説明

照度向上システム及び照度向上システムの施工方法

【課題】蛍光灯照明装置により照明すると共に、床がコンクリート床となっている建屋内の照度を向上する。
【解決手段】建屋1の蛍光灯照明装置4に光反射板5を備えると共に、コンクリート床2上に光反射床10を布設した。光反射床10は、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルを下層とし、ピュアウレタン樹脂を上層として構成されている。ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは衝撃力や歪を吸収し、ピュアウレタン樹脂は微細気泡を含むと共に、耐摩耗性やキズが付きにくく、高い反射特性を有している。光反射板5と光反射床10との相乗効果により、建屋1内の照度を向上させることができる。光反射床10は、剥離しにくく、汚れも付きにくく、衝撃に対して強いため、工場などの過酷な条件であっても、床面としての強度や強靱性を保持しつつ、高い反射性能を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照度向上システム及び照度向上システムの施工方法に関し、工場や倉庫等の建屋内における照度を向上させるように工夫したものである。
更に詳述すると、本発明では、放電ランプ(蛍光灯や水銀灯やメタルハライドランプ)が取り付けられる照明装置(蛍光灯照明装置や水銀灯照明装置やメタルハライドランプ照明装置)に備えた光反射板と、床面に布設した光反射床を用いて、光反射板と光反射床との相乗効果により建屋内の照度を向上させたものである。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等の建屋では、床面はコンクリートであり、天井に備えた蛍光灯照明装置により照明をしていることが多い。かかる工場等の建屋では、作業者のみならずフォークリフト等の車両が往来しており、そのような中で必要な作業(荷役作業や製造作業)をしているため、安全性を確保すると共に作業性を向上するとの観点から、明るい照明が求められている。
【0003】
明るい照明を実現すると共に省エネを図るために、蛍光灯照明装置に光反射板を取り付けることが考えられている(例えば特許文献1参照)。
光反射板は、拡散反射をする特性を有する樹脂を板状に形成したものであり、蛍光灯照明装置に対して、蛍光ランプの背面に配置されて、蛍光ランプの光を床面側に向けて反射して照度を向上させるものである。
このような光反射板を蛍光灯照明装置に取り付ければ、蛍光灯照明装置自体から発生する光強度は同じであっても、建屋内の照度を向上させることができ、照度向上を図ることができる。しかも、使用電力が増加するわけではないため、省エネにも寄与する。
【0004】
上述したように光反射板を使用すれば、一定程度の照度向上を図ることはできるが、更なる照度向上が求められている。しかも、この場合においても、使用電力の増加は無いことが望まれている。
【0005】
そこで、蛍光灯照明装置に光反射板を取り付けると共に、コンクリート床面の上に光反射床を布設することが考えられている。
【0006】
従来の光反射床は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、MMA等)をコンクリート床面上に施し、この熱硬化性樹脂の表面に、反射粒(アクリルビーズ、ガラスビーズ、窒化ケイ素粒、ガラス粒)を散布し、その後に、熱硬化性樹脂を熱硬化させて形成していた。これにより、樹脂硬化の際の接着効果により、反射粒が樹脂表面に接着される。このため、天井に備えた蛍光灯照明装置から照明された光は、反射粒で反射され、建屋内部の照度を向上させることができる。
【0007】
【特許文献1】登録実用新案第3043860号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、工場や倉庫等では、作業者が歩いたりフォークリフト等が走行したりするため、床面には大きな衝撃力が加わると共に、床面が汚れ易い。
このような過酷な条件にある、工場等の建屋の床面に、上述した従来の光反射床を布設した場合には、樹脂表面に接着した反射粒が樹脂から容易に剥離したり、摩耗したりするという不具合があった。
また、このような反射粒による反射率は低く、照度を大きく向上させるには不足であった。しかも、反射粒に汚れが付着すると、反射率が著しく低下してしまう。
【0009】
したがって、工場や倉庫等の建屋の床面(コンクリート床面)に、従来の光反射床を布設したとしても、実用的には使い物にならないものであった。
つまり、従来の光反射床を採用したとした場合には、フォークリフト等が走行することにより、反射粒が容易に摩耗・剥離すると共に、反射粒が汚れ易いため、光反射床の反射機能が簡単に損なわれていた。
【0010】
本発明は、上記従来技術に鑑み、耐久性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐薬品性、耐候性などが優れており、歪を吸収し、剥離しない特性を有し、しかも、工場や倉庫の床としての機能も果たす光反射床と、蛍光灯照明装置に備えた光反射板を用いて、建屋内の照度を向上させることのできる、照度向上システム及び照度向上システムの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の照度向上システムの構成は、
天井には照明装置が備えられており、床面がコンクリート床となっている建屋の内部の照度を向上させる照度向上システムであって、
前記照明装置には、放電ランプの背面に配置されて放電ランプの光を床面側に向けて反射する光反射板が取り付けられており、
前記コンクリート床の上には、このコンクリート床の上に施されたポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルと、このポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルの上に塗布された微細気泡を有するピュアウレタン樹脂とでなる光反射床が布設されていることを特徴とする。
【0012】
また本発明の照度向上システムの構成は、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるアミンと、骨材とを混合攪拌したものであり、
前記ピュアウレタン樹脂は、ポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートとを混合攪拌したものであることを特徴とする。
【0013】
また本発明の照度向上システムの構成は、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるアミンと、骨材とを混合攪拌したものであり、
前記ピュアウレタン樹脂は、酸化チタンを添加したポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートとを混合攪拌したものであることを特徴とする。
【0014】
また本発明の照度向上システムの構成は、
前記ピュアウレタン樹脂は、直径が1.5μm以上,10μm以下の気泡を有し、硬度(ショアーD)が45以上,90以下であること、
または、前記ピュアウレタン樹脂は、ポリオールの分子量が2500以内,650以上であることを特徴とする。
【0015】
また本発明の照度向上システムの構成は、
前記建屋の側壁面、または、前記建屋の側壁面及び天井面には、ピュアウレタン樹脂が塗布されていることを特徴とする。
【0016】
また本発明の照度向上システムの施工方法の構成は、
天井には照明装置が備えられており、床面がコンクリート床となっている建屋の内部の照度を向上させる照度向上システムの施工方法であって、
前記照明装置に、放電ランプの背面に配置されて蛍光管の光を床面側に向けて反射する光反射板を取り付け、
前記コンクリート床の上に、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルを施し、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルが完全硬化する前に、前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルの上にピュアウレタン樹脂を塗布して、前記コンクリート床上に光反射床を形成することを特徴とする。
【0017】
また本発明の照度向上システムの施工方法の構成は、
天井には照明装置が備えられており、床面がコンクリート床となっている建屋の内部の照度を向上させる照度向上システムの施工方法であって、
前記照明装置に、放電ランプの背面に配置されて放電ランプの光を床面側に向けて反射する光反射板を取り付け、
前記コンクリート床の上に、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルを施し、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルが完全硬化する前に、前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルの上にピュアウレタン樹脂を塗布し、
前記ピュアウレタン樹脂の上に骨材を散布し、この骨材の上から再びピュアウレタン樹脂を塗布して、前記コンクリート床上に光反射床を形成することを特徴とする。
【0018】
また本発明の照度向上システムの施工方法の構成は、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるアミンと、骨材とを混合攪拌したものであり、
前記ピュアウレタン樹脂は、ポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートとを混合攪拌したものであることを特徴とする。
【0019】
また本発明の照度向上システムの施工方法の構成は、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるアミンと、骨材とを混合攪拌したものであり、
前記ピュアウレタン樹脂は、酸化チタンを添加したポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートとを混合攪拌したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、蛍光灯照明装置等の照明装置に光反射板を備えると共に、コンクリート床上に光反射床を布設した。しかも、光反射床は、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルを下層とし、ピュアウレタン樹脂を上層として構成されている。ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは衝撃力や歪を吸収し、ピュアウレタン樹脂は微細気泡を含むと共に、耐摩耗性やキズが付きにくい特性を有している。
このため、光反射板と光反射床との相乗効果により、建屋内の照度を向上させることができる。しかも、光反射床は、剥離しにくく、汚れも付きにくく、衝撃に対して強いため、工場などの過酷な条件であっても、床面としての強度や強靱性を保持しつつ、高い反射性能を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
なお、以下の実施例では、照明装置として蛍光灯照明装置を採用しているが、水銀灯照明装置やメタルハライドランプ照明装置など、放電ランプを使用した照明装置を採用することもできる。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の照度向上システムを、倉庫の建屋1に適用した例である。
図1に示すように、この建屋1は、床がコンクリート床2となっており、天井3には蛍光灯照明装置4が取り付けられている。
【0023】
蛍光灯照明装置4には、図1及び図2に示すように、蛍光管(蛍光ランプ)4aが取り付けられている。
更に、蛍光灯照明装置4には、高い拡散反射率を有する板状の光反射板5が、接着剤や磁石等を用いて取り付けられている。この光反射板5は、蛍光灯照明装置4に対して、蛍光管(蛍光ランプ)4aの背面に配置されて、蛍光管4aの光を床面側に向けて反射して照度を向上させるものである。
【0024】
光反射板5は、例えば、微細発泡または微細粉酸化チタンを含んだ空隙のある比重が0.7以下となっている熱可塑性ポリエステル樹脂により形成されている。
光反射板5の性能としては、可視光領域(光波長が400〜700nmの領域)での拡散反射率が90%以上で、全反射率が95%以上の性能を有していることが好ましい。
【0025】
ちなみに、銅やアルミニュウムなどの金属材料からなる光反射板や、金属基材の表面に金属蒸着してなる金属鏡面を有する光反射板では、拡散反射が起こりにくいので、上述した微細気泡を含む樹脂製の光反射板5を採用している。
【0026】
一方、コンクリート床2の上には光反射床10が布設されている。この光反射床10は、図3に示すように、下層のポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11と、上層のピュアウレタン樹脂12とで構成されている。
【0027】
ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11の詳細な組成や形成方法については後述するが、このポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11は、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるアミンと、骨材とを攪拌混合したものを、コンクリート床2上に施したものであり、その厚さは例えば2〜100mmである。
【0028】
このポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11は、接着性、可撓性(ゴム弾性)、耐衝撃性、耐久性、耐薬品性に優れている。したがって、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11は、その接着性により、コンクリート床2に対して剥離することなく強靱に接着すると共に、そのゴム弾性により、光反射床10に加わる衝撃力や歪を吸収する。このようにポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11が衝撃や歪を吸収するため、上層のピュアウレタン樹脂12の剥離や破損を防ぎピュアウレタン樹脂12の耐久性・安全性を確保している。
【0029】
ピュアウレタン樹脂12の詳細な組成や形成方法については後述するが、このピュアウレタン樹脂12は、ポリオールと、プレポリマーに変性した硬化剤であるポリイソシアネートとを攪拌混合したもの、または、酸化チタンを添加したポリオールと、プレポリマーに変性した硬化剤であるポリイソシアネートとを攪拌混合したものを、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11の上に塗布したものであり、その厚さは例えば50〜200μmである。
【0030】
ピュアウレタン樹脂12は常温で硬化すると共に内部で微細発泡するため、内部に多数の微細気泡を有している。このピュアウレタン樹脂12は、平均気泡径が10μm以下の微細気泡を有し、比重が0.9以下で、硬度(ショアーD)が45以上90以下であり、防汚染性(汚れ難い性質)や耐摩耗性やキズが付きにくい特性を有している。
【0031】
しかも、ピュアウレタン樹脂12の一部が、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11の上層部分に含浸して硬化することにより、アンカー効果と接着力により、ピュアウレタン樹脂12がポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11に強力に接着し、ピュアウレタン樹脂12がポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11から剥離することがないようにしている。
【0032】
このピュアウレタン樹脂12は、屈折率が大きく、しかも、内部に多数の微細気泡を有しているため、層厚が薄くても拡散反射率が非常に高い。酸化チタンを含有させている場合には、更に、拡散反射率が高くなる。
【0033】
このとき拡散反射率を向上させるためには、微細気泡の径は、1.5μm以上10μm以下が好ましく、更に好適には、3.0μm以上10μm以下が良い。
微細気泡の径は、ピュアウレタン樹脂12の粘度と硬化時間との相関関係により定まり、また微細気泡の総量は塗布量によって定まる。したがって、ピュアウレタン樹脂12の粘度、硬化時間、塗布量を調整することにより、微細気泡の径と総量を調整することができる。
【0034】
なお、ピュアウレタン樹脂12は、単位体積あたりに含まれる微細気泡の数が多いほど拡散反射率が高くなる傾向にあるため、微細気泡の径を小さくして含有気泡数を多くすれば、高い拡散反射率を達成できる。
しかし、微細気泡の含有量と、ピュアウレタン樹脂12の機械的な耐摩耗性や強度とは、反比例するトレードオフの関係となっている。したがって、微細気泡の含有量は、必要な機械的強度を確保できる程度に抑え、更に高い拡散反射率が必要な場合には、酸化チタンを含有させている。これにより、ピュアウレタン樹脂12は、機械的強度を確保しつつ高い拡散反射率を持つ、バランスの良い反射層となる。
【0035】
図1に示す実施例1の照度向上システムでは、蛍光管4aから光が発生して照明が行われる。このとき、光反射板5に向かって進んでいった光は、光反射板5により反射されて下方に照射され、また、光反射床10に向かって進んでいった光は、光反射床10のピュアウレタン樹脂12により反射されて上方に照射される。
このように、光反射板5と光反射床10との相乗効果により明るい、いわゆる「立体照明」を得ることができ、建屋1内の照度が向上する。
【0036】
なお、「立体照明」とは、所定の範囲の空間に向かって、上方から照射してくる光と、下方から照射してくる光と、側方から照射してくる光を、合成した光による照明をいう。
照明光学では、計測面(計測装置の表面側の平面に設定した計測面)に向かってくる、光の照度のみを計測して照度計測をしているが、この場合には、計測面の裏面側から計測装置に向かってくる光は計測されない。このため、照明光学では、ここでいう「立体照明」についての照度を計測する概念が存在していない。
【0037】
また、光反射床10の上では、フォークリフト等が走行したり人が歩いたりするため、衝撃が光反射床10に作用すると共に汚れが発生する。
しかし、衝撃はゴム弾性があるポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11により緩衝され、また、ピュアウレタン樹脂12は汚れが付き難い性質を持っているため、光反射床10は、機械的に丈夫であり、且つ、良好な反射機能を維持することができる。
したがって、光反射床10は、過酷な条件にある工場等の建屋1の床面(床材)としての機能を果たしつつ、拡散反射を維持することができる。
【0038】
更に、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11はコンクリート床2に強固に接着されると共に、ピュアウレタン樹脂12はポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル12に強硬に接着されている。このため、ピュアウレタン樹脂12がポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11から剥離することも、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11がコンクリート床2から剥離することもない。
【0039】
なお、建屋1の側壁面にピュアウレタン樹脂12を塗布したり、建屋1の側壁面や天井面に、ピュアウレタン樹脂12を塗布したりしてもよい。このようにすれば、更なる照度の向上を図ることができる。
壁面や天井面には、フォークリフトの走行などに起因する衝撃が作用することはないため、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル11を使用することなく、ピュアウレタン樹脂12のみを塗布するだけでよい。
【実施例2】
【0040】
次に、実施例2として、光反射床を構成する、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル及びピュアウレタン樹脂の具体的な組成及び配合比率の一例と、施工方法を説明する。
勿論、ここで示す組成及び配合比率は一例であり、これに限定するものではない。
【0041】
ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルの組成及び配合(重量%)の一例は、次の通りである。
ビスフェノールA型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂 100(重量%)
変性脂肪族アミン 40(重量%)
硅砂及び硅石粉 1400(重量%)
【0042】
なお、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂としては、商品名「フレップ(東レファインケミカル(株)製のポリサルファイドエポキシ樹脂)」を用い、
変性脂肪族アミンとしては、商品名「H−240(旭電気化学(株)製のエポキシ樹脂硬化剤)
」を用いた。
【0043】
ピュアウレタン樹脂の組成及び配合(重量%)の一例は、次の通りである。
ヒマシ油変性ポリオール 100(重量%)
MDI 60(重量%)
酸化チタン 5(重量%)
脱水剤 3(重量%)
触媒 0.01(重量%)
【0044】
なお、ヒマシ油変性ポリオールとしては、商品名「URIC(伊藤製油(株)製のポリオール)
」を用い、
MDIとしては、商品名「ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン工業(株)製のポリイソシ
アネート)」を用い、
酸化チタンとしては、商品名「タイペーク(石原産業(株)製のルチル結晶型酸化チタン)」を用い

脱水剤としては、商品名「ゼオライト(東ソー(株)製の脱水剤)」を用い、
触媒としては、商品名「DBTDL(旭ガラス工業(株)製の商品)」を用いた。
なお、常温硬化型のピュアウレタン樹脂は、ポリイソシアネート単体だと湿度による水分の影響などで、保存性、安定性、施工性などのコントロールが難しいため、プレポリマーに変性したものを使用した。
【0045】
次に、光反射床の施工方法について説明する。
まず上述した配合のポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルを混合攪拌する。施工床面であるコンクリート床上に、混合攪拌したポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルを、機械鏝を用いて転圧して、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル層を形成する。
【0046】
上述した配合となっているピュアウレタン樹脂を混合攪拌する。
転圧・形成したポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルが完全硬化する前に(施工後20時間以内) に、混合攪拌したピュアウレタン樹脂を100g/m2の厚さで塗布した。
【0047】
このようにして、光反射床を形成した。
【0048】
なお光反射床の施工方法の別の例としては、コンクリート床の上に、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルを布設し、このポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルの上にピュアウレタン樹脂を塗布し、この塗布したピュアウレタン樹脂の上に骨材を散布し、この骨材の上から全体を被覆するように、再度、ピュアウレタン樹脂を塗布するようにしてもよい。
【0049】
このようにすれば、散布した骨材による凹凸表面をピュアウレタン樹脂が被覆する状態となり、凹凸面を被覆したピュアウレタン樹脂によっても、反射効率が向上する。
【実施例3】
【0050】
実施例2では、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルとピュアウレタン樹脂の組成及び配合を特定したが、これに限定されるわけではない。実施例3では、より広い配合のものを示す。
【0051】
即ち、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルとしては、ポリサルファイド骨格(−R−SS−)を主鎖に持ったポリサルファイド変性エポキシ樹脂100重量部を主剤とし、変性脂肪族アミン系硬化剤20〜50重量部と、骨材(硅砂など)500〜1800重量部とからなり、夫々を混合攪拌したものとすることができる。
【0052】
これを、床面に2〜100mm厚に転圧して形成したポリサルファイド変性エポキシ樹脂を下層(ベース)として、その上にピュアウレタン樹脂を塗布することにより、光反射床を形成することができる。
【0053】
このポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは、ゴム弾性があり、接着性、耐衝撃
耐久性、耐薬品に優れ、剥離しない強靭な性質を兼ね備えている。
【0054】
また、ピュアウレタン樹脂としては、ヒマシ油系ポリオール、PPG系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオールと、MDI,HDI,XDI等のポリイソシアネートとを反応させて硬化したものを採用することができる。
【0055】
本発明の光反射塗膜に用いる常温硬化型のピュアウレタン樹脂の主な化学反応式は、次の(1)〜(3)で示される。
【0056】
(1) ポリイソシアネート+ポリオール→ポリウレタン樹脂
n(OCN−R−NCO)+n(HO−R′−OH)
→−(R−O−CO−NH−R−NH−CO−O)-n
【0057】
(2) ポリイソシアネート+水→ポリアミン+炭酸ガス
n(OCN−R−NCO)+2n'H20→n'H2N−R−NH2+2n'CO2
【0058】
(3) ポリイソシアネート+ポリアミン→ポリウレア樹脂
n(OCN−R−NCO)+n'H2N−R″−NH2
→−R−(NH−CO−N−R″−NH−CO−NH)-ウレア結合
(R ,R′,R″:脂肪族、芳香族など)
【0059】
上述したポリイソシアネートとの硬化反応速度は、(3)式で示す反応が最も速く、次に(2)式で示す反応が次に速く、(1)式で示す反応が最も遅い。
このような(1)式〜(3)式の反応速度の関係から、次のような状態で反応が進む。
【0060】
まず、(3)式に示す反応が起こり、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルの樹脂表層に未反応で遊離している脂肪族アミンと、プレポリマー化されたポリイソシアネートが反応硬化し、上層のピュアウレタン樹脂と下層のポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルとの界面を気密化させ通気性を遮断する。
【0061】
その後、(2)式に示す反応が起こり、空気中の水分とポリイソシアネートプレポリマー中のポリイソシアネートが反応し炭酸ガスが発生する。
このとき、塗材の粘度と硬化時間及び塗布量の相関関係で気泡径が定まる。
光反射塗膜に最適な気泡形状(直径)は1.5μm以上10μm以下が好ましく3.0μm以上10μm以下が好ましい。
【0062】
平均気泡径の設定は、ポリエチレン板の上に、200μmの厚みになるよう上記組成のピュアウレタン樹脂を成形し、その断面のSEM写真を撮影し、一定断面積内に含まれる気泡の径を測定して平均化することにより求めた。
【0063】
次に、(1)に示す反応が起こり、表面硬化が起こる。このため、ピュアウレタン樹脂の下面(ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルとの界面)と表面は共に硬化するため、内部発泡した微細気泡は、外部に排出されることなく、ピュアウレタン樹脂内にとどまる。
その後ポリイソシアネートとポリオールの反応が起こり、硬化塗膜になる。
【実施例4】
【0064】
ポリオールに酸化チタン等の微粉末状充填剤を添加しポリイソシアネートで硬化させたピュアウレタン樹脂は、屈折率差を大きくすることができるので、塗膜に高い反射性能を付与することができ、塗膜の厚みが薄くても高い反射率を有することができる。このように微粉末状充填剤を添加したピュアウレタン樹脂を採用したものを実施例4として説明する。
【0065】
実施例4では、光反射床の表層としてのピュアウレタン樹脂、または、壁面や天井面に塗布するピュアウレタン樹脂に、微粉末状充填剤を含有し、かつ、内部微発泡空隙が塗膜中に占める割合で30%以下となるような空隙を有することを特徴とする。
【0066】
ここで、前記粉末状充填剤が、少なくとも酸化チタンを含むことが好ましい。
また、酸化チタンは、バナジュウムの含有量が5ppm以下であることが好ましい。
【0067】
本実施例においては、前記粉末状充填剤を、ポリオール100重量部に対して、3重量部以上、30重量部以下の範囲で含有することができる。
このときに配合する硬化剤であるポリイトシアネートはMDI,HDI,XDIなどであり、ポリオールの水酸基価と、ポリイソシアネートのNCO含有率(%)で異なるが、20重量部以上60重量部以下であることが好ましい。
【0068】
本実施例の光反射床のピュアウレタン樹脂は、前記組成で、平均気泡径が10μm以下の超微細気泡を含有し、厚さ50μm以上、 比重が0.9以下、硬度(ショアーD硬度)が45以上95以下、比重0.9以下からなるものである。
【実施例5】
【0069】
次に、ピュアウレタン樹脂に添加した酸化チタンについて特定したものを、実施例5として説明する。
【0070】
本実施例に用いられる酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型及びルチル型のような結晶型の酸化チタンが挙げられる。ピュアウレタン樹脂との屈折率差を大きくするという観点からは、屈折率2.7以上の酸化チタンであることが望ましく、たとえばルチル型の結晶型の酸化チタンを用いることが好ましい。
【0071】
ピュアウレタン樹脂の塗膜に高い光反射性を付与するためには、着色元素の量が少量で、光吸収性が少ない酸化チタンを用いることが好ましい。例えばニオブの含有量が5000ppm以下の酸化チタンを用いることにより、高い反射性を有する反射塗膜得ることができる。
また、酸化チタンのピュアウレタン樹脂への分散性を向上させるため、酸化チタンの表面をシキロサン化合物、シランカプリング剤などで表面処理されているのが好ましい。
【0072】
本発明に用いられる酸化チタンは、粒径が0.1μm以上、1μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、0.5μm以下であることが好ましい。酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、ピュアウレタン樹脂への分散性が良好であり、また、粒径が1μm以下であれば、ピュアウレタン樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成され反射塗膜に高い光反射性を付与することができる。
【0073】
次に本発明のピュアウレタン樹脂の塗膜に含まれる酸化チタンの混入量について説明
する。酸化チタンはポリオールに分散配合されることが好ましい。
仮に、酸化チタンをプレポリマーポリイソウアネートに配合したとすると、酸化チタン添加時に混入する微量の水分などで反応することがあるので避けなければならない。
ポリオールに含まれる酸化チタンの含有量は、ポリオール組成物中に、2重量%以上、15重量%以下であることが好ましく、5%以上、10%以下であることが好ましい。酸化チタンの含有量が15%以下であれば、光反射塗膜に必要な物理、機械的性質を確保することができる。
【実施例6】
【0074】
次に、ピュアウレタン樹脂内に含ませる微細気泡について特定したものを、実施例6として説明する。
【0075】
ピュアウレタン樹脂の塗膜内に平均気泡径10μm以下の微細気泡を発生するためには、塗布時の粘度を500mpa.s/25以上、4500 mpa.s/25℃以下とすることが好ましく、 800mpa.s/25℃mpa.s/25以上、15004500 mpa.s/25℃以下であることが好ましい。
ポットライフは塗布後、15min at 25℃以上、30min at 25以下であることが好ましく、20 min at 25℃以上、25 min at 25以下であることが好ましい。
【0076】
ピュアウレタン樹脂のm2あたりの塗布量は、50g以上、500g以下であることが好ましく、75g以上、150g以内が好ましい。
【0077】
ピュアウレタン樹脂の塗膜中の微細気泡の形状と数は、DBTDLなどの触媒を添加することによって、ポットライフ時間を調整し、塗布量と粘度及びゼオライト、モリュキュアシブなどの脱水剤で気泡をコントロールして、10μm以下の微細気泡を形成することが可能である。
【0078】
床材としての機械的機能性は一般にポリオールの分子量が少ないほうが硬く硬化するため、分子量が2500以下650以上で、硬度(ショアーD硬度)は45以上95以下が好ましく、分子量が700以下650以上、硬度(ショアーD硬度)は85以上90以下が好ましい。
比重は0.8以上1.0以下が好ましく、0.9以上0.95以下が好ましい。0.8以下では、磨耗に耐えられないなどの問題が発生ずる。
【0079】
平均気泡径の設定は、ポリエチレン容器で200μmの厚みになるよう上記組成のピュアウレタン樹脂を成形し、形成したピュアウレタン樹脂をポリエチレン容器から取り出して、その断面のSEM写真を撮影し、一定断面積内に含まれる気泡の径を測定して平均化することにより求めた。
【実施例7】
【0080】
本発明の照度アップシステムを使用することにより、照度がアップしたことを示す実証例を以下に説明する。
【0081】
(実証例1)
実証例1は、図4に示すような、外光を遮断する箱天井(コンクリート製の密閉した箱)20を使用して実証をしたものである。この箱天井20の寸法は、横×高さ×奥が、3000mm×3400mm×3000mmである。
【0082】
コンクリート平板としては、JIS R 5201に準じて作製したものを使用した。
光反射板5としては光反射率が98%を保持する微細発泡PETでなる光反射板を採用した。
また本発明に係る光反射床10とは、下層がポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルで上層がピュアウレタン樹脂となっている光反射床である。
照度の測定は、蛍光灯照明装置4と床面との中間点で、床反射照度を計測したものである。
【0083】
この箱天井20の天井部に蛍光灯照明装置4を備え、
(1)光反射板5を用いずに、床面にコンクリート平板を布設した場合、
(2)光反射板5を用いずに、床面に本発明に係る光反射床10を布設した場合、
(3)本発明に係る光反射板5を蛍光灯照明装置4に取り付け、床面にコンクリート平板を布設した場合、
(4)本発明に係る光反射板5を蛍光灯照明装置4に取り付け、床面に本発明に係る光反射床10を布設し、更に、側壁面にピュアウレタン樹脂を塗布した場合、
について、照度を測定した結果を表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
表1の結果から分かるように、本発明に係る光反射板5と光反射床10を採用することにより、上記(1)の場合に比べて、上記(4)の場合には、照度が約4倍に増加したことを確認した。
【0086】
(実証例2)
実証例2は、図5に示すような、実際の無窓の冷凍倉庫の廊下を対象として、実証をしたものである。
【0087】
この冷凍倉庫の廊下の天井部には、蛍光灯照明装置4が備えられている。この蛍光灯照明装置4には、40Wの2本の蛍光管4aを取り付けている。
【0088】
光反射板5としては光反射率が98%を保持する微細発泡PETでなる光反射板(150mm×1190mm×1mm)を採用した。
また本発明に係る光反射床10とは、下層がポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルで上層がピュアウレタン樹脂となっている光反射床である。
照度の測定場所は、図5において、a,b,cで示す位置である。
【0089】
(1)光反射板5を用いずに、床をコンクリート床2とした場合、
(2)光反射板5を用いずに、コンクリート床2の上に本発明に係る光反射床10を布設した場合、
(3)本発明に係る光反射板5を蛍光灯照明装置4に取り付け、床をコンクリート床2とした場合、
(4)本発明に係る光反射板5を蛍光灯照明装置4に取り付け、コンクリート床2の上に本発明に係る光反射床10を布設した場合、
について、照度を測定した結果を表2に示す。
なお、表2において、「上方」とは、照度計の計測面を上向きにして計測したときの照度であり、「下方」とは、照度計の計測面を下向きにして計測したときの照度である。
【0090】
【表2】

【0091】
表2から分かるように、光反射床10を及び光反射板5を採用することにより、照度が大幅に向上したことを確認した。
【0092】
(実証例3)
実証例3は、図6に示すような、外光を遮断するコンクリート箱30を使用して実証をしたものである。このコンクリート箱30の寸法は、横×高さ×奥が、420mm×320mm×250mmである。
なお図6(a)は正面側から見た断面図、図6(b)は側面側から見た断面図、図6(c)は図6(a)のC−C断面図である。
【0093】
コンクリート箱30の天井部に蛍光灯照明装置4を備え、この蛍光灯照明装置4には8Wの1本の蛍光管4aと、光反射板5を取り付けている。
光反射板5としては光反射率が98%を保持する微細発泡PETでなる光反射板(150mm×270mm×1mm)を採用した。
また本発明に係る光反射床10とは、下層がポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルで上層がピュアウレタン樹脂となっている光反射床である。
照度の測定は、照度計31の計測面を下方に向けて、光反射床10の上方130mmの位置で測定した。
【0094】
床に光反射床10を布設し、側壁面及び天井面をコンクリート面としたときの照度は、202Luxであった。
一方、床に光反射床10を布設し、側壁面にピュアウレタン樹脂を塗布し、天井面をコンクリート面としたときの照度は、1291Luxであった。
【0095】
(実証例4)
実証例4は、本発明のシステムを、図7に示すような実際の無窓冷凍倉庫の廊下(36000mm×5400mm)に適用して実証をしたものである。
この廊下には、13台の蛍光灯照明装置4が配置されており、各蛍光灯照明装置4には、それぞれ、40Wの2本の蛍光管4aが取り付けられている。
【0096】
光反射板5としては光反射率が98%を保持する微細発泡PETでなる光反射板(200mm×1190mm×1mm)を採用した。
また本発明に係る光反射床10とは、下層がポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルで上層がピュアウレタン樹脂となっている光反射床である。
照度の測定場所は、図8に示すように、床面の上方500mmの位置であり、照度計の計測面を上向きにした場合と下向きにした場合とで計測を行った。計測位置は、各蛍光灯照明装置4の直下であり、測定位置をNo1〜No13で示す。
【0097】
(1)光反射板5を用いずに、床をコンクリート床2とした場合、
(2)本発明に係る光反射板5を蛍光灯照明装置4に取り付け、コンクリート床2の上に本発明に係る光反射床10を布設した場合、
について、照度を測定した結果を表3に示す。
なお、表3において、「上方」とは、照度計の計測面を上向きにして計測したときの照度であり、「下方」とは、照度計の計測面を下向きにして計測したときの照度である。
【0098】
【表3】

【0099】
表3の結果から、光反射床10を及び反射板5を用いることにより、照度が向上したことを確認した。
【0100】
(実証例5)
実証例5では、鉄板に代表的床塗料であるエポキシ樹脂系床材(エービーシー商会製ケミクリートE)を塗布したエポキシ樹脂系床試験体と、鉄板に本発明に係る光反射床を布設した本発明光反射床試験体を、物流倉庫入口(コンクリート床)に3ヶ月放置した。
そして、布設直後と3カ月後における、物流倉庫床(コンクリート床)と、エポキシ樹脂系床試験体と、本発明光反射床試験体の照度を、蛍光灯照明装置に本発明に係る光反射板を備えた状態で測定した結果を、表4に示す。
この場合、同時に汚れ付着の違いも観察した。
なお、エホ゜キシ樹脂系床試験体と本発明光反射床試験体の比較は、同色(日本塗料工業会 色番号 Y19-70F マンセル 10YR7/3)で行った。
【0101】
【表4】

【0102】
表4の結果からも、本発明の光反射床を用いれば、照度が高く、しかも、傷が付きにくいことが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、工場や倉庫など、照明を蛍光灯で行うと共に、床面がコンクリート床面となっている各種の建屋において、照度を向上させる場合に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施例1に係る照度向上システムを示す構成図である。
【図2】実施例1に用いる反射板の取り付け状態を示す説明図である。
【図3】実施例1に用いる光反射床を示す断面図である。
【図4】実証例1に用いた構成を示す構成図である。
【図5】実証例2に用いた無窓冷凍倉庫廊下を示す構成図である。
【図6】実証例3に用いたコンクリート床を示す図であり、図6(a)は正面側から見た断面図、図6(b)は側面側から見た断面図、図6(c)は図6(a)のC−C断面図である。
【図7】実証例4に用いた無窓冷凍倉庫廊下を示す平面図である。
【図8】実証例4に用いた無窓冷凍倉庫廊下を示す構成図である。
【符号の説明】
【0105】
1 建屋
2 コンクリート床
3 天井
4 蛍光灯照明装置
4a 蛍光管
5 光反射板
10 光反射床
11 ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタル
12 ピュアウレタン樹脂
20 箱天井
30 コンクリート箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井には照明装置が備えられており、床面がコンクリート床となっている建屋の内部の照度を向上させる照度向上システムであって、
前記照明装置には、放電ランプの背面に配置されて放電ランプの光を床面側に向けて反射する光反射板が取り付けられており、
前記コンクリート床の上には、このコンクリート床の上に施されたポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルと、このポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルの上に塗布された微細気泡を有するピュアウレタン樹脂とでなる光反射床が布設されていることを特徴とする照度向上システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるアミンと、骨材とを混合攪拌したものであり、
前記ピュアウレタン樹脂は、ポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートとを混合攪拌したものであることを特徴とする照度向上システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるアミンと、骨材とを混合攪拌したものであり、
前記ピュアウレタン樹脂は、酸化チタンを添加したポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートとを混合攪拌したものであることを特徴とする照度向上システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項において、
前記ピュアウレタン樹脂は、直径が1.5μm以上,10μm以下の気泡を有し、硬度(ショアーD)が45以上,90以下であることを特徴とする照度向上システム。
【請求項5】
請求項2または請求項3において、
前記ピュアウレタン樹脂は、ポリオールの分子量が2500以内,650以上であることを特徴とする照度向上システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項において、
前記建屋の側壁面、または、前記建屋の側壁面及び天井面には、ピュアウレタン樹脂が塗布されていることを特徴とする照度向上システム。
【請求項7】
天井には照明装置が備えられており、床面がコンクリート床となっている建屋の内部の照度を向上させる照度向上システムの施工方法であって、
前記照明装置に、放電ランプの背面に配置されて放電ランプの光を床面側に向けて反射する光反射板を取り付け、
前記コンクリート床の上に、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルを施し、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルが完全硬化する前に、前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルの上にピュアウレタン樹脂を塗布して、前記コンクリート床上に光反射床を形成することを特徴とする照度向上システムの施工方法。
【請求項8】
天井には照明装置が備えられており、床面がコンクリート床となっている建屋の内部の照度を向上させる照度向上システムの施工方法であって、
前記照明装置に、放電ランプの背面に配置されて放電ランプの光を床面側に向けて反射する光反射板を取り付け、
前記コンクリート床の上に、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルを施し、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルが完全硬化する前に、前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルの上にピュアウレタン樹脂を塗布し、
前記ピュアウレタン樹脂の上に骨材を散布し、この骨材の上から再びピュアウレタン樹脂を塗布して、前記コンクリート床上に光反射床を形成することを特徴とする照度向上システムの施工方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるアミンと、骨材とを混合攪拌したものであり、
前記ピュアウレタン樹脂は、ポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートとを混合攪拌したものであることを特徴とする照度向上システムの施工方法。
【請求項10】
請求項7または請求項8において、
前記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂モルタルは、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるアミンと、骨材とを混合攪拌したものであり、
前記ピュアウレタン樹脂は、酸化チタンを添加したポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートとを混合攪拌したものであることを特徴とする照度向上システムの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−240260(P2008−240260A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78594(P2007−78594)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(594176176)近代産業株式会社 (5)
【出願人】(507096065)大成工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】