説明

照明装置

【課題】照明装置の発熱による損傷を、照明装置の筺体の体積を増やすことなく、容易に防ぐ。
【解決手段】駆動回路102から電圧が印加された場合に発光する発光層202と、発光層202の光の照射側に配置され、その大きさが発光層202の大きさよりも大きなガラス基板201と、発光層202をガラス基板201とで封止する封止ガラス205とが設けられた有機ELモジュール101を用いて、センサー103が発光層202の発光量を検知し、センサー103が検知した発光量があらかじめ設定された閾値よりも小さな場合、駆動回路102が発光層202への電圧の印加を停止し、センサー103は、ガラス基板201に覆われた部分を含み、ガラス基板201よりも発光層202側で、かつ発光層202から発光した光を封止ガラス205を介して検知できる領域に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセント(EL:Electro−Luminescence)モジュールを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光モジュールとして有機エレクトロルミネッセント(EL:Electro−Luminescence)モジュールを用いた照明装置が普及している。この有機ELモジュールは有機材料の薄膜に電界をかけて発光させるデバイスである。
【0003】
しかしながら、有機ELモジュールは、非常に薄い膜であるがゆえに電気的にショート(短絡)が起きやすい。これは膜厚のばらつきやパーティクルにより、局所的に抵抗が低くなるために起こるものである。このショートは極々小さな領域で起こる。
【0004】
単位面積当たりの有機ELモジュールの明るさは電流密度に依存するため、定電流駆動で使用されることが多い。そのため、ショート時にはその箇所に電流が集中し、熱が発生する。明るさを稼ぐために有機ELモジュールの発光層の面積を大きくした場合、投入電流も増え、発熱量も増えてしまう。
【0005】
有機ELモジュールを照明装置に組み込んだ場合、この発熱は筐体の溶解や発火などの問題を引き起こすおそれがある。
【0006】
これを回避するために、有機ELモジュールに印加される電圧をモニタし、モニタした電圧と閾値とに基づいて電源を落とすこともできる。しかし、ショート時の電圧はその時々によって値が異なるため、閾値の設定が困難になってしまうという問題点がある。また、熱センサーによる制御も考えられるが、熱センサーによる制御の場合、ショート箇所の特定ができないため、実現は難しい。
【0007】
そこで、有機ELモジュールの発光を光センサーで検知し、検知した発光量に基づいて、有機ELモジュールへの電圧の印加を制御する技術が考えられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−164318号公報
【特許文献2】特開2009−205810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されたような技術においては、光センサー(明るさ検知部)を有機ELモジュールのガラス端部側面に対向するように配置されるため、器具筺体(装置)全体の体積が大きくなり、また、照明装置として面積が小さな方が好ましいとされる非発光部分が占める面積の割合が増加してしまうという問題点がある。
【0010】
また、特許文献2に記載されたような技術においては、封止層に開口部を設け、当該開口部から漏洩した光を検知する構造であるため、その構造が複雑になってしまうという問題点がある。
【0011】
本発明の目的は、上述した課題を解決する照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の照明装置は、
所定の電圧が印加された場合に発光する発光層と、該発光層の光の照射側に配置されたガラス基板と、前記発光層を前記ガラス基板とで封止する封止ガラスとが設けられた有機エレクトロルミネッセントモジュールを用いた照明装置であって、
前記発光層に前記電圧を印加する駆動回路と、
前記発光層の発光量を検知するセンサーとを有し、
前記駆動回路は、前記センサーが検知した前記発光量があらかじめ設定された閾値よりも小さな場合、前記発光層への前記電圧の印加を停止し、
前記ガラス基板の大きさは、前記発光層の大きさよりも大きく、
前記センサーは、前記ガラス基板に覆われた部分を含み、該ガラス基板よりも発光層側で、かつ前記発光層から発光した光を前記封止ガラスを介して検知できる領域に配置されている。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明においては、照明装置の発熱による損傷を、照明装置の筺体の体積を増やすことなく、容易に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の照明装置の電気的接続の一例を示す図である。
【図2】本発明の照明装置の実施の一形態における断面図である。
【図3】図1に示した照明装置を制御する照明装置制御方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の照明装置の電気的接続の一例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、駆動回路102が、有機ELモジュール101と、センサー103とに接続されている。
【0018】
有機EL(Electro−Luminescence)モジュール101は、所定の電圧が印加された場合に発光する有機エレクトロルミネッセントモジュールである。有機ELモジュール101の構造の詳細は後述する。
【0019】
駆動回路102は、有機ELモジュール101に電圧を印加する。また、駆動回路102は、センサー103が検知した有機ELモジュール101の発光量と、あらかじめ設定された閾値とを比較する。また、駆動回路102は、それらの比較の結果、センサー103が検知した有機ELモジュール101の発光量があらかじめ設定された閾値よりも小さな場合、有機ELモジュール101に電圧を印加することを停止する。一般的に、有機ELモジュール101は、電気的なショート(短絡)が生じた場合、全体的に発光しなくなる。そのため、有機ELモジュール101に電気的なショートが生じたかどうかを判断する基準として、有機ELモジュール101の発光量が所定の閾値よりも小さいかどうかを用いる。つまり、有機ELモジュール101の発光量が所定の閾値よりも小さな場合、有機ELモジュール101に電気的なショートが生じたと判断する。
【0020】
センサー103は、有機ELモジュール101の発光量を検知するフォトセンサーである。また、センサー103は、検知した発光量を駆動回路102へ通知する。
【0021】
図2は、本発明の照明装置の実施の一形態における断面図である。
【0022】
本形態における照明装置は図2に示すように、駆動回路102が、有機ELモジュール101の光の照射側と対向する非照射側に設けられている。
【0023】
また、図1に示した有機ELモジュール101は図2に示すように、ガラス基板201と、発光層202と、透光性電極203と、非透光性電極204と、封止ガラス205とから構成されている。
【0024】
発光層202は、光の照射側に設けられた透明の透光性電極203と光の非照射側に設けられた非透明(例えば金属等)の非透光性電極204とに挟まれ、駆動回路102によって透光性電極203と非透光性電極204とに所定の電圧が印加されることにより、発光する。
【0025】
また、発光層202と透光性電極203と非透光性電極204とが、ガラス基板201と封止ガラス205とによって封止されている。なお、封止ガラス205は、ガラス基板201よりも発光層202側に配置されている。
【0026】
また、ガラス基板201の幅よりも、封止ガラス205の幅の方が狭い構造となっている。つまり、ガラス基板201の大きさは、封止ガラス205の大きさよりも大きい。
【0027】
また、センサー103が、ガラス基板201に覆われた部分を含み、ガラス基板201よりも発光層202側で、かつ発光層202から発光した光を封止ガラス205を介して検知できる領域に配置されている。
【0028】
また、当該照明装置は、当該照明装置の外部からの光を遮断し、センサー103が有機ELモジュール101(発光層202)から発光された光のみを検知できる、つまり、有機ELモジュール101の発光以外の光を検知しない構造であることが望ましい。
【0029】
以下に、図1に示した照明装置を制御する照明装置制御方法について説明する。
【0030】
図3は、図1に示した照明装置を制御する照明装置制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0031】
まず、駆動回路102から有機ELモジュール101へ、有機ELモジュール101が発光するための所定の電圧が印加される(ステップS1)。
【0032】
すると、有機ELモジュール101の発光(発光量)がセンサー103によって、検知される(ステップS2)。
【0033】
センサー103によって有機ELモジュール101の発光が検知されると、当該発光の発光量がセンサー103から駆動回路102へ通知される。
【0034】
すると、駆動回路102にて、センサー103から通知されてきた発光量が、あらかじめ設定されている閾値よりも小さいかどうかが判断される(ステップS3)。ここで、この閾値は、外部からあらかじめ設定され、駆動回路102内に設けられているメモリ(不図示)に記憶されているものである。なお、この値を具体的にどのくらいの値に設定するかは設計事項であり、本発明の目的である、有機ELモジュールをその発熱を原因とする火災や損傷から保護できる値であれば良い。
【0035】
ステップS3の比較の結果、センサー103から通知されてきた発光量があらかじめ設定された閾値よりも小さくはない場合、ステップS1の処理が行われることにより、駆動回路102による有機ELモジュール101への電圧の印加が続けられる。
【0036】
一方、ステップS3の比較の結果、センサー103から通知されてきた発光量があらかじめ設定された閾値よりも小さな場合、駆動回路102による有機ELモジュール101への電圧の印加が停止される(ステップS4)。これにより、有機ELモジュール101のショート時において、電圧の印加を停止し、火災や器具の損傷を防ぐことができる。
【0037】
このように、センサー103によって検知した発光量に基づいて、駆動回路102による有機ELモジュール101への電圧の印加を制御することにより、有機ELモジュール101にて電気的なショート(短絡)が生じた際、直ちに電力供給を止めることで発熱による二次災害を防ぐことができる。加えて、図2に示した構造であるため、上述した効果を、照明装置の筺体の体積を増やすことなく、容易に得ることができる。
【符号の説明】
【0038】
101 有機ELモジュール
102 駆動回路
103 センサー
201 ガラス基板
202 発光層
203 透光性電極
204 非透光性電極
205 封止ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電圧が印加された場合に発光する発光層と、該発光層の光の照射側に配置されたガラス基板と、前記発光層を前記ガラス基板とで封止する封止ガラスとが設けられた有機エレクトロルミネッセントモジュールを用いた照明装置であって、
前記発光層に前記電圧を印加する駆動回路と、
前記発光層の発光量を検知するセンサーとを有し、
前記駆動回路は、前記センサーが検知した前記発光量があらかじめ設定された閾値よりも小さな場合、前記発光層への前記電圧の印加を停止し、
前記ガラス基板の大きさは、前記発光層の大きさよりも大きく、
前記センサーは、前記ガラス基板に覆われた部分を含み、該ガラス基板よりも発光層側で、かつ前記発光層から発光した光を前記封止ガラスを介して検知できる領域に配置された照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−108728(P2011−108728A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259816(P2009−259816)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】