説明

照明装置

【課題】見る方向に関係なく眩しく感じさせ難くするとともに、筐体の反りを原因とした不具合の発生を抑制し得る照明装置を提供する。
【解決手段】LED灯具10では、列状に配置される複数のLED55とこれらのLED55を発光可能に電気接続をするプリント配線とを備える一対のLEDユニット50は、発光空間Jの扁平直方体状を構成する辺に沿って発光空間Jの両側に収容されており、拡散カバー60によって、LEDユニット50ごとにLEDユニット50の発光側をLED55の列に沿って覆われる。これにより、複数のLED55から出射される出射光は、拡散カバー60により拡散されてから、外部に向けて面状に照射されるため、眺める方向によってLEDユニット50のLED55を正面から見るような場合であっても、当該LED55から出射される出射光が直接視界に入ることはなく和らげられた照明光となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平状の筐体内に扁平直方体状をなして形成される発光空間から外部に向けて面状に照明光を発する照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に関する照明装置として、例えば下記特許文献1に開示されているものがある。この照明装置では、LEDから出射される照明光の出口である平面形状のレンズの裏面に光の拡散機能と反射機能を併せ持つ光拡散フィルムを設けるとともに、このフィルムに対向して所定間隔を隔てて反射板を設ける構成を採る。これにより、光拡散フィルムと反射板との間に形成される空間内の端部にLEDを設けたとしても、当該LEDからの照射光は、光拡散フィルムと反射板とにより反射し合いながら照射方向に導かれるとともに光拡散フィルムの拡散効果により光の照射方向と垂直に交わる直交方向に拡散されることで、平面形状のレンズによる面発光を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−177117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示される照明装置によると、光拡散フィルムと反射板との間に形成される空間内の両側に、複数のLEDを列状に実装したLED基板を対向させて収容することから(同文献;図4)、一般に、個々のLEDから出射される出射光は鋭い指向性を持つことに起因して、たとえ上記のような構成を採ったとしても、光の明暗がそのまま点状や筋状に現れてしまう場合がある。
【0005】
特に、当該照明装置をレンズの正面やや斜め方向から眺めた場合には、LED基板に実装されたLEDをほぼ正面に見ることになるので、LEDから鋭い指向性で出射された出射光が拡散されることなく照明光として直接視界に入ると、一見「ギラギラ」した眩しい感じを与え得るという問題がある。
【0006】
また、扁平形状をなした筐体が、例えば、ABS等の合成樹脂等、比較的変形し易い材質で形成されている場合には、一般に外部から加わる力により筐体全体が反ったり捻れたりし易い。このため、当該照明装置が取り付けられる相手側(例えば、車室内の天井)に湾曲部分が存在すると、その曲面に沿って筐体が反った状態で取付固定され得ることから、このような場合には、レンズや筐体内に収容された回路基板にも筐体の反りを原因とした弊害(例えば、レンズのゆがみ、プリント配線の断線やはんだ付け部分の剥離等の不具合)が生じ得るという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、見る方向に関係なく眩しく感じさせ難くするとともに、筐体の反りを原因とした不具合の発生を抑制し得る照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、扁平状の筐体内に扁平直方体状をなして形成される発光空間から外部に向けて面状に照明光を発する照明装置であって、列状に配置される複数の発光素子とこれらの発光素子を発光可能に電気接続をする配線とを備えるとともに前記発光空間の扁平直方体状を構成する辺に沿って前記発光空間の両側に収容される一対の発光ユニットと、前記一対の発光ユニットごとに前記発光ユニットの発光側を前記発光素子の列に沿って覆うように前記筐体に固定され前記複数の発光素子から出射される出射光を拡散する拡散カバーと、を備えることを技術的特徴とする。
【0009】
これによると、列状に配置される複数の発光素子とこれらの発光素子を発光可能に電気接続をする配線とを備える一対の発光ユニットは、発光空間の扁平直方体状を構成する辺に沿って発光空間の両側に収容されており、このような一対の発光ユニットは、拡散カバーによって、発光ユニットごとに発光ユニットの発光側を発光素子の列に沿って覆われる。これにより、複数の発光素子から出射される出射光は、拡散カバーにより拡散されてから、外部に向けて面状に照射されるため、眺める方向によって発光ユニットの発光素子を正面から見るような場合であっても、当該発光素子から出射される出射光が直接視界に入ることはなく和らげられた照明光となる。
【0010】
また、このような拡散カバーは、発光ユニットの発光側を発光素子の列に沿って覆うとともに筐体に固定される。即ち、拡散カバーは、発光空間の扁平直方体状を構成する辺に沿って発光空間の両側で筐体に固定される一方で、発光ユニットと同様に長尺形状をなす。これにより、拡散カバーが当該筐体に対して梁やリブのように機能して構造的な強度が高まるため、当該筐体の反りや捻れを抑制することができる。
【0011】
また、本発明では、前記拡散カバーは、前記発光ユニットの発光側に加えて発光側の裏側も前記発光素子の列に沿って覆うように構成しても良い。
【0012】
さらに、本発明では、前記拡散カバーは、乳白色をなす透光体、プリズム集合体、または表面もしくは裏面にダイヤカットを有するもので構成しても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の発光素子から出射される出射光は、拡散カバーにより拡散されてから、外部に向けて面状に照射されるため、眺める方向によって発光ユニットの発光素子を正面から見るような場合であっても、当該発光素子から出射される出射光が直接視界に入ることはなく和らげられた照明光となる。したがって、例えば、当該照明装置を発光側の正面斜め方向から見た場合など、見る方向に関係なく眩しく感じさせ難くすることができる。また、拡散カバーが当該筐体に対して梁やリブのように機能して構造的な強度が高まるため、当該筐体の反りや捻れを抑制することができる。したがって、筐体が反り難くなるので、筐体の反りを原因とした不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るLED灯具の外観構成を示す斜視図で、図1(A)は発光面を斜め上方から見たもの、図1(B)は取付面を斜め下方から見たものである。
【図2】本実施形態のLED灯具を構成する各部材を示す分解図である。
【図3】図3(A)は図1に示す3A線断面による断面図で、図3(B)は図3(A)に示す一点鎖線α内の構成を拡大して示した説明図である。
【図4】本実施形態のLED灯具を構成する拡散カバーの構成例を示す図で、図4(A)は平面図、図4(B)は正面図、図4(C)は底面図、図4(D)は左側面図、図4(E)は右側面図、図4(F)は背面図である。
【図5】拡散カバーの構成例を示す図で、図5(A)は正面を右側斜め上方から見たもの、図5(B)は正面を左側斜め上方から見たもの、図5(C)は正面を右側斜め下方から見たもの、図5(D)は正面を左側斜め下方から見たもの、である。
【図6】図6(A)はLED灯具のハウジングにLEDユニットを単体で組み付けた場合におけるLEDユニットとLED基板ガイドとの位置関係を示す説明図で、図6(B)は図6(A)に示す組み付け状態におけるLEDユニット単体による照射範囲を示す説明図である。
【図7】拡散カバーの他の構成例を示す図で、図7(A)は図1に示す3A線断面相当による断面図、図7(B)は図3(A)に示す一点鎖線β内の構成を拡大して示した説明図、である。
【図8】図7に示す拡散カバーの構成例を示す図で、図8(A)は平面図、図8(B)は正面図、図8(C)は底面図、図8(D)は左側面図、図8(E)は右側面図、図8(F)は背面図である。
【図9】図7に示す拡散カバーの構成例を示す図で、図9(A)は正面を右側斜め上方から見たもの、図9(B)は正面を左側斜め上方から見たもの、図9(C)は正面を右側斜め下方から見たもの、図9(D)は正面を左側斜め下方から見たもの、である。
【図10】拡散カバーの他の構成例を示す図で、図10(A)は図1に示す3A線断面相当による断面図、図10(B)は図3(A)に示す一点鎖線γ内の構成を拡大して示した説明図、である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の照明装置の実施形態について各図を参照して説明する。まず本実施形態に係るLED灯具10の構成を図1〜図3に基づいて説明する。なお、図1には、LED灯具10の外観構成を示す斜視図が図示されており、当該LED灯具10が車室内の天井に取り付けられている場合には、図1(A)においては天地が逆になり、また図1(B)においては天地が逆でかつ天井取付後には車室内からは見えない裏側部分が図示されているので注意されたい。また図2には、LED灯具10を構成する各部材が図示されている。図3には、図1に示す3A線断面による断面図等が図示されている。
【0016】
図1および図2に示すように、LED灯具10は、例えば、車両の室内天井に取り付けられる扁平状の長四角平板形状をなす照明装置で、車室内を照らすものである。光源となる発光部は、LED灯具10に内蔵されるLEDユニット50で、レンズ11を介して外部に照明光を照射可能に構成されている。
【0017】
このため、図1(A)からわかるように、LED灯具10の表側(発光面)のほぼ全面は、レンズ11により覆われており、このレンズ11の周囲を囲むようにフレーム20が設けられている。このフレーム20は、例えば、ABS等の合成樹脂からなる樹脂成形部材で、LED灯具10の長手方向Lの一端側には、スライドスイッチ40の操作ツマミ43が露出可能なスイッチ開口部22が形成され、その周囲は楕円環状に窪んでいる。
【0018】
これに対し、LED灯具10の裏側(取付面)は、図1(B)に示すように、ハウジング30により覆われており、そのほぼ中央には、外部から電力の供給を受け得る電源線を接続可能な給電コネクタ70がコネクタ係合部36を介して取り付けられている。このハウジング30も、フレーム20と同様に、例えばABS等の合成樹脂からなり、LED灯具10の長手方向Lおよび幅方向Wに延びる格子状の外リブ31が設けられている。これにより、当該ハウジング30の反りや捻れ等に対する構造的な強度を高めている。
【0019】
なお、このハウジング30には、当該LED灯具10を天井等に取り付ける場合に用いられるネジ穴33aが複数箇所に形成されており、本実施形態の場合、長手方向Lの一端側(スライドスイッチ40を挟んで幅方向Wの両側)に2箇所、長手方向Lの他端側(幅方向W方向ほぼ中央)に1箇所、設けられている。
【0020】
このような外観構成をなすLED灯具10の内部構造は、図2に示す分解図や図3に示す断面図として図示されている。即ち、図2に示すように、LED灯具10を構成する各部材は、主に、レンズ11、拡散板12、フレーム20、ハウジング30、スライドスイッチ40、LEDユニット50、拡散カバー60、等からなり、レンズ11、フレーム20およびハウジング30は、前述した外観を構成している。なお、この分解図における各部材の位置関係は、当該LED灯具10の内部構造における位置関係にほぼ対応している。また、レンズ11、フレーム20およびハウジング30は、特許請求の範囲に記載の「筐体」を構成し得るものである。
【0021】
図2の紙面最上部に図示されているフレーム20は、角を丸めた長四角平板形状をなしており、前述したように、ほぼ矩形のレンズ11が取り付けられるレンズ開口部21と、スライドスイッチ40の操作ツマミ43(ツマミ部45)が貫通するスイッチ開口部22とが形成されている。レンズ11は、例えば、ポリカーボネートからなり、フレーム20の裏側、つまり内側に形成されるレンズ係合部により当該フレーム20に嵌合している。
【0022】
フレーム20に取り付けられているレンズ11の下方(レンズ11の内側)には、透過光を散乱させる拡散板12が位置している。この拡散板12は、例えば「プリズムシート」と呼ばれるもので、アクリル系樹脂からなり断面三角形状の山と溝が交互に形成されてプリズム機能を有する表側と、ポリエステルフィルム層からなる裏側とにより構成されている。詳しくは、[背景技術]の欄で述べた特許文献1(特開2010−177117号公報)に記載されている。これにより、拡散カバー60を介して発せられるLEDユニット50からの出射光は、幅広く拡散されるため面状に照明光を発する、つまり面発光することが可能となる。
【0023】
LEDユニット50および拡散カバー60は、LED灯具10の幅方向Wの両側に位置しており、長手方向Lに長板状に延びるLEDユニット50を拡散カバー60が覆うことで、当該LEDユニット50の各LED55から出射される出射光を長手方向Lにほぼ均一に拡散可能にしている。これらについて後で詳述する。
【0024】
LEDユニット50および拡散カバー60と、ハウジング30との間には、反射板13が位置している。この反射板13は、拡散カバー60を介して発せられるLEDユニット50からの出射光をレンズ11に向けて反射し得るもので、本実施形態では、例えば、白色の合成樹脂板を用いているが、金属蒸着をした鏡面状の反射面を持つ合成樹脂板等であっても良い。なお、図3を参照して後述するように、レンズ11、拡散板12およびハウジング30のパーティション35は、扁平直方体状をなす発光空間Jを区画形成している。
【0025】
制御基板15は、図2の紙面において、前述したフレーム20のスイッチ開口部22のほぼ下方で、パーティション35等で区切られた発光空間J(図3)の外側に設けられる基板室Kに収容可能に構成されており、この制御基板15によって、LEDユニット50の点灯や消灯が制御されている。
【0026】
なお、この制御基板15の同紙面下方には、当該制御基板15をハウジング30に接着固定する両面テープ17が図示されており、また制御基板15の同紙面上方には、ハウジング30を車室の天井等にねじ止め固定した場合に共締めされて車体フレームに当該制御基板15を電気的に接続可能なアース金具16が図示されている。
【0027】
制御基板15には、操作ツマミ43とともにスライドスイッチ40を構成するスイッチ本体41が実装されている。本実施形態では、スイッチ本体41は、例えば、中点オフ型のメカニカルスイッチで、スライド位置により回路の接続状態を設定可能なスイッチノブ41aと、当該スイッチノブ41aの移動に伴って複数の接続端子間の電気接続を切換可能な切換機構部41bと、により構成されている。
【0028】
操作ツマミ43は、スイッチノブ41aをスライド操作可能にスイッチノブ41aに係合して外部からのスライド操作によりスイッチ本体41を切換え可能にするもので、平板部46と、この平板部46のほぼ中央に形成されるツマミ部45と、その反対側に形成される支持脚48と、により構成されている。
【0029】
ハウジング30は、図1(B)を参照して説明したように、LED灯具10の裏側(取付面)を構成するもので、フレーム20と同様に角を丸めた長四角平板形状に形成されるとともに、その内側には、図2および図3に示すように、発光空間Jの矩形状(扁平直方体状)周囲を区画形成するパーティション35、矩形状に設けられるパーティション35の外側に長手方向Lおよび幅方向Wに延びる内リブ32、当該ハウジング30を天井等にねじ止め可能にするネジ穴33aを有するボス33等が形成されている。
【0030】
これら4つのパーティション35のうち、長手方向Lに沿って位置するパーティション35の発光空間側には、後述する拡散カバー60の切欠溝65に掛止可能な拡散カバー係合爪35aが形成されている。一方、幅方向Wに沿って位置するパーティション35には、拡散カバー60の両端部に設けられる突起部61に掛止可能なLED基板係合部37が形成されている。なお、基板室Kとの境界に位置するパーティション35には、その発光空間側に、反射板13に形成される凹状の切欠部に適合可能な凸部が形成されており、発光空間Jを区画形成する反射板13の取り付け位置の位置決めを容易にしている。
【0031】
パーティション35に囲まれる矩形状(扁平直方体状)の発光空間Jのほぼ中央には、引出し窓36aが形成されており、コネクタ係合部36を介して取り付けられる給電コネクタ70に接続される電源線の引き出し(または引き込み)を可能にしている。また、拡散カバー係合爪35aが形成されているパーティション35の近傍には、後述するように、LEDユニット50の位置決め等をするLED基板ガイド38が当該パーティション35に沿って2箇所に形成されている。
【0032】
制御基板15を収容する基板室Kには、制御基板15を両側から挟持するように掛止可能な一対の制御基板係合爪34が形成されており、制御基板15の取り付けを可能にしている。また、基板室Kの幅方向W両側に位置するボス33の外周壁には、制御基板15に形成される凹状の切欠部に適合可能な凸部が形成されており、当該制御基板15の取り付け位置の位置決めを容易にしている。なお、これらのボス33の一方には、前述したアース金具16を取り付け可能な金具受溝33bが形成されている。
【0033】
なお、ボス33が2箇所に形成されるハウジング30の一端側端部には、フレーム20のハウジング係合爪(図略)に係合可能なフレーム係合爪39が形成されており、組付時におけるフレーム20とハウジング30との嵌合固定を可能にしている。
【0034】
ここで、図2〜図5に基づいてLEDユニット50、拡散カバー60およびその周囲の構成を説明する。なお、図4には、拡散カバー60の構成例を六面(平面、正面、底面、左側面、右側面、背面)から見た外観が図示されており、また図5には、拡散カバー60の斜視図が図示されている。
【0035】
図2および図3に示すように、LEDユニット50は、長板状(長短冊状)に形成されるLED基板51と、このLED基板51に列状に所定間隔で配置され実装(はんだ付け)される複数のLED55と、LED基板51とほぼ同形状に形成されてLED55が実装されるLED基板51の実装面の裏側に接着される放熱板57とから構成されている。
【0036】
LED基板51には、各LED基板51に対して駆動電力を供給し得るプリント配線が形成されており、本実施形態では、例えば、面実装部品である各LED55は当該プリント配線に繋がるパッドやランドに対して面実装されている。
【0037】
このLEDユニット50は、LED基板51のプリント配線に電気的に接続し得るように、前述した制御基板15とリード配線により接続されており、LED基板51に実装された各LED55の点灯消灯制御を制御基板15により行い得るように構成されている。なお、LED55は、特許請求の範囲に記載の「発光素子」に相当し得るもので、LEDユニット50は、特許請求の範囲に記載の「発光ユニット」に相当し得るものである。
【0038】
このようなLEDユニット50の周囲を覆う拡散カバー60は、図3〜図5に示すように、LEDユニット50の取付け方向下方を除いて、発光方向の前面60a、背面60bおよび上部60cの3方向を囲み得るように構成されている。また、前面60aと上部60cとの間には、内外両側において角を丸めたR部60dが形成されている。
【0039】
なお、本実施形態では、反射板13の板厚相当分だけ、前面60aの方が背面60bよりも短手方向長さが短くなるように設定されている。これにより、ハウジング30に拡散カバー60を取り付けた際に、ハウジング30の底部と前面60aの下端との間に反射板13の厚さ分の隙間が形成されるため、後述するように、当該前面60aの下端により反射板13の端を押さえることが可能となる。
【0040】
この拡散カバー60は、内側のLEDユニット50から出射される出射光を幅広く拡散するためのものであることから、例えば、全光線透過率70%〜80%のときに分散度が20度〜30度となるように設定された乳白色の合成樹脂により、これらが一体に形成されている。なお、全光線透過率は、曇り度計(ヘーズメータ)を用いて測定し、また分散度は、試料の被測定面に垂直に入射して透過した光線の輝度を100%(受光角0度)としたとき、これに対して変角光度計(ゴニオフォトメータ)で測定した輝度が50%となる受光角の角度である。この角度が大きいほど光の拡散率が高いことを示す。
【0041】
本実施形態では、このようなR部60dを形成することにより、前面60aと上部60cとの境界においても前面60aおよび上部60cと同様の板厚になるため、板厚が厚くなりがちな「角部」が存在する場合に比べて、LED55から出射されて拡散カバー60を透過した出射光に明暗の差ができ難くすることが可能となる。
【0042】
また、LEDユニット50から出射される出射光をLED55の正面だけでなく、R部60dにより斜め上方に、また上部60cにより側方に、それぞれ拡散し得るようにしたので、例えば、LEDユニット50の上部(上部60c側に相当)を遮光板で覆ったうえでLED55の正面だけ拡散する場合に比べて、拡散後の発光する部分の面積を増加させることができる。したがって、照明光の照度の低下を防ぐとともに、レンズ11上に光の点や筋として明暗ができ難いため、外部から見て「ギラギラ」した眩しい感じを与え難くすることができる。
【0043】
本実施形態では、R部60dを形成するように構成したため、図3からわかるように、拡散カバー60は、その断面形状が「J」と「L」とを組み合わせた文字「LJ」を上下逆にした形をなすように形成されている。またこれの内側に収容されるLEDユニット50は、各LED55から発せられる出射光をJ字側に向けて出射可能、かつLEDユニット50の放熱板57をL字側の内壁62に接着可能な高さに設定されている。LEDユニット50は、放熱板57側に両面テープ68が貼付されることで、拡散カバー60の内壁62に接着固定される。
【0044】
また、図4および図5に示すように、拡散カバー60には、両端部に外側に飛び出る突起部61が形成されており、さらに内部に収容されるLEDユニット50からリード配線を引き出す(内部に引き込む)引出穴63が形成されている。なお、この引出穴63は、拡散カバー60の両端に設けられている。これにより、LEDユニット50のいずれの側端部からも制御基板15に接続されるリード配線の挿通を可能にしている。
【0045】
また、拡散カバー60の背面60bの長手方向ほぼ中央には、切欠溝65が形成されている。この切欠溝65は、パーティション35の拡散カバー係合爪35aと係合可能に構成されており、これにより前述した両端部の突起部61とともに、当該拡散カバー60のハウジング30への取り付けを可能にしている(図2参照)。
【0046】
このように構成される拡散カバー60に、前工程で既にLED55等がアッセンブリされたLEDユニット50を両面テープ68により組み付けた後、これにより一体となったLEDユニット50および拡散カバー60は、フレーム20の長手方向L(発光空間Jの扁平直方体状を構成する辺)に沿って、レンズ11、拡散板12およびパーティション35により区画形成される発光空間Jの幅方向Wの両側内側に位置するように取り付けられる。つまり、一体となったLEDユニット50および拡散カバー60は、前面60aを発光空間Jに、また背面60bをパーティション35に向けて、背面60bの突起部61と両端部の突起部61とによってハウジング30に取り付け固定される。
【0047】
また、このとき拡散カバー60内に収容されたLEDユニット50は、ハウジング30に形成されるLED基板ガイド38によって、必要以上に発光空間Jの内側に位置しないように位置決めされる(図6(A)参照;図6(A)はハウジング30にLED基板51を単体で組み付けた場合におけるLED基板51とLED基板ガイド38の位置関係を示す説明図である)。なお、図3に示すように、ハウジング30に取り付けられた拡散カバー60の下部に反射板13が位置し、また拡散カバー60の上部に拡散板12が位置することで、反射板13の端は、拡散カバー60(前面60aの下端)によって押さえられる。
【0048】
即ち、本実施形態では、拡散カバー60を、発光空間Jの扁平直方体状を構成する辺に沿って発光空間Jの両側でハウジング30に固定する一方で、LEDユニット50と同様に長尺形状をなすように構成したため、当該拡散カバー60がハウジング30に対して梁やリブのように機能する。このため、拡散カバー60の存在がLED灯具10の筐体の構造的な強度を高めるため、当該筐体の反りや捻れを抑制することが可能となる。また、当該筐体に外力が加わった場合、拡散カバー60が発光空間Jの内側にずれることをLED基板ガイド38によって防止するので、さらに構造的な強度を高めることが可能となる。
【0049】
以上説明したように、LED灯具10では、列状に配置される複数のLED55とこれらのLED55を発光可能に電気接続をするプリント配線とを備える一対のLEDユニット50は、発光空間Jの扁平直方体状を構成する辺に沿って発光空間Jの両側に収容されており、拡散カバー60によって、LEDユニット50ごとにLEDユニット50の発光側をLED55の列に沿って覆われる。これにより、複数のLED55から出射される出射光は、拡散カバー60により拡散されてから、外部に向けて面状に照射されるため、眺める方向によってLEDユニット50のLED55を正面から見るような場合であっても、当該LED55から出射される出射光が直接視界に入ることはなく和らげられた照明光となる。したがって、例えば、当該LED灯具10を発光側の正面斜め方向から見た場合など、見る方向に関係なく眩しく感じさせ難くすることができる。
【0050】
また、本実施形態に係るLED灯具10では、拡散カバー60は、LEDユニット50の発光側をLED55の列に沿って覆うとともにハウジング30に固定される。即ち、拡散カバー60は、発光空間Jの扁平直方体状を構成する辺に沿って発光空間Jの両側でハウジング30に固定される一方で、LEDユニット50と同様に長尺形状をなす。また、拡散カバー60は、その断面形状が「J」と「L」とを組み合わせた文字「LJ」の形状(ほぼコ字形状)をなすように形成されている。これにより、拡散カバー60がハウジング30に対して梁やリブのように機能して構造的な強度を高めるため、LED灯具10の筐体(レンズ11、フレーム20およびハウジング30)の反りや捻れを抑制できる。したがって、筐体が反り難くなるので、筐体の反りを原因とした不具合(例えば、レンズ11の形状のゆがみや歪み、LED基板51のプリント配線の断線、面実装されたLED55のはんだ付けの剥離等)の発生を抑制することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、図6(B)に示すように、対向する一対のLEDユニット50において、それぞれのLED基板51に実装される各LED55を、互い違いになるように配置している。即ち、一方側のLED基板51Aに実装される各LED55Aと、他方側のLED基板51Bに実装される各LED55Bと、のそれぞれの光軸(図6(B)に示す一点鎖線)が重ならないように、各LED55A,55Bを配置する。これにより、仮に拡散カバー60が存在しない場合において、各LED55A,55Bによる出射光Hはほぼ満遍なく発光空間J内に拡がるため、両LEDユニット50をそれぞれ拡散カバー60で覆うことによって、出射光を長手方向Lにほぼ均一に拡散することができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、拡散カバー60を図3〜図5に示すように、前面60a、背面60b、上部60cおよびR部60dにより構成したが、例えば、図7〜図9に示すように、背面60bを除いた拡散カバー60’のような構成を採っても良い。これにより、LEDユニット50は、パーティション35に直接、両面テープ68により貼付けて固定することが可能になるため、リード配線により接続されたLEDユニット50と制御基板15とをハウジング30に組み付けた後の工程で、ハウジング30のパーティション35に組付済みのLEDユニット50に対して拡散カバー60’を被せることができる。
【0053】
このため、図3〜図5に示すような背面60bがある構成では、LEDユニット50と制御基板15とがリード配線によって接続されている状態においては、LEDユニット50に拡散カバー60を組み付けてから、制御基板15、LEDユニット50および拡散カバー60の3点セットでハウジング30に組み付ける必要があったが、図7〜図9に示すように、背面60bのない構成では、拡散カバー60’をハウジング30に組み付ける状態においては、既にハウジング30にLEDユニット50および制御基板15が組み付けられているため、背面60bがある拡散カバー60に比べると、容易に拡散カバー60’をハウジング30に組み付けることが可能となる。
【0054】
また、パーティション35に放熱効果がある場合には、LEDユニット50の放熱板57が直接、パーティション35に接触するため、熱伝導上放熱効率を向上させることも可能となる。
【0055】
さらに、図10に示すように、拡散カバー60の構成を断面形状が「U」の形状をなす前面60a”、上部60c”、上R部60d”、下部60e”および下R部60f”からなる拡散カバー60”のような構成を採っても良い。即ち、上述した実施形態では、フレーム20だけにレンズ11を設けてフレーム20側に照明光を出射する「片面発光タイプ」となるように構成をしたが、ハウジング30’にもレンズ11に相当するレンズ11’を設けてハウジング30’側にも照明光を出射する「両面発光タイプ」となるように構成をしても良い。
【0056】
この場合には、パーティション35に囲まれる発光空間に反射板13を設けることなく、拡散板12に相当する拡散板12’を反射板13に置き換えるとともに、フレーム20のレンズ開口部21と同様にハウジング30’にもレンズ開口部を設け、このレンズ開口部をレンズ11に相当するレンズ11’で覆うように構成する。これにより、LED灯具の一方の面だけでなく、他方の面からも照明光が出射されるため、例えば、車室内を仕切る隔壁に取り付けることで、当該隔壁により仕切られる両側を同時に照らし得るLED灯具を提供することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態においては、拡散カバー60を乳白色の合成樹脂により形成したが、これに限られることはなく、例えば、拡散板12と同様に「プリズムシート」のようなプリズム集合体を表面または裏面に備えた拡散カバーで構成しても良い。また、表面または裏面にダイヤカット加工を施した拡散カバーで構成しても良い。これらによっても、LEDユニット50から出射される出射光を拡散することができるため、上述した拡散カバー60と同様の作用および効果を得ることができる。
【0058】
また、上述した実施形態においては、複数のLED55をLED基板51に一列に実装したが、これに限られることはなく、例えば、複数のLED55を二列や三列等、複数例に並べてLED基板51に実装しても良い。このように構成しても、本発明を適用することができ、上述した実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0059】
さらに、上述した実施形態においては、LED灯具10の長手方向Lに沿って発光空間Jを挟むような位置関係で、拡散カバー60で覆ったLEDユニット50を設けたが、これとは逆に、LED灯具10の幅方向Wに沿って発光空間Jを挟むような位置関係で、拡散カバー60で覆ったLEDユニット50を設けても良い。また、発光空間Jを囲むように、長手方向Lおよび幅方向Wのそれぞれに沿って拡散カバー60で覆ったLEDユニット50を設けても良い。これらのように構成しても、本発明を適用することができ、上述した実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0060】
さらにまた、上述した実施形態においては、一箇所に形成される発光空間Jに対して拡散カバー60で覆ったLEDユニット50を設けたが、発光空間Jを複数箇所に形成し、それぞれの発光空間Jごとに、LED灯具10の長手方向Lに沿って各発光空間Jを挟むような位置関係で、またはLED灯具10の幅方向Wに沿って各発光空間Jを挟むような位置関係で、または各発光空間Jを囲むように長手方向Lおよび幅方向Wのそれぞれに沿った位置関係で、拡散カバー60で覆ったLEDユニット50を設けても良い。これらのように構成しても、本発明を適用することができ、上述した実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0061】
また、上述した実施形態においては、フレーム20およびハウジング30をABS等の合成樹脂からなる成型品としたが、扁平形状をなすことで変形し易い構造を採るものであれば、例えば、アルミニウムや鉄、銅、真鍮等の金属材料からなるものや、FRP、CFRP等の繊維強化プラスチック等からなるものであっても良い。このように構成しても、本発明を適用することができ、上述した実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0062】
10…LED灯具(照明装置)
11…レンズ(筐体)
12…拡散板
13…反射板
15…制御基板
20…フレーム(筐体)
21…レンズ開口部
22…スイッチ開口部
30…ハウジング(筐体)
35…パーティション
40…スライドスイッチ
43…操作ツマミ
50…LEDユニット(発光ユニット)
55…LED(発光素子)
60…拡散カバー
70…給電コネクタ
L…長手方向
W…幅方向
J…発光空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状の筐体内に扁平直方体状をなして形成される発光空間から外部に向けて面状に照明光を発する照明装置であって、
列状に配置される複数の発光素子とこれらの発光素子を発光可能に電気接続をする配線とを備えるとともに前記発光空間の扁平直方体状を構成する辺に沿って前記発光空間の両側に収容される一対の発光ユニットと、
前記一対の発光ユニットごとに前記発光ユニットの発光側を前記発光素子の列に沿って覆うように前記筐体に固定され前記複数の発光素子から出射される出射光を拡散する拡散カバーと、を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記拡散カバーは、前記発光ユニットの発光側に加えて発光側の裏側も前記発光素子の列に沿って覆うことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記拡散カバーは、乳白色をなす透光体、プリズム集合体、または表面もしくは裏面にダイヤカットを有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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