説明

照明装置

【課題】照射範囲の異なる二種類の光による照明を行なうことができる、小型且つ簡易な構成の車両室内照明装置を提供する。
【解決手段】第1状態のときに第1位置となり、第2状態のときに第2位置となる可動式光源ユニットと、前記第1状態の前記光源ユニットの光が照射する位置に備えられる光拡散部材と、を備えた車両室内照明装置とする。光源ユニットが第1状態のときには、光源ユニットから放出された光は拡散部材に照射した後に外部照射することとなり広範囲の照明光が得られる。したがって、光源ユニットが第2状態のときに比較して、光源ユニットが第1状態のときにはより広範囲の照明光が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関する。本発明の照明装置は、車両室内を照明することに好適に利用される。
【背景技術】
【0002】
自動車室内用の照明装置としてルームランプが使用されているが、これに加えて、特定の領域をスポット的に照明することに利用されるランプ(以下、「スポット照明ランプ」という)が用いられるようになってきている。スポット照明ランプは例えば、運転者又は乗員の手元を照明することで地図等を参照する際の明かりを提供することに利用される。ルームランプには比較的広い範囲を照明できることが必要とされる一方で、スポット照明ランプには限られた領域のみを照明できることが要望される。このようにルームランプとスポット照明ランプでは求められる照明範囲が異なることから、従来はルームランプ用の光源とスポット照明ランプ用の光源とをそれぞれ用意し、そしてレンズを用いるなどして各ランプの照明範囲を個別に制御していた。
一方、特許文献1には、一つの光源によって照明範囲の異なる二種類の照明光を得ることが可能な車両用照明装置が提案されている。この照明装置では、第1の状態のときには光源の光をレンズによって集光してスポットライト的照明光を得るとともに、第2の状態の時には反射鏡を利用するなどして光源の光を、光源の背後に設置された導光板に導いて間接照明光を得ている。
【0003】
【特許文献1】特開平06−278530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにルームランプとスポット照明ランプに別々の光源を用いて照明装置を構成した場合には、各光源用のスペースをそれぞれ確保する必要があり結果として照明装置のサイズが拡大化してしまう。また、光源数が増大することに伴い、装置全体の構成も複雑化する。さらに、各光源用の配線が必要となることから照明装置を設置する際の配線数が増加し、作業性の低下を引き起こす。
一方、特許文献1に開示される照明装置では一つの光源によって二種類の照明光が得られるものの、照明範囲の広い光として間接光が利用されていることから、例えば車両のルームランプに求められるような十分な照度が得られない。また、導光板用のスペースを光源の背後に確保する必要があることから、特に奥行き方向に関して装置の小型化が制限を受ける。従って、車両の天井など、奥行き方向に十分な長さを確保することが困難な場所における照明装置としては適当ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以上の課題を解決するために、以下の構成を提供する。即ち、
第1状態のときに第1位置となり、第2状態のときに第2位置となる可動式光源ユニットと、
前記第1状態の前記光源ユニットの光が照射する位置に備えられる光拡散部材と、
を備える照明装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、二つの状態(位置)をとることができる可動式光源ユニットが使用される。そして光源ユニットが第1状態のときには、光源ユニットから放出された光は拡散部材によって拡散された後に外部に放出されることとなり、広範囲の照明光が得られる。即ち、光源ユニットが第2状態のときに比較して、光源ユニットが第1状態のときにはより広範囲の照明光が得られる。このように、本発明の構成によれば照射範囲の異なる二種類の照明光を、照明光ごとに別々の光源を用いることなく作り出すことができる。したがって、光源用のスペースが少なくてよく、照明装置を小型に構成できる。また、使用する光源数の減少によって、装置の構成が簡略化される。また、光源数の減少によって配線数も減少し、照明装置を設置する際の作業性も向上する。
また、本発明の構成では光拡散部材によって広範囲の光を得て、それを照明光として利用する。したがって、この広範囲の照明光も十分な照度になる。また同時に、間接照明光を得る場合に必要とされる導光板などの部材が必須ではなく、これによって照明装置の一層の小型化・薄型化が達成される。
尚、第1状態の光源ユニットの光は運転席及び助手席、或いは後部座席など比較的広い範囲を対象とした照明に利用できる。他方、第2状態の光源ユニットの光は乗員の手元やセンターコンソールの一部、或いは乗員の足元など、比較的狭い範囲を対象とした照明に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を構成する各要素について説明する。
(光源ユニット)
光源ユニットには少なくとも一つの光源が使用される。光源としてはLED(発光ダイオード)、電球(バルブ)、蛍光灯、冷陰極管などを用いることができる。中でもLEDを採用することが好ましい。LEDは小型であることから、LEDを光源として用いれば光源用のスペースが少なくてすみ、本発明の照明装置をより小型に構成することができる。小型に構成できれば、照明装置のハンドリング性も向上するという利点もある。一方、LEDは消費電力及び発熱量が小さいことから省エネルギー化の要請にも応えるものである。更には、長寿命であることからメンテナンスの面でも有利となる。加えてLEDは振動、衝撃に強いことから信頼性の高い照明装置を構成できるといった利点もある。LEDの種類は特に限定されず、砲弾型(レンズ型)、チップ型等、種々のものを採用できる。
必要とされる照明色に応じて適切な発光色の光源が採用される。例えば、白色系、黄色系、緑色系、青色系、アンバー系などの発光色の光源を使用する。好ましい発光色としては、白色系ないし黄色系、或いはアンバー系を挙げることができる。白色系ないし黄色系の光源を採用すれば照明効果(視認性)の高い照明となる。一方、アンバー系の光源を採用すれば落着いた雰囲気や高級感のある雰囲気などを演出することが可能となる。
【0008】
紫外線領域の光を発光する光源を使用し、併せて光源の光を受けて蛍光する蛍光体を使用することとしてもよい。この場合には例えば、後述の光透過性カバーの表面に蛍光体を含む層を形成する。このような蛍光体を含む層は蛍光体含有インク若しくは塗料の印刷、塗布などにより又は蛍光体を含むシートの貼着などによって形成することができる。また、蛍光体を光透過性カバー内に含有させることもできる。このような構成では光透過性カバー内で蛍光が生じ、この蛍光が光透過性カバーの光放出面から放出されることによって照明が行われる。
【0009】
蛍光体の種類は特に限定されず、有機系、無機系を問わず採用することができる。有機系の蛍光体を用いることによりクリアー感のある蛍光色の光を得ることができる。他方、無機系の蛍光体を用いると艶消し感のある蛍光色の光を得ることができる。様々な蛍光色を有する蛍光体を採用することができ、例えば光の三原色である赤色、緑色、又は青色の蛍光色を有する蛍光体の他、それらの中間色を蛍光する蛍光体を用いることができる。複数の蛍光体を組み合わせて用いることもでき、例えば赤色系蛍光体、緑色系蛍光体、及び青色系蛍光体を混合して用いることができる。
【0010】
複数個の光源を用いて光源ユニットを構成してもよい。この場合、同種の光源を複数用いることも、発光色などの異なる光源を組み合わせて用いることもできる。複数個の光源を用いることにより照度の増強あるいは光の混色による様々な発光色の照明といった効果を得ることができる。尚、光源の使用数は各光源の輝度、求められる照度等を総合的に考慮して定めることができる。複数個の光源を用いる例として、赤色系LED、緑色系LED、及び青色系LEDの3種を併用するものを挙げることができる。このような光源によれば各LEDの混色によって白色光を得ることができる。また各LEDの発光状態、発光量を制御すれば所望の色の光を得ることもできる。
【0011】
本発明の一態様では光源ユニットに、光源の光を収斂する集光レンズが備えられる。このような構成は、光源ユニットが第2状態のときにスポット的照明光を得ることを目的として採用される。この態様では集光レンズの作用によって集光した光が光源ユニットから放出される。即ち、スポット的照明に好ましい照明光が得られることとなる。尚、以上の構成において光源ユニットが第1状態のときには、光源ユニットの光は後述の光拡散部材によって拡散されることによって広範囲の光へと変換された後に外部放出されることとなる。
【0012】
光源ユニットは可動式であって少なくとも二つの状態を採り得る。即ち、光源ユニットはその位置を変化させることによって少なくとも第1状態と第2状態となることができる。このように本発明では光源ユニットの位置が変化することを特長とするが、本発明における「光源ユニットの位置の変化」には、光源ユニットの光照射方向のみが変化することも含まれるものとする。
【0013】
光源ユニットの採り得る状態が二つの場合(第1状態及び第2状態)には、光源ユニットが第1状態にあるときに照明装置は拡散モードとなって広範囲の光を照射し、他方光源ユニットが第2状態にあるときに照明装置は集光モードとなってスポット的照明光を照射する。
光源ユニットの可動方式としては機械式(カム式)及び電動式(モータ及びギアによる可動)を例示できる。
光源ユニットの状態は、スライド、回転、或いはスライド及び回転の組み合わせなどによって切替えられる。
【0014】
(切替スイッチ)
光源ユニットの状態を切替えるためのスイッチ(切替スイッチ)が使用される。即ち、切替スイッチの操作によって光源ユニットが第1状態から第2状態、又は第2状態から第1状態へと切替えられる。切替スイッチは照明装置に備えられてもよいし、或いは照明装置とは別に備えられてもよい。
切替スイッチは、照明装置を設置した際に使用者の操作に支障のない位置に備えられる。切替スイッチが照明装置に備えられる構成を採用する場合には例えば、照明装置の前面又は側面に切替スイッチが設けられる。
切替スイッチを照明装置の電源スイッチと兼用することもできる。即ち、電源のオンオフと照明モードの切替えとを一つのスイッチによって行うこととしてもよい。例えば、プッシュ式のスイッチとし、スイッチを押すごとに照明装置の電源オン(拡散モード)、拡散モードから集光モードへの変換、及び照明装置の電源オフと順に移行するように設定することができる。
【0015】
(光拡散部材)
光源ユニットが第1状態のときに光源ユニットの光が照射する位置に光拡散部材が備えられる。これによって、光源ユニットが第1状態のときには光源ユニットの光は光拡散部材によって拡散された後に外部放出され、結果として広範囲の照明光が得られることとなる。
本発明の一態様では、光拡散部材としてのリフレクタが備えられる。リフレクタは少なくとも表面が光反射率の高い材料によって形成される。このような材料としては白色系の樹脂や、Al、Agなどの金属を例示することができる。リフレクタによって反射及び拡散された光を直接外部に取り出して照明光として利用してもよいが、典型的には後述の光透過性カバーを介して光が取り出される。
本発明の他の一態様では、光拡散処理を施した光透過性カバーが備えられ、これが光拡散部材として機能する。このような目的で使用される光透過性カバーの材質は、光源ユニットの光に対して透過性であれば特に限定されない。好ましくは透明(無色透明、有色透明を含む)な材料により光透過性カバーを構成する。また、加工が容易で耐久性に優れた材料により光透過性カバーを構成することが好ましい。具体的には例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ガラス等を材料として光透過性カバーを形成することができる。
【0016】
光透過性カバーにおいて、少なくとも第1状態の光源ユニットの光が照射する領域に光拡散処理が施される。光拡散処理は、光透過性カバーの表面に規則的又は不規則的なパターンの凹凸(溝)を形成することや、光透過性カバーの表面に光拡散性フィルムを貼付することなどによって行われる。尚、光拡散性カバーの表面に光拡散処理を施すのではなく、光透過性カバー内に光拡散剤(例えばシリカゲルや酸化チタン)を含有させることによって光透過性カバー内において光拡散効果が得られるようにしてもよい。
【0017】
本発明の一態様では光拡散部材として導光体が利用される。この態様では、第1状態の光源ユニットの光が導光体に導入され、導光作用によって光が分散される。そして導光体の表面の一部(光放出面)を介して光の放出が行われる。光放出面以外からの光の漏洩を防止するために、光導入面及び光放出面以外の導光体表面に光反射層を形成することが好ましい。第2状態の光源ユニットの光も導光体に導入される構成としてもよい。即ち、導光体に、第1状態の光源ユニットの光を導入するための光導入面とは別に第2状態の光源ユニットの光を導入するための第2光導入面を設けてもよい。但しこの場合には、第1状態の光が導入される第1領域と、第2状態の光が導入される第2領域の少なくとも二つの領域が導光体に備えられ、第1領域は上記のような導光作用及び拡散作用が得られるように構成されるが、第2領域は導入された光を拡散させないように構成される。具体的には第2領域を例えば平板状とし、面積が最大の一対の面の片方を第2光導入面とし、他方を当該導入面より導入された光を外部に放出する光放出面とする。即ち、第2光導入面と光放出面とを近接して配置することによって導光体内での光の拡散を防止する。導光体の第2領域に集光効果を付与することが好ましい。例えば第2領域(又はその一部)を凸レンズ状に形成することによって集光効果を得ることができる。尚、一つの導光体を使用して上記のごとき第1領域及び第2領域を形成するのではなく、第1状態の光源ユニットの光が導入される導光体と、第2状態の光源ユニットの光が導入される導光体とを別々に用意してもよい。
【0018】
本発明の一態様では光透過性カバーの一部に集光レンズが形成される。この集光レンズは、光透過性カバーにおいて第2状態の光源ユニットの光が照射する領域に形成される。このような構成は、光源ユニットが第2状態のときにスポット的照明光を得ることを目的として採用される。この態様では光源ユニットが第2状態のときに光源ユニットの光が光透過性カバーを通過する際に集光されることとなる。このように、本発明では光透過性カバーによって第2状態の光源ユニットの光の照射範囲を制御してもよい。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例を図1に示す。図1aは車両室内用照明装置1(以下、「照明装置1」という)の斜視図であり、図1bは図1aのA−A線断面図である。
照明装置1は、筐体10、光源ユニット20、カバー30、電源スイッチ40、及びモード切替スイッチ41を備える。
筐体10は光を透過しない樹脂(本実施例ではグレーに着色された樹脂)からなり、その中央に長方形の開口部を有する正面パネル11と、正面パネル11に連続する中空の収納部12とから構成される。正面パネル11の中央に設けられた開口部にはカバー30が嵌め込まれている。正面パネル11の縁部には開口部が二つ設けられ、各開口部を利用して電源スイッチ40及びモード切替スイッチ41が取り付けられる。
筐体10の収納部12内には光源ユニット20が収納される。光源ユニット20は回転軸23によって収納部12に固定されており、矢印xで示すように回転可能な状態となっている。図では省略しているが、光源ユニット20を駆動するためのモータ及びギアが備えられており、これらの部材によって光源ユニットは約90°の範囲を回転可能となっている。
【0020】
光源ユニット20にはレンズ型LED21が三個内蔵されている。この実施例では各LED21のレンズ頂点を結ぶ直線が正三角形を形成するように各LED21を配置している。LEDの配置態様はこれに限られず、また使用するLEDの数についても必要とされる照度などを基準として任意に選択できる。本実施例で使用されるLED21はいずれも白色系ないし黄色系の発光色を有する。各LED21は、所定の配線パターン及び制御回路等が形成された基板に設置されており、図示しない配線を介して給電され、また電源スイッチ41による点灯制御を受ける。
【0021】
カバー30は光透過性樹脂製の平板状部材である。収納部12側のほぼ中央にはカバー30を第1領域32と第2領域33とに分ける仕切り31が形成されている。この実施例において仕切り31は、カバー30の一部を突出した形状とすることによって形成されている。
カバー30の第1領域(図1aにおいて斜線を付した領域)32において光源ユニット20に対向する側の表面には光拡散処理が施されている。この実施例ではサンドブラストによって不規則な微細な溝を形成している。
【0022】
電源スイッチ40はプッシュ式スイッチであって、これを押すごとに照明装置1のオンオフが切換わる。一方、モード切替スイッチ41はロッカースイッチであって、照明装置1の照明モードを選択することに使用される。即ち、ルームランプモードとマップランプモードとの切替えに使用される。
【0023】
照明装置1の使用状態の例を図8に示す。この例では自動車室内のルーフ部110において運転席と助手席との間の位置に、カバー30の第1領域32が自動車の進行方向側となるように設置される。
【0024】
次に、照明装置1の照明態様について説明する。まず初期状態(電源オフ、切換えスイッチ41がルームランプモード側)では、光源ユニット20はルームランプモード側(第1状態)にあり、その光放出側がカバー30の第1領域32に対向している(図1bを参照)。尚、光源ユニット20へは給電されず、光源ユニット20内の各LED21は消灯状態である。この状態において電源スイッチ40を押すと、光源ユニット20が給電されて各LED21が点灯する。各LED21から放出された光は筐体10の収納部12内を通ってカバー30の第1領域32に至る。そしてこの光は、カバー30の第1領域32の表面において光拡散作用を受けた後、拡散、混合しながらカバー30を通過し、最終的にカバー30の光放出面34より外部に放出される。その結果カバー30の光放出面34からは広範囲の光が放射し、これによって車両室内の比較的広範囲が照明されることとなる(ルームランプモード)。
続いて、切替スイッチ41をルームランプ側からマップランプ側にすると、点灯状態を維持しつつ光源ユニット20が回転軸23を中心に約90°回転する。その結果、光源ユニット20の光放出側が、カバー30において第1領域32と仕切りを隔てて位置する第2領域33に対向することとなる(第2状態)。尚、図1bでは、この位置にある光源ユニットを点線22で示す。この状態では各LED21から放出された指光性の高い光がカバー30の第2領域33を介して外部に放出される。その結果、スポット的な光による照明が行われる(マップランプモード)。
【0025】
尚、電源スイッチ40の操作によって、光源ユニット20の位置に関係なく光源ユニット20のオンオフが切替わる。したがって例えば、光源ユニット20が消灯状態でマップランプモード位置にあるときに電源スイッチ40を押せば、ルームランプモードを経ることなくマップランプモードの照明が行なわれる。
同様に、切替スイッチ41の操作によって、光源ユニット20の状態(オン状態又はオフ状態)に関係なく光源ユニット20の位置が切替わる。したがって例えば光源ユニット20がオフ状態でルームランプモード位置にあるときに切替スイッチをマップランプモード側にすれば、光源ユニット20は消灯状態を維持しつつマップランプ位置となる。この状態において電源スイッチ40を押せば光源ユニット20が点灯状態となり、上記と同様にマップランプモードの照明が行われる。
【0026】
ここで、カバー30に仕切り31を形成したことによって、光源ユニット20がルームランプモードのときにカバー30の第2領域33を介して外部に放射する光の発生と、光源ユニット20がマップランプモードのときにカバー30の第1領域32を介して外部に放射する光の発生を効果的に防止することができる。尚、仕切り31を形成する位置はカバー30の中央に限られるものではなく、例えば、より第1領域32が大きくなるような位置に仕切り31を形成してもよい。また、光源ユニット20の構成によって、或いは光源ユニット20とカバー30との位置関係などによって、上述のような好ましくない光の発生がない場合や実際上問題とならない場合には、上記の仕切り31を設けなくともよい。
【0027】
以上の実施例ではレンズ型LEDを使用しているが、これに代えてSMDタイプ(表面実装型)のLEDを使用してもよい。この場合にはLEDの光放出方向に集光レンズを設置し、LEDの光が一旦集光した後にカバー30に照射するように構成することが好ましい。LEDを複数使用する場合には、集光レンズをLEDごとに設けてもよく、又は複数個のLEDの光を集光することが可能な集光レンズを使用してもよい。
また一方で、カバー30の第2領域33にレンズ効果を付与してもよい。即ち、カバー30の第2領域33を通過する光が集光するように、第2領域(又はその一部)33を凸レンズ状に形成してもよい。このような構成によれば、マップランプモードのときに光源ユニット20から放出された光がカバー30を通過する際に集光し、照射範囲の一層狭い光が得られる。
【実施例2】
【0028】
本発明の他の実施例を図2に示す。図2aは車両室内用照明装置2(以下、「照明装置2」という)の斜視図(マップランプモード時)であり、図2bは図2aのB−B線断面図である。図2cは照明装置2がルームランプモード時の断面図である。尚、上記実施例と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
照明装置2は、筐体10、光源ユニット25、カバー35、リフレクタ50、及びスイッチ42を備える。
筐体10は光を透過しない樹脂(本実施例ではグレーに着色された樹脂)からなり、その中央に長方形の開口部を有する正面パネル11と、正面パネル11に連続する中空の収納部12とから構成される。正面パネル11の中央に設けられた開口部にはカバー35が嵌め込まれている。正面パネル11の縁部には開口部が一つ設けられ、この開口部を利用してスイッチ42が取り付けられる。
筐体10の収納部12にはリフレクタ50が設置されている。リフレクタ50は概略して部分円柱面状であり、カバー35に対向する側が反射面51となっている。反射面51は中央付近において両側からせり上がるように前方へと突出し、尖形形状の突出部52を形成している。リフレクタ50は、樹脂材料を所望の形状に成形した後、光反射率の高い金属(AlやAg)をその表面に蒸着することによって作製される。
収納部12内においてリフレクタ50の前方に光源ユニット25が設置される。光源ユニット25は回転軸27によって収納部12に固定されており、矢印xで示すように回転可能な状態となっている。図では省略しているが、光源ユニット25を駆動するためのモータ及びギアが備えられており、これらの部材によって光源ユニット25は180°回転可能となっている。
【0029】
光源ユニット25にはレンズ型LED26が1個内蔵されている。LED26は青系発光ダイオードチップを3個と、LEDチップの周りに配される黄色系蛍光体と、及びレンズとによって構成されている。各LEDチップから放出された光の一部は蛍光体によって黄色光へと変換される。その結果、LEDチップの青色光と蛍光体による黄色光とが混色することによって得られる白色の光がLED光として放出される。レンズは全てのLEDを覆うよう備えられており、各LEDチップから放出された光(及び蛍光体の光)はこのレンズによって収斂された後に放出される。LED26は、所定の配線パターン及び制御回路等が形成された基板に設置されており、図示しない配線を介して給電され、またスイッチ42による点灯制御を受ける。
カバー35は光透過性樹脂製の平板状部材である。カバー35の表面には特別の処理は施されていない。
【0030】
スイッチ42はプッシュ式スイッチであって、光源ユニット25のオンオフ、及び光源ユニット25の位置(光照射方向)を切替える。スイッチ操作と照明モードとの関係いついては以下に詳しく説明する。尚、照明装置1と同様に照明装置2は自動車ルーフ部に設置されて使用される。
【0031】
以下、照明装置2の照明態様について説明する。まず初期状態(電源オフ)では、光源ユニット25はルームランプモード側(第1状態)にあり、その光放出側がリフレクタ50に対向している(図2cを参照)。尚、光源ユニット25へは給電されず、光源ユニット25内のLED26は消灯状態である。この状態においてスイッチ42を一回押すと、光源ユニット25が給電され、光源ユニット25内のLED26が点灯する。この状態では、光源ユニット25から放出された光はリフレクタ50の反射面51方向に進行する。そして反射面51に照射した光は反射及び拡散作用を受け、カバー35方向に進行する広範囲の光へと変換される。このようにして得られた光はカバー35を透過して外部に放出され、結果として広範囲の光による照明が行われる(ルームランプモード)。この状態においてスイッチ42を押すことにより、光源ユニット25は点灯状態を維持しつつ180°回転する。その結果、光源ユニット25の光放出側がカバー35に対向することとなる(第2状態、図2bを参照)。この状態では、LED26から放出された指光性の高い光がカバー35を介して外部に放出される。その結果、スポット的な光による照明が行われる(マップランプモード)。続いてスイッチ42を押すと、光源ユニット25は180°回転し、再びその光放出側をリフレクタ50に向けることとなる。この動作に連動して光源ユニット25への給電が停止し、光源ユニット25は消灯状態となる。
【0032】
ここで、レンズを備えたLED26を使用しているために光源ユニット25からは集光した光が放出され、光源ユニット26の光軸と交差する反射面51の中央領域には光束密度の高い光が照射することとなるが、上述のように反射面51の中央領域に突出部52を形成したことによって、反射面51の中央領域における正反射が防止されるとともに横方向への効果的な光の分散が行われる。したがって、光の利用率が向上し、併せて照明光における光密度の分布が均一化される。
【実施例3】
【0033】
本発明の他の実施例を図3示す。図3aは車両室内用照明装置3(以下、「照明装置3」という)の斜視図であり、図3bは図3aのC−C線断面図である。尚、上記実施例と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
照明装置3は、筐体10a、光源ユニット60、カバー36、電源スイッチ40、及びモード切替スイッチ43を備える。筐体10aは光を透過しない樹脂(本実施例ではグレーに着色された樹脂)からなり、その中央に長方形の開口部を有する正面パネル11aと、正面パネル11aに連続する中空の収納部12aとから構成される。正面パネル11aの中央に設けられた開口部にはカバー36が嵌め込まれている。正面パネル11aの縁部には開口部が二つ設けられ、各開口部を利用して電源スイッチ40及びモード切替スイッチ43が取り付けられる。
筐体10aの収納部12a内には光源ユニット60が収納される。光源ユニット60は回転軸61によって収納部12aに固定されており、矢印xで示すように回転可能な状態となっている。図では省略しているが、光源ユニット60を駆動するためのモータ及びギアが備えられており、これらの部材によって光源ユニット60は約90°の範囲を回転可能となっている。
【0034】
筐体10aの収納部12aの内側表面において、カバー36の第1領域38に対向する領域は反射面53となっている。この反射面は、反射率の高い金属の蒸着によって形成されている。
【0035】
カバー36は光透過性樹脂製の平板状部材であって、収納部12a側のほぼ中央にはカバー36を第1領域38と第2領域39とに分ける仕切り37が形成されている。この実施例において仕切り37はカバー36の一部を突出した形状とすることによって形成されている。
カバー36の第1領域(図3aにおいて斜線を付した領域)38において光源ユニット60に対向する側の表面には光拡散処理が施されている。この実施例ではサンドブラストによって不規則な微細な溝を形成している。
【0036】
電源スイッチ40はプッシュ式スイッチであって、これを押すごとに照明装置3のオンオフが切換わる。モード切替スイッチ43も同様にプッシュ式スイッチであって、照明装置3の照明モードを選択することに使用される。即ち、ルームランプモードとマップランプモードとの切替えに使用される。
【0037】
次に、照明装置3の照明態様について説明する。まず初期状態(電源オフ)では、光源ユニット60はマップランプモード側(第2状態)にあり、その光放出側がカバー36に対向している(図1bを参照)。この状態で電源スイッチ40を押せば光源ユニット60が給電されてLED26が点灯する。その結果、光源ユニット60から放出された光はカバー36の第2領域39を介して外部に放出される。したがって、LED26が備えるレンズによって集光された光による照明が行われることとなる(マップランプモード)。この状態において切替スイッチ43を押すことにより、光源ユニット60は点灯状態を維持しつつ90°回転し、その光放出側が反射面53に対向する(第1状態)。尚、図3bでは、この位置にある光源ユニットを点線62で示す。以上の動作によって反射面53に向かう光が発生する。そして、反射面53に照射した光は反射・拡散作用を受けた後、カバー36の第1領域38に向かう。カバー36の第1領域38に照射した光は、そこで拡散作用を受ける。その結果、カバー36の第1領域38の光放出面からは照射範囲の広い光が放出される。即ち、広範囲の光による照明が行われる(ルームランプモード)。
尚、電源スイッチ40の操作によって、光源ユニット60の位置に関係なく光源ユニット60のオンオフが切替わる。したがって例えば光源ユニット60が消灯状態でルームランプモード位置にあるときに電源スイッチ40を押せば、マップランプモードを経ることなくルームランプモードの照明が行なわれる。
同様に、切替スイッチ43の操作によって、光源ユニット60の状態(オン状態又はオフ状態)に関係なく光源ユニット60の位置が切替わる。したがって例えば光源ユニット60がオフ状態でマップランプモード位置にあるときに切替スイッチ43を押せば、光源ユニット60は消灯状態を維持しつつルームランプ位置となる。この状態において電源スイッチ40を押せば光源ユニット60が点灯状態となり、上記と同様にルームランプモードの照明が行われる。
【実施例4】
【0038】
本発明の他の実施例を図4に示す。図4aは車両室内用照明装置4(以下、「照明装置4」という)の斜視図であり、図4bは図4aのD−D線断面図である。尚、上記実施例と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
照明装置4は、筐体10b、光源ユニット60、導光体70、レンズ75、電源スイッチ40、及びモード切替スイッチ43を備える。筐体10bは光を透過しない樹脂(本実施例ではグレーに着色された樹脂)からなり、正面パネル11bと、正面パネルに連続する中空の収納部12bとから構成される。正面パネル11bの中央領域には導光体70用及びレンズ75用の開口部がそれぞれ設けられている。同様に、正面パネル11bの縁部には開口部が二つ設けられ、各開口部を利用して電源スイッチ40及びモード切替スイッチ43が取り付けられる。
【0039】
導光体70は概略平板状であって、筐体10bに取り付けられた際に外部より観察されることとなる面(光放出面71)は曲面である。また、図4bに示すように導光体70の厚さは、導光体70の一端側から他端側に向かって次第に大きくなっている。なお、光放出面71と対を成す面の表面には光反射率の高い金属からなる光反射層73が形成されている。
筐体10bの収納部12b内には、導光体70の一側面(光導入面72)に対向する位置に光源ユニット60が収納されている。光源ユニット60は回転軸63によって筐体11bに固定されており、矢印xで示されるように回転可能な状態となっている。図では省略しているが、光源ユニット60を駆動するためのモータ及びギアが備えられており、これらの部材によって光源ユニット60は約90°の範囲を回転可能となっている。
【0040】
筐体10bの正面パネル11bに設けられたレンズ用開口部には、導光体からなる集光レンズ75が装着される。尚、このような集光レンズ75を上記の導光体70と一体的に構成してもよい。
【0041】
次に、照明装置4の照明態様について説明する。まず初期状態(電源オフ)では、光源ユニット60はルームランプモード側(第1状態)にあり、その光放出側が導光体70の光導入面72に対向している。尚、光源ユニット60へは電力が供給されずLED26は消灯状態である。この状態で電源スイッチ40を押すと、光源ユニット60に電力が供給され、光源ユニット60内のLED26が点灯する。LED26から放出された光は光導入面72より導光体70内に導入される。導入された光は導光作用によって導光体70内を進行し、一部のものは光放出面71を介して直接外部に放出される。一方で導光体70内を進行する光の一部は光反射層73の表面において反射される。これによって、光放出面71方向の光が発生するとともに光の拡散効果が奏される。その結果、光放出面71からの光の取出し効率が高まり、また放出される光はその光密度の分布が均一化されたものとなる。このように、以上の状態では導光体70の光放出面71を介して、照度の均一化が図られた広範囲の光が放出することとなる(ルームランプモード)。
続いて切替スイッチ43を押すと、光源ユニット60は点灯状態を維持しつつ90°回転し、その光放出側を集光レンズ75に対向させる(第2状態)。尚、図4bではこの位置の光源ユニットを点線65で示す。この状態では光源ユニット60から放出された光は集光レンズ75によって集光された後に外部に放出される。したがって、照明範囲の狭いスポット的な光による照明が行われることとなる(マップランプモード)。
尚、電源スイッチ40の操作によって、光源ユニット60の位置に関係なく光源ユニット60のオンオフが切替わる。したがって例えば光源ユニット60が消灯状態でマップランプモード位置にあるときに電源スイッチ40を押せば、ルームランプモードを経ることなくマップランプモードの照明が行なわれる。
同様に、切替スイッチ43の操作によって、光源ユニット60の状態(オン状態又はオフ状態)に関係なく光源ユニット60の位置が切替わる。したがって例えば光源ユニット60がオフ状態でルームランプモード位置にあるときに切替スイッチ43を押せば、光源ユニット60は消灯状態を維持しつつマップランプ位置となる。この状態において電源スイッチ40を押せば光源ユニット60が点灯状態となり、上記と同様にマップランプモードの照明が行われる。
【実施例5】
【0042】
本発明の他の実施例を図5に示す。図5aは車両室内用照明装置5(以下、「照明装置5」という)の斜視図であり、図5bは図5aのE−E線断面図である。尚、上記実施例と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
照明装置5は、筐体10c、光源ユニット60、スライドトレイ80、カバー90、電源スイッチ40、及びモード切替スイッチ43を備える。筐体10cは光を透過しない樹脂(本実施例ではグレーに着色された樹脂)からなり、正面パネル11cと、正面パネル11cに連続する中空の収納部12cとから構成される。正面パネル11cにはカバー用開口部とスライドトレイ用開口部がそれぞれ設けられている。また、正面パネル11cの縁部には開口部が二つ設けられ、各開口部を利用して電源スイッチ40及びモード切替スイッチ43が取り付けられる。
カバー90は光透過性樹脂製であって、面積が最大の一対の面が曲面の板状形状を有する。カバー90の収納部12C側表面には規則的なパターンの微細な溝が形成されている。
【0043】
筐体10cのスライドトレイ用開口部にはスライドトレイ80が装着される。スライドトレイ80は光源ユニット60を保持するための突出部(光源ユニット保持部)81、82を左右に有する、平面視コの字状の部材であって、その各側面には溝が形成されている。この溝を利用して前後方向にスライド可能な状態で筐体10cにスライドトレイ80が固定されている。光源ユニット60は、回転軸66を介してスライドトレイ80の光源ユニット保持部81、82に取り付けられる。これによって光源ユニット60は、スライドトレイ80に対して、矢印xで示すように約120°の範囲を回転可能となっている。尚、図では省略しているが、スライドトレイ80をスライドさせるためのモータ及びギア、並びに光源ユニット60を回転させるためのモータ及びギアが備えられている。
筐体10cの収納部12cの内側表面において、カバー90に対向する領域は反射面54となっている。この反射面54は、反射率の高い金属の蒸着によって形成されている。
【0044】
次に、照明装置5の照明態様について説明する。まず初期状態(電源オフ)では、スライドトレイ80は筐体10c内に完全に収納された状態であって、光源ユニット60はルームランプモード側(第1状態)にあり、その光放出側がカバーに対向している(図5bを参照)。尚、光源ユニット60へは給電されずLED26は消灯状態である。この状態で電源スイッチ40を押すと、光源ユニット60が給電されて、光源ユニット60内のLED26が点灯する。これによって反射面54に向かう光が発生する。そして、反射面54に照射した光は反射・拡散作用を受けた後、カバー90に向かう。カバー90に照射した光は、そこで拡散作用を受ける。その結果、カバー90の光放出面からは照射範囲の広い光が放出される。即ち、広範囲の光による照明が行われる(ルームランプモード)。
続いて切替スイッチ43を押すことによりスライドトレイ80が前方へとスライドし、スライドトレイ80全体の約半分が引き出された状態となる。この動作に連動して、点灯状態を維持しつつ光源ユニット60が約120°回転し、スライドトレイ80に対して所定の角度で一時的に固定される(第2状態、図5c及び図5dを参照)。この状態では、光源ユニット60から放出された光が直接照明光として利用される。したがって、LED26が備えるレンズによって集光された光による照明が行われることとなる(マップランプモード)。
【0045】
尚、電源スイッチ40の操作によって、光源ユニット60の位置に関係なく光源ユニット60のオンオフが切替わる。したがって例えば光源ユニット60が消灯状態でマップランプモード位置にあるときに電源スイッチ40を押せば、ルームランプモードを経ることなくマップランプモードの照明が行なわれる。
同様に、切替スイッチ43の操作によって、光源ユニット60の状態(オン状態又はオフ状態)に関係なく光源ユニット60の位置が切替わる。したがって例えば光源ユニット60がオフ状態でルームランプモード位置にあるときに切替スイッチ43を押せば、光源ユニット60は消灯状態を維持しつつマップランプ位置となる。この状態において電源スイッチ40を押せば光源ユニット60が点灯状態となり、上記と同様にマップランプモードの照明が行われる。
【0046】
以上の照明装置5ではスライド動作を利用して光源ユニット60の状態を変化させることとしたが、回転動作を利用して光源ユニット60の状態を変化させることもできる。例えば図6に示す車両室内用照明装置5aでは回転トレイ91を利用することによってルームランプモードとマップランプモーとの間の変換が行われる。この例では180°の範囲で回転可能な状態で回転トレイ91が筐体10Cに取り付けられている。この照明装置5aでは、切替スイッチ43の操作によって回転トレイ91が、筐体10cの収納部12c内に完全に収納された状態から、180°回転して収納部12cから飛び出した状態へと移行する。前者の状態のときには光源ユニット60の光は収納部12c内に照射し、反射面54による反射・拡散作用及びカバー90による拡散作用を受けて外部に放出される(ルームランプモード)。一方、後者の状態のときには光源ユニット60の光は直接外部に放出し、したがってLED26が備えるレンズによって集光された光による照明が行われる(マップランプモード)。
【実施例6】
【0047】
本発明の他の実施例を図7示す。図7aは車両室内用照明装置6(以下、「照明装置6」という)の斜視図であり、ルームランプモード時の状態が示される。図7bは同様に照明装置6の斜視図であり、マップランプモード時の状態が示される。尚、上記実施例と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
照明装置6は、筐体10、光源ユニット100、カバー92、及びスイッチ42を備える。筐体10の正面パネル11の中央に設けられた開口部には、その一端を軸にして前方に開くことができるようにカバー92が取り付けられている。カバー92は光透過性樹脂製であって、閉じた状態において収納部12側となる面には規則的なパターンの微細な溝が形成されている。
【0048】
光源ユニット100は、光源部101と、筐体10への取付けに利用されるT字状の固定部102とから構成される。図示されるように、この固定部102の一部を回転軸として光源ユニット100は筐体10の収納部12内に取り付けられる。これによって光源ユニット100の光源部101は、図7bの矢印xで示すように、約90°の範囲で回転可能となっている。一方、光源部101は、図7bの矢印yで示すように、約40°の範囲で回転可能となるように固定部102に取り付けられている。尚、図では省略しているが、光源ユニット100を回転させるためのモータ及びギアが備えられている。
【0049】
次に、照明装置6の照明態様について説明する。まず初期状態(電源オフ)では、カバー92は完全に閉じており、光源ユニット100の光源部101はカバー92の背後に位置する(第1の状態)。尚、光源ユニット100へは給電されず、光源ユニット100内のLED26は消灯状態である。この状態においてスイッチ42を一回押すと光源ユニット100が給電されてLED26が点灯するLED26から放出された光はカバー90の表面に至り、そこで拡散作用を受ける。その結果、カバー92の光放出面からは照射範囲の広い光が放出される。即ち、広範囲の光による照明が行われる(ルームランプモード)。この状態においてスイッチを押すことによりカバー92が前方へと開き、この動作に連動して光源ユニット100の固定部102が軸となって回転し、光源ユニット100の光源部101が前方へと起き上がる。その結果、最終的に光源部101が突き出した状態(第2状態)となる(図7bを参照)。この状態では光源部101から放出された光が直接照明光として利用される。したがって、LED26が備えるレンズによって集光された光による照明が行われる(マップランプモード)。上記のように光源部101は一定の範囲で可動可能となっており、光源部101を動かすことによって照明光の照射方向を調節することができる。
【0050】
カバー92は手動で閉じられる。カバー92を閉じる動作に連動して光源ユニット100が収納部12内に収納される。カバー92が完全に閉じられると光源ユニット100への給電が停止し、照明装置6はオフ状態となる。勿論、カバー92を完全に閉じても点灯状態が継続され、電源スイッチ42の操作によってはじめて照明装置6がオフ状態となるように設計してもよい。
【0051】
以上の実施例ではカバー92の開動作を自動とし、一方でその閉動作を手動としたが、これとは逆に開動作を手動とし、閉動作を自動としてもよい。また、開閉動作を全て自動又は手動としてもよい。
【0052】
以上の各実施例では、切替スイッチ(及び電源スイッチ)が照明装置に備えられる構成としたが、切替スイッチ等が照明装置と別に備えられる構成を採用してもよい。この場合には例えば、切替スイッチ等が運転席周りのパネルやセンターコンソールに設置される。
【0053】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0054】
以下の事項を開示する。
11.光源と該光源の光を収斂する集光レンズとを備え、回転することによって光照射方向が第1状態のときに第1の方向となり、第2状態のときに第2の方向となる可動式光源ユニットと、
前記光源ユニットの光放出方向に備えられる光透過性カバーであって、前記第1状態の前記光源ユニットの光が照射する領域に光拡散処理が施されてなる光透過性カバーと、
を備える照明装置。
12.第1状態のときに光照射方向が第1方向となり、第2状態のときに光放出方向が第2方向となる回転式光源ユニットと、
前記光源ユニットの光放出方向に備えられる光透過性カバーであって、前記第1状態の前記光源ユニットの光が照射する領域に光拡散処理が施されてなる光透過性カバーと、
前記第2状態の前記光源ユニットの光が照射する位置に備えられる集光レンズと、
を備える照明装置。
13.前記集光レンズが、前記光透過性カバーにおいて前記第2状態の前記光源ユニットの光が照射する領域に形成されている、12に記載の照明装置。
14.光源と該光源の光を収斂する集光レンズとを備え、第1状態のときに光照射方向が第1方向となり、第2状態のときに光照射方向が第2方向となる回転式光源ユニットと、
前記光源ユニットの光放出方向に備えられる光透過性カバーであって、前記第1状態の前記光源ユニットの光が照射する領域に光拡散処理が施され、且つ前記第2状態の前記光源ユニットの光が照射する領域に集光レンズが形成されてなる光透過性カバーと、
を備える、照明装置。
【0055】
21.光源と該光源の光を収斂する集光レンズとを備え、第1状態のときに光照射方向が第1方向となり、第2状態のときに光照射方向が第2方向となる回転式光源ユニットと、
前記第1状態の前記光源ユニットの光を受ける位置に備えられるリフレクタと、
前記光源ユニットの光放出方向に備えられる光透過性カバーと、
を備える照明装置。
22.第1状態のときに光照射方向が第1方向となり、第2状態のときに光照射方向が第2方向となる回転式光源ユニットと、
前記第1状態の前記光源ユニットの光を受ける位置に備えられるリフレクタと、
前記光源ユニットの光放出方向に備えられる光透過性カバーであって、前記第2状態の前記光源ユニットの光が照射する領域に集光レンズが形成されている光透過性カバーと、
を備える照明装置。
23.光源と該光源の光を収斂する集光レンズとを備え、第1状態のときに光照射方向が第1方向となり、第2状態のときに光照射方向が第2方向となる回転式光源ユニットと、
前記第1状態の前記光源ユニットの光を受ける位置に備えられるリフレクタと、
前記光源ユニットの光放出方向に備えられる光透過性カバーであって、前記第2状態の前記光源ユニットの光が照射する領域に集光レンズが形成されている光透過性カバーと、
を備える照明装置。
24.前記光透過性カバーにおいて、前記第2状態の前記光源ユニットの光が照射する領域以外の領域に光拡散処理が施されている、21〜23のいずれかに記載の照明装置。
25.前記光透過性カバーと前記リフレクタとの間に前記光源ユニットが位置する、21〜24のいずれかに記載の照明装置。
26.前記リフレクタが、前記第1状態の前記光源ユニットの光軸に直交する領域を中心として光源ユニット側に突出している、25に記載の照明装置。
【0056】
31.光源と該光源の光を収斂する集光レンズとを備え、第1状態のときに光照射方向が第1方向となり、第2状態のときに光照射方向が第2方向となる回転式光源ユニットと、
前記第1状態の前記光源の光を導入する光導入面と、導入した光を放出する光放出面とを備える導光体と、
を備える照明装置。
32.前記導光体において、前記光導入面と前記光放出面以外の表面の少なくとも一部に光反射処理が施されている、31に記載の照明装置。
33.前記導光体が、前記第2状態の前記光源ユニットの光を導入する第2光導入面を備える、31又は32に記載の照明装置。
34.前記導光体の一部に、前記第2状態の前記光源ユニットの光を収斂する集光レンズが形成されている、31〜33のいずれかに記載の照明装置。
【0057】
41.光源と該光源の光を収斂する集光レンズとを備え、第1状態では装置内に位置し、第2状態では前記光源及び前記集光レンズを含む少なくとも一部が突出する可動式光源ユニットと、
前記第1状態の前記光源ユニットの光を受ける位置に備えられるリフレクタと、
前記リフレクタによって反射された光を受ける位置に備えられる光透過性カバーと、
を備える照明装置。
42.前記第1状態から前記第2状態への移行、及び前記第2状態から前記第1状態への移行がスライド動作によって行なわれる、41に記載の照明装置。
43 前記光源ユニットが回転可能な状態で固定されるスライドトレイを更に備え、該スライドトレイが前後にスライドすることによって前記光源ユニットの状態の移行が行なわれる、42に記載の照明装置。
44.前記第1状態から前記第2状態への移行、及び前記第2状態から前記第1状態への移行が回転動作によって行なわれる、41に記載の照明装置。
前記光源ユニットが固定される回転トレイを更に備え、該回転トレイが回転することによって前記光源ユニットの状態の移行が行なわれる、43に記載の照明装置。
45.前記光透過性カバーに光拡散処理が施されている、41〜43のいずれかに記載の照明装置。
【0058】
51.光源と該光源の光を収斂する集光レンズとを備え、第1状態では装置内に位置し、第2状態では前記光源及び前記集光レンズを含む少なくとも一部が突出する可動式光源ユニットと、
光拡散処理が施されている光透過性カバーであって、前記第1状態の前記光源ユニットの光照射方向に位置し、前記光源ユニットが前記第1状態から前記第2状態へ移行する動作に連動して前方に開き、前記光源ユニットが前記第2状態から前記第1状態へ移行する動作に連動して元の状態に戻る光透過性カバーと、
を備える照明装置。
【0059】
61.前記光源ユニットに使用される光源がLEDである、11〜14、21〜26、31〜34、41〜45、及び51のいずれかに記載の照明装置。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の照明装置は、広狭二種類の照明が必要とされる場所において使用可能である。したがって、自動車など車両の室内照明として、又は居室用照明などとしてその利用が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は本発明の実施例を示す図である。図1aは車両室内用照明装置1の斜視図であり、図1bは図1aにおけるA−A線断面図である。
【図2】図2は本発明の他の実施例を示す図である。図2aは車両室内用照明装置2の斜視図(マップランプモード時)であり、図2bは図2aのB−B線断面図である。図2cはルームランプモード時の断面図である。
【図3】図3は本発明の他の実施例を示す図である。図3aは車両室内用照明装置3の斜視図であり、図3bは図3aのC−C線断面図である。
【図4】図4は本発明の他の実施例を示す図である。図4aは車両室内用照明装置4の斜視図であり、図4bは図4aのD−D線断面図である。
【図5】図5は本発明の他の実施例を示す図である。図5aは車両室内用照明装置5の斜視図であり、図5bは図5aのE−E線断面図である。
【図6】図6は本発明の他の実施例を示す図である。図6aは車両室内用照明装置5aの斜視図であって、ルームランプモード時の状態が示される。図6bは同じく車両室内用照明装置5aの斜視図であって、マップランプモード時の状態が示される。
【図7】図7は本発明の他の実施例を示す図である。図7aは車両室内用照明装置6の斜視図であり、ルームランプモード時の状態が示される。図7bは同様に照明装置6の斜視図であり、マップランプモード時の状態が示される。
【図8】図8は、本発明の実施例である照明装置1の使用状態の例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1、2、3、4、5、5a、6 車両室内用照明装置
10、10a、10b、10c 筐体
20、60、100 光源ユニット
21、26 LED
30、35、36、90、92 光透過性カバー
23、27、61、63、66 回転軸
70 導光体
75 集光レンズ
80 スライドトレイ
91 回転トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDである光源と該光源の光を収斂する集光レンズとを備え、第1状態では装置内に位置し、第2状態では前記光源及び前記集光レンズを含む少なくとも一部が突出する可動式光源ユニットと、
前記第1状態の前記光源ユニットの光を受ける位置に備えられるリフレクタと、
前記リフレクタによって反射された光を受ける位置に備えられる光透過性カバーと、
を備える、照明装置。
【請求項2】
前記第1状態から前記第2状態への移行、及び前記第2状態から前記第1状態への移行がスライド動作によって行なわれる、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源ユニットが回転可能な状態で固定されるスライドトレイを更に備え、該スライドトレイが前後にスライドすることによって前記光源ユニットの状態の移行が行なわれる、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1状態から前記第2状態への移行、及び前記第2状態から前記第1状態への移行が回転動作によって行なわれる、請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源ユニットが固定される回転トレイを更に備え、該回転トレイが回転することによって前記光源ユニットの状態の移行が行なわれる、請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光透過性カバーに光拡散処理が施されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−18809(P2009−18809A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243505(P2008−243505)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【分割の表示】特願2003−318612(P2003−318612)の分割
【原出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】