説明

照明装置

【課題】照射像の品質を悪化させることなく、制約のある設置スペースに対しても効率よく設置することができる照明装置を提供する。
【解決手段】LED12からの出射光を制御するレンズ光学系21の光軸O上に反射鏡37を配置し、この反射鏡37の反射面37aでの反射により、投射レンズ23から出射された光束の光路を変更する。これにより、照明光の照射方向に十分な奥行きを確保することが困難な場合等のように、設置スペース42に制約がある場合にも、レンズ光学系21を構成する各光学部材間に必要な光軸O方向の距離等を犠牲にすることなく、照明装置1を設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの出射光をレンズ光学系を用いて制御する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載のマップランプやステップランプ等に好適な比較的小型な照明装置においては、光源として、発光ダイオード(LED)等の点光源が採用される傾向にある。この種の光源は、リフレクタ等に代えて、コリメーションレンズ等を用いて平行光に近い光を生成することができるため、照明装置の光軸周りのサイズを有効に小型化することが期待できる。
【0003】
このような点光源を用いた照明装置として、例えば、特許文献1には、LEDからの出射光を略平行光に変換するコリメーションレンズと、コリメーションレンズで略平行光に変換された光を投射するフライアイレンズと、フライアイレンズからの投射光の一部を遮光することで所定形状の光束を形成する遮光マスクとをレンズ光学系に備えた照明装置が開示されている。
【特許文献1】特開2007−34071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、この種の照明装置をダウンライト方式のマップランプ等として車載する場合、照明装置は、一般に、車室内天井部等に設定された設置スペース内に基部側が埋設された状態で設置される。
【0005】
しかしながら、特に、LED等を光源とする照明装置は、上述のようにレンズ光学系に複数のレンズ等を具備することが一般的であり、光軸方向に長大化する傾向にあるため、設置スペース内に主要部を好適に収容することが困難となる場合がある。これに対処し、各レンズや遮光マスク等の間隔を短縮すると、照射像の品質が悪化する等の虞がある。
【0006】
本発明は、照射像の品質を悪化させることなく、制約のある設置スペースに対しても効率よく設置することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光源と、前記光源からの出射光を制御するレンズ光学系と、前記レンズ光学系の光軸上で当該レンズ光学系に対向配置され、前記レンズ光学系で制御された光束の光路を反射によって変更する光路変更手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の照明装置によれば、照射像の品質を悪化させることなく、制約のある設置スペースに対しても効率よく設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図1乃至図3は本発明の第1の実施形態に係わり、図1は照明装置の概略構成を示す分解斜視図、図2は照明装置の要部断面図、図3は照明装置をマップランプとして車室内天井部に設置した一例を示す説明図である。
【0010】
図1,2に示す照明装置1は、例えば、車室内を上方から照明するダウンライト方式のマップランプ等に好適な照明装置であり、この照明装置1は、発光ダイオード(LED)12を光源とする光源ユニット10と、この光源ユニット10に連結する筐体20とを有する。
【0011】
光源ユニット10は、LED基板11を有する。LED基板11は、例えば、平面略矩形形状をなし、その略中央部に半田付け等によって、LED12を保持する。なお、LED12の発光効率を向上させるため、LED基板11は、例えば、熱伝導性の高いアルミ基板等で構成されている。また、LED12は、例えば、出射平面に片凸レンズ12aが固設された表面実装型のLEDチップで構成されている。
【0012】
筐体20は、LED12の光軸O方向に沿う筒状形状をなし、その内部に、LED12からの出射光を制御するためのレンズ光学系21を収容する。本実施形態において、筐体20は、基端部に外向フランジ20aが設けられた略円筒形状の部材で構成されている。そして、この外向フランジ20aには、光源ユニット10のLED基板11が、ネジ止め等によって固設されている。また、筐体20の先端部には、LED基板11との間にレンズ光学系21を保持するための内向フランジ20bが周設されている。さらに、筐体20の外周部には、後述する光路変更手段としての反射部材35を保持するためのネジ穴20cが設けられている。
【0013】
レンズ光学系21は、LED12からの出射光を略平行光に変換するコリメーションレンズ22と、コリメーションレンズ22で略平行光に変換された光を投射する投射レンズ23とを有する。さらに、レンズ光学系21は、コリメーションレンズ22と投射レンズ23との間に遮光マスク24を有する。
【0014】
コリメーションレンズ22は、例えば、筐体20の内周に摺接する環状のフランジ部22aの内側に両凸のレンズ部22bが一体形成された光透過性の樹脂成型品で構成されている。このコリメーションレンズ22の入射側において、フランジ部22aには環状のスペーサ30が当接されており、このスペーサ30を介して、コリメーションレンズ22はLED12に対向配置されている。そして、スペーサ30によって、LED12との光軸O方向の距離が適値に設定されることにより、コリメーションレンズ22は、LED12からの出射光を略平行光に変換する。
【0015】
遮光マスク24は、例えば、所望の照射像の形状に対応する開口部24aが開口された遮光性フィルム26が、ガラス基板25上に貼着されて要部が構成されている。この遮光マスク24の入射側の縁辺部には、環状のスペーサ31が当接されており、このスペーサ31を介して、遮光マスク24はコリメーションレンズ22に対向配置されている。そして、遮光マスク24は、コリメーションレンズ22で略平行光に変換された光を開口部24a内のみ通過させる。なお、発熱量の小さいLED12を光源として用いた場合、ガラス基板25は必ずしも必要ではなく、遮光性フィルム26単体で遮光マスク24を構成することも可能である。
【0016】
投射レンズ23は、例えば、筐体20の内周に摺接する環状のフランジ部23aの内側にレンズ部23bが一体形成された光透過性の樹脂成型品で構成されている。この投射レンズ23の入射側において、フランジ部23aには、環状のスペーサ32が当接されており、このスペーサ32を介して、投射レンズ23は遮光マスク24に対向配置されている。一方、投射レンズ23の出射側において、フランジ部23aには、筐体20の内向フランジ20bが当接されている。
【0017】
そして、投射レンズ23のフランジ部23aが筐体20の内向フランジ20bに当接することにより、コリメーションレンズ22、遮光マスク24及び、投射レンズ23は、各スペーサ30〜32によって相対的な位置決めがなされた状態で、光源ユニット10のLED基板11と筐体20の内向フランジ20bとの間に保持されている。
【0018】
なお、図1,2に示すように、遮光マスク24の縁辺部には、光軸Oを中心とする非対称位置に、複数(例えば、3個)のピン孔24bが穿設されており、これらピン孔24bに、スペーサ31から突設するピン32aが圧入されることにより、遮光マスク24(開口部24a)の光軸O回りの位置決めがなされている。
【0019】
反射部材35は、筐体20に固設するブラケット36と、このブラケット36に支持される反射鏡37とを有する。
【0020】
ブラケット36は、例えば、筐体20に外嵌する環状の部材で構成されている。このブラケット36には、筐体20のネジ穴20cに対応する孔部36aが開口され、この孔部36aに挿通するネジ部材を通じて、ブラケット36は、筐体20に締結固定されている。
【0021】
ブラケット36からは、レンズ光学系21の光軸O方向に沿うアーム38が延出され、このアーム38の先端部には反射鏡37が形成されている。反射鏡37の反射面37aは、光軸Oに対して所定角度傾斜した状態でレンズ光学系21(投射レンズ23)に対向するよう設定されており、この反射面37aにおける反射により、投射レンズ23から出射された光束の光路が変更される。
【0022】
ここで、本実施形態において、反射面37aは、例えば、光軸Oに対して略45°の傾斜角を有し、これにより、投射レンズ23から出射された光束の光路を、光軸Oに対して略直交する方向に変更する(図3(a)参照)。また、本実施形態において、反射面37aは、例えば、投射レンズ23の前側焦点と略一致する位置に設定されている。
【0023】
このような構成の照明装置1をマップランプとして車室内天井部に設置する場合、照明装置1は、例えば、図3(a)に示すように、車体のルーフパネル40とルーフトリム41との間隙に設置される。すなわち、ルーフパネル40とルーフトリム41との間隙には、略水平方向に延在する設置スペース42が設定されており、この設置スペース42内において、照明装置1は、レンズ光学系21の光軸Oが略水平方向に指向した状態で設置されている。また、照明装置1の反射面37aはルーフトリム41に対向されており、このルーフトリム41上には、反射面37aに対応する窓部41aが開口されている。
【0024】
これにより、レンズ光学系21を経て所定の光束に制御されたLED12からの出射光は、反射面37aで反射された後、窓部41aを経て車室内に導かれ、要照明部を照明する。すなわち、LED12からの出射光は、コリメーションレンズ22によって略平行光に変換された後、投射レンズ23に入射される。その際、遮光マスク24によって入射光の一部が遮光されることにより、例えば、投射レンズ23は矩形の光束を形成する。そして、投射レンズ23から出射された光束は、反射面37aにおける反射によって光路が変更され、窓部41aを経て車室内に導かれる。これにより、車室内の要照明部には、例えば、矩形の照射像Iが照射される。
【0025】
このような実施形態によれば、LED12からの出射光を制御するレンズ光学系21の光軸O上に反射鏡37を配置し、この反射鏡37の反射面37aでの反射により、投射レンズ23から出射された光束の光路を変更することにより、例えば、照明光の照射方向に十分な奥行きを確保することが困難な場合等のように設置スペース42に制約がある場合にも、レンズ光学系21を構成する各光学部材間に必要な光軸O方向の距離等を犠牲にすることなく、照明装置1を設置することができる。
【0026】
この場合において、反射面37aを、投射レンズ23の前側焦点と略一致する位置に配置することにより、反射面37aを大型化させることなく、光束の光路変更を効率よく実現することができる。
【0027】
ここで、例えば、図3(b)に示すように、反射面37aを投射レンズ23の前側焦点よりも投射レンズ23側に配置し、光路変更された光束を窓部41aの近傍で集光させる構成とすれば、ルーフトリム41に開口する窓部41aを小型化でき、美観等を向上することができる。
【0028】
次に、図4乃至図7は本発明の第2の実施形態に係わり、図4は照明装置の要部断面図、図5は照明装置をマップランプとして車室内天井部に設置した一例を示す説明図、図6(a)は反射部材の変形例を示す要部断面図であり(b)は反射部材の変形例を示す平面図、図7(a)は反射部材の変形例を示す要部断面図であり(b)は反射部材の変形例を示す平面図である。なお、本実施形態は、反射部材の構成が上述の第1の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0029】
図4,5に示すように、本実施形態において、反射部材35は、反射鏡を支持するアーム38上に、ハーフミラー39を有する。このハーフミラー39は、例えば、反射鏡37と略同一位置を起点として、反射鏡37とは異なる傾斜角度でアーム38から延出されている。これにより、ハーフミラー39の反射面39aは、投射レンズ23と反射面37aとの間に介装され、投射レンズ23から出射される光束の一部を反射してその光路を変更する。一方、反射面39aで反射されることなくハーフミラー39を透過した光束は、反射鏡37の反射面37aによって反射され、その光路が変更される。
【0030】
これら反射鏡37とハーフミラー39の作用により、本実施形態の照明装置1は、例えば、図5に示すように、異なる2つの照射像I1及びI2を車室内に照射する。この場合において、ハーフミラー39による反射率を適宜調整すれば、照射像I1とI2の明るさに相対的な明暗を持たせることができる。
【0031】
ここで、例えば、図6に示すように、反射鏡37及びハーフミラー39(すなわち、反射面37a,39a)を同一の傾斜角度によりアーム38上の異なる起点から延在させることも可能である。このように構成すれば、照射像I1,I2の形状に相対的な歪み等が発生することを抑制できる。
【0032】
さらに、例えば、図7に示すように、ハーフミラー39(すなわち、反射面39a)を光軸Oに対して2軸方向に傾斜させることも可能である。このように構成すれば、照射像I1,I2の照射方向を高い自由度で設定することができる。なお、図示しないが、反射鏡37(すなわち、反射面37a)についても、光軸Oに対して2軸方向に傾斜させてもよいことは勿論である。
【0033】
なお、上述の実施形態においては、反射部材を筐体に固設した場合の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、反射部材を筐体と分離させて設置することも可能である。
【0034】
また、遮光マスクで形成される光束の形状は上述のものに限定されるものではなく、例えば、所定の文字等を形成してもよいことは勿論である。
【0035】
また、本発明による照明装置の用途はマップランプに限定されるものではなく、例えば、車載のステップランプ等にも好適に用いることが可能である。さらに、照明装置1の用途は車両用のものに限定されるものではなく、例えば、看板照明や間接照明等、多岐に亘る用途にも好適に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わり、照明装置の概略構成を示す分解斜視図
【図2】同上、照明装置の要部断面図
【図3】同上、照明装置をマップランプとして車室内天井部に設置した一例を示す説明図
【図4】本発明の第2の実施形態に係わり、照明装置の要部断面図
【図5】同上、照明装置をマップランプとして車室内天井部に設置した一例を示す説明図
【図6】同上、(a)は反射部材の変形例を示す要部断面図であり(b)は反射部材の変形例を示す平面図
【図7】同上、(a)は反射部材の変形例を示す要部断面図であり(b)は反射部材の変形例を示す平面図
【符号の説明】
【0037】
1…照明装置、10…光源ユニット、11…LED基板、12…発光ダイオード(光源)、12a…片凸レンズ、20…筐体、20a…外向フランジ、20b…内向フランジ、20c…ネジ穴、21…レンズ光学系、22…コリメーションレンズ、22a…フランジ部、22b…レンズ部、23…投射レンズ、23a…フランジ部、23b…レンズ部、24…遮光マスク、24a…開口部、24b…ピン孔、25…ガラス基板、26…遮光性フィルム、30〜32…スペーサ、32a…ピン、35…反射部材(光路変更手段)、36…ブラケット、36a…孔部、37…反射鏡、37a…反射面、38…アーム、39…ハーフミラー、39a…反射面、40…ルーフパネル、41…ルーフトリム、41a…窓部、42…設置スペース、O…光軸、I,I1,I2…照射像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの出射光を制御するレンズ光学系と、
前記レンズ光学系の光軸上で当該レンズ光学系に対向配置され、前記レンズ光学系で制御された光束の光路を反射によって変更する光路変更手段と、を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光路変更手段は、反射面が前記レンズ光学系の光軸に対して傾斜配置された反射鏡と、半透過性の反射面が前記レンズ光学系と前記反射鏡との間で前記レンズ光学系の光軸に対して傾斜配置されたハーフミラーとを有することを特徴とする請求項1記載の証明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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