説明

照明装置

【課題】従来に無い装飾表現を可能とした照明装置を提供すること。
【解決手段】線状の側面出射型光伝送体3と、該光伝送体3の少なくとも一端に配置された光源4と、透明材料からなり板形状に形成された基材1とからなり、上記光伝送体3から発光された光が上記基材1へ導入される照明装置において、上記光伝送体3から発光された光が、上記基材1の主面に対して略平行になるように上記基材1へ導入されているとともに、上記基材1における側面の少なくとも一部には、主面の法線に対して傾斜した傾斜部1aが設けられている照明装置。上記基材1における主面の少なくとも一部には、断面略三角形状または台形状の凹部1bが設けられている照明装置。上記凹部1bの深さは、光伝送体3からの距離が離れるに従って深くなっている照明装置。上記光伝送体3は、上記基材1における主面又は主面と反対側の面に設けられた収納溝2に配置されている照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話・デジタルカメラ・腕時計・カーオーディオ・カーナビゲーション・パチンコ台・スロット台・自動販売機・車両室内外・犬の首輪・キッチン・交通標識・洗面台・シャワー・浴槽の湯温表示機・OA機器・家庭用電気製品・光学機器・各種建材・階段・手すり・電車のホーム・屋外看板等のイルミネーションや照明、液晶表示部のバックライト等の照明用として好適な照明装置に係り、特に、従来に無い装飾表現を可能とした照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コア及びクラッドからなり、長さ方向の少なくとも一端から入射された光を周方向(側面)から出射させる光伝送体と、光源とを組み合わせた、線状の照明装置が種々提案されている。
【0003】
この種の照明装置に用いられる光伝送体としては、例えば、透明なコア材と、このコア材よりも屈折率の小さなクラッド材とからなり、コア材中に散乱性粒子が分散された構成のものがある。ここで、コア材としては、メチルメタクリレート(MMA)等の(メタ)アクリル系ポリマー、クラッド材としては、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系ポリマーが、好ましい材料として挙げられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
又、別の光伝送体としては、樹脂製コア材と、このコア材よりも低屈折率の樹脂製クラッド材とからなり、コア材中に微粒子が混合された構成のものがある。ここで、コア材としては、シリコーンゴム、クラッド材としては、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系樹脂が、好ましい材料として挙げられている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
又、別の光伝送体としては、チューブ状クラッド材とチューブ状クラッド材内に収容されチューブ状クラッド材よりも屈折率の高い非晶質コア材から構成されたものが、当該出願人から出願されている。ここで、コア材としては、ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物からなる重合体が、好ましい材料として挙げられている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
又、上記のような光伝送体と光源とを組み合わせた照明装置に関する技術としては、例えば、特許文献4〜特許文献8などが挙げられる。
【0007】
【特許文献1】特開2000−131529号公報:ブリヂストン
【特許文献2】特開2000−321444号公報:日立電線
【特許文献3】国際公開第03/021309号パンフレット:クラベ
【特許文献4】特開2004−146225号公報:クラベ
【特許文献5】特開2004−219921号公報:クラベ
【特許文献6】特開2006−189498号公報:クラベ
【特許文献7】特開2002−367403号公報:ブリヂストン
【特許文献8】特開平6−95605号公報:ブリヂストン
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献4〜8に記載された照明装置は、光伝送体を蛇行形状や円形状等の所定の形状に配置し、面状に発光することが記載されている。しかしながら、実際に発光している部分は光伝送体の部分、もしくは、そこに直接的に取り付けられた部材の部分(例えば、特許文献8等参照)であり、その他の部分は何ら発光に寄与するものではなかった。
昨今、特に照明装置によるイルミネーションにおいては、より複雑で多様な装飾表現が望まれており、従来のような光伝送体部分のみの発光でなく、まったく新たな発想による発光の装飾表現を見出すことが必要とされていた。
【0009】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、従来に無い装飾表現を可能とした照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1による照明装置は、線状の側面出射型光伝送体と、該光伝送体の少なくとも一端に配置された光源と、透明材料からなり板形状に形成された基材とからなり、上記光伝送体から発光された光が上記基材へ導入される照明装置において、上記光伝送体から発光された光が、上記基材の主面に対して略平行になるように上記基材へ導入されているとともに、上記基材における側面の少なくとも一部には、主面の法線に対して傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項2記載の照明装置は、線状の側面出射型光伝送体と、該光伝送体の少なくとも一端に配置された光源と、透明材料からなり板形状に形成された基材とからなり、上記光伝送体から発光された光が上記基材に導入される照明装置において、上記光伝送体から発光された光が、上記基材の主面に対して略平行になるように上記基材へ導入されているとともに、上記基材における主面の少なくとも一部には、断面略三角形状又は台形状の凹部が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項3記載の照明装置は、請求項2記載の照明装置において、上記凹部の深さは、光伝送体からの距離が離れるに従って深くなっていることを特徴とするものである。
又、請求項4記載の照明装置は、請求項1〜請求項3記載の照明装置において、上記光伝送体は、上記基材における主面及び/又は主面と反対側の面に設けられた収納溝に配置されていることを特徴とするものである。
又、請求項5記載の照明装置は、請求項1〜請求項4記載の照明装置において、上記光伝送体の曲げ弾性率が2000MPa以下であることを特徴とするものである。
又、請求項6記載の照明装置は、請求項1〜請求項5記載の照明装置において、上記光伝送体は、クラッド材と、該クラッド材よりも屈折率の高いコア材とからなることを特徴とするものである。
又、請求項7記載の照明装置は、請求項6記載の照明装置において、上記コア材は、非晶質であり、ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物からなる重合体を少なくとも構成成分として有した非流動化物から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項8記載の照明装置は、請求項7記載の照明装置において、上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物はイソシアネート基を持つ化合物から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項9記載の照明装置は、請求項8記載の照明装置において、上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物はイソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項10記載の照明装置は、請求項6〜請求項9記載の照明装置において、上記コア材中に微粒子が分散されていることを特徴とするものである。
【0011】
ここで、上記「主面」とは、基材において最も面積が広い面のことを示す。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1によれば、光伝送体から発光された光が、透明の基材を透過して傾斜部で反射や屈折をすることになるため、光伝送体を配置した面から基材を見たときこの傾斜部が発光することになる。従来においては、例えば、点の光源からの光を直接透明の基材に導入する構成のものが周知であったが、このようなものでは、傾斜部の範囲が広いときなどは発光にムラが生じることになり装飾として好ましくない。しかしながら、本願発明においては、所定の長さで均一な発光をする光伝送体から基材に光を導入するため、光の導入が均一なものとなり、傾斜部の範囲が広いとき、例えば、基材の外周全体にわたって傾斜部が形成されているものであっても、傾斜部全体が均一に発光することになる。
又、請求項2によれば、光伝送体から発光された光が、透明の基材を透過して略三角形状又は略台形状の凹部で反射や屈折をすることになるため、光伝送体を配置した面から基材を見たときこの凹部が発光することになる。この場合も上記と同様の理由で、光の導入が均一なものとなり、凹部の範囲が広いときであっても、凹部全体が均一に発光することになる。
又、請求項3によれば、凹部の深さが光伝送体からの距離が離れるほど深くなっている。凹部が深くなると、凹部に光が当たり易くなるとともに、凹部自体の面積も増加するため、同光量であれば凹部の深さが深いほど輝度は高くなる。ここで通常、光伝送体から発光された光は、基材中を透過する際に減衰が起きるため、光伝送体からの距離が離れるほど、輝度は低くなる。しかし、上記のように光伝送体からの距離が離れるほど凹部の深さを深くしているため、光の減衰による輝度の低下を補うこととなり、凹部全体を均一に発光することができる。
又、請求項4によれば、光伝送体が基材の主面及び/又は主面と反対側の面に設けられた収納溝に配置されていることから、発光された光が漏れの少ない状態で傾斜部又は凹部に到達するため、効率的に傾斜部又は凹部を発光させることができる。
このように、本発明の照明装置によれば、光伝送体の部分のみでなく、傾斜部や凹部においても発光することになるため、従来に無い装飾表現が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態1を説明する。図1は、本実施の形態1による照明装置の平面図、図2は、図1におけるA−A´断面図である。
【0014】
まず、アクリル樹脂からなり平面板形状の透明な基材1があり、この基材1の主面には、収納溝2が設けられ、この収納溝2に線状の側面出射型光伝送体3が配置されている。又、基材1の収納溝2には図示しない貫通孔が形成されており、この貫通孔を通じて光伝送体3は基材1の裏側に導出され、そこで光伝送体3と白色LEDからなる光源4とが接続される。又、基材1の外周辺は基材1の主面の法線に対し45°傾斜した傾斜部1aとなっている。
【0015】
光源4を点灯すると、光伝送体3が発光するとともに、傾斜部1aで光の反射や屈折がおき、傾斜部1aも発光する。これにより、基材1の外周辺も発光するこという装飾表現が現れる。
【0016】
傾斜部1aの傾斜角度は、発光させる面積等に応じて適宜設定すれば良いが、高い輝度を得るためには、基材1の主面の法線に対し30°〜60°程度であることが好ましく、45°近傍であることが特に好ましい。
【0017】
又、傾斜部1aの表面状態は、鏡面としても良いし、表面を粗くしていわゆる梨地状としても良い。鏡面であれば、傾斜部1aとその他の部分が一体として透明性・光沢性を有することになるので、光源4を点灯しない状態で傾斜部1aに違和感が生じることがない。又、梨地状であれば、傾斜部1aで光が散乱することになるため、傾斜部1aでの輝度をより高くすることができる。
【0018】
又、上記実施の形態1においては、基材1の主面には、収納溝2が設けられ、この収納溝2に線状の側面出射型光伝送体3が配置された構成となっている。これにより、光伝送体3から発光された光が漏れの少ない状態で基材1に導入され、傾斜部1aに到達するため、効率的に傾斜部1aを発光させることができる。収納溝2の深さは、光の漏れを少なくするということ、及び、基材1表面に不要な凸部を設けず平滑にするということより、光伝送体3が完全に収納されるだけの深さとすることが好ましい。又、収納溝2は、主面と反対側の面に設けられていても良い。上記実施の形態においては、収納溝2を設けた面の裏側の面が、この「主面と反対側の面」に該当する。更に、一面のみでなく、主面及び主面と反対側の面の両方に収納溝2が設けられていても良い。
【0019】
次いで、本発明の実施の形態2を説明する。図3は、本実施の形態2による照明装置の平面図、図4は、図3におけるB−B´断面図である。
【0020】
まず、アクリル樹脂からなり平面板形状の透明な基材1があり、この基材1の主面には、収納溝2が設けられ、この収納溝2に線状の側面出射型光伝送体3が配置されている。又、基材1の収納溝2には図示しない貫通孔が形成されており、この貫通孔を通じて光伝送体3は基材1の裏側に導出され、そこで光伝送体3と白色LEDからなる光源4とが接続される。又、基材1の主面には断面略三角形状及び断面略台形状の凹部1bが設けられ、この凹部により「PATENT」の文字が形成されている。
【0021】
光源4を点灯すると、光伝送体3が発光するとともに、凹部1bで光の反射や屈折がおき、凹部1bも発光する。これにより、「PATENT」の文字が発光するという装飾表現が現れる。
【0022】
凹部1bの断面形状は略三角形状又は略台形状としているが、角が明確に現れている形状である必要はなく、角にRがついた形状であっても良い。又、辺も直線に拘る必要はなく、曲線となっていても良い。
【0023】
又、凹部1bの表面状態は、鏡面としても良いし、表面を粗くしていわゆる梨地状としても良い。鏡面であれば、凹部1bとその他の部分が一体として透明性・光沢性を有することになるので、光源4を点灯しない状態で凹部1bに違和感が生じることがない。又、梨地状であれば、凹部1bで光が散乱することになるため、凹部1bでの輝度をより高くすることができる。
【0024】
又、上記実施の形態2においては、基材1の主面には、収納溝2が設けられ、この収納溝2に線状の側面出射型光伝送体3が配置された構成となっている。これにより、光伝送体3から発光された光が漏れの少ない状態で基材1に導入され、凹部1bに到達するため、効率的に凹部1bを発光させることができる。収納溝2の深さは、光の漏れを少なくするということ、及び、基材1表面に不要な凸部を設けず平滑にするということより、光伝送体3が完全に収納されるだけの深さとすることが好ましい。又、収納溝2は、主面と反対側の面に設けられていても良い。上記実施の形態においては、収納溝2を設けた面の裏側の面が、この「主面と反対側の面」に該当する。更に、一面のみでなく、主面及び主面と反対側の面の両方に収納溝2が設けられていても良い。
【0025】
上記実施の形態2のように、基材1における主面に、断面略三角形状又は台形状の凹部2が設けられている形態においては、実施の形態3として図5及び図6に示すようなものも考えられる。図5は、本実施の形態3による照明装置の平面図、図6は、図5におけるC−C´断面図である。本実施の形態3によれば、基材1の主面に、断面略三角形状の凹部1bにより、3本の楕円が形成されている。これらの楕円について、凹部1bの深さは、最も外側、即ち、最も光伝送体3に近い位置の楕円で最も浅く、最も内側、即ち、最も光伝送体3から離れた位置の楕円で最も深くなっている。又、図5及び図6でいうところの基材1の主面右部には、断面略三角形状の凹部1bにより四角形が形成されている。この四角形については、光伝送体から距離が離れるに従い、徐々に凹部1bの深さが深くなっている。このように、凹部1bの深さを光伝送体からの距離が離れるに従って深くすることで、凹部1b全体を均一に発光させることができる。
【0026】
本発明の実施の形態の他の例としては、例えば、実施の形態4として図7及び図8に示すようなものも考えられる。図7は、本実施の形態4による照明装置の平面図、図8は、図7におけるD−D´断面図である。このように、基材1に収納溝を設けず、光伝送体3を他の位置に配置して、光伝送体3から発光される光を基材1に導入しても良い。このような形態においては、光伝送体3から発光された光が、基材1の主面に対して略平行になるように基材1へ導入されている必要がある。このように光が導入されていないと、基材1へ導入される光量が少なくなる上、基材を伝わる光量も減少し、また、凹部1bが基材側面の近傍にある場合は光が当たらず発光しないこともあり、発光のムラの原因となってしまう。具体的な例としては、例えば、基材1の主面と同一平面上に光伝送体3を配置する形態や、光伝送体3から発光された光を基材1の主面に対して略平行になるよう鏡等で反射して基材1に導入する形態などが考えられる。しかしながら、光伝送体3が基材1主面の収納溝2に配置されている構成の方が、発光された光が漏れの少ない状態で傾斜部又は凹部に到達するため、効率的に傾斜部又は凹部を発光させることができるため好ましい。
【0027】
本発明で使用される基材は、透明材料であれば特に限定はない。上記実施の形態で示したアクリル樹脂の他、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、フッ素系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリカーボネート樹脂、石英ガラスなどが挙げられる。又、無色である必要もなく、装飾表現の一つとして有色透明な基材を使用することも考えられる。
【0028】
又、基材は傾斜部や凹部以外の部分も弱く発光することになるが、この部分の発光量も併せて高めたい場合は、基材中に微粒子を混合することが考えられる。微粒子としては、まず、無機材料として、石英ガラス、多成分ガラスなどのガラス微粒子、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウムなどの金属酸化物粒子、硫酸バリウムなどの硫酸塩粒子、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。次に、有機材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子、ポリスチレン粒子、ポリカーボネート粒子などやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン(PFA)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテル、TFE−パーフルオロジメチルジオキソラン共重合体、フッ素化アルキルメタクリレート系共重合体、フッ素系熱可塑性エラストマーなどのフッ素系ポリマーの粒子などが挙げられる。
【0029】
本発明で使用される光伝送体は、線状の側面出射型光伝送体であれば特に限定されないが、この中でも、曲げ弾性率が2000MPa以下のものであることが好ましい。光伝送体の曲げ弾性率が2000MPa以下であれば、柔軟性に優れることとなるため、例えば、鋭角を有する多角形、複雑な図形などの形状に光伝送体を配置することができる。尚、曲げ弾性率はJIS K6911−1995に準拠した3点曲げ試験(クロスヘッドスピード2.0mm/min)で求められ、次式によって計算される。
E=(4L/3πd)×(F/Y)
E:曲げ弾性率(MPa)
L:支点間距離(mm)
d:試験片の外径(mm)
F/Y:荷重−たわみ曲線の直線部分の勾配(N/mm)
【0030】
本発明で使用される光伝送体は、クラッド材と、該クラッド材よりも屈折率の高いコア材とからなることが好ましい。このような光伝送体であれば、クラッド材とコア材の界面において光の全反射が起こりやすくなるとともに、コア材の透明度をより向上させることができるため、光伝送損失を低減させることが可能となる。
【0031】
上記のような、柔軟で、且つ、光伝送損失を低減させることのできる光伝送体としては、一例として以下のようなものが挙げられる。
【0032】
クラッド材の構成材料としては、プラスチックやエラストマーなどのように可撓性があり、成形が容易なものであれば何でも良く特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、シリコーン樹脂、天然ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン(PFA)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテル、TFE−パーフルオロジメチルジオキソラン共重合体、フッ素化アルキルメタクリレート系共重合体、フッ素系熱可塑性エラストマーなどのフッ素系ポリマーが挙げられる。これらは、単独、又は、2種以上をブレンドして用いることができる。これらの中でも、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、エチレン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体などが好ましく、特に、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体は、コア材との密着性をより向上させることができるため、曲げ半径を小さくして光伝送体を曲げたときや光伝送体に繰返しの屈曲を加えたときに、部分的にコア材とクラッド材が剥離することを防止できることから更に好ましい。又、このようなクラッド材は断面が異型形状となっていても良い。
【0033】
コア材の構成材料としては、上記のクラッド材よりも屈折率の高い材料を使用するのが好ましい。又、非晶質のものであれば、透明度が高いコア材となるため好ましい。コア材としては、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物からなる重合体などが考えられる。これらのうち柔軟性と高温高湿下での経時特性を考えると、ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物の重合体を構成成分の一つとして使用するのが好ましい。ポリマーポリオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリオキシアルキレンポリオール、ウレタン変性ポリエーテルポリオール、シリコーン変性ポリエーテルポリオール等の変性ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエーテルエステルコポリマーポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなどの重合系ポリエステルポリオール、アジペート系ポリエステルポリオールなどの縮合系ポリエステルポリオール、又は、これらの共重合体又は混合物などが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシプロピレンポリオールは、高温高湿度の条件や温水中でも優れた出射特性を示すことから好ましい。又、重合系ポリエステルポリオール又は縮合系ポリエステルポリオール、特にラクトン系ポリエステルポリオールは、耐候性に優れ、更に高温で長期間晒される条件でも優れた出射特性を示すことから好ましい。ラクトン系ポリエステルポリオールの中でもカプロラクトンポリエステルポリオールは更に好ましい。
【0034】
上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物としては、N−カルボニルラクタム基を持つ化合物、ハロゲン化物、イソシアネート基を持つ化合物、イソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物などが挙げられる。イソシアネート基を持つ化合物としては、例えば、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、芳香族系ポリイソシアネートなどが挙げられる。イソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物としては、例えば、イソシアネートをラクタム等公知の方法でブロックしたブロックイソシアネート、イソシアネート基を公知の方法で多量化したイソシアヌレートを持つ化合物などが挙げられる。これらは、単独、又は、2種以上をブレンドして用いることができる。これらの中でも、イソシアネート基を持つ化合物、又は、イソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物は、高温高湿の条件下や温水中でも優れた側面出射特性を示すことから好ましい。イソシアネート基を持つ化合物の中でも脂環族ポリイソシアネートは更に好ましい。イソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物の中でもイソシアヌレート結合を有するものは更に好ましい。
【0035】
又、入射した光を散乱させ、光伝送体を側面発光型とする方法としては、種々のものが知られているが、例えば、上記コア材に微粒子を分散させる方法であれば、光伝送体の製造が容易であるため好ましい。
【0036】
微粒子としては、まず、無機材料として、石英ガラス、多成分ガラスなどのガラス微粒子、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウムなどの金属酸化物粒子、硫酸バリウムなどの硫酸塩粒子、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。次に、有機材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子、ポリスチレン粒子、ポリカーボネート粒子などやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン(PFA)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、ポリパーフルオロブテニルビニルエーテル、TFE−パーフルオロジメチルジオキソラン共重合体、フッ素化アルキルメタクリレート系共重合体、フッ素系熱可塑性エラストマーなどのフッ素系ポリマーの粒子などが挙げられる。これらは、使用するコア材の構成材料や非流動化処理条件、光伝送体の長さ、側面出射光量、使用条件、又は、微粒子の真比重、形状、粒径、濃度、屈折率などを考慮して適宜に選択すれば良い。
【0037】
微粒子の粒径としては、50μm以下のものが、非流動化処理時に微粒子が均一な分散状態を保持することができ、ムラのない側面出射特性が得られることから好ましい。但し、粒径は上記の数値に限定されることはなく、例えば、使用するコア材の構成材料や非流動化処理条件、光伝送体の長さ、側面出射光量、使用条件、又は、微粒子の真比重、形状、濃度、屈折率などを考慮して適宜に選択すれば良い。要は、非流動化処理時に、微粒子が均一な分散状態を保持することができるような条件を吟味して選択すれば良い。
【0038】
上記クラッド材及び/又は上記コア材は、耐候性添加剤を含んでいるものであれば、光伝送体の耐候特性を向上させることができるため好ましい。具体的な態様としては、コア材中に耐候性添加剤を添加する、クラッド材中に耐候性添加剤を添加する、クラッド材内表面に耐候性添加剤を塗布する、クラッド材外表面に耐候性添加剤を塗布する、といったものなどが考えられる。耐候性添加剤としては、例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、セミカルバゾン系光安定剤、さらにはこれらの併用、酸化防止剤、熱安定剤との併用などが挙げられる。これらの中でも、セミカルバゾン系光安定剤は、耐紫外線性に優れた特性を示すことから好ましい。セミカルバゾン系光安定剤としては、(1、6−ヘキサメチレンビス(N、Nジメチルセミカルバジド))、(1、1、1’、1’−テトラメチル−4、4’(メチレンジ−P−フェニレン)、(ビュレットリ−トリ(ヘキサメチレン−N、N−ジメチルセミカルバシド)などが挙げられる。又、これらの耐候性添加剤の中でも、非芳香族化合物のものであれば、クラッド材若しくはコア材の着色を防止することができるため好ましい。
【0039】
上記クラッド材の外周には、必要に応じて光透過性樹脂被覆を形成しても良い。光透過性樹脂被覆としては、例えば、当該出願人による出願である特開2004−347997号などを参照することができる。
【0040】
本発明における光伝送体は、上記の構成材料を使用して、例えば、以下に示すような方法によって製造する。まず、チューブ状に成形したクラッド材の内部に流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物と、微粒子の混合物を少なくとも充填する。ここで「少なくとも」とは、ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物の重合体と必要に応じて微粒子を構成成分として有しているものであれば良く、その他の第三成分を含む場合も当然のことながら想定されるものである。次いでポリマーポリオールとヒドロキシ基多官能化合物を、微粒子の分散状態を保持したまま、例えば、加熱などにより反応させ非流動化処理を施す。ここで、流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物と、微粒子の混合物を、クラッド材の内部に充填する前に、ポリマーポリオールとヒドロキシ基多官能化合物に加熱などの前処理を行い、粘度を高めておくことも考えられる。こうすることにより、微粒子の分散状態をより均一なものとすることが可能である。
【0041】
流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物(と微粒子)の混合物をクラッド材の内部に充填する方法としては、例えば、真空ポンプやチューブポンプを使用する方法や、加圧充填する方法が挙げられる。又、別の方法として、例えば、クラッド材を押出成形法によりチューブ状に成形する際に、同時に流動状態のポリマーポリオールとヒドロキシ基多官能性化合物と、微粒子の混合物を充填する方法も考えられる。こうすることにより、長尺の光伝送体を連続して製造することが可能である。
【0042】
本発明における光源としては、従来公知の発光素子、例えば、LED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)などが使用可能である。又、光源の発光色や設置個数については、特に限定されることはなく、例えば、発光色が赤、青、緑、黄、橙、白等のLEDから適宜選択したり、複数個のLEDを組み合わせたりすることにより、様々な発色を得ることや、光量を増大させることができる。
【0043】
又、上記実施の形態では、光伝送体3の片端のみに光源4を配置した照明装置を示したが、光伝送体3の両端に光源4を接続することも考えられる。こうすることにより、より高輝度且つ一様に発光させることが可能となる。又、夫々の端で異なる発光色の光源を用いることによって、照明装置の長さ方向で徐々に変色しながら発光させることもでき、多彩な装飾表現が可能となる。又、光伝送体2の光源を配置した端と別の端には、光を反射するミラー等を配置しても良い。
【0044】
又、基材主面の表面などにカバーを配置し、光伝送体の機械的保護を図っても良い。この場合、傾斜部や凹部など、発光をさせる部分が透明となっているカバーを使用することになるが、例えば、傾斜部や凹部のみを発光させ、光伝送体が配置される部分を発光させない場合などは、この光伝送体が配置される部分が不透明となっているカバーを使用することになる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上詳述したように本発明によれば、基材に設けられた傾斜部や凹部が均一に発光することにより、従来に無い装飾表現が可能となる。このことより、例えば、基材を文字の形状にしてその外周に傾斜部を設けたり、基材主面に文字の形状を模した凹部を設けたりすれば、その文字の形状に発光をさせることもできる。そのため、この照明装置は、例えば、携帯電話・デジタルカメラ・腕時計・カーオーディオ・カーナビゲーション・パチンコ台・スロット台・自動販売機・車両室内外・犬の首輪・キッチン・交通標識・洗面台・シャワー・浴槽の湯温表示機・OA機器・家庭用電気製品・光学機器・各種建材・階段・手すり・電車のホーム・屋外看板等のイルミネーションや照明、液晶表示部のバックライト等の照明用として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による実施の形態1を示す図で、照明装置の平面図である。
【図2】本発明による実施の形態1を示す図で、図1におけるA−A´断面図である。
【図3】本発明による実施の形態2を示す図で、照明装置の平面図である。
【図4】本発明による実施の形態2を示す図で、図3におけるB−B´断面図である。
【図5】本発明による実施の形態3を示す図で、照明装置の平面図である。
【図6】本発明による実施の形態3を示す図で、図5におけるC−C´断面図である。
【図7】本発明による実施の形態4を示す図で、照明装置の平面図である。
【図8】本発明による実施の形態4を示す図で、図7におけるD−D´断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 基材
1a 傾斜部
1b 凹部
2 収納溝
3 光伝送体
4 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状の側面出射型光伝送体と、該光伝送体の少なくとも一端に配置された光源と、透明材料からなり板形状に形成された基材とからなり、上記光伝送体から発光された光が上記基材へ導入される照明装置において、
上記光伝送体から発光された光が、上記基材の主面に対して略平行になるように上記基材へ導入されているとともに、
上記基材における側面の少なくとも一部には、主面の法線に対して傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
線状の側面出射型光伝送体と、該光伝送体の少なくとも一端に配置された光源と、透明材料からなり板形状に形成された基材とからなり、上記光伝送体から発光された光が上記基材に導入される照明装置において、
上記光伝送体から発光された光が、上記基材の主面に対して略平行になるように上記基材へ導入されているとともに、
上記基材における主面の少なくとも一部には、断面略三角形状又は台形状の凹部が設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2記載の照明装置において、
上記凹部の深さは、光伝送体からの距離が離れるに従って深くなっていることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3記載の照明装置において、
上記光伝送体は、上記基材における主面及び/又は主面と反対側の面に設けられた収納溝に配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4記載の照明装置において、上記光伝送体の曲げ弾性率が2000MPa以下であることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5記載の照明装置において、上記光伝送体は、クラッド材と、該クラッド材よりも屈折率の高いコア材とからなることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項6記載の照明装置において、上記コア材は、非晶質であり、ポリマーポリオールとヒドロキシ基反応性多官能化合物からなる重合体を少なくとも構成成分として有した非流動化物から構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項7記載の照明装置において、上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物はイソシアネート基を持つ化合物から構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項8記載の照明装置において、上記ヒドロキシ基反応性多官能化合物はイソシアネート基から誘導される官能基を持つ化合物から構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求項6〜請求項9記載の照明装置において、上記コア材中に微粒子が分散されていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−186649(P2008−186649A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17378(P2007−17378)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000129529)株式会社クラベ (125)
【Fターム(参考)】