説明

照射器具及び照明器具を備えたテント

【課題】燃焼材等を必要とせず、また、消費電力を抑制しつつ、十分な明るさを確保することができる照明器具、及び当該照明器具を備えるテントを提供することを目的とする。
【解決手段】電力を発生するソーラーパネルと、ソーラーパネルで発生された電力に基づいて光を発生させる発光装置10とを備え、発光装置10は、発光した光を導光する導光板13を有し、導光板13は、側面から前記光を入射し、当該入射した光を一方の主面によって構成される出射面Sから出射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射器具及び照明器具を備えたテントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば山中等でテントを使用し、内部で照明器具を用いる場合、カンテラや懐中電灯を使用していた。この様なテント及びテントで用いられる照射器具としては特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−242487公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テントにおいてカンテラを用いる場合、カンテラで使用する燃焼材を携帯しなければならなかった。また、燃焼材が無くなってしまった場合は他の照明手段を利用しなければならないという問題があった。
【0005】
また、懐中電灯を使用する場合、ダイナモ等を備える所謂災害用の懐中電灯を使用することも考えられるが、懐中電灯において用いる電球は大量の電力を必要とする為、効率的ではない。ここで、消費電力の少ないLED(Light Emitting Diode)素子を用いることも考えられるが、通常のLED素子では十分な明かりを確保することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこの様な実情に鑑みてなされたものであり、燃焼材等を必要とせず、また、消費電力を抑制しつつ、十分な明るさを確保することができる照明器具、及び当該照明器具を備えるテントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上述の課題を解決する為に、本発明に係る照射器具は、電力を発生する電力発生部と、前記電力発生部で発生された電力に基づいて光を発生させる発光装置とを備え、前記発光装置は、発光した光を導光する導光板を有し、前記導光板は、側面から前記光を入射し、当該入射した光を一方の主面によって構成される出射面から出射することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、電力発生部において発生した電力に基づいて発光した光は、導光板の側面から入射される。さらに導光板に入射された光は、出射面から出射することとなる。この場合、導光板を通じて光を照射する為、電力発生部において発生される電力は少量で良い。
【0009】
また本発明に係るテントは、所定の空間を形成する幕と、前記幕を所定の形状に保持する支柱と、上記照射器具とを備え、前記照射器具は、さらに、前記照射器具を前記テントの外側表面に保持する保持手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明に係る照射器具及びテントによれば、燃焼材等を必要とせず、また、消費電力を抑制しつつ、十分な明るさを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る照射器具及びテントの実施の形態について詳細な説明をする。
【0012】
テントは、例えば山中において人間が一時的に居住するものであり、所定の空間を形成する幕1と、幕1を所定の形状に保持する支柱2と、照射器具3とによって構成されている。幕1は、人間が一時的に居住する空間を確保する仕切りであり、例えば防水加工が施されたシート状の部材である。また、支柱2は、幕1を所定の形状に保持する為の部材であり、例えばステンレス材等を円筒状に形成し、これらを所定の形状に組み合わせることで形成される。
【0013】
照射器具3は、例えば昼間は、テントの屋根部分に固定して充電し、夜間にテント内部を照射する。この様な照射器具3は、図2a,2b及び図3に示す様に、内部に発光装置10を備える筐体5と、筐体5の表面に形成された照射領域6と、筐体5の表面に形成されたソーラーパネル7と、発光装置10のオン・オフを制御するスイッチ部材8とによって構成されている。また、照射器具3は、図示せぬ逐電部を備える。
【0014】
筐体5は、発光装置10を一体的に保持する部材であり、蓋部材5aと本体部材5bとによって構成されており、蓋部材5aは、中心部を空洞とした板状の部材である。本体部材5bは、内部を中空とし、上面が開口した箱状の部材によって形成されており、内部に発光装置10を備える。また本体部材5bの下面にはソーラーパネル7、及び固定部材5が固定されている。照射器具3を使用する場合は、本体部材5bの中空部に発光装置10を配設し、蓋部材5aを上面に配設することで用いる。また筐体5は、この様な本体部材5bに、蓋部材5aを被せることで形成される。筐体5内部に発光装置10を配設する際、発光装置10を本体部材5b内部に配設し、蓋部材5aで本体部材5bの開口を覆う様に被せる。この様に蓋部材5aと本体部材5bを合せることで、発光装置10から発光された光は、照射領域6を透過して、照射領域6から照射されることとなる。
【0015】
また、筐体5の上面には、発光装置10において発光した光を照射する為の照射領域6が形成されている。ユーザが照射器具3を用いてテント内部を照射する場合、まず、昼間は照射器具3を幕1に、ソーラーパネル7が太陽光に当たる様に固定する。このときソーラーパネル7において発生した電力は、ソーラーパネル7と電気的に接続された図示せぬ逐電部に供給される。図示せぬ逐電部は、ソーラーパネル7において発生した電力を逐電する為の部材である。ここで、ソーラーパネル7において発生した電力が、逐電部及び発光装置10の両方に供給される様な構成とすることも可能である。例えば発光装置10を発光させる際に、ソーラーパネル7において電力を発生させることが可能な場合は、ソーラーパネル7において発生した電力を直接発光装置10に供給する様にする。これと同時に発光装置10が発光する為に必要とならない余剰電力を、逐電部に供給する様にする。この様に、発光装置10が発光すると同時に逐電部に電力を逐電させることにより、ソーラーパネル7において電力を発生させることが出来ない場合は、逐電部において逐電された電力を用いて発光装置10を発光させることが可能となる。ここで逐電部としては、例えば二次電池又は電解二重層コンデンサーを用いることができる。さらに逐電部としては、ソーラーパネル7において発生した電力を一時的に逐電し、必要に応じて放電することができるものであればどの様なものであっても良い。
【0016】
そして、夜間は照射器具3を幕1から取り外し、テント内部に持ち込んで、逐電部に逐電された電力を、発光装置10に対して放電する。逐電部から電力を供給された発光装置10は、後述する方法で発光し、テント内部を照射する。ソーラーパネル7を幕1に固定する方法としては、例えば幕1及び筐体5にそれぞれに所謂マジックテープ(登録商標)材を設ける方法がある。また、ボルト等を用いる固定する方法や、フック等を用いて固定する方法があるが、照射器具1を幕1に固定することが可能な方法であればどの様な方法であっても良い。
【0017】
発光装置10は、図示せぬ逐電部と電気的に接続されており、逐電部に逐電された電力によって照射領域6から光を照射する。この様な発光装置10は、所定の基板上に複数個の発光素子を配列した発光素子アレイ11a,11bと、光を反射する反射板12と、導光板13と、拡散板14とによって構成されている。発光素子アレイ11a,11bは、例えばLED(Light Emitting Diode)素子を複数個配列してなる部材であり、それぞれ導光板13の異なる側面に配設されている。ユーザが照射器具3を使用する際は、スイッチ部材8を用いて当該選択した発光素子アレイ11a,11bのオン・オフを制御する。
【0018】
また、反射板12は、所定の光学的な反射率を有する部材であり、例えば板状に形成された白色の部材である。反射板12は、導光板13の照射面Sとは異なる主面から漏れた光を反射する為の部材である。また、反射板12の上面には導光板13が配設されており、発光素子アレイ11a,11bから導光板13に入射された光は、反射板12で反射して導光板13の照射面Sから照射される。
【0019】
ここで、導光板13は、自身の側面から入射された光及び反射板12から反射した光を主面によって構成される照射面Sから照射する部材であり、図4(a)及び図4(b)に示す様に、照射面Sに四角錐状の凹部13aが複数個形成された板状の部材である。この様な凹部13aは、例えば超音波加工、高周波加工、又は熱加工によって形成されたものであり、この様な凹部13aを導光板13に形成し、当該導光板の側面からLED素子によって光を入射することにより、導光板13の光取り出し効率を向上させることが可能となる。なお、凹部13aの形状は円錐や三角錐、六角錐などの他の角錐状でも良く、また、照射面Sに一様に凸部を設けるものであっても良い。
【0020】
拡散板14は、導光板13から照射された光を一様に拡散させる部材であり、光学的に透明な材料を板状に形成し、少なくとも一方の主面に所定の凹凸が形成されている。この様な拡散板14は、導光板13の照射面Sに接触する様に配設される。
【0021】
発光装置10は、上述の構成を備える反射板12、導光板13、及び拡散板14を図4(c)に示す様に順次積層し、さらにこれら部材を積層してなる板状の部材の側面に発光素子アレイ11a及び発光素子アレイ11bから照射された光を選択的に入射することで導光板13の照射面Sを発光させる。さらに導光板13の照射面Sから照射された光は、拡散板14において拡散され、照射領域6から照射される。
【0022】
蓋部材4は、筐体5と略同一の大きさを有する長方形に形成された板状の部材である。蓋部材4の一方の長辺は、筐体5の一方の長辺に回動支持されており、蓋部材4の一方の主面を照射領域6に接触する様に回動することで照射領域6を保護することが可能となる。また、蓋部材4の他方の主面にはソーラーパネル7が配設されており、ソーラーパネル7において得られた電力は、逐電部を通じて発光素子アレイ11a,11bに供給される。照射器具3は、ソーラーパネル7において発生した電力を用いて発光する為、照射器具3は、電池等の電力源を必要とせず、電源が無い屋外においても容易に照射器具3を駆動させることができる。
【0023】
以下、上述の構成を備える照射器具3を使用する方法について詳細な説明を行う。
【0024】
ユーザがテント内部を照射する際、まずユーザは、スイッチ部材8を用いて発光素子アレイ11a,11bをオン状態とする。発光素子アレイ11a,11bがオン状態となることにより、発光素子アレイ11a,11bから発光した光は、導光板13の側面から導光板13内部に入射する。ここで導光板13内部に入射された光の一部は、直接照射面Sから拡散板14方向に照射され、残りの一部は反射板12方向に照射され、反射板12によって反射され、照射面Sから拡散板14に照射されることとなる。拡散板14に照射された光は、拡散板14を通過する際に一様に拡散され、照射領域6に入射されることとなる。照射領域6に入射された光は、そのまま照射領域6を通過し、テント内部を照射する。
【0025】
尚、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば筐体5にSOS信号を発信する発信機を設けても良い。この発信機も、発光装置と同様にソーラーパネル7から電力を供給することで、例えば山中で遭難した場合でも常にSOS信号を発することが可能となる。
【0026】
上述の実施例においては、電力発生部としてソーラーパネル7を用いて詳細な説明を行ったが、電力を発生させるものであればどの様なものであってもよく、太陽電池等の物理電池の又は燃料電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、若しくはリチウムイオン電池等の化学電池を用いるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るテントを示す斜視図であり、テントの構成について説明する為の図である。
【図2(a)】同テントを構成する照射器具の斜視図であり、照射器具の構成について説明する為の図である。
【図2(b)】同照射器具の斜視図であり、照射器具の裏面を示す図である。発光装置を構成する導光板を示す要部斜視図であり、導光板の構成について説明する為の図である。
【図3】同照射器具の分解斜視図であり、主に発光装置の構成について説明する為の図である。
【図4(a)】同導光板の要部斜視図である。
【図4(b)】同導光板の要部断面図である。
【図4(c)】同導光板を含む発光装置の要部断面図であり、同発光装置の構成について説明する為の図である。
【符号の説明】
【0028】
1 幕
2 支柱
3 照射器具
5 筐体
5a 蓋部材
5b 本体部材
6 照射領域
7 ソーラーパネル
8 スイッチ部材
10 発光装置
11a,11b 発光素子アレイ
12 反射板
13a 凹部
13 導光板
14 拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を発生する電力発生部と、
前記電力発生部で発生された電力に基づいて光を発生させる発光装置とを備え、
前記発光装置は、発光した光を導光する導光板を有し、
前記導光板は、側面から前記光を入射し、当該入射した光を一方の主面によって構成される出射面から出射すること
を特徴とする照射器具。
【請求項2】
請求項1記載の照射器具は、前記電力発生部で発生した電力を逐電する逐電部を備え、
前記発光装置は、前記逐電部に逐電された電力に基づいて発光する、
照射器具。
【請求項3】
前記発光装置は、前記導光板の側面に配設された前記光を発するLED素子を備える、
請求項1又は請求項2の何れかの項記載の照射器具。
【請求項4】
前記LED素子を前記導光板の側面に保持する筐体を備える、
請求項3記載の照射器具。
【請求項5】
前記筐体は、内部を中空とされ、且つ、上面が開口したものであって、
前記開口を覆う様に形成された照射領域を備え、
前記発光装置は、前記導光板の出射面から出射した光を前記照射領域に導光する様に配置されている、
請求項4記載の照射器具。
【請求項6】
前記電力発生部は、太陽電池パネルであって、
前記太陽電池パネルは、前記筐体における下面に形成されている、
請求項5記載の照射器具。
【請求項7】
前記導光板は、出射面に複数の凹凸部を備える、
請求項1乃至請求項6の何れかの項記載の照射器具。
【請求項8】
前記導光板の出射面に形成された凹凸部は、熱加工、超音波加工、又は高周波加工によって形成された、
請求項7記載の照射器具。
【請求項9】
前記電力発生部は、物理電池である、
請求項1乃至請求項8の何れかの項記載の照射器具。
【請求項10】
前記電力発生部は、ダイナモである、
請求項9記載の照射器具。
【請求項11】
前記電力発生部は、風力発電機構である、
請求項9記載の照射器具。
【請求項12】
所定の空間を形成する幕と、
前記幕を所定の形状に保持する支柱と、
請求項1記載の照射器具とを備え、
前記照射器具は、さらに、前記照射器具を前記テントの外側表面に保持する保持手段を備えること
を特徴とするテント。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【公開番号】特開2007−115585(P2007−115585A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307271(P2005−307271)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000127857)株式会社エス・ケー・ジー (105)
【出願人】(591039791)
【Fターム(参考)】