説明

照光式スイッチ構造

【課題】 操作部を遮光する際の手間を軽減し、操作部の下端からの光漏れを防止した照
光式スイッチ構造を提供する。
【解決手段】 スイッチ部37及びランプ41を収納するとともに上面42が開いたスイ
ッチケース34に、筒部材43を上下動可能に挿入し、この筒部材43の上端に平坦部4
5及びこの平坦部45の縁から下げたスカート部47とからなる第1操作部31を設け、
第1操作部31は透光材料で構成するとともに平坦部45の上面の周囲及びスカート部4
7の外周面に遮光膜55を被せ、ランプ41の光56が平坦部45から通過するもので、
筒部材43は不透光材料で構成するとともに、平坦部45の下面61の周囲63、スカー
ト部47の内周面64並びにスカート部の下端51に被せたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押ボタンを押すことで動作するスイッチ機構と発光源とを一体的に組合せた
照光式スイッチ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照光式押ボタンスイッチの押ボタンの上面を照光させるとともに、上面以外を遮光した
ものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平7−36333号公報(第2頁、図1)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図5は、従来の技術の基本構成を説明する図であり、従来のスイッチのノブ照明装置は
、スイッチケース101に、押ボタン若しくは操作部に相当するノブ102のノブ本体1
03を変位自在に嵌め、スイッチケース101に一体に遮光片104,104を形成した
もので、遮光片104,104によって光漏れを防止することができるというものである

【0004】
しかし、特許文献1のスイッチのノブ照明装置では、押ボタン若しくは操作部に相当す
るノブ102の端面(下端)105から照明光106が漏れやすい。特に、パネル107
が平らな場合には、照明光106の漏れは大きくなる。例えば、自動車の部品では、パネ
ル107に相当するものがないところに取付けることがあり、遮光膜を形成する際の手間
を軽減した遮光構造が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、操作部を遮光する際の手間を軽減し、操作部の下端からの光漏れを防止した
照光式スイッチ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、内部にスイッチ部及びランプを収納するとともに上面が開いた
スイッチケースに、筒部材を上下動可能に挿入し、この筒部材の上端に平坦部及びこの平
坦部の縁から下げたスカート部とからなる移動部材を設け、スカート部の下端とスイッチ
ケースの上面との間に移動部材の移動代に対応する隙間を設け、移動部材は透光材料で構
成するとともに平坦部の上面の周囲及びスカート部の外周面に遮光膜を被せ、移動部材を
押し下げるとスイッチ接点が切り替わるとともにランプの点灯/消灯が切り替わり、ラン
プの光が筒部材及び平坦部から通過する照光式スイッチ構造において、筒部材の少なくと
も上部は不透光材料で構成するとともにこの筒部材上部を延長して、平坦部の下面の周囲
、スカート部の内周面並びにスカート部の下端に被せたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、筒部材と移動部材とは2色成形法で製造したことを特徴とする

【0008】
請求項3に係る発明では、照光式スイッチ構造は、ステアリングホイールの側部に付設
するスイッチであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、スイッチケースに上下動可能に挿入した筒部材の少なくとも
上部は不透光材料で構成するとともにこの筒部材上部を延長して、平坦部の下面の周囲、
スカート部の内周面並びにスカート部の下端に被せたので、ランプの光は遮光膜と筒部材
とによって、移動部材の樹脂の中を進み、下端に達するが、下端に取付けた不透光材料製
の筒部材は下端に達した光を遮光するので、下端から外に光は進まない。従って、移動部
材のスカート部の下端からの光漏れを防止することができるという利点がある。
【0010】
請求項2に係る発明では、筒部材と移動部材とは2色成形法で製造したので、移動部材
と筒部材とを一体的に成形すると同時に、平坦部の下面の周囲、スカート部の内周面並び
にスカート部の下端を遮光することができ、移動部材を遮光する際の手間を軽減すること
ができる。
【0011】
請求項3に係る発明では、照光式スイッチ構造は、ステアリングホイールの側部に付設
するスイッチであり、ステアリングホイールのスポークとは別体でステアリングホイール
の側部に一体的に取付けることができるとともに、意匠の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。「左」、「右
」は運転者から見た方向に従う。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は、本発明の照光式スイッチ構造を備えたステアリングホイールの斜視図であり、
ステアリングホイール11は、運転者12が握る円形のリム13と、リム13に連ねて内
方に伸ばした第1〜第4スポーク14〜17と、第1〜第4スポーク14〜17に連なる
ハブ21と、ハブ21に取付けたカバー部22と、操作スイッチ装置23と、を備える。
24,24はステアリングホイール11の側部を示す。
【0013】
操作スイッチ装置23は、第1スポーク14に第1スイッチ手段25を配置し、第2ス
ポーク15に第2スイッチ手段26を配置し、第1・3第スポーク14,16間に配置す
るとともにハブ21の左に左照光式押ボタンスイッチ27を設け、第2・第4スポーク1
5,17間に配置するとともにハブ21の右に右照光式押ボタンスイッチ28を設けたも
ので、例えば、ラジオコントロール、空調コントロール、クルーズコントロール、シフト
コントロールを行う。
【0014】
左・右照光式押ボタンスイッチ27,28がステアリングホイール11の側部24,2
4に設けたスイッチであり、左・右照光式押ボタンスイッチ27,28は左手用、右手用
の違いを除いて共に同じ構造である。31は移動部材であるところの第1操作部、32は
移動部材であるところの第2操作部を示す。
次に右照光式押ボタンスイッチ28を説明する。
【0015】
図2は、本発明の照光式スイッチ構造の斜視図であり、右照光式押ボタンスイッチ28
を示す。
右照光式押ボタンスイッチ28は、指で押す第1操作部(移動部材)31、第2操作部
(移動部材)32と、これらの第1・第2操作部31,32を押し下げ(矢印a1,a1
の方向)可能に保持するスイッチケース34と、を備える。57はスイッチケース34の
下部に、ハブ21(図1参照)側に取付け可能に形成した取付け部を示す。
【0016】
図3は、図2の3−3線断面図であり、右照光式押ボタンスイッチ28の断面を示す。
右照光式押ボタンスイッチ28、具体的には、内部36にスイッチ部37,37及びラ
ンプ41,41を収納するとともに上面42が開いたスイッチケース34に、筒部材43
,43を上下動可能(Y軸方向)に挿入し、この筒部材43,43の上端44,44に平
坦部45及びこの平坦部45の縁46から下げたスカート部47とからなる移動部材(第
1操作部)31、移動部材(第2操作部)32を設け、スカート部47の下端51とスイ
ッチケース34の上面42との間に移動部材(第1・第2操作部)31,32の移動代S
に対応する隙間Cを設け、移動部材(第1・第2操作部)31,32は、透光材料で構成
するとともに平坦部45の上面52の周囲53及びスカート部47の外周面54に遮光膜
55を被せ、移動部材(第1・第2操作部)31,32を押し下げるとスイッチ部37,
37のスイッチ接点(図に示していない)が切り替わるとともにランプ41,41の点灯
/消灯が切り替わり、ランプ41の光56が筒部材43及び平坦部45から通過するもの
である。
【0017】
右照光式押ボタンスイッチ28は、既に述べたように、第1操作部(移動部材)31の
上面52に表示部58を形成するように塗布した遮光膜55と、第1操作部(移動部材)
31の下面61に表示部58を損なわないように取付けるとともに、第1操作部(移動部
材)31の下端(端面)51に取付けた不透光材料製の筒部材43と、を備える。言い換
えると、筒部材43の少なくとも上部62は不透光材料で構成するとともにこの筒部材4
3の上部62を延長(図2のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向)して、平坦部45の下面6
1の周囲63、スカート部47の内周面64並びにスカート部47の下端51に被せたも
のである。
【0018】
「少なくとも上部62は不透光材料で構成する」とは、上部62のみを不透光材料で造
ってもよく、筒部材43全体を不透光材料で造ってもよいという意味である。
「光56が筒部材43及び平坦部45から通過する」とは、光56が筒部材43の空間
を進んだ後、平坦部45の樹脂を透過すること。
【0019】
なお、右照光式押ボタンスイッチ28は、スカート部47の外周面54や下端51を隠
す構造ではなく、下端51が見える構造であり、下端51を隠すための部位や部品を必要とせず、照光式押ボタンスイッチの構造を簡単にすることができるとともに、意匠の向上を図ることができる。
【0020】
ここで、移動部材(第1操作部)31と筒部材43とを一体的に成形したものを操作部
材66とする。また、第2操作部32と筒部材43とを一体的に成形したものを操作部材
67とする。
【0021】
操作部材66は、筒部材43と移動部材(第1操作部)31とを2色成形法で製造した
ものである。
次に操作部材66の2色成形の一例を簡単に説明する。
2色成形に用いる2色成形装置は、筒部材43を成形するための第1射出機並びに第1
金型と、移動部材(第1操作部)31を成形するための第2射出機と第2金型を備える。
【0022】
ST01:まず、第1射出機に不透光樹脂材料を供給し、第2射出機に透光樹脂材料を
供給し、所定温度で可塑化する。
ST02:可塑化した所定量の不透光樹脂材料を第1金型の筒部材43に対応するキャ
ビティに射出する。
ST03:その次に、第1金型を型開きしてスプールなど必要のない部分を切断する。
ST04:第1金型の一方の金型内に筒部材43を入れた状態で第2金型とで移動部材
(第1操作部)31を成形するためのキャビティを形成する。
ST05:最後に、第2金型とで形成したキャビティに可塑化した所定量の透光樹脂材
料を射出することで、第1操作部31が完成すると同時に、操作部材66の成形工程が完
成する。
操作部材67の2色成形の成形方法は、操作部材66の2色成形の成形方法と同様であ
る。
【0023】
このように、照光式スイッチ構造(右押ボタンスイッチ)28では、筒部材43の上部
62と移動部材(第1操作部)31とは2色成形法で製造したので、操作部材66(移動
部材31と筒部材43とからなる。)の成形が完了すると同時に、平坦部45の下面61
の周囲63、スカート部47の内周面64並びにスカート部47の下端51を遮光するこ
とができ、第1操作部(移動部材)31を遮光する際の手間を軽減することができる。
【0024】
次に右照光式押ボタンスイッチ28の動作について簡単に説明する。
右照光式押ボタンスイッチ28は、移動部材(第1操作部)31に力を加えて移動部材
(第1操作部)31を移動代Sだけ押し下げると、スイッチ部37が動作状態を保持する
ことで、ランプ41を点灯し続ける。次に移動部材(第1操作部)31を押すと、スイッ
チ部37はロックを解除してランプ41を消灯する。
次に本発明の照光式スイッチ構造の作用を説明する。
【0025】
図4は、本発明の照光式スイッチ構造の作用図であり、右照光式押ボタンスイッチ28
の操作部材66を用いて作用を説明する。
操作部材66を押し下げることで、スイッチ部37を矢印a2のように押してランプ4
1を点灯すると、ランプ41から発する光56は筒部材43によって遮光される。詳しく
は、光56は遮光膜55と筒部材43とによって、移動部材(第1操作部)31の樹脂の
内部を矢印のように進み、下端(端面)51に達するが、下端51に取付けた不透光材料
製の筒部材43によって遮光される。従って、第1操作部31の下端51からの光漏れを
防止することができる。
【0026】
言い換えると、筒部材43の少なくとも上部62は不透光材料で構成するとともにこの
筒部材43の上部62を延長して、平坦部45の下面61の周囲63、スカート部47の
内周面64並びにスカート部47の下端51に被せたので、筒部材43によって下端51
からの光漏れを防止することができる。
【0027】
図1に示すように、照光式スイッチ構造(右照光式押ボタンスイッチ)28は、ステア
リングホイール11の側部24に付設するスイッチであり、ステアリングホイール11の
第1・第2スポーク14,15とは別体でステアリングホイール11の側部24に一体的
に取付けることができる。
【0028】
尚、本発明の照光式スイッチ構造は、実施の形態では四輪車に適用したが、三輪車にも
適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の照光式スイッチ構造は、四輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の照光式スイッチ構造を備えたステアリングホイールの斜視図
【図2】本発明の照光式スイッチ構造の斜視図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】本発明の照光式スイッチ構造の作用図
【図5】従来の技術の基本構成を説明する図
【符号の説明】
【0031】
31…移動部材(第1操作部)、32…移動部材(第2操作部)、34…スイッチケー
ス、36…内部、37…スイッチ部、41…ランプ、42…スイッチケースの上面、43
…筒部材、44…筒部材の上端、45…平坦部、46…平坦部の縁、47…スカート部、
51…スカート部の下端、52…平坦部の上面、53…平坦部の上面の周囲、54…スカ
ート部の外周面、55…遮光膜、56…光、61…平坦部の下面、62…筒部材の上部、
63…平坦部の下面の周囲、64…スカート部の内周面、C…隙間、S…移動代。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にスイッチ部及びランプを収納するとともに上面が開いたスイッチケースに、筒部
材を上下動可能に挿入し、この筒部材の上端に平坦部及びこの平坦部の縁から下げたスカ
ート部とからなる移動部材を設け、前記スカート部の下端と前記スイッチケースの上面と
の間に移動部材の移動代に対応する隙間を設け、前記移動部材は透光材料で構成するとと
もに前記平坦部の上面の周囲及びスカート部の外周面に遮光膜を被せ、前記移動部材を押
し下げるとスイッチ接点が切り替わるとともに前記ランプの点灯/消灯が切り替わり、ラ
ンプの光が筒部材及び平坦部から通過する照光式スイッチ構造において、
前記筒部材の少なくとも上部は不透光材料で構成するとともにこの筒部材上部を延長し
て、平坦部の下面の周囲、スカート部の内周面並びにスカート部の下端に被せたことを特
徴とする照光式スイッチ構造。
【請求項2】
前記筒部材と移動部材とは2色成形法で製造したことを特徴とする請求項1記載の照光
式スイッチ構造。
【請求項3】
請求項1記載の照光式スイッチ構造は、ステアリングホイールの側部に付設するスイッ
チであることを特徴とする照光式スイッチ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−49004(P2006−49004A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225880(P2004−225880)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000222934)東洋電装株式会社 (69)
【Fターム(参考)】