説明

照明表示付きステップガード

【課題】
導光体の断面を入射端面部から反射端面部へ向かって厚さが薄くなる楔状とするとともに、導光体の裏面には梨地状の乱反射面を備え、そして、反射板の色に工夫を施すことにより、LEDの小さなエネルギー光源を効率よく導光体により収束させ、特定の文字や図柄を高輝度にムラなく照明する自動車の照明表示付きステップガードを提供することを目的とする。
【解決手段】
文字板6とこれを覆う発光パネル3を備え、前記文字板6の裏側に導光体8を備え、この導光体8を囲うように反射板9を備え、前記導光体8の入射端面部83に対向する位置にLED光源12を配置するステップガードにおいて、前記導光体8の断面は、前記入射端面部83から反射端面部84へ向かって厚さが薄くなる楔状とするとともに、前記導光体8の裏面82には、梨地状の乱反射面86を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の照明表示付きステップガードに関する。詳しくは、導光体の断面が入射端面部から反射端面部へ向かって薄くなる楔状とするとともに、導光体の裏面には梨地状の乱反射面を備え、そして、反射板の色に工夫を施すことにより、LEDの小さなエネルギー光源を効率よく導光体により収束させ、特定の文字や図柄を高輝度にムラなく照明する自動車の照明表示付きステップガードに関する。
【背景技術】
【0002】
夜間等にドアを開いた際に、車両のドア開口部の輪郭、車体形状等を視認し難いために、これらの近傍を照明する必要がある。そのために、ステップガードに発光パネルを設ける。ステップガードは、本来、ドアを開けて車内に乗り込む際、足でサイドシルを蹴り飛ばすことによって生じる傷や汚れを防止するためのパーツである。しかしながら、最近では、趣味の多様化にともない、自動車のパーツとして、傷の防止と照明に加えて、視覚に訴えて美観を起こさせ、人の趣味的感情に投ずる意匠としての要素が求められる。
【0003】
一方、自動車車内用照明装置として、ステップガード等に文字、図柄等を表示されるものが先に提案されている。例えば、導光体の側面に対向してLED光源を配置し、導光体の裏面でLED光源の近傍に、LED光源から放出され、裏面部分に向かう光を遮断する箇所を設けることにより、均一な光を放射することができる(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−279817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の看板には、次のような問題点があった。
【0006】
即ち、従来の照明表示付きステップガードの問題点の第一は、ドア開口部の特に下縁部の輪郭、即ちサイドステップ部を明確に視認めることができなかった。即ち、高輝度の照明が得られないので搭乗者の足が乗り降りの際に、下縁部に引っ掛かって躓くことがあった。
【0007】
第二に、文字が切り文字なのでステップガードの表面から窪んで凹みを形成して入るため、この凹みに、塵、水等が浸入する恐れがあり、このことによって、導光体表面の傷、汚れが顕著になり、照明を妨げることがあった。
【0008】
そこで、本発明の照明表示付きステップガードは、このような従来の照明表示付きステップガードの持つ問題点を解決するためになされたもので、ドアの開口部下縁に位置するサイドステップ部に略合致する形状にプレート本体が形成され、プレート本体の表面にはドアの開閉に連動して点灯する発光部を有する照明表示付きステップガードであって、導光体の断面を入射端面部から反射端面部へ向かって厚さが薄くなる楔状とするとともに、導光体の裏面には梨地状の乱反射面を備え、そして、反射板の色に工夫を施すことにより、LEDの小さなエネルギー光源を効率よく導光体により収束させ、特定の文字や図柄を高輝度にムラなく照明する自動車の照明表示付きステップガードを提供することを目的とする。また、文字板と反射板とによりLED光源を包囲し、発光パネルによって文字板の文字部を残して文字板を面一に被覆し、文字部から発光することにより、塵、水等が文字部に浸入することなく、ドアの開口部下縁のサイドステップ部を高輝度にムラなく照明して搭乗者が乗降する際の視認を容易にする照明表示付きステップガードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、文字板6とこれを覆う発光パネル3を備え、前記文字板6の裏側に導光体8を備え、この導光体8を囲うように反射板9を備え、前記導光体8の入射端面部83に対向する位置にLED光源12を配置するステップガードにおいて、前記導光体8の断面は、前記入射端面部83から反射端面部84へ向かって厚さが薄くなる楔状とするとともに、前記導光体8の裏面82には、梨地状の乱反射面86を備える構成とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、前記文字板6に凸状の浮き文字7を備え、前記発光パネル3に切り文字孔を備えるとともに、前記浮き文字7を前記発光パネル3の切り文字孔に嵌合させる構成とする。
【0011】
ここで本明細書でいう「浮き文字」とは、文字板の上に形成した凸状の文様を意味し、文字だけではなく、適宜文字、適宜図柄形あるいはこれらの組み合わせを意味する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、導光体の断面を入射端面部から反射端面部へ向かって厚さが薄くなる楔状とするとともに、導光体の裏面には梨地状の乱反射面を備え、そして、反射板の色に工夫を施すことにより、LEDの小さなエネルギー光源を効率よく導光体により収束させ、特定の文字や図柄を高輝度にムラなく照明することができる。そのため、乗降者はドアの開口部の輪郭、車体形状等を確実に視認することができる。また、文字板と反射板とによりLED光源を包囲し、文字板の文字部を残して発光パネルによって面一に被覆し、文字部から発光するようにすることにより、塵、水等が文字部に浸入することがない。さらには、文字、図柄を選ぶことにより、視覚に訴えて美観を起こさせ、人の趣味的感情に投ずる意匠としての要素を満足させるステップガードを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例について、図1〜8を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例に係わる車両のドア部を示す斜視図である。図2は、同上、ステップガードの斜視図である。図3は、同上、ステップガード照明装置の組み立て前の状態を示す斜視図である。図4は、同上、導光体の平面図である。図5は、同上、導光体の側面図である。図6は、同上、導光体の裏面図である。図7は、同上、導光体の模式図である。図8は、図2におけるz−z線断面図である。
【0015】
図1は、本実施例が適用された車両21のドア23部を示し、ドア23により開閉されるドア開口部22の後縁部に設けられたドアスイッチ25を設け、このドアスイッチ25によってドア23の開閉状態を検知する。
【0016】
ステップガード1は、ドア開口部22の下縁部をなすサイドステップ部24の平坦部を覆うように、サイドステップ部24に略合致する形状に形成される。このステップガード1は、図2に示すように、周縁部が合成樹脂製のプレート本体2と、このプレート本体2の内周に発光パネル3を備え、更にこの中側に、ドア23と連動して点灯する発光部4を文字表示部として設ける。ここで、発光パネル3は、例えばアルミニウムのような軽量にして、加工性、耐食性に優れた金属薄板をプレス加工等をすることによって形成される。また、後述するように、発光部4の文字は浮き文字7であり、この文字の型に合わせて発光パネル3に切り文字孔を形成し、ついで、凸状の浮き文字7を発光パネル3の切り文字孔に嵌め合わせ、面一に形成したものである。なお、発光パネル3の切り文字孔の形成方法としては、文字部をエッチング処理あるいはプレス加工等により除去する方法がある。
【0017】
図3は、ステップガード1を組み立てる前の状態を示した斜視図である。ステップガード1は、上から文字板6、導光体8、反射板9から構成される。文字板6は、半透明の合成樹脂製で、表面に浮き文字7をABCとして形成し、枠状の周縁部を備える底無しの蓋箱状体を示す。導光体8は、屈折率が1.4〜1.7程度の透明なアクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂製で、平板状を示し、頭部83は角落ちの形状であって、詳細については後述する。反射板9は、不透明性の合成樹脂製で、導光体装入枠10を備えた有底の箱状体である。長手方向の端部近傍には、LED光源12を設け、これにリード線を結線して、反射板9の外に出す。先ず、反射板9に備える導光体装入枠10の中に、上から導光体8を頭部83の角落ち部を枠に合わせながら装入する。その上に、文字板6の浮き文字7を上にしながら、周囲の枠を反射板9の枠に蓋を閉じるように嵌込む。このようにして、上から文字板6、導光体8、反射板9が重なり、LED光源12を内装した照明装置が組み上がる。
【0018】
次に、導光体8の詳細を図4、5、6、7を参照しながら説明する。図4に平面を示しように、狭幅のほぼ長方形状で入射端面部83は、両側角落ちを施した形状である。図5は、側面図で、テ−パ状に入射端面部83が厚く、反射端面部84側が薄くなる。即ち、導光体8の側面形状は、入射端面部83は厚み大部X、反射端面部84は厚み小部Yを有する楔状を示す。表面81、入射端面部83、反射端面部84および側面85は、平滑面を示すが、裏面82は、微視的には梨地状の凸凹が形成された乱反射層86を示す。この乱反射層86は、エッチング、サンドブラスト、放電加工等の処理によって凸凹が形成され粗面化される。そして、入射端面部83に対向してLED光源12を設ける。なお、導光体8を包み込む反射板9の底面も、導光体8の断面の楔状に合わせて傾斜している(図8に示す)。
【0019】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0020】
図3に示すように、文字板6の表面に形成される浮き文字7は凸状であって、この文字の型に合わせて発光パネル3に切り文字として孔を形成し、ついで、凸状の浮き文字を発光パネル3の文字孔に嵌め合わせ、発光パネル3を面一に仕上げたものである。この状態を図2に示す。発光パネル3は、導光体8から放出される光のうち、文字で構成する発光部4から光を外部へ放射し、他の光を遮蔽するためのマスク材として機能する。また、発光パネル3は、ドアを開けて車内に乗り込む際、足でサイドシルを蹴り飛ばすことによって生じる傷を防止する外部衝撃からの保護機能をもつ。このように、ステップガード1の表面を面一に形成し、文字部の発光部が凹んだ形状ではないので、塵、水等が浸入し、遂には塵、水等が文字板と導光体との間に侵入する恐れがなく、このことによって、導光体表面の傷、汚れが顕著になり、照明を妨げることがない。
【0021】
文字板6の表面に形成される文字については、浮き文字について説明したが、文字板6に切り文字孔を刻むことでもよい。そして、発光パネル3と切り文字との凹みを透明の樹脂で埋めて、ステップガード1の表面を面一に形成することにより、塵、水等が文字板と導光体との間に侵入しないようにすることも可能である。
【0022】
導光体8は、図5、7に示すように、側面が楔状に形成される。導光体8は、表面81、裏面82、側面85、入射端面部83および反射端面部84を有する。この導光体8は、厚さの厚い方を入射端面部83とし、反射端面部84に向かうに従って厚さが薄くなる。図7に示すように、入射端面部83は厚み大部X、反射端面部84は厚み小部Yを有する。
このように、光源からの光を最大限に利用する目的で、断面形状を楔形にすることにより高輝度の光が得られる。そして、入射端面部83に対向してLED光源12を配置し、反射端面部84方向へ向かう光を表面81から出射する。また、裏面82の全域には、微視的には梨地状の凸凹が乱反射層86として形成されているので、これによって、導光体8の全域に亘って拡散光を得ることができるため、光がより均一に散乱して導光体8の表面部81からムラのない光が出射し、表面部81から出射する光の方向性を無くすことが可能である。
【0023】
反射板9の底11、導光体装入枠10とも不透明の白色あるいは銀塗装を施した樹脂により構成され、光の遮断層として機能する。このことにより、反射板9の底11、導光体装入枠10は、導光体8の底面82、側面85、入射端面部83および反射端面部84から放出される光を遮断するので、これらの部分から光の放射が防止され、導光体8の表面81からのみ放射される光は文字部である発光部4に収束され、文字全体に亘って高輝度の発光ムラの少ない光が得られる。即ち、反射板9は光を反射する機能を有し、導光体8の表面部81以外の部分から外に出射する光を反射または乱反射させ、再び導光体8内に入射させて光を全て表面81から出射するようにしている。
【0024】
このようにして、車両用照明装置として構成され、図8を参照しながら、ステップガードにおける光の出射態様を説明する。図8は、図2におけるz−z線断面図である。上部のステップガード1の上面は、斜線で示す発光パネル3に形成される文字孔へ、文字板6の浮き文字7が嵌め込まれ、面一に形成される。この浮き文字7が図2における発光部4に相当する。LED光源12から放出された光は、入射端部面83から導光体8内に導入される。かかる光は導光体8内を進み、乱反射層86へ集められた後、光放出方向である上方へ反射される。反射された光は導光体8の表面81から放出され、複数の浮き文字7部を介して出射される。ここで、導光体8の一部は、乱反射層86が形成されているので、導光体8の裏面82に到達した光を梨地加工した凹凸によって散乱させ、これにより導光体8の表面81から出射する光が一様な明るさになる。また、反射板9の底11および導光体装入枠10が上述したように、光の遮断層の機能を有するので、導光体8から放出された光は、反射板9の底11および導光体装入枠10を通過することなく、効率よく導光体8の表面81の一方向へ放出される。これにより、複数の浮き文字7部を介して、LED光源12からの外に向かって明るい光を放つ。
【産業上の利用可能性】
【0025】
なお、本発明の使途は、自動車のステップガード用照明装置に限るものではなく、各種車両における表示プレート等の照明装置あるいは、住居の内装における表示プレート又は表札等の外装における表示プレート等の照明装置等に、必要に応じて用いても勿論よい。また、看板等ロゴや説明文字、装飾等の発光装置として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係わる車両のドア部を示す斜視図である。
【図2】同上、ステップガードの斜視図である。
【図3】同上、ステップガード照明装置の組み立て前の状態を示す斜視図である。
【図4】同上、導光体の平面図である。
【図5】同上、導光体の側面図である。
【図6】同上、導光体の裏面図である。
【図7】同上、導光体の模式図である。
【図8】同上、図2におけるz−z線断面図である。
【符号の説明】
【0027】
X 厚み大部
Y 厚み小部
1 ステップガード
2 プレート本体
3 発光パネル
4 発光部
5 配線コード
6 文字板
7 浮き文字
8 導光体
81 表面
82 裏面
83 入射端面部
84 反射端面部
85 側面
86 乱反射層
9 反射板
10 導光体装入枠
11 底
12 LED光源
21 車両
22 ドア開口部
23 ドア
24 サイドステップ部
25 ドアスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字板6とこれを覆う発光パネル3を備え、
前記文字板6の裏側に導光体8を備え、
この導光体8を囲うように反射板9を備え、
前記導光体8の入射端面部83に対向する位置にLED光源12を配置するステップガードにおいて、
前記導光体8の断面は、前記入射端面部83から反射端面部84へ向かって厚さが薄くなる楔状とするとともに、
前記導光体8の裏面82には、梨地状の乱反射面86を備える構成としたことを特徴とする照明表示付きステップガード。
【請求項2】
前記文字板6に凸状の浮き文字7を備え、
前記発光パネル3に切り文字孔を備えるとともに、
前記浮き文字7を前記発光パネル3の切り文字孔に嵌合させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の照明表示付きステップガード。













【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−62580(P2006−62580A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249514(P2004−249514)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(503452661)株式会社東販 (4)
【Fターム(参考)】