説明

照明装置およびそのLEDデバイス

【課題】温度上昇に起因して赤色LED列で発生する輝度減衰を低減することが可能なLEDデバイスを提供する。
【解決手段】LEDデバイス100は、ドライバ110と、ドライバに直列で結合されている赤色LED列120と、赤色LED列と並列に、ドライバと直列に結合されているインピーダンス供給部130とを備え、インピーダンス供給部は、値が周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給し、ドライバは、赤色LED列および少なくとも1つのインピーダンス供給部と直列に結合され、シャントインピーダンスおよび内部インピーダンスに応じて、赤色LED列および少なくとも1つのインピーダンス供給部を流れるように分割される駆動電流を供給する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、台湾特許出願第100101135号(出願日:2011年1月12日)による優先権の恩恵を主張する。上記の特許出願の内容は全て、参照により本願に組み込まれ、本明細書の一部を成す。
【技術分野】
【0002】
本発明は、照明装置およびその発光ダイオード(LED)デバイスの構造に関する。特に、輝度減衰(発光低下、光低下、光減衰、光減少または光劣化)を低減したLEDデバイス、および、温度上昇に起因する赤色LEDの輝度減衰を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
環境保護を求める声が高まる中、日常生活における照明としてLEDの利用が当然の流れとなっている。従来の技術によると、青色LEDチップおよび赤色LEDチップが通常、温かみのある照明を提供する照明装置であって、黄色蛍光体および赤色蛍光体が製造時に用いられる照明装置で用いられている。この種の照明装置の動作時間が長くなると、照明装置の周囲の周囲温度は通常、上昇する。特に、赤色LEDの輝度減衰は通常、青色LEDの輝度減衰と比べてより顕著になるので、青色LEDよりも赤色LEDにおいて輝度減衰(発光低下、光低下、光減衰、光減少または光劣化)がより深刻な問題となることが多い。このため、従来の照明装置が提供する照明は、時間が経過すると大幅に変化する傾向があり、このような照明装置の発光性能は大きく損なわれる。
【0004】
このため、この分野では、発光効率を高く維持しつつ長期間にわたって安定した動作が可能な照明装置を提供することが重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、温度上昇に起因して赤色LED列で発生する輝度減衰を低減することが可能なLEDデバイスを提供する。
【0006】
本発明はさらに、温度上昇に起因して赤色LED列で発生する輝度減衰を低減することが可能な照明装置を提供する。当該照明装置は、周囲温度が高い場合でもマクアダム楕円7ステップの要件、最適にはマクアダム楕円4ステップの要件を満たす光を放出することができるという点で有益である。
【0007】
一の側面によると、LEDデバイスは、第1のLEDと、少なくとも1つのインピーダンス供給部と、ドライバとを備えるとしてよい。第1のLEDは、内部インピーダンスを持ち、第1の波長の光を放出するとしてよい。少なくとも1つのインピーダンス供給部は、第1のLEDと並列に結合されており、値が周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給するとしてよい。ドライバは、第1のLEDおよび少なくとも1つのインピーダンス供給部に直列で結合されているとしてよい。ドライバは、シャントインピーダンスおよび内部インピーダンスに応じて第1のLEDおよび少なくとも1つのインピーダンス供給部に流れるように分割される駆動電流を供給するとしてよい。
【0008】
一実施形態によると、駆動電流は、第1のLEDを流れる第1の部分駆動電流と、少なくとも1つのインピーダンス供給部を流れる第2の部分駆動電流とに分割される。第1の部分駆動電流の値と第2の部分駆動電流の値との比は、少なくとも1つのインピーダンス供給部が供給するシャントインピーダンスの値と第1のLEDの内部インピーダンスの値との比に比例するとしてよい。
【0009】
一実施形態によると、少なくとも1つのインピーダンス供給部は、複数のインピーダンス供給部を有し、複数のインピーダンス供給部はそれぞれ、値が前記周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給するとしてよい。
【0010】
一実施形態によると、少なくとも1つのインピーダンス供給部は、正温度係数の半導体部材、サーミスタ、トランジスタ、または、ダイオードを有するとしてよい。
【0011】
一実施形態によると、LEDデバイスはさらに、ドライバ、第1のLED、および、少なくとも1つのインピーダンス供給部に直列で結合されている第2のLEDを備えるとしてよい。第2のLEDは、第2の波長の光を放出するとしてよい。
【0012】
一実施形態によると、第2のLED、第1のLEDおよびドライバは、第2のLEDがドライバと第1のLEDとの間に結合されるように、または、第1のLEDがドライバと第2のLEDとの間に結合されるように、直列に結合されるとしてよい。
【0013】
一実施形態によると、第2のLEDは、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有するとしてよい。
【0014】
別の側面によると、LEDデバイスは、第1のLEDと、少なくとも1つのインピーダンス供給部と、1以上の第2のLEDから構成される第2のLED列と、ドライバとを備えるとしてよい。第1のLEDは、内部インピーダンスを有し、第1の波長の光を放出するとしてよい。少なくとも1つのインピーダンス供給部は、第1のLEDと並列に結合されており、値が周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給するとしてよい。1以上の第2のLEDで構成される列は、第1のLEDおよび少なくとも1つのインピーダンス供給部と直列で結合されてよい。1以上の第2のLEDはそれぞれ、第1の波長より小さい波長の光を放出するとしてよい。ドライバは、第1のLED、第2のLED列、および少なくとも1つのインピーダンス供給部に直列で結合されているとしてよい。ドライバは、第2のLED列に駆動電流を供給するとしてよい。駆動電流は、シャントインピーダンスおよび内部インピーダンスに応じて第1のLEDおよび少なくとも1つのインピーダンス供給部に流れるように分割される。
【0015】
一実施形態によると、駆動電流は、第1のLEDを流れる第1の部分駆動電流と、少なくとも1つのインピーダンス供給部を流れる第2の部分駆動電流とに分割される。第1の部分駆動電流の値と第2の部分駆動電流の値との比は、少なくとも1つのインピーダンス供給部が供給するシャントインピーダンスの値と第1のLEDの内部インピーダンスの値との比に比例するとしてよい。
【0016】
一実施形態によると、少なくとも1つのインピーダンス供給部は、複数のインピーダンス供給部を有し、複数のインピーダンス供給部はそれぞれ、値が周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給するとしてよい。
【0017】
一実施形態によると、少なくとも1つのインピーダンス供給部は、正温度係数の半導体部材、サーミスタ、トランジスタ、または、ダイオードを含むとしてよい。
【0018】
一実施形態によると、第1のLEDは、赤色LEDを有するとしてよく、第2のLED列は、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有するとしてよい。
【0019】
一実施形態によると、LEDデバイスはさらに、1以上の第3のLEDを含む列が、ドライバ、第1のLED、第2のLED列、および、少なくとも1つのインピーダンス供給部のそれぞれに直列に結合されてもよい。1以上の第3のLEDはそれぞれ、第1の波長より小さい波長の光を放出するとしてよい。
【0020】
一実施形態によると、第3のLED列は、ドライバと第1のLEDとの間で直列に結合されるとしてよい。
【0021】
一実施形態によると、第1のLEDは、赤色LEDを有するとしてよく、第3のLED列は、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有するとしてよい。
【0022】
一の側面によると、第1のLEDと、少なくとも1つのインピーダンス供給部と、第2のLEDと、ドライバとを備える照明装置を提供する。第1のLEDは、内部インピーダンスを持ち、第1の光低下が発生する。少なくとも1つのインピーダンス供給部は、第1のLEDに並列に結合されている。少なくとも1つのインピーダンス供給部は、値が周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給する。第2のLEDは、第1のLEDおよび少なくとも1つのインピーダンス供給部に直列で結合されている。第2のLEDでは、第2の光低下が発生する。第1の光低下は、第2の光低下よりも大きい。ドライバは、第1のLED、第2のLED、および、少なくとも1つのインピーダンス供給部に直列で結合されている。ドライバは、第2のLEDに駆動電流を供給する。駆動電流は、シャントインピーダンスおよび内部インピーダンスに応じて第1のLEDおよび少なくとも1つのインピーダンス供給部に流れるように分割される。
【0023】
一実施形態によると、少なくとも1つのインピーダンス供給部は、正温度係数の半導体部材、サーミスタ、トランジスタ、または、ダイオードを有する。
【0024】
一実施形態によると、第3のLEDは、第1のLED、第2のLED、少なくとも1つのインピーダンス供給部、および、ドライバに直列で結合されている。第3のLEDでは、第3の光低下が発生する。
【0025】
一実施形態によると、第1の光低下は、前記第3の光低下よりも大きい。
【0026】
一実施形態によると、第3のLEDは、ドライバと第1のLEDとの間で直列に結合されている。
【0027】
一実施形態によると、第1のLEDは、赤色LEDを有する。第2のLEDは、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有する。第3のLEDは、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有する。
【0028】
一実施形態によると、駆動電流は、第1のLEDを流れる第1の部分駆動電流および少なくとも1つのインピーダンス供給部を流れる第2の部分駆動電流に分割される。第1の部分駆動電流の値と第2の部分駆動電流の値との比は、少なくとも1つのインピーダンス供給部が供給するシャントインピーダンスの値と第1のLEDの内部インピーダンスの値との比に比例する。
【0029】
一の側面によると、照明装置は、LEDデバイスを備えるとしてよい。LEDデバイスは、第1のLEDと、少なくとも1つのインピーダンス供給部と、ドライバとを有するとしてよい。第1のLEDは、内部インピーダンスを持ち、第1の波長の光を放出するとしてよい。少なくとも1つのインピーダンス供給部は、第1のLEDと並列に結合されており、値が周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給するとしてよい。ドライバは、第1のLEDおよび少なくとも1つのインピーダンス供給部に直列で結合されているとしてよい。ドライバは、第1のLEDを流れる第1の部分駆動電流と、少なくとも1つのインピーダンス供給部を流れる第2の部分駆動電流とに分割される駆動電流を供給するとしてよい。第1の部分駆動電流の値と第2の部分駆動電流の値との比は、少なくとも1つのインピーダンス供給部が供給するシャントインピーダンスの値と第1のLEDの内部インピーダンスの値との比に比例するとしてよい。
【0030】
一実施形態によると、少なくとも1つのインピーダンス供給部は、正温度係数の半導体部材、サーミスタ、トランジスタ、または、ダイオードを有するとしてよい。
【0031】
一実施形態によると、照明装置はさらに、1以上の第2のLEDで構成される列は、第1のLEDおよびドライバに直列に結合されてもよい。1以上の第2のLEDはそれぞれ、第1の波長より小さい波長の光を放出するとしてよい。別の実施形態によると、照明装置はさらに、1以上の第3のLEDを含む列は、ドライバ、第1のLED、および、第2のLED列のそれぞれに直列に結合されてもよい。1以上の第3のLEDはそれぞれ、第1の波長より小さい波長の光を放出するとしてよい。
【0032】
一実施形態によると、第3のLED列は、ドライバと第1のLEDとの間で直列に結合されるとしてよい。
【0033】
一実施形態によると、第1のLEDは、赤色LEDを有するとしてよい。第2のLED列は、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有するとしてよい。第3のLED列は、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有するとしてよい。
【0034】
一実施形態によると、少なくとも1つの第1のLEDはそれぞれ、少なくとも1つのインピーダンス供給部のうち対応する1つに並列で結合されているとしてよい。照明装置はさらに、複数の第2のLED列を備えるとしてよい。複数の第2のLED列はそれぞれ、少なくとも1つの第1のLEDのうち対応する1つおよびドライバに直列で結合されているとしてよい。複数の第2のLED列のそれぞれに含まれるLEDはそれぞれ、第1の波長より小さい波長の光を放出するとしてよい。
【0035】
本発明が提供する特徴および恩恵を理解し易くするべく、添付図面を参照しつつ以下の詳細な説明では実施例を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係るLEDデバイスを示すブロック図である。
【0037】
【図2A】本発明の別の実施形態に係るLEDデバイスを示すブロック図である。
【0038】
【図2B】発光効率、LEDデバイスの相対輝度および周囲温度の関係を示す図である。
【図2C】発光効率、LEDデバイスの相対輝度および周囲温度の関係を示す図である。
【0039】
【図3A】本発明のさらに別の実施形態に係るLEDデバイスを示すブロック図である。
【0040】
【図3B】本発明のさらに別の実施形態に係るLEDデバイスを示すブロック図である。
【0041】
【図4】本発明の実施形態に係る照明装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の実施形態に係るLEDデバイス100を示す図である。LEDデバイス100は、ドライバ110、1以上の赤色LEDから構成される赤色LED列120、および、インピーダンス供給部130を備える。ドライバ110は、駆動電流IDを供給する。ドライバ110は、安定した電流である駆動電流IDを供給するべく、電圧制御された電流源または独立した電流源を利用する電流生成器を有するとしてよい。安定した駆動電流を供給可能な電流生成デバイスは公知であるので、説明を簡略化するべく、ドライバ110の詳細な説明は省略する。
【0043】
赤色LED列120では、N個のLED121が直列に結合されている。Nは正の整数である。図1は、一の実施例を示しており、Nは1である。赤色LED列120が含むLEDの数が2以上の場合、N個のLEDは同一方向で(例えば、ドライバ110に対して正のバイアスがかかるように)直列に結合される。
【0044】
インピーダンス供給部130は、赤色LED列120と並列に結合される。インピーダンス供給部130は、シャントインピーダンスRDを供給する。シャントインピーダンスRDの値は、インピーダンス供給部130の周囲の周囲温度に応じて決まる。つまり、電流に関するキルヒホフの法則によると、ドライバ110が供給する駆動電流IDは、第1の部分駆動電流ID1および第2の部分駆動電流ID2に分割される。第1の部分駆動電流ID1および第2の部分駆動電流ID2はそれぞれ、赤色LED列120およびインピーダンス供給部130を流れる。駆動電流IDの値は、第1の部分駆動電流ID1の値および第2の部分駆動電流ID2の値の合計に等しい。具体的に説明すると、赤色LED列120における電圧降下は、インピーダンス供給部130における電圧降下に等しい。
【0045】
また、第1の部分駆動電流ID1の値と第2の部分駆動電流ID2の値との比は、インピーダンス供給部130が提供するシャントインピーダンスRDの値と赤色LED列120の内部インピーダンスの値との比に比例して決まる。少なくとも1つの実施形態では、インピーダンス供給部130が供給するシャントインピーダンスRDの値は、周囲温度の変化に対して正の比例関係で変化することに留意されたい。例えば、周囲温度が上昇すると、シャントインピーダンスRDも比例して増加する。
【0046】
要約すると、インピーダンス供給部130が供給するシャントインピーダンスRDの値が赤色LED列120の内部インピーダンスの値よりも大きい場合、第1の部分駆動電流ID1の値は、第2の部分駆動電流ID2の値よりも大きい。逆に、インピーダンス供給部130が供給するシャントインピーダンスRDの値が赤色LED列120の内部インピーダンスの値よりも小さい場合、第1の部分駆動電流ID1の値は、第2の部分駆動電流ID2の値よりも小さい。インピーダンス供給部130が供給するシャントインピーダンスRDの値が赤色LED列120の内部インピーダンスの値と等しい場合、駆動電流IDは、第1の部分駆動電流ID1の値および第2の部分駆動電流ID2の値の間で等分に分割される。
【0047】
上記の説明によると、LEDデバイス100が長期間にわたって動作すると、周囲温度が経時的に上昇することに応じて、インピーダンス供給部130が供給するシャントインピーダンスRDの値が上昇することが明らかである。シャントインピーダンスRDの値が大きくなると、赤色LED列120を流れる第1の部分駆動電流ID1の値も大きくなる。周囲温度の上昇に起因する第1の部分駆動電流ID1の増加は、赤色LED列120の輝度の低下または減衰を補償する効果を持つ。このような補償効果がない場合には、周囲温度の上昇によって赤色LED列120の輝度が低下または減衰してしまう。
【0048】
また、インピーダンス供給部130が供給するシャントインピーダンスRDの値は、赤色LED列120の輝度減衰の温度依存性、および、赤色LED列120の輝度と駆動電流IDとの関係に基づいて選択される。
【0049】
少なくとも1つの実施形態によると、インピーダンス供給部130は、正温度係数のサーミスタを含むとしてよい。赤色LED列120のLED121が赤色LEDチップを含む場合、インピーダンス供給部130は、チップ製造プロセス中に製造される正温度係数の半導体部材、例えば、正温度係数のトランジスタまたはダイオードであってよい。
【0050】
図2Aは、本発明の別の実施形態に係るLEDデバイス200を示す図である。LEDデバイス200は、ドライバ210、1以上の赤色LEDから構成される赤色LED列220、および、複数のインピーダンス供給部231−23Mを備える。上述の例と比べると、LEDデバイス200は、複数のM個のインピーダンス供給部231−23Mを備えており、Mは正の整数である。インピーダンス供給部231−23Mはそれぞれ、赤色LED列220に並列に結合されている。また、複数のインピーダンス供給部231−23Mは、複数のシャントインピーダンスを供給し、各シャントインピーダンスの値は、周囲温度の変化に応じて正比例関係で変化する。図示した例では、赤色LED列220では、3つのLEDが直列に結合されている。ドライバ210は、駆動電流IDを供給し、駆動電流IDは、複数の部分駆動電流ID1、ID21、・・・、ID2Mに分割される。部分駆動電流ID1、ID21、・・・、ID2Mの値は、複数のインピーダンス供給部231−23Mのシャントインピーダンスの値、および、赤色LED列220の内部インピーダンスの値に応じて決まる。具体的に説明すると、部分駆動電流ID1は、赤色LED列220を流れて、赤色LED列220から発光させる。また、赤色LED列220における電圧降下は、複数のインピーダンス供給部231−23Mのそれぞれにおける電圧降下と等しい。
【0051】
図2Bおよび図2Cはそれぞれ、発光効率、LEDデバイスの相対輝度、および、周囲温度の関係を示す図である。図2Bに示すように、曲線210は、従来のLEDデバイスの発光効率と周囲温度との関係を示す。従来のLEDデバイスは、1以上の赤色LEDから構成される赤色LED列として直列に結合された2個のLEDを備え、インピーダンス供給部は備えていない。曲線220は、本明細書で提案するLEDデバイスの発光効率と周囲温度との関係を示す。本明細書で提案するLEDデバイスは、1以上の赤色LEDから構成される赤色LED列として直列に結合された2個のLEDを備え、また、赤色LED列と並列に結合されている1以上のインピーダンス供給部を備える。具体的に説明すると、曲線210で示す従来のLEDデバイスの赤色LED列は、周囲温度が摂氏50度を超えると輝度が大幅に減衰してしまう。これとは対照的に、曲線220で示す本明細書で提案するLEDデバイスの赤色LED列は、周囲温度が摂氏60度を超えるまで、輝度に目立つ減衰は見られない。
【0052】
図2Cに示すように、曲線230は、従来のLEDデバイスの発光の相対輝度と周囲温度との関係を示す。従来のLEDデバイスは、1以上の赤色LEDから構成される赤色LED列として直列に結合された2個のLEDを備え、インピーダンス供給部は備えていない。曲線240は、本明細書で提案するLEDデバイスの発光の相対輝度と周囲温度との関係を示す。本明細書で提案するLEDデバイスは、2個の赤色LEDが直列に結合されており、2つのインピーダンス供給部が、2つの赤色LEDと並列に結合されていると共に、且つ、互いに並列に結合されている。曲線250は、本明細書で提案する別のLEDデバイスの発光の相対輝度と周囲温度との関係を示す。このLEDデバイスは、3つの赤色LEDが直列に結合されており、3つのインピーダンス供給部が、互いに並列に結合されているとともに、3つの赤色LEDと並列に結合されている。具体的に説明すると、周囲温度が摂氏100度の場合、曲線230で示す赤色LED列での輝度減衰は44%であり、曲線240で示す2つの赤色LEDでの輝度減衰は28%であり、曲線250で示す3つの赤色LEDでの輝度減衰は12%に過ぎない。
【0053】
図3Aは、本発明のさらに別の実施形態に係るLEDデバイス200を示す図である。図2Aに示した例に比べると、図3AのLEDデバイス200は、LED列260をさらに備える。LED列260および赤色LED列220は、ドライバ210に直列で結合されており、駆動電流IDを受け取って光を放出する。LED列260は、1以上の赤色以外の色のLEDを含む。図示した例では、LED列260は、直列で結合されている複数の赤色以外の色のLED261−263を含む。LED261の電流入力端子は、赤色LED列220の電流出力端子に結合されている。LED261の電流入力端子はさらに、複数のインピーダンス供給部231−23Mのそれぞれの電流出力端子に結合されている。LED列260を追加することで、LEDデバイス200が放出する光の色を変化させ得る。
【0054】
図3Bは、本発明のさらに別の実施形態に係るLEDデバイス300を示す図である。図3Aに図示した例と比べると、LEDデバイス300は、赤色以外の色のLED列を2つ備える。つまり、赤色以外の色のLED列260と、赤色以外の色のLED列280を備える。赤色以外の色のLED列280は、ドライバ210と、赤色LED列220との間に直列に結合されているとしてよい。さまざまな実施形態によると、赤色以外の色のLED列260および280は、回路内のさまざまな箇所に配置するとしてよいが、ドライバ210および赤色LED列220に直列に結合される。また、赤色以外の色のLED列の数は、2つのLED列260および280に限定されない。
【0055】
言うまでも無く、赤色以外の色のLED列260および280のそれぞれのLED列が含むLEDの数は、3個に限定されない。さまざまな実施形態によると、本明細書で提案する方法は、赤色以外の色のLEDを少なくとも1つ含む赤色以外の色のLED列260および280のそれぞれを用いて実現し得る。また、輝度減衰(発光低下、光減衰、光低下、光減少または光劣化)は一般的に、赤色以外の色のLEDよりも赤色LEDでより深刻である。
【0056】
一実施形態によると、赤色以外の色のLED列260および280の一方または両方は、1以上の青色LEDを含むとしてよい。一実施形態によると、赤色以外の色のLED列260および280は、例えば、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LEDまたはこれらの組み合わせ等の赤色以外の色のうち、赤色以外の色のLEDを1以上含むとしてよい。
【0057】
図4は、本発明の実施形態に係る照明装置400を示す図である。照明装置400は、ドライバ410、複数の青色LED列421−423、複数の赤色LED列431−433、および、複数のインピーダンス供給部441−443を備える。ドライバ410は、青色LED列421−423のそれぞれに供給される複数の駆動電流IDA1−IDA3を生成する。具体的に説明すると、駆動電流IDA1は、青色LED列421を流れた後、インピーダンス供給部441および赤色LED列431を流れるように分割される。駆動電流IDA2は、青色LED列422を流れた後、インピーダンス供給部442および赤色LED列432を流れるように分割される。駆動電流IDA3は、青色LED列423を流れた後、インピーダンス供給部443および赤色LED列433を流れるように分割される。赤色LED列431−433のそれぞれが発光する光の波長は、青色LED列421−423のそれぞれが発光する光の波長よりも大きい。一般的には、本発明に係る赤色以外の色のLEDはそれぞれ、赤色LEDが発光する光の波長が赤色以外のLEDが発光する光の波長よりも大きくなるように選択される。
【0058】
ドライバ410は、駆動電流IDA1をミラーリングするカレントミラーを利用して駆動電流IDA2およびIDA3を供給するとしてよい。カレントミラーの回路は公知であるので、説明を簡略化するべく、詳細な説明はここでは省略する。
【0059】
インピーダンス供給部441−443を用いた赤色LED列431−433の輝度減衰の補償に関しては、動作の一例および原理を上述したので、説明を簡略化するべく、詳細な説明はここでは省略する。
【0060】
要約すると、本発明は、1以上のインピーダンス供給部を赤色LED列と並列に結合することによって、値が周囲温度に応じて決まるシャントインピーダンスを提供する。これに応じて、ドライバが供給し、赤色LED列を流れる駆動電流の部分駆動電流の値は、シャントインピーダンスの値の変化に応じて変化する。このため、赤色LED列を流れる部分駆動電流は、周囲温度に応じて調整される。これによって、周囲温度の上昇による輝度の減衰が効果的に補償される。この方法によれば、照明装置は、周囲温度が高い場合でも、マクアダム楕円7ステップの要件、最適にはマクアダム楕円4ステップの要件を満たす光を放出することが可能となる。赤色LED列を流れる部分駆動電流を変化させることを目的としてインピーダンス供給部が周囲温度を感知できるようにするべく、インピーダンス供給部と赤色LED列を構成するLEDとの間の距離は、5センチメートル以下とする。この距離は、4センチメートル未満であるのが理想的であり、3センチメートル未満であるのが最適である。この構成によれば、インピーダンス供給部は、周囲温度を効果的に感知できるので、シャントインピーダンスの値は周囲温度の変化に比例して変化する。さまざまな実施形態によると、本明細書で説明するLEDは、LEDチップ、LEDパッケージまたはこれらの組み合わせとして実現されているとしてよい。
【0061】
本発明に係る照明装置は、白色光を生成するために黄色蛍光体を利用しつつ、任意の市販の照明モジュール、例えば、A40、A60、MR16、PAR30、PAR38またはGU10と組み合わせて利用されるとしてよい。また、赤色蛍光体を追加して彩度を高めるとしてよい。また、本発明に係るLEDデバイスは、室内照明装置、室外照明装置、バックライトモジュール、および、指示デバイスで利用するとしてよい。
【0062】
本発明の具体的な実施形態を開示してきたが、当業者におかれては、本発明の意図および範囲から逸脱することなく形態および詳細な内容を上記およびその他の方法で変更し得るものと理解されたい。本発明の範囲は、請求項によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部インピーダンスを持ち、第1の波長の光を放出する第1の発光ダイオード(LED)と、
前記第1のLEDと並列に結合されており、値が周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給する少なくとも1つのインピーダンス供給部と、
前記第1のLEDおよび前記少なくとも1つのインピーダンス供給部のそれぞれに直列で結合されており、前記シャントインピーダンスおよび前記内部インピーダンスに応じて前記第1のLEDおよび前記少なくとも1つのインピーダンス供給部に流れるように分割される駆動電流を供給するドライバと
を備えるLEDデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのインピーダンス供給部は、複数のインピーダンス供給部を有し、前記複数のインピーダンス供給部はそれぞれ、値が前記周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給する請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのインピーダンス供給部は、正温度係数の半導体部材、サーミスタ、トランジスタ、または、ダイオードを有する請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項4】
前記ドライバ、前記第1のLED、および、前記少なくとも1つのインピーダンス供給部に直列で結合されており、第2の波長の光を放出する第2のLEDをさらに備える請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項5】
前記第2のLED、前記第1のLED、および、前記ドライバは、前記第2のLEDが前記ドライバと前記第1のLEDとの間に結合されるように、または、前記第1のLEDが前記ドライバと前記第2のLEDとの間に結合されるように、直列に結合される請求項4に記載のLEDデバイス。
【請求項6】
前記駆動電流は、前記第1のLEDを流れる第1の部分駆動電流と、前記少なくとも1つのインピーダンス供給部を流れる第2の部分駆動電流とに分割され、前記第1の部分駆動電流の値と前記第2の部分駆動電流の値との比は、前記少なくとも1つのインピーダンス供給部が供給する前記シャントインピーダンスの値と前記第1のLEDの前記内部インピーダンスの値との比に比例する請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項7】
内部インピーダンスを有し、第1の波長の光を放出する第1の発光ダイオード(LED)と、
前記第1のLEDと並列に結合されており、値が周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給する少なくとも1つのインピーダンス供給部と、
それぞれが前記第1のLEDおよび前記少なくとも1つのインピーダンス供給部と直列で結合されている1以上の第2のLEDから構成される第2のLED列であって、前記1以上の第2のLEDはそれぞれ、前記第1の波長より小さい波長の光を放出する第2のLED列と、
前記第1のLED、前記第2のLED列、および前記少なくとも1つのインピーダンス供給部に直列で結合されており、前記第2のLED列に駆動電流を供給するドライバと
を備え、
前記駆動電流は、前記シャントインピーダンスおよび前記内部インピーダンスに応じて前記第1のLEDおよび前記少なくとも1つのインピーダンス供給部に流れるように分割されるLEDデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのインピーダンス供給部は、複数のインピーダンス供給部を有し、前記複数のインピーダンス供給部はそれぞれ、値が前記周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給する請求項7に記載のLEDデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのインピーダンス供給部は、正温度係数の半導体部材、サーミスタ、トランジスタ、または、ダイオードを含む請求項7に記載のLEDデバイス。
【請求項10】
前記第1のLEDは、赤色LEDを有し、
前記第2のLED列は、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有する請求項7に記載のLEDデバイス。
【請求項11】
それぞれが前記ドライバ、前記第1のLED、前記第2のLED列、および、前記少なくとも1つのインピーダンス供給部に直列で結合されている1以上の第3のLEDから構成される第3のLED列をさらに備え、前記1以上の第3のLEDはそれぞれ、前記第1の波長より小さい波長の光を放出する請求項7に記載のLEDデバイス。
【請求項12】
前記第3のLED列は、前記ドライバと前記第1のLEDとの間で直列に結合される請求項11に記載のLEDデバイス。
【請求項13】
前記駆動電流は、前記第1のLEDに流れる第1の部分駆動電流と、前記少なくとも1つのインピーダンス供給部に流れる第2の部分駆動電流とに分割され、
前記第1の部分駆動電流の値と前記第2の部分駆動電流の値との比は、前記少なくとも1つのインピーダンス供給部が供給する前記シャントインピーダンスの値と前記第1のLEDの前記内部インピーダンスの値との比に比例する請求項11に記載のLEDデバイス。
【請求項14】
内部インピーダンスを持ち、第1の光低下が発生する第1のLEDと、
前記第1のLEDに並列に結合されており、値が周囲温度の変化に正比例して変化するシャントインピーダンスを供給する少なくとも1つのインピーダンス供給部と、
前記第1のLEDおよび前記少なくとも1つのインピーダンス供給部のそれぞれに直列で結合されており、第2の光低下が発生する第2のLEDと、
前記第1のLED、前記第2のLED、および、前記少なくとも1つのインピーダンス供給部のそれぞれに直列で結合されており、前記第2のLEDに駆動電流を供給するドライバと
を備え、
前記第1の光低下は、前記第2の光低下よりも大きく、
前記駆動電流は、前記シャントインピーダンスおよび前記内部インピーダンスに応じて前記第1のLEDおよび前記少なくとも1つのインピーダンス供給部に流れるように分割される照明装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのインピーダンス供給部は、正温度係数の半導体部材、サーミスタ、トランジスタ、または、ダイオードを有する請求項14に記載の照明装置。
【請求項16】
前記第1のLED、前記第2のLED、前記少なくとも1つのインピーダンス供給部、および、前記ドライバに直列で結合されており、第3の光低下が発生する第3のLEDをさらに備える請求項14に記載の照明装置。
【請求項17】
前記第1の光低下は、前記第3の光低下よりも大きい請求項16に記載の照明装置。
【請求項18】
前記第3のLEDは、前記ドライバと前記第1のLEDとの間で直列に結合されている請求項17に記載の照明装置。
【請求項19】
前記第1のLEDは、赤色LEDを有し、
前記第2のLEDは、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有し、
前記第3のLEDは、青色LED、緑色LED、黄色LED、橙色LED、紫外線LED、近青色LED、白色LED、または、これらの組み合わせを有する請求項17に記載の照明装置。
【請求項20】
前記駆動電流は、前記第1のLEDを流れる第1の部分駆動電流および前記少なくとも1つのインピーダンス供給部を流れる第2の部分駆動電流に分割され、
前記第1の部分駆動電流の値と前記第2の部分駆動電流の値との比は、前記少なくとも1つのインピーダンス供給部が供給する前記シャントインピーダンスの値と前記第1のLEDの前記内部インピーダンスの値との比に比例する請求項14に記載の照明装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−146985(P2012−146985A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−4012(P2012−4012)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(599037300)億光電子工業股▲ふん▼有限公司 (69)
【氏名又は名称原語表記】Everlight Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】