説明

照明装置

【課題】簡単な構成で、輝度ムラの少ない照明光を得ることができる照明装置を提供する。
【解決手段】LED基板26をスイッチ本体21に固設することにより、各LED27をスイッチ本体21の上方から突出させた状態で、光源ユニット25をスイッチ機構20に保持し、各LED27の光軸Oを反射面3aに指向させる。これにより、アウターレンズ15を正対視した際に各LED27を視認不能な状態とする。すなわち、アウターレンズ15の周辺に配設されるスイッチ機構20(及び、枠体11)により隠されて視認不能となる位置に各LED27を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード等の発光素子を光源として用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、乗用車等の車両の室内天井には、ルームランプやマップランプ等の車両用室内灯(照明装置)が取り付けられている。この種の照明装置は、一般に、管球バルブ等の光源からの光を直接的或いは間接的にアウターレンズへと導き、当該アウターレンズの外面側を面状に発光させることで、所望の照明光を得る。
【0003】
ところで、管球バルブ等に比べ、発光ダイオード(LED)は、消費電力が小さく長寿命であるという利点を有する。そこで、近年では、LEDの高出力化に伴い、特に、比較的小型な各種照明装置の光源としてLED等の発光素子を適用することが期待されている。LEDを光源とする照明装置として、例えば、特許文献1には、複数のLEDを実装したLEDをランプカバー(アウターレンズ)に対向配置した技術が開示されている。
【特許文献1】実用新案登録第3129847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LED等の発光素子は、管球バルブ等の光源に比べて発光部の小さい点光源であるため、上述の特許文献1に開示された技術のように、LEDをアウターレンズに直接的に対向配置すると、アウターレンズの発光面上においてLEDに対応する領域の輝度が局所的に高くなる等(所謂、グレアが発生する等)、照明装置としてのデザイン性が損なわれる等の虞がある。
【0005】
これに対処し、LEDからの出射光を分散すべく、LEDとアウターレンズとの間に導光板等を介在させると、構造の複雑化や重量の増加等を招く虞がある。
【0006】
本発明は、簡単な構成で、輝度ムラの少ない照明光を得ることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、枠体に保持され、外面側が発光面を構成するアウターレンズと、前記アウターレンズの内面に反射面が対向する反射部材と、発光素子を実装した光源ユニットと、前記発光素子から出射して前記反射面で反射した光を前記アウターレンズに導く空気層と、を備え、前記光源ユニットは、前記アウターレンズを正対視した際に、前記発光素子が前記枠体に隠れる位置に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の照明装置によれば、簡単な構成で、輝度ムラの少ない照明光を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1はルームランプの要部を示す分解斜視図、図2はルームランプの平面図、図3は図2のA−A線に沿う要部断面図、図4乃至図7はルームランプの各変形例を図1のA−A線に沿って示す要部断面図、図8は図7のスイッチ機構と光源ユニットとの関係を示す分解斜視図、図9はルームランプの変形例を図1のB−B線に沿って示す要部断面図、図10(a)はアウターレンズの変形例を示す拡大断面図であり(b),(c)はアウターレンズの内面側を拡大して示す平面図である。
【0010】
図1〜図3において符号1は、車両の室内天井に取り付けられるルームランプであり、このルームランプ1は、下面が開口した扁平な略箱形状の筐体2を有する。この筐体2は、例えば、平面視略矩形形状をなす背面板3と、当該背面板3の各辺から下方に突設する側壁4とが射出成型によって一体形成された樹脂成型品で構成されている。
【0011】
より具体的には、筐体2は、例えば、高反射ポリカーボネイド等の高反射性樹脂材料で成型されている。これにより、背面板3は反射部材として機能し、背面板3の内面(下面)は反射面3aとして設定されている。なお、筐体2は、高反射性樹脂材料に代えて、アルミニウム等の金属材を用いた成型品であってもよい。また、筐体2を高反射性樹脂材料以外の樹脂材料で成型し、背面板3の内面に高反射率のシートを貼付してもよい。さらに、高反射率のシートに代えて、背面板3の内面に、例えば、白色または乳白色の塗装、または蒸着等を施してもよい。
【0012】
ここで、図3に示すように、本実施形態において、背面板3は、その短手方向の一側から他側にかけて、反射面3aの位置を下方に緩やかに変化させるよう、湾曲されている。また、反射光を効率よく散乱させるため、反射面3aには、微細な凹凸加工が施されている。
【0013】
また、筐体2を構成する各側壁4の下端部には、筐体2の開口部を閉塞するアウタカバー10と嵌合するための段部4aが形成されている。
【0014】
アウタカバー10は、段部4aに嵌合する枠体11と、枠体11に嵌合するアウターレンズ15と、を有して要部が構成されている。
【0015】
枠体11は、例えば、遮光性を有する樹脂成型品で構成されている。この枠体11は、アウターレンズ嵌合部12を画成する4辺の枠部のうち、短手方向の一側寄りに位置する枠部11aが他の枠部よりも幅広に形成されており、これにより、枠体11は、ルームランプ1の中心に対し、短手方向の他側寄りに偏倚した位置にアウターレンズ15を保持する。また、幅広に形成された枠部11aには、後述するスイッチ機構20のスイッチ操作部23を挿通するための長孔13が、アウターレンズ嵌合部12に沿って開口されている。
【0016】
アウターレンズ15は、例えば、透光性を有する樹脂成型品で構成されている。このアウターレンズ15は下方に緩やかに突な球面形状をなし、当該アウターレンズ15の外面(下面)側は発光面15aとして設定されている。
【0017】
一方、筐体2内において、アウターレンズ15の内面側は反射面3aに対向され、これらアウターレンズ15と反射面3aとの間には、空気層18が形成されている。ここで、アウターレンズ15に光の拡散機能を持たせるため、アウターレンズ15の裏面には、例えば、微細な凹凸を有する拡散シート16が貼着されている(図3参照)。
【0018】
スイッチ機構20は、例えば、略角筒形状をなすスイッチ本体21を有する。このスイッチ本体21の下面には、長孔22が開口されており、この長孔22からは、スイッチ操作部23が突設されている。本実施形態において、長孔22上には、ルームランプ1を常時点灯させるための「ON」ポジションP1と、車両のドアの開閉状態に応じてルームランプ1を点灯させるための「DOOR」ポジションP2と、ルームランプ1を常時消灯させるための「OFF」ポジションP3とが設定されており、スイッチ操作部23は、これらのポジションP1〜P3の何れかを選択可能なスライド式の操作部で構成されている。
【0019】
このスイッチ機構20は、長孔13,22が互いに位置決めされた状態で、スイッチ本体21の下面が枠部11aに対して内面側から固設されることにより、アウタカバー10に保持される。その際、スイッチ操作部23は、長孔13に挿通されることにより、アウタカバー10の外部に露呈される。
【0020】
また、アウタカバー10に保持された際に、スイッチ機構20は、スイッチ本体21が筐体2内で短手方向一側の側壁4と所定間隔離間して対向する位置に位置決めされる。そして、スイッチ本体21は、側壁4との間に形成された空隙に、光源ユニット25を保持する。
【0021】
光源ユニット25は、例えば、平面略矩形形状をなす素子基板としてのLED基板26を有する。このLED基板26の一方の面上には、発光素子としての発光ダイオード(LED)27を実装するための光源実装領域26aと、スイッチ機構20と電気的に接続するための端子領域26bとが設定されている。ここで、LED基板26は、例えば、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で構成されていることが好ましい。
【0022】
光源実装領域26aには、複数(例えば、3個)のLED27が半田付け等によって実装されている。本実施形態において、各LED27は、例えば、青色の発光部を有する素子の表面に黄色の蛍光体(例えば、YAG蛍光体)を塗布することで白色光を得る面実装型の白色LEDで構成されている。また、各LED27の出射面上には片凸レンズ27aが固設されており、この片凸レンズ27aの作用により、各LED27からの出射光は、例えば、拡散角が0°軸(光軸O)に対して15°〜20°程度の狭角となる比較的指向性の高い光束に調光されるようになっている。
【0023】
一方、端子領域26bには、図示しない配線等を介して各LED27と電気的に接続する複数の端子28が設けられている。この端子領域26bは、筐体2の短手方向の一側の側壁4と対向するスイッチ本体21上の面に固設されるようになっており、これにより、各端子28はスイッチ機構20に対し、バスバー等を介在させることなく、直に電気接続されている。
【0024】
また、端子領域26bがスイッチ本体21に固設されることにより、光源ユニット25は、各LED27がスイッチ本体21の上方から突出した状態で、スイッチ機構20に保持され、各LED27の光軸Oが反射面3aに指向される。すなわち、各LED27の光軸Oは、筐体2内の短手方向の一側から他側に向けて略水平方向に設定され、筐体2内を下方に湾曲する反射面3aに指向される。
【0025】
また、筐体2内において、各LED27は、スイッチ本体21の上方に配設されることにより、アウターレンズ15を正対視した際に視認不能な状態となる。すなわち、各LED27は、アウターレンズ15の周辺に配設されるスイッチ機構20(及び、枠体11)により隠されて視認不能となる位置に配設されている。
【0026】
このような構成において、スイッチ操作部23が「ON」ポジションP1或いは「DOOR」ポジションP2に操作され、スイッチ機構20から光源ユニット25への給電が行われて各LED27が点灯されると、図3に示すように、各LED27からの出射光は、そのほとんどが、反射面3aで反射された後、空気層18を経てアウターレンズ15へと導かれる。すなわち、本実施形態において、LED27の出射面に固設された片凸レンズ27aの作用によって出射光の拡散角が狭角に設定されており、しかも、LED27の下方にはスイッチ本体21及び枠部11aが配設されているため、LED27からの出射光のほとんどは、アウターレンズ15に対して、直接的に入射されることなく、反射面3aでの反射を経て間接的に入射される。
【0027】
そして、反射面3aの近傍において各LED27がスイッチ本体21及び枠部11aに隠れた位置から発光し、その出射光が反射面3aによる反射を経て間接的にアウターレンズ15に入射することにより、発光面15a上の一部の輝度が局所的に高くなる等の不具合を、簡単な構成により的確に防止することができる。すなわち、スイッチ機構20(及び、当該スイッチ機構20が配設されることにより幅広に形成される枠部11a)を有効利用し、アウターレンズ15を通じた筐体2内の視界からLED27を隠すことにより、簡単な構成で、発光面15a上におけるグレア等の発生を的確に抑制することができる。
【0028】
この場合において、各LED27からの出射光を、反射面3aに形成された微細な凹凸やアウターレンズ15に貼着された拡散シート16で拡散させることにより、発光面15aをより均一な照度で発光させることができる。
【0029】
また、反射面3aを湾曲形成し、各LED27から離間するほど反射面3aとアウターレンズ15との間隔が狭くなるよう設定することにより、光源ユニット25に対して遠方に位置する領域においても反射光を効率よくアウターレンズ15に入射させることができ、発光面15aをより均一な照度で発光させることができる。
【0030】
また、LED基板26を熱伝導性の高い材料で構成することにより、光源ユニット25の放熱特性を向上させて、各LED27の発光効率を高いレベルで維持することができる。
【0031】
ここで、例えば、図4に示すように、ルームランプ1において、反射面3aを形成する反射部材5を筐体2とは別の部材で構成することも可能である。このように構成すれば、筐体2を大幅に変更することなく、光源ユニット25の仕様等に応じて、反射面3aの形状等を容易に変更することができる。
【0032】
また、例えば、図5に示すように、ルームランプ1において、スイッチ本体21の上面に光源ユニット25を固設することも可能である。この場合、各LED27の光軸Oは上方に指向するが、各LED27と対向する領域に別途の反射部材6を設けることにより、反射面3aに対し、光軸Oを間接的に指向させることが可能となる。なお、図示しないが、このような構成では、光源実装領域とは異なるLED基板26上の面に端子領域が設定される。このように構成すれば、アウターレンズ15を通じた筐体2内の視界に対し、より視認不能な位置に各LED27を配置することができる。
【0033】
また、例えば、図6に示すように、スイッチ本体21の上部に傾斜面を形成し、この傾斜面上に光源ユニット25を固設することも可能である。このように構成すれば、傾斜面の角度に応じて各LED27の光軸Oを任意の角度で反射面3aに指向させることができ、配向特性のチューニング等を容易に実現することができる。
【0034】
また、例えば、図7,8に示すように、ルームランプ1において、LED基板26を熱伝導性の高いアルミニウム等の金属材で構成し、スイッチ機構20のスイッチ本体21に沿って多段に折曲形成することも可能である。このように構成すれば、筐体2内におけるLED基板26の設置スペースを過剰に拡大することなく、LED基板26による放熱機能を格段に向上させることができる。
【0035】
また、例えば、図10(a)に示すように、ルームランプ1において、アウターレンズ15に拡散シート16等を貼着する構成に代えて、例えば、拡散材料15bを含有する透明樹脂材料とによってアウターレンズ15を成型してもよい。また、例えば、図10(b),(c)に示すように、アウターレンズ15の内面に、角柱形状のパターン19aや円柱形状のパターン19b等を形成することも可能である。
【0036】
ここで、上述の実施形態においては、筐体2の短手方向の一側部に光源ユニットを配設する場合の各構成について説明したが、例えば、図10に示すように、スイッチ機構20が配設されていない筐体2の長手方向の側部に光源ユニット30を配設することも可能である。この場合、光源ユニット30の配置に応じた所定形状の反射面31aを有する反射部材31を筐体2内に配設すれば、発光面15aを高い均斉度で発光させることができる。
【0037】
ところで、上述の実施形態においては、発光色が同一な複数のLED27を用いて光源ユニットを構成した一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、発光色の異なる複数種類のLED(例えば、R、G、Bの各発光色で発光するLED)を混在させて光源ユニットを構成することも可能である。このように構成すれば、発光面15a上における発光色を任意に設定することができ、演色性を向上することができる。
【0038】
なお、本発明の適用はルームランプに限定されるものではなく、各種照明装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ルームランプの要部を示す分解斜視図
【図2】ルームランプの平面図
【図3】図2のA−A線に沿う要部断面図
【図4】ルームランプの変形例を図1のA−A線に沿って示す要部断面図
【図5】ルームランプの変形例を図1のA−A線に沿って示す要部断面図
【図6】ルームランプの変形例を図1のA−A線に沿って示す要部断面図
【図7】ルームランプの変形例を図1のA−A線に沿って示す要部断面図
【図8】図7のスイッチ機構と光源ユニットとの関係を示す分解斜視図
【図9】ルームランプの変形例を図1のB−B線に沿って示す要部断面図
【図10】(a)はアウターレンズの変形例を示す拡大断面図であり(b),(c)はアウターレンズの内面側を拡大して示す平面図
【符号の説明】
【0040】
1…ルームランプ、2…筐体、3…背面板(反射部材)、3a…反射面、4…側壁、4a…段部、5…反射部材、6…反射部材、10…アウタカバー、11…枠体、11a…枠部(構造物)12…アウターレンズ嵌合部、13…長孔、15…アウターレンズ、15a…発光面、15b…拡散材料、16…拡散シート、18…空気層、19a…パターン、19b…パターン、20…スイッチ機構(構造物)、21…スイッチ本体、22…長孔、23…スイッチ操作部、25…光源ユニット、26…LED基板、26a…光源実装領域、26b…端子領域、27…発光ダイオード(発光素子)、27a…片凸レンズ、28…端子、30…光源ユニット、31…反射部材、31a…反射面、O…光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面側が発光面を構成するアウターレンズと、
前記アウターレンズの内面に反射面が対向する反射部材と、
発光素子を実装した光源ユニットと、
前記発光素子から出射して前記反射面で反射した光を前記アウターレンズに導く空気層と、を備え、
前記光源ユニットは、前記アウターレンズを正対視した際に、前記発光素子が前記アウターレンズ周辺の構造物に隠れる位置に配設されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記発光素子の光軸は、前記反射面に指向するよう設定されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記アウターレンズと隣接して配設されるスイッチ機構を有し、
前記光源ユニットは、前記スイッチ機構に隠れる位置で当該スイッチ機構に保持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源ユニットは、前記発光素子を実装する熱伝導性の高い素子基板を有し、
前記素子基板は、前記スイッチ機構に沿って折曲形成されていることを特徴とする請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源ユニットは、発光色の異なる複数の前記発光素子を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記反射面は、前記発光素子から離間するほど、前記アウターレンズとの間隔が狭くなるよう設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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