照明ユニット、原稿読取装置及び画像形成装置
【課題】色度の不均一性を低減するとともに、薄型化することができる照明ユニットを提供する。
【解決手段】 各照明光学系は、複数のLED素子11、実装基板、及び光混合シート13などを有している。光混合シート13は、LED素子11における光の射出面の直径と同程度の厚さであり、複数のLED素子11に近接あるいは当接して配置されている。光混合シート13の一側の端面から入射した光は、内部で多数回反射された後、他側の端面から射出される。そこで、LED素子11から射出された青色の光と黄色の光は、光混合シート13内で十分に混合され、色度の不均一性が低減された白色の光が光混合シート13から射出される。
【解決手段】 各照明光学系は、複数のLED素子11、実装基板、及び光混合シート13などを有している。光混合シート13は、LED素子11における光の射出面の直径と同程度の厚さであり、複数のLED素子11に近接あるいは当接して配置されている。光混合シート13の一側の端面から入射した光は、内部で多数回反射された後、他側の端面から射出される。そこで、LED素子11から射出された青色の光と黄色の光は、光混合シート13内で十分に混合され、色度の不均一性が低減された白色の光が光混合シート13から射出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明ユニット、原稿読取装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、複数の発光素子を有する照明ユニット、該照明ユニットを備える原稿読取装置、及び該原稿読取装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下、「LED」という)の開発が活発に行われている。このLEDの明るさは急速に高まっており、コストも低廉化してきている。
【0003】
一般的に、LEDは、長寿命、高効率、高耐衝撃性、単色発光などの利点を有しており、多くの照明分野への応用が期待されている。
【0004】
照明用のLED素子として、青色の光を発するLEDチップと、該LEDチップからの光によって黄色の蛍光を発する蛍光体を有し、青色の光と黄色の光を混合させて擬似的に白色の光を射出するLED素子(以下では、「白色LED素子」と略述する)がある。
【0005】
白色LED素子における発光スペクトルは、可視光の波長帯をカバーしており、カラー画像に対応した照明装置にも使用することができる。このため、デジタル複写機やイメージスキャナにおける原稿読取装置の照明装置に白色LED素子を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、LEDを光源に使用すると、消費電力を低下させることができる。すなわち、省エネルギー化を図ることができる。
【0007】
なお、特許文献2には、透明フィルムの片面にその表面層との屈折率差が0.1以内の粘着層を有し、かつ透明フィルムの他面にフィルム面に対する傾斜角が35〜48度で略一定方向を向く光路変換斜面を具備し、凹凸の繰り返し構造を有する光学フィルムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、白色LED素子では、青色の光と黄色の光を混合させて白色の光としているため、青色の光と黄色の光の混合比によっては、青味がかった白色や黄色味がかった白色となる。すなわち、白色LED素子から射出される光は、必ずしも色度が一様ではない。
【0009】
原稿読取装置では、その読取領域において照明光の色度が一様でないと、読み取った原稿の色が本来の色と異なってしまう。
【0010】
特許文献1に開示されている原稿照明装置は、照度ムラを低減することを目的として多角形状の導光板を設けている。しかしながら、この原稿照明装置では、色度の不均一性を解消するのは困難であった。また、更なる小型化が困難であるという不都合があった。
【0011】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、色度の不均一性を低減するとともに、薄型化することができる照明ユニットを提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、大型化を招くことなく、精度良く原稿を読み取ることができる原稿読取装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第3の目的は、大型化を招くことなく、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1の観点からすると、第1の方向に相対的に移動する対象物を照明する照明ユニットであって、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置され、第1の色の光を発するLEDチップと該LEDチップからの光によって前記第1の色とは異なる第2の色の蛍光を発する蛍光体とをそれぞれが含む複数のLED素子と;前記複数のLED素子からの前記第1の色の光及び前記第2の色の光が一側の端面から入射し、前記第1の色の光と前記第2の色の光を混合させて他側の端面から前記対象物に向けて射出するシート状の光混合部材と;を備える照明ユニットである。
【0015】
これによれば、色度の不均一性を低減するとともに、薄型化することができる。
【0016】
本発明は、第2の観点からすると、本発明の照明ユニットと;前記照明ユニットから射出され原稿で反射された光の光路上に配置された読取光学系と;前記読取光学系を介した光が入射する撮像素子と;を備えた原稿読取装置である。
【0017】
これによれば、大型化を招くことなく、精度良く原稿を読み取ることができる。
【0018】
本発明は、第3の観点からすると、本発明の原稿読取装置と;該原稿読取装置で読み取られた画像情報に基づいて記録媒体上に画像を形成する本体装置と;を備える画像形成装置である。
【0019】
これによれば、大型化を招くことなく、高品質の画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機の概略構成を説明するための図である。
【図2】図1の一部を拡大した図である。
【図3】図1における読取装置を説明するための図(その1)である。
【図4】図1における読取装置を説明するための図(その2)である。
【図5】照明装置を説明するための図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、それぞれサイドビュータイプの複数のLED素子の配列を説明するための図である。
【図7】各LED素子の概略構成を説明するための図である。
【図8】LED素子と光混合シートの位置関係を説明するための図である。
【図9】照明光学系から射出される光を説明するための図である。
【図10】光混合シート内での光の反射を説明するための概念図である。
【図11】2つの照明光学系の位置関係を説明するための図である。
【図12】2つの照明光学系から射出された主光線の交差位置を説明するための図である。
【図13】薄肉部材を説明するための図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、それぞれトップビュータイプの複数のLED素子の配列を説明するための図である。
【図15】LED素子がトップビュータイプのときの実装基板の配置を説明するための図である。
【図16】LED素子がトップビュータイプのときのLED素子と光混合シートの位置関係を説明するための図である。
【図17】LED素子がトップビュータイプのときの照明光学系から射出される光を説明するための図である。
【図18】照明光学系の変形例1を説明するための図である。
【図19】変形例1の照明光学系における2つの照明光学系の位置関係を説明するための図である。
【図20】光拡散シートの配置例1を説明するための図である。
【図21】図21(A)及び図21(B)は、それぞれ光拡散シートによる照度分布の均一化を説明するための図である。
【図22】光拡散シートの配置例2を説明するための図である。
【図23】反射部材を説明するための図である。
【図24】光混合シートの保持機構を説明するための図である。
【図25】実装基板の位置の変形例を説明するための図である。
【図26】図26(A)及び図26(B)は、それぞれ光混合シートから射出される光の拡散角を説明するための図である。
【図27】読取装置の筐体を説明するための図(その1)である。
【図28】読取装置の筐体を説明するための図(その2)である。
【図29】照明光学系が1つの場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1及び図2には、一実施形態に係る画像形成装置としての複合機2000の概略構成が示されている。なお、図2は、図1の一部を拡大した図である。
【0022】
この複合機2000は、複写機、プリンタ、及びイメージスキャナの機能を有し、本体装置1001、読取装置1002、及び自動原稿給紙装置1003などを備えている。
【0023】
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、複合機2000が設置されている床面に直交する方向をZ軸方向として説明する。
【0024】
本体装置1001は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタである。
【0025】
読取装置1002は、本体装置1001の上側(+Z側)に配置され、原稿を読み取る。ここで読み取られた原稿の画像情報は、本体装置1001のプリンタ制御装置2090に送られる。
【0026】
自動原稿給紙装置1003は、読取装置1002の上側(+Z側)に配置され、セットされた原稿を読取装置1002に向けて送り出す。この自動原稿給紙装置1003は、一般にADF(Auto Document Feeder)と呼ばれている。
【0027】
先ず、本体装置1001の詳細について説明する。
【0028】
本体装置1001は、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像装置(2033a、2033b、2033c、2033d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、4つのピックアップローラ2054、4つのフィードローラ2055、レジストローラ2056、排紙ローラ2058、4つの給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0029】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0030】
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、読取装置1002からの画像情報あるいは通信制御装置2080を介した画像情報を光走査装置2010に出力する。
【0031】
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像装置2033a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0032】
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像装置2033b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0033】
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像装置2033c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0034】
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像装置2033d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0035】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。
【0036】
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0037】
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて変調された光束で、対応する感光体ドラムの表面を走査する。
【0038】
これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。
【0039】
各現像装置は、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0040】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
【0041】
各給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。そして、各給紙トレイ2060の近傍にはそれぞれピックアップローラ2054が配置されている。
【0042】
ユーザが記録紙を指定すると、該記録紙が格納されている給紙トレイ2060が、プリンタ制御装置2090によって選択される。
【0043】
選択された給紙トレイ2060に対応するピックアップローラ2054は、記録紙を該給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、フィードローラ2055を介してレジストローラ2056に搬送する。該レジストローラ2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
【0044】
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
【0045】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0046】
次に、読取装置1002の詳細について説明する。
【0047】
読取装置1002は、一例として図3に示されるように、原稿が載置されるコンタクトガラス110の−Z側に配置され、照明装置10、3枚の反射ミラー(M1、M2、M3)、読み取りレンズ50、撮像素子60などを有している。なお、撮像素子60として、CCDやCMOSを用いることができる。
【0048】
コンタクトガラス110の+Z側の面上に原稿が載置される。そして、以下では、原稿の−Z側の面を「原稿面」ともいう。また、コンタクトガラス110の+Z側の面を「読取面」ともいう。
【0049】
照明装置10と反射ミラーM1は、第1の走行機構L1によって、一体的にX軸方向に移動可能である。また、反射ミラーM2と反射ミラーM3は、第2の走行機構L2によって、一体的にX軸方向に移動可能である。
【0050】
原稿を読み取る際には、照明装置10と反射ミラーM1は速度Vで、反射ミラーM2と反射ミラーM3は速度V/2で移動し、原稿面全体を読み取る(図4参照)。これにより、読取面で反射された光の撮像素子60までの光路長を一定にすることができる。
【0051】
照明装置10は、一例として図5に示されるように、2つの照明光学系(10A、10B)を有している。
【0052】
各照明光学系は、同じ構成であり、それぞれ、複数のLED素子11、該複数のLED素子11が実装されている実装基板12、光混合シート13、及び光拡散シート14などを有している。
【0053】
各LED素子11は、サイドビュータイプのLED素子である。
【0054】
ここでは、一例として図6(A)及び図6(B)に示されるように、17個のLED素子11が、Y軸方向に沿って、一列に配置されている。なお、以下では、各LED素子11からの光の射出方向を「b方向」、17個のLED素子11の配列方向を「a方向」(Y軸方向と同じ)、a方向及びb方向のいずれにも直交する方向を「c方向」とする。
【0055】
17個のLED素子11は、実装基板12の+c側の面に実装されている。
【0056】
実装基板12のc方向の長さ(厚さ)は1mm程度である。
【0057】
また、a方向に関して隣り合う2個のLED素子11の間隔である素子間隔は、配列の中央から両端に向けて、徐々に小さくなるように設定されている。これにより、撮像素子60上におけるY軸方向に関する照度の均一性を向上させることができる。なお、複数のLED素子の素子間隔が一様な場合には、読取りレンズを介して撮像素子上で得られる光量分布は、読取り光学系のコサイン4乗則のために像高の高い周辺部が暗くなる。ここでは、このことを考慮して、複数のLED素子の配列における周辺での素子間隔を短くし、周辺部が明るくなるようにしているので、撮像素子上では照度の均一性が得られる。
【0058】
各LED素子11は、一例として図7に示されるように、LEDチップ100、該LEDチップ100からの光によって蛍光を発する蛍光体102、パッケージ部材103、及び電極(図示省略)などから構成されている。ここでは、各LEDチップ100は、青色の光を射出するLEDチップである。また、蛍光体102は、黄色の蛍光を発する蛍光体である。また、各LED素子11における光の射出面の開口径は、約1mmである。なお、開口径は、蛍光体102における光射出側の面のc方向の長さである。
【0059】
光混合シート13は、一例として図8に示されるように、複数のLED素子11の+b側に近接あるいは当接して配置され、厚さが約1mmのシート状部材である。すなわち、光混合シート13の厚さは、各LED素子11における光の射出面の開口径と略同じである。
【0060】
そして、光混合シート13の−b側端部の−c側の面は、実装基板12の+c側の面と接して固定されている。すなわち、実装基板12によって、LED素子11と光混合シート13の位置関係が規定されることとなる。そこで、LED素子11と光混合シート13の入射面との間に位置ズレがなく、複数のLED素子11の光結合効率を均一化、安定化することができる。さらに、LED素子11と光混合シート13が実装基板12に保持されていることによって、動的な振動にも強くなる。
【0061】
光混合シート13の材料としては、アクリル、ポリカーボネート、及びシリコン樹脂のいずれかを用いることができる。なお、複数のLED素子11の+b側の位置が一様でなく、光混合シート13が当接されると、光混合シート13から力を受けるおそれがある場合には、光混合シート13の材料として、軟かいシリコン樹脂を用ることが好ましい。この場合は、光混合シート13がLED素子11に当接されても該LED素子11へのダメージはほとんどない。
【0062】
光混合シート13のa方向の長さは、全てのLED素子11からの光を受光することができる長さであり、原稿のY軸方向の長さよりも長いことが好ましい。光混合シート13のb方向の長さは、照明装置10が設けられる空間の大きさの制約を受ける。一般的には、10〜30mmの長さが許容されるが、これより短くても良い。
【0063】
各LED素子11から射出された光は、光混合シート13に入射し、一例として図10に示されるように、光混合シート13の内部で複数回反射され、光混合シート13の射出面から+b方向に所定の拡がりをもって射出される。
【0064】
そして、一例として図11に示されるように、照明光学系10Aからの光は、入射角θでコンタクトガラス110を照明する。また、照明光学系10Bからの光は、入射角θでコンタクトガラス110を照明する。なお、図11では、光拡散シート14については、図示を省略している。
【0065】
図11における「照明領域」は、読取面における照明装置10からの光が照射される領域である。実際の読取りに必要な領域は前記照明領域よりも狭く、図11で「読取領域」として示されている。「読取領域」は、読取り光学系の光軸が静的ないし動的にズレた場合を想定したものになっている。静的なズレは部品サイズの誤差や組み付け誤差に起因するものであり、動的なズレはスキャニング動作時の振動などに伴うものである。
【0066】
2つの照明光学系(10A、10B)は、XZ面内で、照明領域に対して対称となるように配置されている。なお、ここでは、一例として、入射角θの絶対値を30°としている。入射角θの絶対値は、30°以下が好適である。
【0067】
この場合、コンタクトガラス110は、X軸方向に関して、照明領域を挟んだ2方向から照明されるので、原稿面に段差があるときに該段差の像が陰線になる不都合が回避される。また、照明光学系が1つの場合に比べて照度が2倍となるので、読取速度を速くすることができる。さらに、高い照度が必要な機種にも適用可能である。
【0068】
また、2つの照明光学系(10A、10B)は、照明光学系10Aからの光の主光線と、照明光学系10Bからの光の主光線とが、コンタクトガラス110の+Z側の面(上側の面)よりも若干+Z側の位置で交差するように配置されている(図12参照)。この場合は、X軸方向に関して、照度分布における平坦領域が広くなり、原稿が浮いていても一様な照度で原稿面を照明することが可能である。なお、図12では、光拡散シート14については、図示を省略している。
【0069】
光拡散シート14は、光混合シート13から射出される光の光路上に配置され、該光を透過拡散させる。これにより、読取面での照度分布における平坦領域を拡大することができる。
【0070】
光拡散シート14は、一側の面を拡散面とする表面拡散タイプの光拡散シートである。そして、光拡散シート14は、該拡散面が所望の拡散特性を有していれば、該拡散面がコンタクトガラス110側となるように配置される。なお、光拡散シート14を、該拡散面が光混合シート13側となるように配置されると、原稿面で反射された光が再度光拡散シート14に入射するとき、入射する面が拡散面ではないため、入射する面から再反射する光は拡散反射しないため、反射光が再度原稿面に到達して反射してフレア光となることを防止することができる。
【0071】
ところで、実装基板12への光吸収が多い場合には、一例として図13に示されるように、屈折率が光混合シート13よりも小さい薄肉部材15を、光混合シート13と実装基板12との間に挿入しても良い。これにより、実装基板12への光吸収を少なくすることができる。そこで、光利用効率が高くなり、LED素子の個数低減や、消費電力の低減が可能となる。なお、薄肉部材15に代えて、反射フィルム部材を用いても良い。また、薄肉部材15を挿入するのに代えて、実装基板12表面に白色の塗料を塗布して反射率を高くしても良い。
【0072】
図3に戻り、反射ミラーM1は、原稿面で反射された光の光路上に配置され、該光路を−X方向に曲げる。反射ミラーM2は、反射ミラーM1の−X側に配置され、反射ミラーM1で反射された光の光路を−Z方向に曲げる。反射ミラーM3は、反射ミラーM2の−Z側に配置され、反射ミラーM2で反射された光の光路を+X方向に曲げる。
【0073】
読み取りレンズ50は、反射ミラーM3の+X側に配置され、反射ミラーM3で反射された光を集光する。
【0074】
撮像素子60は、読み取りレンズ50の+X側に配置され、読み取りレンズ50を介した光を受光する。この撮像素子60の出力信号は、プリンタ制御装置2090に送られる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る照明装置10によると、2つの照明光学系(10A、10B)を有し、各照明光学系は、それぞれ、複数のLED素子11、該複数のLED素子11が実装されている実装基板12、光混合シート13、及び光拡散シート14などを有している。
【0076】
光混合シート13は、LED素子11における光の射出面の直径と同程度の厚さであり、一側の端面が複数のLED素子11に近接あるいは当接して配置されている。
【0077】
ここでは、光混合シート13が非常に薄いため、一側の端面から入射した光は、光混合シート13の内部で多数回反射された後、他側の端面から射出される。そこで、LED素子11から射出された青色の光と黄色の光は、光混合シート13内で十分に混合され、色度の不均一性が低減された白色の光が光混合シート13から射出される。これにより、照明領域での色度の不均一性が少なくなる。また、照明装置10の薄型化及び小型化を促進することができる。
【0078】
すなわち、色度の不均一性を低減するとともに、薄型化を図ることができる。
【0079】
また、光混合シート13が、複数のLED素子11の+b側に近接あるいは当接して配置されているため、光混合シート13への光結合効率を高くすることができる。
【0080】
また、複数のLED素子11が、サイドビュータイプのLED素子であるため、照明装置の薄型化を促進することができる。
【0081】
また、光混合シート13から射出される光の光路上に光拡散シート14が配置されているため、読取面での照度分布における平坦領域を拡大することができる。
【0082】
なお、上記実施形態において、複数のLED素子11が、トップビュータイプのLED素子であり、一例として図14(A)〜図17に示されるように、実装基板12の+b側の面に実装されても良い。
【0083】
また、上記実施形態において、前記光混合シート13に代えて、一例として図18に示されるように、光が射出される面(以下では、「光射出面」と略述する)がテーパ面である光混合シート13Aを用いても良い。該テーパは、+c方向に対して+c側に角度θだけ傾斜した方向に光が射出されるように設定されている。
【0084】
この場合は、一例として図19に示されるように、各照明光学系を傾斜させる必要がなく、読取装置をZ軸方向に関してさらに薄くすることができる。なお、図19では、光拡散シート14については、図示を省略している。
【0085】
なお、テーパ角α(図18参照)は、20°よりも大きく、45°よりも小さいことが好ましい。
【0086】
この場合に、一例として図20に示されるように、光混合シート13Aにおける光射出面上に前記光拡散シート14が設けられても良い。
【0087】
光拡散シート14は、光透過性の接着テープを用いて光混合シート13Aに接着されている。この場合は、光混合シートと光拡散シートの相対位置が安定して保持されるので、読取面におけるX軸方向及びY軸方向に関する照明光の照度の静的及び動的な不均一性を改善することができる。
【0088】
例えば、撮像素子60の感度が高く、LED素子11の個数が少なくても必要な照度を確保できる場合には、複数のLED素子11における素子間隔が長くなり、読取面における照明光のY軸方向に関する照度分布がリップル状となるおそれがある(図21(A)参照)。この場合に、Y軸方向の拡散特性がY軸方向に直交する方向の拡散特性よりも強い拡散シートを用いることにより、Y軸方向に関する照度分布を略一様とすることができる(図21(B)参照)。
【0089】
拡散特性が拡散面の表面形状によって規定される拡散シートでは、その拡散面における凹凸のピッチを、Y軸方向に関して小さく、Y軸方向に直交する方向に関して大きくすれば良い。なお、拡散面における凸部あるいは凹部の頂端部は、R状もしくは平坦であることが好ましい。
【0090】
また、この場合に、一例として図22に示されるように、光拡散シート14の−b側端部を光混合シート13Aの+c側の面に固定しても良い。すなわち、光混合シート13Aの光射出面と光拡散シート14とが離間していても良い。
【0091】
光拡散シート14として、指向性のある散乱特性を有する光拡散シートが用いられるときには、光拡散シート14が光混合シート13Aの光射出面に密着している場合よりも、製造時の作業性が向上する。
【0092】
また、光拡散シート14の配置は、読取装置1002の厚さに制約を与えないので、読取装置1002を厚くすることなく、光混合シート13Aの光射出面のテーパ角を最適化することができる。
【0093】
そして、この場合に、一例として図23に示されるように、光混合シート13Aの−c側に反射部材16が設けられても良い。この反射部材16は、bc断面の形状が直角三角形であり、その斜面が反射面となっている。
【0094】
反射部材16は、光混合シート13Aの光射出面で全反射して光混合シート13から漏れた光を反射面で反射し、光混合シート13Aに戻している。光混合シート13Aに戻された光線は、光射出面では入射角が全反射角よりも小さくなるので、光射出面を透過することができる。この場合は、読取面での光量を増やすことができる。
【0095】
反射部材16は、光混合シート13Aの+b側端部を支持する機能を有している。すなわち、光混合シート13Aの+b側端部のc軸方向の位置は、反射部材16によって規定されている(図24参照)。
【0096】
なお、この場合に、一例として図25に示されるように、複数のLED素子11が、実装基板12の−c側の面に実装されても良い。これにより、各照明光学系を更にコンタクトガラス110に近づけることができる。
【0097】
光混合シート13Aの厚さは、強度とのバランスで適宜選択でき、薄いものでは1mm以下も選択できる。光拡散シート14の厚さも、強度とのバランスで適宜選択でき、薄いものでは0.2mm〜0.5mm程度である。
【0098】
また、上記実施形態において、光混合シート13の厚さを、入射側よりも射出側が厚いテーパ状にしても良い。この場合は、光混合シート13の射出面からのX軸方向の光の広がりが抑えられ、照明効率を高くすることができる(図26(A)及び図26(B)参照)。
【0099】
また、一例として図27に示されるように、照明装置10、複数の反射ミラー(M1、M2、M3)、読み取りレンズ50、撮像素子60がひとつの筐体70内に収容されても良い。この場合は、該筐体70が線速Vで副走査方向に移動して、原稿を読取る(図28参照)。また、この場合は、照明装置10と複数の反射ミラー(M1、M2、M3)のみが移動する場合よりも走査機構が簡略化され、読取装置のZ軸方向の長さ(厚さ)を小さくすることができる。また、走査駆動の動的振動に伴うX軸方向の原稿読取り位置の誤差が小さくなるので、照度及び照度分布の平坦性が保証された照明領域を、誤差を見込んでX軸方向に関して広くする必要がなく、低コスト化を図ることができる。さらに、各LEDチップの発光量を少なくすることが可能となり、省エネ化を促進することができる。
【0100】
また、上記実施形態では、照明装置が2つの照明光学系(10A、10B)を有している場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、照明装置が1つの照明光学系10Aのみを有しても良い。そして、この場合、一例として図29に示されるように、前記照明光学系10Bに代えて、ミラーM4を用いても良い。このミラーM4は、照明光学系10Aから射出された光の一部を反射して読取面を照明する。なお、図29では、光拡散シート14については、図示を省略している。
【0101】
また、上記実施形態では、LEDチップ100が青色の光を射出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0102】
また、上記実施形態では、蛍光体102が黄色の蛍光を発する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0103】
また、上記実施形態において、照明領域における照度の平坦性に不都合がなければ、前記光拡散シート14はなくても良い。
【0104】
また、上記実施形態では、画像形成装置として複合機の場合について説明したが、これに限定されるものではない。画像形成装置が、単独の複写機、及びイメージスキャナであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上説明したように、本発明の照明ユニットによれば、色度の不均一性を低減するとともに、薄型化するのに適している。また、本発明の原稿読取装置によれば、大型化を招くことなく、精度良く原稿を読み取るのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、大型化を招くことなく、高品質の画像を形成するのに適している。
【符号の説明】
【0106】
10…照明装置、10A,10B…照明光学系(照明ユニット)、11…LED素子、12…実装基板、13…光混合シート(光混合部材)、13A…光混合シート(光混合部材)、14…光拡散シート(光拡散部材)、15…薄肉部材(シート部材)、16…反射部材、50…読み取りレンズ(読取光学系の一部)、60…撮像素子、70…筐体、100…LEDチップ、102…蛍光体、103…パッケージ部材、110…コンタクトガラス、1001…本体装置、1002…読取装置(原稿読取装置)、2000…複合機(画像形成装置)、L1…第1の走行機構、L2…第2の走行機構、M1〜M3…反射ミラー(読取光学系の一部)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2006−67551号公報
【特許文献2】特開2010−122707号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明ユニット、原稿読取装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、複数の発光素子を有する照明ユニット、該照明ユニットを備える原稿読取装置、及び該原稿読取装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下、「LED」という)の開発が活発に行われている。このLEDの明るさは急速に高まっており、コストも低廉化してきている。
【0003】
一般的に、LEDは、長寿命、高効率、高耐衝撃性、単色発光などの利点を有しており、多くの照明分野への応用が期待されている。
【0004】
照明用のLED素子として、青色の光を発するLEDチップと、該LEDチップからの光によって黄色の蛍光を発する蛍光体を有し、青色の光と黄色の光を混合させて擬似的に白色の光を射出するLED素子(以下では、「白色LED素子」と略述する)がある。
【0005】
白色LED素子における発光スペクトルは、可視光の波長帯をカバーしており、カラー画像に対応した照明装置にも使用することができる。このため、デジタル複写機やイメージスキャナにおける原稿読取装置の照明装置に白色LED素子を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、LEDを光源に使用すると、消費電力を低下させることができる。すなわち、省エネルギー化を図ることができる。
【0007】
なお、特許文献2には、透明フィルムの片面にその表面層との屈折率差が0.1以内の粘着層を有し、かつ透明フィルムの他面にフィルム面に対する傾斜角が35〜48度で略一定方向を向く光路変換斜面を具備し、凹凸の繰り返し構造を有する光学フィルムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、白色LED素子では、青色の光と黄色の光を混合させて白色の光としているため、青色の光と黄色の光の混合比によっては、青味がかった白色や黄色味がかった白色となる。すなわち、白色LED素子から射出される光は、必ずしも色度が一様ではない。
【0009】
原稿読取装置では、その読取領域において照明光の色度が一様でないと、読み取った原稿の色が本来の色と異なってしまう。
【0010】
特許文献1に開示されている原稿照明装置は、照度ムラを低減することを目的として多角形状の導光板を設けている。しかしながら、この原稿照明装置では、色度の不均一性を解消するのは困難であった。また、更なる小型化が困難であるという不都合があった。
【0011】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、色度の不均一性を低減するとともに、薄型化することができる照明ユニットを提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、大型化を招くことなく、精度良く原稿を読み取ることができる原稿読取装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第3の目的は、大型化を招くことなく、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1の観点からすると、第1の方向に相対的に移動する対象物を照明する照明ユニットであって、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置され、第1の色の光を発するLEDチップと該LEDチップからの光によって前記第1の色とは異なる第2の色の蛍光を発する蛍光体とをそれぞれが含む複数のLED素子と;前記複数のLED素子からの前記第1の色の光及び前記第2の色の光が一側の端面から入射し、前記第1の色の光と前記第2の色の光を混合させて他側の端面から前記対象物に向けて射出するシート状の光混合部材と;を備える照明ユニットである。
【0015】
これによれば、色度の不均一性を低減するとともに、薄型化することができる。
【0016】
本発明は、第2の観点からすると、本発明の照明ユニットと;前記照明ユニットから射出され原稿で反射された光の光路上に配置された読取光学系と;前記読取光学系を介した光が入射する撮像素子と;を備えた原稿読取装置である。
【0017】
これによれば、大型化を招くことなく、精度良く原稿を読み取ることができる。
【0018】
本発明は、第3の観点からすると、本発明の原稿読取装置と;該原稿読取装置で読み取られた画像情報に基づいて記録媒体上に画像を形成する本体装置と;を備える画像形成装置である。
【0019】
これによれば、大型化を招くことなく、高品質の画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機の概略構成を説明するための図である。
【図2】図1の一部を拡大した図である。
【図3】図1における読取装置を説明するための図(その1)である。
【図4】図1における読取装置を説明するための図(その2)である。
【図5】照明装置を説明するための図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、それぞれサイドビュータイプの複数のLED素子の配列を説明するための図である。
【図7】各LED素子の概略構成を説明するための図である。
【図8】LED素子と光混合シートの位置関係を説明するための図である。
【図9】照明光学系から射出される光を説明するための図である。
【図10】光混合シート内での光の反射を説明するための概念図である。
【図11】2つの照明光学系の位置関係を説明するための図である。
【図12】2つの照明光学系から射出された主光線の交差位置を説明するための図である。
【図13】薄肉部材を説明するための図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、それぞれトップビュータイプの複数のLED素子の配列を説明するための図である。
【図15】LED素子がトップビュータイプのときの実装基板の配置を説明するための図である。
【図16】LED素子がトップビュータイプのときのLED素子と光混合シートの位置関係を説明するための図である。
【図17】LED素子がトップビュータイプのときの照明光学系から射出される光を説明するための図である。
【図18】照明光学系の変形例1を説明するための図である。
【図19】変形例1の照明光学系における2つの照明光学系の位置関係を説明するための図である。
【図20】光拡散シートの配置例1を説明するための図である。
【図21】図21(A)及び図21(B)は、それぞれ光拡散シートによる照度分布の均一化を説明するための図である。
【図22】光拡散シートの配置例2を説明するための図である。
【図23】反射部材を説明するための図である。
【図24】光混合シートの保持機構を説明するための図である。
【図25】実装基板の位置の変形例を説明するための図である。
【図26】図26(A)及び図26(B)は、それぞれ光混合シートから射出される光の拡散角を説明するための図である。
【図27】読取装置の筐体を説明するための図(その1)である。
【図28】読取装置の筐体を説明するための図(その2)である。
【図29】照明光学系が1つの場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1及び図2には、一実施形態に係る画像形成装置としての複合機2000の概略構成が示されている。なお、図2は、図1の一部を拡大した図である。
【0022】
この複合機2000は、複写機、プリンタ、及びイメージスキャナの機能を有し、本体装置1001、読取装置1002、及び自動原稿給紙装置1003などを備えている。
【0023】
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、複合機2000が設置されている床面に直交する方向をZ軸方向として説明する。
【0024】
本体装置1001は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタである。
【0025】
読取装置1002は、本体装置1001の上側(+Z側)に配置され、原稿を読み取る。ここで読み取られた原稿の画像情報は、本体装置1001のプリンタ制御装置2090に送られる。
【0026】
自動原稿給紙装置1003は、読取装置1002の上側(+Z側)に配置され、セットされた原稿を読取装置1002に向けて送り出す。この自動原稿給紙装置1003は、一般にADF(Auto Document Feeder)と呼ばれている。
【0027】
先ず、本体装置1001の詳細について説明する。
【0028】
本体装置1001は、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像装置(2033a、2033b、2033c、2033d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、4つのピックアップローラ2054、4つのフィードローラ2055、レジストローラ2056、排紙ローラ2058、4つの給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0029】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0030】
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、読取装置1002からの画像情報あるいは通信制御装置2080を介した画像情報を光走査装置2010に出力する。
【0031】
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像装置2033a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0032】
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像装置2033b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0033】
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像装置2033c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0034】
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像装置2033d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0035】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。
【0036】
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0037】
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて変調された光束で、対応する感光体ドラムの表面を走査する。
【0038】
これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。
【0039】
各現像装置は、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0040】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
【0041】
各給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。そして、各給紙トレイ2060の近傍にはそれぞれピックアップローラ2054が配置されている。
【0042】
ユーザが記録紙を指定すると、該記録紙が格納されている給紙トレイ2060が、プリンタ制御装置2090によって選択される。
【0043】
選択された給紙トレイ2060に対応するピックアップローラ2054は、記録紙を該給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、フィードローラ2055を介してレジストローラ2056に搬送する。該レジストローラ2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
【0044】
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
【0045】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0046】
次に、読取装置1002の詳細について説明する。
【0047】
読取装置1002は、一例として図3に示されるように、原稿が載置されるコンタクトガラス110の−Z側に配置され、照明装置10、3枚の反射ミラー(M1、M2、M3)、読み取りレンズ50、撮像素子60などを有している。なお、撮像素子60として、CCDやCMOSを用いることができる。
【0048】
コンタクトガラス110の+Z側の面上に原稿が載置される。そして、以下では、原稿の−Z側の面を「原稿面」ともいう。また、コンタクトガラス110の+Z側の面を「読取面」ともいう。
【0049】
照明装置10と反射ミラーM1は、第1の走行機構L1によって、一体的にX軸方向に移動可能である。また、反射ミラーM2と反射ミラーM3は、第2の走行機構L2によって、一体的にX軸方向に移動可能である。
【0050】
原稿を読み取る際には、照明装置10と反射ミラーM1は速度Vで、反射ミラーM2と反射ミラーM3は速度V/2で移動し、原稿面全体を読み取る(図4参照)。これにより、読取面で反射された光の撮像素子60までの光路長を一定にすることができる。
【0051】
照明装置10は、一例として図5に示されるように、2つの照明光学系(10A、10B)を有している。
【0052】
各照明光学系は、同じ構成であり、それぞれ、複数のLED素子11、該複数のLED素子11が実装されている実装基板12、光混合シート13、及び光拡散シート14などを有している。
【0053】
各LED素子11は、サイドビュータイプのLED素子である。
【0054】
ここでは、一例として図6(A)及び図6(B)に示されるように、17個のLED素子11が、Y軸方向に沿って、一列に配置されている。なお、以下では、各LED素子11からの光の射出方向を「b方向」、17個のLED素子11の配列方向を「a方向」(Y軸方向と同じ)、a方向及びb方向のいずれにも直交する方向を「c方向」とする。
【0055】
17個のLED素子11は、実装基板12の+c側の面に実装されている。
【0056】
実装基板12のc方向の長さ(厚さ)は1mm程度である。
【0057】
また、a方向に関して隣り合う2個のLED素子11の間隔である素子間隔は、配列の中央から両端に向けて、徐々に小さくなるように設定されている。これにより、撮像素子60上におけるY軸方向に関する照度の均一性を向上させることができる。なお、複数のLED素子の素子間隔が一様な場合には、読取りレンズを介して撮像素子上で得られる光量分布は、読取り光学系のコサイン4乗則のために像高の高い周辺部が暗くなる。ここでは、このことを考慮して、複数のLED素子の配列における周辺での素子間隔を短くし、周辺部が明るくなるようにしているので、撮像素子上では照度の均一性が得られる。
【0058】
各LED素子11は、一例として図7に示されるように、LEDチップ100、該LEDチップ100からの光によって蛍光を発する蛍光体102、パッケージ部材103、及び電極(図示省略)などから構成されている。ここでは、各LEDチップ100は、青色の光を射出するLEDチップである。また、蛍光体102は、黄色の蛍光を発する蛍光体である。また、各LED素子11における光の射出面の開口径は、約1mmである。なお、開口径は、蛍光体102における光射出側の面のc方向の長さである。
【0059】
光混合シート13は、一例として図8に示されるように、複数のLED素子11の+b側に近接あるいは当接して配置され、厚さが約1mmのシート状部材である。すなわち、光混合シート13の厚さは、各LED素子11における光の射出面の開口径と略同じである。
【0060】
そして、光混合シート13の−b側端部の−c側の面は、実装基板12の+c側の面と接して固定されている。すなわち、実装基板12によって、LED素子11と光混合シート13の位置関係が規定されることとなる。そこで、LED素子11と光混合シート13の入射面との間に位置ズレがなく、複数のLED素子11の光結合効率を均一化、安定化することができる。さらに、LED素子11と光混合シート13が実装基板12に保持されていることによって、動的な振動にも強くなる。
【0061】
光混合シート13の材料としては、アクリル、ポリカーボネート、及びシリコン樹脂のいずれかを用いることができる。なお、複数のLED素子11の+b側の位置が一様でなく、光混合シート13が当接されると、光混合シート13から力を受けるおそれがある場合には、光混合シート13の材料として、軟かいシリコン樹脂を用ることが好ましい。この場合は、光混合シート13がLED素子11に当接されても該LED素子11へのダメージはほとんどない。
【0062】
光混合シート13のa方向の長さは、全てのLED素子11からの光を受光することができる長さであり、原稿のY軸方向の長さよりも長いことが好ましい。光混合シート13のb方向の長さは、照明装置10が設けられる空間の大きさの制約を受ける。一般的には、10〜30mmの長さが許容されるが、これより短くても良い。
【0063】
各LED素子11から射出された光は、光混合シート13に入射し、一例として図10に示されるように、光混合シート13の内部で複数回反射され、光混合シート13の射出面から+b方向に所定の拡がりをもって射出される。
【0064】
そして、一例として図11に示されるように、照明光学系10Aからの光は、入射角θでコンタクトガラス110を照明する。また、照明光学系10Bからの光は、入射角θでコンタクトガラス110を照明する。なお、図11では、光拡散シート14については、図示を省略している。
【0065】
図11における「照明領域」は、読取面における照明装置10からの光が照射される領域である。実際の読取りに必要な領域は前記照明領域よりも狭く、図11で「読取領域」として示されている。「読取領域」は、読取り光学系の光軸が静的ないし動的にズレた場合を想定したものになっている。静的なズレは部品サイズの誤差や組み付け誤差に起因するものであり、動的なズレはスキャニング動作時の振動などに伴うものである。
【0066】
2つの照明光学系(10A、10B)は、XZ面内で、照明領域に対して対称となるように配置されている。なお、ここでは、一例として、入射角θの絶対値を30°としている。入射角θの絶対値は、30°以下が好適である。
【0067】
この場合、コンタクトガラス110は、X軸方向に関して、照明領域を挟んだ2方向から照明されるので、原稿面に段差があるときに該段差の像が陰線になる不都合が回避される。また、照明光学系が1つの場合に比べて照度が2倍となるので、読取速度を速くすることができる。さらに、高い照度が必要な機種にも適用可能である。
【0068】
また、2つの照明光学系(10A、10B)は、照明光学系10Aからの光の主光線と、照明光学系10Bからの光の主光線とが、コンタクトガラス110の+Z側の面(上側の面)よりも若干+Z側の位置で交差するように配置されている(図12参照)。この場合は、X軸方向に関して、照度分布における平坦領域が広くなり、原稿が浮いていても一様な照度で原稿面を照明することが可能である。なお、図12では、光拡散シート14については、図示を省略している。
【0069】
光拡散シート14は、光混合シート13から射出される光の光路上に配置され、該光を透過拡散させる。これにより、読取面での照度分布における平坦領域を拡大することができる。
【0070】
光拡散シート14は、一側の面を拡散面とする表面拡散タイプの光拡散シートである。そして、光拡散シート14は、該拡散面が所望の拡散特性を有していれば、該拡散面がコンタクトガラス110側となるように配置される。なお、光拡散シート14を、該拡散面が光混合シート13側となるように配置されると、原稿面で反射された光が再度光拡散シート14に入射するとき、入射する面が拡散面ではないため、入射する面から再反射する光は拡散反射しないため、反射光が再度原稿面に到達して反射してフレア光となることを防止することができる。
【0071】
ところで、実装基板12への光吸収が多い場合には、一例として図13に示されるように、屈折率が光混合シート13よりも小さい薄肉部材15を、光混合シート13と実装基板12との間に挿入しても良い。これにより、実装基板12への光吸収を少なくすることができる。そこで、光利用効率が高くなり、LED素子の個数低減や、消費電力の低減が可能となる。なお、薄肉部材15に代えて、反射フィルム部材を用いても良い。また、薄肉部材15を挿入するのに代えて、実装基板12表面に白色の塗料を塗布して反射率を高くしても良い。
【0072】
図3に戻り、反射ミラーM1は、原稿面で反射された光の光路上に配置され、該光路を−X方向に曲げる。反射ミラーM2は、反射ミラーM1の−X側に配置され、反射ミラーM1で反射された光の光路を−Z方向に曲げる。反射ミラーM3は、反射ミラーM2の−Z側に配置され、反射ミラーM2で反射された光の光路を+X方向に曲げる。
【0073】
読み取りレンズ50は、反射ミラーM3の+X側に配置され、反射ミラーM3で反射された光を集光する。
【0074】
撮像素子60は、読み取りレンズ50の+X側に配置され、読み取りレンズ50を介した光を受光する。この撮像素子60の出力信号は、プリンタ制御装置2090に送られる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る照明装置10によると、2つの照明光学系(10A、10B)を有し、各照明光学系は、それぞれ、複数のLED素子11、該複数のLED素子11が実装されている実装基板12、光混合シート13、及び光拡散シート14などを有している。
【0076】
光混合シート13は、LED素子11における光の射出面の直径と同程度の厚さであり、一側の端面が複数のLED素子11に近接あるいは当接して配置されている。
【0077】
ここでは、光混合シート13が非常に薄いため、一側の端面から入射した光は、光混合シート13の内部で多数回反射された後、他側の端面から射出される。そこで、LED素子11から射出された青色の光と黄色の光は、光混合シート13内で十分に混合され、色度の不均一性が低減された白色の光が光混合シート13から射出される。これにより、照明領域での色度の不均一性が少なくなる。また、照明装置10の薄型化及び小型化を促進することができる。
【0078】
すなわち、色度の不均一性を低減するとともに、薄型化を図ることができる。
【0079】
また、光混合シート13が、複数のLED素子11の+b側に近接あるいは当接して配置されているため、光混合シート13への光結合効率を高くすることができる。
【0080】
また、複数のLED素子11が、サイドビュータイプのLED素子であるため、照明装置の薄型化を促進することができる。
【0081】
また、光混合シート13から射出される光の光路上に光拡散シート14が配置されているため、読取面での照度分布における平坦領域を拡大することができる。
【0082】
なお、上記実施形態において、複数のLED素子11が、トップビュータイプのLED素子であり、一例として図14(A)〜図17に示されるように、実装基板12の+b側の面に実装されても良い。
【0083】
また、上記実施形態において、前記光混合シート13に代えて、一例として図18に示されるように、光が射出される面(以下では、「光射出面」と略述する)がテーパ面である光混合シート13Aを用いても良い。該テーパは、+c方向に対して+c側に角度θだけ傾斜した方向に光が射出されるように設定されている。
【0084】
この場合は、一例として図19に示されるように、各照明光学系を傾斜させる必要がなく、読取装置をZ軸方向に関してさらに薄くすることができる。なお、図19では、光拡散シート14については、図示を省略している。
【0085】
なお、テーパ角α(図18参照)は、20°よりも大きく、45°よりも小さいことが好ましい。
【0086】
この場合に、一例として図20に示されるように、光混合シート13Aにおける光射出面上に前記光拡散シート14が設けられても良い。
【0087】
光拡散シート14は、光透過性の接着テープを用いて光混合シート13Aに接着されている。この場合は、光混合シートと光拡散シートの相対位置が安定して保持されるので、読取面におけるX軸方向及びY軸方向に関する照明光の照度の静的及び動的な不均一性を改善することができる。
【0088】
例えば、撮像素子60の感度が高く、LED素子11の個数が少なくても必要な照度を確保できる場合には、複数のLED素子11における素子間隔が長くなり、読取面における照明光のY軸方向に関する照度分布がリップル状となるおそれがある(図21(A)参照)。この場合に、Y軸方向の拡散特性がY軸方向に直交する方向の拡散特性よりも強い拡散シートを用いることにより、Y軸方向に関する照度分布を略一様とすることができる(図21(B)参照)。
【0089】
拡散特性が拡散面の表面形状によって規定される拡散シートでは、その拡散面における凹凸のピッチを、Y軸方向に関して小さく、Y軸方向に直交する方向に関して大きくすれば良い。なお、拡散面における凸部あるいは凹部の頂端部は、R状もしくは平坦であることが好ましい。
【0090】
また、この場合に、一例として図22に示されるように、光拡散シート14の−b側端部を光混合シート13Aの+c側の面に固定しても良い。すなわち、光混合シート13Aの光射出面と光拡散シート14とが離間していても良い。
【0091】
光拡散シート14として、指向性のある散乱特性を有する光拡散シートが用いられるときには、光拡散シート14が光混合シート13Aの光射出面に密着している場合よりも、製造時の作業性が向上する。
【0092】
また、光拡散シート14の配置は、読取装置1002の厚さに制約を与えないので、読取装置1002を厚くすることなく、光混合シート13Aの光射出面のテーパ角を最適化することができる。
【0093】
そして、この場合に、一例として図23に示されるように、光混合シート13Aの−c側に反射部材16が設けられても良い。この反射部材16は、bc断面の形状が直角三角形であり、その斜面が反射面となっている。
【0094】
反射部材16は、光混合シート13Aの光射出面で全反射して光混合シート13から漏れた光を反射面で反射し、光混合シート13Aに戻している。光混合シート13Aに戻された光線は、光射出面では入射角が全反射角よりも小さくなるので、光射出面を透過することができる。この場合は、読取面での光量を増やすことができる。
【0095】
反射部材16は、光混合シート13Aの+b側端部を支持する機能を有している。すなわち、光混合シート13Aの+b側端部のc軸方向の位置は、反射部材16によって規定されている(図24参照)。
【0096】
なお、この場合に、一例として図25に示されるように、複数のLED素子11が、実装基板12の−c側の面に実装されても良い。これにより、各照明光学系を更にコンタクトガラス110に近づけることができる。
【0097】
光混合シート13Aの厚さは、強度とのバランスで適宜選択でき、薄いものでは1mm以下も選択できる。光拡散シート14の厚さも、強度とのバランスで適宜選択でき、薄いものでは0.2mm〜0.5mm程度である。
【0098】
また、上記実施形態において、光混合シート13の厚さを、入射側よりも射出側が厚いテーパ状にしても良い。この場合は、光混合シート13の射出面からのX軸方向の光の広がりが抑えられ、照明効率を高くすることができる(図26(A)及び図26(B)参照)。
【0099】
また、一例として図27に示されるように、照明装置10、複数の反射ミラー(M1、M2、M3)、読み取りレンズ50、撮像素子60がひとつの筐体70内に収容されても良い。この場合は、該筐体70が線速Vで副走査方向に移動して、原稿を読取る(図28参照)。また、この場合は、照明装置10と複数の反射ミラー(M1、M2、M3)のみが移動する場合よりも走査機構が簡略化され、読取装置のZ軸方向の長さ(厚さ)を小さくすることができる。また、走査駆動の動的振動に伴うX軸方向の原稿読取り位置の誤差が小さくなるので、照度及び照度分布の平坦性が保証された照明領域を、誤差を見込んでX軸方向に関して広くする必要がなく、低コスト化を図ることができる。さらに、各LEDチップの発光量を少なくすることが可能となり、省エネ化を促進することができる。
【0100】
また、上記実施形態では、照明装置が2つの照明光学系(10A、10B)を有している場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、照明装置が1つの照明光学系10Aのみを有しても良い。そして、この場合、一例として図29に示されるように、前記照明光学系10Bに代えて、ミラーM4を用いても良い。このミラーM4は、照明光学系10Aから射出された光の一部を反射して読取面を照明する。なお、図29では、光拡散シート14については、図示を省略している。
【0101】
また、上記実施形態では、LEDチップ100が青色の光を射出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0102】
また、上記実施形態では、蛍光体102が黄色の蛍光を発する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0103】
また、上記実施形態において、照明領域における照度の平坦性に不都合がなければ、前記光拡散シート14はなくても良い。
【0104】
また、上記実施形態では、画像形成装置として複合機の場合について説明したが、これに限定されるものではない。画像形成装置が、単独の複写機、及びイメージスキャナであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上説明したように、本発明の照明ユニットによれば、色度の不均一性を低減するとともに、薄型化するのに適している。また、本発明の原稿読取装置によれば、大型化を招くことなく、精度良く原稿を読み取るのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、大型化を招くことなく、高品質の画像を形成するのに適している。
【符号の説明】
【0106】
10…照明装置、10A,10B…照明光学系(照明ユニット)、11…LED素子、12…実装基板、13…光混合シート(光混合部材)、13A…光混合シート(光混合部材)、14…光拡散シート(光拡散部材)、15…薄肉部材(シート部材)、16…反射部材、50…読み取りレンズ(読取光学系の一部)、60…撮像素子、70…筐体、100…LEDチップ、102…蛍光体、103…パッケージ部材、110…コンタクトガラス、1001…本体装置、1002…読取装置(原稿読取装置)、2000…複合機(画像形成装置)、L1…第1の走行機構、L2…第2の走行機構、M1〜M3…反射ミラー(読取光学系の一部)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2006−67551号公報
【特許文献2】特開2010−122707号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に相対的に移動する対象物を照明する照明ユニットであって、
前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置され、第1の色の光を発するLEDチップと該LEDチップからの光によって前記第1の色とは異なる第2の色の蛍光を発する蛍光体とをそれぞれが含む複数のLED素子と;
前記複数のLED素子からの前記第1の色の光及び前記第2の色の光が一側の端面から入射し、前記第1の色の光と前記第2の色の光を混合させて他側の端面から前記対象物に向けて射出するシート状の光混合部材と;を備える照明ユニット。
【請求項2】
前記光混合部材の厚さは、前記LED素子における光の射出面の開口径と同程度の厚さであることを特徴とする請求項1に記載の照明ユニット。
【請求項3】
前記光混合部材の材質は、アクリル、ポリカーボネート、及びシリコン樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明ユニット。
【請求項4】
前記光混合部材の前記他側の端面は、テーパ面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項5】
前記テーパ面で反射され、前記対象物に向かう方向とは異なる方向に前記光混合部材から射出された光の光路上に配置され、該光を前記テーパ面に向けて反射する反射部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の照明ユニット。
【請求項6】
前記光混合部材から前記対象物に向かう光の光路上に配置され、該光を透過拡散させる光拡散部材を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項7】
前記光混合部材の前記他側の端面と前記光拡散部材は、光透過性を有する材料を用いて接着されていることを特徴とする請求項6に記載の照明ユニット。
【請求項8】
前記光混合部材の前記一側の端面は、前記複数の発光素子に近接あるいは当接されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項9】
前記複数の発光素子は、それぞれサイドビュータイプのLED素子であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項10】
前記複数の発光素子は、それぞれ基板上に実装され、
該基板は前記複数の発光素子よりも前記対象物に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の照明ユニット。
【請求項11】
前記光混合部材は、前記基板に保持されていることを特徴とする請求項10に記載の照明ユニット。
【請求項12】
前記基板と前記光混合部材との間に配置され、前記光混合部材よりも屈折率が小さいシート部材を備えることを特徴とする請求項11に記載の照明ユニット。
【請求項13】
前記基板と前記光混合部材との間に配置され、光反射特性を有する部材を備えることを特徴とする請求項11に記載の照明ユニット。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の照明ユニットと;
前記照明ユニットから射出され原稿で反射された光の光路上に配置された読取光学系と;
前記読取光学系を介した光が入射する撮像素子と;を備えた原稿読取装置。
【請求項15】
前記照明ユニット、前記読取光学系及び前記撮像素子が保持される筐体を備えることを特徴とする請求項14に記載の原稿読取装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の原稿読取装置と;
該原稿読取装置で読み取られた画像情報に基づいて記録媒体上に画像を形成する本体装置と;を備える画像形成装置。
【請求項1】
第1の方向に相対的に移動する対象物を照明する照明ユニットであって、
前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置され、第1の色の光を発するLEDチップと該LEDチップからの光によって前記第1の色とは異なる第2の色の蛍光を発する蛍光体とをそれぞれが含む複数のLED素子と;
前記複数のLED素子からの前記第1の色の光及び前記第2の色の光が一側の端面から入射し、前記第1の色の光と前記第2の色の光を混合させて他側の端面から前記対象物に向けて射出するシート状の光混合部材と;を備える照明ユニット。
【請求項2】
前記光混合部材の厚さは、前記LED素子における光の射出面の開口径と同程度の厚さであることを特徴とする請求項1に記載の照明ユニット。
【請求項3】
前記光混合部材の材質は、アクリル、ポリカーボネート、及びシリコン樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明ユニット。
【請求項4】
前記光混合部材の前記他側の端面は、テーパ面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項5】
前記テーパ面で反射され、前記対象物に向かう方向とは異なる方向に前記光混合部材から射出された光の光路上に配置され、該光を前記テーパ面に向けて反射する反射部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の照明ユニット。
【請求項6】
前記光混合部材から前記対象物に向かう光の光路上に配置され、該光を透過拡散させる光拡散部材を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項7】
前記光混合部材の前記他側の端面と前記光拡散部材は、光透過性を有する材料を用いて接着されていることを特徴とする請求項6に記載の照明ユニット。
【請求項8】
前記光混合部材の前記一側の端面は、前記複数の発光素子に近接あるいは当接されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項9】
前記複数の発光素子は、それぞれサイドビュータイプのLED素子であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項10】
前記複数の発光素子は、それぞれ基板上に実装され、
該基板は前記複数の発光素子よりも前記対象物に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の照明ユニット。
【請求項11】
前記光混合部材は、前記基板に保持されていることを特徴とする請求項10に記載の照明ユニット。
【請求項12】
前記基板と前記光混合部材との間に配置され、前記光混合部材よりも屈折率が小さいシート部材を備えることを特徴とする請求項11に記載の照明ユニット。
【請求項13】
前記基板と前記光混合部材との間に配置され、光反射特性を有する部材を備えることを特徴とする請求項11に記載の照明ユニット。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の照明ユニットと;
前記照明ユニットから射出され原稿で反射された光の光路上に配置された読取光学系と;
前記読取光学系を介した光が入射する撮像素子と;を備えた原稿読取装置。
【請求項15】
前記照明ユニット、前記読取光学系及び前記撮像素子が保持される筐体を備えることを特徴とする請求項14に記載の原稿読取装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の原稿読取装置と;
該原稿読取装置で読み取られた画像情報に基づいて記録媒体上に画像を形成する本体装置と;を備える画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−120061(P2012−120061A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269839(P2010−269839)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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