説明

照明装置及びプロジェクター

【課題】固体光源の寿命を短くすることなく高輝度化することが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】主励起光を射出する第1固体光源と、主励起光を蛍光に変換して射出する蛍光層とを有する第1固体光源装置10と、第1レンズ22及び第2レンズ24を備えるコリメート光学系20とを備える照明装置であって、副励起光を射出する第2固体光源を有する第2固体光源装置30と、第1レンズ22と第2レンズ24との間に配置され、副励起光を蛍光層へ向けて反射するとともに、蛍光を通過させるダイクロイック面を有するダイクロイックプリズム50とをさらに備え、蛍光層は、副励起光をも蛍光に変換して射出するように構成され、ダイクロイック面と第1固体光源装置10の光軸とのなす角αが「45°<α<60°」の関係を満たすことを特徴とする照明装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、励起光を射出する固体光源と、励起光を蛍光に変換して射出する蛍光層とを有する固体光源装置を備える照明装置が知られている。また、このような照明装置を備えるプロジェクターが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の照明装置によれば、特定の色光しか得られない固体光源を用いても、固体光源から射出される光を蛍光層で変換することによって様々な色光を得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−274957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、プロジェクターの高輝度化が進み、これに伴って照明装置の高輝度化に対するニーズが高まっている。従来の照明装置を高輝度化するためには、より高い電圧を固体光源に印加する方法が考えられる。しかしながら、当該方法を用いて照明装置を高輝度化したのでは、1つの固体光源に熱的負荷が集中し、これに起因して固体光源の寿命が短くなってしまう。このため、従来の照明装置においては、固体光源の寿命を短くすることなく照明装置を高輝度化することが困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、固体光源の寿命を短くすることなく高輝度化することが可能な照明装置を提供することを目的とする。また、このような照明装置を備えるため、照明装置の取換え頻度の低い高輝度なプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の照明装置は、主励起光を射出する第1固体光源と、前記主励起光の少なくとも一部を蛍光に変換して射出する蛍光層とを有する第1固体光源装置と、前記第1固体光源装置からの光の拡がりを抑制する第1レンズと、前記第1レンズからの光を略平行化する第2レンズとを備え、全体として前記第1固体光源装置から射出される光を略平行化するコリメート光学系とを備える照明装置であって、副励起光を射出する第2固体光源を有する第2固体光源装置と、前記第2固体光源装置からの副励起光を集光する集光光学系と、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配置され、前記集光光学系から射出される副励起光を前記蛍光層へ向けて反射するとともに、前記蛍光を通過させるダイクロイック面を有するダイクロイック光学素子とをさらに備え、前記蛍光層は、前記副励起光をも前記蛍光に変換して射出するように構成され、前記第1固体光源装置の光軸及び前記第2固体光源装置の光軸を含む平面において、前記ダイクロイック面と前記第1固体光源装置の光軸とのなす角αが「45°<α<60°」の関係を満たすことを特徴とする。
【0008】
このため、本発明の照明装置によれば、蛍光層を励起するための光源として、主励起光を射出する第1固体光源及び副励起光を射出する第2固体光源の2つの光源を用いることとしているため、蛍光層を励起するための光源として1つの光源を用いる照明装置の場合よりも光源にかかる熱的負荷を低減することが可能となり、その結果、光源の寿命を短くすることなく照明装置を高輝度化することが可能となる。
【0009】
また、本発明の照明装置によれば、主励起光及び副励起光の2つの励起光を単一の蛍光層を用いて蛍光に変換するように構成されているため、1つの励起光を1つの蛍光層を用いて蛍光に変換するように構成された照明装置と比較しても発光面積が特段大きくなることはなく、従って、発光面積が大きくなることに起因して照明光束の品質が低下することもない。
【0010】
また、本発明の照明装置によれば、ダイクロイック面と第1固体光源装置の光軸とのなす角αが「45°<α<60°」の関係を満たすため、第1固体光源装置と第2固体光源装置とが互いに干渉してしまうことなく照明装置を小型化することが可能となる。
【0011】
ここで、ダイクロイック面と第1固体光源装置の光軸とのなす角αを「45°<α<60°の関係を満たす」ものとしたのは、以下の理由による。角αが45°以下である場合には、ダイクロイック光学素子における「第1固体光源装置の光軸に沿う方向の長さ」が長くなりすぎて、照明装置を小型化することが困難となる場合があるからであり、角αが60°以上である場合には、第1固体光源装置と第2固体光源装置とが互いに干渉してしまう場合があるためである。
【0012】
上記観点から言えば、ダイクロイック面と第1固体光源装置の光軸とのなす角αは、「50°≦α≦55°」の関係を満たすことがより好ましい。
【0013】
[2]本発明の照明装置においては、前記第1固体光源装置は、赤色光、緑色光及び青色光を含む白色光を射出し、ランバート発光タイプの白色固体光源であり、前記主励起光は、紫外光、紫色光又は青色光であり、前記副励起光は、紫外光又は紫色光であり、前記ダイクロイック面は、波長が440nm以下の光を反射し、波長が440nmを超える光を通過させることが好ましい。
【0014】
このような構成とすることにより、比較的単純な構成で、照明装置から白色光を射出することが可能となる。
【0015】
[3]本発明の照明装置においては、前記ダイクロイック光学素子を挟んで前記第2固体光源装置と向かい合うように配置され、青色光を射出する第3固体光源を有する第3固体光源装置をさらに備え、前記主励起光は、紫外光、紫色光又は青色光であり、前記副励起光は、紫外光、紫色光又は青色光であり、前記蛍光層は、蛍光として、赤色光及び緑色光を含む蛍光を射出するように構成され、前記ダイクロイック面は、波長が500nm以下の光を反射し、波長が500nmを超える光を通過させることが好ましい。
【0016】
このような構成とすることにより、3つの固体光源を用いて、より高輝度の白色光を射出することが可能となる。
【0017】
[4]本発明の照明装置においては、前記ダイクロイック光学素子は、ダイクロイックプリズムからなることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることにより、ダイクロイック光学素子における反射損を低減することが可能となる。
【0019】
[5]本発明の照明装置においては、前記ダイクロイックプリズムの前記第2固体光源装置側には、前記第2固体光源装置の光軸に対して垂直な入射面を有する補助プリズムが配置されていることが好ましい。
【0020】
このような構成とすることにより、ダイクロイックプリズムに対して副励起光を正しく入射させることが可能となる。
【0021】
[6]本発明の照明装置においては、前記ダイクロイックプリズムの前記第2固体光源装置側には、前記補助プリズムが接合されていることが好ましい。
【0022】
このような構成とすることにより、ダイクロイックプリズムと補助プリズムとの間で発生することがある反射損を低減することが可能となる。
【0023】
[7]本発明の照明装置においては、前記ダイクロイックプリズムは、前記第2固体光源装置側の部分が前記第2固体光源装置の光軸に対して垂直な面となる形状を有することが好ましい。
【0024】
このような構成とすることによっても、ダイクロイックプリズムに対して副励起光を正しく入射させることが可能となる。
【0025】
[8]本発明の照明装置においては、前記ダイクロイック面は誘電体多層膜からなり、前記誘電体多層膜は、前記ダイクロイック面に入射する副励起光の入射角度に応じて徐々に変化する膜構成を有し、前記ダイクロイック面のどの領域に入射する副励起光に対しても略同一の波長・透過率特性を有することが好ましい。
【0026】
このような構成とすることにより、ダイクロイック面のどの領域においても高い反射率で副励起光を反射することが可能となる。
【0027】
なお、本発明の照明装置においては、第2固体光源装置からの副励起光は、後述する図1に示すように、集光光学系によって集束されながらダイクロイック面に入射し、当該ダイクロイック面で蛍光層に向けて反射される。このため、ダイクロイック面に対する副励起光の入射角度の大小関係は、ダイクロイック面に対する主励起光や蛍光の入射角度の大小関係と同じ傾向を示すこととなり、誘電体多層膜は、ダイクロイック面のどの領域に入射する主励起光又は蛍光に対しても略同一の波長・透過率特性を有するようになる。その結果、本発明の照明装置によれば、ダイクロイック面のどの領域においても、高い反射率で主励起光を反射し、高い透過率で蛍光を透過させることが可能となる。
【0028】
[9]本発明の照明装置においては、前記第1レンズの射出面又は前記第2レンズの入射面に前段非球面が形成されており、かつ、前記第2レンズの射出面に後段非球面が形成され、前記前段非球面は、前記第1固体光源装置から射出される光の光束密度分布を、前記コリメート光学系の光軸近傍における光束密度が前記コリメート光学系の光軸から離れた周辺部における光束密度よりも高くなるような所定の光束密度分布に変換する機能を有し、前記後段非球面は、前記所定の光束密度分布に形成された光を略平行化する機能を有し、前記コリメート光学系から射出される光における、前記コリメート光学系の光軸近傍における光束密度は、前記コリメート光学系の光軸から離れた周辺部における光束密度よりも高いことが好ましい。
【0029】
ところで、照明装置に広く用いられている従来のコリメート光学系を適用しようとすると、コリメート光学系から射出される光における、コリメート光学系の光軸近傍における光束密度が、コリメート光学系の光軸から離れた周辺部における光束密度よりも相対的に低くなってしまう。このようになると、コリメート光学系からの射出光の面内光強度分布内を均一にするためのインテグレーター光学系を後段に配置したとしても、被照明領域に照射される光のうち大きな角度をもって照射される光の割合が大きくなってしまう。このような照明装置を、光変調装置として、特にマイクロレンズを内蔵した液晶光変調装置を用いたプロジェクターに適用しようとすると、被照明領域に照射される光のうち大きな角度をもって照射される光の割合が大きくなってしまうことに起因して光利用効率が低下してしまうという問題がある。
これに対して、本発明の照明装置によれば、コリメート光学系から射出される光における、コリメート光学系の光軸近傍における光束密度が、コリメート光学系の光軸から離れた周辺部における光束密度よりも高いことから、被照明領域に照射される光のうち小さな角度をもって照射される光の割合を高くすることが可能となるため、被照明領域に照射される光のうち大きな角度をもって照射される光の割合が高くなってしまうことに起因して光利用効率が低下してしまうことがなくなる。
【0030】
また、第1レンズの射出面又は第2レンズの入射面に前段非球面が形成され、かつ、第2レンズの射出面に後段非球面が形成されているため、2枚のレンズで上記のような効果を有するコリメート光学系を構成することが可能となる。
【0031】
なお、第1レンズ及び第2レンズにおける入射面とは、光が入射する側の面(第1固体光源装置に近い側の面)のことをいう。また、第1レンズ及び第2レンズにおける射出面とは、光を射出する側の面(第1固体光源装置から遠い側の面)のことをいう。
【0032】
[10]本発明のプロジェクターは、本発明の照明装置と、前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置からの変調光を投写画像として投写する投写光学系とを備えることを特徴とする。
【0033】
このため、本発明のプロジェクターによれば、固体光源の寿命を短くすることなく高輝度化することが可能な本発明の照明装置を備えるため、照明装置の取換え頻度の低い高輝度なプロジェクターとなる。
【0034】
また、本発明のプロジェクターによれば、第1固体光源装置と第2固体光源装置とを干渉させずに小型化することが可能な照明装置を備えるため、無理なくプロジェクターを小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態1に係るプロジェクター1000の光学系を示す平面図。
【図2】実施形態1における第1固体光源装置10及び第2固体光源装置30を説明するために示す図。
【図3】実施形態1におけるダイクロイックプリズム50の上面図。
【図4】実施形態1における第1固体光源14の発光強度特性、各蛍光体の発光強度特性及び第2固体光源34の発光強度特性を示すグラフ。
【図5】実施形態2に係るプロジェクター1002の光学系を示す平面図。
【図6】実施形態2における第1固体光源装置11、第2固体光源装置31及び第3固体光源装置70を説明するために示す図。
【図7】実施形態2における第1固体光源25の発光強度特性、蛍光体の発光強度特性、第2固体光源35の発光強度特性及び第3固体光源74の発光強度特性を示すグラフ。
【図8】変形例1に係るプロジェクター1004の光学系を示す平面図。
【図9】変形例2に係るプロジェクター1006の光学系を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の照明装置及びプロジェクターについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0037】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るプロジェクター1000の光学系を示す平面図である。
図2は、実施形態1における第1固体光源装置10及び第2固体光源装置30を説明するために示す図である。図2(a)は第1固体光源装置10の断面図であり、図2(b)は第2固体光源装置30の断面図である。
図3は、実施形態1におけるダイクロイックプリズム50の上面図である。
図4は、実施形態1における第1固体光源14の発光強度特性、各蛍光体の発光強度特性及び第2固体光源34の発光強度特性を示すグラフである。図4(a)は第1固体光源14の発光強度特性を示すグラフであり、図4(b)は蛍光層16が含有する赤色蛍光体の発光強度特性を示すグラフであり、図4(c)は蛍光層16が含有する緑色蛍光体の発光強度特性を示すグラフであり、図4(d)は蛍光層16が含有する青色蛍光体の発光強度特性を示すグラフであり、図4(e)は第2固体光源34の発光強度特性を示すグラフである。発光強度特性とは、固体光源であれば電圧を印加したときに、蛍光体であれば励起光が入射したときに、どのような波長の光をどの位の強度で射出するのかという特性のことをいう。グラフの縦軸は相対発光強度を表し、発光強度が最も強い波長における発光強度を1としている。グラフの横軸は、波長を表す。
なお、図4において、符号Vは紫色光を示し、符号Rは赤色光を示し、符号Gは緑色光を示し、符号Bは青色光を示す。
【0038】
まず、実施形態1に係る照明装置100及びプロジェクター1000の構成を説明する。
【0039】
実施形態1に係るプロジェクター1000は、図1に示すように、照明装置100と、色分離導光光学系200と、光変調装置としての3つの液晶光変調装置400R,400G,400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投写光学系600とを備える。
【0040】
照明装置100は、第1固体光源装置10と、コリメート光学系20と、第2固体光源装置30と、集光レンズ40と、ダイクロイックプリズム50と、補助プリズム60と、第1レンズアレイ120と、第2レンズアレイ130と、重畳レンズ150とを備える。
【0041】
第1固体光源装置10は、図2(a)に示すように、基台12、第1固体光源14、蛍光層16及び封止部材18を有する発光ダイオードであり、赤色光、緑色光及び青色光を含む白色光を射出する(後述する図4(b)〜図4(d)参照。)、ランバート発光タイプの白色固体光源である。なお、第1固体光源装置10は、上記した構成要素の他にもリード線等を有するが、図示及び説明を省略する。
【0042】
基台12は、第1固体光源14を搭載する基台である。
第1固体光源14は、主励起光として紫色光(発光強度のピーク:約400nm、図4(a)参照。)を射出する。第1固体光源14は、窒化ガリウムを主成分とし、pn接合型の構造を有する。なお、第1固体光源はpn接合型の構造を有していなくてもよく、ダブルヘテロ接合型、量子井戸接合型等の構造を有してもよい。
第1固体光源14と基台12との間には反射層(図示せず。)が形成されており、第1固体光源から基台12側へ射出された紫色光は、反射層によって蛍光層16側へ反射される。
【0043】
蛍光層16は、紫色光を吸収して赤色光を射出する赤色蛍光体と、紫色光を吸収して緑色光を射出する緑色蛍光体と、紫色光を吸収して青色光を射出する青色蛍光体とを含有する層からなり、第1固体光源14の被照明領域側に配置されている。赤色蛍光体は、例えばCaAlSiN−SiO:Euからなる。緑色蛍光体は、例えばBaSi12:Euからなる。青色蛍光体は、例えばBaMgAl1017:Euからなる。なお、各蛍光体は上記したものに限定されるものではなく、主励起光及び副励起光(後述)により各色光を射出するものであれば他の蛍光体を用いることもできる。
【0044】
蛍光層16は、第1固体光源14及び第2固体光源装置30(後述)が射出する紫色光をそれぞれ蛍光である赤色光(発光強度のピーク:約640nm)、緑色光(発光強度のピーク:約540nm)及び青色光(発光強度のピーク:約460nm)に変換して射出する(図4(b)〜図4(d)参照。)。
封止部材18は、透明なエポキシ樹脂からなり、第1固体光源14及び蛍光層16を保護する。
【0045】
コリメート光学系20は、図1に示すように、第1固体光源装置10からの光の拡がりを抑える第1レンズ22と、第1レンズ22からの光を略平行化する第2レンズ24とを備え、全体として、第1固体光源装置10からの光を略平行化する機能を有する。
第1レンズ22は、入射面が平面、射出面が球面の平凸レンズからなる。
第2レンズ24においては、入射面に前段非球面が形成され、射出面に後段非球面が形成されている。前段非球面は、第1固体光源装置10から射出される光の光束密度分布を、前記コリメート光学系20の光軸近傍における光束密度がコリメート光学系20の光軸から離れた周辺部における光束密度よりも高くなるような所定の光束密度分布に変換する機能を有する。後段非球面は、所定の光束密度分布に形成された光を略平行化する機能を有する。
コリメート光学系20から射出される光における、コリメート光学系20の光軸近傍における光束密度は、コリメート光学系20の光軸から離れた周辺部における光束密度よりも高い。
【0046】
第2固体光源装置30は、図2(b)に示すように、基台32、第2固体光源34及び封止部材38を有する発光ダイオードであり、紫色光を射出する(後述する図4(e)参照。)。第2固体光源34は、図4(d)に示すように、色光として紫色光(発光強度のピーク:約400nm)を射出する。基台32は基台12と同様の構成を有し、第2固体光源34は第1固体光源14と同様の構成を有し、封止部材38は封止部材18と同様の構成を有する。
【0047】
集光レンズ40は、図1に示すように、第2固体光源装置30からの副励起光を集光する集光光学系である。詳しい図示による説明は省略するが、集光レンズ40は非球面レンズである。副励起光は、集光レンズ40及び第1レンズ22によって蛍光層26に入射するように集光される。
なお、集光光学系は、複数のレンズからなるものであってもよい。
【0048】
ダイクロイックプリズム50は、図1及び図3に示すように、第1レンズ22と第2レンズ24との間に配置され、集光レンズ40から射出される副励起光(紫色光)を蛍光層16へ向けて反射するとともに、蛍光(赤色光、緑色光及び青色光)を通過させるダイクロイック面52を有するダイクロイック光学素子である。ダイクロイック面52は、具体的には、波長が440nm以下の光を反射し、波長が440nmを超える光を通過させる。なお、図3において、符号10axは第1固体光源装置10の光軸を示し、符号30axは第2固体光源装置30の光軸を示す。
ダイクロイックプリズム50は、プリズム片54及び56から構成される合成プリズムからなり、プリズム片54とプリズム片56との接合面がダイクロイック面52となる。
ダイクロイックプリズム50は、図3に示すように、第1固体光源装置10の光軸及び第2固体光源装置30の光軸を含む平面において、ダイクロイック面52と第1固体光源装置10の光軸とのなす角αが50°となるように配置されている。
【0049】
ダイクロイック面52は、誘電体多層膜からなり、当該誘電体多層膜は、ダイクロイック面52に入射する副励起光の入射角度に応じて徐々に変化する膜構成を有し(いわゆる拡散ダイクロイックコート)、ダイクロイック面52のどの領域に入射する副励起光に対しても略同一の波長・透過率特性を有する。
また、第2固体光源装置30からの副励起光は、図1に示すように、集光レンズ40によって集束されながらダイクロイック面52に入射し、当該ダイクロイック面52で蛍光層16に向けて反射される。
【0050】
ダイクロイックプリズム50の第2固体光源装置30側には、第2固体光源装置30の光軸に対して垂直な入射面を有する補助プリズム60が接合されている。
【0051】
第1レンズアレイ120は、コリメータ光学系20からの光を複数の部分光束に分割するための複数の第1小レンズ122を有する。第1レンズアレイ120は、コリメータ光学系20からの光を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、複数の第1小レンズ122が第1固体光源装置10の光軸と直交する面内に複数行・複数列のマトリクス状に配列された構成を有する。図示による説明は省略するが、第1小レンズ122の外形形状は、液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域の外形形状に関して相似形である。
【0052】
第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応する複数の第2小レンズ132を有する。第2レンズアレイ130は、重畳レンズ150とともに、第1レンズアレイ120の各第1小レンズ122の像を液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に結像させる機能を有する。第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120と略同様な構成を有し、複数の第2小レンズ132が第1固体光源装置10の光軸に直交する面内に複数行・複数列のマトリクス状に配列された構成を有する。
【0053】
重畳レンズ150は、第2レンズアレイ130からの各部分光束を被照明領域で重畳させる。重畳レンズ150は、第1レンズアレイ120及び第2レンズアレイ130を経た複数の部分光束を集光して液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に重畳させるための光学素子である。重畳レンズ150の光軸と照明装置100の光軸とが略一致するように、重畳レンズ150が配置されている。なお、重畳レンズ150は、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130及び重畳レンズ150は、レンズインテグレーター光学系として、光変調装置に入射する光の面内強度分布を均一化する光均一化光学系を構成する。
なお、レンズインテグレーター光学系の代わりに複数集光レンズ及びロッドレンズを備えるロッドインテグレーター光学系を用いることもできる。
【0054】
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210,220、反射ミラー230,240,250及びリレーレンズ260,270を備える。色分離導光光学系200は、照明装置100からの光を赤色光、緑色光及び青色光に分離し、赤色光、緑色光及び青色光のそれぞれの色光を照明対象となる液晶光変調装置400R,400G,400Bに導光する機能を有する。
色分離導光光学系200と、液晶光変調装置400R,400G,400Bとの間には、集光レンズ300R,300G,300Bが配置されている。
【0055】
ダイクロイックミラー210,220は、基板上に、所定の波長領域の光を反射して、他の波長領域の光を通過させる波長選択透過膜が形成されたミラーである。
ダイクロイックミラー210は、赤色光成分を反射して、緑色光及び青色光成分を通過させるダイクロイックミラーである。
ダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射して、青色光成分を通過させるダイクロイックミラーである。
反射ミラー230は、赤色光成分を反射する反射ミラーである。
反射ミラー240,250は青色光成分を反射する反射ミラーである。
【0056】
ダイクロイックミラー210で反射された赤色光は、反射ミラー230で反射され、集光レンズ300Rを通過して赤色光用の液晶光変調装置400Rの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー210を通過した緑色光は、ダイクロイックミラー220で反射され、集光レンズ300Gを通過して緑色光用の液晶光変調装置400Gの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー220を通過した青色光は、リレーレンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250、集光レンズ300Bを経て青色光用の液晶光変調装置400Bの画像形成領域に入射する。リレーレンズ260,270及び反射ミラー240,250は、ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を液晶装置400Bまで導く機能を有する。
【0057】
なお、青色光の光路にこのようなリレーレンズ260,270が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。実施形態1に係るプロジェクター1000においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路の長さを長くして、リレーレンズ260,270及び反射ミラー240,250を赤色光の光路に用いる構成も考えられる。
【0058】
液晶光変調装置400R,400G,400Bは、入射された色光を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、照明装置100の照明対象となる。なお、図示を省略したが、各集光レンズ300R,300G,300Bと各液晶光変調装置400R,400G,400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が介在配置され、各液晶光変調装置400R,400G,400Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が介在配置される。これら入射側偏光板、液晶光変調装置400R,400G,400B及び射出側偏光板によって、入射された各色光の光変調が行われる。
液晶光変調装置400R,400G,400Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入した透過型の液晶光変調装置であり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に応じて、入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
【0059】
クロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
【0060】
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
【0061】
次に、実施形態1に係る照明装置100及びプロジェクター1000の効果を説明する。
【0062】
実施形態1に係る照明装置100によれば、蛍光層16を励起するための光源として、主励起光を射出する第1固体光源14及び副励起光を射出する第2固体光源34の2つの光源を用いることとしているため、蛍光層を励起するための光源として1つの光源を用いる照明装置の場合よりも光源にかかる熱的負荷を低減することが可能となり、その結果、光源の寿命を短くすることなく照明装置を高輝度化することが可能となる。
【0063】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、主励起光及び副励起光の2つの励起光を単一の蛍光層16を用いて蛍光に変換するように構成されているため、1つの励起光を1つの蛍光層を用いて蛍光に変換するように構成された照明装置と比較しても発光面積が特段大きくなることはなく、従って、発光面積が大きくなることに起因して照明光束の品質が低下することもない。
【0064】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、α=50°であり、「45°<α<60°」の関係を満たすため、第1固体光源装置10と第2固体光源装置30とが互いに干渉してしまうことなく照明装置100を小型化することが可能となる。
【0065】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、第1固体光源装置10が赤色光、緑色光及び青色光を含む白色光を射出し、ランバート発光タイプの白色固体光源であり、主励起光及び副励起光が紫色光であり、ダイクロイック面52が波長440nm以下の光を反射し、波長440nmを超える光を通過させるため、比較的単純な構成で、照明装置100から白色光を射出することが可能となる。
【0066】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、ダイクロイック光学素子がダイクロイックプリズム50からなるため、ダイクロイック光学素子における反射損を低減することが可能となる。
【0067】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、ダイクロイックプリズム50の第2固体光源装置30側には、第2固体光源装置30の光軸に対して垂直な入射面を有する補助プリズム60が配置されているため、ダイクロイックプリズム50に対して副励起光を正しく入射させることが可能となる。
【0068】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、ダイクロイックプリズム50の第2固体光源装置30側には、補助プリズム60が接合されているため、ダイクロイックプリズム50と補助プリズム60との間で発生することがある反射損を低減することが可能となる。
【0069】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、ダイクロイック面52が誘電体多層膜からなり、誘電体多層膜はダイクロイック面52に入射する副励起光の入射角度に応じて徐々に変化する膜構成を有し、ダイクロイック面52のどの領域に入射する副励起光に対しても略同一の波長・透過率特性を有するため、ダイクロイック面52のどの領域においても高い反射率で副励起光を反射することが可能となる。
【0070】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、ダイクロイック面52に対する副励起光の入射角度の大小関係は、ダイクロイック面52に対する蛍光の入射角度の大小関係と同じ傾向を示すこととなり、誘電体多層膜は、ダイクロイック面52のどの領域に入射する蛍光に対しても略同一の波長・透過率特性を有するようになるため、ダイクロイック面52のどの領域においても高い透過率で蛍光を透過させることが可能となる。
【0071】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、コリメート光学系20から射出される光における、コリメート光学系20の光軸近傍における光束密度は、コリメート光学系20の光軸から離れた周辺部における光束密度よりも高いため、被照明領域に照射される光のうち小さな角度をもって照射される光の割合を高くすることが可能となり、被照明領域に照射される光のうち大きな角度をもって照射される光の割合が高くなってしまうことに起因して光利用効率が低下してしまうことがなくなる。
【0072】
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、第2レンズ24の入射面に前段非球面が形成され、かつ、第2レンズ24の射出面に後段非球面が形成されているため、2枚のレンズで上記のような効果を有するコリメート光学系20を構成することが可能となる。
【0073】
実施形態1に係るプロジェクター1000によれば、固体光源の寿命を短くすることなく高輝度化することが可能な照明装置100を備えるため、照明装置の取換え頻度の低い高輝度なプロジェクターとなる。
【0074】
また、実施形態1に係るプロジェクター1000によれば、第1固体光源装置10と第2固体光源装置30とを干渉させずに小型化することが可能な照明装置100を備えるため、無理なくプロジェクターを小型化することが可能となる。
【0075】
[実施形態2]
図5は、実施形態2に係るプロジェクター1002の光学系を示す平面図である。
図6は、実施形態2における第1固体光源装置11、第2固体光源装置31及び第3固体光源装置70を説明するために示す図である。図6(a)は第1固体光源装置11の断面図であり、図6(b)は第2固体光源装置31の断面図であり、図6(c)は第3固体光源装置70の断面図である。
図7は、実施形態2における第1固体光源25の発光強度特性、蛍光体の発光強度特性、第2固体光源35の発光強度特性及び第3固体光源74の発光強度特性を示すグラフである。図7(a)は第1固体光源15の発光強度特性を示すグラフであり、図7(b)は蛍光層27が含有する蛍光体の発光強度特性を示すグラフであり、図7(c)は第2固体光源装置35の発光強度特性を示すグラフであり、図7(d)は第3固体光源装置74の発光強度特性を示すグラフである。
なお、図7において、符号Rは赤色光を示し、符号Gは緑色光を示し、符号Bは青色光を示す。
【0076】
実施形態2に係る照明装置102は、基本的には実施形態1に係る照明装置100と同様の構成を有するが、青色光を射出する第3固体光源装置、集光レンズ及び第2補助プリズムをさらに備える点が実施形態1に係る照明装置100の場合とは異なる。また、それに伴って第1固体光源装置、第2固体光源装置及びダイクロイック光学素子の構成も実施形態1に係る照明装置100の場合とは異なる。
【0077】
第1固体光源装置11は、図6(a)に示すように、基本的には実施形態1における第1固体光源装置10と同様の構成を有するが、第1固体光源15及び蛍光層17の構成が実施形態1における第1固体光源装置10とは異なる。その結果、第1固体光源装置11は、赤色光及び緑色光を含む蛍光を射出する(後述する図7(b)参照。)、ランバート発光タイプの固体光源となる。
【0078】
第1固体光源15は、主励起光として青色光(発光強度のピーク:約460nm、図7(a)参照。)を射出する。
蛍光層17は、YAG系蛍光体である(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ceを含有する層からなる。なお、蛍光層は、他の蛍光体(上記以外のYAG系蛍光体、シリケート系蛍光体、TAG系蛍光体等)を含有する層からなるものであってもよい。また、主励起光を赤色光に変換する蛍光体(例えばCaAlSiN赤色蛍光体)と、主励起光を緑色に変換する蛍光体(例えばβサイアロン緑色蛍光体)との混合物を含有する層からなるものであってもよい。要するに、蛍光層は、蛍光として赤色光及び緑色光を含む蛍光を射出するように構成されていればよい。
蛍光層17は、第1固体光源15及び第2固体光源35(後述)が射出する青色光を赤色光(発光強度のピーク:約610nm)及び緑色光(発光強度のピーク:約550nm)に変換して射出する(図7(b)参照。)を含む蛍光に変換して射出する。
【0079】
第2固体光源装置31は、図6(b)に示すように、基本的には実施形態1における第2固体光源装置30と同様の構成を有するが、第2固体光源35の構成が実施形態1における第2固体光源装置30とは異なる。第2固体光源35は、図7(c)に示すように、副励起光として青色光(発光強度のピーク:約460nm)を射出する。
【0080】
第3固体光源装置70は、図6(c)に示すように、基台72、第3固体光源74及び封止部材78を有する発光ダイオードであり、第2固体光源装置31と同様の構成を有する。第3固体光源74は、図7(d)に示すように、色光として青色光(発光強度のピーク:約460nm)を射出する。
【0081】
集光レンズ80は、第1レンズ22と同様の構成を有し、第3固体光源装置70からの光の拡がりを抑える機能を有する。集光レンズ80と第2レンズ24とは、全体として、第3固体光源装置70からの光を略平行化する機能を有する。
【0082】
ダイクロイックプリズム58は、基本的には実施形態1におけるダイクロイックプリズム50と同様の構成を有するが、ダイクロイック面53(符号を図示せず。)の構成が実施形態1におけるダイクロイックプリズム50とは異なる。ダイクロイック面53は、集光レンズ40から射出される副励起光(青色光)を蛍光層17へ向けて反射するとともに、蛍光(赤色光及び緑色光)を通過させる。また、ダイクロイック面53は、第3固体光源装置70からの青色光を第2レンズ24へ向けて反射する。ダイクロイック面53は、具体的には、波長が500nm以下の光を反射し、波長が500nmを超える光を通過させる。
【0083】
ダイクロイックプリズム58の第3固体光源装置70側には、第3固体光源装置70の光軸に対して垂直な入射面を有する第2補助プリズム62が接合されている。
【0084】
このように、実施形態2に係る照明装置102は、青色光を射出する第3固体光源装置、集光レンズ及び第2補助プリズムをさらに備える点が実施形態1に係る照明装置100の場合とは異なり、また、それに伴って第1固体光源装置、第2固体光源装置及びダイクロイック光学素子の構成も実施形態1に係る照明装置100の場合とは異なるが、蛍光層17を励起するための光源として、主励起光を射出する第1固体光源15及び副励起光を射出する第2固体光源35の2つの光源を用いることとしているため、実施形態1に係る照明装置100と同様に、蛍光層を励起するための光源として1つの光源を用いる照明装置の場合よりも光源にかかる熱的負荷を低減することが可能となり、その結果、光源の寿命を短くすることなく照明装置を高輝度化することが可能となる。
【0085】
また、実施形態2に係る照明装置102によれば、主励起光及び副励起光の2つの励起光を単一の蛍光層17を用いて蛍光に変換するように構成されているため、実施形態1に係る照明装置100と同様に、1つの励起光を1つの蛍光層を用いて蛍光に変換するように構成された照明装置と比較しても発光面積が特段大きくなることはなく、従って、発光面積が大きくなることに起因して照明光束の品質が低下することもない。
【0086】
また、実施形態2に係る照明装置102によれば、α=50°であり、「45°<α<60°」の関係を満たすため、実施形態1に係る照明装置100と同様に、第1固体光源装置11と第2固体光源装置31とが互いに干渉してしまうことなく照明装置102を小型化することが可能となる。
【0087】
また、実施形態2に係る照明装置102によれば、ダイクロイックプリズム58を挟んで第2固体光源装置31と向かい合うように配置され、青色光を射出する第3固体光源74を有する第3固体光源装置70をさらに備え、ダイクロイック面53は、波長が500nm以下の光を反射し、波長が500nmを超える光を通過させるため、3つの固体光源を用いて、より高輝度の白色光を射出することが可能となる。
【0088】
なお、実施形態2に係る照明装置102は、集光レンズ及び第2補助プリズムをさらに備える点と、第1固体光源装置、第2固体光源装置及びダイクロイック光学素子の構成が実施形態1に係る照明装置100とは異なる点との2点以外の点においては、実施形態1に係る照明装置100と同様の構成を有するため、実施形態1に係る照明装置100が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0089】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0090】
(1)上記実施形態1においては、主励起光が紫色光であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、主励起光が紫外光又は青色光であってもよい。また、上記実施形態1においては、副励起光が紫色光であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、副励起光が紫外光であってもよい。
【0091】
(2)上記実施形態2においては、主励起光が青色光であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、主励起光が紫外光又は紫色光であってもよい。また、上記実施形態2においては、副励起光が青色光であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、副励起光が紫外光又は紫色光であってもよい。
【0092】
(3)上記各実施形態においては、透過型のプロジェクターを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、反射型のプロジェクターを用いてもよい。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクターにこの発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。
【0093】
(4)上記各実施形態においては、プロジェクターの光変調装置として液晶光変調装置を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調装置としては、一般に、画像情報に応じて入射光を変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置等を用いてもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
【0094】
(5)上記各実施形態においては、各固体光源装置として発光ダイオードを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各固体光源装置として半導体レーザーを用いてもよいし、有機発光ダイオードを用いてもよい。
【0095】
(6)上記各実施形態においては、第2固体光源装置は1つの第2固体光源を有するが、本発明はこれに限定されるものではない。図8は、変形例1に係るプロジェクター1004の光学系を示す平面図である。変形例1に係る照明装置104は、図8に示すように、s偏光からなる副励起光を射出する第2固体光源92及びp偏光からなる副励起光を射出する第2固体光源94を有する第2固体光源装置90と、それぞれの副励起光を集光する集光レンズ42,44と、s偏光を通過させ、p偏光を反射する偏光選択プリズム110とを有する。第2固体光源92,94は、図示による詳しい説明は省略するが、レーザーダイオードからなる。本発明の照明装置は、変形例1に係る照明装置1のように第2固体光源装置が2つの第2固体光源を有していてもよい。なお、変形例1に係る照明装置104の構成によれば、より多くの副励起光を蛍光層に入射させることが可能となる。
【0096】
(7)上記各実施形態においては、照明装置は補助プリズムを備えるが、本発明はこれに限定されるものではない。図9は、変形例2に係るプロジェクター1006の光学系を示す平面図である。変形例2に係る照明装置106においては、図9に示すように、ダイクロイックプリズム59は、第2固体光源装置30側の部分が第2固体光源装置30の光軸に対して垂直な面となる形状を有する。本発明の照明装置は、変形例2に係る照明装置106のように、補助プリズムを有さなくてもよい。変形例2に係る照明装置106のような構成によっても、ダイクロイックプリズムに対して副励起光を正しく入射させることが可能となる。
【0097】
(8)上記各実施形態においては、照明装置がダイクロイック面を有するダイクロイックプリズムを備えるが、本発明はこれに限定されるものではない。照明装置がダイクロイック面を有するダイクロイックミラーを備えていてもよい。
【0098】
(9)上記各実施形態においては、第2レンズアレイ130と重畳レンズ150との間に偏光変換装置をさらに備えていてもよい。偏光変換装置とは、一方の偏光成分と他方の偏光成分との両方を含む光を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光に変換する偏光変換素子である。
【0099】
(10)上記各実施形態においては、第1レンズ22は、入射面が平面、射出面が球面の平凸レンズからなり、第2レンズ24は、入射面に前段非球面が形成され、射出面に後段非球面が形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1レンズの射出面に前段非球面が形成されていてもよい。また、第1レンズ及び第2レンズの形状は、上記各実施形態において記載した形状に限定されるものではなく、要するに、第1レンズと第2レンズとからなるコリメート光学系が、第1固体光源装置から射出される光を略平行化する機能を有するようになるような形状であればよい。
【0100】
(11)上記各実施形態においては、3つの液晶光変調装置を用いたプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。1つ、2つ又は4つ以上の液晶光変調装置を用いたプロジェクターにも適用可能である。
【0101】
(12)本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも可能である。
【0102】
(13)上記各実施形態においては、本発明の照明装置をプロジェクターに適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の照明装置を他の光学機器(例えば、光ディスク装置、自動車のヘッドランプ等。)に適用することもできる。
【符号の説明】
【0103】
10,11…第1固体光源装置、12,13,32,33,72…基台、14,15…第1固体光源、16,17…蛍光層、18,19,38,39,78…封止部材、20…コリメート光学系、22…第1レンズ、24…第2レンズ、30,31,90…第2固体光源装置、34,35,92,94…第2固体光源、40,42,44,80,300R,300G,300B…集光レンズ、50,58,59…ダイクロイックプリズム、52…ダイクロイック面、54,56…プリズム片、60…補助プリズム、62…第2補助プリズム、70…第3固体光源装置、74…第3固体光源、100,102,104,106…照明装置、110…偏光選択プリズム、120…第1レンズアレイ、122…第1小レンズ、130…第2レンズアレイ、132…第2小レンズ、150…重畳レンズ、200…色分離導光光学系、210,220…ダイクロイックミラー、230,240,250…反射ミラー、260,270…リレーレンズ、400R,400G,400B…液晶光変調装置、500…クロスダイクロイックプリズム、600…投写光学系、1000,1002,1004,1006…プロジェクター、SCR…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主励起光を射出する第1固体光源と、前記主励起光の少なくとも一部を蛍光に変換して射出する蛍光層とを有する第1固体光源装置と、
前記第1固体光源装置からの光の拡がりを抑制する第1レンズと、前記第1レンズからの光を略平行化する第2レンズとを備え、全体として前記第1固体光源装置から射出される光を略平行化するコリメート光学系とを備える照明装置であって、
副励起光を射出する第2固体光源を有する第2固体光源装置と、
前記第2固体光源装置からの副励起光を集光する集光光学系と、
前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配置され、前記集光光学系から射出される副励起光を前記蛍光層へ向けて反射するとともに、前記蛍光を通過させるダイクロイック面を有するダイクロイック光学素子とをさらに備え、
前記蛍光層は、前記副励起光をも前記蛍光に変換して射出するように構成され、
前記第1固体光源装置の光軸及び前記第2固体光源装置の光軸を含む平面において、前記ダイクロイック面と前記第1固体光源装置の光軸とのなす角αが「45°<α<60°」の関係を満たすことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記第1固体光源装置は、赤色光、緑色光及び青色光を含む白色光を射出し、ランバート発光タイプの白色固体光源であり、
前記主励起光は、紫外光、紫色光又は青色光であり、
前記副励起光は、紫外光又は紫色光であり、
前記ダイクロイック面は、波長が440nm以下の光を反射し、波長が440nmを超える光を通過させることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の照明装置において、
前記ダイクロイック光学素子を挟んで前記第2固体光源装置と向かい合うように配置され、青色光を射出する第3固体光源を有する第3固体光源装置をさらに備え、
前記主励起光は、紫外光、紫色光又は青色光であり、
前記副励起光は、紫外光、紫色光又は青色光であり、
前記蛍光層は、蛍光として、赤色光及び緑色光を含む蛍光を射出するように構成され、
前記ダイクロイック面は、波長が500nm以下の光を反射し、波長が500nmを超える光を通過させることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置において、
前記ダイクロイック光学素子は、ダイクロイックプリズムからなることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項4に記載の照明装置において、
前記ダイクロイックプリズムの前記第2固体光源装置側には、前記第2固体光源装置の光軸に対して垂直な入射面を有する補助プリズムが配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項5に記載の照明装置において、
前記ダイクロイックプリズムの前記第2固体光源装置側には、前記補助プリズムが接合されていることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項4に記載の照明装置において、
前記ダイクロイックプリズムは、前記第2固体光源装置側の部分が前記第2固体光源装置の光軸に対して垂直な面となる形状を有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の照明装置において、
前記ダイクロイック面は誘電体多層膜からなり、
前記誘電体多層膜は、前記ダイクロイック面に入射する副励起光の入射角度に応じて徐々に変化する膜構成を有し、前記ダイクロイック面のどの領域に入射する副励起光に対しても略同一の波長・透過率特性を有することを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の照明装置において、
前記第1レンズの射出面又は前記第2レンズの入射面に前段非球面が形成され、かつ、前記第2レンズの射出面に後段非球面が形成され、
前記前段非球面は、前記第1固体光源装置から射出される光の光束密度分布を、前記コリメート光学系の光軸近傍における光束密度が前記コリメート光学系の光軸から離れた周辺部における光束密度よりも高くなるような所定の光束密度分布に変換する機能を有し、
前記後段非球面は、前記所定の光束密度分布に形成された光を略平行化する機能を有し、
前記コリメート光学系から射出される光における、前記コリメート光学系の光軸近傍における光束密度は、前記コリメート光学系の光軸から離れた周辺部における光束密度よりも高いことを特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の照明装置と、
前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置からの変調光を投写画像として投写する投写光学系とを備えることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−128340(P2011−128340A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286058(P2009−286058)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】