説明

照射されたブテン−1ポリマー組成物

高溶融強度及び高軟度を特徴とする照射ブタジエン-1ポリマー材料であって、またこの高溶融強度ブテン-1ポリマー材料と非照射ブテン-1ポリマー材料との組成物が、高まった結晶特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、高溶融強度及び強軟度を有する照射されたブテン-1ポリマー材料に関し、またその組成物は、改良された結晶化特性を有する。
ブテン-1ポリマーが、耐圧性、衝撃強さ及びクリープ抵抗の点で良好な特性を提供することが知られている。しかし、そのような材料の製造は、上記材料のペレット化の困難性のために遅い工程である。この困難性は、ポリブテン-1の遅い結晶化速度及びポリブテン-1の形態II(準安定性)結晶の低硬度の結果であると考えられる。ポリブテン-1は、多形性を示し、結晶型I(対の六方晶系)、II(正方晶)及び他の希な形態を含む。準安定形態IIを溶融結晶化によって生産し、また次いで形態Iに変形させる。形態IIの緩んだ融解生成物由来の結晶化工程は、非常に遅い工程であり、これは、分子量を増加させながら増加する。ポリブテン-1の溶融結晶化のための多くの不均一核剤が、公知技術において特定され、例えば、グラファイト、有機アミド、有機カルボン酸、及び芳香族スルホン酸及びそれらの塩が挙げられる。これらの核剤は、結晶化動力学及び合成形態学に作用し、従って、硬度、引張強さ及び熱変形に作用する。それにもかかわらず、溶融結晶化速度は、工業的利用にはまだ十分でなく、またポリブテン-1とコポリマーの結晶化速度を増加させることができる核剤が必要とされ続けている。
【0002】
米国特許第4,916,198号明細書及び同第5,047,446号明細書に記載の方法のプロピレンホモポリマー、プロピレンとエチレン又はC4-10α-オレフィンのランダムコポリマー、又はプロピレンとエチレン及び/又はC4-8α-オレフィンのランダムターポリマーに照射させることによって、高溶融強度又は歪み強化延び粘度、すなわち溶融プロピレンポリマー材料を延伸すると、架橋及び/又はゲル化がなければ、増加した伸縮耐性を得ることができることも公知である。照射プロピレンポリマー材料と非照射プロピレンポリマー材料とのブレンドが米国特許第4,916,198号明細書に開示され、非照射プロピレンポリマー材料と他のポリマー、例えばポリエチレンのブレンドが米国特許第5,047,446号明細書に開示される。高溶融強度エチレンポリマー材料は、米国特許第5,508,319号明細書に記載される。高溶融強度又は照射プロピレンポリマーの歪み硬化展伸粘度によって、従来のプロピレンポリマーの低溶融強度のため、従来のプロピレンポリマーと達成され得る他にプロピレンポリマーの適用を拡大できるようにする。
しかし、これらの高溶融強度プロピレンポリマー材料の適用の拡大は軟度の欠如によって制限される。軟度のこの欠乏を克服するために、異なる方法がとられる。例えば、軟ポリマー開始材料が、照射されて溶融強度を増加させ、又は高溶融強度プロピレンポリマー材料が、軟ポリマー材料とブレンドされる。米国特許第6,306,970号明細書は、改良された溶融強度及び軟度を有するプロピレンポリマー材料と低結晶性プロピレンポリマーを含む照射組成物を記載する。にもかかわらず、そのようなプロピレンポリマーの使用は、ブテン-1ポリマーに対してはより好適である、フォームのような用途には拡大しない。
【0003】
ブテン-1ポリマーは、良好な軟度特性を有するとして既知である。国際特許出願PCT/EP03/03593は、改良された溶融強度を有する非照射ブテン-1コポリマーを記載する。しかし、これらの値は、多くの適用に不十分であり、また、軟値を保持し又は改良すると同時に高まった溶融強度を有するブテン-1ポリマー材料を必要とし続けている。
出願人は、予想外にも高溶融強度及び軟度を有する照射されたブテン-1ポリマー材料を見出し、これは、優れた核形成に非照射ブテン-1ポリマー材料を提供することができ、結晶化速度を増加させる。
ある態様において、本発明は、
A.0.05質量%〜15質量%の照射されたブテン-1ポリマー材料であって、1cNより大きい溶融強度及び1000MPa未満のヤング率を有する材料、及び
B.85質量%〜99.95質量%の非照射ブテン-1ポリマー材料、
を含む組成物であって、前記A成分とB成分の合計が、100質量%であることを特徴とする組成物に関する。
【0004】
本発明の別の態様は、
(a)ブテン-1のホモポリマー、
(b)ブテン-1と、エチレン、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンとのコポリマー又はターポリマーであって、前記コモノマー含有量が、1モル%〜15モル%の範囲であるコポリマー又はターポリマー、及び
(c)それらの混合物、
から選択されるブテン-1ポリマー材料に、活性酸素濃度が15容量%未満の環境下で、高エネルギー電離線を5〜45Mradの全線量で照射することによって得られる照射されたブテン-1ポリマー材料であって、前記照射されたブテン-1ポリマーが、1cNより大きい溶融強度及び1000MPa未満のヤング率を有することを特徴とする材料である。
本発明のさらに別の態様は、
C.(1)ブテン-1のホモポリマー、
(2)ブテン-1と、エチレン、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンとのコポリマー又はターポリマーであって、前記コモノマー含有量が、1モル%〜15モル%の範囲であるコポリマー又はターポリマー、及び
(3)それらの混合物、
から選択される、5質量%〜95質量%の照射されたブテン-1ポリマー材料、及び、
D.5質量%〜95質量%の非照射プロピレンポリマー材料、
を含む組成物であって、前記C成分とD成分の合計が、100質量%であることを特徴とする組成物である。
【0005】
本発明の別の態様は、非照射ブテン-1ポリマー材料を核状にする方法であって、以下の工程、
(1)(a)ブテン-1のホモポリマー、
(b)ブテン-1と、エチレン、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンとのコポリマー又はターポリマーであって、前記コモノマー含有量が、1モル%〜15モル%の範囲であるコポリマー又はターポリマー、又は
(c)それらの混合物、
から選択されるブテン-1ポリマーに、活性酸素濃度が15容量%未満の環境下で、高エネルギー電離線を5〜45Mradの全線量で照射する工程であって、前記照射されたブテン-1ポリマーが、1cNより大きい溶融強度及び1000MPa未満のヤング率を有することを特徴とする工程、
(2)工程(1)によって得られる照射されたブテン-1ポリマーを処理して、前記照射されたブテン-1ポリマーに存在するすべてのフリーラジカルを実質的に失活させることにより、高溶融強度を有するブテン-1ポリマーを製造する工程、
(3)工程(2)によって得られる前記高溶融強度ブテン-1ポリマーと非照射ブテン-1ポリマー材料をブレンドすることによって、ブレンドポリマー組成物を製造する工程、及び
(4)前記ブレンドポリマー組成物を混合する工程、
を含み、前記非照射ブテン-1ポリマー材料の結晶化速度がそれにより増加することを特徴とする方法である。
【0006】
照射されたブテン-1ポリマーと非照射ブテン-1ポリマー材料を作るための出発材料は、
(a)ブテン-1のホモポリマー、
(b)ブテン-1と、エチレン、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンとのコポリマー又はターポリマーであって、前記コモノマー含有量が、1モル%〜15モル%の範囲であり、ここで、エチレンが存在する場合、好ましくはエチレンは、1〜10モル%、より好ましくは2〜5モル%であり、及び、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンが存在する場合、好ましくは2〜10モル%の濃度を有するコポリマー又はターポリマー、及び
(c)それらの混合物、
から選択されるブテン-1ポリマー材料である。
有用なブテン-1ポリマー材料は、0.5〜150、好ましくは、0.7〜100、また最も好ましくは、0.9〜75g/10分の溶融流量(MFR)を有する。
これらのブテン-1ポリマー材料、それらの調製方法及びそれらの特性は、既知の技術である。好適なブテン-1ポリマーは、WO 99/45043に記載のようにチーグラーナッタ触媒とブテン-1を使用して、又はPCT/EP02/05087に記載のようにブテン-1のメタロセン重合によって得られ得る。
【0007】
好ましくは、上記ブテン-1ポリマーは、15モル%までのコポリマー化されたプロピレン又は10モル%までのコポリマー化されたエチレンを含むホモポリマー又はコポリマーであるが、より好ましくは、ブテン-1のホモポリマーである。
好ましくは、上記ブテン-1のホモポリマーは、7日後、広角X-線回折で測定される場合、少なくとも30質量%、より好ましくは45〜約70質量%、さらに好ましくは55〜60質量%の結晶性を有する。
本発明の組成物のブテン-1ポリマー材料は、典型的に少なくとも50,000、好ましくは100,000ダルトン、より好ましくは120,000〜1,500,000ダルトンの分子量を有する。
本発明の照射されたブテン-1ポリマー材料の調製方法において、非照射ブテン-1ポリマー材料は、活性酸素濃度が、15容積%未満で、高エネルギー電離線を伴って設置し、また維持される環境下で照射され得る。上記電離線は、十分なエネルギーを有し、照射されているポリマー材料の大部分に所望の程度で浸透する。電離線は、いかなる種類であり得るが、好ましくは、電子線及びγ線が挙げられる。より好ましくは、電子発生装置に由来して発する電子であり、500-4000キロボルトの加速的ポテンシャルを有する。満足できる結果が、5〜45メガラド(「Mrad」)、好ましくは10Mrad〜36Mradの電離線の全線量で得られる。36Mradを超える線量が使用される場合、ブテン-1ポリマーは、わずかに均一性が減少する。全電磁線は、それぞれ1Mrad〜12Mrad、好ましくは6Mrad〜12Mradの多重線量で、施され得る。
【0008】
上記ブテンポリマー材料は、上記活性酸素濃度が、5容量%未満、またより好ましくは1容量%未満である環境下で好ましくは、照射される。活性酸素の最も好ましい濃度は、0.004容量%未満である。照射後、照射されたブテン-1ポリマー材料が、そのような環境で、好ましくは10時間まで、より好ましくは1-8時間の期間持続される。その後、照射されたブテン-1ポリマー材料は、フリーラジカル非活性化又は急冷工程で処理され、照射されたブテン-1ポリマー材料は、不活性雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下、少なくとも80℃の温度であるが、ポリマーの軟化点下で、より好ましくは90℃〜110℃で加熱され、好ましくは1時間より多く、より好ましくは2〜15時間、この温度を維持した。上記とは別に、急冷工程をフリーラジカルトラップとして機能する添加剤、例えばメチルメルカプタンの添加によって実施し得る。急冷工程におけるフリーラジカルの非活性化によって、ポリマー材料の分解を阻止され、また照射材料の物性の安定性を高める。好ましくは、上記急冷工程は、不活性雰囲気下加熱によって実施される。
「活性酸素」の表現は、照射されたブテン-1ポリマー材料と反応するだろう形態の酸素またさらに特別には、上記材料のフリーラジカルを意味する。ブテン-1ポリマー材料に対する照射方法の活性酸素含有量要件は、減圧の使用によって又は例えば窒素のような不活性気体による環境の空気の一部又は全部を置換することによって達成され得る。
この明細書で使用されるように、「rad」の語は、粒子のベッド又は層、又はフィルム又はシートの形態であろうと、照射されているオレフィン材料の表面に置かれた線量計によって、ポリマー材料のグラム当たり100エルグの等価な吸収量となる電離線の量を意味する。
【0009】
本発明の照射されたブテン-1ポリマーは、その材料が有する有意な歪硬化延伸粘度(strain hardening elongational viscosity)のために、1cNより大きい溶融強度を有する。好ましくは、上記溶融強度は、1.5cN〜40cN、より好ましくは10cN〜30cNである。
本発明の上記組成物の照射されたブテン-1ポリマーは、1000MPa未満の、好ましくは100MPa〜900MPa、より好ましくは200MPa〜800MPaのヤング率を有する。上記照射されたブテン-1ポリマー材料が、ブテン-1ホモポリマーである場合、上記ヤング率は、好ましくは150MPa〜300MPaである。当業者は、ヤング率の減少が、ポリマー材料の軟度の増加に反映することを認識する。
照射されたブテン-1ポリマーは、熱ゲル(hot-gel)濾過試験によって決定されるように、通常、15質量%未満のゲルを含み、上記ポリマーは、135℃で1質量%キシレン溶液に溶解され、またその後325メッシュステンレス鋼スクリーンで濾過する。好ましくは、照射されたブテン-1ポリマー材料は、5質量%未満のゲル、最も好ましくは、3質量%未満のゲルである。
出願人は、予想外にも、本発明の照射されたブテン-1ポリマー材料が、核剤として有利に使用され、溶融非照射ブテン-1ポリマー材料の結晶化速度を増加させ得ることが分かった。ある態様によれば、本発明は、
A.0.05質量%〜15質量%の照射されたブテン-1ポリマー材料であって、1cNより大きい溶融強度及び1000MPa未満のヤング率を有する材料、及び
B.85質量%〜99.95質量%の非照射ブテン-1ポリマー材料、
を含む組成物であって、前記A成分とB成分の合計が、100質量%であることを特徴とする組成物に関する。
【0010】
より具体的には、非照射ブテン-1ポリマー材料との混合物において、上記照射ブテン-1ポリマー材料は、0.05質量%〜15質量%の量で、好ましくは0.1質量%〜10質量%の量で、より好ましくは1.0質量%〜5.0質量%の量で存在し、上記組成物の残部は、非照射ブテン-1ポリマー材料である。
非照射ブテン-1ポリマー材料は、さらに非照射プロピレンポリマー材料を含むポリマー組成物の一部であり得る。本発明のさらなる別の態様は、
C.(1)ブテン-1のホモポリマー、
(2)ブテン-1と、エチレン、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンとのコポリマー又はターポリマーであって、前記コモノマー含有量が、1モル%〜15モル%の範囲であるコポリマー又はターポリマー、及び
(3)それらの混合物、
から選択される、5質量%〜95質量%の照射されたブテン-1ポリマー材料、及び、
D.5質量%〜95質量%の非照射プロピレンポリマー材料、及びその混合物、
を含む組成物であって、上記C成分とD成分の合計が、100質量%であることを特徴とする組成物に関する。
【0011】
非照射プロピレンポリマー材料は、
(A)80%より大きい、好ましくは90%〜99.5%のアイソタクチックインデックスを有するプロピレンのホモポリマー、
(B)エチレン及びC4-C10α-オレフィンから選択されるプロピレン及びオレフィンのランダムコポリマーであって、1〜30質量%の、好ましくは5〜20質量%の上記オレフィンを含み、60%より大きく、好ましくは70%より大きいアイソタクチックインデックスを有するコポリマー、
(C)プロピレンと、エチレン及びC4-C8α-オレフィンから選択される2つのオレフィンとのランダムターポリマーであって、1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%の上記オレフィンを含み、また60%より大きい、好ましくは70%より大きいアイソタクチックインデックスを有するターポリマー、
(D)オレフィンポリマー組成物であって、
(i)10〜60質量部、好ましくは15〜55質量部の少なくとも80%、好ましくは90〜99.5%のアイソタクチックインデックスを有するプロピレンホモポリマー又は(a)プロピレン及びエチレン、(b)プロピレン、エチレン及びC4-C8α-オレフィン、及び(c)プロピレン及びC4-C8α-オレフィンから選択される結晶コポリマーであって、85質量%を超える、好ましくは90〜99質量%のプロピレン含有量、及び60%より高いアイソタクチックインデックスを有する結晶コポリマー;
(ii)3質量部〜25質量部、好ましくは、5質量部〜20質量部の、周囲温度でキシレンに不溶性の、エチレンと、プロピレン又はC4-C8α-オレフィンとのコポリマー;及び
(iii)10〜80質量部、好ましくは15質量部〜65質量部の(a)エチレン及びプロピレン、(b)エチレン、プロピレン、及びC4-C8α-オレフィン、及び(c)エチレン及びC4-C8α-オレフィンから選択されるエラストマーコポリマーであって、任意に、0.5質量%〜10質量%のジエンを含み、70質量%未満、好ましくは10%〜60%、最も好ましくは、12%〜55%、のエチレンを含み、周囲温度でキシレンに溶解性でかつ、1.5〜10.0dl/gの固有粘度を有するコポリマー、
を含むオレフィンポリマー組成物であって、(ii)及び(iii)の合計が、全オレフィンポリマー組成物に基づき、50%〜90%であり、(ii)/(iii)の質量比が、0.4未満、好ましくは、0.1〜0.3であり、上記組成物が、少なくとも2段階で重合によって調製されるオレフィンポリマー組成物、及び
(E)それらの混合物、
から選択され得る。
【0012】
非照射プロピレンポリマー材料が、5質量%〜95質量%、好ましくは20質量%〜90質量%、より好ましくは30質量%〜80質量%の量で存在し得る。
非照射ブテン-1ポリマー材料を造核するために、それはまず、上記のように、非照射ブテン-1ポリマー材料、また任意に、上記のように非照射プロピレンポリマー材料と、例えば、ドラムタンブリング、又は低速又は高速ミキサーが挙げられる当業界に周知の従来の方法で混合される。その後、得られた組成物は、当業界に周知の従来の方法で溶融状態で、バッチ又は連続モードで、例えばバンバリーミキサー、混練機、又はシングル又はツインスクリュー押出機を使用して、配合(compound)される。その後上記材料は、ペレット化され得る。
他に特定されない限り、以下の例に示されるオレフィンポリマー材料及び組成物の特性は、以下に報告される試験方法に従って決定される。
溶融流量(「MFR」)が、230℃で、2.16kgでASTM D1238によって決定され、dg/分の単位で決定された。ヤング率は、ASTM D1708-96によって測定された。室温でのキシレン可溶物(「XSRT」)は、スターラーを備えた容器において、室温で250mlのキシレンに2.5gのポリマーを溶解させ、次いで20分間攪拌しながら、135℃で加熱することによって決定した。この溶液を攪拌を続けながら、25℃で冷却し、その後上記固体が沈降し得るように30分間攪拌せずに放置した。上記固体を濾紙で濾過し、窒素流で処理することによって残留溶液を蒸発させ、上記固体残渣を一定質量に達するまで80℃で真空乾燥した。
【0013】
溶融強度及び破断点速度を200℃でGoettfert Rheotens装置で測定した。このRheotens装置は、敏感なバランスビームが備えた2つの逆回転ホイールから成る。溶融ストランドをキャピラリーダイから押出し、ストランドが破断するまで回転ホイールの間で引っ張った。引張速度は最初は一定にして、力のベースラインを設定した。その後一定の加速度を適用した。試験の間測定される最大力を、溶融強度とした。溶融の伸展性は、破断点速度で示した。
質量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、ポリマーラボラトリーから市販のGPCウォーターズ-200を使用して測定した。
他で規定されない限り、この明細書における部、割合及び比のすべての引用は、質量%を意味する。
【実施例】
【0014】
(実施例1)
この例は、照射されたブテン-1ポリマー材料の調製を示す。ポリブテンBR200ポリマー(Basell USA Inc.によるブテン-1ホモポリマー、230℃及び2.16kgで0.9g/10分の流量を有し、270,000ダルトンの質量平均分子量を有する)をガラス反応管に投入し、また1時間窒素でパージして、ポリマーが、照射処理前に酸素なしの雰囲気下にあることを確保した。パージ後、上記反応管を氷に水浸して、照射の間ポリマーの溶融を予防し、その後、9Mradの電子ビーム下で照射した。上記照射されたポリマーを8時間、室温で酸素なしの環境下維持し、空気に曝される前に、最後に100℃で12時間加熱した。
(実施例2)
この例は、照射されたブテン-1ポリマー材料の調製を示す。
実施例1のブテン-1ホモポリマーを含むガラス反応管を、窒素で1時間パージし、上記ポリマーが、電磁線処理前酸素なしの雰囲気下であることを確保した。パージ後、上記反応管を氷に水浸させ、照射の間ポリマーの溶融を妨ぎ、次いで、9Mradの電子ビーム下、それぞれの通路で2回照射し、18Mradの電磁線の全線量を提供した。照射されたポリマーを酸素なし環境下8時間持続し、最後に、空気に曝す前に100℃で12時間加熱した。
(実施例3)
この例は、照射されたブテン-1ポリマー材料の調製を示す。
照射されたブテン-1ポリマー材料は、ブテン-1ホモポリマーを含む反応管が、各通路で9Mradで3回照射され、27Mradの電離線の全線量を提供することを除いて、実施例2に従って調製した。
【0015】
(実施例4)
この例は、照射されたブテン-1ポリマー材料の調製を示す。
照射されたブテン-1ポリマー材料を、ブテンポリマー材料を含む反応管を、各通路で9Mradで4回照射し、36Mradの電離線の全線量を提供することを除いて、実施例2に従って調製した。
非照射ポリブテンBR200及び実施例1〜4で得られた照射ブテン-1ポリマー材料に対する試験結果を表1に示す。

表1のデータから明らかなように、照射されたブテン-1ポリマー材料は、非照射ブテン-1ポリマー材料を上回って溶融強度及び軟度の増加を示す。
【0016】
(実施例5-17)
一連の例は、例1で使用された非照射ブテン-1ホモポリマーポリブテンBR200と実施例1〜4で得られる照射サンプルとをブレンドすることによって調製された。照射及び非照射ブテン-1ポリマー材料を室温でブレンドし、204℃で、Berstorff GmbHから市販されるBerstorff 42mm押出機で押出した。示差走査熱量測定(「DSC」)をTAインスツルメントから市販されるTA-2920示差走査熱量計で実施した。DSC方法は、最初の熱及び冷却サイクル後10日のホールドを含んだ。上記組成物及びDSC冷却サイクルのピーク冷却温度を表2に要約する。

表2のデータから明らかなように、DSCピーク冷却温度の増加によって示されるように本発明の照射されたブテン-1ポリマーの添加によって非照射ブテン-1ポリマー組成物の結晶化速度が増加する。
ここに開示される本発明の他の特徴、有利点及び態様は、先の開示を読めば当業者にとって容易に明白である。この点で、本発明の具体的な態様がかなり詳細に記載される一方で、これらの態様の変化及び改良は、開示された本発明の意図及び範囲から離れずに達成され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.0.05質量%〜15質量%の照射されたブテン-1ポリマー材料であって、1cNより大きい溶融強度及び1000MPa未満のヤング率を有する材料、及び
B.85質量%〜99.95質量%の非照射ブテン-1ポリマー材料、
を含む組成物であって、前記A成分とB成分の合計が、100質量%であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記照射されたブテン-1ポリマー材料が、0.1質量%〜10質量%の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記非照射ブテン-1ポリマー材料が、以下、
(a)ブテン-1のホモポリマー、
(b)ブテン-1と、エチレン、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンとのコポリマー又はターポリマーであって、前記コモノマー含有量が、1モル%〜15モル%の範囲であるコポリマー又はターポリマー、及び
(c)それらの混合物、
から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記照射されたブテン-1ポリマー材料が、ブテン-1のホモポリマーである請求項3記載の組成物。
【請求項5】
(a)ブテン-1のホモポリマー、
(b)ブテン-1と、エチレン、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンとのコポリマー又はターポリマーであって、前記コモノマー含有量が、1モル%〜15モル%の範囲であるコポリマー又はターポリマー、及び
(c)それらの混合物、
から選択されるブテン-1ポリマー材料に、活性酸素濃度が15容量%未満の環境下で、高エネルギー電離線を5〜45Mradの全線量で照射して、それによって照射されたブテン-1ポリマー材料を形成させることによって得られる照射されたブテン-1ポリマー材料であって、前記照射されたブテン-1ポリマーが、1cNより大きい溶融強度及び1000MPa未満のヤング率を有することを特徴とする材料。
【請求項6】
前記全線量が、10Mrad〜36Mradである請求項5記載の照射されたブテン-1ポリマー材料。
【請求項7】
前記ポリマーが、ブテン-1のホモポリマーである請求項5記載の照射されたブテン-1ポリマー材料。
【請求項8】
C.(1)ブテン-1のホモポリマー、
(2)ブテン-1と、エチレン、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンとのコポリマー又はターポリマーであって、前記コモノマー含有量が、1モル%〜15モル%の範囲であるコポリマー又はターポリマー、及び
(3)それらの混合物、
から選択される、5質量%〜95質量%の照射されたブテン-1ポリマー材料であって、1cNより大きい溶融強度及び1000MPa未満のヤング率を有する材料、及び、
D.5質量%〜95質量%の非照射プロピレンポリマー材料、
を含む組成物であって、前記C成分とD成分の合計が、100質量%であることを特徴とする組成物。
【請求項9】
前記照射されたブテン-1ポリマー材料が、20質量%〜90質量%の量で存在する請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記照射されたブテン-1ポリマー材料が、ブテン-1のホモポリマーである請求項8記載の組成物。
【請求項11】
非照射ブテン-1ポリマー材料を造核する方法であって、以下の工程、
(1)(a)ブテン-1のホモポリマー、
(b)ブテン-1と、エチレン、プロピレン又はC5-C10α-オレフィンとのコポリマー又はターポリマーであって、前記コモノマー含有量が、1モル%〜15モル%の範囲であるコポリマー又はターポリマー、及び
(c)それらの混合物、
から選択されるブテン-1ポリマーに、活性酸素濃度が15容量%未満の環境下で、高エネルギー電離線を5〜45Mradの全線量で照射する工程であって、前記照射されたブテン-1ポリマーが、1cNより大きい溶融強度及び1000MPa未満のヤング率を有する工程、
(2)工程(1)によって得られる照射されたブテン-1ポリマーを処理して、前記照射されたブテン-1ポリマーに存在するすべてのフリーラジカルを実質的に失活させることにより、高溶融強度のブテン-1ポリマーを製造する工程、
(3)工程(2)によって得られる前記高溶融強度ブテン-1ポリマーと非照射ブテン-1ポリマー材料とをブレンドすることによって、ブレンドポリマー組成物を製造する工程、及び
(4)前記ブレンドポリマー組成物を配合する工程、
を含み、前記非照射ブテン-1ポリマー材料の結晶化速度が増加することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記全線量が、10Mrad〜36Mradである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ブテン-1ポリマー材料が、ブテン-1のホモポリマーである請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2007−502338(P2007−502338A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523067(P2006−523067)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002483
【国際公開番号】WO2005/014710
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(505333539)バーセル ポリオレフィン イタリア ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (4)
【Fターム(参考)】