説明

照明カバー

【課題】昆虫防止、高耐光性照明カバーを提供する。
【解決手段】紫外線吸収剤Aが下記一般式(1)で表される化合物よりなる、樹脂組成物照明カバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線を遮断する照明カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の波長の光をカットすることによって虫を近寄りにくくさせる照明カバーが提供されている。例えば、一般に、飛翔昆虫などの虫を誘引しやすい光の分光分布は紫外線にピークがあると言われているので、波長が約380nmまでの光(紫外光)をカットする照明カバーや、紫外領域から可視領域の短波長側(約450nm)までの波長の光をカットする照明カバーが提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
これら照明器具に求められる紫外線カット性能を付与するために種々の紫外線吸収剤が用いられており、無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤を用いる場合がある。無機系紫外線吸収剤(例えば、特許文献1〜3等を参照。)では、耐候性や対熱性などの耐久性に優れている反面、吸収波長が化合物のバンドギャップによって決定されるために選択の自由度が少なく、320〜400nmの長波紫外線(UV−A)領域まで吸収できるものはない。
【0004】
これに対して、有機系紫外線吸収剤は、吸収剤の構造設計の自由度が高いために、吸収剤の構造を工夫することによって様々な吸収波長のものを得ることができる。長波紫外線領域まで吸収する場合には、極大吸収波長が長波紫外線領域にあるものを用いるか、濃度を高くするかの2通りが考えられている。しかし、特許文献4及び5等に記載された極大吸収波長が長波紫外線領域にあるものは、耐光性が悪く、吸収能が時間とともに減少していくという欠点があった。一方、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は比較的耐光性に優れ、使用量を大きくすれば長波長領域まで比較的クリアにカットできる(例えば特許文献6及び7等を参照。)。しかし、可視域の吸光度が大きくなり、黄色の着色が目立ってしまうという問題があった。
【0005】
上述した照明器具のうち、波長が約380nmまでの光(紫外光)をカットする照明カバーでは、紫外光を低減することで虫を近寄りにくくさせることができるが、紫外線のさらに長波領域にも虫を誘引する効果があるため、誘虫性の低減効果としては不十分であった。また、紫外領域から可視領域の短波長側(約450nm)までの波長の光をカットする照明カバーでは、紫外光をカットした照明器具に比べて虫が近寄りにくくなるものの、その光は明らかに黄色く見えるため、一般の照明に用いる場合は点灯時の照明器具の見掛けが悪くなるという問題があった。
【0006】
また、380nmより長波長である410nmまでの紫外線を効率的にカットすることにより飛翔昆虫の誘引を防止しかつ黄色味が無く透明感の高い樹脂成形物が知られている(例えば特許文献8を参照。)。しかし、長期間の使用により黄色に着色してしまうという問題があり改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−161253号公報(第3頁−第5頁、及び第1図)
【特許文献2】特開平5−339033号公報
【特許文献3】特開平5−345639号公報
【特許文献4】特開平6−56466号公報
【特許文献5】特開2003−177235号公報
【特許文献6】特表2005−517787号公報
【特許文献7】特開平7−285927号公報
【特許文献8】特開2005−206830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、飛翔昆虫の飛来を防止するとともに照明点灯時の見た目を損なわず、耐光性に優れる照明カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
<1>紫外線吸収剤Aを含む樹脂組成物からなる照明カバーであって、前記紫外線吸収剤Aが下記一般式(1)で表される化合物よりなることを特徴とする照明カバー。
【化1】

[式中、Hetは、2価の5あるいは6員環の芳香族ヘテロ環残基を表す。また、該芳香族ヘテロ環残基は置換基を有していても良い。
1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f、R1g及びR1hは互いに独立して、水素原子または1価の置換基を表す。]
【0010】
<2>前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物である、<1>項に記載の照明カバー。
【化2】

[式中、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g及びR2hは、それぞれ前記一般式(1)のR1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f、R1g及びR1hと同義である。R2i及びR2jは互いに独立して、水素原子または1価の置換基を表す。]
<3>前記樹脂組成物が、320nmにおける吸光度が270〜400nmの範囲での極大吸収波長における吸光度の20%以上であり、かつ、極大吸収波長が380nm以下である化合物よりなる紫外線吸収剤Bを含む、<1>又は<2>項に記載の照明カバー。
<4>前記樹脂組成物が、前記紫外線吸収剤Aの100質量部に対してブルーイング剤Dを0.00001〜1質量部含有する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の照明カバー。
【0011】
<5>前記樹脂組成物が、下記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物Cのうちの少なくとも1種を含む、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の照明カバー。
【化3】

〔一般式(TS−I)中、R91は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ホスフィノトリル基、ホスフィニル基、又は−Si(R97)(R98)(R99)を表す。ここで、R97、R98、R99は同一でも異なってもいてもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、又はアリールオキシ基を表す。−X91−は−O−、−S−又は−N(−R100)−を表す。ここで、R100はR91と同義である。R92、R93、R94、R95、R96は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ、水素原子又は置換基を表す。R91とR92、R100とR96、R91とR100は互いに結合して5〜7員環のいずれかを形成していてもよい。さらに、R92とR93、R93とR94が互いに結合して、5〜7員環のいずれか、スピロ環、又はビシクロ環を形成してもよい。但し、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100のすべてが水素原子であることはなく、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−II)中、R101、R102、R103、R104は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアルケニル基を表し、R101とR102、R103とR104は結合し、5〜7員環のいずれかを形成してもよい。X101は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、又はオキシラジカル基を表す。X102は5〜7員環のいずれかを形成するのに必要な非金属原子群を表す。
一般式(TS−III)中、R105及びR106はそれぞれ水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、又は芳香族スルホニル基を表し、R107は脂肪族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、又はヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環のいずれかを形成してもよいが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン残基を形成する場合を除く。但し、R105及びR106の両方が水素原子であることはなく、R105及びR106の総炭素数は7以上である。
一般式(TS−IV)中、R111及びR112はそれぞれ脂肪族基を表し、R111とR112は互いに結合し、5〜7員環のいずれかを形成してもよい。nは0、1、又は2を表す。但し、R111とR112の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−V)中、R121及びR122はそれぞれ脂肪族オキシ基又は芳香族オキシ基を表す。R123は脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表す。mは0又は1を表す。R121とR122、R121とR123は互いに結合し、5〜8員環のいずれかを形成してもよい。但し、R121、R122、及びR123の総炭素数は10以上である。〕
【0012】
<6>前記樹脂組成物における前記紫外線吸収剤Aの含有量が、樹脂100質量部に対し0.01〜20質量部である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の照明カバー。
<7>前記樹脂組成物における前記紫外線吸収剤Aと前記紫外線吸収剤Bとのモル比率が、1:10〜10:1の範囲である、<3>〜<6>のいずれか1項に記載の照明カバー
<8>前記樹脂が、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂の少なくとも1種類からなる、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の照明カバー。
<9>430nm〜480nmの透過率の最大値から550nm〜600nmの透過率の最小値を引いた値が15%以下である、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の照明カバー。
<10>全光線透過率が40%以上である、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の照明カバー。
<11>虫を誘引しやすい波長の光を取り除く用途に使用される、<1>〜<10>のいずれか1項に記載の照明カバー。
【発明の効果】
【0013】
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、広波長域にわたる紫外線吸収能を持ち、より長波側まで紫外線をカットしつつ無色性に優れる。そのため、本発明の照明カバーは、照明点灯時の見た目を損なうことなく、飛翔昆虫の飛来を防止することができ、しかも耐光性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明に用いられる紫外線吸収剤Bの好ましい吸光スペクトルを示す。
【図2】図2は、実施例2で作製した試料板200の透過率スペクトルである。
【図3】図3は、実施例2で作製した試料板201の透過率スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明について詳細に説明する。
本明細書において「脂肪族基」とは、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。アルキル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜18であることが更に好ましい。置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アルケニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることが更に好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。アルキニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることが更に好ましい。置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分は下記アリール基と同様である。
【0016】
置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基および置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、
【0017】
アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0018】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、
【0019】
シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、
【0020】
アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、
【0021】
アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
【0022】
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0023】
アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)、
【0024】
アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、
【0025】
ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表す。
【0026】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0027】
置換アラルキル基のアリール部分の置換基の例は、下記置換アリール基の置換基の例と同様である。
【0028】
本明細書において「芳香族基」とは、アリール基および置換アリール基を意味する。またこれらの芳香族基は脂肪族環、他の芳香族環または複素環が縮合していてもよい。芳香族基の炭素原子数は6〜40が好ましく、6〜30が更に好ましく、6〜20が更に好ましい。また、その中でもアリール基としてはフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。
【0029】
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例としては、先に置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例として挙げたものと同様である。
【0030】
本明細書において、複素環基は5員または6員の飽和または不飽和複素環を含むことが好ましい。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例にはB,N,O,S,SeおよびTeが含まれる。ヘテロ原子としてはN,OおよびSが好ましい。複素環は炭素原子が遊離の原子価(一価)を有する(複素環基は炭素原子において結合する)ことが好ましい。好ましい複素環基の炭素原子数は1〜40であり、より好ましくは1〜30であり、更に好ましくは1〜20である。飽和複素環の例には、ピロリジン環、モルホリン環、2−ボラ−1,3−ジオキソラン環および1,3−チアゾリジン環が含まれる。不飽和複素環の例には、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびキノリン環が含まれる。複素環基は置換基を有していても良い。置換基の例としては、先に置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例として挙げたものと同様である。
【0031】
本発明における分光吸収極大波長を測定するための溶液について説明する。分光吸収極大波長を測定するための溶液は、紫外線吸収剤A及びB、化合物C、並びにブルーイング剤Dを有機或いは無機の溶媒または水を単独或いはそれらの混合物を用いて溶解したものである。
【0032】
有機溶媒としては、例えばアミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン)、スルホン系溶媒(例えばスルホラン)、スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア)、エーテル系溶媒(例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、シクロヘキサノン)、炭化水素系溶媒(例えばトルエン、キシレン、n−デカン)、ハロゲン系溶媒(例えばテトラクロロエタン、クロロベンゼン、クロロナフタレン)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、シクロヘキサノール、フェノール)、ピリジン系溶媒(例えばピリジン、γ−ピコリン、2,6−ルチジン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、カルボン酸系溶媒(例えば酢酸、プロピオン酸)、ニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル)、スルホン酸系溶媒(例えばメタンスルホン酸)、アミン系溶媒(例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン)等を用いることができる。無機溶媒としては、例えば硫酸、リン酸等を用いることができる。
【0033】
紫外線吸収剤との溶解性を考慮すると、これらのうち好ましくはアミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒、ウレイド系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒である。
【0034】
分光吸収極大波長測定のための紫外線吸収剤A及びB、化合物C、並びにブルーイング剤Dの濃度は、分光吸収の極大波長が測定できる濃度であればよく、好ましくは1×10−7〜1×10−モル/リットルの範囲である。
測定のための温度は特に限定されず、好ましくは0℃〜80℃である。
分光吸収測定装置としては、特に制限されず、通常の分光吸収測定装置(例えば、U−4100スペクトロフォトメーター、商品名、日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いることができる。
【0035】
本発明における色素の極大吸収波長および半値幅は、酢酸エチルを溶媒として、濃度約5×10−5mol・dm−3の溶液を調製し、光路長10mmの石英セルを使用して測定した値を使用する。
【0036】
続いて、紫外線吸収剤Aについて詳細に説明する。紫外線吸収剤Aは前記一般式(1)で表される化合物である。
前記一般式(1)において、Hetは、少なくとも一つのヘテロ原子を有する2価の5あるいは6員環の芳香族ヘテロ環残基を表す。また、Hetは、縮環していても良い。
ヘテロ原子としては例えば、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などを挙げることができる。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子である。より好ましくは、窒素原子、硫黄原子である。特に好ましくは、硫黄原子である。ヘテロ原子を二つ以上有する場合は、同一原子であっても異なる原子であっても良い。
2価の芳香族ヘテロ環残基に2つの水素原子を付加した芳香族ヘテロ環として例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどを挙げることができる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピロール、ピリジン、フラン、チオフェンである。より好ましくは、ピリジン、チオフェンである。特に好ましくは、チオフェンである。芳香族ヘテロ環の水素原子を取り除く位置はいずれでも良い。例えばヘテロ5員環化合物ピロールでの結合位置は、2,3位、2,4位、2,5位、3,4位、3,5位が挙げられる。また、ヘテロ6員環化合物ピリジンでの結合位置は、2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位、3,5位、3,6位が挙げられる。
【0037】
また、芳香族ヘテロ環残基は置換基を有していても良い。置換基として1価の置換基(以下置換基Rとする)が挙げられる。1価の置換基の例として、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル、エチル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、炭素数6〜20のヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。その際、置換基の例としては、上述の1価の置換基Rを挙げることができる。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。置換基として好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基がある。より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、特に好ましくは、アルキル基である。
【0038】
1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f、R1g及びR1hは互いに独立して、水素原子または1価の置換基Rを挙げることができる。R1a〜R1d及びR1e〜R1hのうち任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成しても良く、さらに縮環していても良い。R1a〜R1hとして好ましくは、水素原子、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルコキシ基、ヒドロキシ基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数10以下のアルコキシ基である。さらに好ましくは、水素原子であり、特に好ましくは、R1a〜R1hの全てが水素原子を表す場合である。
【0039】
さらに、前記一般式(1)で表される化合物は、前記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。以下、前記一般式(2)で表される化合物について説明する。
【0040】
一般式(2)におけるR2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g及びR2hはそれぞれ前記一般式(1)のR1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f、R1g及びR1hと同義である。好ましい場合も同じである。R2i及びR2jは互いに独立して、水素原子または1価の置換基を表す。1価の置換基としては上述の1価の置換基Rの例を挙げることができる。R2i及びR2jは互いに結合して環を形成しても良く、さらに縮環していても良い。R2i及びR2jとして好ましくは、水素原子、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルコキシ基、ヒドロキシ基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数10以下のアルコキシ基である。さらに好ましくは、水素原子であり、特に好ましくは、R2i及びR2jが共に水素原子を表す場合である。
【0041】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物は、任意の方法で合成することができる。例えば、公知の特許文献や非特許文献、例えば特開2000−264879号公報の4ページ左43行目〜右8行目の実施例、特開2003−155375の4ページ右欄5行目〜30行目の実施例、「Bioorganic & Medicinal Chemistry」,2000年,8巻,2095−2103ページ、「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters」,2003年,13巻,4077−4080ページなどを参考にして合成できる。例えば、例示化合物(15)は3,5−ピラゾールジカルボニルジクロリドとアントラニル酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(32)は2,5−チオフェンジカルボニルジクロリドと4,5−ジメトキアントラニル酸とを反応させることにより合成できる。
【0042】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0043】
【化4】

【0044】
【化5】

【0045】
【化6】

【0046】
【化7】

【0047】
【化8】

【0048】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物は、構造とその置かれた環境によって互変異性体を取り得る。本発明においては代表的な形の一つで記述しているが、本発明の記述と異なる互変異性体も本発明に用いられる化合物に含まれる。
【0049】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物は、同位元素(例えば、H、H、13C、15N、17O、18Oなど)を含有していてもよい。
【0050】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物の構造を繰り返し単位内に含むポリマーも、本発明に好適に使用できる。ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。さらに他の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。なお、紫外線吸収剤構造を繰り返し単位内に含むポリマーについては、特公平1−53455号、特開昭61−189530号の各公報および欧州特許第27242号明細書に記載がある。ポリマーを得る方法についてはこれら特許文献の記述を参考にすることができる。
【0051】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物よりなる紫外線吸収剤Aは、好ましくは長波長紫外線吸収剤として使用される。最大吸収波長は、好ましくは450〜350nmの範囲であり、より好ましくは410〜350nmの範囲であり、特に好ましくは390〜350nmの範囲である。本発明の照明カバーにおいては、410〜350nmの範囲の波長をカットすることで、飛翔昆虫などの虫の誘引を防止することができる。
【0052】
本発明における紫外線吸収剤Bについて説明する。
紫外線吸収剤Bは320nmにおける吸光度が270〜400nmの範囲での極大吸収波長における吸光度の20%以上であり、極大吸収波長が380nm以下であるという特徴を有する。中でも紫外線吸収剤Bの320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の30%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましく、50%以上であることが最も好ましい。320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の20%未満であると、310〜330nmの間で紫外線吸収剤A及び紫外線吸収剤Bではカバーしきれない波長帯が生じてしまう。また極大吸収波長は、380nm以下であることが好ましく、更に好ましくは370nm以下であり、更に好ましくは365nm以下であり、最も好ましくは350nm以下である。
【0053】
紫外線吸収剤Bは、320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の20%以上であり、極大吸収波長が380nm以下であるものを表す。これは、図1に示すように極大吸収波長が320nm未満である紫外線吸収剤B−(1)、及び極大吸収波長が320nm以上380nm以内である紫外線吸収剤B−(2)に分類でき、用途に応じて適宜選択することができる。
【0054】
例えば、紫外線吸収剤B−(1)は、プラスチック成型品、ポリマーに練りこむ場合等他に短波紫外線を吸収する要素が存在しない場合に用いることが特に好ましい。プラスチック成型品やポリマー練り込みの場合、他に300nm以下の短波紫外線を吸収する要素が存在しないため、短波紫外領域まで効率よく吸収可能な紫外線吸収剤B−(1)を用いることで新たな短波紫外領域吸収フィルタを用いずに、プラスチック成型品自身及びその内容物を紫外線から防ぐことが可能となる。また、本発明における紫外線吸収剤Aと併用することで、ポリマーに対する相溶性及び光堅牢性が改善されるという予想外の効果が得られる。
【0055】
例えば、紫外線吸収剤B−(2)はガラス上のフィルム、ポリマーに溶解させて基板に塗布する場合等、他に短波紫外線を吸収する要素が存在する場合に用いることが特に好ましい。紫外線吸収剤B−(2)を用いる場合は320nm付近の遮蔽能力に優れるが、300nm以下の短波紫外領域を効率よく吸収することは可能であるが、困難な場合がある。そのため、短波側を遮蔽するフィルタの役割を果たすポリマー、ガラス基板の上に塗布して使用することが好ましい。また、本発明における紫外線吸収剤Aを併用することで、溶剤塗布系で塗布膜を用いる際の溶媒(酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等)に対する溶解性及び光堅牢性が改善されるという予想外の効果が得られる。
【0056】
紫外線吸収剤Bとしては、320nmにおける吸光度が極大吸収波長における吸光度の20%以上(好ましくは30%〜90%)であり、極大吸収波長が380nm以下で(好ましくは270nm〜370nm)であるという条件を満たすものであればいずれの構造であってもよい。例えば、紫外線吸収剤の構造として知られているベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、メロシアニン系、シアニン系、ジベンゾイルメタン系、桂皮酸系、アクリレート系、安息香酸エステル系シュウ酸ジアミド系、ホルムアミジン系、ベンゾオキサジノン系などの化合物が挙げられる。これらのうち、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系、ホルムアミジン系、ベンゾオキサジノン系の化合物が好ましく、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ホルムアミジン系、ベンゾオキサジノン系の化合物が更に好ましい。最も好ましくはベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾオキサジノン系の化合物である。これらの紫外線吸収剤は、例えばファインケミカル、2004年5月号、28〜38ページ、東レリサーチセンター調査研究部門発行「高分子用機能性添加剤の新展開」(東レリサーチセンター、1999年)96〜140ページ、大勝靖一監修「高分子添加剤の開発と環境対策」(シーエムシー出版、2003年)54〜64ページ、(株)技術情報協会発行「高分子の劣化・変色メカニズムとその安定化技術−ノウハウ集−」(技術情報協会、2006年)などに記載されている。
【0057】
前記ベンゾトリアゾール系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmで、下記一般式(IIa)又は(IIb)のいずれかで表される化合物が好ましい。(IIa)及び(IIb)について詳述する。
【0058】
【化9】

【0059】
〔前記一般式(IIa)中、
11は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
12は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
13は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、又は−COOR14基(ここで、R14は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基である。)を表す。〕
【0060】
〔前記一般式(IIb)中、
Tは、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のアルコキシ基を表す。
Lは2価の連結基または単結合を表し、mは0又は1を表す。
nは1〜4の整数を表す。nが1のときTは、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。また、nが2のときTは2価の置換基を表し、nが3のときTは3価の置換基を表し、nが4のときTは4価の置換基を表す。〕
【0061】
(一般式(IIa))
11は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
11として好ましくは、炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基、炭素数5〜18の置換もしくは無置換シクロアルキル基、又は炭素数6〜24の置換もしくは無置換アリール基である。R11として特に好ましくは、炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基、又は炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基である。
【0062】
置換アルキル基、置換シクロアルキル基、置換アリール基は任意の位置に1価の置換基を有しているアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、1価の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)の直鎖又は分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、炭素数0〜20(好ましくは0〜10)の置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキルカルボニル基(例えばアセチル)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、炭素数0〜20(好ましくは0〜10)の置換または無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、
【0063】
炭素数0〜20(好ましくは0〜10)のスルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、炭素数2〜20(好ましくは2〜10)のイミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のイミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルコキシ基(例えばメトキシ)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアシルオキシ基(例えばアセトキシ)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、炭素数0〜20(好ましくは0〜10)の置換または無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキルチオ基(例えばメチルチオ)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールチオ基(例えばフェニルチオ)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、4〜7員環(好ましくは5〜6員環)のヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。
【0064】
12は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R12として好ましくは、水素原子、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基、炭素数5〜18の置換もしくは無置換シクロアルキル基、又は炭素数6〜24の置換もしくは無置換アリール基である。R12として特に好ましくは、水素原子、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基、又は炭素数6〜24の置換もしくは無置換アリール基である。
【0065】
13は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、又は−COOR14基(ここで、R14は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基である。)を表す。R13として好ましくは、水素原子、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルコキシ基、又は−COOR14基(ここで、R14は、水素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基である。)である。
【0066】
11、R12は、ベンゼン環に置換していればいずれの位置でも構わないが、ヒドロキシル基の2位および4位に置換していることが好ましい。
【0067】
(一般式(IIb))
Tは、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Tとして好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基である。
は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のアルコキシ基を表す。Tとして好ましくは、水素原子、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、又は炭素数1〜18のアルコキシ基である。
【0068】
−L−は2価の連結基または単結合を表し、mは0又は1を表す。
mが0のときは、TがLを介さずに直接ベンゼン環と結合しているとき、即ち−L−が単なる結合を表しているときを表す。
2価の連結基−L−について説明する。−L−は下記一般式(a)で表わされる2価の置換基である。
一般式(a)
−(Lm1−(Lm2−(Lm3−(Lm4−(Lm5
【0069】
一般式(a)中、m1〜m5は0〜2の整数を表す。
〜Lは各々独立して、−CO−、−O−、−SO−、−SO−、−NR−、置換もしくは無置換の2価のアルキル基、置換もしくは無置換の2価のアルケニル基、又は置換もしくは無置換の2価のアリール基を表す。Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
【0070】
の具体例としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アルキル基上およびアリール基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。Rとして好ましくは、炭素数3〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜14の置換もしくは無置換のアリール基である。より好ましくは炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基である。
【0071】
即ち2価の置換基−L−としては、−O−CO−C−CO−O−、−O−CO−C−、−NH−CO−C−CO−NH−、−NH−CO−C−、−CH−、−C−、−C−、−C−、−C10−、−C16−、−C−CO−O−、−C−C−、−NH−SO−C−等が好ましい。
【0072】
前記一般式(IIb)中、nは1〜4の整数を表す。
nが1のときTは、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。nが1のときTとして好ましくは、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基である。
【0073】
nが2のときTは、2価の置換基を表す。nが2のときTの具体例としては、上記の2価の置換基−L−の例が挙げられる。nが2の時Tとして好ましくは、−CH−、−O−CO−C−CO−O−、−NH−CO−C−CO−NH−である。
【0074】
nが3のときTは3価の置換基を表す。3価の置換基について説明する。3価の置換基は3価のアルキル基、3価のアリール基、又は下記一般式
【化10】

で表される置換基である。
3価の置換基のうち、好ましくは炭素数1〜8の3価のアルキル基、炭素数6〜14の3価のアリール基、又は下記一般式、
【化11】

で表される置換基である。
【0075】
nが4のときTは4価の置換基を表す。4価の置換基について説明する。4価の置換基は4価のアルキル基、4価のアリール基で表される置換基である。4価の置換基のうち好ましくは、炭素数1〜8の4価のアルキル基、炭素数6〜14の4価のアリールである。
【0076】
一般式(IIb)において、nが1又は2の時が特に好ましい。
即ち、一般式(IIb)の好ましい組み合わせとしては、
nが1のとき、Tが水素原子、又は炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基であり、Tが水素原子、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、又は炭素数1〜18のアルコキシ基であり、Lが−O−CO−C−、−CH−、−C−、−C10−、−C16−、−NH−CO−C−又は単なる結合であり、Tが塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基である組合せである。
また、nが2のとき、Tが水素原子、又は炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基であり、Tが水素原子、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、又は炭素数1〜18のアルコキシ基であり、Lが−CH−又は単なる結合であり、Tが、−CH−、−O−CO−C−CO−O−、又は−NH−CO−C−CO−NH−である組合せである。
また、nが2のとき、mが0であり、Tが水素原子、又は炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基であり、Tが水素原子、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、又は炭素数1〜18のアルコキシ基であり、Tが、−CH−、−O−CO−C−CO−O−、又は−NH−CO−C−CO−NH−である組合せも好ましい。
【0077】
前記一般式(IIa)又は(IIb)で表される化合物の代表例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)−5’−メチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]、2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;
【化12】

(式中、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル]ベンゾトリアゾール;2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)−フェニル]ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
【0078】
前記トリアジン系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmで、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
【0079】
【化13】

【0080】
[前記一般式(III)中、
置換基Yは、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のアルコキシ基である。Lfは2価の連結基または単結合を表す。
uは1又は2であり、vは0又は1であり、そしてrは1〜3の整数であり、
uが1のときYは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基である。また、uが2のときYは2価の置換基を表す。]
【0081】
は、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のアルコキシ基を表す。Yとして好ましくは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、又は炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基である。
【0082】
Lfは2価の連結基または単なる結合を表す。uは1又は2を表す。rは1〜3の整数を表す。vは0又は1であり、vが0の時はLfは単なる結合を表す。
2価の連結基−Lf−について説明する。2価の置換基Lfは、下記一般式(b)で表わされる2価の置換基である。
一般式(b)
−(Lfmf1−(Lfmf2−(Lfmf3−(Lfmf4−(Lfmf5
【0083】
一般式(b)中、mf1〜mf5は0〜2の整数を表す。
Lf〜Lfは各々独立して、−CO−、−O−、−SO−、−SO−、−NRf−、2価の置換もしくは無置換のアルキル基、2価の置換もしくは無置換のアルケニル基、又は2価の置換もしくは無置換のアリール基を表す。Rfは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
【0084】
Rfの具体例としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アルキル基上およびアリール基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。Rfとして好ましくは、炭素数3〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜14の置換もしくは無置換のアリール基である。より好ましくは炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基である。
【0085】
即ち2価の置換基−Lf−としては、−O−CO−C−CO−O−、−O−CO−C−、−NH−CO−C−CO−NH−、−NH−CO−C−、−CH−、−C−、−C−、−C−、−C10−、−C16−、−C−CO−O−、−C−C−、−NH−SO−C−等が好ましい。
【0086】
uが1のときYは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基である。uが1のときYとして好ましくは、水素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換アルキル基、又は炭素数6〜24の置換もしくは無置換アリール基である。
【0087】
uが2のときYは2価の置換基を表す。2価の置換基の例としては上記の2価の置換基−L−の例があげられる。Yとして好ましくは、置換もしくは無置換の2価のアルキル基、置換もしくは無置換の2価のアルケニル基、置換もしくは無置換の2価のアリール基、−CHCH(OH)CH−O−Y11−OCHCH(OH)CH、−CO−Y12−CO−、−CO−NH−Y13−NH−CO−、又は−(CH−CO−Y14−OCO−(CHである。
ただし、tは、1、2または3であり、
11は、置換もしくは無置換のアルキレン、フェニレン、又は−フェニレン−M−フェニレン−(ここで、Mは、−O−、−S−、−SO−、−CH−または−C(CH−である。)であり、
12は、置換もしくは無置換の2価のアルキル基、置換もしくは無置換の2価のアルケニル基、又は置換もしくは無置換の2価のアリール基であり、
13は、置換もしくは無置換の2価のアルキル基、又は置換もしくは無置換の2価のアリール基であり、そして
14は、置換もしくは無置換の2価のアルキル基、又は置換もしくは無置換の2価のアリール基である。
【0088】
即ちuが2のとき、Yとして好ましくは、炭素数1〜18の置換もしくは無置換の2価のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換の2価のアリール基、−CHCH(OH)CH−O−CH−OCHCH(OH)CH−、−CHCH(OH)CH−O−C(CH−OC16−、又は−(CH−CO−C−OCO−(CH−である。
【0089】
前記一般式(III)で表される化合物の代表例としては、2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−6−(4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(2−エチルヘキシル)オキシ)フェニル−4,6−ジ(4−フェニル)フェニル−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
【0090】
前記ベンゾフェノン系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmである化合物が好ましく、下記一般式(IVa)又は(IVb)で表される化合物が好ましい。
【0091】
【化14】

【0092】
〔前記一般式(IVa)中、X及びXは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。s1及びs2は、互いに独立して1〜3の整数を表す。〕
【0093】
〔前記一般式(IVb)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表し、s1は1〜3の整数を表す。
Lgは2価の置換基または単なる結合を表し、wは0又は1を表す。
tbは1又は2を表し、tbが1のときXは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。tbが2のときXは2価の置換基を表す。〕
【0094】
(一般式(IVa))
及びXは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。X及びXとして好ましくは、水素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。X及びXとして特に好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。
【0095】
(一般式(IVb))
tbは1又は2であり、wは0又は1であり、s1は1〜3の整数である。
置換基Xは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。
【0096】
として好ましくは、水素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。Xとして特に好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。
【0097】
−Lg−は2価の連結基または単なる結合を表し、wは0〜1の整数を表す。wが0の時はXがLgを介さずに直接ベンゼン環と結合しているとき、即ち−Lg−が単なる結合を表しているときを表す。
2価の連結基−Lg−について説明する。2価の置換基Lgは、下記一般式(c)で表わされる2価の置換基である。
一般式(c)
−(Lgmg1−(Lgmg2−(Lgmg3−(Lgmg4−(Lgmg5
【0098】
一般式(c)中、mg1〜mg5は0〜2の整数を表す。
Lg〜Lgは各々独立して、−CO−、−O−、−SO−、−SO−、−NRg−、置換もしくは無置換の2価のアルキル基、置換もしくは無置換の2価のアルケニル基、又は置換もしくは無置換の2価のアリール基を表す。Rgは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
【0099】
Rgの具体例としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アルキル基上およびアリール基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。Rgとして好ましくは、炭素数3〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜14の置換もしくは無置換のアリール基である。より好ましくは炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基である。
【0100】
即ち2価の置換基−Lg−としては、−O−、−O−CO−C−CO−O−、−O−C−O−、−O−CO−C−、−NH−CO−C−CO−NH−、−NH−CO−C−、−CH−、−C−、−C−、−C−、−C10−、−C16−、−C−CO−O−、−C−C−、−NH−SO−C−等が好ましい。
【0101】
tbが1のとき、Xは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、スルホン酸基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基である。
tbが1のとき、Xとして好ましくは、水素原子、ヒドロキシル基、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。
として特に好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である。
【0102】
tbが2のときXは、2価の置換基を表す。
tbが2のとき、Xの具体例としては、上記の2価の置換基−L−の例が挙げられる。tbが2のときXとして好ましくは、−CH−、−C−、−O−C−O−、−O−CO−C−CO−O−、又は−NH−CO−C−CO−NH−である。
【0103】
一般式(IVb)において、tbが1のときが特に好ましい。
即ち、一般式(IVb)の好ましい組み合わせとしては、以下のとおりである。
具体的には、tbが1のとき、
が水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基であり、
Lgが−O−、−O−CO−C−CO−O−、−O−C−O−、−O−CO−C−、−NH−CO−C−CO−NH−、−NH−CO−C−、−CH−、−C−、−C−、−C−、−C10−、−C16−、−C−CO−O−、−C−C−、もしくは−NH−SO−C−、又は単なる結合であり、
が水素原子、ヒドロキシル基、塩素原子、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基である組み合わせが好ましい。
【0104】
tbが2のとき、
が水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルコキシ基、スルホン酸基、又は炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアミノ基であり、
Lgが−O−、−O−CO−C−CO−O−、−O−C−O−、−O−CO−C−、−NH−CO−C−CO−NH−、−NH−CO−C−、−CH−、−C−、−C−、−C−、−C10−、−C16−、−C−CO−O−、−C−C−、もしくは−NH−SO−C−、又は単なる結合であり、
が−CH−、−C−、−O−C−O−、−O−CO−C−CO−O−、又は−NH−CO−C−CO−NH−である組み合わせが好ましい。
【0105】
前記ベンゾフェノン系化合物の代表例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−デシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノ−2’−ヘキシルオキシカルボニルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン等を挙げることができる。
【0106】
前記ベンゾオキサジノン系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmで、下記一般式(V)で表される化合物が好ましい。
【0107】
【化15】

【0108】
(前記一般式(V)中、Rは置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。Rはn価の置換基または連結基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
【0109】
前記一般式(V)においてRは置換基を表し、置換基の例としては前述の置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基および置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としてあげたものと同様のものが挙げられる。Rとして好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、更に好ましくはハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリールチオ基であり、更に好ましくは塩素原子、フッ素原子、臭素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数6〜10のアリールチオ基であり、更に好ましくは塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。
【0110】
として好ましくは0〜3であり、更に好ましくは0〜2であり、更に好ましくは0または1であり、最も好ましくは0、すなわちベンゼン環が置換基を有さないことである。
【0111】
はn価の置換基或いは連結基を表し、置換基の例としては前述の置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基および置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としてあげたものと同様のものが挙げられる。また連結基とは置換基が更に1つ以上の結合手を有するものである。Rとして好ましくは脂肪族基、芳香族基、およびこれらが更に結合手を有する連結基であり、更に好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびこれらが2〜4価となる連結基であり、更に好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびこれらが2〜3価となる連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、およびこれらが2〜3価となる連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、およびこれらが2〜3価となる連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、およびこれらが2〜3価となる連結基であり、更に好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、2−ブチル、ベンジル、フェニル、2−ナフチル、エチレン、トリメチレン、1,2−プロピレン、テトラメチレン、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2,6−ナフチレン、ベンゼン−1,3,5−イルであり、更に好ましくはメチル、エチル、ベンジル、フェニル、エチレン、トリメチレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ベンゼン−1,3,5−イルであり、更に好ましくはエチレン、トリメチレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ベンゼン−1,3,5−イルであり、最も好ましくは1,4−フェニレンである。
【0112】
として好ましくは1〜3であり、更に好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。
【0113】
前記ベンゾオキサジノン系化合物の代表例としては、2,2’−(p−フェニレン)ジ−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンを挙げることができる。
【0114】
前記サリチル酸系化合物としては、その有効吸収波長が約290〜330nmである化合物が好ましく、その代表例としてはフェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフェニルサリシレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシサリシレート、ヘキサデシル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシサリシレートなどを挙げることができる。
【0115】
前記アクリレート系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜350nmである化合物が好ましく、その代表例としては2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、イソオクチル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、ヘキサデシル 2−シアノ−3−(4−メチルフェニル)アクリレート、メチル 2−シアノ−3−メチル−3−(4−メトキシフェニル)シンナメート、ブチル 2−シアノ−3−メチル−3−(4−メトキシフェニル)シンナメート、メチル 2−カルボメトキシ−3−(4−メトキシフェニル)シンナメート2−シアノ−3−(4−メチルフェニル)アクリル酸塩、1,3−ビス(2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ)−2,2−ビス(((2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ)メチル)プロパン、N−(2−カルボメトキシ−2−シアノビニル)−2−メチルインドリン等を挙げることができる。
【0116】
前記シュウ酸ジアミド系化合物としては、その有効吸収波長が約250〜350nmであるものが好ましく、その代表例としては4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブチルオキサニリド等を挙げることができる。
【0117】
紫外線吸収剤Bとしては以下の化合物群(B)から選ばれる化合物であることが特に好ましい。化合物群(B)は次の化合物(II−1)〜(V−1)からなる群である。
【0118】
[1]前記一般式(IIa)で表される化合物
(II−1) 2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール
(II−2) 2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
(II−3) 2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(II−4) 2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート
(II−5) 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチル−フェノール
(II−6) 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−t−ブチルフェノール
(II−7) 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1−3,3−テトラメチルブチル)フェノール
(II−8) 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−メチルフェノール
(II−9) 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチル−フェノール
【0119】
[2]前記一般式(IIb)で表される化合物
(II−10) 2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]
【0120】
[3]前記一般式(III)で表される化合物
(III−1) 2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
(III−2) 2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン
(III−3) 2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン
(III−4) 2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシロキシフェノール
(III−5) ビスエチルヘキシロキシフェノール メトキシフェニルトリアジン
【0121】
[4]前記一般式(IV)で表される化合物
(IV−1) ヘキシル 2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート
(IV−2) 2,2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン
(IV−3) 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
(IV−4) 1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン
(IV−5) 2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン
(IV−6) 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシッド
(IV−7) 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン
【0122】
[5]前記一般式(V)で表される化合物
(V−1) 2,2’−(p−フェニレン)ジ−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン
【0123】
化合物(II−1)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 328(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(II−2)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(II−3)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 329(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(II−4)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(II−5)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(II−6)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin PS(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(II−7)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 928(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(II−8)は以下に示す構造であり、商品名Tinuvin P(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(II−9)は以下に示す構造であり、商品名Tinuvin 234(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(II−10)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 360(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
【0124】
化合物(III−1)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 460(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(III−2)は下記に示す構造であり、商品名Cyasorb UV−116(サイテック社製)として市販されている。
化合物(III−3)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 405(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(III−4)は下記に示す構造であり、商品名Tinuvin 1577(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(III−5)は下記に示す構造であり、商品名Tinosorb S(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
【0125】
化合物(IV−1)は下記に示す構造であり、商品名Uvinul A plus(BASF社製)として市販されている。
化合物(IV−2)は下記に示す構造であり、商品名Uvinul 3049(BASF社製)として市販されている。
化合物(IV−3)は下記に示す構造であり、商品名Visorb 110(共同薬品社製)として市販されている。
化合物(IV−4)は下記に示す構造であり、商品名Seesorb 151(シプロ化成社製)として市販されている。
化合物(IV−5)は以下に示す構造であり、商品名Chimassorb 81(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として市販されている。
化合物(IV−6)は以下に示す構造であり、商品名Uvinul MS40(BASF社製)として市販されている。
化合物(IV−7)は以下に示す構造であり、商品名Uvinul 3050(BASF社製)として市販されている。
化合物(V−1)は以下に示す構造であり、商品名サイアソーブUV−3638(サイテックインダストリーズ社製)として市販されている。
【0126】
【化16】

【0127】
【化17】

【0128】
【化18】

【0129】
【化19】

【0130】
本発明に用いられる紫外線吸収剤A及びBは、それぞれ単独で存在していてもよいが、あらかじめあるいは組成物中で結合を形成することで、互いに連結していてもよい。また、それぞれ重合性基を結合させることでモノマーとし、これを重合させることで紫外線吸収剤A及びBを単位構造に含む共重合体となってもよい。紫外線吸収剤AおよびBが結合していない別のモノマーを併用して共重合体となってもよい。好ましくは、それぞれ単量体として組成物になっていたものが、所望の時に重合を行って共重合体を形成する場合である。
【0131】
続いて、本発明に用いられる化合物Cについて説明する。化合物Cは、下記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される。
【0132】
【化20】

【0133】
一般式(TS−I)中、R91は水素原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、トリシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む。)、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基(シクロアルキルスルホニル基、ビシクロアルキルスルホニル基、トリシクロアルキルスルホニル基等の環状アルキルスルホニル基を含む。)、アリールスルホニル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、又は−Si(R97)(R98)(R99)を表す。ここで、R97、R98、R99は同一でも異なってもいてもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基、アリールオキシ基を表す。−X91−は−O−、−S−又は−N(−R100)−を表す。ここで、R100はR91と同義である。R92、R93、R94、R95、R96は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ、水素原子又は置換基を表す。R91とR92、R100とR96、R91とR100は互いに結合して5〜7員環を形成していてもよい。さらに、R92とR93、R93とR94が互いに結合して、5〜7員環又はスピロ環、ビシクロ環を形成してもよい。但し、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R100のすべてが水素原子であることはなく、総炭素数は10以上である。
【0134】
本明細書中における基が脂肪族部位を含む場合には、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖又は環状で飽和であっても不飽和であってもよく、例えばアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルを表し、これらは無置換であっても置換基を有していてもよい。また、アリール部位を含む場合には、そのアリール部位は、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、複素環部位を含む場合には、その複素環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよく、環状のヘテロ原子で結合しても、炭素原子で結合してもよい。
【0135】
本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、複素環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、複素環スルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、複素環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ホスフィニル基、ホスホリル基等を挙げることができる。
【0136】
前記一般式(TS−I)をさらに詳細に述べる。
91は水素原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基等の環状アルキル基を含む、例えば、メチル基、i−プロピル基、s−ブチル基、ドデシル基、メトキシエトキシ基、ベンジル基)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む、例えば、アリル基)、アリール基(例えば、フェニル基、p−メトキシフェニル基)ヘテロ環基(例えば2−テトラヒドフリル基、ピラニル基)、アシル基(例えばアセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基)、アルキルもしくはアルケニルオキシカルボニル基(例えばメキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、p−メトキシフェノキシカルボニル基)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、ホスフィノトリル基(例えばジメトキシホスフィノ基、ジフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(例えばジエチルホスフィニル基、ジフェニルホスフィニル基)、又は−Si(R97)(R98)(R99)を表す。ここで、R97、R98、R99は同一でも異なってもいてもよく、それぞれアルキル基(例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、ベンジル基)、アルケニル基(例えばアリル基)、アリール基(例えばフェニル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基)、アルケニルオキシ基(例えばアリルオキシ基)、又はアリールオキシ基(例えばフェノキシ基)を表す。
【0137】
−X91−は、−O−、−S−又は−N(−R100)−を表す。ここで、R100はR91と同義であり、好ましい範囲も同様である。R92、R93、R94、R95、R96は各々同一でも異なってもよく、それぞれ、水素原子又は置換基を表し、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、トリシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールもしくはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0138】
その中でも好ましい置換基としてはアルキル基(例えばメチル基、t−ブチル基、t−ヘキシル基、ベンジル基)、アルケニル基(アリール基)、アリール基(例えばフェニル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基)、アルキルもしくはアルケニルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基、p−ヒドロキシベンゼンスルホニル基)又は−X91−R91である。
91とR92、R100とR96、R91とR100は互いに結合して5〜7員環(例えばクロマン環、モルホリン環)を形成していてもよい。さらに、R92とR93、R93とR94が互いに結合して、5〜7員環(例えばクロマン環、インダン環)又はスピロ環、ビシクロ環を形成してもよい。但し、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R100のすべてが水素原子であることはなく、総炭素数は10以上であり、好ましくは総炭素数16以上である。
【0139】
本発明に用いられる前記一般式(TS−I)で表される化合物は、特公昭63−50691号公報の一般式(I)、特公平2−37575号公報の一般式(IIIa)(IIIb)(IIIc)、同2−50457号公報の一般式、同5−67220号公報の一般式、同5−70809の一般式(IX)、同6−19534号公報の一般式、特開昭62−227889号公報の一般式(I)、同62−244046号公報の一般式(I)(II)、特開平2−66541号公報の一般式(I)(II)、同2−139544号公報の一般式(II)(III)、同2−194062号公報の一般式(I)、同2−212836号公報の一般式(B)、(C)、(D)、同3−200758号公報の一般式(III)、同3−48845号公報の一般式(II)(III)、同3−266836号公報の一般式(B)、(C)、(D)、同3−969440号公報の一般式(I)、同4−330440号公報の一般式(I)、同5−297541号公報の一般式(I)、同6−130602号公報の一般式、国際公開WO91/11749号パンフレットの一般式(1)、(2)、(3)、独国特許出願公開第4008785A1号明細書の一般式(I)、米国特許第4931382号明細書の一般式(II)、欧州特許第203746B1号明細書の一般式(a)、欧州特許第264730B1号明細書の一般式(I)等で表される化合物を包含する。
前記一般式(TS−I)で表される化合物としては、下記一般式(TS−IA)〜(TS−IG)で表される化合物が挙げられ、本発明においてはこれらの構造の化合物が好ましい。
【化21】

【0140】
前記一般式(TS−IA)〜(TS−IG)において、R91〜R97は一般式(TS−I)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。Ra1〜Ra4は水素原子又は脂肪族基を表し、X92及びX93は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、オキシ基、スルホニル基を表す。式中、同一分子中の同記号は同じであっても異なっていてもよい。
【0141】
前記一般式(TS−II)中、R101、R102、R103、R104は各々独立に、水素原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、トリシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む。)を表し、R101とR102、R103とR104は結合し、5〜7員環を形成してもよい。
101は水素原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、トリシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む。)基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルもしくはアルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルもしくはアルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルもしくはアルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基又はオキシラジカル基を表す。
102は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0142】
前記一般式(TS−II)をさらに詳細に述べる。
式中、R101、R102、R103、R104は、水素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチル基)、アルケニル基(例えばアリル基)であるが、好ましくはアルキル基である。
101は、水素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチル基)、アルケニル基(例えば、アリル基)、アルキルオキシ基(例えばメトキシ基、オクチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アルケニルオキシ基(例えばアリルオキシ基)、アルキルオキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基)、アルケニルオキシカルボニル基(例えば、アリルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基)、アシル基(例えばアセチル基、ピバロイル基、メタクリロイル基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アルキルオキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、オクチルオキシカルボニルオキシ基)、アルケニルオキシカルボニルオキシ基(例えば、アリルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ基)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アルケニルスルホニル基(例えば、アリルスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルキルスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル基、オクタンスルフィニル基)、アルケニルスルフィニル基(例えば、アリルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル基、p−トルエンスルフィニル基)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基)、ヒドロキシ基又はオキシラジカル基を表す。
102は5〜7員環(例えばピペリジン環、ピペラジン環)を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0143】
前記一般式(TS−II)においては、更に好ましくは、R103、R104、R105、R106が共に炭素数1〜3のアルキル基であり、X101がオキシラジカル、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数2〜14のアシル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、X102がシクロヘキサン環を形成するものである。
前記一般式(TS−II)は下記一般式(TS−IIa)で表される場合が特に好ましい。
【0144】
【化22】

【0145】
式中、X101は前記一般式(TS−II)におけるX101と同義であり、好ましい範囲も同様である。R200は1価の置換基を表す。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。
【0146】
本発明に用いられる前記一般式(TS−II)で表される化合物は、特公平2−32298号公報の一般式(I)、同3−39296号公報の一般式(I)、同3−40373号公報の一般式、特開平2−49762号公報の一般式(I)、同2−208653号公報の一般式(II)、同2−217845号公報の一般式(III)、米国特許第4906555号明細書の一般式(B)、欧州特許出願公開第309400A2号明細書の一般式、同第309401A1号明細書の一般式、同第309402A1号明細書の一般式等で表される化合物を包含する。
【0147】
前記一般式(TS−III)中、R105、R106は水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基を表し、R107は脂肪族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、ヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよいが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を形成する場合を除く。但し、R105、R106の両方が水素原子であることはなく、総炭素数は7以上である。
【0148】
前記一般式(TS−III)を更に詳細に述べる。
式中、R105、R106は水素原子、脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、メトキシエトキシ基)、アシル基(例えばアセチル基、ピバロイル基、メタクリロイル基)、脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基)、芳香族オキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、芳香族スルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基)を表し、R107は脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、メトキシエトキシ基)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ基、オクチルオキシ基)、芳香族オキシ基(例えばフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基)、脂肪族チオ基(例えばメチルチオ基、オクチルチオ基)、芳香族チオ基(例えばフェニルチオ基、p−メトキシフェニルチオ基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、ピバロイルオキシ基)、脂肪族オキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ基、オクチルオキシカルボニルオキシ基)、芳香族オキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ基)、置換アミノ基(置換基としては置換可能ならばよく、例えば脂肪族基、芳香族基、アシル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基等の置換したアミノ基)、複素環基(例えばピペリジン環、チオモルホリン環)、ヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環(例えばピペリジン環、ピラゾリジン環)を形成してもよい。但し、R105、R106の両方が水素原子であることはなく、総炭素数は7以上である。
【0149】
本発明に用いられる前記一般式(TS−III)で表される化合物は、特公平6−97332号公報の一般式(I)、特公平6−97334号公報の一般式(I)、特開平2−148037号公報の一般式(I)、同2−150841号公報の一般式(I)、同2−181145号公報の一般式(I)、同3−266836号公報の一般式(I)、同4−350854号公報の一般式(IV)、同5−61166号公報の一般式(I)等で表される化合物を包含する。
前記一般式(TS−III)で表される化合物としては、下記一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)で表される化合物が挙げられ、本発明においてはこれらの構造の化合物が好ましい。
【0150】
【化23】

【0151】
前記一般式(TS−IIIA)〜(TS−IIID)において、R105〜R106は前記一般式(TS−III)で定義したものと同じであり、好ましい範囲も同様である。Rb1〜Rb3はR105と同義であり、好ましい範囲も同様である。Rb4、Rb5、Rb6は脂肪族基を表す。X103は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0152】
前記一般式(TS−IV)中、R111、R112は脂肪族基を表し、R111とR112は互いに結合し、5〜7員環を形成してもよい。nは0、1、2を表す。但しR111、R112の総炭素数は10以上である。
【0153】
前記一般式(TS−IV)を更に詳細に述べる。
前記一般式(TS−IV)中、R111、R112は脂肪族基(例えばメチル基、メトキシカルボニルエチル基、ドデシルオキシカルボニルエチル基)を表し、R111とR112は互いに結合し、5〜7員環(例えばテトラヒドロチオフェン環、チオモルホリン環)を形成してもよい。nは0、1、2を表す。但し、R111、R112の総炭素数は10以上である。
本発明に用いられる前記一般式(TS−IV)で表される化合物は、特公平2−44052号の一般式(I)、特開平3−48242号公報の一般式(T)、同3−266836号公報の一般式(A)、同5−323545号公報の一般式(I)(II)(III)、同6−148837号公報の一般式(I)、米国特許第4933271号明細書の一般式(I)等で表される化合物を包含する。
【0154】
前記一般式(TS−V)中、R121、R122は脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基を表し、R123は脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基を表し、mは0又は1を表す。R121とR122、R121とR123は互いに結合し、5〜8員環を形成してもよい。但し、R121、R122、R123の総炭素数は10以上である。
【0155】
前記一般式(TS−V)を更に詳細に述べる。
前記一般式(TS−V)中、R121、R122は脂肪族オキシ基(例えばメトキシ基、t−オクチルオキシ基)、芳香族オキシ基(例えばフェノキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ基)を表し、R123は脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、t−オクチル基)、芳香族基(例えばフェニル基、4−t−ブチルフェニル基)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ基、t−オクチルオキシ基)、芳香族オキシ基(例えばフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基)を表し、mは0又は1を表す。R121とR122、R121とR123は互いに結合し、5〜8員環を形成してもよい。但し、R121、R122、R123の総炭素数は10以上である。
本発明に用いられる前記一般式(TS−V)で表される化合物は、特開平3−25437号公報の一般式(I)、同3−142444号公報の一般式(I)、米国特許第4749645号明細書の一般式、同第4980275号明細書の一般式等で表される化合物を包含する。
【0156】
前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物は、前記一般式(TS−I)、(TS−II)、又は(TS−V)のいずれかで表される化合物から選ばれたものであることが好ましく、前記一般式(TS−I)又は(TS−II)で表される化合物から選ばれたものがより好ましく、前記一般式(TS−II)で表される化合物であることがさらに好ましい。前記一般式(TS−II)で表される化合物としては、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格からなるものが特に好ましい。
【0157】
前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物の具体的化合物例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、前記一般式(TS−I)に該当する化合物には、TI−1〜57が、前記一般式(TS−II)に該当する化合物には、TII−1〜36が、前記一般式(TS−III)に該当する化合物には、TIII−1〜13が、前記一般式(TS−IV)に該当する化合物には、TIV−1〜6が、前記一般式(TS−V)に該当する化合物には、TV−1〜8が、参照番号として付されている。
【化24】

【0158】
【化25】

【0159】
【化26】

【0160】
【化27】

【0161】
【化28】

【0162】
【化29】

【0163】
【化30】

【0164】
【化31】

【0165】
【化32】

【0166】
【化33】

【0167】
【化34】

【0168】
【化35】

【0169】
【化36】

【0170】
【化37】

【0171】
【化38】

【0172】
【化39】

【0173】
【化40】

【0174】
【化41】

【0175】
【化42】

【0176】
【化43】

【0177】
【化44】

【0178】
前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物として好ましくは、前記一般式(TS−I)、(TS−II)又は(TS−V)のいずれかで表される化合物である。より好ましくは前記一般式(TS−I)又は(TS−II)で表される化合物である。
【0179】
前記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物が2種以上含まれる場合、同一の群から2種以上併用しても良いし(例えば、前記一般式(TS−II)で表される化合物を2種類使用する場合)、複数の群に亘って2種以上併用しても良い(例えば、前記一般式(TS−I)で表される化合物と前記一般式(TS−II)で表される化合物をそれぞれ1種類ずつ使用する場合)。好ましくは、複数の群に亘って2種以上併用する場合である。
【0180】
続いて本発明に用いられるブルーイング剤Dについて説明する。
本発明におけるブルーイング剤とは、橙色ないし黄色の光線を吸収することにより青色ないし紫色を呈する着色剤をいう。本発明に用いられる樹脂組成物において更に黄色味を減少させ成形品に自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の使用は非常に有効である。本発明に用いられるブルーイング剤Dとしては、種々の化合物を用いることができ、例えば、アントラキノン系化合物、フタロシアニン系化合物、モノアゾ系化合物、ジアゾ系化合物、トリアリルメタン系化合物などが挙げられる。具体例としては、一般名:Solvent Violet 13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;バイエル社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」、有本化学工業(株)製「Plast Violet 8840」、紀和化学(株)製「KP Plast Violet 2R」、東京化成工業(株)製「キニザリンブルー」、いずれも商標名]、一般名:Solvent Violet 31[CA.No 68210;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名:Solvent Violet 33[CA.No 60725;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、一般名:Solvent Blue 94[CA.No 61500;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーN」]、一般名:Solvent Violet 36[CA.No 68210;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレット3R」]、一般名:Solvent Blue 97[商標名バイエル社製「マクロレックスブルーRR」]、および一般名:Solvent Blue 45[CA.No 61110;商標名 サンド社製「ポリシンスレンブルーRLS」]が代表例として挙げられる。
【0181】
本発明における樹脂組成物中、樹脂に対する前記紫外線吸収剤Aの含有量は特に制限されないが、樹脂100質量部に対し0.01〜20質量部であることが好ましく、0.01〜10質量部であることが更に好ましく、0.01〜5質量部であることが更に好ましい。
【0182】
本発明における樹脂組成物中、前記紫外線吸収剤Bは3種類以下含有されることが好ましく、2種類含有されることがより好ましく、1種類のみ含有されることが特に好ましい。化合物Cは数種類含有されてもよい。
【0183】
本発明における樹脂組成物中、紫外線吸収剤AまたはBあるいは化合物Cの含有比率は任意の比率であってよい。紫外線吸収剤Aと紫外線吸収剤Bとの含有比率(A:B)は、0:1と1:0を除く任意の比率であってよく、好ましくは1:10〜10:1である。より好ましくは6:1〜1:4であり、最も好ましくは4:1〜1:4である。なお、本発明における含有比率はモル比で表すものとする。紫外線吸収剤の分子量がわかっていればモル比を質量比に変換できるので、当業者は質量比を元に含有させる(混合する)こともできる。本発明における樹脂組成物中の化合物Cの含有量は、紫外線吸収剤Aのモル数および紫外線吸収剤Bのモル数のうち小さい方を1(基準値)としたときに、化合物Cのモル数の比で0〜10が好ましく、更に好ましくは0〜7であり、更に好ましくは0〜5であり、更に好ましくは0〜2である。
【0184】
本発明における樹脂組成物中のブルーイング剤Dの含有量は制限されないが、好ましくは紫外線吸収剤Aの100質量部に対して0.00001〜1質量部含有することが好ましい。含有量としてより好ましくは0.01〜1質量部であり、更に好ましくは0.03〜1質量部であり、更に好ましくは0.05〜0.8質量部であり、最も好ましくは0.05〜0.5質量部である。
【0185】
また、本発明の樹脂組成物に用いられる高分子物質について詳細に説明する。本発明においては使用される高分子物質は特に制限されないが、例えば、天然又は合成ポリマーもしくはコポリマーである。例えば以下のものが挙げられる。
<1> モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテ−1−エン、ポリ−4−メチルペンテ−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィン、例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、ポリエチレン(所望により架橋され得る)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度及び超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0186】
ポリオレフィン、すなわち前の段落において例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、異なる方法によりそしてとりわけ以下の方法により調製され得る:
a)ラジカル重合(通常は高圧下において及び高められた温度において)。
b)通常、周期表のIVb、Vb、VIb又はVIII群の金属の一つ又はそれ以上を含む触媒を使用した触媒重合。これらの金属は通常、一つ又はそれ以上の配位子、典型的にはπ−又はσ−配位し得るオキシド、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は遊離形態であるか、又は基材に、典型的には活性化塩化マグネシウム、チタン(III)クロリド、アルミナ又は酸化ケイ素に固定され得る。これらの触媒は、重合媒体中に可溶又は不溶であり得る。該触媒は重合においてそのまま使用され得、又は他の活性化剤、典型的には金属アルキル、金属ヒドリド、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシドまたは金属アルキルオキサンであって、該金属が周期表のIa、IIa及び/又はIIIa群の元素であるものが使用されることができる。該活性化剤は、他のエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で都合良く変性され得る。これらの触媒系は、通常、フィリップス、スタンダード・オイル・インディアナ、チグラー(−ナッタ)、TNZ(デュポン)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と命名される。
【0187】
<2> 前記<1>項で言及されたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレン(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)の混合物、及び異なる型のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0188】
<3> モノオレフィン及びジオレフィンの互いの又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテ−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテ−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、COC(Cyclo−Olefin Copolymer)のようなエチレン/ノルボルネン)、1−オレフィンが現場で生成されるエチレン
/1−オレフィンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(アイオノマー)、ならびにエチレンとプロピレン及びへキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンのようなジエンとのターポリマー;及びそのようなコポリマーの互いの及び1)で上述したポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互の又はランダムのポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー及びそれらの他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0189】
<4> 水素化変性物(例えば粘着付与剤)を含む炭化水素樹脂(例えば炭素原子数5ないし9)及びポリアルキレン及びデンプンの混合物。
【0190】
前記<1>ないし<4>項のホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0191】
<5> ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0192】
<6> スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、とりわけp−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセンの全ての異性体、及びそれらの混合物を含む芳香族ビニルモノマーから誘導された芳香族ホモポリマー及びコポリマー。ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0193】
<6a> エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニル又はそのアクリル誘導体及び混合物から選択される上述された芳香族ビニルモノマー及びコモノマーを含むコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマー及び他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーの高耐衝撃性の混合物;及びスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンのようなスチレンのブロックコポリマー。
【0194】
<6b> 前記<6>項で言及されたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー、とりわけアタクチックポリスチレンを水素化することにより調製され、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)として言及されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含む。
【0195】
<6c> 前記<6a>項で言及されたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー。
【0196】
ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0197】
<7> スチレン又はα−メチルスチレンのような芳香族ビニルモノマーのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーにスチレン;ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエンにスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレートにスチレン及びアクリロニトリル;アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらの前記<6>項に列挙されたコポリマーとの混合物、例えばABS、SAN、MBS、ASA又はAESポリマーとして既知であるコポリマー混合物。
【0198】
<8> ポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化ポリエチレン、エチレン及び塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、とりわけハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ボリフッ化ビニリデン、ならびに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーのようなそれらのコポリマー、のようなハロゲン含有ポリマー。
【0199】
<9> α,β−不飽和酸及びから誘導されたポリマー、及びポリアクリレート及びポリメタクリレートのようなその誘導体;ブチルアクリレートで耐衝撃改善されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0200】
<10> 前記<9>項で言及されたモノマーの互いの又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0201】
<11> 不飽和アルコール及びアミンから誘導されたポリマー又はそれらのアシル誘導体又はアセタール、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート又はポリアリルメラミン;ならびに前記<1>項で言及されたオレフィンとそれらのコポリマー。
【0202】
<12> ポリアルキレングリコール、ボリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはビスグリシジルエーテルとそれらのコポリマーのような環式エーテルのホモポリマー及びコポリマー。
【0203】
<13> ポリオキシメチレン及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含むポリオキシメチレンのようなポリアセタール;熱可塑性ポリウレタン、アクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタール。
【0204】
<14> ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、及びポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0205】
<15> 一方はヒドロキシル基末端を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンと、他方は脂肪族又は芳香族のポリイソシアナートから誘導されたポリウレタン、ならびにそれらの前駆体。
【0206】
<16> ジアミシとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミン及びアジピン酸から開始した芳香族ポリアミド;へキサメチレンジアミン及びイソフタル酸及び/又はテレフタル酸から及び変性剤としてのエラストマーを用いて又は用いずに調製されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド:及び上述されたポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー又は化学的に結合されたか又はグラフトされたエラストマーとのブロックコポリマー;又は例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルとのブロックコポリマー;ならびにEPDM又はABSで変性されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工の間に縮合されたポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0207】
<17> ポリ尿素、ポリイミド、ボリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0208】
<18> ジカルボン酸とジオールから及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、ならびにヒドロキシル末端ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;及びまたポリカーボネート又はMBSで変性されたポリエステル。米国特許第5,807,932号明細書(2欄、53行)で定義されたようなポリエステル及びポリエステルコポリマーは、参照としてここに組込まれる。
【0209】
<19> ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
【0210】
<20> ポリケトン。
【0211】
<21> ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0212】
<22> 一成分としてのアルデヒドと他成分としてのフェノール、尿素及びメラミンとから誘導された架橋ポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
【0213】
<23> 乾性及び非乾性アルキド樹脂。
【0214】
<24> 飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールと架橋剤としてのビニル化合物とから誘導された不飽和ポリエステル樹脂、及び更に低燃性のそのハロゲン含有変性体。
【0215】
<25> 置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
【0216】
<26> メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート又はエポキシ樹脂を用いて架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
【0217】
<27> 脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物から誘導された架橋エポキシ樹脂、例えば、促進剤を用いて又は用いずに、無水物又はアミンのような慣例の硬化剤で架橋されている、ビスフェノールA及びビスフェノールFのグリシジルエーテル生成物。
【0218】
<28> 天然ポリマー、例えばセルロース、ゴム、ゼラチン及び化学的に変性されたそれらの同族列の誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート及びセルロースブチレート、又はセルロースエーテル、例えばメチルセルロース;並びにロジン及びそれらの誘導体。
【0219】
<29> 上述のポリマーの配合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0220】
<30> 純粋なモノマー状化合物又は前記化合物の混合物である天然及び合成有機材料、例えば鉱油、動物及び植物脂肪、油及びワックス、又は合成エステル(例えばフタレート、アジペート、ホスフェート又はトリメリテート)をベースとする油、脂肪及びワックス、及び更に何れかの質量比の合成エステルと鉱油との混合物、代表的には繊維紡糸組成物として使用される混合物、並びに前記材料の水性エマルジョン。
【0221】
<31> 天然又は合成ゴムの水性エマルジョン、例えば天然ラテックス又はカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックス。
【0222】
<32> ポリシロキサン類、例えば、アメリカ合衆国特許第4259467号明細書に記載された軟質、親水性のポリシロキサン、及び、例えば、アメリカ合衆国特許第4355147号明細書に記載された硬質ポリオルガノシロキサン。
【0223】
<33> 不飽和アクリルポリアセトアセテート樹脂と又は不飽和アクリル樹脂と組み合わせたポリケチミン。前記不飽和アクリル樹脂はウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ペンダント不飽和基を持つビニル若しくはアクリルコポリマー、及びアクリル化されたメラミンを包含する。前記ポリケチミンは、酸触媒の存在下で、ポリアミンとケトンから製造される。
【0224】
<34> エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー及び多不飽和脂肪族オリゴマーを含む輻射線硬化性組成物。
【0225】
<35> LSE−4103[商品名、モンサント(Monsanto)社製]のようなエポキシ官能性の共エーテル化された高固形分メラミン樹脂により架橋された光安定化エポキシ樹脂のようなエポキシメラミン樹脂。
【0226】
本発明に用いられる高分子物質は、合成ポリマーである場合が好ましく、ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロースエステルがより好ましい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースが特に好ましい。
本発明に用いられる高分子物質は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0227】
本発明に用いられるアクリル樹脂としては市販の製品をはじめ様々なものを用いることができ、例えば三菱レイヨン(株)製、商品名ハイペットHBS−000、三菱レイヨン(株)製、商品名アクリペットVH001などを用いることができる。また本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては市販の製品をはじめ様々なものを用いることができ、例えば、帝人化成(株)製、商品名パンライトL−1125Yなどを用いることができる。また、本発明で用いるポリエステル樹脂としては市販の製品をはじめ様々なものを用いることができ、例えば、東洋紡績(株)製、商品名PETMAXペットレジンなどを用いることができる。また本発明で用いるポリオレフィン樹脂としては市販の製品をはじめ様々なものを用いることができ、例えば、日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックLDなどを用いることができる。
【0228】
本発明における樹脂組成物は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが特に好ましい。
【0229】
本発明における樹脂組成物には、必要に応じて、性能を損なわない範囲で、任意の方法で種々の任意の添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、染料・顔料等の着色剤;顔料や光拡散剤の分散性を改善するための展着剤や分散剤;アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル類を主成分とするコアシェル型グラフト構造を有するゴム状重合体等に代表される耐衝撃性改質剤;リン酸エステルのような難燃剤;パルミチン酸、ステアリルアルコールのような滑剤;有機系及び無機系の抗菌剤;帯電防止剤などが挙げられる。なお、これらは必要に応じて複数を併用することもできる。
【0230】
本発明における樹脂組成物は、各成分の所定量をヘンシェルミキサー、タンブラー等の混合装置で機械的に混合し、一軸又は二軸のスクリュー押出機、バンバリーミキサー等を用い、樹脂によって適当な温度、例えば200〜260℃の温度で十分に溶融混練し、その後造粒してペレット化する方法等の公知の一般的方法によって製造することができる。
【0231】
本発明の照明カバー(前記樹脂組成物の成形体)の製造方法としては、特に限定されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形等の公知の方法や、押出成形によりシート状に成形したあと、所望の形状に真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形する等の熱成形方法を用いることができる。
【0232】
本発明の照明カバーは、例えば、ランプの前面を覆うように装着されるものであってもよいし、光源を内蔵するような中空のチューブ状であってもよい。また、角型、U字型、グローブ型など種々の形状であっても良い。成形物の肉厚は4mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが更に好ましい。0.2mm以上であることが実際的である。
【0233】
本発明の照明カバーは透明であってもよいし、乳白色で光の拡散を伴うことにより、ランプからの光を和らげ、ランプイメージを和らげるタイプであってもよい。したがって、本発明の照明カバーは、全光線透過率が40%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上である。全光線透過率が40%以上であれば、暗くなりすぎず、適度にランプからの光を和らげることができる。また、430nm〜480nmの透過率の最大値から550nm〜600nmの透過率の最小値を引いた値が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、8%以下であることがさらに好ましく、6%以下であることがもっとも好ましい。
【0234】
このような照明カバーは、各種照明器具、例えば、シーリングライト、ペンダント型ライト、流し元灯、浴室灯、シャンデリア、スタンド、ブラケット、行燈、ガレージライト、軒下灯、門柱灯、ポーチライト、ガーデンライト、エントランスライト、足元灯、階段灯、誘導灯、防犯灯、ダウンライト、ベースライト、電飾看板、サイン灯等用のカバー、自動車、自動二輪車等を初めとする車両用灯具向けのカバー等に好適に用いることができる。
また、本発明における紫外線吸収剤Aを含む樹脂組成物を眼鏡レンズ等に使用することによって、照明からの紫外光を間接的にカットし、目の疲れを抑える等の効果が期待できる。
【0235】
本発明の照明カバーは、種々の光源に対して用いることができる。好ましくは蛍光灯あるいはHIDランプ(High Intensity Discharge Lamps:金属蒸気中の放電によって発光するメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、水銀ランプの総称で、高輝度放電ランプ(高輝度放電灯)とも呼ばれる)であり、最も好ましくは蛍光灯である。
【0236】
本発明の照明カバーは、虫を誘引しやすい波長の光を取り除く用途に使用される。
本発明の照明カバーは、飛翔昆虫などの虫を誘引しやすい波長の光を長波長域まで効率的にカットすることで、虫を近寄りにくくさせることができる。しかも、黄色味が無く透明感の高い樹脂成形物を用いることで、照明点灯時の見た目を損なうことがない。さらに、耐光性に優れるため、長期間使用しても黄色に着色してしまうことがない。
【0237】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0238】
実施例1
(紫外線吸収剤試料の調製)
下記表1のように紫外線吸収剤A及びB、並びに化合物Cを組み合わせ、ブルーイング剤Dとして前記の一般名:Solvent Violet 13である東京化成工業(株)製、商品名「キニザリンブルー」を添加して紫外線吸収剤試料0〜18を調製した。なお、下記表1中、紫外線吸収剤Aと紫外線吸収剤Bと化合物Cとの比率(A:B:C)は、モル比で表してある。ブルーイング剤Dは試料1〜15について化合物Aの100質量部に対して0.173質量部となる量を添加する。試料0および14〜18にはブルーイング剤は添加しない。
【0239】
【表1】

【0240】
なお、紫外線吸収剤A又はBとして用いた化合物の極大吸収波長、および極大吸収波長に対する320nmにおける吸光度は、各化合物について濃度約5×10−5mol・dm−3の酢酸エチル溶液を調製し、1cm石英セルにて島津製作所製分光光度計UV−3600(商品名)を用いてUVスペクトルを測定した。得られたスペクトルチャートから極大吸収波長、半値幅、極大吸収波長に対する320nmにおける吸光度を算出した。結果を下記表2に示す。
【0241】
【表2】

【0242】
前記化合物X−1は、特開2005−206830号公報において410nmまでの長波紫外線を効率的にカットすることが知られている公知の化合物である。構造を以下に示す。
【0243】
【化45】

【0244】
実施例2
(ポリカーボネート試料板200〜218の作製)
ポリカーボネート樹脂(PC)[帝人化成(株)製、商品名パンライト]3kgに対して試料0を、紫外線吸収剤Aが3gとなるように加え、ステンレス製タンブラーで1時間攪拌した。この混合物を二軸練押出し混練機で300℃にて溶融混合し、常法によって成形用ペレットを作製した。このペレットを用いて射出成形機で厚さ1mmの試料板200を作製した。
また、試料板200の作製において試料0を試料1〜13と置き換えた以外は同様にして試料板201〜213を作製した。また、試料板200の作製において試料0を紫外線吸収剤Aが3gとなる量加えるところを、試料16〜試料18を紫外線吸収剤Aが9gとなる量加えるように変更した以外は全く同様にして試料板216〜218を作製した。また、試料板200の作製において紫外線吸収剤Bが3gとなるように試料14又は15を加えたこと以外は同様にして試料板214および試料板215を作製した。
得られた試料板は目視で判断したところ、いずれもほぼ無色であった。得られた試料板200及び201の透過率スペクトルをそれぞれ図2及び3に示す。
本発明の試料板はいずれも430nm〜480nmの透過率の最大値から550nm〜600nmの透過率の最小値を引いた値が15%以下であり、また全光線透過率が40%以上であった。
【0245】
実施例3
(ポリエチレンテレフタレート試料板300〜318の作製)
実施例2のポリカーボネート樹脂板の作製においてポリカーボネート樹脂をポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)に置き換え、二軸押出し混練の温度を300℃から270℃に変更したこと以外は同様にして試料板300〜318を作製した。得られた試料板は目視で判断したところ、いずれもほぼ無色であった。
【0246】
<評価>
(試料板の耐光性評価)
得られた試料板200〜218及び300〜318について、U−4100スペクトロフォトメーター(商品名、日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて透過率測定の測定を実施した。その結果、試料板200〜213、216〜218、300〜313及び316〜318は長波紫外線を410nmまで十分にカットしていた。一方、試料板214、215、314及び315は410nmまでカットしきれず長波紫外線のカットが不十分であった。
【0247】
続いて、キセノンランプ(イーグルエンジニアリング製),照度17万ルクスにて150時間の光照射を実施し、U−4100スペクトロフォトメーター(商品名、日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いてb値の測定を実施した。測定した各値について下記式に基づいてΔbを計算した。
Δb=(キセノン照射後のb値)−(キセノン照射前のb値)
なお、b値はJIS Z 8729に規定されている。
得られた値について、Δbが4より小さいものを○、4以上で5より小さいものを△、5以上のものを×と判定した。結果を表3に示す。
【0248】
【表3】

【0249】
表3の結果から明らかなように、本発明の照明カバー(樹脂組成物によって得られた成形板)は、キセノン照射による黄変の程度が非常に小さかった(試料板200〜213)。一方、本発明における紫外線吸収剤Aを含有せず、長波紫外線を十分カットできなかった試料板(試料板214及び215)、並びに本発明に該当しない紫外線吸収剤Aを含有する試料板(試料板216〜218)は、激しく黄変した。
したがって、本発明の照明カバーは、照明点灯時の見た目を損なうことがなく、しかも耐光性に優れ、長期間使用しても黄色に着色することがない。
【0250】
(飛来昆虫の誘引防止効果の評価)
10m四方の部屋の中心にてライトボックスNEW5000(商品名、富士フイルム(株)製)を光源として点灯した。光照射面を覆うように前記試料板300〜318を設置し照明カバーとして使用した。また、光照射面から20cmの高さに30cm×30cmの大きさの粘着シートを設置した。部屋にユスリカ500匹を放し、光に誘引され粘着シートに捕獲された虫の数により飛来昆虫の誘引性を評価した。補虫数が50未満のものを○、50以上のものを×と判定した。なお、いずれの試料板を照明カバーとして用いた場合も、無色であるため照明の見た目を損なわなかった。結果を表4に示す。
【0251】
【表4】

【0252】
(虫誘引性結果)
表4の結果から明らかなように、本発明の照明カバー(樹脂組成物によって得られた成形板)は、光による飛翔昆虫の誘引を防止することができた(試料板300〜313)。一方、本発明における紫外線吸収剤Aを含有せず、長波紫外線を十分カットできない試料板は、飛翔昆虫の誘引防止効果が不十分であった(試料板314及び315)。試料板316〜318は、410nmまでの長波紫外線をカットすることが知られている公知の化合物を含有するため光による飛翔昆虫の誘引を防止することができたが、上述のとおり、耐光性に劣り、激しく黄変する。
したがって、本発明の照明カバーは、飛翔昆虫などの虫を誘引しやすい波長の光を長波長域まで効率的にカットすることで、虫を近寄りにくくさせることができる。
【0253】
以上の結果から明らかなように、本発明に用いられる紫外線吸収剤Aは、広波長域にわたる紫外線吸収能を持ち、より長波側まで紫外線をカットしつつ無色性に優れる。したがって、本発明により、飛翔昆虫の飛来を防止するとともに照明点灯時の見た目を損なわず、さらに著しく耐光性に優れる照明カバーを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線吸収剤Aを含む樹脂組成物からなる照明カバーであって、前記紫外線吸収剤Aが下記一般式(1)で表される化合物よりなることを特徴とする照明カバー。
【化1】

[式中、Hetは、2価の5あるいは6員環の芳香族ヘテロ環残基を表す。また、該芳香族ヘテロ環残基は置換基を有していても良い。
1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f、R1g及びR1hは互いに独立して、水素原子または1価の置換基を表す。]
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1記載の照明カバー。
【化2】

[式中、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g及びR2hは、それぞれ前記一般式(1)のR1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f、R1g及びR1hと同義である。R2i及びR2jは互いに独立して、水素原子または1価の置換基を表す。]
【請求項3】
前記樹脂組成物が、320nmにおける吸光度が270〜400nmの範囲での極大吸収波長における吸光度の20%以上であり、かつ、極大吸収波長が380nm以下である化合物よりなる紫外線吸収剤Bを含む、請求項1又は2に記載の照明カバー。
【請求項4】
前記樹脂組成物が、前記紫外線吸収剤Aの100質量部に対してブルーイング剤Dを0.00001〜1質量部含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明カバー。
【請求項5】
前記樹脂組成物が、下記一般式(TS−I)〜(TS−V)のいずれかで表される化合物Cのうちの少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明カバー。
【化3】

〔一般式(TS−I)中、R91は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ホスフィノトリル基、ホスフィニル基、又は−Si(R97)(R98)(R99)を表す。ここで、R97、R98、R99は同一でも異なってもいてもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、又はアリールオキシ基を表す。−X91−は−O−、−S−又は−N(−R100)−を表す。ここで、R100はR91と同義である。R92、R93、R94、R95、R96は互いに同一でも異なってもよく、それぞれ、水素原子又は置換基を表す。R91とR92、R100とR96、R91とR100は互いに結合して5〜7員環のいずれかを形成していてもよい。さらに、R92とR93、R93とR94が互いに結合して、5〜7員環のいずれか、スピロ環、又はビシクロ環を形成してもよい。但し、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100のすべてが水素原子であることはなく、R91、R92、R93、R94、R95、R96、及びR100の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−II)中、R101、R102、R103、R104は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアルケニル基を表し、R101とR102、R103とR104は結合し、5〜7員環のいずれかを形成してもよい。X101は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、又はオキシラジカル基を表す。X102は5〜7員環のいずれかを形成するのに必要な非金属原子群を表す。
一般式(TS−III)中、R105及びR106はそれぞれ水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、又は芳香族スルホニル基を表し、R107は脂肪族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、又はヒドロキシ基を表し、可能な場合にはR105とR106、R106とR107、R105とR107は互いに結合し、5〜7員環のいずれかを形成してもよいが、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン残基を形成する場合を除く。但し、R105及びR106の両方が水素原子であることはなく、R105及びR106の総炭素数は7以上である。
一般式(TS−IV)中、R111及びR112はそれぞれ脂肪族基を表し、R111とR112は互いに結合し、5〜7員環のいずれかを形成してもよい。nは0、1、又は2を表す。但し、R111とR112の総炭素数は10以上である。
一般式(TS−V)中、R121及びR122はそれぞれ脂肪族オキシ基又は芳香族オキシ基を表す。R123は脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、又は芳香族オキシ基を表す。mは0又は1を表す。R121とR122、R121とR123は互いに結合し、5〜8員環のいずれかを形成してもよい。但し、R121、R122、及びR123の総炭素数は10以上である。〕
【請求項6】
前記樹脂組成物における前記紫外線吸収剤Aの含有量が、樹脂100質量部に対し0.01〜20質量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明カバー。
【請求項7】
前記樹脂組成物における前記紫外線吸収剤Aと前記紫外線吸収剤Bとのモル比率が、1:10〜10:1の範囲である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の照明カバー
【請求項8】
前記樹脂が、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂の少なくとも1種類からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の照明カバー。
【請求項9】
430nm〜480nmの透過率の最大値から550nm〜600nmの透過率の最小値を引いた値が15%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の照明カバー。
【請求項10】
全光線透過率が40%以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の照明カバー。
【請求項11】
虫を誘引しやすい波長の光を取り除く用途に使用される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の照明カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−92842(P2010−92842A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187988(P2009−187988)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】