照明装置
【課題】エレクトロルミネセンス(EL)材料を用いた照明装置において、外部電源との接続をより容易に行い、利便性を高める。
【解決手段】エレクトロルミネセンス(EL)層を含む発光素子を有する照明装置において、発光素子を内包する筐体は、周縁端部に発光素子と電気的に接続する端子電極を有する。外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電極の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。
【解決手段】エレクトロルミネセンス(EL)層を含む発光素子を有する照明装置において、発光素子を内包する筐体は、周縁端部に発光素子と電気的に接続する端子電極を有する。外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電極の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、エレクトロルミネセンスを発現する発光部材を含む照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱電球や蛍光灯よりも発光効率が高いという試算から、次世代の照明器具としてエレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置が注目されている。エレクトロルミネセンス材料は蒸着法や塗布法などの製法により厚さ1μm以下の薄膜で形成可能であり、照明装置として形態にも工夫が施されている。例えば、エレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置を大面積化しても輝度を均一に保つことができる照明装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−332773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような照明装置は外部電源より電力を供給されることで点灯する。
【0005】
本発明の一形態はエレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置において、外部電源との接続をより容易に行い、利便性を高めることを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレクトロルミネセンス(EL)層を含む発光素子を有する照明装置において、発光素子を内包する筐体は、周縁端部に発光素子と電気的に接続する端子電極を有する。外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電源の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。
【0007】
本発明の一形態は、第1電極及び第2電極に挟持されたEL層を含む発光素子と、発光素子を内包し、かつ周縁端部に第1端子電極及び第2端子電極が設けられた筐体とを有し、筐体内において、第1電極と第1端子電極とは電気的に接続し、第2電極と第2端子電極とは電気的に接続し、筐体において発光素子の光放射面を覆う領域と、第1電極と第2電極において発光素子の光放射面に設けられる少なくとも一方とは透光性を有し、第1端子電極及び第2端子電極が外部電源の端子電極とそれぞれ接することで外部電源及び発光素子が電気的に接続する。なお、本明細書において透光性とは、少なくとも可視光の波長領域の光に対して光を透過する性質を指す。
【0008】
本発明の他の一形態は、第1電極及び第2電極に挟持されたEL層を含む発光素子と、発光素子を内包し、かつ周縁端部に第1端子電極、第2端子電極、第3端子電極、及び第4端子電極が設けられた筐体とを有し、筐体内において、第1電極と第1端子電極とは電気的に接続し、第2電極と第2端子電極とは電気的に接続し、第3端子電極及び第4端子電極はセンサ素子と電気的に接続し、筐体において発光素子の光放射面を覆う領域と、第1電極と第2電極において発光素子の光放射面に設けられる少なくとも一方とは透光性を有し、第1端子電極、第2端子電極、第3端子電極、及び第4端子電極が外部電源の端子電極とそれぞれ接することで外部電源と、発光素子及びセンサ素子とがそれぞれ電気的に接続する。
【0009】
センサ素子としては、温度を検出するサーミスタなどを用いることができる。センサ素子によって検出された温度に基づいて、照明装置に供給する電流、電圧値などを制御することが可能となる。
【0010】
発光素子の第1電極及び第2電極は、筐体内に設けられた取り出し端子を介して第1端子電極及び第2端子電極と電気的に接続する構成でもよい。取り出し端子は発光素子の形成工程において同時に形成することができる。
【0011】
また、第1端子電極及び第2端子電極は複数設けてもよい。第1端子電極及び第2端子電極が複数設けられると供給する電力を大きくすることができる。筐体に設けられる発光素子も複数設けてもよく、それぞれの発光素子が筐体周縁部に設けられる端子電極と独立して接続されてもよいし、複数の発光素子が並列、又は直列に電気的に接続され、共通した端子電極に接続されてもよい。
【0012】
また発光素子の上面を覆う無機絶縁膜を設けることが好ましい。また、発光素子の光放射面と筐体との間にも無機絶縁膜を設ける構成としてもよい。無機絶縁膜は、外部からの水等の汚染物質から発光素子を保護する保護層、封止膜として機能する。無機絶縁膜としては窒化膜、及び窒化酸化膜の単層又は積層を用いることができる。無機絶縁膜を設けることで、発光素子の劣化を軽減し、照明装置の耐久性や寿命を向上させることができる。
【0013】
発光素子の光放射面の形状は、四角形のような多角形のほか、円形であってもよく、発光素子を覆う筐体の形状も該光放射面の形状に対応させればよく、直方体、多角柱、円柱などを用いることができる。
【0014】
また、EL層は中間層を介して2層以上設けられる構成としてもよい。発光色の異なるEL層を複数積層することで放射される光の色を調節することができる。また、同色であっても複数層設けることで電力効率を向上させる効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一形態である照明装置は、外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電源の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。よって、照明装置と外部電源との接続がより容易に行うことができ、照明装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】照明装置を説明する図。
【図2】照明装置を説明する図。
【図3】照明装置を説明する図。
【図4】照明装置を説明する図。
【図5】照明装置を説明する図。
【図6】照明装置を説明する断面図。
【図7】照明装置に適用できる発光素子の例を説明する図。
【図8】照明装置の使用形態の一例を説明する図。
【図9】照明装置の使用形態の一例を説明する図。
【図10】照明装置を説明する断面図。
【図11】照明装置を説明する平面図。
【図12】照明装置を説明する平面図。
【図13】照明装置を説明する断面図及び平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下の説明に限定されず、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の照明装置の一形態について図1乃至図6、及び図10を用いて説明する。
【0019】
図1乃至図3は照明装置を説明する図であり、上部の図が平面図、下部の図が側面図である。図6(A)は、図1の平面図における線A1−A2の断面図、図6(B)は図1の平面図における線A3−A4の断面図である。
【0020】
図1に示す照明装置210において、EL層203を含む発光素子232を内包する筐体200は、周縁端部に発光素子232と電気的に接続する端子電極220(第1端子電極222、第2端子電極221)を有する。
【0021】
発光素子232の光放射面の形状は、四角形のような多角形のほか、円形であってもよく、発光素子232を覆う筐体200の形状も該光放射面の形状に対応させればよく、直方体、多角柱、円柱などを用いることができる。本明細書に用いる発光素子232は薄膜の積層構造であるため、筐体200も薄型の形状とすることができる。
【0022】
発光素子232を覆う筐体200は複数の筐体を接着して組み合わせることで形成することができる。図6では、筐体200を発光素子232の光放射面を覆う第1筐体270と、上面を覆う第2筐体230によって構成する例である。
【0023】
また、図10(A)は、第1筐体241、第2筐体230、第3筐体271を接着して筐体200を構成する例である。第3筐体271には端子電極220(図中では第2端子電極221)が設けられている。図10(B)は、第1筐体242と第2筐体230、第3筐体271とを接着層237a、237b、237cによって接着する例である。また図10(B)は筐体200内の空間を樹脂236で充填する例である。樹脂236を充填することにより照明装置の強度を高めることができる。
【0024】
また、第1筐体270、241、242の大きさとしては、発光装置の用途によって適宜設定することが可能である。例えば、直径10cm乃至14cm、好ましくは直径12cmの円盤形状、5インチ角の正方形などとすればよい。
【0025】
接着には接着層を用いてもよいし、筐体に熱可塑性の有機樹脂を用いる場合、熱圧着処理によって接着することができる。接着層としては、可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。これらの接着剤の材質としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0026】
筐体200に用いる部材の具体例としては、プラスチック(有機樹脂)、ガラス、または石英などを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等からなる部材が挙げられる。なお、発光素子232の上面を覆う第2筐体230は有機樹脂を用いることが好ましい。プラスチックを用いると、照明装置の軽量化を実現することができる。
【0027】
発光素子232は、第1電極202、EL層203、及び第2電極204を含み、EL層203からの光は第1電極202及び第1筐体270を通過して外部へ放射されるため、第1電極202側が光放射面となる。よって第1電極202及び第1筐体270は少なくともEL層203からの光を透過する透光性を有する。
【0028】
なお、本明細書において、発光素子とは発光原理にエレクトロルミネッセンス(EL)効果を利用している素子を表す。具体的には、本実施の形態の発光素子232として、LED(Light Emitting Diode)、有機EL素子、無機EL素子などを用いることができる。例えば、発光素子232としてLEDを用いる場合には、アルミニウムガリウムヒ素 (AlGaAs)、ガリウムヒ素リン (GaAsP)、インジウム窒化ガリウム (InGaN)、窒化ガリウム (GaN) 、アルミニウム窒化ガリウム (AlGaN)、リン化ガリウム (GaP)、 セレン化亜鉛 (ZnSe)、アルミニウムインジウムガリウムリン (AlGaInP)等をEL層203の材料に用いることができる。
【0029】
筐体200内において、発光素子232の第1電極202と第1端子電極222とは配線207を介して電気的に接続し、第2電極204と第2端子電極221とは配線206を介して電気的に接続する。
【0030】
発光素子232の第1電極202と第1端子電極222との電気的接続、及び第2電極204と第2端子電極221との電気的接続は、電気的接続ができる方法及び構成ならば特に限定されない。例えば、接続部に、バンプを形成して接続をしてもよいし、異方性導電膜を用いてもよいし、用いる導電膜をはんだ接続が可能な材料で形成し、はんだを用いて接続してもよい。また、固定のための樹脂を接続部の周りに設けてもよい。
【0031】
図2の照明装置210は、センサ素子205を設ける例であり、センサ素子205は第1端子電極222及び第2端子電極221と隣接して筐体200の周縁端部に設けられる第3端子電極223及び第4端子電極224に接続されている。センサ素子205としては、温度を検出するサーミスタなどを用いることができる。サーミスタとしては、温度上昇で抵抗値が減少するNTC(Negative Temperature Coeffcient)サーミスタ、温度上昇で抵抗値が増大するPTC(Positive Temperature Coeffcient)サーミスタなどを用いることができる。センサ素子205によって検出された温度に基づいて、照明装置210に供給する電流、電圧値などを制御することが可能となる。
【0032】
また、第1端子電極222及び第2端子電極221は複数設けてもよい。図3の照明装置210は、第1端子電極222a、222b、222c、及び第2端子電極221a、221b、221cを設ける例であり、複数の第1端子電極222a、222b、222cが配線207を介して第1電極202と電気的に接続し、複数の第2端子電極221a、221b、221cが配線206を介して第2電極204と電気的に接続している。第1端子電極及び第2端子電極が複数設けられると供給する電力を大きくすることができる。端子電極の数は照明装置210へ供給する電流、電圧によって適宜調整すればよい。
【0033】
図3では、第1電極202と配線207との接続箇所、第2電極204と配線206との接続箇所は1つの例を示すが、上記接続箇所は複数設けてもよい。また、発光素子232の第1電極202及び第2電極204は、筐体200内に設けられた取り出し端子を介して第1端子電極222及び第2端子電極221と電気的に接続する構成でもよい。取り出し端子は発光素子の形成工程において同時に形成することができる。
【0034】
また、筐体200内に設けられる発光素子232も複数設けてもよく、それぞれの発光素子232が筐体200周縁端部に設けられる端子電極220と独立して接続されてもよいし、複数の発光素子232が並列、又は直列に電気的に接続され、共通した端子電極220に接続されてもよい。例えば、発光色の異なる複数の発光素子を設け、それぞれを外部電源に接続して電流、電圧値を制御することによって、照明装置からの発光色を調節し、演色性を高めることができる。
【0035】
照明装置210が外部電源の端子電極251が設けられた保持部材(ホルダ)250に保持される例を図4(A)(B)を用いて説明する。
【0036】
外部に露出されるように筐体200に設けられた端子電極220(第1端子電極222、第2端子電極221)が外部電源の端子電極251と接するように、図4(A)の矢印の方向へ照明装置210を保持部材250へ挿入する。筐体200に設けられる端子電極220は筐体200の周縁端部において一側面に設けられている。このように一側面に設けられていると、外部電源の端子電極251と接触させる際に位置あわせが容易である。保持部材250には固定部材253及び固定部材252が設けられており、固定部材252は可動式である。照明装置210の挿入時には、固定部材252は照明装置210の挿入領域から除外しておく。
【0037】
図4(B)のように、照明装置210を保持部材250へ挿入し、固定部材252を照明装置210側に動かして照明装置210が脱落しないように固定する。外部電源の端子電極251と照明装置210とが接した状態で照明装置210が保持部材250へ配置されることによって、外部電源と発光素子232とが電気的に接続し、照明装置210に電力を供給することができる。保持部材250に設けられる端子電極251は、弾性材製端子部材を用いると、端子電極251が可動式とすることができる。よって、端子電極220を端子電極251に押圧するように挿入することで、より照明装置210と外部電源との電気接続性を高めることができる。このように、照明装置と外部電源との接続がより容易に行うことができ、照明装置の利便性を高めることができる。
【0038】
また、図5は複数の照明装置210a、210b、210c、210dを保持部材260に配置した例である。このように、複数の照明装置であっても外部電源との接続がより容易に行うことができる。また、本実施の形態で示す利便性が高い照明装置は、発光素子が薄膜状であり、照明装置のデザインの自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置とすることができる。
【0039】
また発光素子232の上面を覆う無機絶縁膜を設けることが好ましい。また、発光素子232の光放射面と筐体との間にも無機絶縁膜を設ける構成としてもよい。無機絶縁膜は、外部からの水等の汚染物質から保護する保護層、封止膜として機能する。無機絶縁膜を設けることで、発光素子232の劣化を軽減し、照明装置の耐久性や寿命を向上させることができる。
【0040】
無機絶縁膜としては窒化膜、及び窒化酸化膜の単層又は積層を用いることができる。具体的には、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムなどを用いて、材料に合わせてCVD法、スパッタ法等により形成することができる。好ましくは、窒化珪素を用いてCVD法により形成するとよい。無機絶縁膜の膜厚は100nm以上1μm以下程度とすればよい。
【0041】
また、無機絶縁膜として、酸化アルミニウム膜、ダイアモンドライクカーボン(DLC)膜、窒素含有炭素膜、硫化亜鉛及び酸化珪素を含む膜を用いてもよい。
【0042】
また、図6(A)(B)に示すように発光素子232の上面には、第1筐体270に対向する金属板280を設けてもよい。金属板280の膜厚に特に限定はないが、例えば、10μm以上200μm以下のものを用いると、照明装置の軽量化が図れるため好ましい。また、金属板280を構成する材料としては特に限定はないが、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属、または、アルミニウム合金若しくはステンレスなどの金属の合金などを好ましく用いることができる。
【0043】
金属板280と第1筐体270とは、接着層281によって接着して、発光素子232を封止することができる。接着層281としては、可視光硬化性、紫外線硬化性、または熱硬化性の接着剤を用いることができる。これらの接着剤の材質としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。接着層281に乾燥剤となる吸水物質を含ませてもよい。
【0044】
金属板280は透水性が低いため、該金属板280と第1筐体270とで発光素子232を封止することで、発光素子232への水分の侵入を抑制することが可能である。よって、金属板280を設けることで、水分に起因する劣化の抑制された信頼性の高い照明装置とすることが可能である。
【0045】
金属板280の代わりに無機絶縁膜や、ガラス基板、石英基板などを用いてもよい。
【0046】
発光素子232が設けられている筐体200の空間に乾燥剤となる吸水物質を設けてもよい。吸水物質は粉状など固体の状態で配置してもよいし、スパッタ法などの成膜法によって吸水物質を含む膜の状態で発光素子232上に設けられてもよい。
【0047】
照明装置210には、光放射面側に光学フィルムを設けてもよい。例えば筐体200において光放射面を覆う領域(第1筐体270)の発光素子232と反対側に拡散フィルムを設けてもよい。
【0048】
図10(A)(B)は、第1筐体241、242において、光放射面側(発光素子232と反対側)にマイクロレンズアレイのような複数の凹凸形状を有する例である。照明装置210において、第1筐体241、242を光放射面側に複数の凹凸形状を有する構成とすることで、第1筐体241、242と大気との界面で全反射を抑制することができるため、筐体の外部への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0049】
凹凸形状を有する第1筐体241は、材料として有機樹脂を用いて形成することが可能である。有機樹脂の形状は、当該有機樹脂の特性に応じて加熱処理や光照射処理を行って加工することができる。例えば、筐体の凹凸形状の型となる凹凸形状を有する支持体を用意し、筐体の材料として熱可塑性の有機樹脂を用いて、加熱処理を行いながら、熱可塑性の有機樹脂を支持体に押圧して支持体の形状を反映するように変形し、その後冷却して硬化を行うことで、凹凸形状を有する第1筐体241を形成することできる。
【0050】
第1筐体241に用いる部材の具体例としては、有機樹脂(プラスチック)が挙げられる。プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等からなる部材が挙げられる。
【0051】
図13に、図10(A)に示す第1筐体241の断面図及び平面図の例を示す。図13(A2)及び図13(B2)は、凹凸形状を有する第1筐体241a及び第1筐体241bの平面図の例である。図13(A1)は、図13(A2)の線分X1−Y1における断面図であり、図13(B1)は、図13(B2)の線分X2−Y2における断面図である。
【0052】
図13(A1)及び(A2)に示す第1筐体241aは、半円形状の凹凸形状を有する。また、図13(B1)及び(B2)に示す第1筐体241bは、底面が正六角形状の凹凸形状を有する。第1筐体241の有する複数の凹凸形状のピッチ、又は底面形状は様々に設定することが可能であり、図13の構成に限定されない。例えば、円錐、角錐(三角錐、四角錐等)等の頂点を有する凹凸形状としてもよい。但し、図13(B1)及び(B2)に示すように、底面が正六角形状の凹凸形状として凹凸形状をいわゆるハニカム構造とすることで、凹凸形状の充填密度を向上させることができ、筐体の外部への光の取り出し効率がより向上するため好ましい。
【0053】
また、図10(B)に示すように、光放射面側(発光素子232と反対側)と、発光素子232側の双方にマイクロレンズアレイのような複数の凹凸形状を有する第1筐体242を用いることもできる。
【0054】
図10(B)に示す第1筐体242は、双方に複数の凹凸形状を有している。また、図10(B)において、発光素子232側に設けられた複数の凹凸形状は、発光素子232と重畳する領域である。また、第1筐体242の発光素子232側であって、凹凸形状を有する領域には、当該凹凸形状に接して高屈折率材料層234が設けられている。なお、第1筐体242に設けられる凹凸形状は、ストライプ状であっても効果を奏するが、マトリクス状とするのが好ましい。
【0055】
図10(B)に示す第1筐体242は、第1筐体242の光放射面側に複数の凹凸形状を有することで、第1筐体242と大気との界面で全反射を抑制することができる。さらに、第1筐体242と高屈折率材料層234との間に複数の凹凸形状を有するため、高屈折率材料層234と第1筐体242との界面で全反射を抑制することができ、筐体の外部への光の取り出し効率をより向上させることができる。
【0056】
第1筐体242に用いることができる材料としては、例えば、屈折率が1.0より高く1.6より低いガラスや樹脂などが挙げられる。樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、またはポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。特に、屈折率が1.4以上1.6未満の材料を用いることが好ましい。
【0057】
上述の材料に、凹凸形状を作製するための方法としては、例えば、エッチング法、砥粒加工法(サンドブラスト法)、マイクロブラスト加工法、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法、インプリント法、ナノインプリント法等を適宜用いることができる。
【0058】
また、高屈折率材料層234は、高屈折率ガラスや、液体、樹脂からなる。高屈折率材料層234は、透光性を有し、その屈折率は、1.6以上、好ましくは1.7以上2.1以下とする。高屈折率の樹脂としては、臭素が含まれる樹脂、硫黄が含まれる樹脂などが挙げられ、例えば、含硫黄ポリイミド樹脂、エピスルフィド樹脂、チオウレタン樹脂、又は臭素化芳香族樹脂などを用いることができる。また、PET(ポリエチレンテレフタラート)、TAC(トリアセチルセルロース)なども用いることができる。高屈折率の液体としては、硫黄及びヨウ化メチレンを含む接触液(屈折液)などを用いることができる。成膜方法としては、材料にあった種々の方法を適用すれば良い。例えば、前述の樹脂を、スピンコート法を用いて第1筐体242の発光素子232側に設けられた複数の凹凸形状に接して選択的に成膜し、熱または光によって硬化させることで形成することができる。接着強度や加工のしやすさなどを考慮し適宜選択することができる。なお、高屈折率材料層234は、第1筐体242の発光素子232側に設けられた複数の凹凸形状の平坦化膜としても機能している。
【0059】
一般に、高屈折率の樹脂は高価であるが、図10(B)に示す照明装置において高屈折率材料層234は、発光素子232と重畳する領域であって複数の凹凸形状に接して選択的に形成すればよく、またその膜厚は数十μm程度といった薄い膜厚である。したがって、光取り出し効率の高い照明装置を低コストで製造することができる。
【0060】
凹凸形状は、高屈折率材料層234と接する側の凹凸の大きさ、高さについては、0.1〜100μm程度とすることが好ましい。逆側の凹凸の大きさ、高さについては、0.1〜1000μm程度とすることが好ましい。高屈折率材料層234と接する側の凹凸形状の大きさは、高屈折率材料層234に用いる材料の使用量に影響を与えるため、凹凸の大きさ、高さの許容範囲が狭い。一方、逆側の面の凹凸形状は、1000μmを超えた大きさ、高さの構造を採用しても問題ない。また、どちらの面の凹凸形状も、特に、1μm以上であると、光の干渉による影響を抑制することができるため、好ましい。
【0061】
また、図10(B)において、発光素子232と第1筐体242の間には、無機絶縁膜235が設けられている。当該無機絶縁膜235としては、屈折率が1.6以上の窒化膜を用いると、光の取り出し効率が低下することなく、発光素子への不純物の拡散を防ぐことができるため好ましい。
【0062】
本実施の形態の照明装置は、外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電源の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。よって、照明装置と外部電源との接続がより容易に行うことができ、照明装置の利便性を高めることができる。
【0063】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0064】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1において、補助配線が設けられた照明装置の例を図11及び図12を用いて説明する。従って、他は実施の形態1と同様に行うことができ、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程の繰り返しの説明は省略する。
【0065】
なお、図11及び図12は照明装置の平面図であるが、筐体200に設けられる端子電極、及び該端子電極と発光素子との接続は省略している。
【0066】
図11において、筐体200に設けられた発光素子の補助配線として第1電極202とEL層203との間にストライプ形状の補助配線290が設けられている。補助配線290上には補助配線290と第2電極204とのショートを防止するために、補助配線290を覆うように絶縁層293が設けられている。また、第2電極204上に発光素子を覆うように無機絶縁膜238が設けられている。
【0067】
図11及び図12においては、第1電極202を取り出し端子291a、291bを介して、第2電極204を取り出し端子292a、292bを介して筐体200に設けられた端子電極にそれぞれ接続する例である。
【0068】
第1電極202は補助配線290を介して取り出し端子291a、291bと電気的に接続されている。第2電極204は取り出し端子292a、292bと電気的に接続されている。本実施の形態のように取り出し端子を複数、また広い面積で設けることで電圧降下を防止することができる。
【0069】
図12(A)及び図12(B)に補助配線の形状の例を示す。図12(A)の補助配線295は取り出し端子291a、291bと連続した導電膜で形成される例である。補助配線295は第1電極202と接して形成され、ストライプ状の形状である。図12(B)の補助配線296も取り出し端子291a、291bと連続した導電膜で形成される例である。補助配線296は格子状(葉脈状)の形状を有し、線幅の太い領域と細い領域を有する。
【0070】
補助配線290、295、296は、導電性材料を用いればよく例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)から選ばれた材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。また、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を用いてもよい。
【0071】
補助配線290、295、296は、筐体200と第1電極202との間に設けてもよい。また、筐体200に設けられた凹部(溝部)に配置してもよい。
【0072】
筐体200の凹部は、型となる支持体を用いて凹凸を有する形状になるように有機樹脂を加工する際、同時に形成することができる。勿論、別工程においてエッチングにより筐体200に凹部を形成してもよい。
【0073】
凹部を有する筐体200上に無機絶縁膜を形成し、筐体200の凹部を埋めるように無機絶縁膜上に補助配線を形成すればよい。
【0074】
補助配線290、295、296はスパッタ法、蒸着法、塗布法などを用いて導電膜を形成し、該導電膜を選択的に除去することによって形成することができる。
【0075】
また、インクジェット法、印刷法などを用いて補助配線290、295、296を選択的に形成してもよい。例えば、印刷法を用いて補助配線290、295、296を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成の際は、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよい。なお、上記導電性のペーストは発光素子232と筐体200に設けられた端子電極とを電気的に接続する導電層にも用いることができる。
【0076】
補助配線を設けることにより、照明装置の低消費電力化が可能になる。
【0077】
本実施の形態の照明装置は、外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電源の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。よって、照明装置と外部電源との接続がより容易に行うことができ、照明装置の利便性を高めることができる。
【0078】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0079】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である照明装置に用いる発光素子の素子構造の一例について説明する。
【0080】
図7(A)に示す発光素子は、第1電極202と、第1電極202上にEL層203と、EL層203上に、第2電極204を有する。
【0081】
EL層203は、少なくとも発光性の有機化合物を含む発光層が含まれていれば良い。そのほか、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。本実施の形態において、EL層203は、第1電極202側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、及び電子注入層705の順で積層されている。
【0082】
図7(A)に示す発光素子の作製方法について説明する。
【0083】
まず、第1電極202を形成する。第1電極202は、EL層から見て、光の取り出し方向に設けられるため、透光性を有する材料を用いて形成する。
【0084】
透光性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。
【0085】
また、第1電極202として、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又はチタン等の金属材料を用いることができる。または、それら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いてもよい。なお、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合、透光性を有する程度に薄くすればよい。
【0086】
次に、第1電極202上に、EL層203を形成する。本実施の形態において、EL層203は、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705を有する。
【0087】
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0088】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0089】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0090】
特に、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、第1電極202からの正孔注入性を良好にし、発光素子の駆動電圧を低減することができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。該複合材料を用いて正孔注入層701を形成することにより、第1電極202からEL層203への正孔注入が容易となる。
【0091】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0092】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
【0093】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0094】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0095】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0096】
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層701に用いてもよい。
【0097】
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、NPB、TPD、BPAFLP、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0098】
また、正孔輸送層702には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。
【0099】
また、正孔輸送層702には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0100】
発光層703は、発光性の有機化合物を含む層である。発光性の有機化合物としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0101】
発光層703に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)]−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0102】
また、発光層703に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)2(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)2(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq)3)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)2(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)2(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{2−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルピラジナト}イリジウム(III)(略称:Ir(dmmoppr)2(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq)3)、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)2(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)2(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(acac))、(ジピバロイルメタナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(dpm))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)3(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)3(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
【0103】
なお、発光層703としては、上述した発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0104】
ホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0105】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0106】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0107】
また、発光層703として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:PFO)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
【0108】
なお、発光層を2層以上の積層構造としても良い。発光層を2層以上の積層構造とし、各々の発光層に用いる発光物質の種類を変えることにより様々な発光色を得ることができる。また、発光物質として発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、ブロードなスペクトルの発光や白色発光を得ることもできる。特に、高輝度が必要とされる照明用途には、発光層を積層させた構造が好適である。
【0109】
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0110】
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層705には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
【0111】
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0112】
EL層は、図7(B)に示すように、第1電極202と第2電極204との間に複数積層されていても良い。この場合、積層された第1EL層800と第2EL層801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
【0113】
図7(B)に示すように積層されるEL層の間に電荷発生層803を配置すると、電流密度を低く保ったまま、高輝度でありながら長寿命な素子とできる。また、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
【0114】
また、EL層が2層積層された構成を有する積層型素子の場合において、第1EL層から得られる発光の発光色と第2EL層から得られる発光の発光色を補色の関係にすることによって、白色発光を外部に取り出すことができる。なお、第1EL層および第2EL層のそれぞれが補色の関係にある複数の発光層を有する構成としても、白色発光が得られる。補色の関係としては、青色と黄色、あるいは青緑色と赤色などが挙げられる。青色、黄色、青緑色、赤色に発光する物質としては、例えば、先に列挙した発光物質の中から適宜選択すればよい。
【0115】
以下に、複数のEL層が積層する構成を有する発光素子の一例を示す。まず第1EL層および第2EL層のそれぞれが補色の関係にある複数の発光層を有し、白色発光が得られる構成の一例を示す。
【0116】
例えば、第1EL層は、青色〜青緑色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第1発光層と、黄色〜橙色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第2発光層とを有し、第2EL層は、青緑色〜緑色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第3発光層と、橙色〜赤色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第4発光層とを有するものとする。
【0117】
この場合、第1EL層からの発光は、第1発光層および第2発光層の両方からの発光を合わせたものであるので、青色〜青緑色の波長領域および黄色〜橙色の波長領域の両方にピークを有する発光スペクトルを示す。すなわち、第1EL層は2波長型の白色または白色に近い色の発光を呈する。
【0118】
また、第2EL層からの発光は、第3発光層および第4発光層の両方からの発光を合わせたものであるので、青緑色〜緑色の波長領域および橙色〜赤色の波長領域の両方にピークを有する発光スペクトルを示す。すなわち、第2EL層は、第1EL層とは異なる2波長型の白色または白色に近い色の発光を呈する。
【0119】
したがって、第1EL層からの発光および第2EL層からの発光を重ね合わせることにより、青色〜青緑色の波長領域、青緑色〜緑色の波長領域、黄色〜橙色の波長領域、橙色〜赤色の波長領域をカバーする白色発光を得ることができる。
【0120】
また、黄色〜橙色の波長領域(560nm以上580nm未満)は、視感度の高い波長領域であるため、発光スペクトルのピークが黄色〜橙色の波長領域にある発光層を有するEL層を発光層に適用することは有用である。例えば、発光スペクトルのピークが青色の波長領域にある発光層を有する第1EL層と、発光スペクトルのピークが黄色の波長領域にある発光層を有する第2EL層と、発光スペクトルのピークが赤色の波長領域にある発光層を有する第3EL層と、を積層させた構成を適用することができる。
【0121】
また、黄色〜橙色を呈するEL層を2層以上積層する構成としてもよい。黄色〜橙色を呈するEL層を2層以上積層することによって発光素子の電力効率をより向上させることができる。
【0122】
例えば、EL層を3層積層させた発光素子を構成する場合において、発光スペクトルのピークが青色の波長領域(400nm以上480nm未満)にある発光層を有する第1EL層に、発光スペクトルのピークが黄色〜橙色の波長領域にある発光層をそれぞれ有する第2、第3EL層を積層する構成を適用することができる。なお、第2EL層及び第3EL層からの発光スペクトルのピークの波長は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0123】
発光スペクトルのピークが黄色〜橙色の波長領域にあるEL層を用いることにより、視感度の高い波長領域を利用することができ、電力効率を高めることができる。これによって、発光素子全体の電力効率を高めることができる。このような構成は、例えば緑色の発光色を呈するEL層と赤色の発光色を呈するEL層とを積層して黄色〜橙色の発光を呈する発光素子を得る場合と比較して視感度の観点で有利であり、電力効率を高められる。また、黄色〜橙色の波長領域にある視感度の高い波長領域を利用したEL層が1層のみの場合と比較して、視感度の低い青色の波長領域の発光強度が相対的に小さくなるため、発光色は電球色(あるいは温白色)に近づき、かつ電力効率が向上する。
【0124】
つまり、上記において、黄色〜橙色の波長領域にピークを有し、かつ、ピークの波長が560nm以上580nm未満にある光と、青色の波長領域にピークを有する光と、を合成した光の色(つまり、発光素子から発光される光の色)とすることで、温白色や電球色のような自然な光の色を実現することができる。特に電球色を実現が容易である。
【0125】
黄色〜橙色の波長領域にピークを有する発光性の物質として、例えばピラジン誘導体を配位子とする有機金属錯体を用いることができる。また、発光性の物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させることにより、発光層を構成することもできる。上記黄色〜橙色の波長領域にピークを有する発光性の物質として、燐光性化合物を用いることができる。燐光性化合物を用いることにより、蛍光性化合物を用いた場合と比べて電力効率を3〜4倍高めることができる。上述したピラジン誘導体を配位子とする有機金属錯体は燐光性化合物であり、発光効率が高い上に、黄色〜橙色の波長領域の発光を得やすく、好適である。
【0126】
また、青色の波長領域にピークを有する発光性の物質として、例えばピレンジアミン誘導体を用いることができる。上記青色の波長領域にピークを有する発光性の物質として、蛍光性化合物を用いることができる。蛍光性化合物を用いることにより、燐光性化合物を用いた場合と比べて長寿命の発光素子を得ることができる。上述したピレンジアミン誘導体は蛍光性化合物であり、極めて高い量子収率が得られる上に、長寿命であるため、好適である。
【0127】
EL層203は、図7(C)に示すように、第1電極202と第2電極204との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2電極204と接する複合材料層708を有していても良い。
【0128】
第2電極204と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2電極204を形成する際に、EL層203が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。
【0129】
さらに、電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
【0130】
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0131】
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0132】
さらに、電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0133】
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。
【0134】
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708におけるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0135】
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0136】
電子リレー層707に含まれるフタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、SnPc(Phthalocyanine tin(II) complex)、ZnPc(Phthalocyanine zinc complex)、CoPc(Cobalt(II)phthalocyanine, β−form)、FePc(Phthalocyanine Iron)及びPhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)のいずれかを用いることが好ましい。
【0137】
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。また、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体は安定であると考えられる。したがって、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることにより発光素子を低電圧でより安定に駆動することが可能になる。
【0138】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。具体的には、VOPc(Vanadyl phthalocyanine)、SnOPc(Phthalocyanine tin(IV) oxide complex)及びTiOPc(Phthalocyanine titanium oxide complex)のいずれかは、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高いため好ましい。
【0139】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0140】
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいても良い。ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウムなどの酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウムなどの炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、又は希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセンなどの有機化合物を用いることができる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0141】
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0142】
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等が挙げられる。
【0143】
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN)6)、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等が挙げられる。
【0144】
その他にも、7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7,8,8,8,ペンタデカフルオロオクチル−1、4、5、8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン)(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を用いることができる。
【0145】
なお、電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質とドナー性物質との共蒸着などの方法によって電子リレー層707を形成すれば良い。
【0146】
正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、及び電子輸送層704は前述の材料を用いてそれぞれ形成すれば良い。
【0147】
そして、EL層203上に、第2電極204を形成する。
【0148】
第2電極204は、光の取り出し方向と反対側に設けられ、反射性を有する材料を用いて形成される。反射性を有する材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料を用いることができる。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や銀と銅の合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜、又は金属酸化物膜を積層することでアルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。上述の材料は、地殻における存在量が多く安価であるため、発光素子の作製コストを低減することができ、好ましい。
【0149】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0150】
(実施の形態4)
本実施の形態では、照明装置の応用例を示す。
【0151】
図8は、本発明の一態様である照明装置を室内の照明装置として用いた一例を示している。本発明の一態様である照明装置は、天井用照明装置8202としてのみならず、壁用照明装置8204としても用いることが可能である。また、当該照明装置は、卓上照明装置8206としても用いることが可能である。また本発明の一態様である照明装置は、面光源の光源を有するため、点光源の光源を用いた場合に比べ、光反射板等の部材を削減することができ、または熱の発生が白熱電球に比べて小さい点等、室内の照明装置として好ましい。
【0152】
次に、本発明の一態様である照明装置を、誘導灯等の照明装置として適用した例について図9に示す。
【0153】
本発明の一態様である照明装置を避難口誘導灯に適用した例について図9(A)に示す。
【0154】
図9(A)は、一例として、避難口誘導灯の外観について示した図である。避難口誘導灯8232は、照明装置と、蛍光部が設けられた蛍光板とを組み合わせて構成することができる。また、特定の色を発光する照明装置と、図面のような形状の透過部が設けられた遮光板とを組み合わせて構成することもできる。本発明の一態様である照明装置は、一定の輝度で点灯することができるため、常時点灯が求められる避難口誘導灯として好ましい。
【0155】
本発明の一態様である照明装置を屋外用照明に適用した例について図9(B)に示す。
【0156】
屋外用照明の一つとして例えば街灯が挙げられる。街灯は、例えば図9(B)に示すように、筐体8242と、照明部8244と、を有する構成とすることができる。本発明の一態様である照明装置は、照明部8244に複数配置して用いることができる。図9(B)に示すように、街灯は、例えば道路沿いに設置して照明部8244により周囲を照らすことができるため、道路を含め周囲の視認性を向上させることができる。
【0157】
なお、街灯に電源電圧を供給する場合には、例えば図9(B)に示すように、電柱8246の送電線8248を介して電源電圧を供給することができる。ただしこれに限定されず、例えば光電変換装置を筐体8242に設け、光電変換装置により得られた電圧を電源電圧として利用することもできる。
【0158】
また、本発明の一態様である照明装置を携帯用照明に適用した例について図9(C)及び図9(D)に示す。図9(C)は、装着型ライトの構成を示す図であり、図9(D)は手持ち型ライトの構成を示す図である。
【0159】
図9(C)に示す装着型ライトは、装着部8252と、照明部8254を有し、照明部8254は装着部8252に固定されている。本発明の一態様である照明装置は、照明部8254に用いることができる。図9(C)に示す装着型ライトは、装着部8252を頭部に装着し、照明部8254を発光させることができる。また、照明部8254として面光源の光源を用いることにより、周囲の視認性を向上させることができる。また、照明部8254は軽量であるため、頭部に装着して使用する際の負担を軽減することができる。
【0160】
なお、図9(C)に示す装着型ライトの構成に限定されず、例えば装着部8252をリング状にした平紐やゴム紐のベルトにし、該ベルトに照明部8254を固定し、該ベルトを頭部に直接巻きつける構成とすることもできる。
【0161】
図9(D)に示す手持ち型ライトは、筐体8262と、照明部8266と、スイッチ8264と、を有する。本発明の一態様である照明装置は、照明部8266に用いることができる。本発明の一態様である照明装置を照明部8266に用いることにより、照明部8266の厚さを薄くすることができ、小型にすることができるため、携帯しやすくすることができる。
【0162】
スイッチ8264は、照明部8266の発光または非発光を制御する機能を有する。また、スイッチ8264は、例えば発光時の照明部8266の輝度を調節する機能を有することもできる。
【0163】
図9(D)に示す手持ち型ライトは、スイッチ8264により照明部8266を発光させることにより、周囲を照らすことができるため、周囲の視認性を向上させることができる。また本発明の一態様である照明装置は、面光源の光源を有するため、点光源の光源を用いた場合に比べ、光反射板等の部材を削減することも可能である。
【0164】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、エレクトロルミネセンスを発現する発光部材を含む照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱電球や蛍光灯よりも発光効率が高いという試算から、次世代の照明器具としてエレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置が注目されている。エレクトロルミネセンス材料は蒸着法や塗布法などの製法により厚さ1μm以下の薄膜で形成可能であり、照明装置として形態にも工夫が施されている。例えば、エレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置を大面積化しても輝度を均一に保つことができる照明装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−332773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような照明装置は外部電源より電力を供給されることで点灯する。
【0005】
本発明の一形態はエレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置において、外部電源との接続をより容易に行い、利便性を高めることを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレクトロルミネセンス(EL)層を含む発光素子を有する照明装置において、発光素子を内包する筐体は、周縁端部に発光素子と電気的に接続する端子電極を有する。外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電源の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。
【0007】
本発明の一形態は、第1電極及び第2電極に挟持されたEL層を含む発光素子と、発光素子を内包し、かつ周縁端部に第1端子電極及び第2端子電極が設けられた筐体とを有し、筐体内において、第1電極と第1端子電極とは電気的に接続し、第2電極と第2端子電極とは電気的に接続し、筐体において発光素子の光放射面を覆う領域と、第1電極と第2電極において発光素子の光放射面に設けられる少なくとも一方とは透光性を有し、第1端子電極及び第2端子電極が外部電源の端子電極とそれぞれ接することで外部電源及び発光素子が電気的に接続する。なお、本明細書において透光性とは、少なくとも可視光の波長領域の光に対して光を透過する性質を指す。
【0008】
本発明の他の一形態は、第1電極及び第2電極に挟持されたEL層を含む発光素子と、発光素子を内包し、かつ周縁端部に第1端子電極、第2端子電極、第3端子電極、及び第4端子電極が設けられた筐体とを有し、筐体内において、第1電極と第1端子電極とは電気的に接続し、第2電極と第2端子電極とは電気的に接続し、第3端子電極及び第4端子電極はセンサ素子と電気的に接続し、筐体において発光素子の光放射面を覆う領域と、第1電極と第2電極において発光素子の光放射面に設けられる少なくとも一方とは透光性を有し、第1端子電極、第2端子電極、第3端子電極、及び第4端子電極が外部電源の端子電極とそれぞれ接することで外部電源と、発光素子及びセンサ素子とがそれぞれ電気的に接続する。
【0009】
センサ素子としては、温度を検出するサーミスタなどを用いることができる。センサ素子によって検出された温度に基づいて、照明装置に供給する電流、電圧値などを制御することが可能となる。
【0010】
発光素子の第1電極及び第2電極は、筐体内に設けられた取り出し端子を介して第1端子電極及び第2端子電極と電気的に接続する構成でもよい。取り出し端子は発光素子の形成工程において同時に形成することができる。
【0011】
また、第1端子電極及び第2端子電極は複数設けてもよい。第1端子電極及び第2端子電極が複数設けられると供給する電力を大きくすることができる。筐体に設けられる発光素子も複数設けてもよく、それぞれの発光素子が筐体周縁部に設けられる端子電極と独立して接続されてもよいし、複数の発光素子が並列、又は直列に電気的に接続され、共通した端子電極に接続されてもよい。
【0012】
また発光素子の上面を覆う無機絶縁膜を設けることが好ましい。また、発光素子の光放射面と筐体との間にも無機絶縁膜を設ける構成としてもよい。無機絶縁膜は、外部からの水等の汚染物質から発光素子を保護する保護層、封止膜として機能する。無機絶縁膜としては窒化膜、及び窒化酸化膜の単層又は積層を用いることができる。無機絶縁膜を設けることで、発光素子の劣化を軽減し、照明装置の耐久性や寿命を向上させることができる。
【0013】
発光素子の光放射面の形状は、四角形のような多角形のほか、円形であってもよく、発光素子を覆う筐体の形状も該光放射面の形状に対応させればよく、直方体、多角柱、円柱などを用いることができる。
【0014】
また、EL層は中間層を介して2層以上設けられる構成としてもよい。発光色の異なるEL層を複数積層することで放射される光の色を調節することができる。また、同色であっても複数層設けることで電力効率を向上させる効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一形態である照明装置は、外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電源の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。よって、照明装置と外部電源との接続がより容易に行うことができ、照明装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】照明装置を説明する図。
【図2】照明装置を説明する図。
【図3】照明装置を説明する図。
【図4】照明装置を説明する図。
【図5】照明装置を説明する図。
【図6】照明装置を説明する断面図。
【図7】照明装置に適用できる発光素子の例を説明する図。
【図8】照明装置の使用形態の一例を説明する図。
【図9】照明装置の使用形態の一例を説明する図。
【図10】照明装置を説明する断面図。
【図11】照明装置を説明する平面図。
【図12】照明装置を説明する平面図。
【図13】照明装置を説明する断面図及び平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下の説明に限定されず、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の照明装置の一形態について図1乃至図6、及び図10を用いて説明する。
【0019】
図1乃至図3は照明装置を説明する図であり、上部の図が平面図、下部の図が側面図である。図6(A)は、図1の平面図における線A1−A2の断面図、図6(B)は図1の平面図における線A3−A4の断面図である。
【0020】
図1に示す照明装置210において、EL層203を含む発光素子232を内包する筐体200は、周縁端部に発光素子232と電気的に接続する端子電極220(第1端子電極222、第2端子電極221)を有する。
【0021】
発光素子232の光放射面の形状は、四角形のような多角形のほか、円形であってもよく、発光素子232を覆う筐体200の形状も該光放射面の形状に対応させればよく、直方体、多角柱、円柱などを用いることができる。本明細書に用いる発光素子232は薄膜の積層構造であるため、筐体200も薄型の形状とすることができる。
【0022】
発光素子232を覆う筐体200は複数の筐体を接着して組み合わせることで形成することができる。図6では、筐体200を発光素子232の光放射面を覆う第1筐体270と、上面を覆う第2筐体230によって構成する例である。
【0023】
また、図10(A)は、第1筐体241、第2筐体230、第3筐体271を接着して筐体200を構成する例である。第3筐体271には端子電極220(図中では第2端子電極221)が設けられている。図10(B)は、第1筐体242と第2筐体230、第3筐体271とを接着層237a、237b、237cによって接着する例である。また図10(B)は筐体200内の空間を樹脂236で充填する例である。樹脂236を充填することにより照明装置の強度を高めることができる。
【0024】
また、第1筐体270、241、242の大きさとしては、発光装置の用途によって適宜設定することが可能である。例えば、直径10cm乃至14cm、好ましくは直径12cmの円盤形状、5インチ角の正方形などとすればよい。
【0025】
接着には接着層を用いてもよいし、筐体に熱可塑性の有機樹脂を用いる場合、熱圧着処理によって接着することができる。接着層としては、可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。これらの接着剤の材質としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0026】
筐体200に用いる部材の具体例としては、プラスチック(有機樹脂)、ガラス、または石英などを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等からなる部材が挙げられる。なお、発光素子232の上面を覆う第2筐体230は有機樹脂を用いることが好ましい。プラスチックを用いると、照明装置の軽量化を実現することができる。
【0027】
発光素子232は、第1電極202、EL層203、及び第2電極204を含み、EL層203からの光は第1電極202及び第1筐体270を通過して外部へ放射されるため、第1電極202側が光放射面となる。よって第1電極202及び第1筐体270は少なくともEL層203からの光を透過する透光性を有する。
【0028】
なお、本明細書において、発光素子とは発光原理にエレクトロルミネッセンス(EL)効果を利用している素子を表す。具体的には、本実施の形態の発光素子232として、LED(Light Emitting Diode)、有機EL素子、無機EL素子などを用いることができる。例えば、発光素子232としてLEDを用いる場合には、アルミニウムガリウムヒ素 (AlGaAs)、ガリウムヒ素リン (GaAsP)、インジウム窒化ガリウム (InGaN)、窒化ガリウム (GaN) 、アルミニウム窒化ガリウム (AlGaN)、リン化ガリウム (GaP)、 セレン化亜鉛 (ZnSe)、アルミニウムインジウムガリウムリン (AlGaInP)等をEL層203の材料に用いることができる。
【0029】
筐体200内において、発光素子232の第1電極202と第1端子電極222とは配線207を介して電気的に接続し、第2電極204と第2端子電極221とは配線206を介して電気的に接続する。
【0030】
発光素子232の第1電極202と第1端子電極222との電気的接続、及び第2電極204と第2端子電極221との電気的接続は、電気的接続ができる方法及び構成ならば特に限定されない。例えば、接続部に、バンプを形成して接続をしてもよいし、異方性導電膜を用いてもよいし、用いる導電膜をはんだ接続が可能な材料で形成し、はんだを用いて接続してもよい。また、固定のための樹脂を接続部の周りに設けてもよい。
【0031】
図2の照明装置210は、センサ素子205を設ける例であり、センサ素子205は第1端子電極222及び第2端子電極221と隣接して筐体200の周縁端部に設けられる第3端子電極223及び第4端子電極224に接続されている。センサ素子205としては、温度を検出するサーミスタなどを用いることができる。サーミスタとしては、温度上昇で抵抗値が減少するNTC(Negative Temperature Coeffcient)サーミスタ、温度上昇で抵抗値が増大するPTC(Positive Temperature Coeffcient)サーミスタなどを用いることができる。センサ素子205によって検出された温度に基づいて、照明装置210に供給する電流、電圧値などを制御することが可能となる。
【0032】
また、第1端子電極222及び第2端子電極221は複数設けてもよい。図3の照明装置210は、第1端子電極222a、222b、222c、及び第2端子電極221a、221b、221cを設ける例であり、複数の第1端子電極222a、222b、222cが配線207を介して第1電極202と電気的に接続し、複数の第2端子電極221a、221b、221cが配線206を介して第2電極204と電気的に接続している。第1端子電極及び第2端子電極が複数設けられると供給する電力を大きくすることができる。端子電極の数は照明装置210へ供給する電流、電圧によって適宜調整すればよい。
【0033】
図3では、第1電極202と配線207との接続箇所、第2電極204と配線206との接続箇所は1つの例を示すが、上記接続箇所は複数設けてもよい。また、発光素子232の第1電極202及び第2電極204は、筐体200内に設けられた取り出し端子を介して第1端子電極222及び第2端子電極221と電気的に接続する構成でもよい。取り出し端子は発光素子の形成工程において同時に形成することができる。
【0034】
また、筐体200内に設けられる発光素子232も複数設けてもよく、それぞれの発光素子232が筐体200周縁端部に設けられる端子電極220と独立して接続されてもよいし、複数の発光素子232が並列、又は直列に電気的に接続され、共通した端子電極220に接続されてもよい。例えば、発光色の異なる複数の発光素子を設け、それぞれを外部電源に接続して電流、電圧値を制御することによって、照明装置からの発光色を調節し、演色性を高めることができる。
【0035】
照明装置210が外部電源の端子電極251が設けられた保持部材(ホルダ)250に保持される例を図4(A)(B)を用いて説明する。
【0036】
外部に露出されるように筐体200に設けられた端子電極220(第1端子電極222、第2端子電極221)が外部電源の端子電極251と接するように、図4(A)の矢印の方向へ照明装置210を保持部材250へ挿入する。筐体200に設けられる端子電極220は筐体200の周縁端部において一側面に設けられている。このように一側面に設けられていると、外部電源の端子電極251と接触させる際に位置あわせが容易である。保持部材250には固定部材253及び固定部材252が設けられており、固定部材252は可動式である。照明装置210の挿入時には、固定部材252は照明装置210の挿入領域から除外しておく。
【0037】
図4(B)のように、照明装置210を保持部材250へ挿入し、固定部材252を照明装置210側に動かして照明装置210が脱落しないように固定する。外部電源の端子電極251と照明装置210とが接した状態で照明装置210が保持部材250へ配置されることによって、外部電源と発光素子232とが電気的に接続し、照明装置210に電力を供給することができる。保持部材250に設けられる端子電極251は、弾性材製端子部材を用いると、端子電極251が可動式とすることができる。よって、端子電極220を端子電極251に押圧するように挿入することで、より照明装置210と外部電源との電気接続性を高めることができる。このように、照明装置と外部電源との接続がより容易に行うことができ、照明装置の利便性を高めることができる。
【0038】
また、図5は複数の照明装置210a、210b、210c、210dを保持部材260に配置した例である。このように、複数の照明装置であっても外部電源との接続がより容易に行うことができる。また、本実施の形態で示す利便性が高い照明装置は、発光素子が薄膜状であり、照明装置のデザインの自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置とすることができる。
【0039】
また発光素子232の上面を覆う無機絶縁膜を設けることが好ましい。また、発光素子232の光放射面と筐体との間にも無機絶縁膜を設ける構成としてもよい。無機絶縁膜は、外部からの水等の汚染物質から保護する保護層、封止膜として機能する。無機絶縁膜を設けることで、発光素子232の劣化を軽減し、照明装置の耐久性や寿命を向上させることができる。
【0040】
無機絶縁膜としては窒化膜、及び窒化酸化膜の単層又は積層を用いることができる。具体的には、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムなどを用いて、材料に合わせてCVD法、スパッタ法等により形成することができる。好ましくは、窒化珪素を用いてCVD法により形成するとよい。無機絶縁膜の膜厚は100nm以上1μm以下程度とすればよい。
【0041】
また、無機絶縁膜として、酸化アルミニウム膜、ダイアモンドライクカーボン(DLC)膜、窒素含有炭素膜、硫化亜鉛及び酸化珪素を含む膜を用いてもよい。
【0042】
また、図6(A)(B)に示すように発光素子232の上面には、第1筐体270に対向する金属板280を設けてもよい。金属板280の膜厚に特に限定はないが、例えば、10μm以上200μm以下のものを用いると、照明装置の軽量化が図れるため好ましい。また、金属板280を構成する材料としては特に限定はないが、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属、または、アルミニウム合金若しくはステンレスなどの金属の合金などを好ましく用いることができる。
【0043】
金属板280と第1筐体270とは、接着層281によって接着して、発光素子232を封止することができる。接着層281としては、可視光硬化性、紫外線硬化性、または熱硬化性の接着剤を用いることができる。これらの接着剤の材質としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。接着層281に乾燥剤となる吸水物質を含ませてもよい。
【0044】
金属板280は透水性が低いため、該金属板280と第1筐体270とで発光素子232を封止することで、発光素子232への水分の侵入を抑制することが可能である。よって、金属板280を設けることで、水分に起因する劣化の抑制された信頼性の高い照明装置とすることが可能である。
【0045】
金属板280の代わりに無機絶縁膜や、ガラス基板、石英基板などを用いてもよい。
【0046】
発光素子232が設けられている筐体200の空間に乾燥剤となる吸水物質を設けてもよい。吸水物質は粉状など固体の状態で配置してもよいし、スパッタ法などの成膜法によって吸水物質を含む膜の状態で発光素子232上に設けられてもよい。
【0047】
照明装置210には、光放射面側に光学フィルムを設けてもよい。例えば筐体200において光放射面を覆う領域(第1筐体270)の発光素子232と反対側に拡散フィルムを設けてもよい。
【0048】
図10(A)(B)は、第1筐体241、242において、光放射面側(発光素子232と反対側)にマイクロレンズアレイのような複数の凹凸形状を有する例である。照明装置210において、第1筐体241、242を光放射面側に複数の凹凸形状を有する構成とすることで、第1筐体241、242と大気との界面で全反射を抑制することができるため、筐体の外部への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0049】
凹凸形状を有する第1筐体241は、材料として有機樹脂を用いて形成することが可能である。有機樹脂の形状は、当該有機樹脂の特性に応じて加熱処理や光照射処理を行って加工することができる。例えば、筐体の凹凸形状の型となる凹凸形状を有する支持体を用意し、筐体の材料として熱可塑性の有機樹脂を用いて、加熱処理を行いながら、熱可塑性の有機樹脂を支持体に押圧して支持体の形状を反映するように変形し、その後冷却して硬化を行うことで、凹凸形状を有する第1筐体241を形成することできる。
【0050】
第1筐体241に用いる部材の具体例としては、有機樹脂(プラスチック)が挙げられる。プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等からなる部材が挙げられる。
【0051】
図13に、図10(A)に示す第1筐体241の断面図及び平面図の例を示す。図13(A2)及び図13(B2)は、凹凸形状を有する第1筐体241a及び第1筐体241bの平面図の例である。図13(A1)は、図13(A2)の線分X1−Y1における断面図であり、図13(B1)は、図13(B2)の線分X2−Y2における断面図である。
【0052】
図13(A1)及び(A2)に示す第1筐体241aは、半円形状の凹凸形状を有する。また、図13(B1)及び(B2)に示す第1筐体241bは、底面が正六角形状の凹凸形状を有する。第1筐体241の有する複数の凹凸形状のピッチ、又は底面形状は様々に設定することが可能であり、図13の構成に限定されない。例えば、円錐、角錐(三角錐、四角錐等)等の頂点を有する凹凸形状としてもよい。但し、図13(B1)及び(B2)に示すように、底面が正六角形状の凹凸形状として凹凸形状をいわゆるハニカム構造とすることで、凹凸形状の充填密度を向上させることができ、筐体の外部への光の取り出し効率がより向上するため好ましい。
【0053】
また、図10(B)に示すように、光放射面側(発光素子232と反対側)と、発光素子232側の双方にマイクロレンズアレイのような複数の凹凸形状を有する第1筐体242を用いることもできる。
【0054】
図10(B)に示す第1筐体242は、双方に複数の凹凸形状を有している。また、図10(B)において、発光素子232側に設けられた複数の凹凸形状は、発光素子232と重畳する領域である。また、第1筐体242の発光素子232側であって、凹凸形状を有する領域には、当該凹凸形状に接して高屈折率材料層234が設けられている。なお、第1筐体242に設けられる凹凸形状は、ストライプ状であっても効果を奏するが、マトリクス状とするのが好ましい。
【0055】
図10(B)に示す第1筐体242は、第1筐体242の光放射面側に複数の凹凸形状を有することで、第1筐体242と大気との界面で全反射を抑制することができる。さらに、第1筐体242と高屈折率材料層234との間に複数の凹凸形状を有するため、高屈折率材料層234と第1筐体242との界面で全反射を抑制することができ、筐体の外部への光の取り出し効率をより向上させることができる。
【0056】
第1筐体242に用いることができる材料としては、例えば、屈折率が1.0より高く1.6より低いガラスや樹脂などが挙げられる。樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、またはポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。特に、屈折率が1.4以上1.6未満の材料を用いることが好ましい。
【0057】
上述の材料に、凹凸形状を作製するための方法としては、例えば、エッチング法、砥粒加工法(サンドブラスト法)、マイクロブラスト加工法、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法、インプリント法、ナノインプリント法等を適宜用いることができる。
【0058】
また、高屈折率材料層234は、高屈折率ガラスや、液体、樹脂からなる。高屈折率材料層234は、透光性を有し、その屈折率は、1.6以上、好ましくは1.7以上2.1以下とする。高屈折率の樹脂としては、臭素が含まれる樹脂、硫黄が含まれる樹脂などが挙げられ、例えば、含硫黄ポリイミド樹脂、エピスルフィド樹脂、チオウレタン樹脂、又は臭素化芳香族樹脂などを用いることができる。また、PET(ポリエチレンテレフタラート)、TAC(トリアセチルセルロース)なども用いることができる。高屈折率の液体としては、硫黄及びヨウ化メチレンを含む接触液(屈折液)などを用いることができる。成膜方法としては、材料にあった種々の方法を適用すれば良い。例えば、前述の樹脂を、スピンコート法を用いて第1筐体242の発光素子232側に設けられた複数の凹凸形状に接して選択的に成膜し、熱または光によって硬化させることで形成することができる。接着強度や加工のしやすさなどを考慮し適宜選択することができる。なお、高屈折率材料層234は、第1筐体242の発光素子232側に設けられた複数の凹凸形状の平坦化膜としても機能している。
【0059】
一般に、高屈折率の樹脂は高価であるが、図10(B)に示す照明装置において高屈折率材料層234は、発光素子232と重畳する領域であって複数の凹凸形状に接して選択的に形成すればよく、またその膜厚は数十μm程度といった薄い膜厚である。したがって、光取り出し効率の高い照明装置を低コストで製造することができる。
【0060】
凹凸形状は、高屈折率材料層234と接する側の凹凸の大きさ、高さについては、0.1〜100μm程度とすることが好ましい。逆側の凹凸の大きさ、高さについては、0.1〜1000μm程度とすることが好ましい。高屈折率材料層234と接する側の凹凸形状の大きさは、高屈折率材料層234に用いる材料の使用量に影響を与えるため、凹凸の大きさ、高さの許容範囲が狭い。一方、逆側の面の凹凸形状は、1000μmを超えた大きさ、高さの構造を採用しても問題ない。また、どちらの面の凹凸形状も、特に、1μm以上であると、光の干渉による影響を抑制することができるため、好ましい。
【0061】
また、図10(B)において、発光素子232と第1筐体242の間には、無機絶縁膜235が設けられている。当該無機絶縁膜235としては、屈折率が1.6以上の窒化膜を用いると、光の取り出し効率が低下することなく、発光素子への不純物の拡散を防ぐことができるため好ましい。
【0062】
本実施の形態の照明装置は、外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電源の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。よって、照明装置と外部電源との接続がより容易に行うことができ、照明装置の利便性を高めることができる。
【0063】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0064】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1において、補助配線が設けられた照明装置の例を図11及び図12を用いて説明する。従って、他は実施の形態1と同様に行うことができ、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程の繰り返しの説明は省略する。
【0065】
なお、図11及び図12は照明装置の平面図であるが、筐体200に設けられる端子電極、及び該端子電極と発光素子との接続は省略している。
【0066】
図11において、筐体200に設けられた発光素子の補助配線として第1電極202とEL層203との間にストライプ形状の補助配線290が設けられている。補助配線290上には補助配線290と第2電極204とのショートを防止するために、補助配線290を覆うように絶縁層293が設けられている。また、第2電極204上に発光素子を覆うように無機絶縁膜238が設けられている。
【0067】
図11及び図12においては、第1電極202を取り出し端子291a、291bを介して、第2電極204を取り出し端子292a、292bを介して筐体200に設けられた端子電極にそれぞれ接続する例である。
【0068】
第1電極202は補助配線290を介して取り出し端子291a、291bと電気的に接続されている。第2電極204は取り出し端子292a、292bと電気的に接続されている。本実施の形態のように取り出し端子を複数、また広い面積で設けることで電圧降下を防止することができる。
【0069】
図12(A)及び図12(B)に補助配線の形状の例を示す。図12(A)の補助配線295は取り出し端子291a、291bと連続した導電膜で形成される例である。補助配線295は第1電極202と接して形成され、ストライプ状の形状である。図12(B)の補助配線296も取り出し端子291a、291bと連続した導電膜で形成される例である。補助配線296は格子状(葉脈状)の形状を有し、線幅の太い領域と細い領域を有する。
【0070】
補助配線290、295、296は、導電性材料を用いればよく例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)から選ばれた材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。また、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を用いてもよい。
【0071】
補助配線290、295、296は、筐体200と第1電極202との間に設けてもよい。また、筐体200に設けられた凹部(溝部)に配置してもよい。
【0072】
筐体200の凹部は、型となる支持体を用いて凹凸を有する形状になるように有機樹脂を加工する際、同時に形成することができる。勿論、別工程においてエッチングにより筐体200に凹部を形成してもよい。
【0073】
凹部を有する筐体200上に無機絶縁膜を形成し、筐体200の凹部を埋めるように無機絶縁膜上に補助配線を形成すればよい。
【0074】
補助配線290、295、296はスパッタ法、蒸着法、塗布法などを用いて導電膜を形成し、該導電膜を選択的に除去することによって形成することができる。
【0075】
また、インクジェット法、印刷法などを用いて補助配線290、295、296を選択的に形成してもよい。例えば、印刷法を用いて補助配線290、295、296を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成の際は、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよい。なお、上記導電性のペーストは発光素子232と筐体200に設けられた端子電極とを電気的に接続する導電層にも用いることができる。
【0076】
補助配線を設けることにより、照明装置の低消費電力化が可能になる。
【0077】
本実施の形態の照明装置は、外部に露出されるように筐体に設けられた端子電極が外部電源の端子電極と接することで、外部電源と発光素子とが電気的に接続し、照明装置に電力を供給することができる。よって、照明装置と外部電源との接続がより容易に行うことができ、照明装置の利便性を高めることができる。
【0078】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0079】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である照明装置に用いる発光素子の素子構造の一例について説明する。
【0080】
図7(A)に示す発光素子は、第1電極202と、第1電極202上にEL層203と、EL層203上に、第2電極204を有する。
【0081】
EL層203は、少なくとも発光性の有機化合物を含む発光層が含まれていれば良い。そのほか、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。本実施の形態において、EL層203は、第1電極202側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、及び電子注入層705の順で積層されている。
【0082】
図7(A)に示す発光素子の作製方法について説明する。
【0083】
まず、第1電極202を形成する。第1電極202は、EL層から見て、光の取り出し方向に設けられるため、透光性を有する材料を用いて形成する。
【0084】
透光性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。
【0085】
また、第1電極202として、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又はチタン等の金属材料を用いることができる。または、それら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いてもよい。なお、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合、透光性を有する程度に薄くすればよい。
【0086】
次に、第1電極202上に、EL層203を形成する。本実施の形態において、EL層203は、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705を有する。
【0087】
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0088】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0089】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0090】
特に、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、第1電極202からの正孔注入性を良好にし、発光素子の駆動電圧を低減することができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。該複合材料を用いて正孔注入層701を形成することにより、第1電極202からEL層203への正孔注入が容易となる。
【0091】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0092】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
【0093】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0094】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0095】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0096】
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層701に用いてもよい。
【0097】
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、NPB、TPD、BPAFLP、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0098】
また、正孔輸送層702には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。
【0099】
また、正孔輸送層702には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0100】
発光層703は、発光性の有機化合物を含む層である。発光性の有機化合物としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0101】
発光層703に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)]−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0102】
また、発光層703に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)2(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)2(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq)3)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)2(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)2(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{2−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルピラジナト}イリジウム(III)(略称:Ir(dmmoppr)2(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq)3)、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)2(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)2(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(acac))、(ジピバロイルメタナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(dpm))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)3(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)3(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
【0103】
なお、発光層703としては、上述した発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0104】
ホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0105】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0106】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0107】
また、発光層703として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:PFO)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
【0108】
なお、発光層を2層以上の積層構造としても良い。発光層を2層以上の積層構造とし、各々の発光層に用いる発光物質の種類を変えることにより様々な発光色を得ることができる。また、発光物質として発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、ブロードなスペクトルの発光や白色発光を得ることもできる。特に、高輝度が必要とされる照明用途には、発光層を積層させた構造が好適である。
【0109】
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0110】
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層705には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
【0111】
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0112】
EL層は、図7(B)に示すように、第1電極202と第2電極204との間に複数積層されていても良い。この場合、積層された第1EL層800と第2EL層801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
【0113】
図7(B)に示すように積層されるEL層の間に電荷発生層803を配置すると、電流密度を低く保ったまま、高輝度でありながら長寿命な素子とできる。また、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
【0114】
また、EL層が2層積層された構成を有する積層型素子の場合において、第1EL層から得られる発光の発光色と第2EL層から得られる発光の発光色を補色の関係にすることによって、白色発光を外部に取り出すことができる。なお、第1EL層および第2EL層のそれぞれが補色の関係にある複数の発光層を有する構成としても、白色発光が得られる。補色の関係としては、青色と黄色、あるいは青緑色と赤色などが挙げられる。青色、黄色、青緑色、赤色に発光する物質としては、例えば、先に列挙した発光物質の中から適宜選択すればよい。
【0115】
以下に、複数のEL層が積層する構成を有する発光素子の一例を示す。まず第1EL層および第2EL層のそれぞれが補色の関係にある複数の発光層を有し、白色発光が得られる構成の一例を示す。
【0116】
例えば、第1EL層は、青色〜青緑色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第1発光層と、黄色〜橙色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第2発光層とを有し、第2EL層は、青緑色〜緑色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第3発光層と、橙色〜赤色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第4発光層とを有するものとする。
【0117】
この場合、第1EL層からの発光は、第1発光層および第2発光層の両方からの発光を合わせたものであるので、青色〜青緑色の波長領域および黄色〜橙色の波長領域の両方にピークを有する発光スペクトルを示す。すなわち、第1EL層は2波長型の白色または白色に近い色の発光を呈する。
【0118】
また、第2EL層からの発光は、第3発光層および第4発光層の両方からの発光を合わせたものであるので、青緑色〜緑色の波長領域および橙色〜赤色の波長領域の両方にピークを有する発光スペクトルを示す。すなわち、第2EL層は、第1EL層とは異なる2波長型の白色または白色に近い色の発光を呈する。
【0119】
したがって、第1EL層からの発光および第2EL層からの発光を重ね合わせることにより、青色〜青緑色の波長領域、青緑色〜緑色の波長領域、黄色〜橙色の波長領域、橙色〜赤色の波長領域をカバーする白色発光を得ることができる。
【0120】
また、黄色〜橙色の波長領域(560nm以上580nm未満)は、視感度の高い波長領域であるため、発光スペクトルのピークが黄色〜橙色の波長領域にある発光層を有するEL層を発光層に適用することは有用である。例えば、発光スペクトルのピークが青色の波長領域にある発光層を有する第1EL層と、発光スペクトルのピークが黄色の波長領域にある発光層を有する第2EL層と、発光スペクトルのピークが赤色の波長領域にある発光層を有する第3EL層と、を積層させた構成を適用することができる。
【0121】
また、黄色〜橙色を呈するEL層を2層以上積層する構成としてもよい。黄色〜橙色を呈するEL層を2層以上積層することによって発光素子の電力効率をより向上させることができる。
【0122】
例えば、EL層を3層積層させた発光素子を構成する場合において、発光スペクトルのピークが青色の波長領域(400nm以上480nm未満)にある発光層を有する第1EL層に、発光スペクトルのピークが黄色〜橙色の波長領域にある発光層をそれぞれ有する第2、第3EL層を積層する構成を適用することができる。なお、第2EL層及び第3EL層からの発光スペクトルのピークの波長は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0123】
発光スペクトルのピークが黄色〜橙色の波長領域にあるEL層を用いることにより、視感度の高い波長領域を利用することができ、電力効率を高めることができる。これによって、発光素子全体の電力効率を高めることができる。このような構成は、例えば緑色の発光色を呈するEL層と赤色の発光色を呈するEL層とを積層して黄色〜橙色の発光を呈する発光素子を得る場合と比較して視感度の観点で有利であり、電力効率を高められる。また、黄色〜橙色の波長領域にある視感度の高い波長領域を利用したEL層が1層のみの場合と比較して、視感度の低い青色の波長領域の発光強度が相対的に小さくなるため、発光色は電球色(あるいは温白色)に近づき、かつ電力効率が向上する。
【0124】
つまり、上記において、黄色〜橙色の波長領域にピークを有し、かつ、ピークの波長が560nm以上580nm未満にある光と、青色の波長領域にピークを有する光と、を合成した光の色(つまり、発光素子から発光される光の色)とすることで、温白色や電球色のような自然な光の色を実現することができる。特に電球色を実現が容易である。
【0125】
黄色〜橙色の波長領域にピークを有する発光性の物質として、例えばピラジン誘導体を配位子とする有機金属錯体を用いることができる。また、発光性の物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させることにより、発光層を構成することもできる。上記黄色〜橙色の波長領域にピークを有する発光性の物質として、燐光性化合物を用いることができる。燐光性化合物を用いることにより、蛍光性化合物を用いた場合と比べて電力効率を3〜4倍高めることができる。上述したピラジン誘導体を配位子とする有機金属錯体は燐光性化合物であり、発光効率が高い上に、黄色〜橙色の波長領域の発光を得やすく、好適である。
【0126】
また、青色の波長領域にピークを有する発光性の物質として、例えばピレンジアミン誘導体を用いることができる。上記青色の波長領域にピークを有する発光性の物質として、蛍光性化合物を用いることができる。蛍光性化合物を用いることにより、燐光性化合物を用いた場合と比べて長寿命の発光素子を得ることができる。上述したピレンジアミン誘導体は蛍光性化合物であり、極めて高い量子収率が得られる上に、長寿命であるため、好適である。
【0127】
EL層203は、図7(C)に示すように、第1電極202と第2電極204との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2電極204と接する複合材料層708を有していても良い。
【0128】
第2電極204と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2電極204を形成する際に、EL層203が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。
【0129】
さらに、電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
【0130】
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0131】
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0132】
さらに、電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0133】
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。
【0134】
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708におけるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0135】
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0136】
電子リレー層707に含まれるフタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、SnPc(Phthalocyanine tin(II) complex)、ZnPc(Phthalocyanine zinc complex)、CoPc(Cobalt(II)phthalocyanine, β−form)、FePc(Phthalocyanine Iron)及びPhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)のいずれかを用いることが好ましい。
【0137】
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。また、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体は安定であると考えられる。したがって、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることにより発光素子を低電圧でより安定に駆動することが可能になる。
【0138】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。具体的には、VOPc(Vanadyl phthalocyanine)、SnOPc(Phthalocyanine tin(IV) oxide complex)及びTiOPc(Phthalocyanine titanium oxide complex)のいずれかは、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高いため好ましい。
【0139】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0140】
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいても良い。ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウムなどの酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウムなどの炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、又は希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセンなどの有機化合物を用いることができる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0141】
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0142】
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等が挙げられる。
【0143】
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN)6)、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等が挙げられる。
【0144】
その他にも、7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7,8,8,8,ペンタデカフルオロオクチル−1、4、5、8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン)(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を用いることができる。
【0145】
なお、電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質とドナー性物質との共蒸着などの方法によって電子リレー層707を形成すれば良い。
【0146】
正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、及び電子輸送層704は前述の材料を用いてそれぞれ形成すれば良い。
【0147】
そして、EL層203上に、第2電極204を形成する。
【0148】
第2電極204は、光の取り出し方向と反対側に設けられ、反射性を有する材料を用いて形成される。反射性を有する材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料を用いることができる。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や銀と銅の合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜、又は金属酸化物膜を積層することでアルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。上述の材料は、地殻における存在量が多く安価であるため、発光素子の作製コストを低減することができ、好ましい。
【0149】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0150】
(実施の形態4)
本実施の形態では、照明装置の応用例を示す。
【0151】
図8は、本発明の一態様である照明装置を室内の照明装置として用いた一例を示している。本発明の一態様である照明装置は、天井用照明装置8202としてのみならず、壁用照明装置8204としても用いることが可能である。また、当該照明装置は、卓上照明装置8206としても用いることが可能である。また本発明の一態様である照明装置は、面光源の光源を有するため、点光源の光源を用いた場合に比べ、光反射板等の部材を削減することができ、または熱の発生が白熱電球に比べて小さい点等、室内の照明装置として好ましい。
【0152】
次に、本発明の一態様である照明装置を、誘導灯等の照明装置として適用した例について図9に示す。
【0153】
本発明の一態様である照明装置を避難口誘導灯に適用した例について図9(A)に示す。
【0154】
図9(A)は、一例として、避難口誘導灯の外観について示した図である。避難口誘導灯8232は、照明装置と、蛍光部が設けられた蛍光板とを組み合わせて構成することができる。また、特定の色を発光する照明装置と、図面のような形状の透過部が設けられた遮光板とを組み合わせて構成することもできる。本発明の一態様である照明装置は、一定の輝度で点灯することができるため、常時点灯が求められる避難口誘導灯として好ましい。
【0155】
本発明の一態様である照明装置を屋外用照明に適用した例について図9(B)に示す。
【0156】
屋外用照明の一つとして例えば街灯が挙げられる。街灯は、例えば図9(B)に示すように、筐体8242と、照明部8244と、を有する構成とすることができる。本発明の一態様である照明装置は、照明部8244に複数配置して用いることができる。図9(B)に示すように、街灯は、例えば道路沿いに設置して照明部8244により周囲を照らすことができるため、道路を含め周囲の視認性を向上させることができる。
【0157】
なお、街灯に電源電圧を供給する場合には、例えば図9(B)に示すように、電柱8246の送電線8248を介して電源電圧を供給することができる。ただしこれに限定されず、例えば光電変換装置を筐体8242に設け、光電変換装置により得られた電圧を電源電圧として利用することもできる。
【0158】
また、本発明の一態様である照明装置を携帯用照明に適用した例について図9(C)及び図9(D)に示す。図9(C)は、装着型ライトの構成を示す図であり、図9(D)は手持ち型ライトの構成を示す図である。
【0159】
図9(C)に示す装着型ライトは、装着部8252と、照明部8254を有し、照明部8254は装着部8252に固定されている。本発明の一態様である照明装置は、照明部8254に用いることができる。図9(C)に示す装着型ライトは、装着部8252を頭部に装着し、照明部8254を発光させることができる。また、照明部8254として面光源の光源を用いることにより、周囲の視認性を向上させることができる。また、照明部8254は軽量であるため、頭部に装着して使用する際の負担を軽減することができる。
【0160】
なお、図9(C)に示す装着型ライトの構成に限定されず、例えば装着部8252をリング状にした平紐やゴム紐のベルトにし、該ベルトに照明部8254を固定し、該ベルトを頭部に直接巻きつける構成とすることもできる。
【0161】
図9(D)に示す手持ち型ライトは、筐体8262と、照明部8266と、スイッチ8264と、を有する。本発明の一態様である照明装置は、照明部8266に用いることができる。本発明の一態様である照明装置を照明部8266に用いることにより、照明部8266の厚さを薄くすることができ、小型にすることができるため、携帯しやすくすることができる。
【0162】
スイッチ8264は、照明部8266の発光または非発光を制御する機能を有する。また、スイッチ8264は、例えば発光時の照明部8266の輝度を調節する機能を有することもできる。
【0163】
図9(D)に示す手持ち型ライトは、スイッチ8264により照明部8266を発光させることにより、周囲を照らすことができるため、周囲の視認性を向上させることができる。また本発明の一態様である照明装置は、面光源の光源を有するため、点光源の光源を用いた場合に比べ、光反射板等の部材を削減することも可能である。
【0164】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極に挟持されたEL層を含む発光素子と、
前記発光素子を内包し、かつ周縁端部に第1端子電極及び第2端子電極が設けられた筐体とを有し、
前記筐体内において、前記第1電極と前記第1端子電極とは電気的に接続し、前記第2電極と前記第2端子電極とは電気的に接続し、
前記筐体において前記発光素子の光放射面を覆う領域と、前記第1電極と第2電極において前記発光素子の光放射面に設けられる少なくとも一方とは透光性を有し、
前記第1端子電極及び前記第2端子電極が外部電源の端子電極とそれぞれ接することで前記外部電源及び前記発光素子が電気的に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
第1電極及び第2電極に挟持されたEL層を含む発光素子と、
前記発光素子を内包し、かつ周縁端部に第1端子電極、第2端子電極、第3端子電極、及び第4端子電極が設けられた筐体とを有し、
前記筐体内において、前記第1電極と前記第1端子電極とは電気的に接続し、前記第2電極と前記第2端子電極とは電気的に接続し、前記第3端子電極及び前記第4端子電極はセンサ素子と電気的に接続し、
前記筐体において前記発光素子の光放射面を覆う領域と、前記第1電極と第2電極において前記発光素子の光放射面に設けられる少なくとも一方とは透光性を有し、
前記第1端子電極、前記第2端子電極、前記第3端子電極、及び前記第4端子電極が外部電源の端子電極とそれぞれ接することで前記外部電源と、前記発光素子及び前記センサ素子とがそれぞれ電気的に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記第1電極は第1電極取り出し端子を介して前記第1端子電極と電気的に接続し、前記第2電極は第2電極取り出し端子を介して前記第2端子電極と電気的に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記第1端子電極及び前記第2端子電極は複数設けられることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記筐体は直方体であり、前記第1端子電極及び前記第2端子電極は該直方体の側面の一つに設けられることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記筐体内において、前記発光素子の上面は金属板で覆われていることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記発光素子の光放射面を覆う前記筐体において、前記発光素子と反対側の表面には凹凸を有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記EL層は中間層を介して複数設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項1】
第1電極及び第2電極に挟持されたEL層を含む発光素子と、
前記発光素子を内包し、かつ周縁端部に第1端子電極及び第2端子電極が設けられた筐体とを有し、
前記筐体内において、前記第1電極と前記第1端子電極とは電気的に接続し、前記第2電極と前記第2端子電極とは電気的に接続し、
前記筐体において前記発光素子の光放射面を覆う領域と、前記第1電極と第2電極において前記発光素子の光放射面に設けられる少なくとも一方とは透光性を有し、
前記第1端子電極及び前記第2端子電極が外部電源の端子電極とそれぞれ接することで前記外部電源及び前記発光素子が電気的に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
第1電極及び第2電極に挟持されたEL層を含む発光素子と、
前記発光素子を内包し、かつ周縁端部に第1端子電極、第2端子電極、第3端子電極、及び第4端子電極が設けられた筐体とを有し、
前記筐体内において、前記第1電極と前記第1端子電極とは電気的に接続し、前記第2電極と前記第2端子電極とは電気的に接続し、前記第3端子電極及び前記第4端子電極はセンサ素子と電気的に接続し、
前記筐体において前記発光素子の光放射面を覆う領域と、前記第1電極と第2電極において前記発光素子の光放射面に設けられる少なくとも一方とは透光性を有し、
前記第1端子電極、前記第2端子電極、前記第3端子電極、及び前記第4端子電極が外部電源の端子電極とそれぞれ接することで前記外部電源と、前記発光素子及び前記センサ素子とがそれぞれ電気的に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記第1電極は第1電極取り出し端子を介して前記第1端子電極と電気的に接続し、前記第2電極は第2電極取り出し端子を介して前記第2端子電極と電気的に接続することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記第1端子電極及び前記第2端子電極は複数設けられることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記筐体は直方体であり、前記第1端子電極及び前記第2端子電極は該直方体の側面の一つに設けられることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記筐体内において、前記発光素子の上面は金属板で覆われていることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記発光素子の光放射面を覆う前記筐体において、前記発光素子と反対側の表面には凹凸を有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記EL層は中間層を介して複数設けられていることを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−109226(P2012−109226A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228627(P2011−228627)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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