説明

照明装置及び睡眠慣性を低減する又は覚醒状態を制御する方法

本発明は、人間の睡眠慣性を低減する及び/又は覚醒状態を制御するように配置された照明装置(1)及びその方法に関する。聡明装置(1)は、光放射によって睡眠慣性を低減する及び/又は覚醒状態を制御するように配置されている。その照明装置(1)は、第1照明出力(I)を、590‐770nmの範囲において生成するための1つ又はそれ以上の光源、及び400‐560nmの範囲にある第2照明出力(II)を含む。その照明装置(1)は、その1つ又はそれ以上の光源を、その人間の目を第1時間間隔(T1)の間に第1照明出力(I)にさらし、第2時間間隔(T2)の間に第2照明出力(II)にさらすように制御するように構成されたコントローラを含む。その第2時間間隔(T2)は、第1時間間隔(T1)よりも後の時点で終了する。それらの時間間隔は、第1及び第2時間間隔のうち少なくとも1つが60秒に等しいか又は60秒未満であるように選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び光放射によって睡眠慣性を低減し、覚醒状態を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この10年間、目を通して‐視覚に加えて‐被験者に投与される光放射は、様々なバイオリズムを制御することにおいて主に重要であることが明確な点において、光人間光生物学の知識が大いに増加している。その結果、光放射は、多くの物理的な身体機能における影響だけでなく、精神能力及び心的状態における影響も有する。
【0003】
研究結果は、メラトニン抑制の目を通して投与された光放射に対する敏感さを示す。メラトニンは、一日サイクルを示すホルモンであり、バイオリズムの段階の指標として見なされている。日中の間、メラトニン・レベルは比較的低い。そのメラトニン・レベルは、夕方に増し、夜に最大に達し、日中、すなわち、人間が通常起きている期間、再び最小レベルに徐々に減少する。メラトニンは、一般的に、被験者の覚醒状態に影響を与える睡眠ホルモンとして知られている。従って、そのメラトニン・サイクルが制御されるとき、覚醒状態の不足が原因である失敗を犯すリスクは減少する。自然な一日サイクルにおいてメラトニンを抑制することは、通常、そのバイオリズムの「暗い」時間において可能である。普通は、この時間帯では、人工の照明だけが利用可能である。
【0004】
24時間社会では、多くの人々が、夜間に働き運転し、適切且つ安全に実行するために警戒し、正常でない時間帯に睡眠をよく取らなければいけない。これらの状況において、多くの人々は、例えば、自動車事故を起こすなど、より大きな間違いをするリスクを冒す及び/又はゆがんだ睡眠行為に苦しむ可能性がある。
【0005】
特許文献1は、被験者の覚醒状態を制御する方法及びこの方法において使用される光源を開示する。その方法は、照射期間において被験者が適切な光放射にさらされることを含む。実験は、420‐460nmの領域における光、すなわち光スペクトルの青い部分に対して特に高い感受性があることを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許出願公開第2002/20079号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、照明の刺激的効果が感じられる速度を増加させることによって、従来技術の方法及び光源を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのためには、睡眠慣性を低減するため及び/又は光放射によって覚醒状態を制御するために配置された照明装置が開示される。その照明装置は、第1照明出力及び第2照明出力を生成するための1つ又はそれ以上の光源を含む。その第1照明出力は、590nm‐770nmの範囲において主波長を持つ光を含む。第2照明出力は、400nm‐560nmの範囲において主波長を持つ光を含む。従って、色温度が使用される。その代わりに、第1照明出力は、4100K未満の色温度を持つ白色光、すなわち温白色光を含む。第2照明出力は、従って、4900Kを超える色温度を持つ白色光、すなわち冷白色光(cold white light)を含む。代替型を組み合わせるか、又はそれらの代替型を連続して使用することが可能である。一例として、第1照明出力は、590nm‐770nmの範囲において主波長を含んでよく、第2のそれに続く照明出力は、4900Kを超える色温度を持つ白色光を含んでよい。また、第1照明出力は、4100K未満の色温度を持つ白色光を含んでよく、第2照明出力は、400nm‐560nmの範囲において主波長を含んでもよい。その照明装置は、また、第1時間間隔の間に前記人間の目を第1照明出力にさらし、第2時間間隔の間に、第2照明出力にさらすように1つ又はそれ以上の光源を制御するように構成されたコントローラを含む。その第2時間間隔は、第1時間間隔よりもあとの時点において終了する。その時間間隔は、その第1及び第2次間隔のうち少なくとも1つが60秒未満であるように選択される。
【0009】
その照明装置は、光療法のための専用の装置であってよいが、装飾用照明装置、オフィス照明、テレビジョン・スクリーン、コンピュータ・モニターなどの他の装置において具現化されてもよい。その照明装置に使用される光源は、蛍光、白熱、ハロゲン、高輝度放電(HID)、発光ダイオード(LED)、又は他の光源であってよい。そのような素子に対して、少なくとも1つの時間間隔が、視角の不快感を避けるために、50ミリ秒に等しいか又はそれ未満であることが有利である。
【0010】
また、睡眠慣性を低減する及び/又は人間の覚醒状態を制御する方法が開示される。人間の目は、第1照明出力及び第2照明出力にさらされる。第2時間間隔は、前記第1時間間隔よりも後に終了する。
【0011】
上記で定義されたように人間を第1照明出力に最初にさらすことによって、その人間に第2照明出力に対して増大した効果が得られる。これは、睡眠慣性持続時間の縮小及び/又は人が覚醒状態に達する時間の縮小を可能にする。これらの効果は、例えば、光放射にさらされる人の目の瞬き周波数又はまぶた動作(例えば、Optalertシステム(http://www.optalert.com/)を使用して)、反応時間テスト、身体活動、EEG、Electro Oculo Gram、心拍(変動性)、皮膚コンダクタンス、皮膚温、中核温、唾液成分(コルチゾール、メラトニンなど)、タイプ周波数又は他の人間の装置との相互作用を測定することによって、測定される。さらに、以前、第1照明出力にさらされたことによる第2照明出力の効果の増大は、その第2照明出力の必要な光度の低減を可能にすることから、心地良さを改善する。60秒に等しいか又はそれ未満の時間間隔/期間の少なくとも1つを有することによって、その人は、第1照明出力と第2照明出力との間の比較的頻繁な変化にさらされ得る。理論によって制限されないことが望ましい場合、そのようなより短いパルスは、生物活動を強化すると考えられる。それは、そのような活動が、照明出力間の相違に依存するからである。
【0012】
当然のことながら、第1照明出力及び第2照明出力は、狭帯域光又は非狭帯域光を含んでよい。重要なことには、その主波長は、590‐770nm及び400‐560nmの指定される範囲に、それぞれある。
【0013】
光源は、広帯域光源を含んでよい。そのような第1及び第2照明出力を供給する非狭帯域光源に対し、590‐770nm及び400‐560nmの高い及び低い波長範囲にそれぞれある照明出力のこれらの非狭帯域光源によって発せられる波長の、400‐770nmの可視光波長範囲全域における照明出力に対する割合又は比Rが使用されてもよい。一般的に、その照明出力の光が、示される波長範囲にあるほど、その照射がより効果的であると予測される。
【0014】
第1照明出力に対し、高い波長比Rhwは、590‐770nmの範囲にあるスペクトル幅Whを、完全な可視光範囲である400‐770nmにおけるスペクトル幅Wによって割ったものとして定義される。当然のことながら、この比は、590‐770nmの波長範囲における光を持つ単色光源に対して1である。他の光源は、0.48の比Rhwを有するクリア・ルーム(clear room)において通常使用されるTL16黄色のランプ又は0.57及び0.51の比Rhwをそれぞれ有する2700K 927又は827ランプを含んでよい。本出願において、光源は、0.4≦Rhw≦1の場合、590‐7700nmの波長範囲にある主波長を有すると考えられている。
【0015】
同様に、第2照明出力に対し、低い波長比Rlwは、400‐560nmの範囲にあるスペクトル幅Wlを、完全な可視光範囲である400‐770nmにあるスペクトル幅Wで割ったものとして定義される。この場合も、当然のことながら、この比Rlwは、400‐560nmの波長範囲における単色光源に対して1である。他の光源は、Rlw=0.81を有する17000K蛍光光源(約80の色レンダリング・インデックスを持つ)又はRlw=0.57を持つ4000K蛍光840光源を含む。本出願において、光源は、0.6≦Rlw≦1の場合、400‐560nmの波長範囲において主波長を有すると考えられている。
【0016】
当然のことながら、4100K未満及び4900Kを超える色温度を持つ第1及び第2照明出力を有する光源に対し、示される色温度は、黒体ラインからはずれた光源の場合、相互的に関連付けられた色温度を示す。白色光が使用されるとき、人間は、最初に、温白色光(色温度<4000K)にさらされ、次に、クール白色光(色温度>4900K)にさらされる。その白色光は、人間にとってより心地良いと考えられ、妥当な光条件下においてインストランクションの読み取りなどの活動を可能にする。
【0017】
基本的に、照明出力の非常に低い光度は、人間が暗さに適応している場合、容易に操作可能である。光に適応した人間に対し、より高い光度が必要である。
【0018】
第1照明色出力に対し、より低い波長限度が選択される。それは、この波長の下では、睡眠完成及び/又は増加した覚醒状態などの生物学的効果は、事実上達成されないからである。波長の上限が、赤外光に対して目をさらすことを避けるために設けられる。第2照明出力に対し、より低い波長限度が、紫外線に対して目をさらすことを避けるために選択され、その波長の上限より上では、第2照明出力の増大した効果は無視できる。本発明の請求項2において定義されるような実施形態は、最適に組み合わせられた安全性及び効率の考慮を提供する。
【0019】
請求項3の実施形態は、短い波長の放射だけにさらされることに比較して、睡眠慣性を克服する縮小された期間及び/又は迅速に増加した覚醒状態を提供する。第1及び第2時間間ックは、実質的に等しく長い一方、人間を第2照明出力にさらすための第2時間間隔は、一般的に、第1照明出力に対する第1時間間隔よりも長い。それらの時間間隔のうち少なくとも1つは、第1時間間隔であるのが望ましく、60秒又はそれ未満である。
【0020】
請求項4、6、10、及び11の実施形態は、人間が、第1及び第2照明出力に繰り返しさらされることを可能にすることから、以前記載した効果を増大する。
【0021】
本発明の請求項5において定義されるような実施形態は、第1及び第2照明出力の迅速な交互の入れ替わりを人間の目によって追うことが出来ない速度で提供する。その人間の目は、その第1及び第2照明出力の実質的に安定した平均を観測し、それによって心地良さは改善される。
【0022】
周辺光が無いとき、請求項7及び12の実施形態は、第1及び第2照明出力のシリーズにおいて、「暗い」パルスを含むことを可能にする。暗さは、それに続いて受けとる光に対して、人間の目における光受容体の感度を拡張する。
【0023】
本発明の請求項8において定義されるような実施形態は、照射の最適な効果を提供する。
【0024】
第1及び第2照明出力に対するパラメータ及び請求項2、3及び5において定義されるような第1及び第2時間間隔は、請求項13及び14に示されるように、請求項9において定義されるような方法の実施に使用されてもよい。より短いパルスの継続は、より長いパルスよりも生物活動を拡大する。なぜならば、その活動は、理論によって制限しない場合、照明出力間の装置に依存すると考えられているからである。得られた効果は、人間の睡眠慣性の減少及び覚醒状態の増加を含む。さらなる効果は、位相シフト(例えば、時差ぼけの効果の減少、睡眠相前進症候群、又は遅延睡眠期症候群)及び、うつ病治療(一般的なうつ病、SADなど)を含むがそれに限らない光療法から得られる効果を含む。
【0025】
Journal of Biological Rhythmsの2007年10月第22巻第5号第411-424ページにおいてMure et al.は、長い波長の光での事前の刺激は、ネズミにおいて、480nmの光に対するSCNニューロンの単一ユニットの応答を増加させる。それらのネズミは、暗い期間又は異なる持続期間及び放射照度の他の波長での刺激による期間によって分離される連続的な480nm光刺激に出される。それらにとって、光増大効果の効率は、波長、放射照度及び持続期間に依存することが分かる。その効果は、メラノプシン、ネズミの網膜神経節細胞における光受容体が原因である。
【0026】
人間の網膜におけるメラノプシンの存在は、前の千世紀の終わりの近くに発見された。2002年2月発行のScience第295巻第1070-1073ページにおいてBerson et al.は、この光受容体の人間の体内と計における影響を最初に報告した。
【0027】
これらの従来技術の参考文献は、上記に定義されているように、第1照明出力及び第2照明出力によって睡眠慣性を低減すること及び/又は人間の覚醒状態を増やすことを開示又は提案していない。Mure et al.の実験における刺激パルスは、60秒よりもはるかに長く、それによって、本出願において開示されているより短いパルス期間ほど効率的ではない。
【0028】
以下において、本発明の実施形態がさらに詳しく記載される。しかし、当然のことながら、これらの実施形態は、本発明に対して保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】本発明に従って照明装置を概略的に示す図である。
【図1B】図1Aの照明装置の狭帯域及び広帯域光源に対するスペクトル分布図を概略的に描く図である。
【図1C】図1Aの照明装置の狭帯域及び広帯域光源に対するスペクトル分布図を概略的に描く図である。
【図2A】図1Aの照明装置の光に対して人間をさらす方法の数個の実施形態を示す時間の図である。
【図2B】図1Aの照明装置の光に対して人間をさらす方法の数個の実施形態を示す時間の図である。
【図2C】図1Aの照明装置の光に対して人間をさらす方法の数個の実施形態を示す時間の図である。
【図2D】図1Aの照明装置の光に対して人間をさらす方法の数個の実施形態を示す時間の図である。
【図2E】図1Aの照明装置の光に対して人間をさらす方法の数個の実施形態を示す時間の図である。
【図2F】図1Aの照明装置の光に対して人間をさらす方法の数個の実施形態を示す時間の図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0030】
図1Aは、コントローラ2及び複数の光源3を含む照明装置1の概略図である。照明装置1は、コントローラ2に入力を提供するユーザ・インターフェースを有してよい。
【0031】
照明装置1は、光療法用の専用装置であってよいが、装飾用照明装置、オフィス照明、テレビジョン・スクリーン、コンピュータ・モニターなどの他の装置において具現化されてもよい。これらの他の装置において、光源3は、ディスプレイ上に画像を表示する機能及び第1及び第2照明出力、I、IIを供給する機能などの複数の機能を有してよい。
【0032】
光源3Aは、人間Mの目Eを第1照明出力Iにさらすように構成されている。光源3Aは、590‐770nmの範囲、又はより望ましくは、600‐650nmの範囲において主波長を有する色の付いた光を含む第1照明出力Iを送信することが可能である。もう1つの方法としてとして、その第1照明出力Iは、4100K未満の色温度で温白色光を有してもよい。図2A‐2Fの時間図において、1つ又はそれ以上の第1照明出力Iが、温白色光を有する。
【0033】
光源3Bは、目Eを第2照明出力IIにさらすように構成されている。光源3Bは、400‐560nmの範囲、又はより望ましくは、450‐500nmの範囲において主波長を持つ色の付いた光を含んだ第2照明出力IIを送信することが可能である。もう1つの方法として、その第2照明出力IIは、4900Kを超える色温度でクール白色光を含んでもよい。図2A‐2Fの時間図において、1つ又はそれ以上の第2照明出力IIは、クール白色光を含んでもよい。
【0034】
図1B及び1Cは、概略的に、狭帯域及び広帯域光源3Aに対するスペクトル分布図(縦軸に沿って光度LI及び横軸に沿って波長(nm))をそれぞれ概略的に描く。
【0035】
広帯域光源に対し、上記に記載されたように、第1照明出力I(図1Cにおける破線)は、0.4≦Rhw≦1を満たす比Rhwを有するべきである。照明出力Iのスペクトル幅Whは、590nmと770nmとの間で定義される。この波長領域にわたって積分をし、400‐770nmの範囲全体にわたる積分によってこれを割ることによって、照明出力Iが、Rhwに対する上記の条件を満たす。
【0036】
同様に、第2照明出力IIに対し、低い波長比Rlwは、0.6≦Rlw≦1に従うべきである。そのスペクトル幅Wlは、400‐560nmの範囲において定義される。この波長領域にわたって積分をし、400‐770nmの波長範囲の全体にわたる積分によってこれを割ることによって、上記のRlwに対する条件を満たす照明出力Iが得られる。
【0037】
照明装置に使用される光源3は蛍光性、白熱、ハロゲン、高輝度放電(HID)、発光ダイオード、又は他の光源であり得る。注目すべきは、単一の光源は、第1照明出力及び第2照明出力IIの両方を供給することが可能であってよいことである。また、注目すべきは、例えば、クール白色光の前に温白色光を使用する実施形態において、全ての光源は、第1照明出力I及び第2照明出力IIの両方に貢献してよいことであり、その色温度は、コントローラ2からの信号に応答して変化する。
【0038】
コントローラ2は、時間間隔T1、T2を決定するように構成又はプログラムされ、その時間間隔の間に、第1照明出力I及び第2照明出力IIが、それぞれ人間Mに供給される。一般的に、第1照明出力など(すなわち、それに続く第2照明出力無しで)は、人間Mの睡眠慣性及び覚醒状態に実質的にゼロ又はマイナスの効果を有する一方で、その人間が、少なくとも後に第2照明出力にさらされる場合はプラスの効果を有することから、第1時間間隔は、第2時間間隔よりも早く満了する。従って、その第2照明出力IIへの露出の少なくとも一部分は、人間Mの第1照明出力Iへの露出が終了した後に起こる。通常、必ずしもではないものの(図2D参照)、第1照明出力Iは、第2照明出力IIの前に開始する。すなわち、第1時間間隔T1は、それに続く第2時間間隔T2の開始の前にある。時間間隔T1、T2のうち少なくとも1つは、60秒に等しいか、それ未満である。
【0039】
記載されたように人間Mを光放射にさらすことは、人間の覚醒状態において強化した効果をもたらし、睡眠慣性を低減する。さらに、前の第1照明出力Iへさらされることによる、第2照明出力IIの効果の強化は、その第2照明出力の必要とされる光度LIの低減を可能にし、従って心地良さを改善する。
【0040】
図2A‐2Fは、図1の照明装置1を使用して人間Mを第1及び第2照明出力I、IIにさらす方法の数個の実施形態を示す時間図である。その時間図の縦軸は、人間Mがさらされる光度LIを任意の単位で示す。横軸は、時間(秒又は分)を示す。その照明出力I、IIのタイミング及び光度は、コントローラ2によって調節され、照明装置1のメモリに事前にプログラムされているか又は照明装置1のユーザ・インターフェースを通して入力されて良い。当然のことながら、多くの代替の実施形態が、本発明の主旨から離れずに、当業者によって予測されるであろう。
【0041】
図2Aは、第1照明出力Iが、第2時間間隔T2(ここではT1に等しい)の間の第2照明出力IIの前に第1時間間隔T1の間に供給される、本発明の基本的な実施形態を示す。T1及びT2の各々は、例えば、60秒であってよい。当然のことながら、第1照明出力Iもまた、第2照明出力IIの直接前に、遅延無しで供給されてもよい。
【0042】
図2Bは、第1及び第2照明出力I、IIが弱められる時間図を示す。T1及びT2の各々は、例えば、60秒であってよい。その代わりに、T1及びT2の両方は、50ミリ秒だけの持続期間を有する。第1及び第2照明出力のそのような迅速な交互の入れ替わりは、人間の目によって追うことが出来ない。人間の目は、その第1及び第2照明出力の実質的に安定した平均を観測し、それによって心地良さが改善される。
【0043】
図2Cは、第1照明出力Iが、第2時間間隔T2の間の第2照明出力IIの前に、第1時間間隔T1の間に供給される時間図を示す。第2間隔T2は、第1時間間隔Iよりもかなり長い。一例として、時間間隔T1は、60秒、10秒、1秒、100ミリ秒、10ミリ秒又は1ミリ秒の持続期間を有し、時間間隔T2は、10分、1分又は1秒の持続期間を有する。第2照明出力IIの光度LIは、第1照明出力Iの光度LIよりも低い。時間間隔T1及びT2が繰り返されてよい。
【0044】
図2Dは、第1照明出力Iが、第2照明出力の第2時間間隔T2内の第1時間間隔T1の間に供給される時間図を示す。コントローラ2は、人間Mが時間間隔T2の間に連続的に光源3Bにさらされるように光源3を制御し、例えば、青い光などを供給し、その一方、光源3Aは、時間間隔T1の間に、その青い光への露出(また、第2照明出力にもさらされている間に)の効率を増やすために、赤い光を生成する。時間間隔T2は、例えば、10分の持続期間を有する一方、時間間隔T1は、例えば、60秒又は30秒の持続期間を有する。さらに、当然のことながら、第1及び/又は第2照明出力の光度及び持続期間は、一定である必要は無い。
【0045】
図2Eは、第1及び第2照明出力I、IIが交互に入れ替わる時間図を示す。第1時間間隔T1は、持続期間(例えば、15秒、3秒、1分)において増加する一方、第1照明出力Iの光度は減少する。
【0046】
最後に、図2Fにおいて、第1照明出力Iと第2照明出力との間において、人間Mが、第3の期間T3の間に暗がりにさらされる時間図が示されている。暗がりは、光受容体の感度が増加した暗さに適応した網膜状態への再適応を可能にし、与えられる光刺激に対してより強い反応を引き起こす。コントローラ2は、光源3A及び3Bの両方は、T3の間に始動しないようにプログラムされる一方、照明装置1は、実質的に暗い環境において作動する。
【0047】
照明装置1の様々な応用が考慮されてきている。一例は、非常なシフトにおいて働く人々など(パイロット、トラック・ドライバーなど)、彼ら/彼女らのタスクを実施するために十分に用心深くなるために義務的な休憩期間の後にいく分かの時間待つ必要がある人々を含む。例えば、パイロットに対する現時点での推奨は、彼らの職務を引き継ぐ前に目を覚ました後に30分間待つことである。開示される照明装置1は、待機時間を減らすことが出来、従って、個人的な費用を低減し得る。本発明は、また、警察官及び軍隊にとっても有利である:本発明は、睡眠後の睡眠慣性の迅速な減少を可能にすることから、即時の操作における遅れ(又は危険)を最小限にする。自動的照明もまた、検討されている:照明装置1への車内での露出は、夜間ドライバの覚醒状態を増加させるために使用することができる。また、24時間の操作を必要とする制御ルーム及び維持される覚醒状態が基本的である夜間シフト作業は、可能な応用エリアである。
【0048】
照明装置1は、また、早朝活動及び/又は昼食後の下落を改善するためのオフィス照明においても適用することができる。病院照明は、夜間の起床において医療スタッフの睡眠慣性を低減するための応用のエリアである。さらに、養護施設の照明、日中活動の改善及び/又は高齢者又は医療患者による日中の仮眠を夜間の睡眠持続期間及び睡眠の質を改善するために縮小することなどが予想されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の睡眠慣性を低減する及び/又は覚醒状態を増加させるように配置された照明装置であり:
第1照明出力及び第2照明出力を生成するための1つ又はそれ以上の光源を含み、前記第1照明出力は:
‐590‐770nmの範囲において主波長を持つ光、又は
‐4100K未満の色温度を持つ白色光を含み、前記第2照明出力は:
‐400‐560nmの範囲において主波長を持つ光、又は
‐4900Kを超える色温度を持つ白色光を含み、
前記人間の目を前記第1照明出力に第1時間間隔の間にさらし、前記第2照明出力に第2時間間隔の間にさらすように前記1つ又はそれ以上の光源を制御するコントローラを含み、該第2時間間隔は、前記第1時間間隔よりも後の時点で終了し、前記第1及び第2時間間隔のうち少なくとも1つは、60秒に等しいか、又は60秒未満である、照明装置。
【請求項2】
前記第1照明出力の主波長は、600‐650nmの範囲にあり、前記第2照明出力の主波長は、450‐500nmの範囲にある、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1及び第2時間間隔のうち少なくとも1つは、1ミリ秒‐10秒の範囲において持続期間を有する、請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1照明出力及び第2照明出力を、連続する第1及び第2時間間隔の間に交互に入れ替えるように前記1つ又はそれ以上の光源を制御するように構成されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1及び第2時間間隔のうち少なくとも1つは、50ミリ秒に等しいか又は50ミリ秒未満である、請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第1照明出力を前記第2時間間隔内にある連続する第1時間間隔の間に繰り返すように前記1又はそれ以上の光源を制御するように構成されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第1照明出力及び前記第2照明出力を第3時間間隔の間に一時的に停止し、ひき続き前記目を前記第2照明出力にさらすように前記1つ又はそれ以上の光源を制御するように構成されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1及び第2照明出力は、実質的に単色の光を含む、請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
人間に対する:
‐睡眠慣性の低減;
‐覚醒状態の増加;
‐位相シフト:
‐治療効果;
のうち少なくとも1つの効果を得るための方法であって:
‐第1時間間隔の間に、前記人間の目を
‐590‐770nmの範囲において主波長を持つ光、又は
‐4100K未満の色温度を持つ白色光、
を含む第1照明出力にさらすステップ;
‐第2時間間隔の間に前記人間の目を:
‐400‐560nmの範囲において主波長を持つ光、又は
‐4900Kを超える色温度を持つ白色光、
を含む第2照明出力にさらすステップ;
を含む方法。
【請求項10】
前記第1及び第2照明出力を、連続する第1及び第2時間間隔の間に交互に入れ替えるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1照明出力を、前記第2時間間隔内にある連続する第1時間間隔の間に繰り返すステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって:
‐第3時間間隔の間に前記第1及び第2照明出力を一時的に停止するステップ;
‐ひき続き、前記第2時間間隔の間に、前記目を少なくとも前記第2照明出力にさらすステップ;
を含む方法。
【請求項13】
前記第1及び第2時間間隔は、60秒に等しいか又は60秒未満であり、望ましくは1ミリ秒‐10秒の範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び第2時間間隔のうち少なくとも1つは、50ミリ秒に等しいか又は50ミリ秒未満である、請求項9に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【公表番号】特表2012−524369(P2012−524369A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505276(P2012−505276)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051587
【国際公開番号】WO2010/122446
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】