説明

照明装置および欠陥検査装置

【課題】焦点距離の短い撮像レンズを使用しても周辺光量の低下を抑える欠陥検査装置および照明装置を提供する。
【解決手段】LEDアレイ21の長手方向両端を含む複数個のLED20Bは長手方向中央側を向く角度、つまり撮影レンズ16の光軸方向を向く方向に固定され、LEDアレイ21の長手方向中央を含むLED20Aはそのまま角度をつけずに撮影レンズ16に対向している。LEDアレイ21の長手方向両端近傍でLED20の光軸は撮影レンズ16の光学的中心方向を向くことになるため、周辺光量(この場合は銅箔50の幅方向両端部の照明光量)が不足することなく、CCDカメラ14の視野全域に亘って照明光量を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置および欠陥検査装置に関し、特に長尺帯状をなした被検査物の表面を反射光で検査する欠陥検査装置およびこれに用いられる反射照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場の生産ライン上で長尺帯状の製品または材料の表面について異常の有無を検査するために、被検査物の表面に照明光を照射し、被検査物の表面反射による反射光をCCDカメラ等の撮像手段で撮像、得られた画像データをコンピュータで画像処理して解析し、異常の有無を検出する欠陥検査装置が存在する。
【0003】
例えば、半導体装置の外形寸法をほぼ半導体素子の外形寸法にまで小型化したチップサイズパッケージ(CSP)において、ポリイミド基材等の基材の表面に蒸着などにより銅箔などの導電膜を形成した後、通常のエッチング技術を用いてCSP用の配線、電極、ビームリード及びスルーホールなどのパターンを複数繰り返してパタンニングした長尺状のテープについて、テープ上に形成された複数のパターンのうち欠陥のあるパターンを検出し、欠陥のないパターンと区別できるようにする欠陥検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1の例では、テープ上をCCDカメラ等で走査撮影し異常の有無を検出する。このときCCDカメラのレンズは焦点距離が短い(ワイド)ほど画角が広くなるため、テープの搬送面とCCDカメラとを接近して配置することができるので、装置全体を小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−013096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、撮影時にテープを照明する光源としてLEDアレイ等の指向性のあるものを使用した場合、走査幅方向の周縁部近傍はCCDカメラの光軸に対してLEDの照射角度が大きくなるため十分な光量が確保できず、光量不足となる虞があった。
【0007】
そのため本発明は、焦点距離の短い撮像レンズを使用しても周辺光量の低下を抑える欠陥検査装置および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の照明装置は、撮像光学系を備えた撮像装置と組み合わされ、前記撮像光学系の光軸と交差する方向に延設される照明装置であって、指向性をもつ光源を直線状に配列し、配列方向両端を含む複数の光源の光軸を、配列方向中央に向けたことを特徴とする。
【0009】
上記の発明では、照明装置の配列方向(=長手方向)両端を含む複数の光源の光軸を、長手方向中央に向けたことによって、撮像光学系の写野周縁部における光量低下を抑えることができる。
【0010】
請求項2に記載の欠陥検査装置は、表面を反射面として帯状に搬送される長尺ベルト状の被検査物を検査する欠陥検査装置であって、搬送される前記被検査物の表面を搬送幅方向にわたって撮像する撮像手段と、前記被検査物の搬送方向上流側または下流側から前記被検査物を搬送幅方向にわたって照明し前記反射面で反射させる請求項1に記載の照明装置と、前記撮像手段で撮像された画像を解析し、前記被検査物の表面の異常の有無を検出する解析手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記の発明では、照明装置の長手方向両端を含む複数の光源の光軸を、長手方向中央に向けたことによって、搬送幅方向両端部を照明し撮像手段に入射する被検査物の光量が増加するので、撮像された画像の写野周縁部における光量低下を抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、焦点距離の短い撮像レンズを使用しても周辺光量の低下を抑える欠陥検査装置および照明装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置を示す概念図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置の一部を示す拡大斜視図である。
【図3】図2に示す照明装置の構造を示す概念図である。
【図4】図2に示す照明装置の構造を示す概念図である。
【図5】本発明に係るLEDの加工法および治具を示す概念図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る欠陥検査装置の一部を示す概念図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る照明装置の構造を示す概念図である。
【図8】従来の欠陥検査装置を示す概念図である。
【図9】従来の欠陥検査装置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。ここで、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0015】
<第1実施形態>
図1〜図3は、本願発明の第1の実施形態に係る欠陥検査装置を示した概念図および斜視図である。
【0016】
<全体構成>
【0017】
この実施の形態の欠陥検査装置では、例として銅などの金属薄膜を圧延加工しテープ状の金属箔とした被検査物である銅箔50の表面をCCDカメラで撮像し、解析手段で解析することにより被検査物である銅箔50の表面における異常の有無を検出する。銅箔50は、長尺テープ状に巻き取られてロール状に形成された銅箔ロールとして欠陥検査装置に取り付けられている。
【0018】
本実施の形態の欠陥検査装置10は、主として筐体60に供給側銅箔ロール52と、搬送ローラ48と、テンションローラ46と、巻き取り側銅箔ロール54と、照明装置12と、撮影手段としてのCCDカメラ14と、欠陥検出手段としてのコンピュータ40と、制御部42とから構成されている。
【0019】
図1に示されるように欠陥検査装置10には、銅箔50が図示しないモータなどの駆動手段で駆動される搬送ローラ48にて供給側銅箔ロール52から引き出され、一対のテンションローラ46の間を所定の張力を維持しながら搬送される。銅箔50は巻き取り側の搬送ローラ48で更に搬送され、巻き取り側銅箔ロール54に巻き取られる。
【0020】
このとき、供給側銅箔ロール52および巻き取り側銅箔ロール54は図示しないモータ等の駆動手段で回転駆動され、かつ搬送ローラ48による搬送速度に影響することを防ぐため、搬送ローラ48にテンションが掛からないよう適度な弛みを維持しながら供給/巻き取りを行う。この制御は例えばテンションローラ46、あるいは張力検出用に設けられたローラの回転軸位置の変動等で検出してもよい。
【0021】
銅箔50はテンションローラ46の間を所定の速度で搬送され、照明装置12により照明される。照明装置12は図2、図3に示すように、例えばLED20を直線状に配列したLEDアレイ21からなり、図中矢印S方向に搬送中の銅箔50に対して照明光を照射する。CCDカメラ14は、照明装置12により照明された位置の銅箔50を撮影し、撮影画像は画像信号としてコンピュータ40に出力する。
【0022】
コンピュータ40は、CCDカメラ14から出力された画像信号を処理して銅箔50表面が均一の平面であるかを常時検知し続ける。銅箔50の表面に異常があれば(表面が均一の平面でないとコンピュータ40で判定されれば)異常を検出すると共に、テンションローラ46の回転数などの位置情報に基づいて、銅箔50の移動量(即ち、銅箔50の幅方向の位置及び銅箔50の搬送長さ方向の移動量)を演算し、制御部42に出力する。
【0023】
制御部42は、コンピュータ40により欠陥ありと判断された箇所に対し、その位置情報を図示しない記録手段に異常箇所の位置情報として記録する。あるいは異常を検知した時点で作業者に警告を与え、対応作業を促す。
【0024】
<照明装置>
図3に示すように、照明装置12より発せられた照明光は銅箔50の表面で反射され、CCDカメラ14で撮像され、画像は画像信号としてコンピュータ40に出力される。CCDカメラ14は撮影レンズ16とラインCCDセンサ18とで構成されている。
【0025】
このとき、図3(B)に示すように銅箔50の搬送方向(図中矢印S方向)上流側からLEDアレイ21である照明装置12で照射された光は、それぞれのLED20において光軸20L方向に指向性をもっている。
【0026】
すなわち図3(A)(C)に示すように、光源となるLED20を直線状に配列したLEDアレイ21の、長さ方向(銅箔50の搬送幅方向)両端部のLED20Bでは光軸20LB、長さ方向中央部のLED20Aでは光軸20LAに沿った方向に光を照射する。これは所謂砲弾型LEDが先端部に集光レンズ構造を備え、光束を収束させているためであって、被検査物(銅箔50)の照度を高めるため光束に指向性を持たせている。
【0027】
このとき図4に示すようにLEDアレイ21は、スペーサ24および基板26に固定されたLED20の角度を長手方向両端と中央とで変えることにより、LED20より照射される光を図3(A)のように撮影レンズ16の画角θ1に略合致させる構成とされている。
【0028】
すなわちLEDアレイ21の長手方向両端を含む複数個のLED20Bは長手方向中央側を向く角度、つまり撮影レンズ16の光軸方向を向く方向に固定され、LEDアレイ21の長手方向中央を含むLED20Aはそのまま角度をつけずに撮影レンズ16に対向している。ただし実際には図3(B)に示すように、LED20より照射される光は銅箔50の表面で反射されCCDカメラ14側で受光する。
【0029】
このとき図4に示すように、LED20Bはスペーサ24および基板26より飛び出した脚22部分が撮影レンズ16の光軸方向を向く方向に所定の角度で折り曲げられ、光軸20LBもまた同様に所定の角度で長手方向中央を向いている。すなわち脚22部分が途中で折り曲げられているのでLED20Bの先頭部分は脚22が折り曲げられた方向(=長手方向中央を向く方向)に向いている。あるいは脚22を折り曲げる替わりにスペーサ24および基板26に設けられLED20が挿入される穴を斜め方向に設け、挿入されるLED20Bの光軸20LBが長手方向中央を向くようにしてもよい。
【0030】
<効果>
図8に示すように従来の欠陥検査装置において、ラインCCDセンサ118と組み合わされる撮影レンズ116は焦点距離が十分に長く、画角θ101は狭いため、照明装置に用いられるLED120の光軸120Lは、長手方向両端部においても撮影レンズ116の方向から大きく外れることがなく、結果として銅箔50などの被検査物の幅方向両端部においても照明光量が不足することはない。
【0031】
これに対して、図9に示すように欠陥検査装置全体を小型化する目的で撮影レンズ116よりも焦点距離の短い撮影レンズ117を用いた場合、撮影レンズ117の光軸方向に装置全体の寸法を縮小することができる。
【0032】
しかし、撮影レンズ117は撮影レンズ116よりも画角θ102が大きいため、銅箔50などの被検査物の幅方向両端部において、LED120の光軸120Lは撮影レンズ117の方向から外れ、LED120の指向性によって照明光量が不足する虞がある。照明光量の低下は検出精度の低下などの影響を生じる可能性があるので、これを補正する必要が生じる。
【0033】
そこで本願発明では図3(A)に示すように、LEDアレイ21の長手方向両端を含む、複数のLED20において光軸を長手方向中央側(撮影レンズ16の光学的中心側)に向ける配置とした。
【0034】
これにより、撮影レンズ16として従来よりも単焦点のレンズを使用した場合でも、LEDアレイ21の長手方向両端近傍でLED20の光軸は撮影レンズ16の光学的中心方向を向くことになるため、周辺光量(この場合は銅箔50の幅方向両端部の照明光量)が不足することなく、CCDカメラ14の視野全域に亘って照明光量を確保することができる。
【0035】
<LED加工>
図5には、本願発明に係るLED20の、足曲げ加工方法の一例が示されている。
【0036】
図5(A)〜(C)に示すように、LED20の光軸20Lを所定の方向とするために脚22を所定の角度で曲げるには、目測ではなく治具30のように専用の工具を使用することが望ましい。
【0037】
治具30はベースブロック32、アングルブロック34、押さえ板36、圧着プレート38からなる。ベースブロック32の裏側(LED20の脚22が位置する側)は空隙31が設けられており、LED20の脚22に触れることができる。アングルブロック34の、ベースブロック32と接する側は斜面34Aが設けられており、LED20の脚22を斜面34Aに沿って曲げることで、所望の角度に揃えて曲げることができる。
【0038】
先ず図5(A)のようにベースブロック32とアングルブロック34とを図示しないピンで位置決めする。これは両者をネジ33でネジ止めする構成であってもよい。このときベースブロック32とアングルブロック34との間は密着せず、LED20の脚22が挟まる程度の隙間が空いている。
【0039】
次にLED20をベースブロック32とアングルブロック34との隙間に挿入し、押さえ板36でLED20の頭を押さえ付け、位置決めする。この際、図5(B)に示すように複数本のLED20を同時に加工することで作業効率が向上する。
【0040】
さらにLED20の脚22をアングルブロック34の斜面34Aに沿って曲げる。最後に圧着プレート38をネジ39でアングルブロック34に締結する。アングルブロック34、押さえ板36を外してLED20を取り出すと脚22は斜面34Aの角度すなわち図5(C)のθ2で曲げられている。
【0041】
このとき斜面34Aの上に垂直部分34Bを設けておくことで、脚22の根本にLED20の頭から真っ直ぐに突き出した垂直部分22Bを確保することができる。この垂直部分22Bの長さはLED20を固定するスペーサ24や基板26の厚さ等に応じて適宜調整することもできる。
【0042】
<第2実施形態>
図6は、本願発明の第2の実施形態に係る欠陥検査装置の一部を示した概念図である。
【0043】
図6に示すように、被検査物である銅箔50の搬送幅方向全域を1個のCCDカメラ14でカバーする替わりに、幅方向にわたって撮影範囲がオーバーラップするように複数個のCCDカメラ14を配置し、全体として銅箔50の表面を検査してもよい。
【0044】
すなわちCCDカメラ14の撮影範囲が被検査物の幅をカバーする大きさを備えている必要がないため、ラインCCDセンサ18および撮影レンズ16に小型のものを使用することができ、部品コストを低減することができる。
【0045】
また被検査物の搬送幅方向サイズが大きい場合も同様に複数個のCCDカメラ14を並べ、全幅をカバーするように配置することで、新規に大型のCCDカメラを用意する必要がないため、被検査物のサイズ変更に際して柔軟に対応することができる。
【0046】
<第3実施形態>
図7は、本願発明の第3の実施形態に係る照明装置の一部を示した概念図である。
【0047】
図7に示すように、本実施形態に係る照明装置は、LEDアレイ21を構成する基板26あるいはスペーサ24をCCDカメラ14に対して凹面を形成するように長手方向両端部を曲げることで、光軸20LをCCDカメラ14方向に向ける構成とされている。
【0048】
これにより長手方向両端部のLED20Bの脚22を曲げて光軸20LBをCCDカメラ14方向に向けた構成と同様の効果が得られ、被検査物の幅方向両端部において周辺光量(幅方向両端部の照明光量)が不足することなく、CCDカメラ14の視野全域に亘って照明光量を確保することができる。
【0049】
このとき、LED20はLEDアレイ21を構成する基板26あるいはスペーサ24の曲面形状に従って光軸20Lの方向が決定されるため、LEDアレイ21の長手方向位置によってLED20の光軸20Lは段階的に変化し、より細かい光軸方向制御が可能となる。
【0050】
またLEDアレイ21を構成する基板26あるいはスペーサ24の素材を可撓性あるいは可塑性のものとして、焦点距離の異なる撮影レンズ16に交換した際には、その画角θに合わせて基板26あるいはスペーサ24の形状を変化させる構成としてもよい。
【0051】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0052】
例えば、本願発明は長尺ベルト状の銅箔表面を検査する欠陥検査装置に関するが、これに限定されず、例えば他の金属でも表面が鏡面仕上げであればよく、また前述のようにCSPテープ等の複合素材からなる製品に関しても、あるいは長尺ベルト上を搬送されるネジ等の小型定型物の異常検出など種々の応用が考えられる。また、照明装置単体としては接写や複写など照明光量の均一さが求められる用途一般に応用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 欠陥検査装置
12 照明装置
14 カメラ
16 撮影レンズ
18 センサ
20L 光軸
21 LEDアレイ
22 脚
22B 垂直部分
24 スペーサ
26 基板
30 治具
40 コンピュータ
50 銅箔
θ 画角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系を備えた撮像装置と組み合わされ、前記撮像光学系の光軸と交差する方向に延設される照明装置であって、
指向性をもつ光源を直線状に配列し、配列方向両端を含む複数の光源の光軸を、配列方向中央に向けたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
表面を反射面として帯状に搬送される長尺ベルト状の被検査物を検査する欠陥検査装置であって、
搬送される前記被検査物の表面を搬送幅方向にわたって撮像する撮像手段と、
前記被検査物の搬送方向上流側または下流側から前記被検査物を搬送幅方向にわたって照明し前記反射面で反射させる請求項1に記載の照明装置と、
前記撮像手段で撮像された画像を解析し、前記被検査物の表面の異常の有無を検出する解析手段と、
を備えた欠陥検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate