説明

照光式スイッチ

【課題】 キートップ周りをムラなく照明し、防水機能も備えた照光式スイッチ。
【解決手段】 導光枠3と押さえ枠4とでキートップ2の内側と外側とを挟持している。導光キャップ5は、上面中央に凹部を有し上面側の4つのコーナーからはフック部5aが立ち上がっており、中央下面には円錐凹部5bが形成され、外周下面には斜面5cが形成されている。導光キャップ5はフック部5aが導光枠3の切欠部3aに係合することにより導光枠3と合体しており、両者の接合部は透光性樹脂により接合封止されている。スイッチ7は基板6上に搭載されている。スイッチ7から導出されたリード線9は導光枠3と導光キャップ5との境界面を通って側方へ分散導出されている。押し駒10は押さえ枠4内に組み込まれて、フック部4bにより係止されている。防水シート11が押さえ枠4と基板6との間に狭持されてスイッチ7を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器、家庭電化製品、玄関ドア等に用いられている照光式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は照光式スイッチを出願した(特許文献1参照。)。図5は従来の照光式スイッチの断面図である、図5において、この照光式スイッチ51は、基板56と、この基板56に配設したスイッチ57及び光源58と、スイッチ57を押圧するためのキートップ52と、光源58の光をキートップ52あるいはキートップ52の周囲へと導く第1の導光部材である導光枠53とから成り、キートップ52あるいはキートップ52の周囲を光源58により照明することによりキートップ52の位置を認識できるようにした照光式スイッチであって、基板56の上面側にはスイッチ57とキートップ52とキートップ52の周囲を保持する導光枠53を配設して、基板56の下面側にはLED58並びにLED58からの光を導光枠53へ導く第2の導光部材である導光キャップ55を配設して、導光枠53と導光キャップ55とを基板56の周囲で接合したことを特徴とするものである。
【特許文献1】特願2004−280751号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものには、次のような問題があった。
1)図6に示すように、キートップ52の上部が何らかの原因で切れてしまった場合、内部に水や湿気、ゴミなどの異物が侵入し内部スイッチ57の接点などを浸食させ、導通不良を起こしてしまう。
2)図7に示すように、キートップ52のセンターよりずれた部分を押すとキートップ52の上部と更に中央柱部52cがドラム状に撓んでしまい、クリック感が悪い、又は内部スイッチ57を押せない等の問題があった。
3)図8に示すように、キートップ52の上部が切れて脱落してしまった場合、上記問題が発生しやすくなることと、更に指でスイッチ57を押しづらい、又は、押せないなどの問題があった。
4)図5に示すように、リード線59を導光枠53と導光キャップ55との間に挟んで固定させる場合に、固定力が弱くすぐに外れてしまっていた。リード線59を挟んでいる隙間を更に狭くして固定力を強くすることも可能だが、導光キャップ55と導光枠53とを引き離す方向にクリープ現象がはたらき、長期的信頼性の観点から思わしくなかった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決して、信頼性の向上した照光式スイッチを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するための本発明の手段は、基板と、この基板に配設したスイッチ及び光源と、前記スイッチを押圧するためのキートップと、前記光源の光を前記キートップあるいは前記キートップの周囲へと導く導光部材とから成り、前記基板の上面側には前記スイッチと前記キートップとこのキートップの内側及び外側から狭持する押さえ枠及び第1の導光部材とを配設し、前記基板の下面側には前記光源並びに前記光源からの光を前記第1の導光部材へ導く第2の導光部材を配設して、前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とを前記基板の周囲で接合してあり、前記キートップあるいは前記キートップの周囲を前記光源により照明することにより前記キートップの位置を認識できるようにした照光式スイッチにおいて、前記キートップと前記スイッチとの間に押し駒を配設し、前記スイッチは前記キートップにより前記押し駒を介して操作されることを特徴とする。
【0006】
また、前記押し駒は前記押さえ枠の内部に組み込まれて、前記押さえ枠に設けられたフックなどにより前記押さえ枠から脱落しないように取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
また、押さえ枠と前記基板との間に防水シートを固定して、この防水シートにより前記スイッチが覆われていることを特徴とする。
【0008】
また、前記第1の導光部材と前記第2の導光部材との少なくとも一方に前記スイッチから導出されてUの字状に折り曲げられたリード線を係止する凸部を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とはスナップフィット方式で合体していることを特徴とする。
【0010】
また、前記光源は白色LEDであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板と、この基板に配設したスイッチ及び光源と、前記スイッチを押圧するためのキートップと、前記光源の光を前記キートップあるいは前記キートップの周囲へと導く導光部材とから成り、前記基板の上面側には前記スイッチと前記キートップとこのキートップの内側及び外側から狭持する押さえ枠及び第1の導光部材とを配設し、前記基板の下面側には前記光源並びに前記光源からの光を前記第1の導光部材へ導く第2の導光部材を配設して、前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とを前記基板の周囲で接合してあり、前記キートップあるいは前記キートップの周囲を前記光源により照明することにより前記キートップの位置を認識できるようにした照光式スイッチにおいて、前記キートップと前記スイッチとの間に押し駒を配設し、前記スイッチは前記キートップにより前記押し駒を介して操作されるようにしたので、信頼性の向上した照光式スイッチを提供することができる。また、スイッチ、光源を適宜選択できるので、ユーザーからの要求を満たす製品の提供ができる。併せてコストの削減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態である照光式スイッチを図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態である照光式スイッチの平面図、図2は図1のA−A断面を示す断面図、図3は図2のB−B断面を示す断面図である。図4は照光式スイッチの分解斜視図である。
【0013】
図1乃至図4において、1は本発明の実施の形態である照光式スイッチを示している。2は照光式スイッチ1のキートップを示しており、シリコンなどの弾性樹脂から略キャップ形状に成形され、上面には周縁部に溝2aを有し、内部側面にはリング状に凹部2bが形成されている。3は拡散材入りの半透明な透光性樹脂から成る第1の導光部材である導光枠を示しており、側面には複数の切欠部3aとスイッチ取付穴3bとを有し、内面にはキートップ2の周囲を押さえる凸部3cを備えている。また、導光枠3の表面にはシボ等の光拡散処理が施されている場合もある。
【0014】
4は押さえ枠を示しており、押さえ枠4の上部外周にはキートップ2の凹部2bと嵌合する凸部4aが形成され、押さえ枠4の内部仕切面には一対のフック部4bが立設され、仕切面中央には貫通穴4cが形成されている。押さえ枠4の凸部4aと対応した高さにある導光枠3の凸部3cとでキートップ2の側部を挟持している。5は透明な透光性樹脂から成る第2の導光部材である導光キャップを示しており、後述する基板の下面側に配設され、上面中央に後述のLEDを覆う凹部を有し、上面側の4つのコーナーからはフック部5aが立ち上がっており、下面側の中央には光反射部である円錐凹部5bが形成され、外周には光反射面である斜面5cが形成されている。
【0015】
導光キャップ5はフック部5aが導光枠3の切欠部3aに係合することによりスナップフィット方式で導光枠3と合体しており、両者は基板周囲の接合部でエポキシ系などの透光性樹脂により接合封止されている。キートップ2と導光枠3とは上述のようにして密着しており導光枠3と導光キャップ5との接合部は樹脂封止されているので、照光式スイッチ1は防水構造を備えている。6は両面にプリント配線された基板を示しており、導光キャップ5と押さえ枠4とに挟持されている。7は基板6上面の中央配線パターン上に搭載されたスイッチを示している。
【0016】
8は基板6下面の中央配線パターン上に搭載された光源としての1個のパッケージである白色LEDを示している。9はそれぞれ基板6のスイッチ7及びLED8の各電極に導通している配線パターンに接続されたリード線を示しており、基板6から導光枠3と導光キャップ5との境界面を通って外部へ、互いに近接することなくなるべく各方向に分散して引き出されていることが望ましく、リード線9は互いに大きく離して2本づつ照光式スイッチ1の対向する2面に分けて導出されている。照光式スイッチ1の一方の側面から引き出された2本のリード線9は導光枠3と導光キャップ5の凸部5dとに挟まれて反対側の側面の方へ引き出されている。10は図4に示す押し駒であり、2つの段付き貫通穴10aと中央下方に突出するボス10bとを有し、押さえ枠4の内部に組み込まれてフック部4bと段付き貫通穴10aとが係合している。11は押さえ枠4と基板8との間に狭持されてスイッチ7を覆っている防水シートを示している。
【0017】
次に、本発明の実施の形態の作用について説明する。リード線9を通ってLED8に通電することによりLED8が発光する。LED8を出射した光は導光キャップ5の円錐凹部5bによって360°方向へ拡散して斜面5cに当たり、そこで反射して上方の導光枠3へ入射する。このとき、円錐凹部5bの頂角及び斜面5cの傾斜角を適宜選択することにより、LED8からの出射光は殆ど導光キャップ5の外へ漏れることがない。光は導光枠3の周囲を均等に透過拡散してキートップ2の周囲を略リング状あるいは枠状に照光する。したがって暗闇でも光に導かれてキートップ2を押すことにより、押し駒10が押されてボス10bが防水シート11を介してスイッチ7を押すのでスイッチが入り、これに接続されているリード線9を通じて回路が動作する。
【0018】
次に、本発明の実施の形態である照光式スイッチ1の効果について説明する。キートップ2を弾性樹脂で形成し、周縁部に溝2aを設けたのでキートップ2の上下変位が容易になっている。キートップ2の下に押し駒10を配設して、押し駒10によりスイッチ7を押すようにしたので、指の力がスイッチ7に伝わりやすく、中心から離れたキートップ2の位置を押しても感触良く操作できる。防水シート11を押さえ枠4と基板8とで狭持してスイッチ7を覆ったので、万一キートップ2に亀裂が生じてもスイッチ7部に水などが浸入しにくくなった。また、キートップ2が一部破損しても押し駒10を押すことが出きるから、スイッチ操作が維持できる。光源に単個のパッケージである白色LED8を用いているにも関わらず、円錐凹部5bにより光を360°方向に反射拡散することができ、この光を斜面5cによりそのまま上方の導光枠3へ有効に導光できるので、光の減衰が少なくムラのない略リング状あるいは枠状の照光が実現できた。導光枠3には拡散材入りの半透明樹脂を用いたので光が拡散して均一に照光できる。また、スイッチ7から導出されるリード線9をUの字状に折り曲げて照光式スイッチ1の一方の側面に引き出す際に、導光キャップ5に凸部5dを設けたので、この部分で抜けてしまうことがなくなった。なお、この凸部5dは導光枠3と導光キャップ5との少なくとも一方に設けてあればよい。
【0019】
光源である白色LED8は高価なものであるが1個だけ使用すればよいので経済的である。照光式スイッチ1は暗闇でもキーの位置を認識でき、しかも防水構造も備えているので、例えば自動車外周にあるスイッチ全般に適用することができる。リード線9は基板6から側方へ分散して引き出されているので、導光の妨げとならない。導光枠3と導光キャップ5との接合面に透光性樹脂を用いているので導光を妨げない。スイッチ7とLED8とは適宜な仕様のものと容易に交換できるのでユーザーの要求に即応できる。また、主要部品は樹脂成形技術で安価に製作できるのでコスト削減が図れる。
【0020】
なお、本発明は必ずしも以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、スナップフィット方式の係合部において、導光キャップ5の方に切欠部が形成され、導光枠3の方にフック部が形成されている構成になってもよい。また、第1の導光部材と第2の導光部材とが溶着されてもよく、また一体に形成されていてもよい。その場合には一部の部品形状を小変更するだけで容易に組立可能な照光式スイッチを構成できる。また、光源は白色LEDに限らず、他の単色のものであってもよく、また、複数色のLED素子(例えばR、G、Bの素子)を1パッケージ化したものであってもよい。その場合には目的に応じて発光色を変更することができる。また、複数のパッケージを搭載することにより更に明るくすることもできる。更に光源はランプであってもよい。
【0021】
また、第2の導光部材の上面側を除く外面にメッキ、塗装等の反射層を形成することによって、導光中の光が外部へ漏れるのを防ぐことも有効である。更に、光源を基板上面(スイッチ側)にも設けて、キートップを照光することもできる。この場合にはキートップの材質を透光性のものに変更すればよい。また、キートップの上面にメッキしたプラスチック板を接合して金属光沢のあるデザイン性の良い外観品質を得ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の照光式スイッチは自動車、車載機器、家電製品、玄関ドア等に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態である照光式スイッチの平面図である。
【図2】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図3】図1のB−B断面を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態である照光式スイッチの分解斜視図である。
【図5】従来の照光式スイッチの断面図である。
【図6】従来の照光式スイッチの平面図である。
【図7】従来の照光式スイッチの問題を説明する断面図である。
【図8】従来の照光式スイッチの問題を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 照光式スイッチ
2 キートップ
3 導光枠
3a 切欠部
4 押さえ枠
5 導光キャップ
5a フック部
5b 円錐凹部
5c 斜面
5d 凸部
6 基板
7 スイッチ
8 LED
9 リード線
10 押し駒
11 防水シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、この基板に配設したスイッチ及び光源と、前記スイッチを押圧するためのキートップと、前記光源の光を前記キートップあるいは前記キートップの周囲へと導く導光部材とから成り、前記基板の上面側には前記スイッチと前記キートップとこのキートップの内側及び外側から狭持する押さえ枠及び第1の導光部材とを配設し、前記基板の下面側には前記光源並びに前記光源からの光を前記第1の導光部材へ導く第2の導光部材を配設して、前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とを前記基板の周囲で接合してあり、前記キートップあるいは前記キートップの周囲を前記光源により照明することにより前記キートップの位置を認識できるようにした照光式スイッチにおいて、前記キートップと前記スイッチとの間に押し駒を配設し、前記スイッチは前記キートップにより前記押し駒を介して操作されることを特徴とする照光式スイッチ。
【請求項2】
前記押し駒は前記押さえ枠の内部に組み込まれて、前記押さえ枠に設けられたフックなどにより前記押さえ枠から脱落しないように取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の照光式スイッチ。
【請求項3】
押さえ枠と前記基板との間に防水シートを固定して、この防水シートにより前記スイッチが覆われていることを特徴とする請求項1に記載の照光式スイッチ。
【請求項4】
前記第1の導光部材と前記第2の導光部材との少なくとも一方に前記スイッチから導出されてUの字状に折り曲げられたリード線を係止する凸部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の照光式スイッチ。
【請求項5】
前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とはスナップフィット方式で合体していることを特徴とする請求項1に記載の照光式スイッチ。
【請求項6】
前記光源は白色LEDであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の照光式スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−220348(P2007−220348A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36685(P2006−36685)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】