説明

照明システムを動作するための光源及び方法

本発明は、380nm〜780nmの範囲の少なくとも一部におけるスペクトルエミッタンスを有する光を生成するための光源に関し、光は、波長λ、及び平均演色評価数Rの関数としてのスペクトル電力分布E(λ)を有し、380nm≦λ≦780nmの第二範囲内に亘る積分スペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲内に亘る積分スペクトル電力分布の比率は、以下の関係によって与えられ、B≦0.15及びR≧20である。光源によって生成される光は、渡り鳥に対して比較的小さい妨害効果を有すると同時に、それは人間のための許容可能な視覚性を依然として可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムを動作するための光源及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
夜行性渡り鳥は、照明のために使用される人工光、例えば、沖合架設、超高層建築、又は、灯台によって地上及び海上で方向感覚を失わされるようになり得る。研究が示したのは、見当識障害の程度が光の色に依存するということである。彼らのNature 364, 525−527 (05 August 1993)中の“Red light disrupts magnetic orientation of migratory birds”という論文において、Wolfgang Wiltschko、Ursula Munro、Hugh Ford、及び、Roswitha Wiltschkoは、磁石受信を害することによって赤色光が渡り鳥の見当識障害を概ね引き起こすのに対し、渡り鳥の見当識は青色光において季節的に適切な移動方向において影響されず、緑色光は見当識の妨害を引き起こさないか或いは小さい妨害のみを引き起こすことを報告している。しかしながら、純粋な青色光又は純粋な緑色光は、人間の視覚快適性のために最適ではなく、安全が懸念される状況、例えば、沖合架設の下では許容可能でさえない。さらに、多くの(作業)環境は、人々が典型的には赤色である安全設備及び標識、例えば、消火器又は緊急ボタンを認識することを可能にするよう、少なくとも限定的な赤色認識能力を要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
渡り鳥に対して比較的小さい妨害効果を有し且つ人間のために比較的良好な視覚性を許容する光源を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、その目的は、380nm〜780nmの範囲の少なくとも一部においてスペクトルエミッタンスを有する光を生成するための光源であって、光は、波長λ及び平均演色評価数Rの関数としてのスペクトル電力分布E(λ)を有し、380nm≦λ≦780nmの第二範囲内に亘る積分スペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲内に亘る積分スペクトル電力分布の比率は、以下の関係によって与えられ、
【0005】
【数1】

≦0.15及びR≧20である光源で達成される。
【0006】
本発明者は、光源が380nm≦λ≦780nmの第二範囲内に亘る積分スペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲内に亘る積分スペクトル電力分布の0.15以下の比率を有する光を生成するとき、光源が夜行性渡り鳥に対する比較的小さい妨害効果を有することを発見した。妨害効果は、実質的に緑色光を生成する光源の効果とほぼ等しいか或いはそれ未満であり、それは渡り鳥に対する妨害の許容可能なレベルとして一般的に考えられる。その上、生成される光は、人間のための許容可能な視覚性も可能にする。例えば、沖合架設において使用されるとき、本発明に従った光源は、人間が赤色物体を識別することを可能にすると同時に、生成される光は渡り鳥に対して比較的小さい妨害効果を有する。
【0007】
本発明に従った光源の好適実施態様は、Bが≦0.10、好ましくは、≦0.05であることによって特徴付けられ、それは夜行性渡り鳥に対する妨害効果のさらなる減少をもたらす。
【0008】
本発明に従った光源の好適実施態様は、光源が放電管を含む低圧水銀蒸気放電ランプであり、放電管は、希ガス及び水銀を備える放電空間を気密に密閉し、放電空間内で放電を維持するための放電手段を含み、放電管の壁の少なくとも一部は、BaMgAl1627:Eu,Mn、及び、BaMgAl1017:Euの混合物を含む発光層を備える点で特徴付けられる。BaMgAl1017:Euの重量による量によって除されるBaMgAl1627:Eu,Mnの重量による量の比率は、1.5〜13の範囲、より好ましくは、1.5〜2の範囲内にある。より好ましくは、この比率は、1.8〜1.9の範囲内である。そのような蛍光ランプは、例えば、沖合架設又は海に近い建造物を照明するために使用され得る比較的効率的な光源である。
【0009】
本発明に従った光源の好適実施態様は、光源が、複数の緑色LED及び青色LEDを含む点で特徴付けられる。光源は、好ましくは、少なくとも1つの赤色LEDをさらに含む。これは、特定色のLEDを弱め或いは増強することによって、生成される光のスペクトル組成を変更することが比較的容易であるという利点を有する。
【0010】
本発明に従った光源の好適実施態様は、光源が放電管を含む高圧ハロゲン化金属放電ランプであり、放電管は、希ガス、水銀、及び、ハロゲン化金属を備える放電空間を気密に密閉し、放電空間内で放電を維持するための放電手段を含む点で特徴付けられる。ハロゲン化金属は、ヨウ化タリウム及びヨウ化インジウムの混合物を含み、ヨウ化インジウムの重量による量に対するヨウ化タリウムの重量による量の比率は、好ましくは、1.3〜1.7の範囲内、例えば、1.5である。より好ましくは、放電空間は水銀をさらに備え、ヨウ化タリウム及びヨウ化インジウムの組み合わされた重量による量に対する水銀の重量による量の比率は、好ましくは、9〜11の範囲内、例えば、10である。高圧ハロゲン化金属ランプは、比較的高い出力電力を有し、ランプの発光スペクトルは、充填剤として使用されるハロゲン化金属又はハロゲン化金属の混合物を変更することによって比較的容易に変更され得る。
【0011】
本発明に従った光源の好適実施態様は、光源が干渉フィルタをさらに含み、干渉フィルタは、575nm≦λ≦650nmの範囲内の光が光源の周囲に達することを防止するよう、前記範囲内の波長λを備える光を少なくとも部分的に反射し或いは吸収する。光源は、好ましくは、放電管を有する高圧ハロゲン化金属ランプであり、放電管は、希ガス、水銀、及び、ハロゲン化金属を備える放電空間を気密に密閉し、放電空間内で放電を維持するための放電手段を含み、放電管の少なくとも一部の上に設けられる、交互する低屈折率を備える層、例えば、SiOを含む層と、高い屈折率を備える層、例えば、TiOを含む層との干渉フィルタを含む。そのような光源は、光の所望のスペクトル組成を得るために従来的なランプを使用することを可能にする。
【0012】
本発明は、さらに、照明システムを動作するための方法に関する。照明システムは、少なくとも1つの本発明の光源を含み、それは少なくとも1つの追加的な照明素子を含むか、或いは、少なくとも1つの別個の追加的な照明素子と組み合わせられる。前記追加的な照明素子及び前記光源は、相互に独立して制御され得る、例えば、弱められ、増強され、或いは、オン/オフ切り換えられ得る。現場にいるとき、少なくとも1つの照明素子は、光源と共に使用され、追加的な照明素子は、主として、即ち、575nm〜780nmの波長範囲(赤色スペクトル)内のその可視的なスペクトル電力分布の少なくとも60%を放射する固有特徴を有する。追加的な照明素子が単独で使用されるときには、それは黒体軌跡上の或いは近接したCIE色座標を備える発光スペクトルを有する、即ち、その発光スペクトルは白色又は白色っぽく見える。そのような照明システムは、使用者が実際の状況に依存してシステムによって発光されるスペクトルを選択することを可能にする。具体的には、鳥が渡る季節の外側の期間中に日光(日光状態)に類似するスペクトルを有することが使用者にとって望ましい。その場合には、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの追加的な照明素子の両方は「オン」状態にあり、或いは、代替的に、日光スペクトルを有する少なくとも1つの追加的な照明素子のみがオン状態にある。鳥移動季節の間のみ、システムは場合によっては「月光状態」、即ち、システムが請求項1に規定されるような発光スペクトルを有する状態に設定され、少なくとも1つの光源のみが「オン状態」にあり、少なくとも1つの追加的な照明素子は「オフ状態」にある。人間の使用者に良好な快適性をもたらすために、照明システムは、可能な限り日光状態で使用されるべきである。よって、鳥移動季節に依存して、並びに、前記季節中に鳥が亘る可変の高さで、照明システムは、鳥が比較的高い高度で渡る鳥移動季節の間に、日光状態において使用され得る。何故ならば、その場合には、鳥は観察せず、故に、光によって妨害されないからである。照明システムは、鳥が比較的低い高度で亘る鳥移動季節の間に、月光状態で使用されなければならない。
【0013】
前記照明システムの様々な実施態様が想定される。一部の非限定的な実施例が以下に与えられる。
【0014】
実施例1:
照明システムは、単一のハウジング内に3個の36W低圧水銀ガス放電ランプ(TLD)を含み、2個のTLDは本発明の光源に従い、月光スペクトルを放射することができ、1個のLTDは、日光のようなスペクトルを放射することができ、例えば、約3400Kの明らかな色温度を備えるスペクトルを有するTLD/84である。オン状態にある追加的な照明素子、即ち、日光印象をもたらすスペクトルを放射するTLDのみで、システムは、約82の演色R、約83の赤Rのための演色を有し、パラメータBは>0.15である。よって、人間の快適性及び安全性のための極めて良好なスペクトルがもたらされる。オン状態にある光源、即ち、オン状態において月光スペクトルを放射する2個のTLDのみで、演色は約33であり、パラメータBは約0.05である。
【0015】
実施例2:
月光スペクトルを放射する1個のTLDの36W及び10個の644nmのピーク波長を備える1W Luxeon I red LEDのユニットを含む追加的な照明素子を含む照明システム。オン状態にある照明システムの全ての部分を用いて、照明システムは日光状態にあり、システムは約64の演色R及び約69のRを有し、よって、人間にとって満足な快適レベル及び安全レベルをもたらす。
【0016】
実施例3:
18個の青色、36個の緑色、及び、3個の赤色の1W Luxeon LEDを含む単純な照明システム。前記照明システムは、オフ状態と、日光状態と、月光状態との間で切り換え可能であるだけである。オン状態にある青色及び緑色のLEDのみを用いて、システムは、約21の演色を有し、パラメータBは約0.4%である。赤色LEDをオン状態に切り換え直後、システムは、約64の演色Rを有し、赤色Rのための演色は約84である。代替的に、赤色発光のための適切な蛍光体を備える蛍光体塗装LEDが加えられ得る。選択的に、10個の1W Luxeon I amber LEDをシステムに追加することができ、システムは、そのようにした直後、演色Rを約80に、赤色演色Rを74に増大する。
【0017】
本発明のこれらの及び他の特徴は、以下に記載される実施態様を参照して明瞭に解明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明に従った光源の第一実施態様を示す断面図である。
【図1B】本発明に従った光源の第二実施態様を示す断面図である。
【図2】本発明に従った光源の第一実施態様及び第二実施態様のスペクトル電力分布を示すグラフである。
【図3】パラメータBと反応率Rとの間の関係を示すグラフである。
【図4】本発明に従った光源の第三実施態様を示す断面図である。
【図5A】本発明に従った光源の第三実施態様のスペクトル電力分布を示すグラフである。
【図5B】本発明に従った光源の代替的な第三実施態様のスペクトル電力分布を示すグラフである。
【図6】本発明に従った光源の第四実施態様を示す断面図である。
【図7】本発明に従った光源の第四実施態様のスペクトル電力分布を示すグラフである。
【図8】TiO及びSiOの交互層を含む干渉フィルタの反射スペクトルを示すグラフである。
【図9】TiO及びSiOの交互層を含む代替的な干渉フィルタの反射スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1A及び1Bは、本発明に従った光源10,20の第一実施態様及び第二実施態様の概略的な断面図である。図1Aは、光源10の1つの端部分のみを示している。実際には、光源10は、2つの相互に対向する同一の端部分を含み、それぞれ細長い放電管12の1つの端部を封止している。光源10,20は、放電空間14,24を気密に密閉する光透過放電管12,22を含む低圧ガス放電ランプである。放電空間14,24は、水銀、及び、バッファガス、例えば、アルゴン又はキセノンの気体充填物を含む。低圧ガス放電ランプ10,20は、放電空間14,24内で放電を維持するための放電手段18,28をさらに含む。放電手段18,28は、例えば、容量結合、誘導結合、マイクロ波結合を介して、或いは、電極を介して、エネルギを放電空間14,24内に結合する。
【0020】
図1Aに示されるガス放電ランプ10の実施態様において、放電手段18は、一組の電極18を含む。図1Aでは、一組の電極18の1つの電極18のみが示されている。電極18は、低圧ガス放電ランプ10の放電管12を通じて電気的に接続されている。2つの電極18の間に電位差を印可することによって、それらの間で放電が開始される。この放電は、2つの電極18の間に概ね配置され、図1Aでは放電空間14として表示されている。
【0021】
図1Bにされる低圧ガス放電ランプ20の実施態様では、放電手段28は、低圧ガス放電ランプ20内の放電を誘導的に維持するために、誘導カプラ28を含む。代替的に、誘導カプラ28は、放電を発生するためにも使用され得る。電力カプラ28とも呼ぶ誘導カプラ28は、一般的には、例えば、ニッケル亜鉛フェライト又はマグネシウム亜鉛フェライトのフェライトコアの上に巻回されるコイルを含む。誘導カプラ28は、放電管22内の突起23内に配置され、放電空間24で放電管22内側に可変の電磁場を生成する。低圧ガス放電ランプ20内で放電を誘導的に生成し且つ/或いは維持することは、低圧ガス放電ランプ20の寿命を概ね制限する電極18が省略され得るという利点を有する。代替的に、誘導カプラ28は、放電管22の外側(図1Bには示されていない)に配置され、放電管22の製造プロセスの単純化をもたらし得る。
【0022】
再び図1A及び1Bを参照すると、放電空間14,24の気体充填物内の電子及びイオンは電磁場によって加速され、気体充填体内の水銀化合物と衝突する。衝突の故に、水銀原子は励起され、引き続き、約254nmの波長で光、主として、紫外光を放射する。低圧ガス放電ランプ10,20は発光材料の発光層16,26を含み、発光材料は紫外光を吸収し、引き続き、吸収される紫外光を可視光に変換する。発光材料は、実質的に青色光を放射するユーロピウム活性バリウムマグネシウムアルミナ、MaMgAl1017:Eu2+(BAMとも呼ばれる)と、ユーロピウムと、マグネシウム活性バリウムマグネシウムアルミナ、BaMgAl1627,Mn4+(MABグリーンとも呼ばれる)との組み合わせである。BAMの重量による量によって除されたBAMグリーンの重量による量の比率は、1.5〜13の範囲、好ましくは、1.5〜2の範囲、より好ましくは、1.8〜1.9の範囲内にある。低圧ガス放電ランプ10,20のこの実施態様において、BAMの重量による量によって除されるBAMグリーンの重量による量の比率は1.9である。図2は、結果として得られるスペクトル電力分布、即ち、低圧ガス放電ランプ10,20の、生成される光のnmの波長λに対するWnm−1の出力電力OPを示している。生成される光の平均演色評価数Rは33であり、相関される色温度は29857Kである。色座標は、x=0.1676、及び、y=0.3207である。パラメータBb、380nm≦λ≦780nmの第二範囲に亘るスペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲に亘る積分スペクトル電力分布の比率は、0.029である。代替的な実施態様において、BAMの重量による量によって除されたBAMグリーンの重量による量の比率は13であり、21の平均演色評価数Rと0.05のパラメータBとを有する光をもたらす。低圧ガス放電ランプ10,20の平均演色評価数R及びパラメータBは、発光層16,26による変換の結果として放射される光と混合される発光層16,26によって変換されない放電空間14,24から放射される光によって決定される。特別な発光材料又は発光材料の組み合わせを選択することによって、適切な値の平均演色評価数R及びパラメータBを備える光が生成される。
【0023】
図3は、パラメータBと反応率Rとの間の関係を示している。パラメータBは、380nm≦λ≦780nmの第二範囲に亘るスペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲に亘る積分スペクトル電力分布の比率の比率として定められる。
【0024】
【数2】

ここで、E(λ)は、波長λ[nm]の関数としてのスペクトル電力分布[Wnm−1]である。反応率Rは、光に反応する、即ち、光源をこの光源を通る鳥の総数に対して通すときにこの光源によって生成される、季節的に適切な移動方向から逸脱する鳥の数として定められる。図3中に記号によって示された、異なる発光スペクトルを備える総数7の光源が試験された。反応率Rは、光源によって生成される光のパラメータBの値の増大に伴って増大する。直線は、線形回帰[回帰係数=0.8]を使用するときのパラメータBと反応率Rとの間の関係を示している。純粋な緑色光[R=25%]によって引き起こされる妨害効果と実質的に等しいか或いはそれ未満の渡り鳥に対する妨害効果を有するために、発光スペクトルのパラメータBは0.15以下の値を有さなければならないことが、図3から結論付けられる。純粋な緑色光の反応率は、渡り鳥のための妨害の許容可能なレベルとして概ね考えられる。
【0025】
十分に高い演色を有し、人間が、例えば、赤色物体を認識することを可能にするために、本発明に従った光源によって生成される光の平均演色評価数Rは、少なくとも20の値を有さなければならない。平均演色評価数Rは、“CIE Publication No. 13.3, 1995, Method of Measuring and Specifying Color Rendering Properties of Light Sources” (ISBN 3 900 734 57 7)に記載されているように、一組の14の基準色からの第一の8つの色の演色の平均に基づく。
【0026】
図4は、本発明に従った光源40の第三実施態様を概略的に示している。光源は、1個の赤色発光ダイオード(LED)41と、複数の12個の緑色LED42と、複数の2個の青色LED43とを含む。この実施態様では、全てのLEDは、Philips Lumileds Lighting Company(TM)からのLuxeon(TM)I LEDである。代替的な実施態様では、異なるLEDが使用され得る。LED41、複数のLED42、及び、複数のLED43は、好ましくは、それぞれのLEDの光出力を調節するために減光され得る。光源40は、光を放射するLEDの側に面する光透過性出口窓(図示せず)と、光を放射するLEDの側から離れて面する後方側(図示せず)とを有する。後方側は、好ましくは、出口窓に面する側に鏡面反射表面を有する。LED41,42,43によって生成される光は、光源40の内側で均質に混合され、出口窓を介して放射される。赤色LEDは、60%の電力消費、即ち、特定されるような公称電力の百分率まで減光され、青色LED43は、64%の電力消費まで減光される。緑色LED42は減光されない、即ち、電力消費は100%である。光源40は、316lmの特定の光束を備える光を放射する。放射される光は、7250Kの色温度Tを有し、演色評価数Rは40であり、パラメータB、即ち、380nm≦λ≦780nmの第二範囲に亘るスペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲に亘る積分スペクトル電力分布の比率は、0.15である。代替的な実施態様において、光源40は、異なる数のLEDを含み、赤色LED、緑色LED、及び、青色LEDの間の比率は、1:12:2、例えば、3個の赤色LED、36個の緑色LED、及び、6個の青色LEDである。表1は、赤色(R)、緑色(G)、及び、青色(B)のLEDの数(#)の比率、赤色、緑色、及び、青色のLEDの電力消費、光源の光束、光源によって生成される光の座標x及びy、並びに、光源によって生成される光の色温度T、演色評価数R、及び、パラメータBに関する、光源40の代替的な実施態様を示している。光源40中のLEDの正確な総数は、所要の光出力及び個々のLEDの光出力に依存する。光源40中の各色(赤色、緑色、及び、青色)のためのLEDの数を条件として、各個々のLEDのスペクトル電力分布及び各個々のLEDの電力消費、光束、効率、色座標x及びy、色温度T、平均演色評価数R、並びに、パラメータBを計算し得る。光源40を設計するとき、光源40によって生成される光が有し得るパラメータBの最大値及び平均演色評価数Rの最小値が選択される。加えて、その光出力に対する光源の費用を釣り合わせるために、電力消費の最小値が選択される。電力消費の最小値は、好ましくは、60%である。各個々のLEDのためのスペクトル電力分布を条件として、赤色、緑色、及び、青色のLEDの所要数は、反復法を介して決定される。図5Aは、結果として得られるスペクトル電力分布、即ち、表1に示されるような、赤色、緑色、及び、青色のLEDの数において1:36:18の比率を有する光源40の、生成される光のnmの波長λに対するWnm−1の出力電力OPを示している。光源40は、1068lmの固有光束を備える光を放射する。パラメータB、380nm≦λ≦780nmの第二範囲に亘るスペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲に亘る積分スペクトル電力分布の比率は、0.05である。平均演色評価数Rは38である。一般的には、赤色、緑色、及び、青色のLEDが使用されるとき、赤色LEDの積分スペクトル電力分布と全てのLEDの積分スペクトル電力分布との間の比率は、平均演色評価数R≧20及びパラメータB≦0.15を備える光を生成するために、1:47〜1:1500の間である。
【0027】
表1:赤色、緑色、及び青色のLuxeon I LEDを含む光源の実施態様
【0028】
【表1】

【0029】
代替的な実施態様において、光源40は、青色及び緑色のLEDを含む。表2は、緑色(G)及び青色(B)のLEDの数(#)の比率、緑色及び青色のLEDの電力消費、光源の光束、光源によって生成される光の座標x及びy、並びに、光源によって生成される光の色温度T、演色評価数R、及び、パラメータBに関する、光源40の実施態様を示している。
【0030】
表2:緑色及び青色のLEDを含む光源の実施態様
【0031】
【表2】

【0032】
図5Bは、結果として得られるスペクトル電力分布、即ち、表2に示されるような、緑色及び青色のLEDの数において3:1の比率を有する光源40の、生成される光のnmの波長λに対するWnm−1の出力電力OPを示している。光源40は、81m/Wの固有光束を備える光を放射する。パラメータB、380nm≦λ≦780nmの第二範囲に亘るスペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲に亘る積分スペクトル電力分布の比率は、0.05である。平均演色評価数Rは21である。一般的には、緑色及び青色のLEDが使用されるとき、青色LEDの積分スペクトル電力分布と緑色LEDの積分スペクトル電力分布との間の比率は、平均演色評価数R≧20及びパラメータB≦0.15を備える光を生成するために、1:3〜2:3の間である。
【0033】
図6は、本発明に従った光源60の第四実施態様を概略的に示している。光源60は、石英ガラスの気密な光透過性放電管61を有する高圧ハロゲン化金属放電ランプである。放電管は、希ガス及びハロゲン化金属のイオン性充填物を有する。この実施態様では、充填物は、100mbarの充填圧力で、ヨウ化タリウムと、ヨウ化インジウムと、水銀と、85重量%のクリプトン及び15重量%のアルゴンの混合物から成る希ガスとの混合物を含む。好適実施態様では、ヨウ化インジウムの重量による量に対するヨウ化タリウムの重量による量の比率、及び、ヨウ化タリウム及びヨウ化インジウムの両方の重量による量に対する水銀の重量による量の比率は、10である。放電管内の各電極62は、タングステンを実質的に含むロッド66を有し、そのロッドは、モリブデンコネクタ63に接続され、モリブデンコネクタは、放電管を通じて外部に導出し、電気接点67及び68を介してランプ基部65に接続されている。ランプは、ランプ基部65を支持する硬質ガラス外管64を有する。図示されるランプは、400Wの電力消費を有する。図7は、結果として得られるスペクトル電力分布、即ち、高圧ハロゲン化金属ランプの、生成される光のnmの波長λに対するWnm−1の出力電力OPを示している。ランプは、721m/Wの固有光束を備える光を放射する。パラメータB、380nm≦λ≦780nmの第二範囲に亘るスペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲に亘る積分スペクトル電力分布の比率は、0.1である。平均演色評価数Rは48である。
【0034】
さらなる代替的な実施態様において、本発明に従った光源は、575nm≦λ≦650nmの範囲内の波長λを備える光を少なくとも部分的に遮断する干渉フィルタを備える高圧ハロゲン化金属放電ランプを含む。高圧ハロゲン化金属放電ランプは、図6に示されるような種類であるが、その光透過性放電管61はセラミック材料で作成される。この実施態様では、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化タリウム、ヨウ化ホルミウム、ヨウ化ジスプロシウム、ヨウ化タリウム、水銀、及び、希ガスの混合物を含む。例えば、ハロゲン化金属ランプは、Philips 70 W CDM−T 830(TM)ランプである。光透過性放電管61に面する硬質ガラス外管63の表面は、外管64のガラス表面上のTiOの層で開始して、TiO及びSiOで構成される、交互層の干渉フィルタを備える。フィルタの組成は、表3に示されており、フィルタの反射スペクトルは、図8に示されている。フィルタは、575nm≦λ≦650nmの範囲内の波長λを備える光のために比較的高い反射率(低透過性)を有する。Philips 70 W CDM−T 830ハロゲン化金属ランプとのフィルタの組み合わせは、33の平均演色評価数R及び0.05のパラメータBを備える光の生成をもたらす。
【0035】
表3:干渉フィルタの組成
【0036】
【表3】

【0037】
表4に示される代替的な干渉フィルタの組成。
【0038】
表4:代替的な干渉フィルタの組成
【0039】
【表4】

【0040】
代替的な干渉フィルタは、外管64のガラス表面の上のTiOの層で開始して、TiO及びSiOで構成される交互層を含む。総数27のTiO及びSiOの層がある。代替的な干渉フィルタの反射スペクトルが、図9に示されている。フィルタは、575nm≦λ≦650nmの範囲内の波長λを備える光のために比較的高い反射率(低い透過率)を有する。Philips 70 W CDM−T 830ハロゲン化金属ランプとの代替的な干渉フィルタの組み合わせは、30の平均演色評価数R及び0.04のパラメータBを備える光の生成をもたらす。
【0041】
代替的な実施態様では、干渉フィルタは、光透過性放電管61から離れて面する硬質ガラス外管64の表面に位置付けられる。さらなる代替的な実施態様では、光源は、干渉フィルタを備える低圧水銀ガス放電ランプである。他の実施態様では、干渉フィルタは、光源から離れた位置、例えば、人工照明の正面ガラスの上或いは光源と人工照明の正面ガラスとの間に配置される。光源によって生成される光スペクトル及びフィルタによって反射される光の数の適切な選択によって、パラメータB≦0.15及び平均演色評価数R≧20を備える光が生成される。
【0042】
上述の実施態様は、本発明を限定するというよりもむしろ例証すること、並びに、当業者は付属の請求項の範囲から逸脱せずに多くの代替的な実施態様を設計し得ることが付記されなければならない。請求項中、括弧間に配置される如何なる参照記号も、請求項を限定するように解釈されてはならない。動詞「含む」及びその活用形の使用は、請求項中に述べられている以外の素子又はステップの存在を排除しない。ある素子に先行する不定冠詞は、そのような素子が複数存在することを排除しない。本発明は、幾つかの別個の素子を含むハードウェアを用いて実施され得る。幾つかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、1つ且つ同じ品目のハードウェアによって具現化され得る。特定の手段が相互に異なる従属項に引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
380nm〜780nmの範囲の少なくとも一部においてスペクトルエミッタンスを有する光を生成するための光源であって、
前記光は、波長λ及び平均演色評価数Rの関数としてのスペクトル電力分布E(λ)を有し、
380nm≦λ≦780nmの第二範囲内に亘る積分スペクトル電力分布に対する575nm≦λ≦650nmの第一範囲内に亘る積分スペクトル電力分布の比率は、以下の関係によって与えられ、
【数2】

≦0.15及びR≧20である、
光源。
【請求項2】
Bb≦0.10、好ましくは、≦0.05であることを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項3】
当該光源は、放電管を含む低圧水銀蒸気放電ランプであり、
前記放電管は、希ガス及び水銀を備える放電空間を気密に密閉し、前記放電空間内で放電を維持するための放電手段を含み、
前記放電管の壁の少なくとも一部は、BaMgAl1627:Eu,Mn、及び、BaMgAl1017:Euの混合物を含む発光層を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の光源。
【請求項4】
BaMgAl1017:Euの重量による量によって除されるBaMgAl1627:Eu,Mnの重量による量の比率は、1.5〜13の範囲、好ましくは、1.5〜2の範囲内にあることを特徴とする、請求項3に記載の光源。
【請求項5】
BaMgAl1017:Euの重量による量によって除されるBaMgAl1627:Eu,Mnの重量による量の比率は、1.8〜1.9の範囲内にあることを特徴とする、請求項4に記載の光源。
【請求項6】
当該光源は、複数の緑色LED及び青色LEDを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項7】
当該光源は、少なくとも1つの赤色LEDをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の光源。
【請求項8】
当該光源は、放電管を含む高圧ハロゲン化金属放電ランプであり、
前記放電管は、希ガス、水銀、及び、ハロゲン化金属を備える放電空間を気密に密閉し、前記放電空間内で放電を維持するための放電手段を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の光源。
【請求項9】
前記ハロゲン化金属は、ヨウ化タリウム及びヨウ化インジウムの混合物を含み、
ヨウ化インジウムの重量による量に対するヨウ化タリウムの重量による量の比率は、好ましくは、1.5であることを特徴とする、
請求項8に記載の光源。
【請求項10】
前記放電空間は、水銀をさらに備え、
ヨウ化タリウム及びヨウ化インジウムの組み合わされた重量による量に対する水銀の重量による量の比率は、好ましくは、10であることを特徴とする、
請求項9に記載の光源。
【請求項11】
当該光源は、干渉フィルタをさらに含み、該干渉フィルタは、575nm≦λ≦650nmの範囲内の前記光が当該光源の周囲に達することを少なくとも部分的に防止するよう、前記範囲内の波長λを備える光を少なくとも部分的に反射し或いは吸収することを特徴とする、請求項1に記載の光源。
【請求項12】
放電管を有する高圧ハロゲン化金属ランプを含み、
前記放電管は、希ガス、水銀、及び、ハロゲン化金属を備える放電空間を気密に密閉し、前記放電空間内で放電を維持するための放電手段を含み、
前記放電管の少なくとも一部の上に設けられるSiO及びTiOの交互する層の干渉フィルタを含むことを特徴とする、
請求項11に記載の光源。
【請求項13】
照明システムを動作するための方法であり、
前記照明システムは、請求項1乃至12に記載の少なくとも1つの光源と、前記光源から別個に制御可能である少なくとも1つの追加的な照明素子とを含み、該少なくとも1つの追加的な照明素子は、前記少なくとも1つの追加的な照明素子の動作中の前記照明システムのパラメータBbが、Bb>0.15であるような量で、575nm≦λ≦780の波長範囲内の放射線を放射し得る方法であって、
オフ状態、日光状態、及び、月光状態から構成される群から前記照明システムの動作状態を選択するステップと、
該選択されるステップにおいて前記照明システムを動作するステップとを含む、
方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−514097(P2010−514097A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540954(P2009−540954)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/IB2007/055055
【国際公開番号】WO2008/075260
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】