説明

照明装置

【課題】照射面での照度むら及び色むらを抑制できる照明装置を提供することにある。
【解決手段】ダウンライト(照明装置)1は、装置本体5と、LED(光源)13を備えて装置本体5に配設された光源装置11と、光源装置11の投光側に配設された反射体15を具備する。LED13は、LEDチップ(半導体発光素子)、及びこのチップを封止して設けられた透光性の封止部材を有し、封止部材にはLEDチップが発した光で励起されて所定波長の光を放射する蛍光体が混ぜられている。反射体15は、LED13に対向する出射開口13c2、及び鏡面で形成されてLED13から入射した光を反射して出射開口13c2から出射させる反射面17を有する。この反射面17を、出射開口13c2から出射された光の配光が逆ハート状の配光曲線となるように形成したことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)等の半導体発光素子を有した光源を備えて、例えば天井等に埋め込み設置して使用されるダウンライト等の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般の白熱電球に代替する照明装置として、口金と反射笠が設けられたケースにおいて口金と対向する側に設けられた開口部に、LED光源を配置し、このLED光源が発した光を反射笠で前方に反射させる照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この照明装置のLED光源は、複数のLEDベアチップをプリント基板上に縦横に整列させて二次元の配置で実装するとともに、プリント基板上にLEDベアチップを個々に収容する孔を複数有した反射板を積層し、更に、この反射板上に透光性の封止樹脂を積層して形成されている。そして、LEDベアチップには青色光乃至紫外光を発するものが使用され、封止樹脂には青色光を白色光に変換する黄色系の蛍光体が混入されている。又、特許文献1には、複数個のLEDベアチップを一括して封止樹脂で封止することに代えて、LEDベアチップ毎に個別に封止樹脂で封止したLED光源についても記載されている。
【特許文献1】特開2004-193357号公報(段落0012-0030、図1−図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の白熱電球に代替する照明装置では、その反射笠で前方に反射された光で照射される照射面に照度むら及び色むらを生じ易い。これは、LED光源の構成に起因している。
【0005】
すなわち、LED光源のLEDベアチップが点光源であるのに対して、蛍光体が混ぜられた封止樹脂は二次的に発光する面光源をなしていて、この面光源の発光面積は点光源に比較して大きい。一方、所定の配光曲線を得る反射笠の反射面は、鏡面で形成される場合がある。
【0006】
鏡面からなる反射面で配光を制御する構成は、レンズを用いて配光を制御する場合に比較して、照明装置を製造する上で機種毎に適合したレンズ設計をする煩雑さ等がないので、コスト的に有利である点で好ましい。これとともに、ビームの開きを狭めて光を制御するのに好適であることにより、目標とするエリアの照射面での平均照度を高くする場合に適している。更に、鏡面で配光を制御する構成は、製造上での再現性が高く照明装置の配光品質を安定できる点でも好ましい。ちなみに、鏡面ではなく拡散反射面により配光を制御することは、製造上、成形型により反射面に凹凸を付して拡散反射面とする場合、その成形型の製造が難しいだけではなく、成形型がメンテナンスされる度に凹凸の状態が変化するので、安定した照明装置の配光品質を安定して維持することが難しい。
【0007】
LEDベアチップからなる点光源が発した光の強度は大きい。このため、格別の工夫を施さない反射笠の鏡面からなる反射面で配光を制御すると、配光曲線の下部形状が略円錐状となり、この円錐形状が収斂する点で表される配光曲線の最大光度が、光軸上に位置される。このような配光曲線であると、照明領域の中央部での輝度が高く目視されるので、照射面での照度むらが目立ち易いとともに、LEDベアチップの光源色である青色が照明領域の中央部においてその周囲よりも強く目視されるので、照射面に色むらも生じ易い。
【0008】
更に、鏡面からなる反射面を有した反射笠の任意の箇所では、そこにLED光源から入射した光、つまり、点光源の大きさに従い光束の断面積が小さく光強度が大きい光と、面光源の大きさに従い光束の断面積が大きく光強度が小さい光とが入射して、それらを入射角に応じて反射する。それにより、照射面に色むらを生じる。
【0009】
具体的には、光束の断面積が小さい点光源からの光は、青色の波長成分が強い青白い色の光として照射される。又、光束の断面積が大きい面光源からの光は、黄色の波長成分が強く、かつ、前記青白い色の光が照射された領域を囲む黄色系の光として照射されるとともに、更に、この黄色系の光が照射された領域を囲む白色系の光として照射される。そのため、青白い色の光が重複する照射箇所では更に青みがかった光色が隣接する照射箇所より強く発現される。したがって、照射面に色むらを生じるものであり、しかも、それに基づく照度むらも発生する。
【0010】
本発明の目的は、照射面での照度むら及び色むらを抑制できる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、装置本体と;光源を備えて前記装置本体に配設された光源装置であって、前記光源が、半導体発光素子、及びこの半導体発光素子を封止して設けられるとともに、前記半導体発光素子が発した光で励起されて所定波長の光を放射する蛍光体が混ぜられている透光性の封止部材を有してなる前記光源装置と;この光源装置の投光側に配設された反射体であって、前記光源に対向する出射開口、及び鏡面で形成されて前記光源から入射した光を反射して前記出射開口から出射させる反射面を有し、かつ、前記出射開口から出射された光の配光が逆ハート状の配光曲線となるように前記反射面が作られている前記反射体と;を具備したことを特徴としている。
【0012】
請求項1の発明の照明装置は、例えば一般の白熱電球に代替する照明装置として、或いは装置本体を天井等の被設置部に設けた埋め込み孔に挿入して設置されるダウンライト等の照明装置として用いることができる。請求項1の発明の照明装置の光源は少なくとも一個あればよく、複数個の光源を用いたマルチ光源とする場合には、偶数個の光源を使用することが配光のバランスを確保し易い点で好ましい。一個の光源が有する半導体発光素子の数も少なくとも一個あればよいので、複数個の半導体発光素子を用いたマルチチップの光源とすることもできる。
【0013】
請求項1の発明の照明装置の光源が有した半導体発光素子には、例えばLEDチップや有機EL素子等を用いることができる。半導体発光素子がLEDチップである場合、このLEDチップには、例えば青色発光する青色LEDチップ、紫外光を発する紫外LEDチップ等を好適に用いることができるが、青色LEDチップ、赤色LEDチップ、緑色LEDチップのうちの少なくとも二種のLEDチップを組み合わせて用いることも可能である。そして、例えば発光源に青色LEDチップを用いて白色発光をする照明装置とする場合には、青色の光で励起されて主として黄色の光を放射する蛍光体が混ぜられた封止部材を用いればよく、或いは、紫外光により励起されて主として赤色の光を放射する蛍光体、紫外光により励起されて主として緑色の光を放射する蛍光体、及び紫外光により励起されて主として黄色の光を放射する蛍光体が夫々混ぜられた封止部材を用いればよい。
【0014】
請求項1の発明で、半導体発光素子を外気及び湿気から遮断してこの素子の寿命低下を防ぐ透光性の封止部材には、透光性の合成樹脂、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる他、樹脂以外の封止部材として透明な低融点ガラスを用いることもできる。
【0015】
請求項1の発明で、反射体の反射面を形成する鏡面は、例えば蒸着された金属膜によって好適に設けることができる。請求項1の発明で、逆ハート状の配光曲線を反射体により形成するためには、例えば請求項2の発明のように、前記出射開口から出射された光の配光曲線のビーム角が50度〜60度となるとともに、鉛直角が0度〜5度の範囲に入射する光束の割合が全光束の7%〜10%となるように前記反射面を設計することが望ましい。
【0016】
請求項1,2の発明では、半導体発光素子及びこれを封止した蛍光体入りの封止部材を有した光源から発して反射体の鏡面からなる反射面に入射した光は、その入射角度に応じて照射面に向けて反射され出射開口から出射される。こうして反射された光と、光源から反射面に入射することなく照射面に向かった光とで照射面が照明される。
【0017】
この照明において、反射体による配光制御で配光曲線が逆ハート状となるようにしているので、照射領域の中央部での光強度が弱められるとともに、その周りでの光強度が強められる。これにより、照射領域の中央部での輝度が目立たないようになるので、照射面での照度むらが抑制されるとともに、それに伴い光源が有した半導体発光素子の発光色が照射領域の中央部で目立たないようになるので、照射面での色むらも抑制される。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記光源が偶数個でかつ光軸を中心とする点対称に配設されているとともに、偶数の前記光源の夫々に個別に対向して前記反射体に設けられた偶数の前記反射面が前記光軸を中心とする点対称に配設されていることを特徴としている。
【0019】
この請求項3の発明では、マルチ光源を有する照明装置にあって、光軸を通る鉛直面で反射体での配光制御により形成される配光を切ったと仮定したときの仮想断面が、任意の仮想断面において略同じとなるので、配光のアンバランスがない均斉度の高い配光を得ることができる。そのため、配光のアンバランスを原因とする照射面での照度むら及び色むらを抑制できる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1から3の内のいずれかにおいて、前記反射体の光出射側にこの反射体を被って透過率80%〜90%の光拡散板を配設したことを特徴としている。
【0021】
この請求項4の発明では、反射面で反射された光が光拡散板で拡散されて照射面に照射される。この光拡散により、反射体の反射面で反射された光同士、及び光源から反射面に入射することなく照射面に向かった光と反射体の反射面で反射された光も混じる。したがって、光拡散板を透過した光の配光は、反射体により形成された逆ハート状の配光ではなくなるが、照射面での照度むらを更に改善できだけではなく、照射面での色むらを有効に改善できる。
【0022】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、入射口とこれに対向した出射口を有した枠体を前記反射体の光出射側に配設するとともに、前記出射口に対し奥まって位置されている前記入射口側に前記光拡散板が配設されていることを特徴としている。
【0023】
この請求項5の発明によれば、互いの高さ位置が異なっている枠体の出射口と光拡散板とを通る直線によって規定される遮光角を照明装置に与えることができる。それにより、点灯された光源の高い輝度によって光拡散板が明るく輝くにも拘らず、この光拡散板の直視を遮光角の範囲で妨げて、光拡散板のまぶしさが目視されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1から4の発明の照明装置によれば、照射面での照度むら及び色むらを抑制できる、という効果がある。
【0025】
請求項5の発明の照明装置によれば、請求項4の発明において、更に、光拡散板のまぶしさが目視されることを抑制できる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1〜図6を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0027】
図1及び図2中符号1は照明装置例えばダウンライトを示している。ダウンライト1は、被設置部例えば建物の室内の天井2に埋め込み設置されるものであり、図2中符号3は天井2に開けられた埋め込み孔を示している。
【0028】
ダウンライト1は、装置本体5と、電源装置8と、端子台9と、光源装置11と、反射体15と、光拡散板21と、枠体25と、一対の取付けばね31を具備している。
【0029】
図1に示すように装置本体5は、後述するLED(光源)が発する熱を外部に放出する放熱部材を兼ねるために金属製例えばアルミニウム又はその合金製であって、本体主部6に天板7をねじ止めして形成されている。図2に示すように本体主部6は、略円形の底壁6aを境に図2において上側に電源収容部6bを有し、同じく図2において底壁6aの下側に光源収容部6cを有しているとともに、外周に複数の放熱フィン6dを有している。光源収容部6cは下端が開口された短い略円筒形状をなしており、その外側に図1及び図3に示すように連結部6eが複数の形成されている。天板7は電源収容部6bの上端開口を閉じている。
【0030】
装置本体5に電源装置8と端子台9が取付けられている。電源装置8は電源収容部6bに収容されている。この電源装置8は、電源基板に図示しない各種の電気部品を実装して形成されている。端子台9は天板7の本体主部6の側面に取付けられている。電源装置8は、後述するLEDの点灯電流を制御する機能を有しており、端子台9は電源装置8に商用交流電源を供給するものである。
【0031】
図2に示すように光源装置11は、光源基板12の表面に光源例えばLED13を、複数でかつ偶数具体的には6個実装して形成されている。これら6個のLED13は、光源基板12と直交して光源装置11の中心を通る軸線(図示しない)、言い換えれば、光源装置11の光軸を中心とする点対称に配設されている。そのため、各LED13は、光源基板12の中心部の周りに一定間隔毎すなわち60度間隔で配置されている。この配置を図3に示す。
【0032】
光源基板12は、略円形であって、LED13が実装されていない裏面を底壁6aの下面に密に面接触させて光源収容部6cに配置されている。したがって、この面接触により、後述するLEDチップ13aの発光に伴い生じる熱が、装置本体5に伝導されて、LEDチップ13aの温度過昇が抑制されるようになっている。なお、光源基板12はその周部に図示しない溝等の係合部を複数有している。そして、これら係合部を、光源収容部6cの内面に複数設けた図示しないリブ等の位置決め部に凹凸係合させることによって、光源装置11が光源収容部6cに対して位置決めされている。
【0033】
各LED13は、図5(A)〜(C)に例示するように半導体発光素子例えばLEDチップ13aと、リフレクタ13bと、透光性の封止部材13cを有して形成されている。LEDチップ13aは、1個のLED13について複数例えば六個使用されていて、図5(C)に示すように、三個を一列に配置するとともに、残りの三個を一列に配置し、かつ、これら両列を平行に並べてリフレクタ13bの内側に配設されている。そして、これら六個のLED13は、既述の点対称の配置において、LEDチップ13aがなした列の夫々が、光源基板12の中心に対する放射方向に沿って延びるように向きを定めて配設されている。
【0034】
各LED13のLEDチップ13aには例えば青色発光をするLEDチップが用いられ、これらは光源基板12の図示しない導体パターンが形成された一面に例えばフリップチップ実装により実装されている。なお、各LEDチップ13aと導体パターンとの電気的接続はワイヤボンディングで行うこともできる。各LED13が有した複数のLEDチップ13aは直列に接続されているとともに、各LED13同士も直列に接続されている。したがって、光源基板12に実装された各LEDチップ13aは、互いに直列接続されていて電源装置8を介して給電されることにより一斉に点灯されるようになっている。
【0035】
リフレクタ13bは例えば白色の合成樹脂により枠状に形成されて各LEDチップ13aを囲んで光源基板12に接着剤により取付けられている。このリフレクタ13bの内周面は、図5(A)(B)に示すように光源基板12から離れるに従って次第に大径となるテーパ面で形成されている。このテーパ面は、光の利用方向、つまり、天井2を基準とした場合にその下方向へ光を反射する光反射面として機能する。
【0036】
封止部材13cは例えば透光性樹脂具体的には透明シリコーン樹脂製であり、この封止部材13cには蛍光体が混ぜられている。封止部材13cはリフレクタ13b内に充填されてLEDチップ13aを埋めた状態に封止している。この封止部材13cに混入された蛍光体には、LEDチップ13aが発した青色の光によって励起されて、所定波長の光を放射する蛍光体、例えば、青色の光に対して補色の関係にある黄色の光を主として放射する蛍光体が用いられている。したがって、LEDチップ13aを点状の一次光源とした各LED13は、面状の二次光源となる封止部材13cから白色の光を投射する。
【0037】
なお、LED13はリフレクタ13bを省略したものであっても良い。この場合、封止部材13cは、光源基板12上にポッテングすることによって設けられ、それによって、LEDチップ13aを埋めて封止できる。
【0038】
反射体15は、LED13が発した光の配光を制御する第1の配光制御部材として機能するもので、光源収容部6cにおいてLED13の投光側、つまり、図2においてはLED13の下側に配置されている。
【0039】
反射体15は電気絶縁性の合成樹脂製成形体16に鏡面からなる反射面17を設けて形成されている。図4(A)(B)に示すように反射体15の成形体16は、正面壁16a、周壁16b、複数の反射筒部16c、ねじ受け部16d、及びリブ16eを有している。
【0040】
詳しくは、正面壁16aは光源基板12と略同じ大きさの円形に作られている。この正面壁16aは周部に段差を有している。周壁16bは、正面壁16aの周縁からこの正面壁16aの裏側に折れ曲がって設けられている。この周壁16bは複数の溝16fを有している。これらの溝16fは、光源収容部6cの内面に複数設けられた既述の位置決め部(図示しない)に凹凸係合されるものである。この係合によって、反射体15が光源収容部6cに位置決めされるに伴い、反射体15は光源装置11に対しても位置決めされるようになっている。
【0041】
複数の反射筒部16cは、周壁16bの内側であって正面壁16aの裏側に設けられていて、それらの数は光源をなすLED13と数と同じく偶数であるとともに、その配置は光源をなすLED13と同じ配置である。したがって、6個の反射筒部16cは、光源装置11の光軸を中心とする点対称に配設されていて、具体的には、成形体16の中心周りに60度間隔で等配されている。これらの反射筒部16cは、その突出先端に開放された入射開口16c1と、正面壁16aに開放された出射開口16c2を有している。入射開口16c1はLED13より大きい。入射開口16c1とこれより大径の出射開口16c2は正対している。反射筒部16cの内面、つまり、入射開口16c1と出射開口16c2にわたる面は所定のカーブで形成されている。
【0042】
ねじ受け部16dは正面壁16aの裏側中央部に突設されている。リブ16eは、ねじ受け部16dを中心として放射状に設けられていて、ねじ受け部16dと反射筒部16cを接続しているとともに、反射筒部16cと周壁16bを接続している。なお、図2及び図4(B)中符号16gは入射開口16c1に連続して反射筒部16cに形成された逃げ溝を示しており、これら逃げ溝16gは、入射開口16c1及びLED13より大きく、LED13を逃げるために設けられている。
【0043】
反射面17は各反射筒部16cの内面に夫々被着された金属反射膜で作られている。これらの反射面17は、例えばアルミニウムを蒸着することによって設けられている。この場合、蒸着金属は、反射筒部16cの内面だけではなく、正面壁16aの表面にもこの正面壁16aの段差をなす周部を除いて反射筒部16cの内面に連続して被着されている。
【0044】
前記構成の反射体15は、光源装置11の投光側、すなわち、光源基板12の光源実装面に重ねて光源収容部6c内に配置されている。この反射体15は、電源収容部6bから光源収容部6cに向けて前記底壁6aの中心部に通されて、ねじ受け部16dにねじ込まれたねじ18(図2参照)によって、装置本体5に固定されている。
【0045】
この固定によって、反射体15と底壁6aとの間に光源基板12が挟持されている。こうして固定された反射体15の各反射筒部16cの入射開口16c1の夫々に、前記位置決めに伴い光源装置11の各LED13が個別に臨んでいる。したがって、LED13と出射開口16c2とは対向している。
【0046】
前記反射筒部16cの内面のカーブで規定される各反射面17の反射特性は、反射体15により形成される配光曲線が図6中実線で描かれた逆ハート状となるようにしてある。そのために、出射開口16c2から出射された光のビーム角αが50度〜60度となるとともに、鉛直角βが0度〜5度の範囲に入射する光束の割合が全光束の7%〜10%となるように、反射面17が設計されている。ここに、鉛直角βは、図6中0°を通る鉛直線、つまり光軸を中心とし、かつ、この鉛直線と図6中90°を通る水平線との交点に向けて収斂する立体角を指している。
【0047】
更に、反射体15により形成される配光曲線が逆ハート状であるとは、図6に実線で示した配光曲線Aの下端部が、最大光度を示すリング状をなす下向きのピークB及びこのピークBで囲まれる上向きの凹みCを有しているとともに、この凹みCが配光曲線Aにおいて0°を通る鉛直線(光軸)上に位置されていて、この凹みCと前記光軸から外れて位置したピークBとは連続した形状となっており、かつ、配光曲線Aの上部が、配光曲線Aにおいて90°を通る水平線と前記鉛直線との交点に収斂した形状を指している。
【0048】
光拡散板21は、LED13が発した光の配光を制御する第2に配光制御部材として機能するものであって、図2に示すように反射体15の光出射側にこの反射体15を被って配設されている。光拡散板21は、電気絶縁性の透明材料例えば透明なアクリル樹脂の成形粉末に所定粒径の光拡散粒子を混ぜた原料を成形して、前記正面壁16aと略同じ大きさの円板に作られている。そのため、光源装置11の各LED13は、その光出射側から光拡散板21で電気的に絶縁されている。光拡散板21に入射された光は、光拡散板21の内部に分散されている光拡散粒子に当たって拡散されて、光拡散板21を透過する。
【0049】
光拡散板21の透過率は、80%〜90%、好適には85%である。このような透過率によって、適正な拡散作用を得て、光の利用率の大きな低下を伴うことなく照射面での色むら及び照度むら適正に抑制できる。なお、透過率が90%を超えることは、拡散過少となって照射面に色むら及び照度むらを生じる傾向が高くなる点で好ましくなく、又、透過率が80%を下回ることは、拡散過多となって光に利用率が大きく低下する点で好ましくない。
【0050】
枠体25は、LED13が発した光の配光を制御する第3の配光制御部材として機能するもので、例えば白色で光拡散性の合成樹脂の成形体からなる。図2に示すように枠体25は、入射口25aとこれに対向した出射口25bを有している。出射口25bは入射口25aより大きいとともに、入射口25aから出射口25bに至る内周面は例えば曲面の一部からなるテーパ状反射面をなしている。
【0051】
この枠体25は、出射口25bに連続して外向きに張り出した環状フランジ26を有している。環状フランジ26は、天井2の埋め込み孔3より大径であり、ダウンライト1が天井2に埋め込み設置された状態で埋め込み孔3の周囲に下方から引っ掛かるようになっている。枠体25は、そのテーパ状反射面の裏側に、嵌合筒部27、例えば環状の押え部28と、複数の連結部29(図1に一個のみ図示する。)を有している。
【0052】
枠体25はその嵌合筒部27を光源収容部6cの外側に嵌合させた状態で、本体主部6の連結部6eを通って連結部29にねじ込まれた連結ねじ(図示しない)により、装置本体5に連結されている。この連結に伴って押え部28が光拡散板21の周部に当たるので、光拡散板21の周部が反射体15と押え部28とで挟持され、それにより、光拡散板21が反射体15を被って固定されている。これとともに、枠体25が反射体15の光出射側に配置されることにより、出射口25bに対して奥まって位置された入射口25aが、反射体15側から光拡散板21で閉じられている。
【0053】
図2に示すように枠体25の外周部には180度離れてばね取付け部25cが形成されている。これら一対のばね取付け部25cの夫々に取付けばね31が取付けられている。枠体25の径方向に対応して配置された一対の取付けばね31の取付け部以外の部位は、装置本体5に対して斜めに配置される第1の位置と、装置本体5の外側面に沿うように配置される第2の位置とにわたって移動可能である。
【0054】
前記構成のダウンライト1は、その一対の取付けばね31を弾性変形させて第2の位置に配置させた状態で、天井2の埋め込み孔3に挿入し、環状フランジ26が天井2に当たるまで押上げることによって、天井2に埋め込み設置される。この場合、ダウンライト1が押上げられるに伴い、拘束を解除された一対の取付けばね31が第1の位置に向けて次第に斜めとなるように開くに伴って、これら取付けばね31の根元部と環状フランジ26とが、埋め込み孔3の縁を挟持して、ダウンライト1の埋め込み状態が維持される。
【0055】
ダウンライト1によるその下方への照明は、LED13が発した光の内で、反射されることなく下方に出射された光、反射体15の各反射面17で反射されて下方に出射された光によって行われる。
【0056】
この照明において、反射体15による配光制御で配光曲線Aが図6中実線で示すように逆ハート状となるようにしている。しかも、既述のように偶数個のLED13が光軸を中心とする点対称に配設されているとともに、各LED13の夫々に個別に対向する反射体15の反射面17も光軸を中心とする点対称に配設されているため、光軸を通る鉛直面で反射体15での配光制御により形成される配光を切ったと仮定したときの仮想断面を、任意の仮想断面において略同じとできる。言い換えれば、配光にアンバランスを生じないようになっている。
【0057】
このように均斉の採れた配光で、その配光曲線Aに上向きの凹部Cがあることは、照射領域の中央部での光強度が弱められていることを意味している。これとともに、配光曲線Aにおいて、上向きに凹部Cの周りに下向きのピークBがあることは、照射領域の中央部周りでの光強度が強められていることを意味している。
【0058】
これにより、光拡散板21がない状態で、照射領域の中央部での輝度が目立たないようになるので、照射面での照度むらが抑制される。これとともに、LED13が有したLEDチップ13aが発光する青い色が照射領域の中央部で目立たないようになるので、照射面での色むらも抑制される。しかも、配光のアンバランスを原因とする照射面での照度むら及び色むらも抑制できる。
【0059】
加えて、本実施形態では、反射体15によって既述のように制御された均斉度の高い配光を、反射体15直下で光拡散板21に透過させるので、この光拡散板21での光拡散作用により、反射体15の反射面17で反射された光同士が混じるとともに、LED13から反射面17に入射することなく照射面に向かった光と反射面17で反射された反射光とが混じる。
【0060】
したがって、光拡散板21を透過した照射面に照射される光の配光は、反射体15により形成された逆ハート状の配光ではなくなり、図6中点線で描かれた配光曲線Dとなる。
【0061】
そのため、更に、照射面での照度むらを改善できるとともに、照射面での色むらを有効に改善できる。
【0062】
又、ダウンライト1は、枠体25を備えていて、この枠体25の奥まった位置に光拡散板21を配設した構成であるので、天井2に装着された状態で、この光拡散板21が天井2に対して略面一となるように配置されることがない。光拡散板21は、発光したLED13の高い輝度によって明るく輝くので、それが既述のように略面一に配置された場合には、光拡散板21のまぶしさが目立ってしまう。
【0063】
しかし、天井2より上側に光拡散板21を配置したので、図2中符号θで示す遮光角を与えることができる。この遮光角θは、互い位置が上下に異なっている出射口25bと光拡散板21とを通る直線によって規定される。したがって、光拡散板21が明るく輝くにも拘らず、この光拡散板21の直視を遮光角θの範囲で妨げて、光拡散板21のまぶしさが目視されることを抑制できる。
【0064】
更に、枠体25が有するテーパ状反射面は、そこに入射した光を拡散反射させるので、光を周囲に広げて照射面を照明できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係るダウンライトを示す斜視図。
【図2】図1のダウンライトを一部切欠いて示す側面図。
【図3】図1のダウンライトをその光拡散板及び枠体を外した状態で示す正面図。
【図4】(A)は図1のダウンライトの反射体が有した成形体を表側から見て示す斜視図。(B)は同成形体を裏側から見て示す斜視図。
【図5】(A)は図1のダウンライトが備える光源を示す正面図。(B)は図5(A)中F5B−F5B線に沿う断面図。(C)は図5(A)中F5C−F5C線に沿う断面図。
【図6】図1のダウンライトの配光曲線を示す図。
【符号の説明】
【0066】
1…ダウンライト(照明装置)、5…装置本体、11…光源装置、13…LED(光源)13a…LEDチップ(半導体発光素子)、13c…封止部材、15…反射体、16…反射筒部、16c1…入射開口、16c2…出射開口、17…反射面、21…光拡散板、25…枠体、25a…入射口、25b…出射口、α…ビーム角、β…鉛直角、A…配光曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と;
光源を備えて前記装置本体に配設された光源装置であって、前記光源が、半導体発光素子、及びこの半導体発光素子を封止して設けられるとともに、前記半導体発光素子が発した光で励起されて所定波長の光を放射する蛍光体が混ぜられている透光性の封止部材を有してなる前記光源装置と;
この光源装置の投光側に配設された反射体であって、前記光源に対向する出射開口、及び鏡面で形成されて前記光源から入射した光を反射して前記出射開口から出射させる反射面を有し、かつ、前記出射開口から出射された光の配光が逆ハート状の配光曲線となるように前記反射面が作られている前記反射体と;
を具備したことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記出射開口から出射された光の配光曲線のビーム角が50度〜60度となるとともに、鉛直角が0度〜5度の範囲に入射する光束の割合が全光束の7%〜10%となるように前記反射面を設計して、前記反射体により形成される前記配光曲線を逆ハート状としたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源が偶数個でかつ光軸を中心とする点対称に配設されているとともに、偶数の前記光源の夫々に個別に対向して前記反射体に設けられた偶数の前記反射面が前記光軸を中心とする点対称に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記反射体の光出射側にこの反射体を被って透過率80%〜90%の光拡散板を配設したことを特徴とする請求項1から3の内のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
入射口とこれに対向した出射口を有した枠体を前記反射体の光出射側に配設するとともに、前記出射口に対し奥まって位置されている前記入射口側に前記光拡散板が配設されていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−187773(P2009−187773A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26081(P2008−26081)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】