されており、
吸上げ芯(27)の発煙部(41)は、保護筒(40)の周囲に密着する状態で複数回巻き付けられており、
吸上げ芯(27)の吸上げ部(42)は、ヒーターホルダー(36)の周面からパラフィンベース(35)に沿って配置されて、容器本体(33)に収容したパラフィン(P)の底部に接触している請求項1に記載の煙感知器用の作動試験器。
【請求項3】
ヒーター(26)に駆動電流を供給する電源が2次電池(28)で構成されており、
ハウジング(3)の内部が、発煙容器(25)を収容する上側の発煙室(14)と、2次電池(28)を収容する下側の電装品室(15)とに区分されており、
発煙容器(25)および2次電池(28)のうち、少なくとも2次電池(28)がハウジング(3)に対して着脱可能に装着してある請求項1または2に記載の煙感知器用の作動試験器。
【請求項4】
フード(1)がハウジング(3)で待機位置と閉止位置との間を往復スライドできるよう案内支持されて、両者の間に設けたばね(19)で待機位置に位置保持されており、
ヒーター(26)に対する給電状態をオン・オフする給電スイッチ(30)がハウジング(3)に配置されており、
フード(1)が煙感知器(S)の装着壁に密着操作されるときの、フード(1)とハウジング(3)との相対移動動作で、給電スイッチ(30)をオン状態に切り換える請求項1、2または3のいずれかひとつに記載の煙感知器用の作動試験器。
【請求項5】
ハウジング(3)に無線式のリモートコントローラーの受信機(61)が配置されており、
受信機(61)が、作業者が携行する無線式のリモートコントローラーの送信機(62)からの信号を受けて、ヒーター(26)への通電状態をオン・オフする請求項1、2または3のいずれかひとつに記載の煙感知器用の作動試験器。
【請求項6】
ハウジング(3)の発煙室(14)に、試験煙を強制的に循環させる撹拌ファン(5)が設けてある請求項3、4または5のいずれかひとつに記載の煙感知器用の作動試験器。
【請求項7】
ハウジング(3)の外面に一対の吊持アーム(55)が固定されており、
支柱(4)の端部に固定した一対の支持アーム(56)で、前記吊持アーム(55)を揺動軸(57)を介して軸支して、ハウジング(3)およびフード(1)が支柱(4)に対して相対揺動可能に支持してある請求項1から6のいずれかひとつに記載の煙感知器用の作動試験器。
【請求項8】
ヒーター(26)に駆動電流を供給する電源が2次電池(28)で構成されており、
ハウジング(3)の内部が、発煙容器(25)を収容する上側の発煙室(14)と、2次電池(28)を収容する下側の電装品室(15)とに区分されており、
電装品室(15)の側に、加圧空気を生成するファン(85)が設けられており、
発煙室(14)と電装品室(15)との間に、ファン(85)から送給される加圧空気を発煙容器(25)へ向かって送給案内するダクト(76)が設けてある請求項1に記載の煙感知器用の作動試験器。
【請求項9】
発煙容器(25)が、金属製の容器本体(33)と、容器本体(33)の中央に突出するセラミックス製の筒状のヒーターホルダー(36)とを含み、
ヒーターホルダー(36)の突端に、ヒーター(26)の周囲を覆う金属製の保護筒(40)が固定されており、
吸上げ芯(27)の発煙部(41)は、保護筒(40)の周囲に密着する状態で複数回巻き付けられており、
吸上げ芯(27)の吸上げ部(42)は、ヒーターホルダー(36)の周面から容器本体(33)の内底に沿って配置されて、容器本体(33)に収容したパラフィン(P)の底部に接触している請求項8に記載の煙感知器用の作動試験器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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