説明

照明装置

【課題】専用デバイスを必要とせず、使用者がLEDの交換時期を確実に認識することができ、不完全な状態で使用し続けることを防げるLED照明装置を提供する。
【解決手段】第1LED群10と第2LED群20とを交互点灯させ、消灯しているLED群10、20を受光素子とするLED照明装置100であって、測定される各LED群10、20の放射出力に関連する値に基づいて、LED1、2の玉切れ検知するように構成された玉切れ検知部8と、前記玉切れ検知部においてLEDの玉切れが検知された場合に、前記点灯制御部にLEDの一部又は全部の放射出力を強制的に低下させる玉切れ報知信号を出力するように構成された玉切れ報知部9と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDの玉切れを検知し使用者に報知することができる照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、検査対象の表面に光を照射して、その反射光、透過光等から傷や印字ミス等の欠陥がないかどうかについて調べる外観検査等では、近年、多数のLEDにより構成されたLED照明装置が用いられている。このような外観検査においては、欠陥による反射光や透過光の変化を捉えられるように、LED照明装置から検査対象に照射される光は、均一であるとともにその放射出力が常に一定であることが求められている。
【0003】
このため前記LED照明装置に用いられているLEDに玉切れが生じており、目標放射出力を保つことができなくなっている場合には、速やかにLEDの交換を行う必要がある。ところが、LED照明装置に用いられているLEDの個数は非常に多いため、その中の一部が玉切れになったとしても、全体として見ると放射出力の低下量は人間では知覚できないほど小さいので、使用者がLEDの玉切れに気付くことは難しい。従って、所望の放射出力を得ることができていない不良状態にもかかわらず、LED照明装置が使われ続けていることがある。
【0004】
このような使用者がLEDの玉切れを認識できないという問題を解決するために、玉切れを検知するための光量センサと、光量センサにより所定量の光量低下が検出されLEDの玉切れがあると判断された場合には、ビープ音等をならすスピーカとを備えたLED照明装置が用いられている。
【0005】
また、上述したような外部センサや報知器具を用いずに、あるLEDに玉切れが生じている場合には、継続して使用することができないように構成したLED照明装置もある。より具体的には、特許文献1に記載されたLED照明装置は、LEDが直列に接続されており、1つのLEDが玉切れとなった場合には、他の全てのLEDも点灯しないようにして不完全な状態での使用を防ぐことが意図されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−168706号公報
【0007】
しかしながら、玉切れが生じたとしても、LEDは電球とは違い短絡する場合もあれば、導通している場合もあるので、複数のLEDを直列につないでいるだけでは、あるLEDに玉切れが生じたとしても全体として点灯し続ける可能性がある。つまり、特許文献1に記載されているLED照明装置では、不完全な状態での使用を確実に防げるとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、LEDの玉切れが発生していることを使用者に認識させるための専用のデバイスを不要としつつ、複数のLEDのうち一部だけに玉切れが発生した場合でも、LEDの玉切れの発生を使用者が認識することができ、不完全な状態での使用を防ぐことができるLED照明装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明のLED照明装置は、複数の第1LEDから構成される第1LED群と、複数の第2LEDから構成される第2LED群とを具備する照明機構と、前記第1LED群と前記第2LED群とを交互に点灯させる点灯制御部と、前記第1LED群と前記第2LED群のうち消灯しているLED群を受光素子として、点灯しているLED群からの放射出力を測定する放射出力測定部と、を備え、前記点灯制御部が、前記放射出力測定部で測定される放射出力に基づいて、前記第1LED群及び前記第2LED群の放射出力をそれぞれ制御するLED照明装置であって、前記放射出力測定部から各LED群又は各LEDからの放射出力の値を示す出力信号を取得し、前記放射出力に関連する値に基づいて、LEDの玉切れ検知するように構成された玉切れ検知部と、前記玉切れ検知部においてLEDの玉切れが検知された場合に、前記点灯制御部にLEDの一部又は全部の放射出力を強制的に低下させる玉切れ報知信号を出力するように構成された玉切れ報知部と、を備え、前記照明機構から出力される玉切れ検知後の放射出力と玉切れ検知前の放射出力との差が、使用者により知覚可能な差となるように前記玉切れ報知信号が設定されていることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、前記第1LED群と前記第2LED群のうち消灯しているLED群を受光素子として、各LED群の放射出力測定を行えるので、LEDの玉切れを検知するための外部センサを不要とすることができる。また、前記玉切れ報知部から前記点灯制御部へと出力される玉切れ報知信号が、玉切れ検知前と玉切れ検知後における前記照明機構からの放射出力の差を使用者が認識できる差となるように、強制的に放射出力を低下させるように設定されているので、使用者がLEDの玉切れの発生に気づくことができる。仮に使用が続けられたとしても、大幅に放射出力が低下しているので、例えば、外観検査などであれば明らかに不適当な検査結果が出力されるため継続不能にすることができる。従って、前記LED照明装置が不完全な状態での使用されるのを確実に防ぐことができる。
【0011】
LEDの玉切れの発生を検知するためには、前記玉切れ検知部が、一方のLED群の放射出力が他方のLED群の放射出力より所定量だけ低い場合には、玉切れが発生したと判断するように構成されていればよい。このようなものであれば、完全に玉切れしている状態だけでなく、消耗等により前記LED群又は前記LEDの放射出力が低下している状態も検知できる。
【0012】
前記LED群又は前記LEDの放射出力の各測定値が一律に低下しており、測定される各放射出力間に所定量の差が生じていない場合であっても、前記LEDの玉切れの発生を検知するためには、前記玉切れ検知部が、いずれかのLED群の放射出力が予め定めた目標放射出力より所定量だけ低い場合には、玉切れが発生したと判断するように構成された構成されていればよい。
【0013】
各LED群の放射出力ではなく、その他の方法で玉切れ検知を行うには、前記点灯制御部が、前記第1LED群及び前記第2LED群の点灯時間を制御するよう構成されており、前記玉切れ検知部が、一方のLED群の点灯開始時点から他方のLED群の点灯開始時点まで期間である第1期間と、一方のLED群の点灯終了時点から他方のLED群の点灯終了時点まで期間である第2期間と、に基づいて玉切れの発生を判断するように構成されたものであってもよい。
【0014】
前記第1期間、前記第2期間により玉切れを好適に検知するための具体的な構成としては、前記玉切れ検知部が、第1期間と第2期間の差の絶対値が所定値以上であった場合に玉切れが発生したと判断するように構成されていればよい。
【0015】
使用者がより確実に玉切れを認識できるようにするとともに、不良状態ではLED照明装置を使用できないようするには、前記玉切れ報知部が、前記点灯制御部に全LEDを消灯させる玉切れ報知信号を出力するように構成されていればよい。
【0016】
LEDの発熱による放射出力の特性、及び受光特性の変化を揃えることにより、正確な放射出力の測定を可能として玉切れ誤検知を防ぐには、見地前記照明機構において、前記第1LED及び前記第2LEDが正多角形又は矩形の各頂点をなすように配置されて1又は複数のブロックをなし、前記各ブロックにおいて、前記第1LED及び前記第2LEDが、同数及び同種であるとともに、前記第1LEDと前記第2LEDは、前記正多角形の中心を通る直線に対して線対称になるように配置されていればよい。
【0017】
このようなものであれば、前記照明機構の1つのブロックに注目すると、前記第1LEDと前記第2LEDとが正多角形の中心を通る直線に対して線対称となるように配置されているので、前記第1LED群と前記第2LED群を交互に点灯させた場合にも前記第1LED群と前記第2LED群の熱分布を略同じ形にすることができる。従って、温度変化による前記第1LED群及び前記第2LED群の発光特性及び受光特性等の特性変化を略同じにすることができ、放射出力の測定誤差を小さくすることができる。
【0018】
各LEDで受光される光の量のばらつき、すなわち、点灯しているLEDから消灯しているLEDに照射される光の放射出力のばらつきを低減し、LED群全体としてモニタリング測定される放射出力の誤差を小さくし、玉切れの誤検知を防ぐには、前記第1LED及び前記第2LEDが軸対象となるように設けられていればよい。ここで、軸対象となるように設けるとは、照明装置の配光を測定するときの基準となる軸(例えば光軸等)を中心として、前記第1LED及び前記第2LEDが配置されている光源面を所定角度だけ回転させた場合に全く同じ配置になることを言う。
【0019】
このようなものであれば、正多角形状に前記第1LEDと前記第2LEDが設けられていることから、どの消灯しているLEDから見ても点灯しているLEDの配置は同じものとなり、隣接する発光サイクルにある複数のLEDからの放射出力をほぼ同じ条件で測定することができるので、各LEDで受光される方射出力を略均一にすることができる。さらに、どのLEDから見ても消灯しているLEDと点灯しているLEDの配置が同じになるので、熱分布よりも均一な形態となり温度変化によるLEDの特性変化がより揃いやすくなる。従って、熱的な影響についても各LED群の放射出力の測定誤差が発生するのを防ぎ、玉切れの誤検知を防げる。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明のLED照明装置によれば、各LED群のうち消灯しているLED群を受光素子とし、放射出力の各測定値の比較により、LEDの玉切れを検知することができる。さらに、玉切れが検知された場合には、玉切れが発生していないLEDを含めてその放射出力を強制的に低下させ、その放射出力の差が使用者に認識できるように構成してあるので、少数のLEDしか玉切れしていなくても、確実にLEDの玉切れの発生に気づき、LED又は照明機構を適宜交換する等できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るLED照明装置を用いた検査システムの概略を示す概略図。
【図2】同実施形態におけるLED照明装置の発光面を示す模式図。
【図3】同実施形態におけるLED照明装置の模式的回路図。
【図4】同実施形態におけるLED照明装置の交互点灯及びLEDの玉切れの検知時の動作を示すフローチャート。
【図5】同実施形態におけるLED照明装置のLEDの玉切れの検知の動作を示すフローチャート。
【図6】同実施形態におけるLED照明装置の交互点灯及びLEDの玉切れ時の動作を示すグラフ。
【図7】本発明の別の実施形態におけるLED照明装置の玉切れ検出方法を示すグラフ。
【図8】本発明のさらに別の実施形態におけるLED照明装置の各LEDの配置例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態のLED照明装置100は、図1に示すようにワークWの表面にある傷等の欠陥やほこり等の付着物を検査する検査システム200に用いられるものである。前記検査システム200は、明視野照明法と称される例で、前記ワークWに光を照射するLED照明装置100と、前記ワークWに入射して拡散反射又は正反射した光によって前記ワークWの表面を撮像する撮像装置Cとを備えたものである。なお、照明方法は暗視野照明法と称される場合であってもよいし、また、反射光ではなく透過光(拡散透過光や正透過光)によってワークを撮像するものであってもよい。
【0024】
前記LED照明装置100は、検査における欠陥の有無の判定等に影響を与えないように光照射量が常に一定となるように構成してある。具体的には、図2に示すように前記LED照明装置100は、第1LED群10及び第2LED群20を具備する照明機構Lと、前記第1LED群10と前記第2LED群20の調光を行う制御機構5とから構成してある。
【0025】
前記照明機構Lにおいて、第1LED群10及び第2LED群20はそれぞれ複数の第1LED1と第2LED2とから構成してあり、前記第1LED1と前記第2LED2は同数で同種のものである。また、前記第1LED1と前記第2LED2は、前記照明機構Lの光射出力において正多角形の各頂点をなすように配置してあり、図2(a)に示すように複数のブロック3を形成するようにしてある。ここで、図2(a)は光射出面の一部を拡大して表示している。さらに、各ブロック3において、前記第1LED1と前記第2LED2は前記正多角形の中心を通る直線4に対してそれぞれが線対象となるように配置してある。
【0026】
より具体的には、図2(b)に示すように1つのブロック3に注目すると、本実施形態においては前記第1LED1と前記第2LED2は正六角形をなすように配置してあるとともに、前記第1LED1と前記第2LED2とが前記正六角形の対角線上にあるようにそれぞれ設けてある。つまり、ある1つのブロック3に注目すると、前記第1LED1と前記第2LED2は、正多角形を周方向に順に見ていくと前記第1LED1と前記第2LED2とが交互に表れるように設けてあるとともに、対角線上に相対するように配置してあることになる。さらに、図2(a)に示すようにこのような正六角形状のブロック3は隣接して設けられることにより光射出力面が形成しある。言い換えると、それぞれのブロックにおいて第1LEDと第2LEDはそれぞれ正六角形の中心を紙面垂直に通る光軸に対して、軸対称に配置されており、この場合120度回転させるとまったく同じ配置となる。また、第1LED及び第2LEDは同数、同種であり、同じ色、同じ性能、同じ形式のものを用いている。
【0027】
次に、各LED群の温度上昇について説明する。
【0028】
図2(b)に示すように前記第1LED1と前記第2LED2により構成される1つの正六角形状に配置されたブロック3に注目すると、第1LED1は紙面において上向きに凸の正三角形状に並べられ、第2LED2は下向きに凸の正三角形上に並べられており、前記正六角形の中心を通る直線4に対して線対称に配置されている。このため、第1LED群10の第2LED群20が交互に点灯しても対称に熱分布が生じることになる。
【0029】
さらに、どのLEDから見ても点灯又は消灯しているLEDの配置は同じであり、その離間距離も同じであることから、各LEDでの温度上昇も偏りを無くすことができる。これらのことから、あるブロック3について第1LED1と第2LED2の温度変化は略同じものとすることができる。下あって、どのブロック3についても同様の温度上昇が生じる事から、第1LED群10及び第2LED群20という単位でみた場合でも各LED群の温度変化も略同じものとすることができ、核LED群における発光スペクトルの変化と、受光特性の変化を略一致させることができるので、放射出力測定にも誤差が生じにくい。
【0030】
前記制御機構5は、MPU、内部メモリ、入出力インタフェース、AD変換機等からなる汎用又は専用のコンピュータからなる情報処理装置によって実現されるものであり、図3に示すように少なくとも点灯制御部6、放射出力測定部7、玉切れ検知部8及び玉切れ報知部9としての機能を発揮するように構成してある。
【0031】
前記点灯制御部6は、後述する放射出力測定部7がモニタリング測定した各LED群の放射出力に基づいて前記第1LED群10と前記第2LED群20とを交互に一定の放射出力でパルス発光により点灯させるものである。より具体的には、前記点灯制御部6は、各LED群に接続されたトランジスタスイッチに対して端子DR1及びDR2から発光指令信号を出力し、各LED群の天消灯を制御するように構成してある。
【0032】
前記点灯制御部6は、前記第1LED群10の点消灯及び調光を行う第1点灯制御部61と、前記第2LED群20の点消灯及び調光を行う第2点灯制御部62とから構成してあり、前記第1点灯制御部61が前記第1LED群10を点灯させている間は、前記第2点灯制御部62は前記第2LED群20を消灯させ、前記第2点灯制御部62が前記第2LED群20を点灯させている間は、前記第1点灯制御部61は、前記第1LED群10を消灯させているように構成してある。また、前記第1点灯制御部61及び前記第2点灯制御部62は、目標放射出力と前記放射出力測定部7で測定された測定放射出力との偏差が小さくなるように各LED群に流す電流値を制御するように構成してある。具体的には定電流駆動回路を構成しておき、端子ADJ1及びADJ2から電流値にフィードバックをかけるようにしてある。
【0033】
前記放射出力測定部7は、前記第1LED群10と前記第2LED群20のうち消灯しているLED群を受光素子として、点灯しているLED群の放射出力をモニタリング測定するものである。より具体的には、各LEDは消灯中に他のLEDからの光が入射すると電流が流れるため、その電流値に基づいて点灯しているLEDが属するLED群の放射出力をモニタリング測定するものである、前記放射出力測定部7は、前記第1LED群10に発生した電流値をモニタリング測定し、前記第2LED群20の放射出力を制御する第2点灯制御部へモニタリング結果を出力する第1放射出力測定部71と、前記第2LED群20に発生した電流値をモニタリング測定し、前記第1LED群10の放射出力を制御する第1点灯制御部へモニタリング結果を出力する第2放射出力測定部72とから構成してある。
【0034】
前記玉切れ検知部8は、前記放射出力測定部7が測定した前記LED群からの各放射出力値のうち、予め定めた目標値より所定量だけ低いかを確認し、LEDの玉切れが発生しているかを検知するものである。玉切れとは、例えば、全く光っていないものだけでなく、劣化などにより放射出力の値が小さくなっているものも含む概念である。
【0035】
前記玉切れ報知部9は、前記玉切れ検知部8がLEDの玉切れが発生していると検知した場合に、強制的に全消灯指令(請求項での玉切れ報知信号)を出力し、当該信号を前記点灯制御部6に対して入力するように構成されている。なお、前記LEDの交換がなされるまで前記全消灯指令は継続するものであり、その間、いかなる目標放射出力が前記点灯制御部6に入力されても前記照明機構Lは全消灯を継続する。
【0036】
このように構成されたLED照明装置100の光照射時における動作について図4及び図5のフローチャートと図6のグラフとを参照しながら説明する。なお、本実施形態では、各LED群の点灯している時間はそれぞれ同じ長さになるように設定してあり、点灯している間に各LED群に流れる電流値がフィードバックされて所望の放射出力となるようにしてある。
【0037】
まず、全体のおおまかな流れについて図4のフローチャートを参照しながら説明する。光照射を開始するとまず、前記点灯制御部6の一部を構成するメモリの所定領域に記憶されているフラグが0にリセットされる(ステップS1)。
【0038】
前記フラグが0であると判断された場合には(ステップS2)、前記第2点灯制御部62は前記第2LED群20に対する出力する発光指令信号をオフの状態にして、当該第2LED群20を消灯させる(ステップS3)。
【0039】
前記第1点灯制御部61は、一定時間の間前記第1LED群10が点灯し続けるようトランジスタスイッチに対して端子DR1に発光指令信号を出力するとともに、初回時は予め設定してある第1電流値を第1LED群10に流すように端子ADJ1から電流値指令信号を出力する(ステップS4)。
【0040】
図6にも示すように、前記第1LED群10が点灯している間は、前記第2放射出力測定部72は、前記第2LED群20に入射する光により発生する電流を取得し、前記第1LED群10から射出されている光の放射出力を測定する(ステップS5)。
【0041】
前記第1点灯制御部61は、前記第2放射出力測定部72が測定した測定放射出力と、予め設定されている設定放射出力との偏差が小さくなるようにフィードバックにより第1電流値を更新し、次回のパルス発光する時に流す電流値を決定する(ステップS6)。
【0042】
前記第1LED群10が一定時間点灯すると、玉切れ検知部8が、LEDの玉切れが発生していないかの確認が行い(ステップS7)、LEDの玉切れが発生していない場合には、フラグの更新が行われ(ステップS8)、全消灯指令が入力されていない場合(ステップS9)には前記第1点灯制御部61は、前記第1LED群10を点灯させるための発光指令信号の出力をオフする(ステップS10)。
【0043】
そして、前記第2点灯制御部62が、一定時間の間、前記第2LED群20が点灯し続けるようにトランジスタスイッチに対して端子DR2から発光指令信号を出力するとともに、初回点灯時には、予め設定してある第2電流値を第2LED群20に流すように端子ADJ2から電流値指令信号を出力する(ステップS11)。
【0044】
図6のグラフにも示すように、前記第2LED群20が点灯している間は、前記第1放射出力測定部71は、前記第1LED群10に入射する光により発生する電流を取得し、前記第2LED群20から射出されている光の放射出力を測定する(ステップS12)。
【0045】
前記第2点灯制御部62は、前記第1放射出力測定部71が測定した測定放射出力と、予め設定されている設定放射出力との偏差が小さくなるようにフィードバックにより第2電流値を更新し、次回に前記第2LED群20に流す電流値を決定する(ステップS13)。
【0046】
前記玉切れ検知部8がLEDの玉切れが発生していると判断した場合(ステップS7)には、前記玉切れ報知部9は玉切れ報知信号である全消灯信号を出力し、当該信号が前記第1点灯制御部61及び前記第2点灯制御部62にそれぞれ入力される(ステップS14)。
【0047】
前記点灯制御部6に対して全消灯指令が入力されるまでは、前記第1LED群10と前記第2LED群20は第1電流値及び第2電流値についてフィードバック制御が行われつつ、交互にパルス発光を続ける。そして、全消灯指令が入力されると光照射が終了する(ステップS9)。
【0048】
次に、ステップ7における玉切れ検知の動作について図5のフローチャートを参照しながら説明する。前記玉切れ検知部8は、前記LED群の玉切れを検知するために、現在点灯しているLED群からの放射出力を消灯しているLED群に対応する放射出力測定部6から取得する(ステップSS1)。そして、現在測定されている照射出力の値が予め定めた目標放射出力よりも所定量だけ低いかどうかについて比較を行う(ステップSS2)。その結果、目標放射出力より所定量以上放射出力が低くなっている場合には、LEDの玉切れが発生していると判断し(ステップSS3)、所定量以内、すなわちフィードバック制御において通常現れる程度の偏差しか存在しない場合には、LEDの玉切れが発生していないと判断する(ステップSS4)。このようにして、LEDの玉切れ検知が行われる。
【0049】
このように本実施形態のLED照明装置100によれば、第1LED群10と第2LED群20とを交互点灯させて、消灯しているLED群を受光素子として使用して、LED群の放射出力と目標放射出力との比較をもって、外部センサを用いることなくLEDの玉切れを検知することができる。そして、LEDの玉切れが検知された場合には、前記玉切れ報知部9が全消灯信号を出力して、照明機構Lにおける玉切れが発生していないLEDをも強制的に消灯するので、使用者が確実にLEDの玉切れの発生に気づくことができ、そもそも玉切れが発生した状態で使用が継続されることを確実に防ぐことができる。つまり、本来であれば多数あるLEDのうちのごく一部だけが玉切れが生じたとしても、照明機構L全体ではほとんど変化がなく、玉切れに気づけないところを、本実施形態のLED照明装置100によれば使用者は確実にそのようなLEDの玉切れでも気づくことができる。また、直列つなぎなどといった回路構成に頼ってLEDを全消灯させるのではなく、前記玉切れ報知部9により全消灯させるので、玉切れ時においてLEDが導通しているか短絡しているかといった点に左右されることがない。従って、LEDに玉切れが生じている不完全な状態でLED照明装置100の使用が継続されることを確実に防ぐことができる。
【0050】
さらに、付加的な放射出力測定用のセンサ及び玉切れ報知用の表示器具や通報器具を新たに設ける必要が無いので、例えば、どのような位置にセンサ及び表示装置を設けるのかといった問題や新たな部材を追加することによるコストの増大を招くこともない。
【0051】
次に別の実施形態について説明する。
【0052】
前記実施形態では、前記第1LED群10及び前記第2LED群20が点灯している時間は固定されており、各LED群10、20の放射出力を制御することにより調光を行っていたが、この実施形態では、各LED群10、20が所定周期ごとに交互にずれて点灯するとともに、各LED群10、20に印加される電流値は固定してあり、1周期中で各LED群10、20が点灯している点灯期間と消灯している消灯期間の長さの比率を制御することにより調光を行うようにしている。
【0053】
すなわち、前記点灯制御部6が1周期中における各LED群10、20が点灯している期間の長さを、消灯しているLED群20、10から得られた放射出力をフィードバックして制御するようにしてある。
【0054】
さらに、前記玉切れ検知部8が、一方のLED群の点灯開始時点から他方のLED群の点灯開始時点まで期間である第1期間Aと、一方のLED群の点灯終了時点から他方のLED群の点灯終了時点まで期間である第2期間Bと、に基づいて玉切れの発生を判断するように構成してある。より具体的には、前記第1期間Aと前記第2期間Bは、図7に示すように連続する周期における第1LED群1及び第2LED群2の点灯開始時点、点灯終了時点により規定してある。また、前記玉切れ検知部8は、前記第1期間Aと前記第2期間Bの差の絶対値が所定値以上であった場合に玉切れを検知するように構成してある。そして、前記玉切れ検知部8は、新たな第1期間A、第2期間Bを算出するごとに各期間の差の絶対値を算出し、常時玉切れが生じてないかどうかを判断するようにしてある。
【0055】
なお、第1期間と第2期間の比較方法は差分だけに限られるものではなく、例えば第1期間と第2期間の比等に基づいて玉切れを検知するようにしても構わない。加えて、図7に示すように必ずしも各周期の開始点と、各LED群1、2の点灯開始時点を一致させる必要はなく、各周期内の途中から点灯が開始されるようにしても構わない。要するに、周期内における点灯期間と消灯期間の比率により放射出力が制御されていればよい。
【0056】
このように構成すれば、例えば一方のLED群において玉切れが生じた場合に、フィードバック制御により目標放射出力にしようとした結果、玉切れが生じているLED群の点灯期間は正常時よりも長くなっていくことを検知することができる。従って、LEDの玉切れが生じているかどうかを前記第1期間、前記第2期間に基づいて検知することができる。
【0057】
その他の実施形態について説明する。
【0058】
前記実施形態では、玉切れ検知部がLEDの玉切れが発生していることを検知した場合に、玉切れ報知部が点灯制御部に対して強制的に全消灯指令を入力するように形成していたが、玉切れ検知前と玉切れ検知後において、照明機構から照射される全体における放射出力の差が、使用者に認識できる程度に放射出力を低下させる指令であればよい。例えば、前記玉切れ報知信号が、全LEDのうち半分のLED(例えば、第1LED群又は第2LED群のいずれか)にだけ、消灯状態が継続されるようにしてもかまわない。このようなものであれば、使用者からすると玉切れ検知前に比べて、玉切れ検知後は常に半分程度の放射出力しか照射されていないことから容易に玉切れしていることに気付くことができる。また、例えば、前記玉切れ報知信号が、各LED群の目標放射出力の値を、検知前の半分に低下させるものであっても、使用者が全体の光度の低下を認識することができ、LEDの玉切れに気付くことができる。
【0059】
前記実施形態では、前記玉切れ検知部は、各LED群からの放射出力を、予め定めた目標値と比較するように構成していたが、LED群同士の放射出力を比較し、いずれか一方の放射出力が所定量以上低下していることが検知されたら、LEDの玉切れが生じていると判断するように構成してもかまわない。
【0060】
前記実施形態では、LEDの玉切れを検知する場合に、各LED群からの放射出力を測定するように構成していたが、各LEDからの放射出力を測定してもよい。また測定された各LEDの放射出力に基づいて、玉切れを検知してもよい。この場合の検出方法は例えば、前述したLED群ごとの比較の方法と同じであってもよいし、別の方法であってもよい。
【0061】
前記実施形態では、第1LED1と第2LED2とを正六角形状に配置して1つのブロック3を形成していたが、その他の正多角形状に配置して、その正多角形の中心を通る直線4に対して前記第1LED1と第2LED2とが線対称となるように配置してあればよい。より具体的には、正十角形状に各LEDを配置すれば、周方向に見て第1LED1と第2LED2とを交互に配置するとともに、対角線上において第1LED1と第2LED2とを相対するように配置することができ、正六角形状に配置した場合と略同様に各LED群の熱分布を略均一なものとすることができる。一般化すると、正2(2n+1)角形状に並べている場合であれば、第1LED1と第2LED2を周方向に交互に並べるとともに、対角線上で第1LED1と第2LED2を向かい合わせることができる。
【0062】
このように正多角形の中心を通る直線に対して第1LEDと第2LEDとが線対称に配置してあれば、各LED間でみると温度変化が異なっていたとしても、第1LED群及び第2LED群といった単位で見れば対称な熱分布が形成されることになる。このため、上述したようなLEDの配置であったとしてもLED群全体での発光スペクトル及び受光特性の温度変化は略同じものとすることができるので、照射される放射出力の一定化に効果がある。
【0063】
前記実施形態では、測定された各LED群の放射出力に基づいて、LED群に流す電流値にフィードバックをかけることにより常に一定の放射出力で照射できるようにしていたが、例えば、前記第1LED群と前記第2LED群が点灯可能な時間が割り振られており、その点灯可能時間内における点灯時間と消灯時間の比であるデューティー比にフィードバックをかけることにより放射出力が一定になるように構成しても構わない。
【0064】
また、上記実施形態においては、例えば第1LED群を構成する第1LED全てを(図3のように直列接続して)第2LED群の放射出力モニター用の受光素子として用いているが、第1LEDの全てでなく一部として簡略化したものであってもよい。
【0065】
また、本発明のLED照明装置は発熱があったとしても常に均一の光を照射することが可能となるので、例えば、LEDを紫外線領域の光を射出するものとして、発熱量の大きくなるUV照明として用いた場合にはその効果が顕著になる。加えて、特性変化をできる限り低減するために照明機構に放熱構造等を設けても構わない。
【0066】
加えて、前記実施形態では各LEDを多角形状に配置していたが、その他の配置であっても構わない。例えば、図8に示すように第1LED1と第2LED2を交互に直線状に並べたものであってもかまわない。このようなものであっても各LEDの玉切れを検知することができる。さらに、従来の蛍光灯のような長尺のLED照明装置を構成した際には放射出力の低下を検知できるという従来にはない機能を追加することができる。
【0067】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、様々な変形や実施形態の組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0068】
100・・・LED照明装置
1・・・第1LED
2・・・第2LED
10・・・第1LED群
20・・・第2LED群
3・・・ブロック
4・・・中心を通る直線
L・・・照明機構
5・・・制御機構
6・・・点灯制御部
7・・・放射出力測定部
8・・・玉切れ検知部
9・・・玉切れ報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1LEDから構成される第1LED群と、複数の第2LEDから構成される第2LED群とを具備する照明機構と、前記第1LED群と前記第2LED群とを交互に点灯させる点灯制御部と、前記第1LED群と前記第2LED群のうち消灯しているLED群を受光素子として、点灯しているLED群からの放射出力を測定する放射出力測定部と、を備え、前記点灯制御部が、前記放射出力測定部で測定される放射出力に基づいて、前記第1LED群及び前記第2LED群の放射出力をそれぞれ制御するLED照明装置であって、
前記放射出力測定部から各LED群又は各LEDからの放射出力の値を示す出力信号を取得し、前記放射出力に関連する値に基づいて、LEDの玉切れ検知するように構成された玉切れ検知部と、
前記玉切れ検知部においてLEDの玉切れが検知された場合に、前記点灯制御部にLEDの一部又は全部の放射出力を強制的に低下させる玉切れ報知信号を出力するように構成された玉切れ報知部と、を備え、
前記照明機構から出力される玉切れ検知後の放射出力と玉切れ検知前の放射出力との差が、使用者により知覚可能な差となるように前記玉切れ報知信号が設定されていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記玉切れ検知部が、一方のLED群の放射出力が他方のLED群の放射出力より所定量だけ低い場合には、玉切れが発生したと判断するように構成された請求項1記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記玉切れ検知部が、いずれかのLED群の放射出力が予め定めた目標放射出力より所定量だけ低い場合には、玉切れが発生したと判断するように構成された請求項1又は2記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記点灯制御部が、前記第1LED群及び前記第2LED群の点灯時間を制御するよう構成されており、
前記玉切れ検知部が、一方のLED群の点灯開始時点から他方のLED群の点灯開始時点まで期間である第1期間と、一方のLED群の点灯終了時点から他方のLED群の点灯終了時点まで期間である第2期間と、に基づいて玉切れの発生を判断するように構成された請求項1、2又は3記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記玉切れ検知部が、第1期間と第2期間の差の絶対値が所定値以上であった場合に玉切れが発生したと判断するように構成された請求項4記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記玉切れ報知部が、前記点灯制御部に全LEDを消灯させる玉切れ報知信号を出力するように構成されている請求項1、2、3、4又は5記載のLED照明装置。
【請求項7】
前記照明機構が、前記第1LED及び前記第2LEDが正多角形又は矩形の各頂点をなすように配置されて1又は複数のブロックをなし、前記ブロックにおいて、前記第1LED及び前記第2LEDが、同数及び同種であるとともに、前記第1LED及び前記第2LEDは、前記正多角形の中心を通る直線に対して線対称となるように配置されている請求項1、2、3、4、5又は6記載のLED照明装置。
【請求項8】
前記第1LED及び前記第2LEDが軸対称となるように設けられている請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248435(P2012−248435A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119714(P2011−119714)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(596099446)シーシーエス株式会社 (121)
【Fターム(参考)】