説明

照明器具及び反射傘

【課題】照射範囲を容易に調整できる照明器具を提供すること。
【解決手段】本発明では、電球の外方に反射傘を配設した照明器具において、前記反射傘は、内側に照射範囲が比較的広くなる広範囲照射用反射面と照射範囲が比較的狭くなる狭範囲照射用反射面とを形成し、前記広範囲照射用反射面は、反射した光が前記狭範囲照射用反射面で照射される光を横切って前記狭範囲照射用反射面よりも広い範囲を照射するように構成した。特に、前記広範囲照射用反射面と前記狭範囲照射用反射面とを前後に形成するとともに、電球の位置を前後に変更できるように構成し、しかも、前記反射傘の上下側部に前記広範囲照射用反射面を形成して、上下方向と左右方向とで照射範囲を異ならせることにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具及び反射傘に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、競技場や球技場などにおいては、複数台の照明器具を用いて広いスペース全体を照らすようにしている。
【0003】
この照明器具は、電球の外方に反射傘を配設して、電球から放射された光を反射傘で反射して、予め設定された所定範囲内を均一の明るさで照射するように構成していた(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−349235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の照明器具では、予め設定された所定範囲内においては均一の明るさで照射することができるものの、所定範囲外においては非常に暗くてほとんど照射することができないものであった。
【0005】
そのため、競技場や球技場などの広いスペース全体を照射する場合には、各照明器具の間隔を狭くして、各照明器具で照射される照射範囲同士が隣接するように複数の照明器具を設置する必要があり、照明器具の台数の増加に伴って設備コストやランニングコストが増大していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、電球の外方に反射傘を配設した照明器具において、前記反射傘は、内側に照射範囲が比較的広くなる広範囲照射用反射面と照射範囲が比較的狭くなる狭範囲照射用反射面とを形成することにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記広範囲照射用反射面は、反射した光が前記狭範囲照射用反射面で照射される光を横切って前記狭範囲照射用反射面よりも広い範囲を照射するように構成することにした。
【0008】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記広範囲照射用反射面は、反射した光を前記狭範囲照射用反射面で反射させることで前記狭範囲照射用反射面よりも広範囲に光を照射するように構成することにした。
【0009】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る本発明において、前記広範囲照射用反射面と前記狭範囲照射用反射面とを前後に形成するとともに、電球の位置を前後に変更できるように構成することにした。
【0010】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項1〜請求項4のいずれかに係る本発明において、前記反射傘の上下側部に前記広範囲照射用反射面を形成して、上下方向と左右方向とで照射範囲を異ならせることにした。
【0011】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項5に係る本発明において、正方形状のケーシングに前記反射傘を配設することにした。
【0012】
また、請求項7に係る本発明では、照明器具の電球の外方に配設した反射傘において、照射範囲が比較的広くなる広範囲照射用反射面と照射範囲が比較的狭くなる狭範囲照射用反射面とを有することにした。
【0013】
また、請求項8に係る本発明では、前記請求項7に係る本発明において、前記広範囲照射用反射面は、反射した光が前記狭範囲照射用反射面で照射される光を横切って前記狭範囲照射用反射面よりも広い範囲を照射するように構成することにした。
【0014】
また、請求項9に係る本発明では、前記請求項7又は請求項8に係る本発明において、前記広範囲照射用反射面は、反射した光を前記狭範囲照射用反射面で反射させることで前記狭範囲照射用反射面よりも広範囲に光を照射するように構成することにした。
【0015】
また、請求項10に係る本発明では、前記請求項7〜請求項9のいずれかに係る本発明において、上下側部に前記広範囲照射用反射面を形成して、上下方向と左右方向とで照射範囲を異ならせることにした。
【発明の効果】
【0016】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0017】
すなわち、請求項1に係る本発明では、電球の外方に反射傘を配設した照明器具において、反射傘の内側に照射範囲が比較的広くなる広範囲照射用反射面と照射範囲が比較的狭くなる狭範囲照射用反射面とを形成しているために、1台の照明器具で照射できる照射範囲を広くすることができ、広いスペース全体を複数台の照明器具で照射する場合に照明器具の間隔を広げることができ、必要とする照明器具の台数を減らすことができるので、照明器具に要する設備コストやランニングコストを低減することができる。
【0018】
また、請求項2に係る本発明では、広範囲照射用反射面は、反射した光が狭範囲照射用反射面で照射される光を横切って狭範囲照射用反射面よりも広い範囲を照射するように構成しているために、比較的近い照射距離で使用するときには比較的狭い範囲を明るく照射し、比較的遠い照射距離で使用するときには比較的広い範囲を照射することができ、照明器具の使い勝手を向上させることができる。
【0019】
また、請求項3に係る本発明では、広範囲照射用反射面は、反射した光を狭範囲照射用反射面で反射させることで狭範囲照射用反射面よりも広範囲に光を照射するように構成しているために、1台の照明器具で照射できる照射範囲を広くすることができ、広いスペース全体を複数台の照明器具で照射する場合に照明器具の間隔を広げることができ、必要とする照明器具の台数を減らすことができるので、照明器具に要する設備コストやランニングコストを低減することができる。
【0020】
また、請求項4に係る本発明では、広範囲照射用反射面と狭範囲照射用反射面とを前後に形成するとともに、電球の位置を前後に変更できるように構成しているために、電球の位置を前後に変更するだけで広範囲照射用反射面と狭範囲照射用反射面で反射する光の量を調節することができ、これによって照射範囲を容易に調節することができる。
【0021】
また、請求項5に係る本発明では、反射傘の上下側部に広範囲照射用反射面を形成して、上下方向と左右方向とで照射範囲を異ならせているために、反射傘の向きを90度回転させるだけで上下方向と左右方向の照射範囲を選択的に容易に変更することができる。
【0022】
また、請求項6に係る本発明では、正方形状のケーシングに反射傘を配設しているために、反射傘の取付部材として共通の部材を使用することができる。
【0023】
また、請求項7に係る本発明では、照明器具の電球の外方に配設した反射傘において、照射範囲が比較的広くなる広範囲照射用反射面と照射範囲が比較的狭くなる狭範囲照射用反射面とを有しているために、1台の照明器具で照射できる照射範囲を広くすることができ、広いスペース全体を複数台の照明器具で照射する場合に照明器具の間隔を広げることができ、必要とする照明器具の台数を減らすことができるので、照明器具に要する設備コストやランニングコストを低減することができる。
【0024】
また、請求項8に係る本発明では、広範囲照射用反射面は、反射した光が狭範囲照射用反射面で照射される光を横切って狭範囲照射用反射面よりも広い範囲を照射するように構成しているために、比較的近い照射距離で使用するときには比較的狭い範囲を明るく照射し、比較的遠い照射距離で使用するときには比較的広い範囲を照射することができ、照明器具の使い勝手を向上させることができる。
【0025】
また、請求項9に係る本発明では、広範囲照射用反射面は、反射した光を狭範囲照射用反射面で反射させることで狭範囲照射用反射面よりも広範囲に光を照射するように構成しているために、1台の照明器具で照射できる照射範囲を広くすることができ、広いスペース全体を複数台の照明器具で照射する場合に照明器具の間隔を広げることができ、必要とする照明器具の台数を減らすことができるので、照明器具に要する設備コストやランニングコストを低減することができる。
【0026】
また、請求項10に係る本発明では、上下側部に広範囲照射用反射面を形成して、上下方向と左右方向とで照射範囲を異ならせているために、反射傘の向きを90度回転させるだけで上下方向と左右方向の照射範囲を選択的に容易に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に係る照明器具の具体的な構造について図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1〜図3に示すように、照明器具1は、正面視正方形状の矩形箱型のケーシング2の内部に電球3を収容し、電球3の外方に反射傘4を配設している。
【0029】
ケーシング2は、矩形箱型状の本体5の開口部に矩形枠状の枠体6を開閉自在に取付け、枠体6の裏面に矩形板状のガラス体7を取付け、さらには、本体5の内周部に矩形枠状の受枠8を取付け、この受枠8に反射傘4を取付けている。
【0030】
また、ケーシング2は、本体5の底部に安定器9と電球固定具10とを取付けている。このように、照明器具1では、反射傘4と本体5との間の空間を利用して安定器9と電球固定具10とを収容している。
【0031】
電球3は、ケーシング2の本体5の底部に取付けた電球固定具10に前後方向に移動可能に取付けられている。なお、電球固定具10は、ケーシング2の本体5の底部に上下方向に移動可能に取付けられている。これにより、電球3は、上下方向と前後方向に移動させることができるようになっている。
【0032】
反射傘4は、断面円弧状の狭範囲照射用反射面11の上下側部に断面直線状の広範囲照射用反射面12,13を形成している。図中14は、電球3を挿通する貫通孔である。
【0033】
狭範囲照射用反射面11は、広範囲照射用反射面12,13と比べて比較的狭い範囲を照射するように形成された反射面であり、広範囲照射用反射面12,13は、狭範囲照射用反射面11と比べて比較的広い範囲を照射するように形成された反射面である。
【0034】
図4に示すように、電球3から放射された光は、狭範囲照射用反射面11で反射して前方の比較的狭い範囲を明るく照射するとともに、広範囲照射用反射面12,13で反射して前方の比較的広い範囲を照射することになる。その際に、広範囲照射用反射面12,13で反射した光は、狭範囲照射用反射面11で反射した光を横切って、途中から狭範囲照射用反射面11で反射した光よりも広い範囲を照射するようにしている。これにより、所定距離よりも近い場所では、狭範囲照射用反射面11で照射される範囲内を広範囲照射用反射面12,13で反射した光も照射することになって、狭範囲照射用反射面11で照射される範囲の輝度を向上させることができ、一方、所定距離よりも遠い場所では、狭範囲照射用反射面11で照射される範囲外を広範囲照射用反射面12,13で反射した光が照射することになって、照射範囲を広くすることができる。すなわち、照射距離によって照射範囲を段階的に拡大させることができ、比較的近い照射距離で使用するときには比較的狭い範囲を明るく照射し、比較的遠い照射距離で使用するときには比較的広い範囲を照射することができ、照明器具1の使い勝手を向上させることができる。
【0035】
反射傘4は、断面円弧状の狭範囲照射用反射面11と断面直線状の広範囲照射用反射面12,13とで構成する場合に限られず、図5〜図7に示す反射傘15のように、断面円弧状の狭範囲照射用反射面16及び広範囲照射用反射面17で構成することもできる。
【0036】
この反射傘15では、図7に示すように、光源から放射された後に広範囲照射用反射面17で反射した光が直接外部を照射するのではなく、光源から放射された後に広範囲照射用反射面17で反射した光が狭範囲照射用反射面16で反射して、光源から放射された後に狭範囲照射用反射面16だけで反射した光を横切って、途中から広い範囲を照射するようにしている。
【0037】
以上に説明したように、上記照明器具1では、反射傘4(15)の内側に照射範囲が比較的広くなる広範囲照射用反射面12,13(17)と照射範囲が比較的狭くなる狭範囲照射用反射面11(16)とを形成しているために、1台の照明器具1で照射できる照射範囲を広くすることができ、広いスペース全体を複数台の照明器具1で照射する場合に照明器具1の間隔を広げることができ、必要とする照明器具1の台数を減らすことができるので、照明器具1に要する設備コストやランニングコストを低減することができる。
【0038】
特に、上記照明器具1では、広範囲照射用反射面12,13(17)で反射した光が狭範囲照射用反射面11(16)で照射される光を横切って狭範囲照射用反射面11(16)よりも広い範囲を照射するように構成しているために、比較的近い照射距離で使用するときには比較的狭い範囲を明るく照射し、比較的遠い照射距離で使用するときには比較的広い範囲を照射することができ、照明器具1の使い勝手を向上させることができる。
【0039】
また、上記照明器具1の反射傘4では、広範囲照射用反射面12,13と狭範囲照射用反射面11とを前後に形成するとともに、電球3の位置を前後に変更できるように構成しているために、電球3の位置を前後に変更するだけで広範囲照射用反射面12,13と狭範囲照射用反射面11で反射する光の量を調節することができ、これによって照射範囲を容易に調節することができる。
【0040】
また、上記照明器具1の反射傘4では、反射傘4の上下側部に広範囲照射用反射面12,13を形成しているために、上下方向と左右方向とで照射範囲を異ならせることができ、これにより、反射傘4(照明器具1)の向きを90度回転させるだけで上下方向と左右方向の照射範囲を選択的に容易に変更することができる。
【0041】
特に、上記照明器具1では、正方形状のケーシング2に反射傘4を配設しているために、反射傘4の取付部材として共通の部材を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る照明器具を示す正面図。
【図2】同横断面図。
【図3】同縦断面図。
【図4】同照射範囲を示す説明図。
【図5】他の反射傘を示す断面図。
【図6】同正面図。
【図7】同照射範囲を示す説明図。
【符号の説明】
【0043】
1 照明器具 2 ケーシング
3 電球 4 反射傘
5 本体 6 枠体
7 ガラス体 8 受枠
9 安定器 10 電球固定具
11 狭範囲照射用反射面 12,13 広範囲照射用反射面
14 貫通孔 15 反射傘
16 狭範囲照射用反射面 17 広範囲照射用反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電球の外方に反射傘を配設した照明器具において、
前記反射傘は、内側に照射範囲が比較的広くなる広範囲照射用反射面と照射範囲が比較的狭くなる狭範囲照射用反射面とを形成したことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記広範囲照射用反射面は、反射した光が前記狭範囲照射用反射面で照射される光を横切って前記狭範囲照射用反射面よりも広い範囲を照射するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記広範囲照射用反射面は、反射した光を前記狭範囲照射用反射面で反射させることで前記狭範囲照射用反射面よりも広範囲に光を照射するように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記広範囲照射用反射面と前記狭範囲照射用反射面とを前後に形成するとともに、電球の位置を前後に変更できるように構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の照明器具。
【請求項5】
前記反射傘の上下側部に前記広範囲照射用反射面を形成して、上下方向と左右方向とで照射範囲を異ならせたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の照明器具。
【請求項6】
正方形状のケーシングに前記反射傘を配設したことを特徴とする請求項5に記載の照明器具。
【請求項7】
照明器具の電球の外方に配設した反射傘において、
照射範囲が比較的広くなる広範囲照射用反射面と照射範囲が比較的狭くなる狭範囲照射用反射面とを有することを特徴とする反射傘。
【請求項8】
前記広範囲照射用反射面は、反射した光が前記狭範囲照射用反射面で照射される光を横切って前記狭範囲照射用反射面よりも広い範囲を照射するように構成したことを特徴とする請求項7に記載の反射傘。
【請求項9】
前記広範囲照射用反射面は、反射した光を前記狭範囲照射用反射面で反射させることで前記狭範囲照射用反射面よりも広範囲に光を照射するように構成したことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の反射傘。
【請求項10】
上下側部に前記広範囲照射用反射面を形成して、上下方向と左右方向とで照射範囲を異ならせたことを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかに記載の反射傘。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−287467(P2007−287467A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113220(P2006−113220)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(305042596)熊本電気工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】