照明装置および表示装置
【課題】発光ダイオードを含む複数の光源を時分割駆動する際に、所望の消費電力および明るさを実現することが可能な照明装置および表示装置を提供する。
【解決手段】照明装置1Aでは、発光ダイオードを含む光源10R,10G,10Bを時分割駆動する際に、発光ダイオードの駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する。発光ダイオードでは、駆動電流の増加に伴って発光効率が低下する特性を有するため、例えば駆動電流を下げる制御がなされることで、発光効率を向上させることができる。駆動電流を下げた分、明るさが減少することもあるが、発光期間を長く設定することで、時間的に連続して発光する複数の光源からのトータルの発光量を増加させることができる。明るさを保持しつつ消費電力を抑制することが可能となったり、消費電力を大幅に増大させることなく、明るさを向上させることが可能となる。
【解決手段】照明装置1Aでは、発光ダイオードを含む光源10R,10G,10Bを時分割駆動する際に、発光ダイオードの駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する。発光ダイオードでは、駆動電流の増加に伴って発光効率が低下する特性を有するため、例えば駆動電流を下げる制御がなされることで、発光効率を向上させることができる。駆動電流を下げた分、明るさが減少することもあるが、発光期間を長く設定することで、時間的に連続して発光する複数の光源からのトータルの発光量を増加させることができる。明るさを保持しつつ消費電力を抑制することが可能となったり、消費電力を大幅に増大させることなく、明るさを向上させることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯型プロジェクタに好適に用いられる照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタの映像表示方式として、赤(R)、緑(G)、青(B)の映像を時分割的(タイムシーケンシャル)に表示する、色順次表示方式(フィールドシーケンシャルカラー方式、以下FS方式という)が用いられている。この方式には、UHP(Ultra High Performance)等の白色光源とカラーフィルタを用いて実現するものと、RGB各色の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザダイオード(LD:Laser Diode)等を用いて実現するもの(例えば、特許文献1)とがある。色再現範囲において有利なことから、後者の方式が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−317558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなR,G,BのLED等を用いたFS方式では、1フレーム期間をR,G,Bの各画像を表示するための3つのサブフレーム期間に分割し、これらのサブフレーム期間のそれぞれに対応して、R,G,BのLED光源を時分割的に順次発光駆動する。この方式では、各色光の出力(発光量)が最大となるように、各LED光源を駆動するため消費電力が大きく、また、より明るい表示輝度を実現するためには、消費電力を増加させる必要がある。例えば、上記特許文献1では、R,G,Bの各サブフレーム期間において、本来の色光以外の他の色光を同時に発光させて明るさを向上させているが、他の色光を発光させるための電力を別途要するため、消費電力が増加してしまう。
【0005】
また、このようなFS方式は、例えば小型のプロジェクタの分野においても採用されている。ところが、小型プロジェクタにおいては、消費電力が大きいと、投影時間が短縮化されたり、放熱設計への影響が大きくなってしまう。このため、特に小型プロジェクタのように、明るさ(照明輝度、表示輝度)を無暗に向上させるよりも、消費電力を抑制することが優先される場合もある。従って、用途に応じて、消費電力および明るさを所望の値に制御可能な照明装置の実現が望まれている。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発光ダイオードを含む複数の光源を時分割駆動する際に、所望の消費電力および明るさを実現することが可能な照明装置および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置は、少なくとも1つの発光ダイオードを含み、2種以上の色光を発する複数の光源と、複数の光源を時分割的に発光駆動させる光源制御部とを備え、光源制御部は、発光ダイオードの駆動電流を制御すると共に、駆動電流に応じて発光期間の長さを設定するものである。
【0008】
本発明の表示装置は、上記本発明の照明装置と、この照明装置から発せられた光を映像信号に基づいて変調する光変調素子とを備えたものである。
【0009】
本発明の照明装置および表示装置では、発光ダイオードを含む複数の光源を時分割駆動する際に、発光ダイオードの駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する。ここで、発光ダイオードでは、駆動電流の増加に伴って発光効率が低下する特性を有するため、例えば駆動電流を下げる制御がなされることで、発光効率を向上させることができる。一方、駆動電流を下げる制御がなされた場合には、その分明るさが減少することもあるが、この場合には、発光期間を長く設定することで、時間的に連続して発光する複数の光源からのトータルの発光量を増加させることができる。即ち、良好な発光効率を保持しつつ、発光期間の長さを制御することにより、例えば、駆動電流の制御によって低減した明るさを補完することができるため、明るさを保持しつつ消費電力を抑制することが可能となる。あるいは、消費電力を大幅に増大させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させることも可能となる。
【0010】
また、本発明の照明装置では、光源制御部が、発光ダイオードの発光期間を、時分割駆動において発光ダイオードに割り当てられた第1の単位期間と、少なくともこの第1の単位期間と時間的に連続する第2の単位期間とに渡って設定することが望ましい。また、複数の光源として、R,G,Bの3色の光源が用いられる場合には、これら3色のうちの少なくとも一の色の光源が発光ダイオードからなり、他の色の光源がレーザダイオードからなることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の照明装置および表示装置によれば、光源駆動部が、複数の光源のうちの発光ダイオードの駆動電流を制御するようにしたので、発光ダイオードにおける発光効率を向上させることができる。また、その駆動電流に応じて発光期間の長さを設定するようにしたので、明るさを保持しつつ消費電力を抑えたり、消費電力を増加させることなく明るさを向上させたりすることが可能となる。よって、発光ダイオードを含む複数の光源を時分割駆動する際に、所望の消費電力および明るさを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の全体構成を表す図である。
【図2】比較例に係る各光源と光変調素子における時分割駆動動作を表わすタイミング図である。
【図3】図1に示した光源制御部の光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図4】発光ダイオード(R,G,B)における駆動電流と発光効率の関係を表す特性図である。
【図5】発光ダイオード(G)の発光時間と明るさとの関係を表す特性図である。
【図6】図1に示した光源制御部の光源制御動作により得られる色再現範囲の一例である。
【図7】変形例1に係る光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図8】変形例2に係る光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図9】変形例3に係る光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図10】変形例4に係る光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図11】他の変形例に係る光源制御動作により得られる色再現範囲の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(G光源をLEDとして、その駆動電流を下げ、発光期間を長く設定した例)
2.変形例1(G光源の発光開始および終了のタイミングをずらした例)
3.変形例2(G光源の発光期間をR,G,Bの各サブフレームに渡って設定し、駆動電流をGサブフレームにおいてR,Bサブフレームよりも高く設定した例)
4.変形例3(G光源の発光期間のうち、R,Bの発光期間と時間的に重なりのない期間において、重なりのある期間よりも駆動電流を高く設定した例)
5.変形例4(R光源およびG光源をLEDとし、これらの駆動電流を下げ、発光期間を長く設定した例)
【0014】
<第1の実施の形態>
[表示装置1の全体構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の全体構成を表すものである。表示装置1は、被投射面15(スクリーン等)に対して映像(映像光)を投射するプロジェクタであり、例えばフィールドシーケンシャルカラー方式により、R,G,Bの各色の照明光を用いて、各色の画像を時分割的に投射表示するものである。このような表示装置1は、照明装置1A(光源10R,10G,10B、光路合成素子11および光源制御部14)と、光変調素子12および投射レンズ13とを備えている。
【0015】
光源10R,10G,10Bは、赤色光,緑色光,青色光をそれぞれ発するものであり、光源制御部14の制御に応じて時分割的に発光駆動されるようになっている。例えば、光源10R,10G,10Bの各出力は、1フレーム期間の1/3に相当する期間(後述のサブフレーム期間)毎に順次切り替えられるようになっている。これらの光源10R,10G,10Bは、は、例えば発光ダイオード(LED)や、レーザーダイオード(LD)等からなるが、少なくとも発光ダイオードを含んでいる。本実施の形態では、光源10R,10G,10Bのうち光源10Gが発光ダイオード(緑色LED)、光源10R,10Bがレーザダイオード(赤色LD,青色LD)である場合を例に挙げて説明する。
【0016】
光源制御部14は、上記3つの光源10R,10G,10Bに接続されており、各光源の出力を制御可能となっている。具体的には、各光源の駆動電流(Peak Power)を制御して瞬間的な(単位時間あたりの)発光量を制御したり、その発光期間の長さ(発光時間、デューティ)や、発光開始および発光終了のタイミングを制御することが可能となっている。この光源制御部14は、光源駆動部140を有しており、また、発光期間設定部141R,141G,141Bおよび駆動電流設定部142R,142G,142Bを光源毎に有している。駆動電流設定部142R,142G,142Bは、各光源の駆動電流を設定するものであり、発光期間設定部141R,141G,141Bは、各光源の発光期間の長さや、発光開始および発光終了のタイミングを設定するものである。光源駆動部140は、これらの駆動電流設定部142R,142G,142Bおよび発光期間設定部141R,141G,141Bによる各設定に基づいて光源10R,10G,10Bをそれぞれ駆動するものである。
【0017】
詳細は後述するが、この光源制御部14が、光源10R,10G,10Bのうち、緑色LEDとしての光源10Gの駆動電流および発光期間を、他の光源(光源10R,10B)と比較して、発光量制御するようになっている。
【0018】
光路合成素子11は、光源10R,10G,10Bから発せられた各色光を、同一の光軸Z上に合成するための素子である。このような光路合成素子11としては、例えばタイクロイックプリズム等が挙げられる。ここでは、3つの光源10R,10G,10Bからの各色光を互いに異なる光路から光路合成素子11(ダイクロイックプリズム)に入射させ、一の光路Z上へ導くようになっている。尚、各色光の光路合成素子としては、このようなダイクロイックプリズムに限らず、例えば反射ミラーやダイクロイックミラー等を用いてもよい。
【0019】
光変調素子12は、例えば透過型液晶パネル等からなり、照明装置1Aからの照明光を、図示しない表示制御部から供給される映像信号に基づいて変調して、映像光を出射するものである。
【0020】
投射レンズ13は、光変調素子12から出射した映像光をスクリーン30に対して投射(拡大投射)するためのレンズであり、単数または複数のレンズからなる。
【0021】
[表示装置1の作用・効果]
(FS方式による表示動作)
表示装置1では、照明装置1Aにおいて、光源制御部14が光源10R,10G,10Bをそれぞれ時分割的に発光駆動する。具体的には、1フレーム期間を3分割した期間に相当するR,G,B3つのサブフレーム期間(単位期間、後述のサブフレーム期間fr,fg,fb)のそれぞれに対応して光源10R,10G,10Bを順次発光させる。このようにして光源10R,10G,10Bから発せられた各色光は順次、光変調素子12へ入射し、色光毎に各色の映像信号に応じて変調される。即ち、時間的に連続するR,G,B3つのサブフレーム期間のうち、Rサブフレーム期間では、光源10Rを発光させ、光変調素子12においてRの映像信号に基づいた光変調がなされる。同様に、Gサブフレーム期間,Bサブフレーム期間では、それぞれ光源10G,10Bを発光させ、光変調素子12においてG,Bの映像信号に基づいた光変調がなされる。この際、光変調素子12では、各サブフレーム期間内において、駆動時間または駆動振幅が制御されることにより、各色画像光の投射時における階調が調整される。
【0022】
この後、光変調素子12を出射した光は、投射レンズ13によって、被照射面15へ向けて投射(拡大投射)される。以上のようにして、光源10R,10G,10Bから時分割で発せられる各色光に基づいて、フルカラーの映像表示がなされる。
【0023】
(発光ダイオードを含むR,G,B光源の時分割駆動動作)
ここで、本実施の形態では、上記3つの光源10R,10G,10Bが、少なくとも1つの発光ダイオードを含んでいる。例えば、本実施の形態では、光源10Gとして緑色LEDが用いられ、光源10Rとして赤色LD、光源10Bとして青色LDがそれぞれ用いられている。以下、上記のようなFS方式の映像表示を行う際に、R,G,Bの光源が発光ダイオードを含む場合の時分割駆動動作について、比較例と比しつつ説明する。
【0024】
(比較例)
図2(A)〜(D)は、比較例に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図2(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。このように、光源10R,10G,10Bにおける各駆動シーケンスは、各色光の単位時間あたりの発光量(Pr,Pg,Pb)を高さ、発光期間(tr,tg,tb)を幅とする矩形波として表される。図2(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。
【0025】
このように、1フレーム期間を3分割した各期間に相当するサブフレーム期間fr,fg,fbのそれぞれにおいて、対応する光源10R,10G,10Bが発光駆動される。このとき、比較例では、サブフレーム期間fr,fg,fbのいずれにおいても、光源10R,10G,10Bから出力される発光量Pr,Pg,Pbが最大となるように、光源10R,10G,10Bへの駆動電流がそれぞれ設定され、例えばこれらの発光量Pr,Pg,Pbは同等の値となっている。また、光源10R,10G,10Bの発光期間tr,tg,tbは、各サブフレーム期間内において後半の所定の期間に相当するものとなっている。
【0026】
即ち、FS方式の映像表示に際して、光源10R,10G,10Bを時分割駆動する場合には、上記比較例のように、限られたサブフレーム期間内で、それぞれが最大の発光量となるように駆動を行っている。このような状態から、例えば更に明るさを向上させようとした場合、例えば駆動電流を更に大きくして単位時間あたりの発光量Pを発光量Pg100まで増加させる制御がなされる。このような制御では、明るさを増すことはできるが、駆動電流を大きくする分、消費電力も増加してしまう。このような消費電力の増加は、特に小型のプロジェクタ等においては望ましくない。
【0027】
そこで、本実施の形態では、上述のようなFS方式の映像表示を行う際に、光源10R,10G,10Bのうちの少なくとも1つに発光ダイオード(ここでは緑色LEDとしての光源10G)を用いる。そして、このような発光ダイオードを含む光源10R,10G,10Bを、光源制御部14が、例えば次のような駆動シーケンスで発光駆動する。
【0028】
図3(A)〜(D)は、本実施の形態におけるR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図3(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図3(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。このように、本実施の形態においても、レーザダイオードとしての光源10R,10Bの各駆動シーケンスについては、上記比較例と同様、各色光の単位時間あたりの発光量(Pr,Pb)を高さ、発光期間(tr,tb)を幅とする矩形波で表される。
【0029】
一方、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動シーケンスについては、上記光源10R,10Bに対するものと異なり、例えば駆動電流を所定の値に制御し、この駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する。ここで、発光ダイオードでは、図4に示したように、駆動電流Ifの増加に伴って発光効率が低下する、という特性を有する。このため、発光ダイオードでは、駆動電流をできるだけ小さくした方が、発光効率を向上させることができる。尚、本明細書における発光効率とは、各光源へ投入した電力に対する発光量の割合をいうものとする。
【0030】
従って、本実施の形態では、光源制御部14が、光源10Gの発光駆動に際し、例えば駆動電流を下げる制御を行う。具体的には、駆動電流設定部142Gが、光源10Gの発光量Pg1がより小さくなる(矩形波における高さがより小さくなる)ように、光源10Gの駆動電流を設定する。これにより、光源10Gにおける発光効率を向上させることができる。
【0031】
この一方で、上記のように光源10Gの駆動電流を下げる制御がなされた場合、発光効率は向上するものの、明るさ自体は減少し易くなる。そこで、本実施の形態では、光源制御部14が、光源10Gの駆動電流に応じて発光期間を長く設定する。具体的には、発光期間設定部141Gが、光源10Gの発光期間tg1を、他の光源10R,10Bの発光期間tr,tbよりも長くなる(矩形波における幅が広くなる)ように設定する。ここでは、その発光期間tg1を、対応するサブフレーム期間fgだけでなく、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbに渡って設定する。
【0032】
他方、これらの光源10R,10G,10Bでは、例えば所望のホワイトバランスが得られるように、それぞれの発光量が設定されていることが望ましい。具体的には、各光源の積算光量(=発光量×発光時間)が、所望のホワイトバランスとなるように設定され、そのようにして設定された積算光量の範囲内で、上記のような光源10Gの駆動制御を行う。つまり、発光量Pg1を小さくしつつ発光時間を延ばすことで、積算光量を上記値に近づける、または同値とすることができ、所望のホワイトバランスを維持しつつ、発光効率を向上させることが可能となる。
【0033】
これにより、1フレーム期間における光源10R,10G,10Bにおけるトータルの発光量を増加させることができる。図5に、光源10Gにおける発光時間と明るさとの関係について示す。即ち、駆動電流を制御することで良好な発光効率を保持しつつ、発光期間の長さを制御することにより、駆動電流の制御によって減少した明るさを補完することができる。これにより、明るさを保持しつつ消費電力を抑制する制御が可能となる。また、発光期間tg1を長く設定する程、トータルの発光量が増加するため、明るさを向上させる制御も可能である。即ち、消費電力を大幅に増加させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させることができる。あるいは、消費電力を一定に保ったまま、明るさだけを向上させることも可能である。
【0034】
換言すると、発光ダイオードでは、駆動シーケンスにおける発光量と発光期間によって囲まれる図形の面積によって、明るさ(照明輝度、表示輝度)が決まる。そのため、比較例における発光量Pgと発光期間tgとによって得られる図形と、本実施の形態における発光量Pg1と発光期間tg1とによって得られる図形とが同じ面積となるように設定すれば、両者において同等の明るさを得ることができる。但し、駆動電流(発光量)を下げ、発光期間を長く取った後者の場合(発光量Pg1,発光期間tg1)の方が、発光効率が高い分、消費電力を削減することができる。
【0035】
(色再現性について)
図6に、本実施の形態における色再現範囲(CIE1931色度)について示す。本実施の形態では、光源10Gに緑色LED、光源10R,10Bに赤色LD,青色LDをそれぞれ用いたが、この場合、色再現範囲は図6に示したようになる。具体的には、光源10R,10G,10Bにおいて、光源10Gの発光期間を長くしていった場合、Gの頂点座標は、一定の位置(図中の四角点)に留まるが、RおよびBの頂点座標は内側にシフトする(図中の丸点から,三角点,四角点へ向けて順にシフトする)。
【0036】
ここで、標準的な色空間であるNTSC規格の色再現範囲(図中の破線で囲まれた範囲)との比較を考えた場合、このNTSC規格程度の色再現性が確保できれば充分であるような用途においては、単色性を示す各頂点の座標を、NTSC規格の領域に近づくように、その他の色光側にシフトさせればよい。これは、厳密には、サブフレーム期間内での混色を意味するが、1フレーム期間全体でのホワイトバランスを維持しながら、発光期間の長さを適切に設定することで、上記混色による影響を軽減できる。また、光源10R,10G,10Bに少なくとも1つのレーザダイオードを含むことにより、レーザダイオードの持つ単色性により、色再現範囲を拡大し易くなる。尚、この色再現範囲は、RGBの各映像区間の調整により、任意の色再現範囲をとることができる。
【0037】
以上のように、本実施の形態では、時分割駆動される光源10R,10G,10Bのうち、光源10Gに発光ダイオードを用い、光源制御部14が、その光源10Gの駆動電流を制御するようにしたので、発光ダイオードにおける駆動電流と発光効率の関係を利用して、光源10Gにおける発光効率を向上させることができる。また、その駆動電流に応じて発光期間tg1の長さを設定するようにしたので、明るさを保持しつつ消費電力を抑えたり、消費電力を増加させることなく明るさを向上させたりすることが可能となる。よって、発光ダイオードを含む複数の光源を時分割駆動する際に、所望の消費電力および明るさを実現することが可能となる。
【0038】
続いて、上記実施の形態の光源制御部14の駆動シーケンスの変形例(変形例1〜4)について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0039】
<変形例1>
図7(A)〜(D)は、変形例1に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図7(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図7(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。本変形例は、上記実施の形態と同様、光源10Gに緑色LED、光源10R,10Bに赤色LD,青色LDをそれぞれ用いた場合の駆動シーケンス例である。本変形例においても、上記実施の形態と同様、レーザダイオードとしての光源10R,10Bの各駆動シーケンスにおいては、発光量(Pr,Pb)を高さ、発光期間(tr,tb)を幅とする矩形波で表される。
【0040】
また、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動シーケンスにおいて、その駆動電流を、発光量Pg1に相当する値まで下げ、発光効率を向上させる制御がなされている。そして、この駆動電流に応じて、発光期間tg2が、サブフレーム期間fgだけでなく、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbに渡って設定されている。
【0041】
但し、本変形例では、光源10Gの発光期間tg2が、上記実施の形態における光源10Gの発光期間tg1と、その発光開始および発光終了のタイミングが異なっている。即ち、本変形例では、例えばサブフレーム期間fgと時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbにおいて、光源10Gの発光期間tg2と、光源10r,10Bの各発光期間tr,tbとの時間的な重なりが少なくなるように、発光期間tg2の開始,終了タイミングが設定されている。
【0042】
具体的には、光源駆動部14が、サブフレーム期間fbにおいて、光源10Gの発光期間tg2と、光源10Bの発光期間tbとの時間的な重なりが生じないように、発光期間tg2の終了タイミングをt1(上記実施の形態における発光期間tg1の終了タイミング)からt2へシフトさせる。尚、ここでは、サブフレーム期間frにおいて、発光終了タイミングのシフト時間と同程度の時間、発光開始タイミングをシフトさせている。即ち、発光期間tg2の長さ(発光時間)は、上記実施の形態の発光時間tg1の長さと同等であるため、明るさおよび消費電力は、上記実施の形態と同等となる。
【0043】
本変形例においても、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動電流を制御することで良好な発光効率を保持しつつ、発光期間tg2の長さを制御することにより、明るさを保持しながら消費電力を抑制する制御が可能となる。また、消費電力を大幅に増加させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させること等も可能である。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0044】
また、光源10Gの発光期間tg2の発光開始および発光終了のタイミングを、上記のようにシフトさせ、サブフレーム期間fr,fbにおいて、発光期間tg2と発光期間tbとの時間的な重なりが少なくなるようにすれば、各サブフレーム期間同士の間で混色が発生することを抑制することができる。よって、上記実施の形態に比べ、色順度の調整が容易となる。
【0045】
<変形例2>
図8(A)〜(D)は、変形例2に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図8(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図8(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。本変形例は、上記実施の形態と同様、光源10Gに緑色LED、光源10R,10Bに赤色LD,青色LDをそれぞれ用いた場合の駆動シーケンス例である。本変形例においても、上記実施の形態と同様、レーザダイオードとしての光源10R,10Bの各駆動シーケンスについては、発光量(Pr,Pb)を高さ、発光期間(tr,tb)を幅とする矩形波で表される。
【0046】
また、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動シーケンスにおいて、その駆動電流が制御され、この駆動電流に応じて、発光期間tg1が、サブフレーム期間fgだけでなく、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbに渡って設定されている。
【0047】
但し、本変形例では、光源10Gの発光期間tg1において、サブフレーム期間fgと、サブフレーム期間fr,fbとにおける光源10Gの駆動電流の値が異なっている。具体的には、光源駆動部14が、光源10Gの駆動電流を、サブフレーム期間fgにおいて、サブフレーム期間fr,fbよりも大きな値に設定する。例えば、発光期間tg1のうちサブフレーム期間fr,fbに対応する期間では、発光量Pg1(Pg1<Pr,Pb)となるような駆動電流に設定し、サブフレーム期間fgでは、発光量Pg2(Pg1<Pg2≦Pr,Pb)となるような駆動電流に設定する。
【0048】
本変形例のように、サブフレーム期間fgの発光量Pg2をサブフレーム期間fr,fbの発光量Pg1よりも高く設定することにより、サブフレーム期間fr,fg,fbに渡って設定された発光期間tg1において、例えば明るさが不足するような場合に、消費電力を大幅に増加させることなく、明るさを向上させることができる。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0049】
<変形例3>
図9(A)〜(D)は、変形例3に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図9(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図9(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。本変形例は、上記実施の形態と同様、光源10Gに緑色LED、光源10R,10Bに赤色LD,青色LDをそれぞれ用いた場合の駆動シーケンス例である。本変形例においても、上記実施の形態と同様、レーザダイオードとしての光源10R,10Bの各駆動シーケンスにおいては、発光量(Pr,Pb)を高さ、発光期間(tr,tb)を幅とする矩形波で表される。
【0050】
また、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動シーケンスにおいて、その駆動電流を、発光量Pg1に相当する値まで下げ、発光効率を向上させる制御がなされている。そして、この駆動電流に応じて、発光期間が、サブフレーム期間fgだけでなく、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbに渡って設定されている。
【0051】
但し、本変形例では、光源10Gの発光期間が、光源10R,10Bの各発光期間tr,tbと時間的に重なりのない期間tgaと、時間的に重なりのある期間tgbとが設けられ、これらの期間tga,tgbとの間で駆動電流が異なっている。
【0052】
具体的には、光源駆動部14が、期間tgaにおける光源10Gの駆動電流を、期間tgbにおける駆動電流よりも大きな値に設定する。ここでは、期間tgaのみを光源10Gの発光期間としている(期間tgbにおける駆動電流は0(ゼロ)としている)。換言すると、各発光期間tr,tga,tbが互いにオーバーラップしないように設定されている。尚、これらの期間tga,tgbにおける各駆動電流の値は、上記のものに限らず、期間tgaにおける駆動電流が、期間tgbにおける駆動電流よりも相対的に大きな値となっていればよい。
【0053】
本変形例においても、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動電流を制御することで良好な発光効率を保持しつつ、発光期間の長さを制御することにより、明るさを保持しつつ消費電力を抑制する制御が可能となる。また、消費電力を大幅に増加させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させること等も可能である。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0054】
また、光源10Gの発光期間のうち、光源10R,10Bの各発光期間tr,tbと時間的に重なりのない期間tgaにおいて、時間的に重なりのある期間tgbよりも駆動電流を大きな値に設定することにより、各サブフレーム期間同士の間の混色を抑制しつつ、明るさを確保することができる。よって、上記実施の形態に比べ、色順度の調整が容易となると共に、明るさを得やすくなる。
【0055】
<変形例4>
図10(A)〜(D)は、変形例4に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図10(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図10(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。本変形例は、上記実施の形態と同様、R,G,Bの3つの光源に発光ダイオードを含んでいる場合の駆動シーケンス例である。
【0056】
但し、本変形例では、発光ダイオードを2つ含んでおり、例えば光源10Gに緑色LED、光源10Rに赤色LEDをそれぞれ用い、光源10Bのみが青色LDとなっている。尚、本変形例においても、上記実施の形態と同様、レーザダイオードとしての光源10Bの駆動シーケンスでは、発光量(Pb)を高さ、発光期間(tb)を幅とする矩形波で表される。
【0057】
本変形例では、発光ダイオードとしての光源10R,10Gの各駆動シーケンスにおいて、それらの駆動電流を、発光量Pr1,Pg1に相当する値までそれぞれ下げ、発光効率を向上させる制御がなされる。そして、これらの駆動電流に応じて、光源10R,10Gの各発光期間tr1,tg1が、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fg,fbに渡って設定されている。
【0058】
本変形例においても、発光ダイオードとしての光源10R,10Gの駆動電流を制御することで良好な発光効率を保持しつつ、発光期間tr1,tg1の長さを制御することにより、明るさを保持しつつ消費電力を抑制する制御が可能となる。また、消費電力を大幅に増加させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させること等も可能である。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。このように、R,G,Bの各光源に発光ダイオードを1つ以上含んでいればよく、3つ全ての光源に発光ダイオードを用いるようにしてもよい。
【0059】
ここで、図11に、3光源全てに発光ダイオードを用い、これらの光源の各駆動電流を下げ、各発光期間を長くするような制御を行った場合の色再現範囲について示す。このように、3光源全てに発光ダイオードを用いた場合には、R,G,Bの各頂点座標は内側に向けてシフトする(図中の丸点から,三角点,四角点へ向けて順にシフトする)が、上述のように、1フレーム期間全体でのホワイトバランスを維持しながら、発光期間の長さを適切に設定することで、上記混色による影響を軽減することができる。
【0060】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、複数の光源がR,G,Bの3つの光源である場合に、これらのうちのG光源(またはG光源とR光源)に発光ダイオードを用いた場合について説明したが、発光ダイオードとして用いる光源は、これに限定されない。但し、本発明の効果は、上記制御対象のLEDとして、駆動電流の増加に伴う発光効率の低下率がより大きく表れる色のLEDを選択した場合に、より有効である。上記実施の形態等では、そのようなLEDの一例として、緑色LEDを用いている。
【0061】
更に、上記実施の形態等では、光変調素子として透過型液晶パネルを例に挙げたが、これに限定されず、例えば反射型の液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)等が用いられてもよい。
【0062】
加えて、上記実施の形態等では、照明装置および表示装置の各構成要素(光学系)を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態等では、本発明の表示装置としてプロジェクタ(特にマイクロプロジェクタ)を例に挙げたが、これに限定されず、例えば直視型の表示装置や、ステッパ等の露光装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…表示装置、1A…照明装置、10R,10G,10B…光源、11…光路合成素子、12…光変調素子、13…投射レンズ、14…光源制御部、15…被照射面、Z…光軸、fr,fg,fb…サブフレーム期間、Pr,Pg,Pg1,Pg2,Pb…発光量、tr,tr1,tg,tg1,tg2,tb…発光期間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯型プロジェクタに好適に用いられる照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタの映像表示方式として、赤(R)、緑(G)、青(B)の映像を時分割的(タイムシーケンシャル)に表示する、色順次表示方式(フィールドシーケンシャルカラー方式、以下FS方式という)が用いられている。この方式には、UHP(Ultra High Performance)等の白色光源とカラーフィルタを用いて実現するものと、RGB各色の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザダイオード(LD:Laser Diode)等を用いて実現するもの(例えば、特許文献1)とがある。色再現範囲において有利なことから、後者の方式が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−317558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなR,G,BのLED等を用いたFS方式では、1フレーム期間をR,G,Bの各画像を表示するための3つのサブフレーム期間に分割し、これらのサブフレーム期間のそれぞれに対応して、R,G,BのLED光源を時分割的に順次発光駆動する。この方式では、各色光の出力(発光量)が最大となるように、各LED光源を駆動するため消費電力が大きく、また、より明るい表示輝度を実現するためには、消費電力を増加させる必要がある。例えば、上記特許文献1では、R,G,Bの各サブフレーム期間において、本来の色光以外の他の色光を同時に発光させて明るさを向上させているが、他の色光を発光させるための電力を別途要するため、消費電力が増加してしまう。
【0005】
また、このようなFS方式は、例えば小型のプロジェクタの分野においても採用されている。ところが、小型プロジェクタにおいては、消費電力が大きいと、投影時間が短縮化されたり、放熱設計への影響が大きくなってしまう。このため、特に小型プロジェクタのように、明るさ(照明輝度、表示輝度)を無暗に向上させるよりも、消費電力を抑制することが優先される場合もある。従って、用途に応じて、消費電力および明るさを所望の値に制御可能な照明装置の実現が望まれている。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発光ダイオードを含む複数の光源を時分割駆動する際に、所望の消費電力および明るさを実現することが可能な照明装置および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置は、少なくとも1つの発光ダイオードを含み、2種以上の色光を発する複数の光源と、複数の光源を時分割的に発光駆動させる光源制御部とを備え、光源制御部は、発光ダイオードの駆動電流を制御すると共に、駆動電流に応じて発光期間の長さを設定するものである。
【0008】
本発明の表示装置は、上記本発明の照明装置と、この照明装置から発せられた光を映像信号に基づいて変調する光変調素子とを備えたものである。
【0009】
本発明の照明装置および表示装置では、発光ダイオードを含む複数の光源を時分割駆動する際に、発光ダイオードの駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する。ここで、発光ダイオードでは、駆動電流の増加に伴って発光効率が低下する特性を有するため、例えば駆動電流を下げる制御がなされることで、発光効率を向上させることができる。一方、駆動電流を下げる制御がなされた場合には、その分明るさが減少することもあるが、この場合には、発光期間を長く設定することで、時間的に連続して発光する複数の光源からのトータルの発光量を増加させることができる。即ち、良好な発光効率を保持しつつ、発光期間の長さを制御することにより、例えば、駆動電流の制御によって低減した明るさを補完することができるため、明るさを保持しつつ消費電力を抑制することが可能となる。あるいは、消費電力を大幅に増大させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させることも可能となる。
【0010】
また、本発明の照明装置では、光源制御部が、発光ダイオードの発光期間を、時分割駆動において発光ダイオードに割り当てられた第1の単位期間と、少なくともこの第1の単位期間と時間的に連続する第2の単位期間とに渡って設定することが望ましい。また、複数の光源として、R,G,Bの3色の光源が用いられる場合には、これら3色のうちの少なくとも一の色の光源が発光ダイオードからなり、他の色の光源がレーザダイオードからなることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の照明装置および表示装置によれば、光源駆動部が、複数の光源のうちの発光ダイオードの駆動電流を制御するようにしたので、発光ダイオードにおける発光効率を向上させることができる。また、その駆動電流に応じて発光期間の長さを設定するようにしたので、明るさを保持しつつ消費電力を抑えたり、消費電力を増加させることなく明るさを向上させたりすることが可能となる。よって、発光ダイオードを含む複数の光源を時分割駆動する際に、所望の消費電力および明るさを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の全体構成を表す図である。
【図2】比較例に係る各光源と光変調素子における時分割駆動動作を表わすタイミング図である。
【図3】図1に示した光源制御部の光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図4】発光ダイオード(R,G,B)における駆動電流と発光効率の関係を表す特性図である。
【図5】発光ダイオード(G)の発光時間と明るさとの関係を表す特性図である。
【図6】図1に示した光源制御部の光源制御動作により得られる色再現範囲の一例である。
【図7】変形例1に係る光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図8】変形例2に係る光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図9】変形例3に係る光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図10】変形例4に係る光源制御動作を説明するためのタイミング図である。
【図11】他の変形例に係る光源制御動作により得られる色再現範囲の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(G光源をLEDとして、その駆動電流を下げ、発光期間を長く設定した例)
2.変形例1(G光源の発光開始および終了のタイミングをずらした例)
3.変形例2(G光源の発光期間をR,G,Bの各サブフレームに渡って設定し、駆動電流をGサブフレームにおいてR,Bサブフレームよりも高く設定した例)
4.変形例3(G光源の発光期間のうち、R,Bの発光期間と時間的に重なりのない期間において、重なりのある期間よりも駆動電流を高く設定した例)
5.変形例4(R光源およびG光源をLEDとし、これらの駆動電流を下げ、発光期間を長く設定した例)
【0014】
<第1の実施の形態>
[表示装置1の全体構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の全体構成を表すものである。表示装置1は、被投射面15(スクリーン等)に対して映像(映像光)を投射するプロジェクタであり、例えばフィールドシーケンシャルカラー方式により、R,G,Bの各色の照明光を用いて、各色の画像を時分割的に投射表示するものである。このような表示装置1は、照明装置1A(光源10R,10G,10B、光路合成素子11および光源制御部14)と、光変調素子12および投射レンズ13とを備えている。
【0015】
光源10R,10G,10Bは、赤色光,緑色光,青色光をそれぞれ発するものであり、光源制御部14の制御に応じて時分割的に発光駆動されるようになっている。例えば、光源10R,10G,10Bの各出力は、1フレーム期間の1/3に相当する期間(後述のサブフレーム期間)毎に順次切り替えられるようになっている。これらの光源10R,10G,10Bは、は、例えば発光ダイオード(LED)や、レーザーダイオード(LD)等からなるが、少なくとも発光ダイオードを含んでいる。本実施の形態では、光源10R,10G,10Bのうち光源10Gが発光ダイオード(緑色LED)、光源10R,10Bがレーザダイオード(赤色LD,青色LD)である場合を例に挙げて説明する。
【0016】
光源制御部14は、上記3つの光源10R,10G,10Bに接続されており、各光源の出力を制御可能となっている。具体的には、各光源の駆動電流(Peak Power)を制御して瞬間的な(単位時間あたりの)発光量を制御したり、その発光期間の長さ(発光時間、デューティ)や、発光開始および発光終了のタイミングを制御することが可能となっている。この光源制御部14は、光源駆動部140を有しており、また、発光期間設定部141R,141G,141Bおよび駆動電流設定部142R,142G,142Bを光源毎に有している。駆動電流設定部142R,142G,142Bは、各光源の駆動電流を設定するものであり、発光期間設定部141R,141G,141Bは、各光源の発光期間の長さや、発光開始および発光終了のタイミングを設定するものである。光源駆動部140は、これらの駆動電流設定部142R,142G,142Bおよび発光期間設定部141R,141G,141Bによる各設定に基づいて光源10R,10G,10Bをそれぞれ駆動するものである。
【0017】
詳細は後述するが、この光源制御部14が、光源10R,10G,10Bのうち、緑色LEDとしての光源10Gの駆動電流および発光期間を、他の光源(光源10R,10B)と比較して、発光量制御するようになっている。
【0018】
光路合成素子11は、光源10R,10G,10Bから発せられた各色光を、同一の光軸Z上に合成するための素子である。このような光路合成素子11としては、例えばタイクロイックプリズム等が挙げられる。ここでは、3つの光源10R,10G,10Bからの各色光を互いに異なる光路から光路合成素子11(ダイクロイックプリズム)に入射させ、一の光路Z上へ導くようになっている。尚、各色光の光路合成素子としては、このようなダイクロイックプリズムに限らず、例えば反射ミラーやダイクロイックミラー等を用いてもよい。
【0019】
光変調素子12は、例えば透過型液晶パネル等からなり、照明装置1Aからの照明光を、図示しない表示制御部から供給される映像信号に基づいて変調して、映像光を出射するものである。
【0020】
投射レンズ13は、光変調素子12から出射した映像光をスクリーン30に対して投射(拡大投射)するためのレンズであり、単数または複数のレンズからなる。
【0021】
[表示装置1の作用・効果]
(FS方式による表示動作)
表示装置1では、照明装置1Aにおいて、光源制御部14が光源10R,10G,10Bをそれぞれ時分割的に発光駆動する。具体的には、1フレーム期間を3分割した期間に相当するR,G,B3つのサブフレーム期間(単位期間、後述のサブフレーム期間fr,fg,fb)のそれぞれに対応して光源10R,10G,10Bを順次発光させる。このようにして光源10R,10G,10Bから発せられた各色光は順次、光変調素子12へ入射し、色光毎に各色の映像信号に応じて変調される。即ち、時間的に連続するR,G,B3つのサブフレーム期間のうち、Rサブフレーム期間では、光源10Rを発光させ、光変調素子12においてRの映像信号に基づいた光変調がなされる。同様に、Gサブフレーム期間,Bサブフレーム期間では、それぞれ光源10G,10Bを発光させ、光変調素子12においてG,Bの映像信号に基づいた光変調がなされる。この際、光変調素子12では、各サブフレーム期間内において、駆動時間または駆動振幅が制御されることにより、各色画像光の投射時における階調が調整される。
【0022】
この後、光変調素子12を出射した光は、投射レンズ13によって、被照射面15へ向けて投射(拡大投射)される。以上のようにして、光源10R,10G,10Bから時分割で発せられる各色光に基づいて、フルカラーの映像表示がなされる。
【0023】
(発光ダイオードを含むR,G,B光源の時分割駆動動作)
ここで、本実施の形態では、上記3つの光源10R,10G,10Bが、少なくとも1つの発光ダイオードを含んでいる。例えば、本実施の形態では、光源10Gとして緑色LEDが用いられ、光源10Rとして赤色LD、光源10Bとして青色LDがそれぞれ用いられている。以下、上記のようなFS方式の映像表示を行う際に、R,G,Bの光源が発光ダイオードを含む場合の時分割駆動動作について、比較例と比しつつ説明する。
【0024】
(比較例)
図2(A)〜(D)は、比較例に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図2(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。このように、光源10R,10G,10Bにおける各駆動シーケンスは、各色光の単位時間あたりの発光量(Pr,Pg,Pb)を高さ、発光期間(tr,tg,tb)を幅とする矩形波として表される。図2(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。
【0025】
このように、1フレーム期間を3分割した各期間に相当するサブフレーム期間fr,fg,fbのそれぞれにおいて、対応する光源10R,10G,10Bが発光駆動される。このとき、比較例では、サブフレーム期間fr,fg,fbのいずれにおいても、光源10R,10G,10Bから出力される発光量Pr,Pg,Pbが最大となるように、光源10R,10G,10Bへの駆動電流がそれぞれ設定され、例えばこれらの発光量Pr,Pg,Pbは同等の値となっている。また、光源10R,10G,10Bの発光期間tr,tg,tbは、各サブフレーム期間内において後半の所定の期間に相当するものとなっている。
【0026】
即ち、FS方式の映像表示に際して、光源10R,10G,10Bを時分割駆動する場合には、上記比較例のように、限られたサブフレーム期間内で、それぞれが最大の発光量となるように駆動を行っている。このような状態から、例えば更に明るさを向上させようとした場合、例えば駆動電流を更に大きくして単位時間あたりの発光量Pを発光量Pg100まで増加させる制御がなされる。このような制御では、明るさを増すことはできるが、駆動電流を大きくする分、消費電力も増加してしまう。このような消費電力の増加は、特に小型のプロジェクタ等においては望ましくない。
【0027】
そこで、本実施の形態では、上述のようなFS方式の映像表示を行う際に、光源10R,10G,10Bのうちの少なくとも1つに発光ダイオード(ここでは緑色LEDとしての光源10G)を用いる。そして、このような発光ダイオードを含む光源10R,10G,10Bを、光源制御部14が、例えば次のような駆動シーケンスで発光駆動する。
【0028】
図3(A)〜(D)は、本実施の形態におけるR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図3(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図3(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。このように、本実施の形態においても、レーザダイオードとしての光源10R,10Bの各駆動シーケンスについては、上記比較例と同様、各色光の単位時間あたりの発光量(Pr,Pb)を高さ、発光期間(tr,tb)を幅とする矩形波で表される。
【0029】
一方、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動シーケンスについては、上記光源10R,10Bに対するものと異なり、例えば駆動電流を所定の値に制御し、この駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する。ここで、発光ダイオードでは、図4に示したように、駆動電流Ifの増加に伴って発光効率が低下する、という特性を有する。このため、発光ダイオードでは、駆動電流をできるだけ小さくした方が、発光効率を向上させることができる。尚、本明細書における発光効率とは、各光源へ投入した電力に対する発光量の割合をいうものとする。
【0030】
従って、本実施の形態では、光源制御部14が、光源10Gの発光駆動に際し、例えば駆動電流を下げる制御を行う。具体的には、駆動電流設定部142Gが、光源10Gの発光量Pg1がより小さくなる(矩形波における高さがより小さくなる)ように、光源10Gの駆動電流を設定する。これにより、光源10Gにおける発光効率を向上させることができる。
【0031】
この一方で、上記のように光源10Gの駆動電流を下げる制御がなされた場合、発光効率は向上するものの、明るさ自体は減少し易くなる。そこで、本実施の形態では、光源制御部14が、光源10Gの駆動電流に応じて発光期間を長く設定する。具体的には、発光期間設定部141Gが、光源10Gの発光期間tg1を、他の光源10R,10Bの発光期間tr,tbよりも長くなる(矩形波における幅が広くなる)ように設定する。ここでは、その発光期間tg1を、対応するサブフレーム期間fgだけでなく、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbに渡って設定する。
【0032】
他方、これらの光源10R,10G,10Bでは、例えば所望のホワイトバランスが得られるように、それぞれの発光量が設定されていることが望ましい。具体的には、各光源の積算光量(=発光量×発光時間)が、所望のホワイトバランスとなるように設定され、そのようにして設定された積算光量の範囲内で、上記のような光源10Gの駆動制御を行う。つまり、発光量Pg1を小さくしつつ発光時間を延ばすことで、積算光量を上記値に近づける、または同値とすることができ、所望のホワイトバランスを維持しつつ、発光効率を向上させることが可能となる。
【0033】
これにより、1フレーム期間における光源10R,10G,10Bにおけるトータルの発光量を増加させることができる。図5に、光源10Gにおける発光時間と明るさとの関係について示す。即ち、駆動電流を制御することで良好な発光効率を保持しつつ、発光期間の長さを制御することにより、駆動電流の制御によって減少した明るさを補完することができる。これにより、明るさを保持しつつ消費電力を抑制する制御が可能となる。また、発光期間tg1を長く設定する程、トータルの発光量が増加するため、明るさを向上させる制御も可能である。即ち、消費電力を大幅に増加させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させることができる。あるいは、消費電力を一定に保ったまま、明るさだけを向上させることも可能である。
【0034】
換言すると、発光ダイオードでは、駆動シーケンスにおける発光量と発光期間によって囲まれる図形の面積によって、明るさ(照明輝度、表示輝度)が決まる。そのため、比較例における発光量Pgと発光期間tgとによって得られる図形と、本実施の形態における発光量Pg1と発光期間tg1とによって得られる図形とが同じ面積となるように設定すれば、両者において同等の明るさを得ることができる。但し、駆動電流(発光量)を下げ、発光期間を長く取った後者の場合(発光量Pg1,発光期間tg1)の方が、発光効率が高い分、消費電力を削減することができる。
【0035】
(色再現性について)
図6に、本実施の形態における色再現範囲(CIE1931色度)について示す。本実施の形態では、光源10Gに緑色LED、光源10R,10Bに赤色LD,青色LDをそれぞれ用いたが、この場合、色再現範囲は図6に示したようになる。具体的には、光源10R,10G,10Bにおいて、光源10Gの発光期間を長くしていった場合、Gの頂点座標は、一定の位置(図中の四角点)に留まるが、RおよびBの頂点座標は内側にシフトする(図中の丸点から,三角点,四角点へ向けて順にシフトする)。
【0036】
ここで、標準的な色空間であるNTSC規格の色再現範囲(図中の破線で囲まれた範囲)との比較を考えた場合、このNTSC規格程度の色再現性が確保できれば充分であるような用途においては、単色性を示す各頂点の座標を、NTSC規格の領域に近づくように、その他の色光側にシフトさせればよい。これは、厳密には、サブフレーム期間内での混色を意味するが、1フレーム期間全体でのホワイトバランスを維持しながら、発光期間の長さを適切に設定することで、上記混色による影響を軽減できる。また、光源10R,10G,10Bに少なくとも1つのレーザダイオードを含むことにより、レーザダイオードの持つ単色性により、色再現範囲を拡大し易くなる。尚、この色再現範囲は、RGBの各映像区間の調整により、任意の色再現範囲をとることができる。
【0037】
以上のように、本実施の形態では、時分割駆動される光源10R,10G,10Bのうち、光源10Gに発光ダイオードを用い、光源制御部14が、その光源10Gの駆動電流を制御するようにしたので、発光ダイオードにおける駆動電流と発光効率の関係を利用して、光源10Gにおける発光効率を向上させることができる。また、その駆動電流に応じて発光期間tg1の長さを設定するようにしたので、明るさを保持しつつ消費電力を抑えたり、消費電力を増加させることなく明るさを向上させたりすることが可能となる。よって、発光ダイオードを含む複数の光源を時分割駆動する際に、所望の消費電力および明るさを実現することが可能となる。
【0038】
続いて、上記実施の形態の光源制御部14の駆動シーケンスの変形例(変形例1〜4)について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0039】
<変形例1>
図7(A)〜(D)は、変形例1に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図7(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図7(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。本変形例は、上記実施の形態と同様、光源10Gに緑色LED、光源10R,10Bに赤色LD,青色LDをそれぞれ用いた場合の駆動シーケンス例である。本変形例においても、上記実施の形態と同様、レーザダイオードとしての光源10R,10Bの各駆動シーケンスにおいては、発光量(Pr,Pb)を高さ、発光期間(tr,tb)を幅とする矩形波で表される。
【0040】
また、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動シーケンスにおいて、その駆動電流を、発光量Pg1に相当する値まで下げ、発光効率を向上させる制御がなされている。そして、この駆動電流に応じて、発光期間tg2が、サブフレーム期間fgだけでなく、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbに渡って設定されている。
【0041】
但し、本変形例では、光源10Gの発光期間tg2が、上記実施の形態における光源10Gの発光期間tg1と、その発光開始および発光終了のタイミングが異なっている。即ち、本変形例では、例えばサブフレーム期間fgと時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbにおいて、光源10Gの発光期間tg2と、光源10r,10Bの各発光期間tr,tbとの時間的な重なりが少なくなるように、発光期間tg2の開始,終了タイミングが設定されている。
【0042】
具体的には、光源駆動部14が、サブフレーム期間fbにおいて、光源10Gの発光期間tg2と、光源10Bの発光期間tbとの時間的な重なりが生じないように、発光期間tg2の終了タイミングをt1(上記実施の形態における発光期間tg1の終了タイミング)からt2へシフトさせる。尚、ここでは、サブフレーム期間frにおいて、発光終了タイミングのシフト時間と同程度の時間、発光開始タイミングをシフトさせている。即ち、発光期間tg2の長さ(発光時間)は、上記実施の形態の発光時間tg1の長さと同等であるため、明るさおよび消費電力は、上記実施の形態と同等となる。
【0043】
本変形例においても、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動電流を制御することで良好な発光効率を保持しつつ、発光期間tg2の長さを制御することにより、明るさを保持しながら消費電力を抑制する制御が可能となる。また、消費電力を大幅に増加させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させること等も可能である。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0044】
また、光源10Gの発光期間tg2の発光開始および発光終了のタイミングを、上記のようにシフトさせ、サブフレーム期間fr,fbにおいて、発光期間tg2と発光期間tbとの時間的な重なりが少なくなるようにすれば、各サブフレーム期間同士の間で混色が発生することを抑制することができる。よって、上記実施の形態に比べ、色順度の調整が容易となる。
【0045】
<変形例2>
図8(A)〜(D)は、変形例2に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図8(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図8(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。本変形例は、上記実施の形態と同様、光源10Gに緑色LED、光源10R,10Bに赤色LD,青色LDをそれぞれ用いた場合の駆動シーケンス例である。本変形例においても、上記実施の形態と同様、レーザダイオードとしての光源10R,10Bの各駆動シーケンスについては、発光量(Pr,Pb)を高さ、発光期間(tr,tb)を幅とする矩形波で表される。
【0046】
また、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動シーケンスにおいて、その駆動電流が制御され、この駆動電流に応じて、発光期間tg1が、サブフレーム期間fgだけでなく、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbに渡って設定されている。
【0047】
但し、本変形例では、光源10Gの発光期間tg1において、サブフレーム期間fgと、サブフレーム期間fr,fbとにおける光源10Gの駆動電流の値が異なっている。具体的には、光源駆動部14が、光源10Gの駆動電流を、サブフレーム期間fgにおいて、サブフレーム期間fr,fbよりも大きな値に設定する。例えば、発光期間tg1のうちサブフレーム期間fr,fbに対応する期間では、発光量Pg1(Pg1<Pr,Pb)となるような駆動電流に設定し、サブフレーム期間fgでは、発光量Pg2(Pg1<Pg2≦Pr,Pb)となるような駆動電流に設定する。
【0048】
本変形例のように、サブフレーム期間fgの発光量Pg2をサブフレーム期間fr,fbの発光量Pg1よりも高く設定することにより、サブフレーム期間fr,fg,fbに渡って設定された発光期間tg1において、例えば明るさが不足するような場合に、消費電力を大幅に増加させることなく、明るさを向上させることができる。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0049】
<変形例3>
図9(A)〜(D)は、変形例3に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図9(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図9(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。本変形例は、上記実施の形態と同様、光源10Gに緑色LED、光源10R,10Bに赤色LD,青色LDをそれぞれ用いた場合の駆動シーケンス例である。本変形例においても、上記実施の形態と同様、レーザダイオードとしての光源10R,10Bの各駆動シーケンスにおいては、発光量(Pr,Pb)を高さ、発光期間(tr,tb)を幅とする矩形波で表される。
【0050】
また、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動シーケンスにおいて、その駆動電流を、発光量Pg1に相当する値まで下げ、発光効率を向上させる制御がなされている。そして、この駆動電流に応じて、発光期間が、サブフレーム期間fgだけでなく、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fbに渡って設定されている。
【0051】
但し、本変形例では、光源10Gの発光期間が、光源10R,10Bの各発光期間tr,tbと時間的に重なりのない期間tgaと、時間的に重なりのある期間tgbとが設けられ、これらの期間tga,tgbとの間で駆動電流が異なっている。
【0052】
具体的には、光源駆動部14が、期間tgaにおける光源10Gの駆動電流を、期間tgbにおける駆動電流よりも大きな値に設定する。ここでは、期間tgaのみを光源10Gの発光期間としている(期間tgbにおける駆動電流は0(ゼロ)としている)。換言すると、各発光期間tr,tga,tbが互いにオーバーラップしないように設定されている。尚、これらの期間tga,tgbにおける各駆動電流の値は、上記のものに限らず、期間tgaにおける駆動電流が、期間tgbにおける駆動電流よりも相対的に大きな値となっていればよい。
【0053】
本変形例においても、発光ダイオードとしての光源10Gの駆動電流を制御することで良好な発光効率を保持しつつ、発光期間の長さを制御することにより、明るさを保持しつつ消費電力を抑制する制御が可能となる。また、消費電力を大幅に増加させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させること等も可能である。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0054】
また、光源10Gの発光期間のうち、光源10R,10Bの各発光期間tr,tbと時間的に重なりのない期間tgaにおいて、時間的に重なりのある期間tgbよりも駆動電流を大きな値に設定することにより、各サブフレーム期間同士の間の混色を抑制しつつ、明るさを確保することができる。よって、上記実施の形態に比べ、色順度の調整が容易となると共に、明るさを得やすくなる。
【0055】
<変形例4>
図10(A)〜(D)は、変形例4に係るR,G,B光源の時分割駆動動作を説明するためのタイミング図である。図10(A)〜(C)は、各光源における駆動シーケンスを、縦軸を発光量P、横軸を時間tとして模式的に表したものである。図10(D)は、光変調素子12における色光毎の変調動作を模式的に表したものである。本変形例は、上記実施の形態と同様、R,G,Bの3つの光源に発光ダイオードを含んでいる場合の駆動シーケンス例である。
【0056】
但し、本変形例では、発光ダイオードを2つ含んでおり、例えば光源10Gに緑色LED、光源10Rに赤色LEDをそれぞれ用い、光源10Bのみが青色LDとなっている。尚、本変形例においても、上記実施の形態と同様、レーザダイオードとしての光源10Bの駆動シーケンスでは、発光量(Pb)を高さ、発光期間(tb)を幅とする矩形波で表される。
【0057】
本変形例では、発光ダイオードとしての光源10R,10Gの各駆動シーケンスにおいて、それらの駆動電流を、発光量Pr1,Pg1に相当する値までそれぞれ下げ、発光効率を向上させる制御がなされる。そして、これらの駆動電流に応じて、光源10R,10Gの各発光期間tr1,tg1が、時間的に連続するサブフレーム期間fr,fg,fbに渡って設定されている。
【0058】
本変形例においても、発光ダイオードとしての光源10R,10Gの駆動電流を制御することで良好な発光効率を保持しつつ、発光期間tr1,tg1の長さを制御することにより、明るさを保持しつつ消費電力を抑制する制御が可能となる。また、消費電力を大幅に増加させることなくトータルの発光量を増加させ、明るさを向上させること等も可能である。よって、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。このように、R,G,Bの各光源に発光ダイオードを1つ以上含んでいればよく、3つ全ての光源に発光ダイオードを用いるようにしてもよい。
【0059】
ここで、図11に、3光源全てに発光ダイオードを用い、これらの光源の各駆動電流を下げ、各発光期間を長くするような制御を行った場合の色再現範囲について示す。このように、3光源全てに発光ダイオードを用いた場合には、R,G,Bの各頂点座標は内側に向けてシフトする(図中の丸点から,三角点,四角点へ向けて順にシフトする)が、上述のように、1フレーム期間全体でのホワイトバランスを維持しながら、発光期間の長さを適切に設定することで、上記混色による影響を軽減することができる。
【0060】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、複数の光源がR,G,Bの3つの光源である場合に、これらのうちのG光源(またはG光源とR光源)に発光ダイオードを用いた場合について説明したが、発光ダイオードとして用いる光源は、これに限定されない。但し、本発明の効果は、上記制御対象のLEDとして、駆動電流の増加に伴う発光効率の低下率がより大きく表れる色のLEDを選択した場合に、より有効である。上記実施の形態等では、そのようなLEDの一例として、緑色LEDを用いている。
【0061】
更に、上記実施の形態等では、光変調素子として透過型液晶パネルを例に挙げたが、これに限定されず、例えば反射型の液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)等が用いられてもよい。
【0062】
加えて、上記実施の形態等では、照明装置および表示装置の各構成要素(光学系)を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態等では、本発明の表示装置としてプロジェクタ(特にマイクロプロジェクタ)を例に挙げたが、これに限定されず、例えば直視型の表示装置や、ステッパ等の露光装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…表示装置、1A…照明装置、10R,10G,10B…光源、11…光路合成素子、12…光変調素子、13…投射レンズ、14…光源制御部、15…被照射面、Z…光軸、fr,fg,fb…サブフレーム期間、Pr,Pg,Pg1,Pg2,Pb…発光量、tr,tr1,tg,tg1,tg2,tb…発光期間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発光ダイオードを含み、2種以上の色光を発する複数の光源と、
前記複数の光源を時分割的に発光駆動させる光源制御部とを備え、
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を制御すると共に、前記駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する
照明装置。
【請求項2】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの発光期間を、時分割駆動において前記発光ダイオードに割り当てられた第1の単位期間と、少なくともこの第1の単位期間と時間的に連続する第2の単位期間とに渡って設定する
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を下げる制御を行う
請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの発光期間をより長く設定する
請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードと前記他の光源との各発光期間同士の時間的な重なりが少なくなるように、前記発光ダイオードの発光開始および発光終了のタイミングを設定する
請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を、前記第1の単位期間において、前記第2の単位期間よりも大きな値に設定する
請求項4に記載の照明装置。
【請求項7】
前記発光ダイオードの発光期間が、前記他の光源の発光期間と時間的な重なりのない第1の期間と、前記時間的な重なりある第2の期間を有し、
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を、前記第1の期間において前記第2の期間よりも大きな値に設定する
請求項4に記載の照明装置。
【請求項8】
前記複数の光源は、赤色光,緑色光および青色光をそれぞれ発する光源である
請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記複数の光源は、発光ダイオードおよびレーザダイオードを含む
請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記複数の光源は全て、発光ダイオードである
請求項8に記載の照明装置。
【請求項11】
前記複数の光源から発せられた色光の光路を合成する光路合成素子を備えた
請求項8に記載の照明装置。
【請求項12】
照明装置と、前記照明装置から発せられた光を映像信号に基づいて変調する光変調素子とを有し、
前記照明装置は、
少なくとも1つの発光ダイオードを含み、2種以上の色光を発する複数の光源と、
前記複数の光源を時分割的に発光駆動させる光源制御部とを備え、
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を制御すると共に、前記駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する
表示装置。
【請求項13】
前記光変調素子により変調された光を被投射面に対して投射する投射光学系を更に備えた
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記複数の光源は、赤色光,緑色光および青色光をそれぞれ発する光源であり、
前記光変調素子は、1フレーム期間を3分割した期間に相当するサブフレーム期間毎に、前記光源制御部の制御に応じて前記複数の光源から発せられる各色光を変調する
請求項12に記載の表示装置。
【請求項1】
少なくとも1つの発光ダイオードを含み、2種以上の色光を発する複数の光源と、
前記複数の光源を時分割的に発光駆動させる光源制御部とを備え、
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を制御すると共に、前記駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する
照明装置。
【請求項2】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの発光期間を、時分割駆動において前記発光ダイオードに割り当てられた第1の単位期間と、少なくともこの第1の単位期間と時間的に連続する第2の単位期間とに渡って設定する
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を下げる制御を行う
請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの発光期間をより長く設定する
請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードと前記他の光源との各発光期間同士の時間的な重なりが少なくなるように、前記発光ダイオードの発光開始および発光終了のタイミングを設定する
請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を、前記第1の単位期間において、前記第2の単位期間よりも大きな値に設定する
請求項4に記載の照明装置。
【請求項7】
前記発光ダイオードの発光期間が、前記他の光源の発光期間と時間的な重なりのない第1の期間と、前記時間的な重なりある第2の期間を有し、
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を、前記第1の期間において前記第2の期間よりも大きな値に設定する
請求項4に記載の照明装置。
【請求項8】
前記複数の光源は、赤色光,緑色光および青色光をそれぞれ発する光源である
請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記複数の光源は、発光ダイオードおよびレーザダイオードを含む
請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記複数の光源は全て、発光ダイオードである
請求項8に記載の照明装置。
【請求項11】
前記複数の光源から発せられた色光の光路を合成する光路合成素子を備えた
請求項8に記載の照明装置。
【請求項12】
照明装置と、前記照明装置から発せられた光を映像信号に基づいて変調する光変調素子とを有し、
前記照明装置は、
少なくとも1つの発光ダイオードを含み、2種以上の色光を発する複数の光源と、
前記複数の光源を時分割的に発光駆動させる光源制御部とを備え、
前記光源制御部は、前記発光ダイオードの駆動電流を制御すると共に、前記駆動電流に応じて発光期間の長さを設定する
表示装置。
【請求項13】
前記光変調素子により変調された光を被投射面に対して投射する投射光学系を更に備えた
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記複数の光源は、赤色光,緑色光および青色光をそれぞれ発する光源であり、
前記光変調素子は、1フレーム期間を3分割した期間に相当するサブフレーム期間毎に、前記光源制御部の制御に応じて前記複数の光源から発せられる各色光を変調する
請求項12に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−43611(P2012−43611A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183180(P2010−183180)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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