説明

照明装置および画像読取装置

【課題】サイドライト方式の照明装置における主走査方向の中央近傍における光量の低下を改善し,主走査方向に均一で画像読取に十分な光量を読取領域に照射できる照明装置及び画像読取装置を提供する。
【解決手段】読取対象に読取光を照射するサイドライト方式の照明装置が、光を長手方向に導光する導光体と、導光体の長手方向に沿って設けられた光反射領域と、導光体の端面からなり、長手方向に垂直な第1入射面と、第1入射面に対して所定の角度で設けられた第2入射面と、光軸が第1入射面に垂直になるように第1入射面の近傍に配置された第1光源と、第2入射面の近傍に設けられた第2光源とを含み、第2光源から第2入射面を通って導光体に入射した光が、第1光源から第1入射面を通って導光体に入射した光を部分的に補い、読取光の光量分布を均一化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置および照明装置を有する画像読取装置に関し、特に、ファクシミリ、コピー機、スキャナなどに使用される照明装置および画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像読取装置などに使用される照明装置では、光源からの光で読取対象を照明するために導光体を用いて光が伝達される。導光体は光出射部を有し、更に、光出射部に対向する面に、導光体端部から入射された光を拡散、反射するための光散乱領域を有する。サイドライト方式の照明装置では光源は導光体の端部に設けられ、光源からの光を導光体の主走査方向(長手方向)に導光し、光散乱領域により光を散乱させ、光出射部から線状の光を出射して読取対象領域を照明する。
【0003】
特許文献1のサイドライト方式の照明装置では、導光体の両端部に設けられた光源から出射された光が光散乱領域に直接入射する光量と、導光体の面で全反射してから光散乱領域に入射する光量の比率を調整することにより、主走査方向の光量分布を均一にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2693098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サイドライト方式の照明装置では、導光体の両端部に設置された光源からの光を重ねあわせて読取対象領域にある原稿面を照明している。導光体内を伝播する光は伝播距離が長くなるほど光散乱領域で光が散乱されて、光の強度が減衰する。このように、原稿面に入射する光の強度は光源から遠ざかる程低下するような光量分布を有するため、導光体の両端部に設けられた光源の光量分布を重ねあわせて、導光体全体にわたって均一な光量分布が得られるようにしている。
【0006】
このようにサイドライト方式の照明では、原稿面上の端部の照明光は片側の光源からの光が支配的になっている。また、導光体の端部では主走査方向に向かう角度で導光体から出射される光成分が多く含まれる。このため、照明する原稿面と導光体との距離が大きくなるほど主走査方向両端の照度が低下し、画像読取に必要な光量を確保することができないという問題があった。これに対して、導光体を主走査長方向に長くする方法が用いられているが、導光体を長くすることで光散乱領域により導光体外に出射される光が多くなり、導光体の中心に到達する光量が減少して主走査方向の中央近傍の光量が低下し、画像の読取に支障をきたすという新たな問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、主走査方向に均一で画像読取に十分な光量を読取領域に照射できる照明装置および画像読取装置を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、読取対象に読取光を照射するサイドライト方式の照明装置であって、光を長手方向に導光する導光体と、導光体の長手方向に沿って設けられた光反射領域と、導光体の端面からなり、長手方向に垂直な第1入射面と、第1入射面に対して所定の角度で設けられた第2入射面と、光軸が第1入射面に垂直になるように第1入射面の近傍に配置された第1光源と、第2入射面の近傍に設けられた第2光源とを含み、第2光源から第2入射面を通って導光体に入射した光が、第1光源から第1入射面を通って導光体に入射した光を部分的に補い、読取光の光量分布を均一化することを特徴とする照明装置である。
【0009】
また、本発明は、照明装置を用いて読取対象に読取光を照射することを特徴とする画像読取装置でもある。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明にかかる照明装置および画像読取装置では、導光体の両端の照明光量のなまりをなくしつつ、主走査方向中心の光量低下を防止し、均一な光量分布の読取光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図面において、同一符号は同一又は相当箇所を示す。
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる画像読取装置の概略図である。
【図2】図1の画像読取装置の、A−Aにおける断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる画像読取装置の組立図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる画像読取装置の導光体の光伝播を説明する模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる画像読取装置の回路ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態1にかかる画像読取装置の光路を説明する模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる画像読取装置の導光体の光伝播を説明する模式図である。
【図8】原稿面距離が遠近時の主走査方向の光量分布を示す図である。
【図9】主走査方向両端の光量なまりを説明するための模式図である。
【図10】導光体を延長した場合の主走査方向の光量分布を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。
【図12】本発明の実施の形態2にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。
【図13】本発明の実施の形態2にかかる画像読取装置の導光体の光伝播を説明する模式図である。
【図14】本発明の実施の形態2にかかる導光体の光伝播を説明する模式図である。
【図15】本発明の実施の形態3にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。
【図16】本発明の実施の形態3にかかる画像読取装置の導光体の光伝播を説明する模式図である。
【図17】本発明の実施の形態3にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。
【図18】本発明の実施の形態3にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。
【図19】本発明の実施の形態3にかかる画像読取装置の導光体の光伝播を説明する模式図である。
【図20】本発明の実施の形態4にかかる画像読取装置の導光体の光伝播を説明する模式図である。
【図21】本発明の実施の形態4にかかる画像読取装置の導光体の光伝播を説明する模式図である。
【図22】本発明の実施の形態4にかかる画像読取装置の導光体の光伝播を説明する模式図である。
【図23】本発明の実施の形態4にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。
【図24】本発明の実施の形態4にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。
【図25】本発明の実施の形態5にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。
【図26】図25のα−α´における断面図である。
【図27】図25のβ−β´における断面図である。
【図28】図25のγ−γ´における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる照明装置を備えた画像読取装置(「密着イメージセンサ」、「CIS」ともよぶ)の概略図であり、図2は、図1のA−Aにおける断面図である。図3は、図1の画像読取装置の分解図であり、図4は、画像読取装置の導光体の光伝播を説明する模式図である。図1〜4中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0014】
図1〜3において、短軸方向Yとは、原稿1の紙面の左右方向であり、原稿1の送り方向に対応し副走査方向とも呼ぶ。方向Xは、上記方向Yと直交し紙面の奥行き方向であり、主走査方向とも呼ぶ。また、方向Zは上記方向Xと上記方向Yに垂直で紙面の上下方向であり、読取深度方向とも呼ぶ。このように、主走査方向をX方向、副走査方向をY方向、読取深度方向をZ方向とそれぞれ規定する。
【0015】
図1〜3に示すように、本発明の実施の形態1にかかる画像読取装置では、筐体9の中に、X軸方向に読取光学系(ロッドレンズアレイ)5が配置され、その両側にこれを挟むように導光体2が設けられている。筐体9の上面は透明体3に覆われ、透明体3から所定の距離の位置に原稿1が配置される。一方、筐体9の裏面には、センサIC4やASIC7を備えたセンサ基板6が設けられている。
【0016】
導光体2から出た照射光は、原稿1の画像読取位置に到達して反射され、読取光学系5を通ってセンサIC4で読み取られる。原稿1と筐体9とが、相対的にY軸方向に移動することにより、原稿1の画像データがセンサIC4で読み取られる。
【0017】
原稿1は、例えば、紙幣、有価証券、その他の一般文書のような被読取媒体(被照射体)である。
【0018】
図2に示すように、導光体2は、前段導光体200と後段導光体201の2つの部分からなる。導光体2はX軸方向(主走査方向、長手方向)に延長した棒状体であり、例えば石英ロッド等から形成される。本発明の照明装置では、四角柱の導光路に集光レンズを設置すると共に、光入射部13の端部の半分(後段導光体201)に傾斜を設けたことが特徴である(後段導光体201の傾斜部については後述する)。集光レンズは光出射部2aであり、導光体2の内部から外部に光を出射する領域であり、原稿1の被照射部に向かって光源11からの光が照射される。
【0019】
光散乱領域(光散乱層)2bは、光出射部2aと対向する、導光体2の前段導光体200の表面に形成される。透明体3は原稿1の搬送経路を形成し、また、装置の内部に混入する異物などを防止する役目を担い、アクリルやポリカーボネートなどの透明樹脂、透明ガラス材等から形成される。導光体2の光出射部2aから出射した光を原稿1に照射するとともに、原稿1により反射された光を透過して読取光学系5に入射させるものである。読取光学系5(ロッドレンズアレイ)は、原稿1から反射された反射光が光軸方向から入射するように設けられ、その反射光を収束するものである。
【0020】
センサIC4は、読取光学系5で収束された光を受光し、光電変換して電気信号を出力するセンサである。センサIC4は、半導体チップなどで構成された光電変換部、その他の駆動回路等を搭載している。センサ基板6は、センサIC4やその他の電子部品を載置する基板である。信号処理IC7は、センサIC4に受光した信号を信号処理するものであり、CPUやRAMと連動して信号処理を行うASICからなり、他の電子部品と共にセンサ基板6に載置される。外部コネクタ8(図3参照)は、センサIC4からの光電変換出力やその信号処理出力を含む入出力信号のインターフェースとして用いられる。筐体9は、導光体2、読取光学系5、およびセンサ基板6を収納、保持するように設けられ、例えば金属やプラスチックから形成される。
【0021】
図3は、実施の形態1による画像読取装置の組立図である。なお、図2は、図3に示すA−A´の断面における、組み立てられた画像読取装置に相当する。図3に示すように、画像読取装置は導光体2を含み、その両端部にホルダー(LEDホルダー)10が配置される。ホルダー10の中には光源(LEDチップ)が収納され、かかる光源から導光体2に光が入射する。ホルダー10は、導光体2の一方の端部にのみ配置してもよい。また、実施の形態1では、導光体2、読取光学系5、センサIC4は、原稿1の有効読み取り幅(主走査方向の有効読取幅)と同等以上の長さを有している。
【0022】
図4は、画像読取装置の導光体2(前段導光体200)の光伝播を説明する模式図であり、導光体2の端部周辺における部分的な断面を示す。図4において、光源11はLEDチップ等からなり、通常、可視光や赤外、紫外光などを発する。基板12には光源11が載置されるとともに、光源11を駆動する電極パターンなどが形成される。コネクタ8(図3参照)は、光源11駆動用の電源端子であり、電源は外部から供給される。光源11から出射した光は、導光体2に入射し、導光体2の内部を反射しながら主走査方向(図4では左右方向)、すなわち原稿1の搬送方向に対して直交方向に伝搬する。光源11の近傍では、直接外部に光が放射しないようにLEDホルダー10の内部壁面で反射され主走査方向に伝搬する。
【0023】
光散乱領域2bは、導光体2の一部(光散乱領域の形成領域)に白色顔料等の光反射性の塗料を塗布したものや、粗面加工したもの、鋸歯状のプリズム形状加工、または、ピラミッド状のエンボス形状加工したものから形成することができる。特に、プリズム形状加工やエンボス形状加工を用いる場合は、導光体2の成形時に同時に成形することも可能である。なお、円柱型(ロッド型)導光体のように平坦領域の無い導光体2では、外周の一部を削り平坦化して光散乱領域2bとしても良い。
【0024】
次に、図4を用いて、導光体2を備えた照明装置及びそれを用いた画像読取装置の動作について説明する。光源11から導光体2(前段導光体200)に入射した光は、導光体2に形成された光散乱領域2bにより散乱されながら伝搬し、その一部が導光体2の光出射部2aから出射する。この出射光は原稿1の搬送方向(Y軸方向)に対して直交方向に亘って均一な輝度ないし強度を有する。出射光はそれぞれ原稿1の照射部に照射し、原稿1により反射された反射光は読取光学系5を通ってセンサIC4により受光される。センサIC4では、光強度が電気信号に光電変換され、その電気信号はセンサ基板6におけるASIC7等により信号処理され、最終的には外部コネクタ8から外部に原稿1の画像信号として出力される。
【0025】
図5は、画像読取装置の駆動回路のブロック図である。タイミングジェネレータのシステムクロック(SCLK)に同期して、CISのクロック信号(CLK)と同期したスタート信号(SI)のタイミングで、受光部は光電変換されたアナログ出力(SO)を得る。SOはASIC7でアナログデジタル(A/D)変換され、信号処理回路では、サンプル・ホールドを含むシェーディング補正や全ビット補正などが行われる。信号データの補正には、信号データを記憶したRAM領域と基準データを記憶したRAM領域からデータを採取し、演算加工する。なお、ASIC7のCPU、RAM及び信号処理回路をまとめて信号処理部と呼ぶ。
【0026】
図6は、画像読取装置の光路を説明する模式図である。図6は、図2と同じ断面を示し、図2と同一符号は同一または相当箇所を示す。
図6に示すように、導光体2の光出射部2aから出射した光は原稿1の照射部1aに照射し、その反射光が読取光学系5を通過してセンサIC4に至る。図4で述べたように、導光体2に入射された光は、光散乱領域2bにより散乱反射され、その一部が光出射部2aから出射して透過体により屈折し、原稿1の照射部1aに照射する。図6の断面(YZ平面)において、原稿1の照射部1aへの照射角度は、光散乱領域2bと導光体2の光出射部2aとを結ぶ延長線と読取光学系5の光軸で決まる照射角度Cとなる。
【0027】
図7は、実施の形態1にかかる画像読取装置の導光体2の光伝搬を説明する模式図であり、図6の左側の導光体2を拡大したものである。導光体2端部の基板12に載置された光源11から放出された光は、導光体2内に取り込まれ、導光体2内を伝播する。導光体2内を伝播する光は、導光体2に設けられた光散乱領域2bで散乱されて、その一部が主走査方向(紙面に垂直な方向)に沿って徐々に導光体2の光出射部2aから出射される。導光体2の光出射部2aから出射された光は原稿1の照射部1aを照明する。ここで、図7の光散乱領域2bが設けられている右半分の導光体2を前段導光体200、左半分を後段導光体201と規定する。
【0028】
導光路2は主走査方向(長手方向)に光を伝搬させる役目を担い、その中を光が全反射を繰り返しながら進行する。一方、導光路2には光散乱領域2bが設けられており、光散乱領域2bで反射された光の一部は、光散乱領域2bに対向するように設けられた光出射部2aから外部に放出される。
【0029】
次に、図8を用いて原稿1上での光量分布について説明する。画像読取装置の透明体3から原稿1までの距離が大きくなると、原稿1上の照明領域が狭くなる問題が発生する。例えば、原稿読取位置が、透明体3から0mmの場合と、15mmの場合、原稿読取位置上での主走査方向の光量分布は図8のようになる。原稿1までの距離が15mmの場合は、画像読取範囲内において、主走査方向両端の照明光量がなまってしまい(光量が不足してしまい)、原稿1の読取範囲内で均一な光量分布を確保できていない。ここで照明領域とは、画像読取範囲内において、光量分布が略一定の領域、即ち、主走査方向両端の照明光量がなまった領域を除いた領域をいう。
【0030】
この原因について、図9を用いて説明する。原稿1上の光量分布は、導光体2の両端に設置された光源11からの光が光散乱領域2bで散乱されて原稿1に照射されて形成される。その際、導光体2を伝播する光は光散乱領域2bに接触するたびにその一部が導光体外に出射されるため、導光体2の片側から入射した光は他端にはあまり届かない。このため、原稿面上で両端での光量分布は導光体両端に設置された光源11のどちらかに大きく依存することになる。ここで、図9に示すように、光は主走査方向に対して、所定の角度Dで出射されため、原稿面1から透明体3までの距離が大きくなるほど光量が大きく低下した領域(無効領域)が広がり、主走査方向両端の光量分布になまりが発生する。
【0031】
このなまりの問題を解決する方法として、導光体2の主走査方向の長さを延長することで主走査方向の照明範領域を延長し、光量分布両端のなまりを防止する方法が考えられる。しかしながら、実際に導光体2を延長しても均一な光量分布を得ることはできない。
【0032】
即ち、主走査方向の照明領域を延長するには導光体2を延長すると共に、導光体2から外部に散乱光を照射するための光散乱領域2bも延長する必要がある。しかしながら、導光体2と光散乱領域2bの長さがともに延長されると、導光体2内を伝播している光が光散乱領域2bに入射する確率が高くなる。このため、光散乱領域2bに散乱されて導光体2外に射出される光量が増加し、導光体2の中心に到達する光量が、導光体2と光散乱領域2bを延長する前と比べて低下する。
【0033】
この結果、導光体2の主走査方向の中心部の光散乱領域2bで散乱される光量が低下し、この部分で原稿1に照射される光量が低下する。即ち、主走査方向の理想光量分布(実線)と導光体を延長した場合の光量分布を示す図10に破線で示したように、原稿面上の主走査方向の光量分布の中心光量が低下してしまう。
【0034】
これに対して本実施の形態1では、導光体2の上面図である図11に示すように、導光体2を、前段導光体200と後段導光体201とから形成し、それぞれの光入射部13を前段光入射面130、後段導光体131の二つに分け、前段光入射面130と後段光入射面131の間に角度を設けている。
【0035】
一般に、LED等の光源11は、放射分布を持っている。LEDの放射分布は通常、LEDの光出射面に垂直な光軸に対して0°方向に出射される光が最も強く、その光軸に対して出射角度が大きくなる程、光は弱くなる。本実施の形態1にかかる導光体2では、前段光入射面130の角度を0°(主走査方向(X軸方向)に垂直)とし、後段光入射面131との間に角度θを与える。後段光源111は、前段光源110と同様に、光軸が主走査方向(X軸方向)となるように配置される。
【0036】
後段光源111から出射される光は、光軸が主走査方向(X軸方向)の光強度が最も強いが、後段光入射面131で光が屈折することにより、最も強い光強度が光軸141方向になる。光軸141が前段導光体200に設置された光散乱面2bの中心法線(X軸方向の中心における法線)に向くように、後段光入射面の角度θを調整することで、前段導光体200の主走査方向中心部に、後段光源111からの光が供給される。例えば、光散乱面2bの中心法線と光軸141が直交する方向に光が照射される。後段光源111から後段導光体201を通って前段導光体200の主走査方向の中心付近に供給された光は、光散乱領域2bによって散乱され、導光体2の光出射部から原稿面上に向けて出射される。
【0037】
この出射光は、導光体を延長することで発生する主走査方向の中心の光量が不足している領域に光を供給する。後段光入射面131に角度θを与えていない場合と比較して、後段光源111の光強度の最も強い部分(後段光源光軸141)を利用できるため、光量が不足している領域に効率良く光を供給することができる。
【0038】
ここで、後段導光体201に与える光の入射角の角度θは、以下のようにして決定される。即ち、後段光入射面131に与えた角度をθ、導光体2の主走査方向の長さ(主走査長)をL、光散乱領域2bの法線と、屈折前の後段光源光軸141からの出射光の光軸との間隔をh、導光体2の屈折率をnとすると、実施の形態1では、h=3mm、L=300mmとするとh≪Lの条件より、以下の式1の条件を満たす必要がある。
【0039】
sinθ≦n・sin(tan−1(2h/L))≒2nh/L (式1)
【0040】
θが式1の範囲よりも大きな角度となると、後段導光体201から供給される光が前段導光体200内で全反射条件を満たさなくなるため、角度θが大きくなると前段導光体200からもれる光量が増加し、原稿面上の主走査方向の光量分布の均一性が修正できなくなる。
【0041】
以上より、本発明の実施の形態1にかかる照明装置およびそれを用いた画像読取装置では、後段導光体201の光入射部である後段光入射面131に角度θの傾斜を持たせて、後段光入射面131から前段導光体200の中心方向に光を供給する。これにより、導光体2を長くして主走査方向の両端の照明光量のなまりをなくしつつ、主走査方向中心の光量低下を防止し、均一な照明分布を得ることができる。この結果、主走査方向に渡って均一な読取が可能な画像読取装置を提供できる。
【0042】
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。図12中、図11と同一符号は、同一または相当箇所を示す。
【0043】
画像読取装置では、光源11は基板12に設置された上で、導光体2の光入射部に設置される。一般的な基板12は板状であるため、前段光源110と後段光源111は、図11に示すように、光軸が平行になるように基板12に設置される。
【0044】
これに対して、本実施の形態2にかかる画像読取装置では、図12に示すように、前段光入射面130と後段光入射面131のそれぞれに対して、前段光源110および後段光源111の光軸が垂直になるように配置される。他の構造は、図11の画像読取装置と同じである。
【0045】
図13は、前段光源110と後段光源111を別々に実装した場合であり、図14は前段光入射面130と後段光入射面131の角度θにあわせて折り曲げた基板12の上に、前段光源110、後段光源111を配置したものである。
本実施の形態2にかかる画像読取装置では、後段光入射面131に後段光源111の光軸141が垂直に入射するため、後段光入射面131でのフレネル反射を抑制し、後段光源111から後段導光体201に効率良く光を導入できる。また、後段光入射面131と後段光源111を平行に設置することで、後段光入射面131の近くに後段光源111を設置することが可能になる。後段光源111にLEDを用いた場合、光は拡がるように放出されるため、後段光源111と後段光入射面131との距離が近いほど、導光体2に入射する光の量は多くなり、原稿面上に明るい光量分布を作ることができる。
【0046】
以上のように、本実施の形態2にかかる画像読取装置では、後段光入射部131と後段光源111を平行に設置(後段光入射面131に対して後段光源111の光軸を垂直に配置)することにより、フレネル反射の影響を抑えるとともに、後段光入射面131に後段光源111を近づけ、導光体2に入射する光量を増加させて原稿面上で得られる光量を増加させることができる。
【0047】
実施の形態3.
図15は、本発明の実施の形態3にかかる画像読取装置の導光体の上面図である。図17中、図12と同一符号は、同一または相当箇所を示す。本実施の形態3にかかる画像読取装置では、後段導光体201の端部近傍にも光散乱領域2b1が設置されている。他の構造は、図12と同じである。
【0048】
上述のように実施の形態1、2では、導光体2の主走査方向両端で光量のなまりが発生した場合、導光体2を延長して主走査方向の光量の均一性を確保していた。しかしながら、画像読取装置の制約上、導光体2を延長できないことがある。かかる場合は、図15に示すように後段導光体201の両端に光散乱領域2b1を設けることで、図16に示すように、後段導光体201の両端からも光を射出して原稿1上の読取領域の両端に向けて光を射出する。
【0049】
後段光源111の光軸141を、光散乱領域2b1の中心を通るように設置することで、光散乱領域2b1で効率よく光が散乱され、導光体2の主走査方両端での光量のなまりを緩和することができる。
【0050】
光散乱領域2b1がプリズムの場合、図17のように後段光源111の光軸141に対してプリズムの向き(拡散領域2b1の斜線方向がプリズムの向き)が垂直に交わるように光散乱領域2bを作製しても良い。また、図18のように光散乱領域2b1自体を後段導光体201に設置された光源111の光軸141に合わせて作製しても良い。図17、18のように光散乱領域2b1を設置することで、より光が散乱され、主走査方向両端の光量なまりを改善できる。
【0051】
また、図19のように前段導光体200と後段導光体201の光出射部2aを一体化しレンズ形状としても良い。後段導光体201の光出射部2aをレンズ形状とすることで、後段導光体201から射出された光を原稿1上に集光し、光量を高めることができる。
【0052】
以上ように、実施の形態3にかかる照明装置及びそれを用いた画像読取装置によれば、光入射部13に傾斜を持たせた後段導光体201の両端部に光散乱領域2b1を設けることで、原稿面1が透明体3から離れた場合に発生する主走査方向両端の光量なまりを、導光体2の主走査方向の長さを伸ばすことなく改善することが可能となる。
【0053】
実施の形態4.
図20〜22は、本実施の形態4にかかる導光体2を、図7と同一方向から見た場合の模式図である。図20〜22中、図7と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0054】
本実施の形態4では、光入射部13の異なる導光体を接合して導光体2を形成している。図20では、例えば円柱状の2つの導光体を接合して導光体2を形成している。円柱導光体2に光散乱領域2bを設けるためには、導光体2の側面の一部を削り、平面化した後、その領域にプリズム等を設ける。光散乱領域2bの位置を調整することで円柱導光体から出射される光の角度を調整することができる。例えば、前段導光体200と後段導光体201のプリズム設置角度を調整することで、前段導光体200、後段導光体201共に原稿1の画像読取領域に向けて容易に光を照射することができる。
【0055】
図21に示すように、接合する導光体2の形状は円柱形状でなくても良い。図21に示すように、底面の間に角度を設けるなど、接合する角度を変化させることで後段導光体201の光出射角度を任意に決めることができる。
【0056】
図22、23に示すように、3またはそれ以上の導光体を接合しても良い。前段導光体200と後段導光体201の間の導光体を中段導光体202とする。上述のように、主走査方向に導光体2を伸ばしていくと導光体2内を伝播する光が光散乱領域2bにぶつかる確率が高くなり、散乱された光が導光体2から外部に出射されるため、導光体2の主走査方向の中心部に到達する光量が少なくなり光量分布の均一性が保てなくなることがある。そこで、更に導光体202を接合し、前段光入射面130、中段光入射面132、後段光入射面131を設け、それぞれに光源110、111、113を設置することで、前段導光体200の主走査中心に光を集め、導光体から光を出射させることで、原稿面上の主走査方向の均一性を向上させることができる。
【0057】
また、図24に示すように、接合する導光体2は主走査方向の長さが違うものを接合してもよい。前段導光体200、中段導光体202、後段導光体201の順で長さが短くなる導光体を、中央部分の位置を合わせて接合することで、中段導光体202、後段導光体201内を光が伝播し、主走査方向の両端で前段導光体200に入射する光をなくすことができる。これにより、前段導光体200の主走査中心部に集中して光を供給することができ、原稿面上の光量分布をより効率的に均一化することが可能となる。
【0058】
以上のように、実施の形態4にかかる照明装置及びそれを用いた画像読取装置によれば、導光体2を結合した形状とすることで、後段導光体201から出射される光の角度を容易に調整できるため、原稿1から透明体3までの距離が遠いために発生する主走査端部の光量が不足した領域に光を照射することができると共に、導光体2を延長したため、導光体2の中心に到達し、光散乱面2bで散乱される光量が低下しても、原稿面上の主走査方向の照明の均一性を向上させることができる。
また、3以上の導光体を接合し、または主走査方向の長さの異なる導光体を接合することによっても、原稿面上の主走査方向の照明の均一性を向上させることができる。
【0059】
実施の形態5.
図25は、本実施の形態5にかかる導光体の上面図であり、図26、27、28は、それぞれ図25のα−α´、β−β´、γ−γ´での切断図である。
【0060】
本実施の形態5では、前段導光体200と後段導光体201の接合角度を調整して接合したものであり、前段導光体200の半分の長さの後段導光体201を2本準備し、一方を右回りに、他方の左回りに回転させ、3本の導光体を接合したものある。
【0061】
図26〜28からわかるように、前段導光体200と後段導光体201の接合部の幅が導光体2の中心ほど広くなっている。接合部の幅が広いほど前段導光体200に後段導光体201からより多くの光量が供給でき、即ち、図25では、導光体2の両端部よりも中心部に近いほど、後段導光体201から前段導光体202に光が多く供給される構造となっている。このため、主走査方向の中心の光量不足を効率的に補うことが可能となる。
【0062】
なお、実施の形態1〜5において、例えば図25のように導光体2の一端について図示しながら説明したが、他端においても同様の構造となっている。
【符号の説明】
【0063】
1…原稿 1a…原稿照射部 2…導光体 200…前段導光体 201…後段導光体 202…中段導光体 2a…光出射部 2a1…平面光出射部 2b…光散乱領域 2b1…端部散乱領域 3…透明体 4…センサ(センサIC) 5…読取光学系(ロッドレンズアレイ) 6…センサ基板 7…信号処理IC(ASIC) 8…コネクタ 9…筐体 10…ホルダー 11…光源 110…前段光源 111…後段光源 112…中段光源 12…基板 13…光入射部 130…前段光入射面 131…後段光入射面 132…中段光入射面 141…前段光源光軸 142…後段光軸光源 143…中段光源光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象に読取光を照射するサイドライト方式の照明装置であって、
光を長手方向に導光する導光体と、
該導光体の長手方向に沿って設けられた光反射領域と、
該導光体の端面からなり、該長手方向に垂直な第1入射面と、該第1入射面に対して所定の角度で設けられた第2入射面と、
光軸が該第1入射面に垂直になるように該第1入射面の近傍に配置された第1光源と、該第2入射面の近傍に設けられた第2光源とを含み、
該第2光源から該第2入射面を通って該導光体に入射した光が、該第1光源から該第1入射面を通って該導光体に入射した光を部分的に補い、該読取光の光量分布を均一化することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記第2光源は、その光軸が上記第2入射面に垂直になるように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
更に、上記第2入射面近傍の上記導光体に、上記第2光源から供給された光を反射する光反射領域が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
上記導光体は、上記第1入射面を有する第1導光体と、上記第2入射面を有する第2導光体とを、それぞれの長手方向が平行となるように接合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
上記導光体は、上記第1入射面を有する第1導光体と、上記第2入射面を有する第2導光体とを、それぞれの長手方向が交差するように接合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
上記長手方向において、上記読取対象の照射領域の長さは、該読取対象の読取領域の長さ以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
上記導光体の長手方向の中央近傍で、上記第2光源から供給されて上記導光体を導光する光の光軸が、上記第1光源から供給されて該導光体を導光する光の光軸の法線と交差することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の照明装置を用いて読取対象に読取光を照射することを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−71696(P2011−71696A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220344(P2009−220344)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】