説明

照明装置

【課題】 本発明は、照明装置を大面積化した際に、発光領域内での輝度のばらつきを抑
制することができる照明装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の一は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極と
の間に設けられた発光物質を含む層と、格子状に形成され、蛍光剤を含む絶縁層と、絶縁
層の上に設けられた配線と、を有する発光装置である。ここで、絶縁層と配線とは、第1
の電極と配線とが接するように、第1の電極に覆われていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は、自発光型の素子であり、照明装置として利用することが試みられている。発光素子は、面発光体であり、照明として用いることでより自然光に近い照明装置を得ることができる。
【0003】
発光素子は、電場を加えることでルミネッセンス(Electroluminescence)が得られる発光物質を含む層と、陽極と、陰極とを有している。陽極から注入されたホールと、陰極から注入された電子とが電界発光層で結合することで、発光が得られる。電界発光層から得られるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(燐光)とが含まれる。
【0004】
このような発光素子を用いた発光装置において、光が射出する方向の電極は透明である必要がある。しかし、一般に透明電極として用いられる透明導電膜は抵抗率が比較的大きいものが多く、電流供給端子から離れた部分では電圧降下が生じる。特に、照明装置は、全面を同じ輝度で発光させることが多いため、この輝度のばらつき(不均一性)がさらに目立ってしまう。
【0005】
しかし、照明装置を大面積化した場合、電流が流れにくい部分では輝度が低下してしまう。つまり、照明装置の発光領域内で輝度にばらつきが生じてしまう。また、一般に陽極として使用されているITO電極は、陰極に用いられているAl等の金属に比べ電気抵抗が高い。そのため、電流供給端子から離れた部分では電圧降下を生じ、輝度が低くなってしまう。この問題点を解決するため、陽極の少なくとも一部分に、陽極より電気抵抗の低い補助電極を併設した構造が報告されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004―134282号公報
【0006】
特許文献1では、発光素子の長辺または短辺に補助電極を設けているが、照明装置を大面積化した場合、補助電極から離れた部分(例えば、照明装置の中心部)では、輝度低下が起きてしまう。しかし、特許文献1の構造で、陽極の全面に補助電極を設けると、発光層から射出された光が外部に出ることができないため、補助電極は一部にしか設けることができない。
【0007】
また、照明装置は、全面を同じ輝度で発光させることが多いため、この輝度のばらつきがさらに目立ってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題を鑑みて、本発明は、照明装置を大面積化した際に、発光領域内での輝度のばらつきを抑制することができる(つまり、輝度の均一性が良い)照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明装置は、第1の電極と、第2の電極との間に、発光物質を含む層が形成され、第2の電極と、発光物質を含む層とに形成された開口部を介して、第1の電極と接続する第3の電極が備えられている構成であることを特徴とする。
【0010】
つまり、第1の電極と補助電極との間に、発光物質を含む層と、第2の電極とを有し、補助電極は、第2の電極を挟んで、第1の電極とは反対側に形成され、第1の電極と補助電極とは、第2の電極と発光物質を含む層とに形成された開口部を通じて電気的に接続されている構成とする。なお、第1の電極と第2の電極、第2の電極と補助電極とは、電気的に絶縁されている必要がある。
【0011】
より具体的には、透明導電膜からなる第1の電極上に、第1の開口部が形成された発光物質を含む層と、第2の開口部が形成された第2の電極とが、前記第1の開口部と前記第2の開口部とが重畳するように配置され、第2の電極上に設けられ、第1の開口部と第2の開口部と、第2の開口部の側壁を覆い、前記第1の電極を露出させる第3の開口部が形成された絶縁層と、絶縁層上に備えられ、第1乃至第3の開口部を介して、第1の電極と接する第3の電極とが備えられていることを特徴とする。
【0012】
上記構成において、開口部は照明装置の発光領域に複数設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、上記構成において、発光物質を含む層から発光した光は、第1の電極側から出射される。つまり、第1の電極は透光性を有しており、透明導電膜で形成されている。具体的には、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す)、または珪素を含有したインジウム錫酸化物、2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を含む酸化インジウム等が挙げられる。
【0014】
なお、補助電極としては、抵抗率の小さい材料を用いることが好ましい。抵抗率の小さい材料を用いることにより、第1の電極の電圧降下を低減することができる。
【0015】
また、上記構成において、発光物質を含む層は、複数の発光物質を含む層を積層させた構成としてもよい。
【0016】
上記の構成において、発光は補助電極によって遮られない為、補助電極と第1の電極の接続部分以外での発光の損失がない。そのため、補助電極の材料や膜厚、形成場所を自由に設定することができる。
【0017】
また、補助電極と第1の電極の接続部分の面積を十分に小さくしておけば、光の射出面から見た場合も、補助電極の存在をほぼ無視できる。よって、開口部を照明装置の発光領域内に複数設けることが可能となる。
【0018】
本発明の一は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた発光物質を含む層と、基板上に格子状に形成され、蛍光物質を含む絶縁層と、絶縁層の上に設けられた配線と、を有する発光装置である。ここで、絶縁層と配線とは、第1の電極と配線とが接するように、第1の電極に覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明を用いることにより、輝度のばらつきが低減された照明装置を得ることができる。また、補助電極は光の射出方向に配置されていないため、補助電極による光の損失が小さく、補助電極の材料や膜厚、形成場所を自由に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記述内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
本発明の照明装置の構造を図1を用いて説明する。図1に示した照明装置は、基板側から光を出射する下面出射型の照明装置である。なお、図1(B)は本発明の照明装置の発光領域の上面図、図1(A)は発光領域の開口部付近(図1(B)のA−A’)における断面図である。
【0022】
図1において、基板101は透光性を有する基板を用いる。具体的には、ガラス、プラスチック、ポリエステルまたはアクリル樹脂のような透光性を有する材料を用いることができる。また、基板101は可撓性を有していてもよい。
【0023】
基板101上には第1の電極102として透明導電膜が形成されている。透明導電膜としては、例えばインジウム錫酸化物(以下、ITOと示す)、または珪素を含有したインジウム錫酸化物、2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を含む酸化インジウム等が挙げられる。
【0024】
第1の電極102上には、発光物質を含む層103が形成されている。発光物質を含む層103には、公知の材料を用いることができ、低分子系材料および高分子系材料のいずれを用いることもできる。なお、発光物質を含む層を形成する材料には、有機化合物材料のみから成るものだけでなく、無機化合物を一部に含む構成も含めるものとする。また、発光物質を含む層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層(ホールブロッキング層)、発光層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合わせて構成されるが、単層で構成してもよいし、複数の層を積層させた構成としてもよい。図11に、発光物質を含む層が、正孔
注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を有する構造の一例を示す。図11では、基板1100上に、第1の電極(陽極)1101、発光物質を含む層1102、第2の電極(陰極)1103が形成されており、発光物質を含む層1102は、正孔注入層1111、正孔輸送層1112、発光層1113、電子輸送層1114、電子注入層1115を有している。なお、本発明の照明装置において、発光物質を含む層は、図11の構造に限定されない。以下に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層に用いる具体的な材料を示す。
【0025】
正孔注入層を形成する正孔注入性材料としては、有機化合物であればポルフィリン系の化合物が有効であり、フタロシアニン(以下、H2−Pcと示す)、銅フタロシアニン(以下、Cu−Pcと示す)等を用いることができる。また、導電性高分子化合物に化学ドーピングを施した材料もあり、ポリスチレンスルホン酸(以下、PSSと示す)をドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTと示す)などを用いることもできる。また、ベンゾオキサゾール誘導体と、TCQn、FeCl3、C60またはF4TCNQのいずれか一または複数の材料とを含むようにしても良い。
【0026】
また、正孔輸送層を形成する正孔輸送性材料としては、芳香族アミン系の化合物(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有する化合物)が好適である。広く用いられている材料として、例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(以下、TPDと示す)の他、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(以下、α−NPDと示す)や、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(以下、TCTAと示す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(以下、TDATAと示す)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(以下、MTDATAと示す)などのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。
【0027】
また、発光層を形成する発光性材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Alq3と示す)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Almq3と示す)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(以下、BeBq2と示す)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(以下、BAlqと示す)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(以下、Zn(BOX)2と示す)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(以下、Zn(BTZ)2と示す)などの金属錯体の他、各種蛍光色素が有効である。
【0028】
なお、ゲスト材料と組み合わせて発光層を形成する場合には、キナクリドン、ジエチルキナクリドン(以下、DEQDと示す)、ジメチルキナクリドン(以下、DMQDと示す)、ルブレン、ペリレン、クマリン、クマリン545T(以下、C545Tと示す)、DPT、Co−6、PMDFB、BTX、ABTX、DCM、DCJTの他、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(以下、Ir(ppy)3と示す)、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−白金(以下、PtOEPと示す)等の三重項発光材料(燐光材料)をゲスト材料として用いることができる。
【0029】
電子輸送層に用いることができる電子輸送性材料としては、先に述べたAlq3、Almq3、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、Gaq3、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−ガリウム(略称:BGaq)、BeBq2、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などの金属錯体のほか、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などが挙げられる。
【0030】
電子注入層を形成する電子注入性材料としては、具体的には、LiF、CsFなどのアルカリ金属ハロゲン化物や、CaF2のようなアルカリ土類ハロゲン化物、Li2Oなどのアルカリ金属酸化物のような絶縁体の超薄膜がよく用いられる。また、リチウムアセチルアセトネート(略称:Li(acac))や8−キノリノラト−リチウム(略称:Liq)などのアルカリ金属錯体も有効である。また、ベンゾオキサゾール誘導体と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属のいずれか一または複数の材料とを含むようにしても良い。
【0031】
なお、発光物質を含む層103は、複数の発光物質を含む層を積層させた構造としてもよい。図12に複数の発光物質を含む層を積層させた構造の一例を示す。図12では、基板1200上に、第1の電極1201、発光物質を含む第1の層1202、電荷発生層1203、発光物質を含む第2の層1204、第2の電極を積層した構造を有している。電荷発生層1203はキャリアを注入する役割を持ち、透光性の高い材料であることが必要である。なお、図12では、2層の発光物質を含む層を積層した構造を示したが、これに限定されず、3層以上の発光物質を含む層を積層した構造でもよい。また、図12では基
板側の電極を第1の電極としたが、基板側の電極を第2の電極としてもよい。
【0032】
発光物質を含む層を積層させた構造にすることにより、同じ電流でも積層しただけ輝度が向上する。特に、高輝度が必要とされる照明用途には、発光物質を含む層を積層させた構造が好適である。また、複数の発光物質を含む層を積層させた構造とする場合、同じ材料で構成された発光物質を含む層を積層させた構造としてもよいし、異なる材料で構成された発光物質を含む層を積層させた構造としてもよい。
【0033】
例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料で形成した発光物質を含む層を積層し、全体として白色発光を得ることもできる。このような赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料は、それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法、又は液滴吐出法(インクジェット法ともいう)などによって形成すればよい。具体的には、正孔注入層としてCuPcやPEDOT、正孔輸送層としてα−NPD、電子輸送層としてBCPやAlq3、電子注入層としてBCP:LiやCaF2をそれぞれ用いることができる。また例えば発光層は、R、G、Bのそれぞれの発光色に対応したドーパント(Rの場合D
CM等、Gの場合DMQD等)をドープしたAlq3を用いればよい。なお、白色発光を得る場合には、上記の3色の発光材料を積層した構造に限らず、2色の発光材料を積層した構造としてもよい。例えば、青色と黄色の発光を示す材料を積層して白色発光を得ることもできる。
【0034】
なお、発光物質を含む層の構造は、上記積層構造に限定されるものではない。例えば、発光物質を含む層は、単層型、積層型、また層の界面がない混合型のいずれでもよい。また蛍光材料、燐光材料、又はそれらを組み合わせた材料を用いることができる。例えば、赤色(R)の発光を示す材料に、燐光材料を用い、緑(G)や青(B)の発光を示す材料に蛍光材料を用いることができる。またさらに、低分子材料、高分子材料及び中分子材料を含む有機材料、電子注入性に優れる酸化モリブデン等に代表される無機材料、有機材料と無機材料の複合材料のいずれを用いてもよい。
【0035】
なお、本発明の照明装置は、白色に限らず、所望の色の光を得るようにしてもよい。また、カラーフィルター、又は色変換層、又はカラーフィルター及び色変換層、などを別途設けてもよい。
【0036】
発光物質を含む層103上には第2の電極104を形成されている。第2の電極104としては、公知の材料を用いることができる。第2の電極104を陰極とする場合は、仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましく、具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属を用いて形成することもできる。また、LiF、CsF、CaF2、Li2O等の電子注入層を用いる場合は、アルミニウム等の通常の導電性薄膜を用いることができる。第2の電極104を陽極とする場合は
、仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましい。具体的には、TiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr等の単層膜の他、窒化チタンからなる膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を用いることができる。あるいは、Ti、Al等の反射性電極の上に透明導電膜を積層する方法でもよい。
【0037】
第2の電極104と発光物質を含む層103を覆うように絶縁膜105が形成されている。この絶縁膜105により、第1の電極102と第2の電極104、第2の電極104と補助電極106が、それぞれ電気的に絶縁されている。なお、この絶縁膜105は、水分や酸素などの発光物質を含む層の劣化を促進させる原因となる物質の透過を防ぐ保護膜としての機能を有していてもよい。
【0038】
絶縁膜105の一部は開口部107を有し、この開口部107において、第1の電極102と補助電極106とが電気的に接続している。補助電極106としては、抵抗率の小さい材料を用いることが好ましく、具体的にはアルミニウム、銅、銀等の材料を用いることができる。また、開口部の径は10〜500μm、好ましくは50〜200μmとする。
【0039】
また、開口部107は発光領域108に複数設けられている。この開口部107を介して、補助電極106が第1の電極102と電気的に接続することにより、透明導電膜の抵抗が比較的高いことに起因する電圧降下の影響を低減することができる。つまり、補助電極106が、発光領域108に複数設けられた開口部107を介して第1の電極102を電気的に接続されていることにより、第1の電極102の抵抗を実質的に低下させている。それにより、電流供給端子から離れた部分が暗くなる輝度のばらつきを低減することができる。なお、この開口部の大きさを十分小さくしておけば、光の射出方向、つまり透光
性を有する基板側から照明装置を見たとき、補助電極の存在はほぼ無視することができる。また、補助電極は光の射出方向に配置されていないため、補助電極の材料や膜厚、形成場所を自由に設定することができる。そのため、補助電極を、電圧降下が起こりやすい場所に選択的に形成することも可能であるし、照明装置の発光領域全面に形成することも可能となる。
【0040】
本発明の照明装置は、第1の電極の抵抗が比較的大きいことに起因する電圧降下による輝度のばらつきを低減できるため、特に大面積の照明装置に適用することが好ましい。
【0041】
(実施の形態2)
本発明の照明装置の構造を図5を用いて説明する。図5に示した照明装置は、基板側とは逆側から光を出射する上面出射型の照明装置である。なお、図5(B)は照明装置の発光領域の上面図、図5(A)は発光領域の開口部付近(図5(B)のA−A’)における断面図である。
【0042】
図5において、基板501は薄型で可撓性を有する素材で形成されている基板を用いる。具体的には、プラスチック基板、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムのような可撓性を有する基板を用いることができる。
【0043】
基板501上には第2の電極502が形成されている。第2の電極502としては、公知の材料を用いることができる。第2の電極502を陰極とする場合は、仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましく、具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属を用いて形成することもできる。また、LiF、CsF、CaF2、Li2O等の電子注入層を用いる場合は、アルミニウム等の通常の導電性薄膜を用いることができる。第2の電極502を陽極とする場合は、仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましい。具体的には、TiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr等の単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を用いることができる。あるいは、Ti、Al等の反射性電極の上に透明導電膜を積層する方法でもよい。
【0044】
第2の電極502上には、発光物質を含む層503が形成されている。発光物質を含む層503には、公知の材料を用いることができ、低分子系材料および高分子系材料のいずれを用いることもできる。なお、発光物質を含む層を形成する材料には、有機化合物材料のみから成るものだけでなく、無機化合物を一部に含む構成も含めるものとする。また、発光物質を含む層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層(ホールブロッキング層)、発光層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合わせて構成されるが、単層で構成してもよいし、複数の層を積層させた構成としてもよい。
【0045】
なお、発光物質を含む層503は、複数の発光物質を含む層を積層させた構造としてもよい。積層させた構造にすることにより、同じ電流でも積層しただけ輝度が向上する。特に、高輝度が必要とされる照明用途には、発光物質を含む層を積層させた構造が好適である。また、複数の発光物質を含む層を積層させた構造とする場合、同じ材料で構成された発光物質を含む層を積層させた構造としてもよいし、異なる材料で構成された発光物質を含む層を積層させた構造としてもよい。
【0046】
発光物質を含む層503の上には第1の電極504として透明導電膜が形成されている。透明導電膜としては、例えばインジウム錫酸化物(以下、ITOと示す)、または珪素を含有したインジウム錫酸化物、2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を含む酸化インジウム等が挙げられる。
【0047】
基板501、第2の電極502、発光物質を含む層503および第1の電極504は開口部507を有しており、第1の電極504および基板501の開口部付近と、開口部の側壁とを、覆うように絶縁膜505が形成されている。この絶縁膜505により、第1の電極504と第2の電極502、第2の電極502と補助電極506が、それぞれ電気的に絶縁されている。なお、この絶縁膜505は、水分や酸素などの発光物質を含む層の劣化を促進させる原因となる物質の透過を防ぐ保護膜としての機能を有していてもよい。
【0048】
補助電極506は、基板の下面、開口部、第1の電極の開口部付近に形成され、開口部付近で第1の電極と補助電極とが電気的に接続している。補助電極506としては、抵抗率の小さい材料を用いることが好ましく、具体的にはアルミニウム、銅、銀等の材料を用いることができる。また、開口部の径は10〜500μm、好ましくは50〜200μmとする。
【0049】
また、開口部507は発光領域508に複数設けられている。この開口部507を介して、補助電極506が第1の電極504と電気的に接続することにより、透明導電膜の抵抗が比較的高いことに起因する電圧降下の影響を低減することができる。つまり、補助電極506が、発光領域508に複数設けられた開口部507を介して第1の電極504を電気的に接続されていることにより、第1の電極504の抵抗を実質的に低下させている。それにより、電流供給端子から離れた部分が暗くなる輝度のばらつきを低減することができる。なお、この開口部の大きさを十分小さくしておけば、光の射出方向、つまり透光
性を有する基板側から照明装置を見たとき、補助電極の存在はほぼ無視することができる。また、補助電極は光の射出方向に配置されていないため、補助電極の材料や膜厚、形成場所を自由に設定することができる。そのため、補助電極を、電圧降下が起こりやすい場所に選択的に形成することも可能であるし、照明装置の発光領域全面に形成することも可能となる。
【0050】
本発明の照明装置は、第1の電極の抵抗が比較的大きいことに起因する電圧降下による輝度のばらつきを低減できるため、特に大面積の照明装置に適用することが好ましい。
【0051】
(実施の形態3)
本発明の照明装置の一態様について、図13(A)、(B)を用いて説明する。なお、図13(A)は、図13(B)の上面図で表される照明装置のA−A’における断面図である。
【0052】
図13(A)、(B)において、基板10の上には、絶縁層11が設けられている。絶縁層11は、図13(B)に示すように、基板10上に格子状に形成されている。また、絶縁層11には、蛍光物質が含まれている。そして、絶縁層11の上には、配線13が形成されている。
【0053】
絶縁層11、配線13の上には、絶縁層11と配線13とを覆うように、第1の電極12が設けられている。そして、第1の電極12の上には発光物質を含む層14が設けられている。さらに、発光物質を含む層14の上には第2の電極15が形成されている。
【0054】
ここで、第1の電極12について特に限定はないが、可視光を透過出来る電極であることが好ましく、実施の形態1で説明した第1の電極102と同様のものを用いることが出来る。また、第2の電極15についても特に限定はなく、実施の形態1で説明した第2の電極104と同様のものを用いることが出来る。さらに発光物質を含む層14についても特に限定はなく、実施の形態1で説明した発光物質を含む層103と同様のものを用いることができる。
【0055】
また、配線13について特に限定はないが、アルミニウムや銅等の抵抗値の小さい金属から成ることが好ましい。
【0056】
また、絶縁層11に含まれる蛍光物質についても特に限定はなく、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン、9,10−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)アントラセン、ルブレン、1,2,3,4,5−ペンタフェニルシクロペンタジエン、p−セキシフェニル、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン等の多環芳香族化合物の他、2,5−ジフェニルオキサゾール、1,4−ビス(5−フェニルオキサゾール−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチル−5−フェニルオキサゾール−2−イル)ベンゼン、2−(1−ナフチル)−5−フェ
ニルオキサゾール、2−(4−ビフェニリル)−6−フェニルベンズオキサゾール、2,5−ビス(5−tert−ブチルベンズオキサゾール−2−イル)チオフェン、2−(4−ビフェニリル)−6−フェニルベンズオキサゾール、2−(4−ビフェニリル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、ロフィン等のヘテロ芳香族化合物、クマリン6、クマリン6H、クマリン7、クマリン30、クマリン102、クマリン120、クマリン151、クマリン152、クマリン153、クマリン314、クマリン334、クマリン337、クマリン343、クマリン480D、クマリン545T等のクマリン系化合物、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(4−ジメチルアミノフェニル)エテニル]−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(2,2,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−tert−ブチル−6−[2−(2,2,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−イソプロピル−6−[2−(2,2,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン等のピラン系化合物、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルエテニル)ビフェニル等のスチレン系化合物、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン575、フルオレセイン、ナイルレッド等のキサンテン系化合物を用いることができる。
【0057】
ここで、発光物質を含む層14の表面高さ(基板10の表面、つまり基板面を基準面としたときの基準面から表面までの長さ)は、絶縁層11の表面高さよりも低いことが好ましい。これによって、発光物質を含む層14における発光が、絶縁層11に入り易くなる。
【0058】
なお、第1の電極12と基板10との間には、窒化珪素や酸化珪素を含む絶縁層が設けられていてもよい。このような絶縁層を設けることによって、基板10を透って混入した水分が、発光物質を含む層14に入ることを防ぐことができる。
【0059】
以上のような照明装置では、配線13が設けられていることによって、第1の電極12における電圧降下が低減する。
【0060】
また、以上のような構成を有する照明装置は、第1の電極12から注入された正孔と第2の電極15から注入された電子とが再結合することによって励起された発光物質が、基底状態に戻るときに発光するものである。さらに、本形態の照明装置では、基板面に対し平行な方向に導光した発光が、絶縁層11に入り、絶縁層11に含まれた蛍光物質が発光するものである。
【0061】
このように、絶縁層11に含まれた蛍光物質が発光することによって、基板10の基板面全体から、発光を得られる。
【0062】
(実施の形態4)
本形態では、実施の形態3で説明した照明装置の作製方法について図14(A)、(B)、(C)、図15(A)、(B)、(C)を用いて説明する。なお、図14(A)、(B)、(C)は、それぞれ、図15(A)、(B)、(C)の上面図で表される照明装置のA−A’における断面図である。
【0063】
まず、基板10の上に、絶縁層と、導電層とを順に形成した後、これらを所望の形状に加工して、絶縁層11と配線13とを形成する。絶縁層11について特に限定はなく、蛍光物質を含む絶縁層であってもよい。このような絶縁層としては、シロキサン、またはアクリル若しくはポリイミド等が挙げられる。また、配線13について特に限定はないが、アルミニウムや銅等の低抵抗な材料を用いて形成することが好ましい。なお、アルミニウムには、ニッケルやシリコン等が含有されていてもよい。
【0064】
次に、基板10、絶縁層11、配線13の上に、基板10、絶縁層11、配線13を覆う第1の電極12を形成する。第1の電極12について特に限定はなく、実施の形態1で示した第1の電極102と同様の材料を用いて形成することが好ましい。また、第1の電極12の形成方法についても特に限定はなく、スパッタ法等を用いて形成すればよい。
【0065】
本形態では、絶縁層11と配線13とは、同じレジストマスクを用いて連続してエッチングすることによって加工する。しかし、これに限らず、例えば、所望の形状の絶縁層11を形成した後、その絶縁層11を覆う導電層を形成し、その導電層を所望の形状に加工して配線13を形成しても構わない。なお、本形態では、絶縁層11は、図15(B)に示すように、格子状に形成する。
【0066】
次に、第1の電極12と絶縁層11と配線13とを覆うように発光物質を含む層14を形成する。発光物質を含む層14について特に限定はなく、実施の形態1で説明した発光物質を含む層103と同様の構成の層を、蒸着法または、インクジェット法等を用いて形成すればよい。
【0067】
次に発光物質を含む層14の上に第2の電極15を形成する。第2の電極15について特に限定はなく、実施の形態1で示した第2の電極104と同様の材料を用いて形成することが好ましい。また、第2の電極15の形成方法についても特に限定はなく、スパッタ法や蒸着法等を用いて形成すればよい。
【0068】
なお、第1の電極12と第2の電極15とは接触しないように積層することが好ましい。例えば、本形態では、第1の電極12と第2の電極15とのいずれか一方の縁が、発光物質を含む層14よりも内側になるように形成することによって、第1の電極12と第2の電極15とが接触することを防いでいる。
【0069】
(実施の形態5)
本発明の照明装置の一態様について、図16を用いて説明する。なお、図16(A)は、図16(B)の上面図で表される照明装置のA−A’における断面図である。
【0070】
図16(A)、(B)において、基板30の上には、第1の電極31が設けられている。第1の電極31の上には、凹部を有する絶縁層32が形成されている。絶縁層32は、図16(B)に示すように、第1の電極31上に格子状に形成されている。また、絶縁層32には、蛍光物質が含まれている。そして、絶縁層32の凹部内には、配線33が形成されている。また、絶縁層32の凹部内には開口部が設けられており、開口部を介して、配線33と第1の電極31とが接続する。
【0071】
第1の電極31と絶縁層32と配線33とは、発光物質を含む層34によって覆われている。さらに、発光物質を含む層34の上には第2の電極35が形成されている。
【0072】
ここで、配線33について特に限定はないが、アルミニウムや銅等の抵抗値の小さい金属から成ることが好ましい。
【0073】
なお、発光物質を含む層34の表面高さは、絶縁層32の表面高さよりも低いことが好ましい。
【0074】
また、蛍光物質についても特に限定はなく、実施の形態3に記載したような蛍光物質等を用いることができる。
【0075】
また、第1の電極31について特に限定はないが、可視光を透過出来る電極であること
が好ましく、実施の形態1で説明した第1の電極102と同様のものを用いることが出来る。また、第2の電極35についても特に限定はなく、実施の形態1で説明した第2の電極104と同様のものを用いることが出来る。さらに発光物質を含む層34についても特に限定はなく、実施の形態1で説明した発光物質を含む層103と同様のものを用いることができる。
【0076】
以上のような照明装置では、配線33が設けられていることによって、第1の電極31における電圧降下が低減する。
【0077】
また、以上のような構成を有する照明装置は、第1の電極31から注入された正孔と第2の電極35から注入された電子とが再結合することによって励起された発光物質が、基底状態に戻るときに発光するものである。さらに、本形態の照明装置では、基板面に対し平行な方向に進んだ発光が、絶縁層32に入り、絶縁層32に含まれた蛍光物質が発光するものである。
【0078】
このように、絶縁層32に含まれた蛍光物質が発光することによって、基板30の基板面全体から、発光を得られる。
【実施例1】
【0079】
本実施例では、図1に示した本発明の照明装置の作製方法について、図2を用いて説明する。
【0080】
透光性を有する基板201の上に第1の電極202である透明導電膜を成膜する。本実施例では、透光性を有する基板201としてガラス基板を用い、第1の電極202としてITOを成膜する。
【0081】
次に、第1の電極202上に発光物質を含む層203を形成する。発光物質を含む層203は公知の材料を用いることができる。また、複数の発光物質を含む層を積層した構成としてもよい。
【0082】
この発光物質を含む層203の上に第2の電極204を成膜する(図(A))。第2の電極204は、開口部を有しており、発光物質を含む層上に全面に成膜した後フォトリソグラフィ法でパターニングしてもよいし、マスクを用いて形成してもよい。本実施例では、第2の電極204としてアルミニウムを用い、発光物質を含む層203上に全面に形成した後、フォトリソグラフィ法によりパターニングする。その後、パターニングされた第2の電極をマスクとして、発光物質を含む層に開口部を形成する(図2(B))。
【0083】
次に、発光物質を含む層203と第2の電極204とを覆うように絶縁膜205を形成する(図2(C))。絶縁膜205も開口部を有しており、全面に成膜した後フォトリソグラフィ法でパターニングしてもよいし、マスクを用いて形成してもよい。本実施例では、絶縁膜205として酸化珪素を用いる。
【0084】
次に、補助電極206を形成する(図2(D))。補助電極206は低抵抗であることが望ましく、本実施例ではアルミニウムを用いる。補助電極206は開口部207において第1の電極202と電気的に接続しており、第2の電極204とは絶縁されている。
【0085】
このように第1の電極202であるITOは、補助電極206と開口部207で接続されているおり、第1の電極の抵抗が比較的高いことに起因する電圧降下の影響を低減することができる。そのため大面積の照明装置に適用した場合、輝度のばらつきを低減することができる。また、開口部207を十分小さくしておけば、光の射出方向、つまり透光性を有する基板側から照明装置を見たとき、補助電極の存在はほぼ無視することができる。
【0086】
なお、本実施例では、発光物質を含む層は全面に形成した後、アルミニウムをマスクとしてパターニングされていたが、開口部を有するようにマスクを用いて発光物質の含む層を形成してもよい。
【0087】
また、図3には、発光物質を含む層303および第2の電極304をそれぞれマスクを用いて形成する方法を示した。すなわち、基板301上に、全面に第1の電極302を形成した後、発光物質を含む層303、第2の電極304をそれぞれマスクを用いて形成し、絶縁膜305、補助電極306、開口部307は上述した方法と同様に形成すればよい。このとき、発光物質を含む層303よりも第2の電極304の開口部を大きくすることにより、第1の電極と第2の電極の絶縁をより確実にすることができる。
【実施例2】
【0088】
本実施例では、図1に示した本発明の照明装置の実施例1とは異なる作製方法について、図4を用いて説明する。
【0089】
透光性を有する基板401の上に第1の電極402である透明導電膜を成膜する。本実施例では、透光性を有する基板401としてガラス基板を用い、第1の電極402としてITOを成膜する。
【0090】
次に、発光物質を含む層403、第2の電極404を順次形成する(図4(A))。本実施例では第2の電極404としてアルミニウムを成膜する。
【0091】
次に、透光性を有する基板401側から、レーザ光を照射し、開口部を形成する(図4(B))。レーザ光としては、ガラス基板およびITOを透過し、発光物質を含む層403および第2の電極404に吸収される波長のレーザ光を用いる。本実施例では、波長532nmのレーザ光を使用する。波長532nmのレーザ光は、YAGレーザまたはYVO4レーザ等の基本波(波長1064nm)を非線形光学素子によって第2高調波に変換することで得られる。レーザ光を吸収した発光物質を含む層および第2の電極は加熱され、昇華し、開口部が形成される。開口部を形成したあとは、実施例1と同様に絶縁膜405、補助電極406を形成すし、第1の電極402と補助電極406とが、開口部407において、電気的に接続するようにする。(図4(C))。
【実施例3】
【0092】
本実施例では、図5に示した本発明の照明装置の作製方法について、図6〜図7を用いて説明する。
【0093】
薄型で可撓性を有する素材で形成されている基板601上に、第2の電極602、発光物質を含む層603、第1の電極604を形成する。本実施例では、ポリエステルフィルム上に、第2の電極602としてアルミニウム、第1の電極604としてITOを形成する(図6(A))。
【0094】
次に、基板601、第2の電極602、発光物質を含む層603、第1の電極604を開口部を設ける(図6(B))。基板601は可撓性を有する素材で形成されているため、物理的に力を加えることで容易に開口部を設けることができる。
【0095】
次に、絶縁膜605として、酸化珪素膜を形成する。酸化珪素膜はマスクを用いて、スパッタ法または蒸着法により形成する(図6(C))。スパッタ法または蒸着法を用いることで、開口部を通して、膜形成しようとする面と反対側の面にも回り込んで酸化珪素膜が形成される。これにより、第2の電極602と補助電極606との絶縁性がより確実なものとなる。
【0096】
次に、補助電極606を形成する。まず、印刷法により、第1の電極604側に銀を成膜する。このとき印刷法を用いることにより、開口部607に銀が満たされる(図7(A))。次に、基板601側から全面に銀を成膜する(図7(B))。これにより第1の電極604と補助電極606が電気的に接続される。これにより、第1の電極の抵抗が比較的高いことに起因する電圧降下の影響を低減することができる。そのため大面積の照明装置に適用した場合、輝度のばらつきを低減することができる。
【0097】
また、本実施例の構造では、第1の電極であるITOと、補助電極である銀とは、光の射出方向で接続しているが、開口部607を十分小さくしておけば、光の射出方向、つまり第1の電極側から照明装置を見たとき、補助電極の存在はほぼ無視することができる。
【実施例4】
【0098】
本実施例では、本発明の照明装置の全体の構造の一例について、図8を用いて説明する。
【0099】
図8は、本発明の照明装置の上面図および断面図である、本発明の照明装置は、基板801、第1の電極802、発光物質を含む層803、第2の電極804、絶縁膜805、補助電極806を有し、開口部807において第1の電極802と補助電極806が電気的に接続されている。開口部807は発光領域に複数設けられている。また、発光領域の端部には第2の絶縁膜808があり、第1の電極802と第2の電極804が短絡するのを防ぐ役割をしている。電流供給端子809は、それぞれ第2の電極804と補助電極806に接続されている。そして、発光領域は、封止材810により封止されている。発光物質を含む層の劣化を防ぐため、封止材はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止材で囲まれた内部には、充填材811が充填されている。封止材で囲まれた内部には、充填剤の代わりに、不活性気体(窒素やアルゴン等)、または封止材と同質の材料が充填されていてもよい。
【0100】
図8では、実施例1に示した構造を例示するが、実施例2および実施例3に示した構造でも同様に封止し、照明装置として用いることが可能である。
【実施例5】
【0101】
本実施例では、本発明の照明装置を用いた機器の一例を図9〜図10を用いて説明する。
【0102】
図9は、本発明の照明装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図9に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の照明装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
【0103】
本発明の照明装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、輝度のばらつきの少ないバックライトが得られるので、表示装置としての品質が向上する。また、バックライトの大面積化が可能となるため、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光素子は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
【0104】
図10(A)は、本発明の照明装置を室内の照明として用いた一例である。本発明の照明装置は、面発光の照明装置であり、大面積化した場合でも輝度のばらつきが少ないため、例えば、天井全面に本発明の照明装置を用いることもできる。また、天井に限らず、壁、床や柱等にも本発明の照明装置を用いることができる。さらに、本発明の照明装置は可撓性を有しているため、曲面に設置することも可能である。また、室内に限らず、室外で使用することも可能であり、外灯として、建物の壁等に設置することもできる。
【0105】
図10(B)は、本発明の照明装置を、トンネル内の照明として用いた一例である。本発明の照明装置は、可撓性を有しているため、トンネル内の壁の曲面に沿って設置することが可能である。
【0106】
図10(C)は、本発明の照明装置をインテリア用の照明として用いた一例である。本発明の照明装置は、薄型で可撓性を有しており、かつ面発光であるため、図10(B)のように、自由な形状に加工することが可能である。
【0107】
また、本発明の照明装置は、写真を撮影する際の照明として用いることもできる。写真を撮影する場合は、大面積の均一化された輝度の光で被写体を照らすことにより、自然光で被写体を照らした場合と同様な写真を撮ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の照明装置の発光領域の断面図および上面図。
【図2】本発明の照明装置の作製方法を示す図。
【図3】本発明の照明装置の作製方法を示す図。
【図4】本発明の照明装置の作製方法を示す図。
【図5】本発明の照明装置の発光領域の断面図および上面図。
【図6】本発明の照明装置の作製方法を示す図。
【図7】本発明の照明装置の作製方法を示す図。
【図8】本発明の照明装置の上面図および断面図。
【図9】本発明の照明装置を用いた機器の一例を示す図。
【図10】本発明の照明装置を用いた機器の一例を示す図。
【図11】本発明の照明装置の発光物質を含む層の一例を示す図。
【図12】本発明の照明装置の発光物質を含む層の一例を示す図。
【図13】本発明の照明装置の態様について説明する図。
【図14】本発明の照明装置の作製方法について説明する図。
【図15】本発明の照明装置の作製方法について説明する図。
【図16】本発明の照明装置の態様について説明する図。
【符号の説明】
【0109】
10 基板
11 絶縁層
12 第1の電極
13 配線
14 発光物質を含む層
15 第2の電極
30 基板
31 第1の電極
32 絶縁層
33 配線
34 発光物質を含む層
35 第2の電極
101 基板
102 第1の電極
103 発光物質を含む層
104 第2の電極
105 絶縁膜
106 補助電極
107 開口部
108 発光領域
201 基板
202 第1の電極
203 発光物質を含む層
204 第2の電極
205 絶縁膜
206 補助電極
207 開口部
301 基板
302 第1の電極
303 発光物質を含む層
304 第2の電極
305 絶縁膜
306 補助電極
307 開口部
401 基板
402 第1の電極
403 発光物質を含む層
404 第2の電極
405 絶縁膜
406 補助電極
407 開口部
501 基板
502 第1の電極
503 発光物質を含む層
504 第2の電極
505 絶縁膜
506 補助電極
507 開口部
508 発光領域
601 基板
602 第1の電極
603 発光物質を含む層
604 第2の電極
605 絶縁膜
606 補助電極
607 開口部
801 基板
802 第1の電極
803 発光物質を含む層
804 第2の電極
805 絶縁膜
806 補助電極
807 開口部
808 絶縁膜
809 電流供給端子
810 封止材
811 充填剤
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
1100 基板
1101 第1の電極(陽極)
1102 発光物質を含む層
1103 第2の電極(陰極)
1111 正孔注入層
1112 正孔輸送層
1113 発光層
1114 電子輸送層
1115 電子注入層
1200 基板
1201 第1の電極
1202 発光物質を含む第1の層
1203 電荷発生層
1204 発光物質を含む第2の層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、第2の電極との間に、発光物質を含む層が形成され、
前記第2の電極と、前記発光物質を含む層とに形成された開口部を介して、前記第1の電極と接続する第3の電極が備えられていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
第1の電極と、第2の電極との間に発光物質を含む層が設けられ、
前記第2の電極側に、該第2の電極とは絶縁分離された第3の電極が設けられ、前記第3の電極は、前記発光物質を含む層と、前記第2の電極とに形成された開口部を介して、前記第1の電極と接続していることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記発光物質を含む層から発光した光は、前記第1の電極側から放射されることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記第1の電極は透明導電膜からなることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記開口部は複数設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
透明導電膜からなる第1の電極上に、第1の開口部が形成された発光物質を含む層と、第2の開口部が形成された第2の電極とが、前記第1の開口部と前記第2の開口部とが重畳するように配置され、
前記第2の電極上に設けられ、前記第1の開口部と前記第2の開口部と、前記第2の開口部の側部を覆い、第3の開口部が形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に備えられ、前記第1乃至第3の開口部を介して、前記第1の電極と接する第3の電極と、
が備えられていることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項6において、前記発光物質を含む層から発光した光は、前記第1の電極側から放射されることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、前記第1の開口部の幅と前記第2の開口部の幅は、同じであることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項6または請求項7において、前記第1の開口部および前記第2の開口部の幅は、異なることを特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9において、前記第1乃至第3の開口部は、発光領域に複数設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項において、前記発光物質を含む層は、複数の発光物質を含む層が積層された構造であることを特徴とする照明装置。
【請求項12】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた発光物質を含む層と、
基板上に格子状に形成され、蛍光物質を含む絶縁層と、
前記絶縁層の上に設けられた配線と、
を有し、
前記絶縁層と前記配線とは、前記第1の電極と前記配線とが接するように、第1の電極
に覆われていることを特徴とする照明装置。
【請求項13】
請求項12に記載の照明装置において、前記発光物質を含む層における基板面から表面までの距離は、前記絶縁層における基板面から表面までの距離よりも低いことを特徴とする照明装置。
【請求項14】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた発光物質を含む層と、
格子状に形成され、蛍光剤を含む絶縁層と、
配線と、
を有し、
前記絶縁層は凹部と、凹部に設けられた開口部とを有し、
前記配線は、前記絶縁層の凹部に設けられ、
前記開口部を介して前記第1の電極と接続している
ことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−19251(P2006−19251A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156506(P2005−156506)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】